JP2003143851A - スイッチング電源回路及び絶縁コンバータトランス - Google Patents

スイッチング電源回路及び絶縁コンバータトランス

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JP2003143851A
JP2003143851A JP2001334899A JP2001334899A JP2003143851A JP 2003143851 A JP2003143851 A JP 2003143851A JP 2001334899 A JP2001334899 A JP 2001334899A JP 2001334899 A JP2001334899 A JP 2001334899A JP 2003143851 A JP2003143851 A JP 2003143851A
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voltage
primary
switching
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Masayuki Yasumura
昌之 安村
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁コンバータトランスをできるだけシンプ
ルな構造とした上で、安定化特性の良好な電源回路を得
る。 【解決手段】 複合共振形としてのスイッチング電源回
路に備えられる絶縁コンバータトランスとして、中央磁
脚にギャップが形成されたEE形コアと、一方のE形コ
ア側の中央磁脚に対して一次側巻線を巻装し、他方のE
形コア側の中央磁脚に対して二次側巻線を巻装すること
ができるように一体形成されたボビンを備える。また、
このボビンは、二次側巻装部における中央側と外側に対
して一対の副巻装部が形成されている。そして、一対の
副巻装部に対しては、安定化制御のための検出電圧とし
て利用されない二次側直流出力電圧に対応して設けられ
る二次巻線部を巻装するようにされる。この際には、二
次巻線部をセンタータップ位置にて二分割して一対の分
割巻線を得て、この一対の分割巻線を、上記一対の副巻
装部に対してそれぞれ巻装するようにされる。これによ
り、簡略な構成でありながらも、例えば結合係数k=
0.7以下の疎結合の状態が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器に電
源として備えられるスイッチング電源回路と、このスイ
ッチング電源回路に備えられる絶縁コンバータトランス
とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源回路として、例えばフ
ライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形
式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知ら
れている。これらのスイッチングコンバータはスイッチ
ング動作波形が矩形波状であることから、スイッチング
ノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、
電力変換効率の向上にも限界があることがわかってい
る。そこで、先に本出願人により、各種共振形コンバー
タによるスイッチング電源回路が各種提案されている。
共振形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると
共に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低
ノイズが実現される。また、比較的少数の部品点数によ
り構成することができるというメリットも有している。
【0003】図4の回路図は、先に本出願人が提案した
発明に基づいて構成することのできる、先行技術として
のスイッチング電源回路の一例を示している。この図に
示す電源回路の基本構成としては、一次側スイッチング
コンバータとして電圧共振形コンバータを備えている。
【0004】この図に示す電源回路では、ブリッジ整流
回路Di及び平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路
によって、商用交流電源(交流入力電圧VAC)から、交
流入力電圧VACの等倍のレベルに対応する整流平滑電圧
Eiを生成する。
【0005】上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を
入力してスイッチングを行う電圧共振形コンバータとし
ては、1石によるシングルエンド方式が採用される。ま
た駆動方式としては自励式の構成を採っている。この場
合、電圧共振形コンバータを形成するスイッチング素子
Q1には、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;
接合型トランジスタ)が選定される。このスイッチング
素子Q1のコレクタ−エミッタ間に対しては、一次側並
列共振コンデンサCrが並列に接続される。また、ベー
ス−エミッタ間に対しては、クランプダイオードDDが
接続される。ここで、並列共振コンデンサCrは、絶縁
コンバータトランスPITの一次巻線N1に得られるリ
ーケージインダクタンスL1と共に、一次側並列共振回
路を形成しており、これによって電圧共振形コンバータ
としての動作が得られるようになっている。そして、ス
イッチング素子Q1のベースに対しては、駆動巻線NB−
共振コンデンサCB−ベース電流制限抵抗RBから成る自
励発振駆動回路が接続される。スイッチング素子Q1に
は、この自励発振駆動回路にて発生される発振信号を基
とするベース電流が供給されることでスイッチング駆動
される。なお、起動時においては整流平滑電圧Eiのラ
インから起動抵抗Rs−ベース電流制限抵抗RBを介し
てベースに流れる起動電流によって起動される。
【0006】直交型制御トランスPRTは、上記駆動巻
線NBと電流検出巻線NDの巻装方向に対してその巻装方
向が直交するようにして制御巻線Ncが巻装されて構成
される可飽和リアクトルであって、後述するようにして
一次側電圧共振形コンバータのスイッチング周波数を制
御するために設けられる。
【0007】絶縁コンバータトランスPITは、一次側
に得られたスイッチングコンバータのスイッチング出力
を二次側に伝送するために設けられ、一次巻線N1及び
二次側巻線(N2,N4)を疎結合の状態により巻装して
いる。
【0008】スイッチング素子Q1のスイッチング出力
は、上記した構造の絶縁コンバータトランスPITの一
次巻線N1に伝送され、更に二次側の二次巻線N2、三次
巻線N4に対して励起されるようにして伝達されること
になる。
【0009】この場合、絶縁コンバータトランスPIT
の二次側においては、図示するように二次巻線N2の両
端に対して並列に二次側並列共振コンデンサC2が接続
されることで、二次巻線N2のリーケージインダクタン
スL2と共に二次側並列共振回路を形成する。このよう
な構成による電源回路では、一次側にはスイッチング動
作を電圧共振形とするための並列共振回路が備えられ、
二次側には電圧共振動作を得るための並列共振回路が備
えられることになる。なお、本明細書では、このように
一次側及び二次側に対して共振回路が備えられて動作す
る構成のスイッチングコンバータについては、「複合共
振形スイッチングコンバータ」ともいうことにする。
【0010】そして、この場合には、二次巻線N2に得
られる交番電圧を利用して、二次側直流出力電圧EO1
と、これよりも低圧とされる二次側直流出力電圧EO2と
を生成するようにされている。二次側直流出力電圧EO2
は、二次巻線N2の両端にそれぞれ接続した整流ダイオ
ードDO1,DOと、平滑コンデンサCO1から成る全波整
流回路によって得られる。また、二次側直流出力電圧E
O2は、図示するようにして二次巻線N2においてタップ
出力が設けられることで形成される巻線部N3A,N3Bに
対して、整流ダイオードDO3,DO4のアノード、及び平
滑コンデンサCO2から成る全波整流回路を接続すること
によって得られる。
【0011】また、この場合には、絶縁コンバータトラ
ンスPITの二次側に対して、センタータップを二次側
アースに接地した三次巻線N4をさらに巻装して、この
三次巻線N4に対して、整流ダイオードDO5,DO6及び
平滑コンデンサCO3から成る全波整流回路を設けること
で、二次側直流出力電圧EO2を得るようにもしている。
【0012】つまり、図4に示す複合共振形スイッチン
グコンバータとしての電源回路では、二次側において、
二次側直流出力電圧EO1,EO2,EO3の3つの二次側直
流出力電圧を得るようにしている。
【0013】制御回路1は、二次側直流出力電圧EO1の
レベルに応じて可変の直流電流を、制御電流として、直
交型制御トランスPRTの制御巻線Ncに流すようにさ
れる。このように制御巻線Ncに流れる制御電流レベル
が可変されることで、直交型制御トランスPRTにおい
ては、駆動巻線NBのインダクタンスLBを可変するよう
に制御することになる。これによって、自励発振駆動回
路における駆動巻線NB−共振コンデンサCBから成る共
振回路の共振周波数が変化し、スイッチング素子Q1の
スイッチング周波数が可変制御されることになる。スイ
ッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変されるこ
とによっては、一次側並列共振回路と二次側並列共振回
路との共振インピーダンスが変化することになるが、こ
のインピーダンス変化によって、一次側から二次側へ伝
送されるエネルギーも可変され、これによって二次側直
流出力電圧が一定となるように制御される。つまり、こ
の図に示す回路では、二次側直流出力電圧EO1,EO2,
EO3のうち、二次側直流出力電圧EO1を検出電圧として
利用して、定電圧制御を行うように構成している。
【0014】ここで、上記図4に示した回路において採
用される絶縁コンバータトランスPITの構造を、図5
の断面図により説明しておく。絶縁コンバータトランス
PITは、図示するようにして、フェライト材によるE
形コアCR1,CR2から成るEE形コアを備える。ま
た、一次/二次分割ボビン10を備える。一次/二次分
割ボビン10は、例えば樹脂などにより形成される巻線
用ボビンであって、一次側に巻装されるべき一次側巻線
と、二次側に巻装されるべき二次側巻線とを巻装するた
めのものとされる。この場合の一次/二次分割ボビン1
0は、図示するようにして、ほぼ中央に仕切板10cを
形成することで、一次側巻線を巻装すべき一次側巻装部
10aと、、二次側巻線を巻装すべき二次側巻装部10
bとを分割した上で、一体形成しているものである。
【0015】先ず、この場合に一次側巻装部10aに巻
装されるべき一次側巻線としては、一次巻線N1のみと
される。そこで、上記一次/二次分割ボビン10の一次
側巻装部10aには、この一次巻線N1を巻装する。
【0016】また、二次側巻装部10bに巻装されるべ
き二次側巻線としては、二次巻線N2と三次巻線N4が設
けられる。二次巻線N2は、図4に示したようにして、
センタータップと、このセンタータップを対称として2
つのタップ出力が設けられることで、巻始め側から巻終
わり側にかけて、巻線部N2B,N3B,N3A,N2Aの4つ
の巻線部に分かれ、これらの巻線部から成っているとみ
ることができる。また、三次巻線N4としても、センタ
ータップが設けられることで、巻始め側から巻終わり側
にかけて、巻線部N4B,N4Aの2つの巻線部から成るも
のとみることができる。そこで、この場合には、一次/
二次分割ボビン10における二次側巻装部10bに対し
ては、巻線部単位の巻き順として、例えば、[N2B→N
3B→N3A→N2A→N4B→N4A]の順により巻装するよう
にされる。なお、巻線部N3B→N3Aと、巻線部N4B→N
4Aについては、それぞれ二次側巻装部10cにおいて、
均等間隔で巻装するようにされる。なお、実際における
二次側巻線の各巻き数(ターン数)としては、N2A=N
2B=22T、N3A=N3B=3T、N4A+N4B=6Tとさ
れている。
【0017】そして、EE型コアの中央磁脚に対しては
図のようにギャップGを形成するようにしている。この
ギャップGのギャップ長によって絶縁コンバータトラン
スPITにおける漏洩インダクタンスが決定され、ま
た、所要の結合係数による疎結合が得られるようになっ
ている。ここでの結合係数kとしては、例えばk=0.
85程度による疎結合の状態を得るようにしており、そ
の分、飽和状態が得られにくいようにしている。そし
て、このような疎結合の状態を得ることによって、前述
した複合共振形スイッチングコンバータとしての動作が
得られるようにされている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記図4に
示した構成の電源回路について行った定電圧制御特性に
関する実験結果について説明しておく。なお、この実験
は、交流入力電圧レベルの範囲をVAC=90V〜120
Vとし、また、二次側の負荷変動範囲としては、二次側
直流出力電圧EO1の負荷電流I1=1.0〜0.5A、
二次側直流出力電圧EO2の負荷電流I2=1.0〜0
A、二次側直流出力電圧EO3の負荷電流I3=1.0〜
0Aとした条件のもとで行ったものとする。先ず、二次
側直流出力電圧EO1については、制御回路1に対して検
出電圧として入力されることで直接的に安定化が図られ
るので、上記した条件の下で、135Vで常時一定とな
るようにして制御されるという結果が得られた。しかし
ながら、直接的に安定化されない二次側直流出力電圧E
O2,EO3については、同じ交流入力電圧レベル範囲、及
び負範囲の条件の下で相当のレベル変動が生じるという
結果が得られた。
【0019】図6は、上記した条件における実験結果と
して、二次側直流出力電圧EO2,EO3についての定電圧
特性を示している。先ず、二次側直流出力電圧EO2につ
いては、二次側直流出力電圧EO1,EO2,EO3の各負荷
電流I0,I1,I2について、[I0=1A,I1=0,
I2=1A]となる条件では、交流入力電圧VAC=90V
〜120Vの変動に対して、15V付近から図に示す傾
きによって上昇していくという特性が得られた。また、
負荷電流[I0=0.5A,I1=1A,I2=0]となる
条件では、交流入力電圧VAC=90V〜120Vの変動
に対して、13V付近で図示する傾きによって低下して
いくという特性が得られている。この場合、二次側直流
出力電圧EO2は、14Vを中心値として±1.3Vの範
囲で変動していることになる。つまり、トータルでΔ
2.6Vの変動幅が生じていることになる。
【0020】また、二次側直流出力電圧EO3について
は、負荷電流[I0=1A,I1=1A,I2=0]となる
条件では、交流入力電圧VAC=90V〜120Vの変動
に対して、28V付近から30V付近まで上昇してい
る。また、負荷電流[I0=0.5A,I1=0,I2=
1A]となる条件では、26V付近から24V付近まで
低下していく特性が得られている。つまり、二次側直流
出力電圧EO3は、27Vを中心値として±3Vの範囲で
変動しており、トータルでΔ6Vの変動幅が生じている
ものである。
【0021】このようにして、二次側直流出力電圧EO
2,EO3についての電圧変動特性(クロスレギュレーシ
ョン特性)が大きくなるのは、次のような理由による。
前述もしたように、図4に示す電源回路は、一次側並列
共振回路と、二次側並列共振回路とを備えた複合共振形
スイッチングコンバータとしての構成を採る。ここで、
二次側並列共振回路は、二次巻線N2の両端に対して二
次側並列共振コンデンサC2を並列に接続して形成して
いるのであるが、このような構成では、三次巻線N4に
は、二次側並列共振コンデンサC2が接続されていない
ことになる。また、二次巻線N2における巻線部N3A,
N3Bについても、二次巻線N2を形成してはいるもの
の、二次巻線N2においてタップ出力されている巻線部
であるために、二次側並列共振コンデンサC2のキャパ
シタンスの影響が少ないといえる。
【0022】このことから、二次側直流出力電圧EO1の
源となる二次側交番電圧は、一次側並列共振回路と二次
側並列共振回路との複合共振動作によって得られるのに
対して、二次側直流出力電圧EO2,EO3の源となる二次
側交番電圧は、絶縁コンバータトランスPITにおける
一次巻線N1と二次側巻線とのトランス結合によって得
られるものであるといえる。前述した図4に示す回路の
安定化は、一次側並列共振回路と二次側並列共振回路と
の並列共振インピーダンスの変化を利用するものなので
あるが、二次側直流出力電圧EO2,EO3の元となる交番
電圧についてはトランス結合によるものとなる。この場
合、一次側と二次側は疎結合であるとはいえ、結合係数
k=0.85程度の比較的強い結合状態となっている。
このために、上記した並列共振インピーダンスの変化に
よっては、巻線部N3A,N3B及び三次巻線N4の交番電
圧レベルに変動を与えてしまうことになる。このため
に、クロスレギュレーションが大きくなってしまうもの
である。
【0023】例えば二次側直流出力電圧EO2は、図4で
は図示していないが、三端子レギュレータなどのシリー
ズレギュレータを接続して安定化を図るようにする場合
がある。図4に示す回路の場合には、安定化出力が12
Vのシリーズレギュレータを接続することになるのであ
るが、上記図6に示したようにして二次側直流出力電圧
EO2が変動するとすれば、交流入力電圧VAC=120
V、負荷電流I1=I2=I3=0Aの条件では、3.5
Wの電力損失がシリーズレギュレータにおいて生じるこ
とになる。このため、このシリーズレギュレータに対し
ては、比較的大型の放熱板が必要となり、それだけ電源
回路の小型軽量化及び低コスト化に不利となる。
【0024】また、図4に示した電源回路をテレビジョ
ン受像機などに搭載する場合には、二次側直流出力電圧
EO3に対してオーディオ信号を増幅するオーディオ増幅
回路を接続する場合があるが、このような場合には、次
のような不都合も生じる。例えばAC=100V系にお
いては、交流入力電圧VAC=120V程度が最大入力レ
ベルとなる。また、オーディオ増幅回路として最も負荷
の軽い状態は、音声出力が0レベルとなるときである。
従って、オーディオ増幅回路に対して最も高いレベルの
電源電圧がかかる状態とは、交流入力電圧VAC=120
Vで、かつ、音声出力が0レベルとなるような状態であ
るといえる。そして、このような状態が生じ得るオーデ
ィオ増幅回路に対して供給すべき二次側直流出力電圧E
O3のクロスレギュレーションが大きいと、オーディオ増
幅回路を形成するアナログICなどについては、相応の
耐圧品を選定しなければならないことになる。例えば具
体的には、30V以上の耐圧品を選定する必要が生じ
る。これによっても、電源回路の小型軽量化及び低コス
ト化にとって不利となる。
【0025】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は上記した
課題を考慮して、複合共振形スイッチングコンバータと
して形成されるスイッチング電源回路におけるクロスレ
ギュレーションの抑制を有効に図ることを目的とする。
【0026】このため、スイッチング電源回路として次
のように構成することとした。つまり、入力された直流
入力電圧をスイッチングして出力するためのスイッチン
グ素子を備えて形成されるスイッチング手段と、このス
イッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共
振回路が形成されるようにして備えられる一次側並列共
振コンデンサとを備える。また、一次側巻線と、二次側
巻線として複数の二次巻線部とが巻装されると共に、一
次側と二次側とで疎結合とされる所要の結合係数が得ら
れる構造を有し、スイッチング手段のスイッチング出力
を一次側から二次側に伝送する絶縁コンバータトランス
を備える。また、上記複数の二次巻線部のうち、所要の
二次巻線部に対して二次側並列共振コンデンサを並列に
接続することで形成される二次側並列共振回路と、これ
ら複数の二次巻線部の各々に得られる交番電圧を入力し
て整流動作を行うことで、複数の二次側直流出力電圧を
得るように構成される直流出力電圧生成手段と、複数の
二次側直流出力電圧のうち、二次側並列共振回路を形成
する二次巻線部の交番電圧を整流して得られる二次側直
流出力電圧を検出用電圧として入力し、この検出用電圧
のレベルに応じて、スイッチング素子のスイッチング周
波数を可変制御することで定電圧制御を行うようにされ
る定電圧制御手段とを備える。そして、上記絶縁コンバ
ータトランスは、2つのE形コアの中央磁脚の対向部に
おいて所定長のギャップが形成されるようにして組み合
わされるEE形コアを有する。また、一方のE形コア側
の中央磁脚に対して一次側巻線を巻装するための一次側
巻装部と、他方のE形コア側の中央磁脚に対して二次側
巻線を巻装するための二次側巻装部と、この二次側巻装
部における中央側と外側に対して形成される一対の副巻
装部とを一体的に備えるボビンとを有する。そして、上
記一対の副巻装部に対しては、定電圧制御のための検出
用電圧とされる以外の二次側直流出力電圧に対応して形
成される二次巻線部を二分割して得た一対の分割巻線部
を、それぞれ巻装することとした。
【0027】また、絶縁コンバータトランスとしては次
のように構成することとした。つまり、一次側巻線と、
二次側巻線として複数の二次巻線部とが巻装されると共
に、上記スイッチング手段のスイッチング出力を一次側
から二次側に伝送する絶縁コンバータトランスとして、
先ず、2つのE形コアの中央磁脚の対向部において所定
長のギャップが形成されるようにして組み合わされるE
E形コアを設ける。また、一方のE形コア側の中央磁脚
に対して一次側巻線を巻装するための一次側巻装部と、
他方のE形コア側の中央磁脚に対して二次側巻線を巻装
するための二次側巻装部と、この二次側巻装部における
中央側と外側に対して形成される一対の副巻装部とを一
体的に備えるボビンとを備え、一対の副巻装部に対して
は、複数の二次巻線部のうち所要の二次巻線部を二分割
して得た一対の分割巻線部を、それぞれ巻装することと
した。
【0028】上記各構成によれば、一次側においては電
圧共振形コンバータを形成するための一次側並列共振回
路を備え、二次側には、二次側巻線及び二次側並列共振
コンデンサとにより形成される二次側並列共振回路とが
備えられた、いわゆる複合共振形スイッチングコンバー
タの構成が得られる。また、定電圧制御としては、スイ
ッチング周波数を可変することで行うようにされる。こ
の構成を基として、絶縁コンバータトランスは、中央磁
脚にギャップが形成されたEE形コアと、1つのボビン
を備える。このボビンは、一方のE形コア側の中央磁脚
に一次側巻線を巻装する一次側巻装部と、他方のE形コ
ア側の中央磁脚に対して二次側巻線を巻装する二次側巻
装部とが一体化されている。さらに、このボビンは、二
次側巻装部における中央側と外側に対して一対の副巻装
部が形成されている。そして、一対の副巻装部に対して
は、安定化制御のための検出電圧以外の二次側直流出力
電圧に対応して設けられる二次巻線部を巻装するが、こ
の際には、二次巻線部を二分割し、この分割された一対
の分割巻線を、上記一対の副巻装部に対してそれぞれ巻
装することとしている。このような絶縁コンバータトラ
ンスの構造であれば、一次側巻線と二次巻線との間で、
充分な疎結合の状態を得ることが可能となる。また、こ
のような構造を得るのにあたっては、巻線以外の部品と
して、2つのE形コアと、1つのボビンのみで良いこと
となる。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態とし
てのスイッチング電源回路の構成例を示している。この
図1に示す電源回路は、一次側に電圧共振形コンバータ
を備えると共に二次側には直列共振回路を備えた複合共
振形スイッチングコンバータとしての構成を採る。
【0030】この図に示す電源回路においては、商用交
流電源(交流入力電圧VAC)を入力して直流入力電圧を
得るための整流平滑回路として、ブリッジ整流回路Di
及び平滑コンデンサCiからなる全波整流回路が備えら
れ、交流入力電圧VACの等倍のレベルに対応する整流平
滑電圧Eiを生成するようにされる。
【0031】この電源回路に備えられる電圧共振形のス
イッチングコンバータは、1石のスイッチング素子Q1
を備えた自励式の構成を採っている。この場合、スイッ
チング素子Q1には、高耐圧のバイポーラトランジスタ
(BJT;接合型トランジスタ)が採用されている。
【0032】スイッチング素子Q1のベースと一次側ア
ース間には、駆動巻線NB、共振コンデンサCB、ベース
電流制限抵抗RBの直列接続回路よりなる自励発振駆動
用の直列共振回路が接続される。また、スイッチング素
子Q1のベースは、ベース電流制限抵抗RB−起動抵抗R
Sを介して平滑コンデンサCi(整流平滑電圧Ei)の
正極側にも接続されており、起動時のベース電流を整流
平滑ラインから得るようにしている。
【0033】また、スイッチング素子Q1のベースと平
滑コンデンサCiの負極(1次側アース)間に挿入され
るクランプダイオードDDにより、スイッチング素子Q1
のオフ時に流れるクランプ電流の経路を形成するように
されており、また、スイッチング素子Q1のコレクタ
は、絶縁コンバータトランスPIT−Aの一次巻線N1
の一端と接続され、エミッタは一次側アースに対して接
地される。
【0034】また、上記スイッチング素子Q1のコレク
タ−エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが
並列に接続されている。この並列共振コンデンサCr
は、自身のキャパシタンスと、後述する絶縁コンバータ
トランスPITの一次巻線N1側のリーケージインダク
タンスL1とにより電圧共振形コンバータの一次側並列
共振回路を形成する。そして、ここでは詳しい説明を省
略するが、スイッチング素子Q1のオフ時には、この並
列共振回路の作用によって並列共振コンデンサCrの両
端電圧VQ1は、実際には正弦波状のパルス波形となって
電圧共振形の動作が得られるようになっている。
【0035】この図に示す直交形制御トランスPRT
は、共振電流検出巻線ND、駆動巻線NB、及び制御巻線
NCが巻装された可飽和リアクトルである。この直交形
制御トランスPRTは、スイッチング素子Q1を駆動す
ると共に、定電圧制御のために設けられる。この直交形
制御トランスPRTの構造としては、図示は省略する
が、4本の磁脚を有する2つのダブルコの字形コアの互
いの磁脚の端部を接合するようにして立体型コアを形成
する。そして、この立体型コアの所定の2本の磁脚に対
して、同じ巻装方向に共振電流検出巻線ND、駆動巻線
NBを巻装し、更に制御巻線NCを、上記共振電流検出巻
線ND及び駆動巻線NBに対して直交する方向に巻装して
構成される。
【0036】この場合、直交形制御トランスPRTの共
振電流検出巻線NDは、平滑コンデンサCiの正極と絶
縁コンバータトランスPIT−Aの一次巻線N1との間
に直列に挿入される。これにより、スイッチング素子Q
1のスイッチング出力は、一次巻線N1を介して共振電流
検出巻線NDに伝達される。直交形制御トランスPRT
においては、共振電流検出巻線NDに得られたスイッチ
ング出力がトランス結合を介して駆動巻線NBに誘起さ
れることで、駆動巻線NBにはドライブ電圧としての交
番電圧が発生する。このドライブ電圧は、自励発振駆動
回路を形成する直列共振回路(NB,CB)からベース電
流制限抵抗RBを介して、ドライブ電流としてスイッチ
ング素子Q1のベースに出力される。これにより、スイ
ッチング素子Q1は、直列共振回路の共振周波数により
決定されるスイッチング周波数でスイッチング動作を行
うことになる。
【0037】絶縁コンバータトランスPIT−Aは、ス
イッチング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送
する。なお、本実施の形態としては、絶縁コンバータト
ランスPIT−Aの構造に特徴を有するが、これについ
ては後述する。
【0038】上記絶縁コンバータトランスPIT−Aの
一次巻線N1の巻始め端部は、スイッチング素子Q1のコ
レクタと接続され、巻終わり端部は共振電流検出巻線N
Dの直列接続を介して平滑コンデンサCiの正極(整流
平滑電圧Ei)と接続されている。
【0039】絶縁コンバータトランスPIT−Aの二次
側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次
側巻線に発生する。この場合、二次側巻線としては、二
次巻線N2と、三次巻線N4とが巻装されている。また、
後述もするように、二次巻線N2については、巻始め方
向から、巻線部N2B,N3B,N3A,N2Aとから成るもの
とされる。また、三次巻線N4については、巻線部N4
A,N4Bとから成る。
【0040】この場合、二次巻線N2に対しては、二次
側並列共振コンデンサC2が並列に接続されることで、
二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並
列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって並列
共振回路が形成される。この並列共振回路により、二次
巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。つま
り二次側において電圧共振動作が得られる。
【0041】即ち、この電源回路では、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が
備えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共
振回路が備えられた、「複合共振形スイッチングコンバ
ータ」としての構成を有する。
【0042】また、二次巻線N2には、センタータップ
が設けられ、このセンタータップは二次側アースに対し
て接続される。そのうえで、二次巻線N2の巻終わり端
部には整流ダイオードDO1のアノードが接続され、巻始
め端部には、整流ダイオードDO2のアノードが接続され
る。そして、これら整流ダイオードDO1,DO2のカソー
ドの接続点に対して平滑コンデンサCO1の正極端子が接
続される。平滑コンデンサCO1の負極端子は二次側アー
スに接続される。このようにして、並列共振回路を形成
する二次巻線N2に対しては、整流ダイオードDO1,DO
2及び平滑コンデンサCO1から成る全波整流回路が形成
されることで、平滑コンデンサCO1の両端電圧として、
二次側直流出力電圧EO1が生成される。なお、この直流
出力電圧EO1は制御回路1に対して、検出電圧として分
岐して入力される。
【0043】また、この場合の二次巻線N2において
は、センタータップ位置を対称に巻始め側と巻終わり側
とで対象となる巻数位置にタップ出力を設けて、巻線部
N3A,N3Bを形成している。そして、これら巻線部N3
A,N3Bのタップ出力に対して、図示するようにして、
整流ダイオードDO3,DO4及び平滑コンデンサCO2から
成る全波整流回路を形成することで、平滑コンデンサC
O2の両端に、二次側直流出力電圧EO1よりも低圧となる
二次側直流出力電圧EO2を得るようにしている。
【0044】そしてさらに、三次巻線N4においても、
センタータップを設けて二次側アースに接続する。その
うえで、図示するようにして、三次巻線N4の両端に対
して整流ダイオードDO5,DO6を接続するとともに、平
滑コンデンサCO3を接続して全波整流回路を形成するこ
とで、平滑コンデンサCO3の両端に二次側直流出力電圧
EO3を得るようにされる。
【0045】制御回路1では、入力された二次側直流出
力電圧EO1のレベルを検出して、このレベル変化に応じ
て、制御巻線NCに流すべき直流電流である制御電流の
レベルを可変する。このようにして可変された制御電流
のレベルに応じて、直交形制御トランスPRTでは、駆
動巻線NBのインダクタンスLBが可変されることにな
る。これにより、駆動巻線NBのインダクタンスLBを含
んで形成されるスイッチング素子Q1のための自励発振
駆動回路内の直列共振回路の共振条件が変化するが、こ
れは、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可
変する動作となる。そして、上記のようにしてスイッチ
ング周波数が可変制御されると、これに応じて、一次側
並列共振回路(N1//Cr)と二次側並列共振回路(N2
//C2)の共振インピーダンスが変化して、絶縁コンバ
ータトランスPIT−Aの一次側から二次側に伝送され
る交番電圧レベルも変化することになる。この結果、二
次巻線N2に得られた交番電圧レベルを元として生成さ
れる二次側直流出力電圧EO1のレベルも可変されること
となる。このような動作によって二次側の直流出力電圧
を安定化する。
【0046】そして、図1に示した本実施の形態の電源
回路においては、上述もしてきたように、絶縁コンバー
タトランスPIT−Aが備えられるのであるが、この絶
縁コンバータトランスPIT−Aは、図2の断面図に示
す構造を有する。絶縁コンバータトランスPIT−Aの
コアとしては、図示するようにして、2つのE形コアC
R1,CR2の互いの磁脚の端部を対向させるようにし
て組み合わせることで、EE形コアを形成する。また、
このようにしてEE形コア(CR1,CR2)を形成す
る際には、E形コアCR1,CR2の各中央磁脚が対向
する面に対してギャップGを形成しておくようにされ
る。なお、E形コアCR1,CR2には、例えばフェラ
イト材を用いるようにされる。
【0047】そして本実施の形態では、上記のようにし
て形成されるEE形コア(CR1,CR2)に対して一
次側巻線及び二次側巻線を巻装するために、図2(b)
に示す形状の一次/二次分割ボビン20を用いるように
される。
【0048】本実施の形態の一次/二次分割ボビン20
は、例えばフェノール樹脂を材料とし、EE形コアの中
央磁脚を取り巻くような全体形状を有している。そし
て、この一次/二次分割ボビン20の中央部分には、1
つの仕切板20cが形成されており、この仕切板20に
よって、一次側巻線を巻装すべき一次側巻装部20a
と、二次側巻線を巻装する二次側巻装部20bとに巻装
領域部分を分割するようにしている。つまり、本実施の
形態の一次/二次分割ボビン20は、一次側巻線を巻装
する部位と、二次側巻線を巻装する部位とが一体化され
た構造を有しているものである。また、本実施の形態で
は、二次側巻装部20bとしての空間内部において、図
示するようにして、その左右両側に対して、上記仕切板
20よりも低く形成された一対のサブ仕切板20d,2
0eを設けるようにしている。この場合には、サブ仕切
板20dがコア中央部側に位置し、サブ仕切板20eが
コアの外側に位置していることになる。これにより、コ
ア中央の仕切板20cと仕切板20dとの間には、サブ
巻装部20fとしての空間部が形成されることになる。
同様にして、コアの外側のサブ仕切板20eと、図にお
いて一次/二次分割ボビン20の最も左側にある側壁部
との間には、サブ巻装部20gとしての空間部が形成さ
れることになる。
【0049】そして、上記した形状を有する一次/二次
分割ボビン20に対しては、次のようにして巻線を巻回
していくようにされる。図1に示す電源回路の場合、一
次側巻線としては一次巻線N1のみとされる。そこで、
一次側巻装部20aに対しは、一次巻線N1を巻装する
ようにされる。
【0050】一方、二次側巻装部20bに対して巻装す
べき二次側巻線としては、先ず大きくは、二次巻線N2
と、三次巻線N4との巻線部があることになる。そし
て、二次巻線N2については、センタータップ及び巻線
部N3A,N3Bを形成するための2つのタップ出力が形成
されていることで、巻始め側から巻終わり側にかけて、
巻線部N2B,N3B,N3A,N2Aの4つの巻線部によって
成っている。また、三次巻線N4については、センター
タップが形成されていることで、巻始め側から巻終わり
側にかけて、巻線部N4B、N4Aにより形成されているこ
とになる。また、二次側巻線の各巻線部のターン数は、
次のようにして選定されている。なお、上記各巻線に
は、所定の断面径の細線を所定本数束ねて形成されるリ
ッツ線を用いている。 N2A=N2B=22T N3A=N3B=3T N4A=N4B=6T
【0051】そして、図1に示す回路の場合、二次側直
流出力電圧EO2に対応して設けられる巻線部は、二次巻
線N2において、センタータップを対称にした一対の巻
線部N3B(3T)→N3A(3T)から成る6Tの巻線部と
なる。なお、ここでは、説明の便宜上、この6Tの巻線
部分を巻線部N3ともいうことにする。また、二次側直
流出力電圧EO3に対応して設けられるのは、図1に示す
ようにして、二次巻線N2とは独立して巻装される三次
巻線N4であり、この三次巻線N4もまた、センタータッ
プを対称とした一対の巻線部N4B(6T)→N4A(6
T)の計12Tの巻線部からなるといえる。
【0052】そこで、二次側巻装部20bに対して二次
側巻線を巻装するのにあたっては、例えば先ず、コア中
央側に形成されるサブ巻装部20fに対して、巻線部N
3A(3T)と、巻線部N4A(6T)とを巻装するように
される。また、続いては、コア外側に形成されるサブ巻
装部20gに対して、巻線部N3B(3T)と、巻線部N
4B(6T)とを巻装する。つまり、サブ巻装部20f,
20gに対しては、巻線部N3を二等分した巻線部N3
A,N3Bをそれぞれ巻装すると共に、同じく、三次巻線
N4を二等分した巻線部N4A,N4Bをそれぞれ巻装する
ものである。
【0053】そして、上記のようにして巻線部N3及び
三次巻線N4を巻装した後は、二次巻線N2の残る巻線部
N2A,N2Bを二次側巻装部20bに対して巻装していく
ようにされる。なお、巻線部N2A,N2Bは、それぞれ2
2Tであるから、ここでは、計44T(22T+22
T)を巻装することになる。
【0054】このようにして二次側巻線が巻装されるこ
とによっては、コア中央側のサブ巻装部20fに巻装さ
れる巻線部N3A及び巻線部N4Aは、その巻装位置が一次
巻線N1に近いので、この一次巻線N1と密結合によって
トランス結合することになる。これに対して、コア外側
のサブ巻装部20gに巻装される巻線部N3B及び巻線部
N4Bは、二次巻線N2における巻線部N2A,N2Bと密結
合によってトランス結合することとなる。つまり、巻線
部N3と、三次巻線N4はそれぞれ二等分され、等分され
た一方が一次側巻線と密結合し、他方が二次側巻線と密
結合した状態となるようにされる。
【0055】このような巻線間の結合状態が得られるこ
とで、本実施の形態としては、先ず、一次巻線N1と二
次側巻線との間の結合状態が、より疎結合となるもので
ある。具体的には、結合係数k=0.7以下にまで低下
されている。
【0056】そして、このような疎結合の状態を得てい
る構造の絶縁コンバータトランスPIT−Aによって
は、一次側と、二次側の巻線部N3A,N3B及び三次巻線
N4についてのトランス結合を、より小さなものとする
ことが可能となる。これによって、巻線部N3A,N3B及
び三次巻線N4に得られる交番電圧レベルは、定電圧制
御に伴う一次側と二次側の並列共振インピーダンスの変
化の影響を受けにくくなり、その変動幅も小さくなる。
この結果、巻線部N3A,N3B、及び三次巻線N4に得ら
れる交番電圧を元として生成される二次側直流出力電圧
EO2,EO3は、制御回路1による安定化制御に際して、
その変動幅が抑制されることになる。
【0057】また、巻線部N3についていえば、センタ
ータップを対称として形成される巻線部N3A,N3Bが、
それぞれ一次側巻線、二次側巻と密結合した状態となる
ために、巻線部N3A,N3Bの各々に生じる誘起電圧レベ
ルの絶対値のばらつきが抑制されることになる。これに
よっては、二次側直流出力電圧EO2,EO3のレベルがよ
り均一化されることになるので、結果的に、変動幅の抑
制を助長することになる。
【0058】ここで、本実施の形態における二次側直流
出力電圧EO2,EO3の安定化特性(レギュレーション特
性)についての実験結果を、図3に示す。なお、確認の
ために述べておくと、二次側直流出力電圧EO1について
は、例えば交流入力電圧VAC=90V〜120Vの入力
変動範囲で、かつ、二次側直流出力電圧EO1の負荷電流
I1=1.0〜0.5A、二次側直流出力電圧EO2の負
荷電流I1=1.0〜0A、二次側直流出力電圧EO3の
負荷電流I3=1.0〜0Aとなる負荷変動範囲の条件
の下で、135Vにより定常的に一定となるように安定
化制御されている。
【0059】図3において、先ず、二次側直流出力電圧
EO2を見てみると、二次側直流出力電圧EO1,EO2,E
O3の各負荷電流I0,I1,I2について、[I0=1A,
I1=0,I2=1A]となる条件では、交流入力電圧VA
C=90V〜120Vの変動に対して、約14Vでほぼ
維持されていることが分かる。また、負荷電流[I0=
0.5A,I1=1A,I2=0]となる条件では、交流
入力電圧VAC=90V〜120Vの変動に対して、13
V付近で図示する傾きによって低下しているが、例えば
先に図6に示した場合と比較すれば、その傾きはより小
さくなっている。この結果、二次側直流出力電圧EO2
は、13.5V付近を中心にΔ1.4Vの変動幅となっ
ている。つまり、図6に示した場合と比較して変動幅が
抑制されていると共に、その変動幅の中心値も約13.
5Vにまで低下されている。
【0060】また、二次側直流出力電圧EO3について
は、負荷電流[I0=1A,I1=1A,I2=0]となる
条件では、交流入力電圧VAC=90V〜120Vの変動
に対して、26V付近から27V付近まで上昇し、負荷
電流[I0=0.5A,I1=0,I2=1A]となる条件
では、25.5V付近から24V付近の範囲で低下して
いく特性が得られているが、これらの傾きも、図6に示
した場合よりも小さいものとなっており、結果的には、
約25Vを中心値としてΔ2.9V程度の変動幅となっ
ている。つまり、二次側直流出力電圧EO3としても、変
動幅が抑制されていると共に、その変動幅の中心値も低
いものとなっている。
【0061】このようにして、二次側直流出力電圧EO
2,EO3の変動幅が抑制されることによって、例えば、
二次側直流出力電圧EO2の後段に対して12V出力のシ
リーズレギュレータを接続したとしても、交流入力電圧
VAC=120V、負荷電流I1=I2=I3=0Aの条件
における電力損失は約2Wとなる。従って、図5に示し
た絶縁コンバータトランスPITを採用した場合と比較
して、電力損失は約1.5W低減されることになる。こ
れによって、シリーズレギュレータに設けるべき放熱板
を、より小型とすることができるので、それだけ、回路
の小型軽量化、及び低コスト化が促進されることにな
る。また、発熱量が少なくなることで、回路としての信
頼性も向上されることになる。また、二次側直流出力電
圧EO3の負荷として、オーディオ信号を増幅するオーデ
ィオ増幅回路を接続したとしても、例えば交流入力電圧
VAC=120で音声出力が0レベルとなるような状態時
における最大電源電圧値も低下することとなるので、オ
ーディオ増幅回路を形成する部品としては、これまでよ
りも低耐圧品を選定することができる。具体的には、オ
ーディオ増幅回路を形成するアナログICなどについて
は、30Vの耐圧品を選定すればよいこととなる。
【0062】そして、図2に示した絶縁コンバータトラ
ンスPIT−Aの構造であれば、巻線以外の部品として
は、2つのE形コアCR1,2と、一次側巻装部20a
と二次側巻装部20b、さらにはサブ巻装部20f、2
0gとが一体化された1つの一次/二次分割ボビン20
とされる。そして、一次/二次分割ボビン20に対し
て、前述したように、一次側巻線と二次側巻線とを巻装
した上で、コの字形コアCR10,CR10とにより組
み立てればよいものとされる。つまり、この図2に示し
た絶縁コンバータトランスPIT−Aは、先に図5に示
した絶縁コンバータトランスPITと比較しても、特に
複雑な構造にはならないといえる。従って、製造工程等
も特に増加したり煩雑化することは無く、ほぼこれまで
どおりでよいこととなる。
【0063】このように本実施の形態では、二次側直流
出力電圧EO2,EO3についてのレベル変動幅を抑制して
回路の小型軽量化を図るのにあたって、絶縁コンバータ
トランスの製造効率が低下せず、また、コストアップす
ることが無いようにされているものである。
【0064】また、図2に示した絶縁コンバータトラン
スPIT−Aの構造では、図5に示した絶縁コンバータ
トランスPITの場合と異なり、巻線部N3A,N3Bと、
三次巻線N4の巻回位置が、サブ巻装部20f,20g
という比較的狭い領域で固定されることになる。これに
よっては、巻線部N3及び三次巻線N4の交番電圧を元に
生成される二次側直流出力電圧EO2,EO3のレベルのば
らつきが少なくなる。そして、例えば絶縁コンバータト
ランスPITを量産する場合にも、高い信頼性を与える
ことができる。
【0065】なお、本実施の形態においては、一次側に
対して自励式による共振コンバータを備えた構成の下で
定電圧制御を行うための制御トランスとして直交形制御
トランスが用いられているが、この直交形制御トランス
の代わりに、先に本出願人により提案された斜交形制御
トランスを採用することができる。上記斜交形制御トラ
ンスの構造としては、ここでの図示は省略するが、例え
ば直交形制御トランスの場合と同様に、4本の磁脚を有
する2組のダブルコの字形コアを組み合わせることで立
体型コアを形成する。そして、この立体形コアに対して
制御巻線NCと駆動巻線NBを巻装するのであるが、この
際に、制御巻線と駆動巻線の巻方向の関係が斜めに交差
する関係となるようにされる。具体的には、制御巻線N
Cと駆動巻線NBの何れか一方の巻線を、4本の磁脚のう
ちで互いに隣り合う位置関係にある2本の磁脚に対して
巻装し、他方の巻線を対角の位置関係にあるとされる2
本の磁脚に対して巻装するものである。そして、このよ
うな斜交形制御トランスを備えた場合には、駆動巻線を
流れる交流電流が負の電流レベルから正の電流レベルと
なった場合でも駆動巻線のインダクタンスが増加すると
いう動作傾向が得られる。これにより、スイッチング素
子をターンオフするための負方向の電流レベルは増加し
て、スイッチング素子の蓄積時間が短縮されることにな
るので、これに伴ってスイッチング素子のターンオフ時
の下降時間も短くなり、スイッチング素子の電力損失を
より低減することが可能になるものである。また、本発
明の電源回路として、例えば一次側電圧共振形コンバー
タの方式と二次側整流回路の組み合わせなども、各図に
示したもの以外に各種考えられるものである。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、複合共振
形スイッチングコンバータに設けるべき絶縁コンバータ
トランスとして、中央磁脚にギャップが形成されたEE
形コアと、一方のE形コア側の中央磁脚に対して一次側
巻線を巻装し、他方のE形コア側の中央磁脚に対して二
次側巻線を巻装することができるように一体形成された
ボビンを備える。また、このボビンは、二次側巻装部に
おける中央側と外側に対して一対の副巻装部が形成され
ている。そして、一対の副巻装部に対しては、安定化制
御のための検出電圧として利用されない二次側直流出力
電圧に対応して設けられる二次巻線部を巻装するように
される。この際には、上記二次巻線部を二分割して一対
の分割巻線を得て、この一対の分割巻線の各々を、上記
一対の副巻装部に対してそれぞれ巻装するようにされ
る。
【0067】このような構成であれば、絶縁コンバータ
トランスとしては、充分な疎結合の状態を得ることが容
易となる。この結果、安定化制御の検出電圧として利用
されない二次側直流出力電圧のクロスレギュレーション
を有効に抑制することが可能となる。これにより、例え
ば二次側直流出力電圧を安定化するシリーズレギュレー
タにおける発熱が低下するので、放熱板を小さくするこ
とが可能になる。また、負荷として接続される回路部品
の耐圧も低下することになる。この結果、電源回路とし
ての小型軽量化及び低コスト化が図られることになる。
【0068】また、本発明による絶縁コンバータトラン
スの構造としては、特に部品点数が増加して複雑になる
ことが無いため、絶縁コンバータトランスの製造に関す
る能率低下やコストアップなども招かない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としてのスイッチング電源
回路の構成例を示す回路図である。
【図2】本実施の形態としての絶縁コンバータトランス
の構成例を示す斜視図及び断面図である。
【図3】本実施の形態の電源回路における定電圧制御特
性を示す説明図である。
【図4】先行技術としてのスイッチング電源回路の構成
例を示す回路図である。
【図5】先行技術のスイッチング電源回路に備えられる
絶縁コンバータトランスの構成例を示す断面図である。
【図6】先行技術のスイッチング電源回路における定電
圧制御特性を示す説明図である。
【符号の説明】
1 制御回路、Q1 スイッチング素子、Cr 一次側
並列共振コンデンサ、DD クランプダイオード、C2
二次側並列共振コンデンサ、PIT−A 絶縁コンバー
タトランス、PRT 直交型制御トランス、N1 一次
巻線、N2 二次巻線、20 一次/二次分割ボビン、
20a 一次側巻装部、20b 二次側巻装部、20c
仕切板、20d,20e サブ仕切板、20f,20
g サブ巻装部、CR1,CR2 E形コア

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力された直流入力電圧をスイッチング
    して出力するためのスイッチング素子を備えて形成され
    るスイッチング手段と、 上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側
    並列共振回路が形成されるようにして備えられる一次側
    並列共振コンデンサと、 一次側巻線と、二次側巻線として複数の二次巻線部とが
    巻装されると共に、一次側と二次側とで疎結合とされる
    所要の結合係数が得られる構造を有し、上記スイッチン
    グ手段のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送す
    る絶縁コンバータトランスと、 上記複数の二次巻線部のうち、所要の二次巻線部に対し
    て二次側並列共振コンデンサを並列に接続することで形
    成される二次側並列共振回路と、 上記複数の二次巻線部の各々に得られる交番電圧を入力
    して整流動作を行うことで、複数の二次側直流出力電圧
    を得るように構成される直流出力電圧生成手段と、 上記複数の二次側直流出力電圧のうち、上記二次側並列
    共振回路を形成する二次巻線部の交番電圧を整流して得
    られる二次側直流出力電圧を検出用電圧として入力し、
    この検出用電圧のレベルに応じて、上記スイッチング素
    子のスイッチング周波数を可変制御することで定電圧制
    御を行うようにされる定電圧制御手段とを備え、 上記絶縁コンバータトランスは、 2つのE形コアの中央磁脚の対向部において所定長のギ
    ャップが形成されるようにして組み合わされるEE形コ
    アと、 一方の上記E形コア側の中央磁脚に対して上記一次側巻
    線を巻装するための一次側巻装部と、他方の上記E形コ
    ア側の中央磁脚に対して上記二次側巻線を巻装するため
    の二次側巻装部と、該二次側巻装部における中央側と外
    側に対して形成される一対の副巻装部とを一体的に備え
    るボビンとを有し、 上記一対の副巻装部に対しては、上記検出用電圧とされ
    る以外の上記二次側直流出力電圧に対応して形成される
    二次巻線部を二分割して得た一対の分割巻線部を、それ
    ぞれ巻装するようにされている、 ことを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 【請求項2】 一次側巻線と、二次側巻線として複数の
    二次巻線部とが巻装されると共に、上記スイッチング手
    段のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送する絶
    縁コンバータトランスであって、 2つのE形コアの中央磁脚の対向部において所定長のギ
    ャップが形成されるようにして組み合わされるEE形コ
    アと、 一方の上記E形コア側の中央磁脚に対して上記一次側巻
    線を巻装するための一次側巻装部と、他方の上記E形コ
    ア側の中央磁脚に対して上記二次側巻線を巻装するため
    の二次側巻装部と、該二次側巻装部における中央側と外
    側に対して形成される一対の副巻装部とを一体的に備え
    るボビンとを備え、 上記一対の副巻装部に対しては、上記複数の二次巻線部
    のうち所要の二次巻線部を二分割して得た一対の分割巻
    線部を、それぞれ巻装するようにして構成される、 ことを特徴とする絶縁コンバータトランス。
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