JP2003146030A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP2003146030A
JP2003146030A JP2002152830A JP2002152830A JP2003146030A JP 2003146030 A JP2003146030 A JP 2003146030A JP 2002152830 A JP2002152830 A JP 2002152830A JP 2002152830 A JP2002152830 A JP 2002152830A JP 2003146030 A JP2003146030 A JP 2003146030A
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tire
steel
steel cord
diameter
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JP2002152830A
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English (en)
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Narishiro Yoshioka
成城 吉岡
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビード部の耐久性を向上する。 【解決手段】 ビード部4にビード補強層9を配置す
る。ビード補強層9は、カーカスプライ6Aの折返し部
6b、本体部6aに沿って半径方向内外にのびる外の立
ち上げ部9bを有する。またビード補強層9のスチール
コード10は、スチール素線Fを用いた1×n構造をな
しかつ下記式を満足する。 S=(d2 ×n)/(L1×L2) … ただし、L1はスチールコードの直径が最大となる第1
の径、L2は前記第1の径とは直角な向きの第2の径、
dは素線の直径である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビード部の耐久性
を向上しうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】空気入りタイヤのビード部は、車両の負
荷荷重ないし路面上の突起物や縁石等などを乗上げる際
の衝撃力が頻繁に加わる。このため、該ビード部には、
スチールコードを配列したスチールコードプライからな
るビード補強層を配してビード部の曲げ剛性を高めるこ
となどが行われている。例えば重荷重用タイヤを例に挙
げると、ビード補強層に用いられるスチールコードに
は、一般に図9に示す如く、3本のスチール素線aから
なるコアの周囲に、例えば7本のスチール素線bからな
るシースを形成した3+7構造(また、これ以外にも例
えば3+9、3+9+15)等の層撚りのものが用いら
れていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
市場の要求として、空気入りタイヤ、とりわけトラッ
ク、バスなどに使用される重荷重用タイヤについては、
車両の高速化、道路網の整備に伴いさらなるビード部の
耐久性の向上が期待されている。本発明は、このような
実状に鑑み案出なされたもので、ビード補強層に用いる
スチールコードの構造を改善することを基本として、ビ
ード部の耐久性のさらなる向上を図りうる空気入りタイ
ヤの提供を目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記
載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビ
ード部のビードコアに至る本体部に前記ビードコアの回
りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部
を一体に設けたカーカスプライを有するカーカスと、前
記ビード部に配されかつスチールコードを配列したスチ
ールコードプライからなるビード補強層とを具えた空気
入りタイヤであって、前記ビード補強層は、前記折返し
部のタイヤ軸方向外側をタイヤ半径方向内外にのびる外
の立ち上げ部を有するとともに、前記スチールコード
は、スチール素線のn本を撚り合わせた1×n構造をな
しかつ次式で定まる断面形状係数Sが0.35〜0.
70であることを特徴としている。 S=(d2 ×n)/(L1×L2) … (式中、L1はスチールコードの直径が最大となる第
1の径、L2は前記第1の径とは直角な向きの第2の
径、dはスチール素線の直径である。)
【0005】また請求項2記載の発明は、前記スチール
素線は、直径dが0.10〜0.50mmである請求項1
記載の空気入りタイヤである。
【0006】また請求項3記載の発明は、前記スチール
素線の本数nは、6〜12である請求項1又は2記載の
空気入りタイヤである。
【0007】また請求項4記載の発明は、前記スチール
コードは、切断時全伸びが4.0〜10.0%である請
求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤであ
る。
【0008】また請求項5記載の発明は、前記ビード補
強層は、前記ビードコアのタイヤ半径方向内側をのびる
主部と、この主部のタイヤ軸方向外側に連なる前記外の
立ち上げ部と、前記主部のタイヤ軸方向内側に連なり前
記本体部のタイヤ軸方向内側をタイヤ半径方向外側にの
びる内の立ち上げ部とを有する断面略U字状をなすこと
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入
りタイヤである。
【0009】また請求項6記載の発明は、前記ビード補
強層は、タイヤ半径方向の内端がビードコアのタイヤ軸
方向内側へのびる巻き込み部を有することなく終端する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空
気入りタイヤである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態の空
気入りタイヤ1を正規リムJにリム組みしかつ正規内圧
を充填した無負荷である標準状態におけるタイヤ子午断
面図、図2はそのビード部を拡大して示す拡大図をそれ
ぞれ示している。
【0011】図1において、空気入りタイヤ1は、トレ
ッド部2と、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる
一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の
内方端に位置するビード部4とを具え、本実施形態で
は、トラック(大型、小型を含む)、バスなどに用いら
れる重荷重用のチューブレスタイプを例示している。ま
た空気入りタイヤ1は、カーカス6とこのカーカス6の
タイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配された
ベルト層7とを具えている。
【0012】前記カーカス6は、本実施形態では1枚の
カーカスプライ6Aから構成されたものを例示してい
る。該カーカスプライ6Aは、カーカスコードを配列し
たコード配列体の内、外をトッピングゴムで薄く被覆し
たプライからなる。前記カーカスコードには本例ではス
チールコードが用いられる。該スチールコードは、例え
ばタイヤ赤道Cに対して70〜90°の角度で傾けて配
列されたラジアル構造をなす。
【0013】またカーカスプライ6Aは、トレッド部2
からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア
5に至るトロイド状の本体部6aと、この本体部6aの
両端部にビードコア5の回りをタイヤ軸方向内側から外
側に折り返された折返し部6bを一体に連設して構成さ
れている。図2に示すように、前記折返し部6bの外端
6beのビードベースラインBLからの高さh1は、例
えばタイヤ断面高さHの10〜30%、より好ましくは
15〜25%程度に設定されるのが好ましい。前記折返
し部6bの高さh1がタイヤ断面高さHの10%よりも
小であると、ビード部4の曲げ剛性が低下する傾向があ
り、逆に30%よりも大であると、接着力の低い折返し
部6bの外端6beが屈曲の激しいサイドウォール部3
に近接すため好ましくない。
【0014】また前記カーカスプライ6Aの本体部6a
と折返し部6bとの間には、前記ビードコア5からタイ
ヤ半径方向外側に先細状にのび例えば硬質のゴムからな
るビードエーペックスゴム8が配されている。これによ
り、ビード部4の曲げ剛性などを適度に向上させること
ができる。
【0015】前記ベルト層7は、本実施形態ではベルト
コードをタイヤ周方向に対して例えば60±15°程度
の角度で配列した最内のベルトプライ7Aと、タイヤ周
方向に対して10〜30°の小角度で配列したベルトプ
ライ7B、7C、7Dとの4枚構造の場合を例示してい
る。前記ベルトコードには本例ではスチールコードが用
いられている。また、ベルト層7は、ベルトコードがプ
ライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けて重置さ
れている。これにより、トレッド部2の剛性を高め、耐
摩耗性などを向上しうる。なおベルト層7は、2ないし
3枚のベルトプライで構成する場合もある。
【0016】またビード部4には、ビード補強層9が配
されている。本実施形態のビード補強層9は、図2に拡
大して示す如く、前記ビードコア5のタイヤ半径方向内
側をのびる主部9aと、この主部9aのタイヤ軸方向外
側に連なりかつ前記カーカスプライ6Aの折返し部6b
のタイヤ軸方向外側をタイヤ半径方向内外にのびる外の
立ち上げ部9bと、前記主部9aのタイヤ軸方向内側に
連なり前記本体部6aのタイヤ軸方向内側をタイヤ半径
方向内外にのびる内の立ち上げ部9cとを一体に具えた
断面略U字状をなし、本例では、1枚のスチールコード
プライ9Aからなるものを例示している。
【0017】なお図2には、一般的な重荷重用タイヤに
好ましく用いうるビード補強層9の例が示されており、
本例では、前記外の立ち上げ部9b、および内の立ち上
げ部9cの各外端9bo、9coが、前記カーカスプラ
イ6Aの折返し部6bの外端6beよりもタイヤ半径方
向内側で終端している。これらの立ち上げ部9b、9c
の外端9bo、9coのビードベースラインBLからの
高さh2、h3は、タイヤ断面高さHの7〜30%、よ
り好ましくは9〜28%とするのが望ましい。前記各立
ち上げ部9b、9cの外端9bo、9coの各高さh2
ないしh3がタイヤ断面高さの7%未満であると、立ち
上げ部9b、9cによるビード部4の曲げ剛性の向上が
期待し得ない傾向があり、逆に30%を超えると、立ち
上げ部9b、9cの外端9bo、9coが屈曲歪の大き
なサイドウォール部3に接近するため、プライルースな
どの起点になりやすく好ましくない。なお高さh2、h
3は同じでも良くまた異ならせても良い。なお内の立ち
上げ部9cを設ける場合には、その外端9coをビード
コアのタイヤ半径方向最内端5eを通るタイヤ軸方向線
Nよりもタイヤ半径方向外側にて終端させるのが効果的
である。
【0018】このようなビード補強層9は、ビード部4
の曲げ剛性を高め、しかも荷重負荷走行時における折返
し部6bに作用する圧縮応力のみならず本体部6aに作
用する引張応力をも緩和してビード部4の耐久性をより
良く向上させる。またこの実施形態では、ビード補強層
9は、内の立ち上げ部9cを有することにより、ビード
部4の曲げ剛性の向上がさらに期待できる。
【0019】又図6には、特に高荷重下で使用されかつ
悪路走行の頻度も高い例えばダンプカー用等のタイヤに
好ましく用いうるビード補強層9の例を示している。係
るタイヤでは、ビード部4が曲げ変形する際に本体部6
aが引張応力を受ける領域に、前記内の立ち上げ部9c
をより広い範囲で延在せしめ、ビード部4の曲げ剛性を
さらに高めて耐久性を向上させることが必要となる。そ
のために、このようなダンプカー用等のタイヤでは、内
の立ち上げ部9cの前記高さh3を、外の立ち上げ部9
bの前記高さh2よりも大(h3>h2)に設定し、し
かもその差(h3−h2)を、タイヤ断面高さHの0.
03倍〜0.17倍、より好ましくは0.05倍〜0.
15倍の範囲に規制するのが望ましい。このとき、外の
立ち上げ部9bの前記高さh2は、前述と同様、タイヤ
断面高さHの0.07倍〜0.30倍、さらには0.0
9倍〜0.28倍の範囲であるのが良い。
【0020】なお、前記差(h3−h2)がタイヤ断面
高さHの0.03倍未満では、ビード部4の曲げ剛性が
不足する傾向となり、ビード耐久性の向上効果が充分に
見込めなくなる。逆に前記差(h3−h2)がタイヤ断
面高さHの0.17倍を超えると、屈曲歪が最も大きく
なるタイヤ最大幅位置付近に、内の立ち上げ部9cの外
端9coが近づくため、この外端9coを起点としたプ
ライルースなどの損傷を起こしやすくなる。
【0021】次に、前記ビード補強層9は、本例では図
3に略示するように、スチールコード10をタイヤ周方
向線に対して10〜40゜の角度θで傾けて配列したも
のを例示している。前記スチールコード10の角度θが
40゜を超えると、該スチールコード10がタイヤ半径
方向に近づき、ラジアル構造のカーカスプライのカーカ
スコードと実質的に沿うこととなるため、ビード部4の
曲げ剛性が過度に高められてしまい乗り心地の悪化が著
しくなる傾向があり、逆に前記角度θが10゜未満であ
ると、ビード補強層9のスチールコード10による曲げ
剛性の向上効果が十分に期待できない。このような観点
より、ビード補強層9におけるスチールコード10の前
記角度θは、より好ましくは15〜35゜とすることが
望ましい。
【0022】図4にはビード補強層9のスチールコード
10の長手方向と直角な断面図を示している。該スチー
ルコード10は、スチール素線Fのn本を互いに撚り合
わせた1×n構造をなす。即ち、n本のスチール素線F
を一括してS方向又はZ方向に撚り合わせたいわゆる束
撚り構造のものを示している。また図4のものは、従来
のビード補強層として代表的に用いられていた3+7構
造のスチールコードに好適に置き換えうるものとして、
10本(n=10)のスチール素線Fを用いた1×10
構造のスチールコード10を例示している。
【0023】前記スチールコード10は、本例ではスチ
ール素線Fをある程度バラつかせて撚り合わせたオープ
ン構造をなす。また、このような各コードは、その長手
方向の位置によって断面形状が変化している。このよう
に、スチールコード10は、その断面形状が長手方向で
不規則に変化することにより、加硫中のコード素線間へ
のゴムの浸透が容易に実現される。
【0024】またスチールコード10は、各スチール素
線Fが、その周囲を取り囲む他のスチール素線Fのうち
の少なくとも一本、より好ましくは複数本との間に間隙
hを有して撚り合わされている。具体的には、図4にお
ける断面のスチール素線F0は、スチール素線F1〜F
6によって取り囲まれているが、本例ではスチール素線
F2、F4、F5及びF6の合計4本との間に間隙hを
形成している。このような間隙hを設けることにより、
スチールコード10内へのゴムの浸透度を高めることが
でき、ひいてはゴムと各スチール素線Fとの接着面積を
大としうる。
【0025】また本実施形態のスチールコード10は、
各スチール素線Fの位置を入れ替えながら撚り合わせる
ことにより、各スチール素線Fはスチールコード10の
断面における位置がランダムに変化するものを例示して
いる。言い換えると、図4に示したスチールコード10
の当該断面において、該スチールコード10の中心付近
に存在する例えばスチール素線F0が、この断面からス
チールコードの長手方向に距離を隔てた他の断面では、
コードの外周側に配された例えばスチール素線F1とそ
の位置が入れ替わるように撚り合わされ、常に同じスチ
ール素線Fがスチールコード10の中心部付近に止まら
ないように配されている。
【0026】一般にオープン構造のスチールコードは、
スチール素線Fのまとまりが悪くかつ素線のばらけなど
が生じ易い他、該スチール素線間の間隙が不安定化する
傾向にある。これに対して、本例のようにオープンタイ
プとしつつスチール素線Fの位置を入れ替えながら撚り
合わせることにより、スチール素線F相互に複雑な絡み
合いを生じさせることが可能になる。これにより、スチ
ール素線F、F間の間隙hが安定化し、かつコードとし
てのまとまりが良くなってコードの取り扱いも容易とし
うる点で好ましい。なおこのような撚り合わせは、例え
ば1×10×0.20、1×11×0.23等、種々の
ものが用いられ、撚線機で製造しうる。
【0027】また前記スチール素線Fは、特に限定され
るものではないが、例えばその直径dを0.10〜0.
50mm、より好ましくは0.15〜0.45mmとするの
が望ましい。前記スチール素線Fの直径dが0.10mm
未満になると、素線1本当たりの強力が低下するため、
スチールコード10の破断強度も低いものとなり好まし
くなく、逆に0.50mmを越えると、コードの曲げ剛性
が過大となって、タイヤの乗り心地性能を損ねるととも
にタイヤの製造をも困難とする傾向がある。
【0028】また本発明で用いられる前記スチールコー
ド10は、図4に示すコードの長手方向と直角な断面に
おいて次式で定まる断面形状係数Sを0.35〜0.
70に設定している。 S=(d2 ×n)/(L1×L2) … 式中、L1はスチールコードの直径が最大となる第1
の径、L2は前記第1の径とは直角な向きの第2の径、
dはスチール素線の直径である。
【0029】前記式で表される断面形状係数Sは、ス
チールコード内へのゴム浸透度を表す値である。発明者
らの実験の結果、前記断面形状係数Sが0.70を超え
ると、コード内にゴムが殆ど入ることができずスチール
コード内部が空洞状態となる一方、断面形状係数Sの値
が小さいほどゴム浸透度が向上することが分かった。ス
チールコードにおいてゴム浸透度が低いと、コード内部
に水分が浸透しやすく錆の発生が生じ易くなる。また、
コードに錆が生じると、ゴムとの接着力が劣りプライル
ースを生じやすくなるほか、コード自体の強力が低下し
破断し易くなるため、ビード部4の耐久性を向上し得な
い。従って、ビード補強層9のスチールコード10にお
いては、ゴム浸透度を大きくすることによりコードの防
錆性を向上することが重要となる。
【0030】本発明者らの研究の結果、図9に示したよ
うな従来の層撚りのスチールコードでは、前記断面形状
係数Sが概ね0.70よりも大となることが分かった。
そしてこのようなコードでは、前記式の分母(L1×
L2)が相対的に小さく、ひいてはスチールコードに荷
重が作用したときのコードの断面に生じる応力が大とな
り、またスチール素線間の隙間が小さいことを意味す
る。このため、従来の層撚り構造のスチールコードをビ
ード補強層9に用いた場合には、スチール素線の間に十
分にゴムが行き渡らずに初期微少ルース(コードグルー
ビング)が生じやすい。またこの初期ルースがコード、
ゴム間に成長し、ひいてはタイヤ表面でのクラックに至
りビード部の損傷を生じていたものと考えられる。また
層撚り構造では製造コストも大となりがちである。
【0031】本発明では、ビード補強層9に用いるスチ
ールコード10を束撚り構造として生産性を高めるとと
もに、前記断面形状係数Sを上記範囲に限定することに
より、コード内部に充分にゴムを浸透させることができ
耐錆性を大巾に向上させる。特に前記断面形状係数Sが
0.70以下においては、充分なゴム浸透性を達成しう
ることを見出した。なお前記断面形状係数Sが0.35
より小さくなると、コードの径L1、L2が共に大きく
なるため、プライの厚さを大とするなどタイヤ重量の増
加を招きやすい。特に好ましくは、前記断面形状係数S
は0.40〜0.65の範囲で定めるのが望ましい。
【0032】図5には、ビード補強層9のスチールコー
ドプライ9Aのスチールコード10と直角な断面図を示
している。本実施形態のスチールコードプライ9Aは、
前記スチールコード10を平行に配列したコード配列体
をトッピングゴムTGで被覆して形成されている。また
このスチールコード10は、コードの各長手方向位置に
おいて様々な断面形状をなす。
【0033】前記実施形態では各スチール素線Fは、い
ずれも同径であるが、他の実施形態として、スチールコ
ード10のスチール素線Fに直径の異なるものを組み合
わせて採用することもできる。前記スチール素線Fの直
径が異なる場合、前記式は、各スチール素線Fにおけ
る直径di、各素線の本数をniとして次式を用いて計
算する。 S=Σ(di2 ×ni)/(L1×L2)
【0034】またスチールコード10は、スチール素線
の本数nを特に限定するものではないが、上述のように
スチール素線Fの直径dを0.10〜0.50mmの範囲
とした場合、好ましい引張破断強力を得るためにスチー
ル素線の本数nを6〜12とするのが良い。前記スチー
ル素線Fの本数nが6未満であると、スチールコードと
しての強力が不足する傾向にあり、逆に12を超える
と、束撚りが困難となる他、コード直径が著しく大とな
る傾向がある。
【0035】ところで、外、内の各立ち上げ部9b、9
cの外端部9bo、9coには、曲げ応力が常時作用し
ており、このためスチールコード10の各スチール素線
F,F間にはせん断力が作用する。発明者らの種々の実
験の結果、従来のビード補強層で生じていたグルービン
グは、スチールコードの外端部が起点となったものもあ
ろうが、その一部にはスチールコードのスチール素線
F、F間のせん断力を起点としこれがスチールコードの
外端部に成長したものも含まれることが分かった。この
ようなスチール素線F、F間のせん断力からのグルービ
ングを防止するためには、スチールコード10に切断時
全伸びが大きなものを採用することが望ましい。具体的
には、該スチールコード10の切断時全伸びを4.0〜
10.0%、特に好ましくは6.0〜8.0%とするの
が望ましい。なお従来使用されていたスチールコード
は、切断時全伸びが概ね2.0%前後である。
【0036】このように、伸びやすいスチールコードを
ビード補強層9に採用することによって、スチール素線
間に生じるせん断力を緩和し、結果としてグルービング
といった損傷の発生を遅らせる。これは、ビード耐久性
のさらなる向上に役立つ。なお切断時全伸びは、JIS
G3510「スチールタイヤコード試験方法」に準拠
して定めるものとする。
【0037】図7には、本発明の他の実施形態を示して
いる。本実施形態のビード補強層9は、前記ビードコア
5のタイヤ半径方向内側をビード底面に略沿ってのびる
主部9aと、この主部9aのタイヤ軸方向外側に連なり
かつ前記カーカスプライ6Aの折返し部6bのタイヤ軸
方向外側をタイヤ半径方向外側にのびる外の立ち上げ部
9bとからなり、ビードコア5のタイヤ軸方向内側へ巻
き込まれた巻き込み部(換言すれば、先の実施形態の内
の立ち上げ部9c)を有しない1枚のスチールコードプ
ライ9Aからなるものを例示している。他の構成、即ち
スチールコードの構成は、前記実施形態と同様である。
【0038】ビード補強層9の前記外の立ち上げ部9b
は、前記実施形態と同様に、カーカスプライ6Aの折返
し部6bの外端6beよりもタイヤ半径方向内側で終端
する外端9oを有している。この外の立ち上げ部9bの
外端9oのビードベースラインBLからの高さh2も前
記実施形態と同様に定めるのが望ましい。
【0039】このようなビード補強層9は、ビード部4
の曲げ剛性を高め、しかも荷重負荷走行時における折返
し部6bに作用する圧縮応力を緩和してビード部4の耐
久性を向上させるのは前記の通りである。またビード補
強層9のタイヤ半径方向の内端9i(本例では前記主部
9aのタイヤ軸方向の内側端)は、前記ビードコア5の
タイヤ半径方向最内端5eを通るタイヤ軸方向線Nを越
えてタイヤ半径方向外側へ巻き上げられていない。この
ようなビード補強層9は、その内側の長さを減じたこと
により、該ビード補強層9によるタイヤ重量の増大を最
小限に抑制しうる。またルースの起点となり易いプライ
の端部をビードコア5のタイヤ軸方向内側に有しないた
め、該内端9iが損傷の起点となるのを防止しうる点で
好ましいものとなる。なお図8に示すように、ビード補
強層9を前記外の立ち上げ部9bのみからなる態様とす
ることもできる。
【0040】以上、本発明の二つの実施形態について詳
述したが、本明細書で記載した前記タイヤ断面高さH、
カーカス折返し部6bの前記高さh1、ビード補強層9
の前記高さh2、h3は、タイヤを正規リムJにリム組
みしかつ正規内圧を充填した前記標準状態において測定
した値である。また前記実施形態では重荷重用タイヤを
例に挙げ詳述したが、乗用車用タイヤなど種々のタイヤ
に適用しうるのは言うまでもない。また本発明は図示の
実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能であ
る。
【0041】
【実施例】図2、図7の構造をなすタイヤサイズが11
R22.5 14Pの重荷重用ラジアルタイヤを夫々表
1、表2の仕様で試作した。そして、ビード補強層にお
けるスチールコードのゴム浸透度、ビード耐久性、タイ
ヤ重量を測定するとともに、ロードテスト後における前
記スチールコードの錆発生の有無及び強力保持率を測定
し、性能を評価した。また本発明の構成外のタイヤにつ
いても併せて試作し性能を比較した。テスト方法は次の
通りである。
【0042】(1)ビード補強層のスチールコードのゴ
ム浸透度 先ずタイヤを解体しビード補強層のスチールコードをト
ッピングゴムが付着した状態で取出した。そして、この
ゴム付きコードの表面からできる限りゴムを除去した
後、断面からナイフを入れて隣り合う2本のスチール素
線を除去し、除去された2本のスチール素線と残りのス
チール素線の束との間に形成されている空隙にゴムが完
全に充填されている部分の長さを約10cmにわたり測定
し、ゴムが充填されている部分の長さの全長さに対する
比率をもってゴムの浸透率とした。上記測定を10本の
コードについて行い、平均値をもってそのコードの測定
値とする。数値が大きいほど良好である。
【0043】(2)ビード耐久性 試供タイヤを8.25×22.5のリムにリム組みし内
圧1000kPaを充填するとともに、荷重88.3k
Nを負荷して台上ドラム試験機のドラム上を速度20k
m/hで走行させ、タイヤが破損するまでの走行距離を
測定した。結果は、夫々従来例1、従来例2を100と
する指数で表示した。数値が大きいほど良好であること
を示す。
【0044】(3)タイヤ重量 各試供タイヤ1本当たりの重量を夫々従来例1、従来例
2を100とする指数で表示した。数値が小さいほど軽
量である。
【0045】(4)ロードテスト タイヤをトラック(2−D・4)のドライブ軸側に装着
し、10万km走行させた後、タイヤを解体してビード
補強層のスチールコードの錆の発生状況を目視にて判断
した。また、取り出したスチールコードの強力を測定
し、走行前の強力を100とする指数で表示している。
数値が大きいほど良好である。テストの結果などを表
1、表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】テストの結果、実施例のものは、いずれも
ビード補強層のスチールコードのゴム浸透率を高めてお
り、ロードテストの後の錆の発生や実質的な強力の低下
が見られなかった。またビード耐久性についても、従来
例に比して大幅に向上していることが確認された。また
n=6〜12の範囲についてもほぼ同様の結果が得られ
た。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の空気入り
タイヤは、ビード補強層のスチールコードの断面形状係
数を限定することにより、前記スチールコードのゴムの
浸透率を高め、走行中での錆の発生や強力低下を防止し
うる。これにより、ビード補強層自体の性能を長期に亘
り維持でき、ビード部の耐久性を向上しうる。とりわ
け、本発明はビード部に大荷重が作用する重荷重用タイ
ヤに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すタイヤの断面図で
ある。
【図2】ビード部の一例を示す拡大図である。
【図3】そのビード部の分解斜視図である。
【図4】ビード補強層のスチールコードの断面を拡大し
て示す断面図である。
【図5】ビード補強層のスチールコードプライの断面図
である。
【図6】ビード部の他の例を示す拡大図である。
【図7】ビード部の他の例を示す拡大図である。
【図8】ビード部の他の例を示す拡大図である。
【図9】従来のビード補強層のスチールコードの断面図
である。
【符号の説明】
2 トレッド部 3 サイドウォール部 4 ビード部 6 カーカス 6A カーカスプライ 6a 本体部 6b 折返し部 9 ビード補強層 9a 主部 9b 外の立ち上げ部 9c 内の立ち上げ部 10 ビード補強層のスチールコード F スチール素線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド部からサイドウォール部を経てビ
    ード部のビードコアに至る本体部に前記ビードコアの回
    りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部
    を一体に設けたカーカスプライを有するカーカスと、前
    記ビード部に配されかつスチールコードを配列したスチ
    ールコードプライからなるビード補強層とを具えた空気
    入りタイヤであって、 前記ビード補強層は、前記折返し部のタイヤ軸方向外側
    をタイヤ半径方向内外にのびる外の立ち上げ部を有する
    とともに、 前記スチールコードは、スチール素線のn本を撚り合わ
    せた1×n構造をなしかつ次式で定まる断面形状係数
    Sが0.35〜0.70であることを特徴とする空気入
    りタイヤ。 S=(d2 ×n)/(L1×L2) … (式中、L1はスチールコードの直径が最大となる第
    1の径、L2は前記第1の径とは直角な向きの第2の
    径、dはスチール素線の直径である。)
  2. 【請求項2】前記スチール素線は、直径dが0.10〜
    0.50mmである請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】前記スチール素線の本数nは、6〜12で
    ある請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】前記スチールコードは、切断時全伸びが
    4.0〜10.0%である請求項1乃至3のいずれかに
    記載の空気入りタイヤ。
  5. 【請求項5】前記ビード補強層は、前記ビードコアのタ
    イヤ半径方向内側をのびる主部と、この主部のタイヤ軸
    方向外側に連なる前記外の立ち上げ部と、前記主部のタ
    イヤ軸方向内側に連なり前記本体部のタイヤ軸方向内側
    をタイヤ半径方向外側にのびる内の立ち上げ部とを有す
    る断面略U字状をなすことを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 【請求項6】前記ビード補強層は、タイヤ半径方向の内
    端がビードコアのタイヤ軸方向内側へのびる巻き込み部
    を有することなく終端することを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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