JP2003146665A - ゾルゲル法によるゲル材の製造方法 - Google Patents

ゾルゲル法によるゲル材の製造方法

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JP2003146665A
JP2003146665A JP2001354442A JP2001354442A JP2003146665A JP 2003146665 A JP2003146665 A JP 2003146665A JP 2001354442 A JP2001354442 A JP 2001354442A JP 2001354442 A JP2001354442 A JP 2001354442A JP 2003146665 A JP2003146665 A JP 2003146665A
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temperature
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sol
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gel
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Satoshi Okochi
智 大河内
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B19/00Other methods of shaping glass
    • C03B19/12Other methods of shaping glass by liquid-phase reaction processes

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 割れや亀裂の発生を防止しつつ、簡易かつ迅
速にゲル材を得る。 【解決手段】 出発原料と少なくとも水を液体成分とし
て含有するゾル溶液1を調製する調製工程と、ゾル溶液
1の上記液体成分を気化させてゲル材を得るゲル化工程
とからなる。ゲル化工程は、ゾル溶液1を昇温させる昇
温過程を少なくとも一部に含み、この昇温過程では、ゾ
ル溶液1が曝されている雰囲気(大容器4内)において
その温度における水の飽和状態を保ちつつ昇温させてい
く。ゲル化工程の昇温過程で、大容器4内がその温度に
おける飽和水蒸気で常に満たされているため、ゾル溶液
1中の液体成分の急激な気化が抑えられ、ゲル材の割れ
や亀裂の発生を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゾルゲル法によるゲ
ル材の製造方法に関する。本発明方法によれ得られたゲ
ル材は、例えば燃料電池用の固体電解質に好適に適用す
ることができる。
【0002】
【従来の技術】固体物を得る方法として、従来よりゾル
ゲル法が知られている。ゾルゲル法は、出発原料を混ぜ
て調製したゾル溶液を放置するだけ固体物(固体酸化
物)としてのゲルを得ることができる。このため、ゾル
ゲル法によれば、非常に簡易かつ安価に固体物を得るこ
とが可能となる。また、ゾルゲル法は、各種の金属化合
物を原料として用いることができることから、得られる
固体物の組成を広範囲に調製することができるととも
に、均一な組成の固体物を得やすいという長所を有す
る。
【0003】このゾルゲル法は、一般に、金属のアルコ
キシド、アセチルアセトナトや酢酸塩等の有機金属化合
物及び硝酸塩等の無機金属化合物から選択された化合物
を出発原料として用いる。これら出発原料としての化合
物をアルコールやキシレン等から選択された有機溶媒に
溶解させ、これにゲル化を促進させる塩酸等の触媒や
水、及び必要により解膠剤や分散剤のような付加的な成
分を加えてゾル溶液とする。そして、このゾル溶液を加
水分解や重縮合反応によりゲル化させ、得られたゲルを
乾燥、焼成することにより目的とする固体物を得る。
【0004】例えば、ゾルゲル法によりガラスを得る場
合、金属アルコキシドとしてのテトラエトキシシラン
(TEOS、Si(OC2 5 4 )と、水と、有機溶
媒としてのエタノールと、酸触媒としての塩酸とを所定
割合で混合して混合金属アルコレート溶液よりなるゾル
溶液を調製する。そして、このゾル溶液を室温の半密閉
容器内で放置することにより、酸触媒下で、下記(1)
式に示す加水分解反応が進行するとともに、加水分解に
より得られたSi(OH)4 が脱水重縮合を繰り返して
ゲル化し、SiO2 よりなる湿潤ゲルとなる。そして、
この湿潤ゲルを乾燥、焼成すれば、固体酸化物としての
SiO2 ガラスを得ることができる。
【0005】 Si(OC2 5 4 +4H2 O→Si(OH)4 +4C2 5 OH…(1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のゾルゲル法では、ゾル溶液を室温で放置するこ
とによりゲル化させていることから、ゲル化に際して通
常1〜2ヶ月程度の時間を要し、時間がかかり過ぎると
いう問題がある。また、原料によっては、加水分解、縮
合反応が極めて遅く、1〜2ヶ月程度を経ても固化(ゲ
ル化)しないものもある。
【0007】ここに、ゾル溶液を室温で放置することに
よりゲル化させるのは、昇温や容器の開放等により溶媒
の気化速度を高めると、これに伴う急激な加水分解や縮
合の進行により、乾燥時(ゲル化時)に固体物(ゲル
材)に割れや亀裂が発生してしまうからである。
【0008】このため、従来のゾルゲル法においては、
ゲル化に際して昇温したりあるいは容器を開放したりす
ることは極めて考え難いことである。
【0009】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、ゲル材の割れや亀裂の発生を防止しつつ、簡易か
つ迅速にゲル材を得ることのできるゾルゲル法を提供す
ることを解決すべき技術課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のゾルゲル法によるゲル材の製造方法は、出発原料と
少なくとも一つの液体成分とを含有するゾル溶液を調製
する調製工程と、該ゾル溶液の該液体成分を気化させて
ゲル材を得るゲル化工程とからなり、上記ゲル化工程は
上記ゾル溶液を昇温させる昇温過程を少なくとも一部に
含み、該昇温過程では、該ゾル溶液が曝されている雰囲
気においてその温度における上記液体成分のうちの少な
くとも一つの飽和状態を保ちつつ昇温させていくことを
特徴とするものである。
【0011】ここに、上記液体成分のうちの少なくとも
一つの飽和状態とは、上記ゾル溶液に含まれる液体成分
のうちの少なくとも一つの液相と気相が平衡となって共
存している状態をいう。
【0012】このゾルゲル法によるゲル材の製造方法で
は、ゾル溶液の液体成分を気化させてゲル材を得るゲル
化工程の少なくとも一部に昇温過程を含み、この昇温過
程ににおいて、ゾル溶液を昇温させていることから、従
来の室温で放置する方法と比べて、ゾル溶液の液体成分
を短時間で気化させることができ、したがって迅速にゲ
ル材を得ることが可能となる。
【0013】また、この昇温過程でゾル溶液を昇温させ
ていく際に、その温度における上記液体成分うちの少な
くとも一つの飽和状態を保ちつつ昇温させていくことか
ら、ゾル溶液中の液体成分のうちの少なくとも一つの急
激な気化を抑えることができ、ゲル材に割れや亀裂が発
生することを効果的に防止することが可能となる。
【0014】好適な態様において、前記ゾル溶液は液体
成分として水を含み、前記昇温過程で、該ゾル溶液が曝
されている雰囲気においてその温度における水の飽和状
態を保ちつつ昇温させていく。
【0015】このようにゲル化工程の昇温過程で、ゾル
溶液が曝されている雰囲気においてその温度における水
の飽和状態を常に保つことにより、該雰囲気がその温度
における飽和水蒸気で常に満たされるので、ゾル溶液中
の水のみならず有機溶媒の急激な気化をも抑えることが
でき、ゲル材に割れや亀裂が発生することを極めて効果
的に防止することが可能となる。また、上記雰囲気をそ
の温度における水の飽和状態に保つ場合は、有機溶媒の
飽和状態に保つ場合と比較して、水の沸点が有機溶媒の
沸点よりも高いことから、昇温温度や昇温速度を高める
上で有利となり、より迅速にゲル材を得ることができ
る。しかも、有機溶媒よりも水の方が、安全性や取扱い
の容易性等の面で有利となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のゾルゲル法によるゲル材
の製造方法は、ゾル溶液を調製する調製工程と、このゾ
ル溶液からゲル材を得るゲル化工程とからなる。
【0017】上記調製工程では、出発原料と少なくとも
一つの液体成分とを含有するゾル溶液を調製する。この
ゾル溶液としては特に限定されず、例えば、金属のアル
コキシド、アセチルアセトナトや酢酸塩等の有機金属化
合物及び硝酸塩等の無機金属化合物から選択された化合
物を、アルコールやキシレン等から選択された溶媒に溶
解させ、これにゲル化を促進させる塩酸等の触媒や水、
及び必要により解膠剤や分散剤のような付加的な成分を
加えたものとすることができる。
【0018】より具体的には、テトラメトキシシラン
(TMOS、Si(OCH3 4 )、テトラエトキシシ
ラン(TEOS、Si(OC2 5 4 )やグリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン(GPTS、(OC
3 3 SiO(CH2 2 OCH 2 CHO)等のシラ
ンを含有する金属アルコキシド、リン酸トリエチル(P
O(OC2 5 3 )やリン酸トリメチル(PO(OC
3 3 )等のリンを含有する金属アルコキシドの他、
アルミニウムイソプロポキシド(Al(OCH(C
3 2 3 )、チタンイソプロポキシド(Ti(OC
H(CH3 2 4 )、ジルコニウムプロポキシド(Z
r(OC3 7 3 )若しくはバリウムプロポキシド
(Ba(OC3 7 3 )のような金属アルコキシド、
メチルトリエトキシシラン(CH3 Si(OC2 5
3 )、ジメチルジエトキシシラン((CH3 2 Si
(OC2 5 2 )、ジプロピルジエトキシシラン
((C3 7 2 Si(OC2 5 2 )、フルオロジ
メチルジエトキシシラン((CH2 F)2 Si(OC2
5 2 )、フェニルトリメトキシシラン(C6 5
i(OCH3 3 )若しくはジフェニルジエトキシシラ
ン((C6 5 2 Si(OC2 5 2 )のようなア
ルキル基、フルオロアルキル基若しくはフェニル基等を
有する金属アルコキシド、又はビスアセチルアセトナト
マンガン(Mn(C5 7 2 2 )、ビスアセチルア
セトナトコバルト(Co(C5 7 2 2 )、トリス
アセチルアセトナトアルミニウム(Al(C5
7 2 3 )若しくはトリスアセチルアセトナトコバル
ト(Co(C5 7 2 3 )のようなアセチルアセト
ナト等から選択された化合物を、エタノールやプロパノ
ール等から選択した溶媒に溶かし、この溶液に塩酸、塩
化アンモニウムやホウ酸等から選択された触媒や水、及
び必要により解膠剤や分散剤のような付加的な成分を溶
解させたものをゾル溶液として用いることができる。
【0019】上記ゲル化工程では、ゾル溶液の液体成分
を気化させることにより、ゲル材を得る。このとき、本
発明方法では、ゾル溶液を昇温させる昇温過程をゲル化
工程の少なくとも一部に含み、この昇温過程では、該ゾ
ル溶液が曝されている雰囲気においてその温度における
該液体成分のうちの少なくとも一つの飽和状態を保ちつ
つ昇温させていく。
【0020】上記昇温過程は、ゲル化工程のうちの少な
くとも一部を占めればよいが、より迅速にゲル材を得る
とともにゲル材に割れや亀裂が発生することをより効果
的に防止する観点より、ゲル化工程が上記昇温過程のみ
からなることが好ましい。すなわち、ゲル化工程は上記
ゾル溶液を昇温させる昇温過程からなり、該昇温過程で
は、該ゾル溶液が曝されている雰囲気においてその温度
における上記液体成分のうちの少なくとも一つの飽和状
態を保ちつつ昇温させていくが好ましい。
【0021】このゲル化工程は、例えば以下のようにし
て行うことができる。
【0022】まず、上記調製工程で調製したゾル溶液を
一旦は半密閉容器内に入れて室温で所定時間放置し、見
かけ状ゲル化して固体となったものを所定の容器(開放
容器)に入れるか、あるいは上記調整工程で調整したゾ
ル溶液をそのまま所定の容器(開放容器)に入れる。
【0023】一方、適当量の一種又は二種以上の液体が
入れられた大容器を準備する。このとき大容器内に入れ
る液体の種類は、ゾル溶液中に含まれる液体成分と同一
のものとし、一種でも二種以上でもよい。すなわち、ゾ
ル溶液中に水及び有機溶媒が含まれる場合は、水及びそ
の有機溶媒のうちの少なくとも一方を大容器内に入れて
おく。
【0024】このとき、上記大容器内に適当量の水を入
れておけば、ゲル化工程の昇温過程で、大容器内におい
てその温度における水の飽和状態を常に保つことがで
き、ゾル溶液中の少なくとも水の急激な気化を抑えるこ
とが可能となる。また、大容器内が水の飽和状態に保た
れていれば、水のみならず、水和状態にある有機溶媒の
急激な気化も効果的に抑えることができると考えられ
る。一方、上記大容器内に適当量の有機溶媒を入れてお
けば、ゲル化工程の昇温過程で、大容器内においてその
温度における該有機溶媒水の飽和状態を常に保つことが
でき、ゾル溶液中の少なくとも有機溶媒の急激な気化を
抑えることが可能となる。さらに、ゾル溶液中に含まれ
る水及び有機溶媒の双方を大容器に適当量入れておけ
ば、ゲル化工程の昇温過程で、大容器内においてその温
度における水及び該有機溶媒の双方の飽和状態を常に保
つことができ、ゾル溶液中の水及び有機溶媒の双方の急
激な気化を抑えることが可能となる。ただし、安全性や
取扱いの容易性が高く、昇温温度や昇温速度を高めて迅
速処理を図る上でも有利な水を少なくとも選択すること
が好ましい。
【0025】上記大容器に入れておく液体の量は、ゲル
化工程の昇温過程で大容器内においてその温度における
の液体の飽和状態を常に保ちうる量とすることができ、
大容器の容積や昇温速度等に応じて適宜設定することが
できる。
【0026】そして、上記ゾル溶液が入れられた容器
を、適当量の液体が入れられた大容器内に配設し、大容
器の開放口を半密閉状態(ガスのリークを許容する状
態)で閉蓋する。ここで、大容器の開放口を半密閉状態
に閉蓋するのは、昇温過程である程度(大容器内の過剰
な圧力上昇を抑えることができ、かつ、大容器内の飽和
蒸気が逃げない程度)のガスリークを許容することによ
り、内圧上昇による大容器の破損や、気液平衡による揮
発・乾燥の停止を防止するためである。
【0027】そして、この大容器を乾燥炉等に入れて、
所定温度まで所定の昇温速度で昇温していく。こうする
ことで、昇温過程で、大容器内を常に該大容器に入れら
れた液体のその温度における飽和蒸気で満たし、ゾル溶
液が曝されている雰囲気において、すなわち大容器内に
おいてその温度における該液体の飽和状態を保ちつつ昇
温させていくことができる。
【0028】この昇温過程における上記所定温度(昇温
過程における最大加熱温度)及び昇温速度が高ければ高
いほど、ゲル化を促進させて迅速にゲル材を得る上では
有利となるが、この所定温度及び昇温速度が高すぎる
と、ゲル材内部の水及び溶媒の揮発速度が増大し、ゲル
形成時(重縮合の際)に著しい割れや亀裂を発生してし
まう点で不利となる。一方、昇温過程における上記所定
温度及び昇温速度が低ければ低いほど、ゲル材の割れや
亀裂の発生を防止する上では有利となるが、この所定温
度及び昇温速度が低すぎると、ゲル材内部の水及び溶媒
の揮発が遅くなり、重縮合が進行しないことから、ゲル
化が著しく遅くなるという点で不利となる。
【0029】したがって、大容器の中に水を入れておく
場合は、上記所定温度は1標準気圧における水の沸点
(100℃)よりも10〜50℃程度高い110〜15
0℃程度とすることが好ましく、また昇温速度は5〜2
0℃/hr程度とすることが好ましい。一方、大容器の
中に有機溶媒を入れておく場合は、上記所定温度は1標
準気圧におけるその有機溶媒の沸点よりも5〜10℃程
度高い温度(例えば有機溶媒としてエタノールを採用し
た場合は1標準気圧におけるエタノールの沸点78.3
℃よりも5〜10℃程度高い83.3〜88.3℃程
度)とすることが好ましく、また昇温速度は5〜10℃
/hr程度とすることが好ましい。
【0030】また、上記大容器の開放口を半密閉状態で
閉蓋する代わりに、該開放口を完全な密閉状態(ガスの
リークを許容しない状態)で閉蓋するとともに、該大容
器の内圧を圧力制御弁により管理することによっても、
昇温過程で、大容器内を常に該大容器に入れられた液体
のその温度における飽和蒸気で満たし、ゾル溶液が曝さ
れている雰囲気、すなわち大容器内においてその温度に
おける該液体の飽和状態を保ちつつ昇温させていくこと
ができる。
【0031】本発明方法によれば、ガラス材料やセラミ
ック材料の他、有機無機ハイブリッド材料やナノコンポ
ジット材料等を得ることができ、これらの材料を例えば
光学的、電気的、機械的又は熱的特性を有する薄膜材料
に応用すれば、光反射材料、工学窓、強誘電性材料やイ
オン伝導性材料等の様々な分野の用途に適用することが
できる。特に、本発明方法で得られたゲル材は、燃料電
池用の固体電解質に好適に適用することができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明のゾルゲル法によ
るゲル材の製造方法について、具体的に説明する。
【0033】(実施例1)本実施例は、本発明のゾルゲ
ル法によるゲル材の製造方法を利用して、燃料電池用の
固体電解質に好適に適用することができるゲル材を得る
ものである。
【0034】(調製工程)出発原料として、シランを含
有する金属アルコキシドとしてのテトラエトキシシラン
(TEOS)と、リンを含有する金属アルコキシドとし
てのリン酸トリエチルとを準備した。
【0035】そして、上記テトラエトキシシラン1モル
と、イオン交換水4モルと、有機溶媒としてのエタノー
ル4モルと、触媒としての塩酸0.4モルとを混合、撹
拌した後、最後にリン酸トリエチル1モルを加えてゾル
溶液1を調製した。
【0036】(ゲル化工程)このゲル化工程は昇温過程
のみからなる。
【0037】図1に示すように、得られたゾル溶液1を
テフロン(登録商標)製のビーカーよりなる開放容器2
に入れ、適当量(1リットル)の純水3が入れられたガ
ラス製の大容器(容積:4リットル)4の中に入れた。
そして、開放容器2の上方に屋根5を設置した後、大容
器4の上方開放口をアルミ箔よりなる蓋6で半密閉状態
で閉蓋した。このとき、大容器4の上方開放口と蓋6と
の間には若干の隙間が存在する。これは、大容器4内の
内圧が過剰に高くなることを防止でき、かつ、大容器4
内の飽和蒸気が逃げることを防止できるような隙間であ
る。
【0038】なお、上記屋根5は、大容器4内の水滴が
開放容器2内に落下するのを防止すべく、開放容器2の
上端開口から一定の距離を隔てて配設されるように大容
器4の内側面に固定されている。
【0039】そして、この状態で、大容器4を乾燥炉に
入れて、150℃まで20℃/hrの昇温速度で昇温し
た。これにより、この昇温過程で、大容器4内を常にそ
の温度における飽和水蒸気で満たし、ゾル溶液1が曝さ
れている雰囲気、すなわち大容器4内においてその温度
における水の飽和状態を保ちつつ昇温させた。
【0040】こうして、ゲル化工程において、ゾル溶液
1を所定の昇温速度で昇温させていることから、7時間
程度という極めて短時間でゲル化させることができた。
【0041】また、このゲル化工程でゾル溶液1を昇温
させていく際に、その温度における水の飽和状態を保ち
つつ昇温させていくことから、ゾル溶液1中の液体成分
たる水やエタノールの急激な気化を抑えることができ、
ゲル材に割れや亀裂が発生することを効果的に防止する
ことができた。
【0042】こうして得られたゲル材は、プロトン伝導
度が4×10-2S/cm(80℃、90RH%)であ
り、1ヶ月の室温放置により得られたゲル材とほぼ同様
の特性を示し、燃料電池用の固体電解質に好適に適用可
能であることが確認された。
【0043】(実施例2)ゲル化工程が、上記調製工程
で調製したゾル溶液1を一旦は半密閉容器内に入れて室
温で所定時間(24〜48時間程度)放置し、見かけ状
ゲル化させて固体とする室温放置過程と、上記実施例1
と同様の昇温過程とからなること以外は、上記実施例1
と同様である。
【0044】このゲル化工程における昇温過程に要した
時間は3時間程度であり、室温放置段階と合わせてゲル
化に要した時間は全体で27〜51時間程度であった。
【0045】こうして得られたゲル材は、割れや亀裂が
発生することを効果的に防止することができ、プロトン
伝導度が4×10-2S/cm(80℃、90RH%)で
あった。
【0046】(実施例3)出発原料として、シランを含
有する金属アルコキシドとしてのテトラエトキシシラン
(TEOS)の代わりに、ギリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン(GPTS)を用いること以外は、上記実
施例1と同様である。
【0047】出発原料としてGPTSを用いた場合は、
1ヶ月以上室温で放置しても全くゲル化しなかったのに
対し、本実施例によれば、割れや亀裂のないゲル材を得
ることができた。
【0048】また、得られたゲル材は、プロトン伝導度
が2×10-3S/cm(80℃、90RH%)であり、
燃料電池用の固体電解質に好適に適用可能であることが
確認された。
【0049】(実施例4)上記大容器4の上方開放口を
アルミ箔よりなる蓋6により半密閉状態で閉蓋する代わ
りに、ネジ式機構あるいはパッキンを介してロックで止
める機構をもつ蓋6により該上方開放口を完全な密閉状
態(ガスのリークを許容しない状態)で閉蓋するととも
に、該大容器4の内圧を圧力制御弁7により管理するこ
と以外は、上記実施例1と同様である。
【0050】ここに、ゲル化工程における昇温過程での
圧力制御弁7の弁開放圧力は、ゾル溶液1に含まれる水
及び有機溶媒としてのエタノールについて、その温度に
おける水の飽和蒸気圧(飽和水蒸気圧)とその温度にお
けるエタノールの飽和蒸気圧との総和+αの圧力とする
ことができる。なお、この最適αの値は実験等により導
出することが可能で、本実施例の場合は100〜100
00Pa程度とすることができる。
【0051】そして、ゲル化工程における昇温過程で、
図3に示すように、圧力制御弁7の弁開放圧力(飽和蒸
気圧の総和+α)を温度によって変化させていけば、大
容器4内を常に少なくとも該大容器4に入れられた水の
その温度における飽和蒸気で満たし、ゾル溶液が曝され
ている雰囲気、すなわち大容器4内においてその温度に
おける少なくとも水の飽和状態を保ちつつ昇温させてい
くことができる。
【0052】したがって、本実施例によっても、上記実
施例1と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0053】(実施例5)上記大容器4内に純水3の代
わりにエタノールを適当量(1リットル)入れておくと
ともに、昇温過程における前記所定温度(最高加熱温
度)を80℃とし、かつ、昇温速度を5℃/hrとする
こと以外は、上記実施例1と同様である。
【0054】こうして、本実施例のゲル化工程の昇温過
程では、大容器4内を常にその温度におけるエタノール
の飽和蒸気で満たし、ゾル溶液1が曝されている雰囲
気、すなわち大容器4内においてその温度におけるエタ
ノールの飽和状態を保ちつつ昇温させた。
【0055】このゲル化工程では、12時間でゲル化さ
せることができた。
【0056】また、このゲル化工程でゾル溶液1を昇温
させていく際に、その温度におけるエタノールの飽和状
態を保ちつつ昇温させていくことから、ゾル溶液1中の
液体成分たるエタノールの急激な気化を抑えることがで
き、ゲル材に割れや亀裂が発生することを効果的に防止
することができた。
【0057】こうして得られたゲル材は、プロトン伝導
度が4×10-2S/cm(80℃、90RH%)であ
り、1ヶ月の室温放置により得られたゲル材とほぼ同様
の特性を示し、燃料電池用の固体電解質に好適に適用可
能であることが確認された。
【0058】(実施例6)上記大容器4内に適当量
(0.5リットル)の純水と適当量(0.5リットル)
のエタノールとを入れておくとともに、昇温過程におけ
る前記所定温度(最高加熱温度)を100℃とし、か
つ、昇温速度を20℃/hrとすること以外は、上記実
施例1と同様である。
【0059】こうして、本実施例のゲル化工程の昇温過
程では、大容器4内を常にその温度における水の飽和蒸
気(飽和水蒸気)及びエタノールの飽和蒸気で満たし、
ゾル溶液1が曝されている雰囲気、すなわち大容器4内
においてその温度における水及びエタノールの飽和状態
を保ちつつ昇温させた。
【0060】このゲル化工程では、5時間でゲル化させ
ることができた。
【0061】また、このゲル化工程でゾル溶液1を昇温
させていく際に、その温度における水及びエタノールの
飽和状態を保ちつつ昇温させていくことから、ゾル溶液
1中の液体成分たる水及びエタノールの急激な気化を確
実に抑えることができ、ゲル材に割れや亀裂が発生する
ことを極めて効果的に防止することができた。
【0062】こうして得られたゲル材は、プロトン伝導
度が4×10-2S/cm(80℃、90RH%)であ
り、1ヶ月の室温放置により得られたゲル材とほぼ同様
の特性を示し、燃料電池用の固体電解質に好適に適用可
能であることが確認された。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように本発明のゾルゲル法
によるゲル材の製造方法によれば、ゲル化工程で特定の
条件下でゾル溶液を昇温させることから、ゲル材の割れ
や亀裂の発生を防止しつつ、簡易かつ迅速にゲル材を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例1に係るゾルゲル法によるゲル材の製
造方法を模式的に示す断面図である。
【図2】本実施例4に係るゾルゲル法によるゲル材の製
造方法を模式的に示す断面図である。
【図3】上記実施例4に係る製造方法において、加熱温
度を圧力制御弁の弁開放圧力との関係を示す線図であ
る。
【符号の説明】
1…ゾル溶液 2…開放容器 3…純水 4…大容器 6…蓋 7…圧力制御弁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】出発原料と少なくとも一つの液体成分とを
    含有するゾル溶液を調製する調製工程と、該ゾル溶液の
    該液体成分を気化させてゲル材を得るゲル化工程とから
    なり、 上記ゲル化工程は上記ゾル溶液を昇温させる昇温過程を
    少なくとも一部に含み、該昇温過程では、該ゾル溶液が
    曝されている雰囲気においてその温度における上記液体
    成分のうちの少なくとも一つの飽和状態を保ちつつ昇温
    させていくことを特徴とするゾルゲル法によるゲル材の
    製造方法。
  2. 【請求項2】前記ゾル溶液は液体成分として水を含み、
    前記昇温過程で、該ゾル溶液が曝されている雰囲気にお
    いてその温度における水の飽和状態を保ちつつ昇温させ
    ていくことを特徴とする請求項1記載のゾルゲル法によ
    るゲル材の製造方法。
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