JP2003142907A - 誘電体共振器、誘電体フィルタ - Google Patents

誘電体共振器、誘電体フィルタ

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JP2003142907A JP2002292191A JP2002292191A JP2003142907A JP 2003142907 A JP2003142907 A JP 2003142907A JP 2002292191 A JP2002292191 A JP 2002292191A JP 2002292191 A JP2002292191 A JP 2002292191A JP 2003142907 A JP2003142907 A JP 2003142907A
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雅巳 畠中
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裕二 坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型、製造容易、安価で且つ高性能な誘電体
ノッチフィルタを得る。 【解決手段】 金属キャビティ101a〜eの内部には
それぞれ誘電体ブロック105が保持されており、伝送
線路108からはそれぞれEc1〜5の長さをもつc.
a.l.106a〜eが引き出されている。各c.a.
l.106a〜eの引き出し点の間はそれぞれ長さE1
〜4をもつ伝送線路108a〜dとなっている。c.
a.l.106a〜eの先端側は、それぞれ金属製キャ
ビティ101a〜eの内部において結合ループ107と
接続されている。さらに、c.a.l.106a〜eの
伝送線路108からの各引き出し点から各c.a.l.
106および各誘電体共振器と並列にリアクタンス素子
110a〜eが接続されている。以上の構成により、伝
送線路108と金属キャビティ101a〜eが結合ルー
プ107による電磁界結合を介して互いに接続されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として自動車電
話や携帯電話などの移動体通信システムの基地局などに
おいて、所望の周波数の高周波信号を選択的に濾波する
誘電体フィルタ、とくに誘電体ノッチフィルタに関する
ものである。また、本発明は、これら誘電体フィルタを
構成する誘電体共振器に関連するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車電話などの移動体通信シス
テムの発達につれて、誘電体共振器を用いた誘電体ノッ
チフィルタおよび誘電体フィルタの需要が伸びている。
【0003】以下に図面を参照しながら、従来の誘電体
ノッチフィルタの一例について説明する。図24は従来
の誘電体ノッチフィルタの外観図である。図24におい
て、2401は円柱形の金属製キャビティ、2402は
ベース部材、2403は周波数調整部材、2404は入
出力端子であり、(a)は上面図、(b)は側面図であ
る。ここでは5段の誘電体ノッチフィルタを示してい
る。ベース部材2402の中には伝送線路が構成されて
おり、各誘電体共振器と電磁界結合してノッチフィルタ
を構成している。図25は図24に示す従来の誘電体ノ
ッチフィルタに用いられている誘電体共振器の内部を簡
略的に示したものである。2501は誘電体ブロック、
2502は電磁界結合のための結合ループである。図2
6は従来の誘電体共振器における、電磁界結合度の調整
機構を示す図であり、調整機構の断面図である。図26
において、2は誘電体ブロック2501を支持する支持
台、4aは結合ループ2502のループ部、4bは結合
ループ2502の接地部、4cは結合ループ2502全
体を回転させるためのハンドル、5は結合ループ250
2のポールで中心導体5aおよび絶縁体5bからなって
いる。また、ベース部材2402は中心導体である伝送
線路7および外部導体8で構成されている。また、9は
伝送線路7を支える絶縁体の支持部材である。また、通
常誘電体ブロック2501は支持台2と低融点ガラスを
用いて一体化され、保持されている。
【0004】以上のような構成の従来の誘電体共振器の
動作原理は、以下の通りである。金属製キャビティ24
01の中に誘電体ブロック2501と結合ループ250
2を保持し伝送線路7と接続すると、金属製キャビティ
2401内に電磁界が発生し、共振モードに対応した共
振周波数で共振させることができる。誘電体共振器の電
磁界結合度は、誘電体共振器の電気的な特性を決定する
重要なパラメータである。この電磁界結合度は、ここで
は結合ループ2502の断面を横切る磁力線の本数で決
まる。すなわち、従来の技術では、ハンドル4cを用い
て機械的に結合ループ2502を回転して有効断面積を
変化させ、結合ループ2502内を横切る磁力線の数を
調整していた。
【0005】また、誘電体共振器のインピーダンスを整
合させるために、結合ループ2502の電気長は、正確
に4分の1波長に調整されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術においては、以下の欠点があった。
【0007】(1)結合ループを機械的に回転させる複
雑な機構が必要であり、そのために必要とされる部品点
数が多い。
【0008】(2)インピーダンス整合をとる手段が限
られており、低い周波数では極端に結合ループが大きく
なる。いっぽう高い周波数では結合ループが小さいため
に、大きな結合度を得ることができない。
【0009】(3)原理的に、インピーダンス整合がで
きる周波数範囲が狭い。
【0010】(4)ガラスを溶解させるため誘電体支持
に熱処理が必要で、接着強度が弱く信頼性が低い。
【0011】その結果、以下の問題点があった。
【0012】(a)振動や衝撃により、容易に結合ルー
プが回転して、電磁界結合度が変化する。
【0013】(b)製造工程が複雑になる。
【0014】(c)コストが高くなる。
【0015】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、従来の誘電
体ノッチフィルタに比べ、結合度調整機構が簡単で、か
つ容易に電磁界結合度を調整できる誘電体ノッチフィル
タを提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、製造容易、低損失で
堅牢な誘電体ブロックの支持方法を提供すること、小型
で高性能なキャビティを提供すること、小部品点数で構
成される周波数調整機構を提供すること、および急峻な
ノッチフィルタ特性を得る手法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明による誘電体ノッ
チフィルタは、高周波信号を伝送する伝送線路と、伝送
線路の両端に設けられた入力端子および出力端子と、接
地電位を供給する接地導体と、接地導体及び伝送線路に
接続された誘電体共振器とを備えており、さらに、接地
導体及び伝送線路に誘電体共振器と並列に接続されたイ
ンピーダンス手段を備えており、誘電体共振器は、接地
導体に接続されたキャビティと、キャビティ内に設けら
れた誘電体ブロックと、キャビティ内に形成される電磁
界に結合された結合素子と、結合素子を伝送路に接続
し、かつ、電磁界結合の程度を調整する結合調整線路と
を有しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0018】ある実施の形態では、前記電磁界結合の程
度は、前記結合調整線路の電気長により調整されていて
もよい。
【0019】ある実施の形態では、前記結合調整線路の
電気長に応じて、前記インピーダンス整合素子のインピ
ーダンス値が調整されていてもよい。
【0020】ある実施の形態では、前記結合調整線路は
TEMモード伝送線路から形成され、前記電磁界結合の
程度は、TEMモード伝送線路と前記接地導体との間に
挿入された誘電体により調整されていてもよい。
【0021】ある実施の形態では、前記インピーダンス
整合素子が、インダクタであってもよい。
【0022】ある実施の形態では、前記インダクタが、
空芯コイルであってもよい。
【0023】ある実施の形態では、前記インピーダンス
整合素子が、キャパシタであってもよい。
【0024】ある実施の形態では、前記インピーダンス
整合素子が、スタブであってもよい。
【0025】ある実施の形態では、前記インピーダンス
整合素子が、誘電体基板に設けられた導体パターンによ
り形成されていてもよい。
【0026】本発明による誘電体ノッチフィルタは、高
周波信号を伝送する伝送線路と、伝送線路の両端に設け
られた入力端子および出力端子と、接地電位を供給する
接地導体と、接地導体及び伝送線路に接続された複数の
誘電体共振器とを備えており、さらに、接地導体及び伝
送線路に複数の誘電体共振器と並列に接続された複数の
インピーダンス手段を備えており、複数の誘電体共振器
のそれぞれは、接地導体に接続されたキャビティと、キ
ャビティ内に設けられた誘電体ブロックと、キャビティ
内に形成される電磁界に結合された結合素子と、結合素
子を伝送路に接続し、かつ、電磁界結合の程度を調整す
る結合調整線路とを有しており、複数の誘電体共振器の
それぞれの共振周波数は、フィルタ中心周波数に関して
対称に分布していることにより、上記目的が達成され
る。
【0027】ある実施の形態では、前記複数の誘電体共
振器が、第1から第5の誘電体共振器から構成され、前
記入力端子から前記出力端子への向きに、第1から第5
の誘電体共振器が配列されており、第1から第5の誘電
体共振器半導体、それぞれ、F1からF5の共振周波数
を有しており、前記フィルタ中心周波数がfoであると
き、F4=fo+df2、F2=fo+df1、F1=
fo、F5=fo−df1、F3=fo−df2(ただ
し0<df1<df2)なる関係を満たしていてもよ
い。
【0028】ある実施の形態では、前記第1および前記
第2の誘電体共振器の間と、前記第4および前記第5の
誘電体共振器の間とが、電気長がλ/4×(2×m−
1)より長くλ/4×(2×m−1)+λ/8より短い
(λは波長、mは自然数)伝送線路でそれぞれ接続さ
れ、前記第2と前記第3の誘電体共振器の間および前記
第3と前記第4の誘電体共振器の間とが、電気長がλ/
4×(2×m−1)−λ/8より長くλ/4×(2×m
−1)より短い(λは波長、mは自然数)伝送線路でそ
れぞれ接続されていてもよい。
【0029】本発明の誘電体共振器は、キャビティと、
キャビティ内に固定された誘電体ブロックと、キャビテ
ィ内に形成される電磁界に結合される結合素子とを備え
た誘電体共振器であって、誘電体ブロックには貫通孔が
形成され、貫通穴には誘電体から形成された固定軸が通
され、固定軸の一端は押さえ具でキャビティに留められ
ていることにより、上記目的を達成する。
【0030】ある実施の形態では、前記誘電体ブロック
はTEモードで共振し、前記貫通孔が伝搬軸方向と平行
に設けられていてもよい。
【0031】ある実施の形態では、前記固定軸にねじが
切られ、前記押さえ具が樹脂製ナットであってもよい。
【0032】ある実施の形態では、前記樹脂製ナット
に、前記貫通孔と嵌合する凸部が設けられていてもよ
い。
【0033】ある実施の形態では、前記樹脂製ナットと
前記誘電体ブロックとの間に、前記貫通孔と嵌合する凸
部が設けられた樹脂製ワッシャが挟まれていてもよい。
【0034】ある実施の形態では、前記貫通孔の直径が
前記固定軸の直径より大きく、前記誘電体ブロックと固
定軸との間に隙間が設けられていてもよい。
【0035】ある実施の形態では、前記固定軸に、貫通
孔が設けられた支持台が通され、前記誘電体ブロックが
支持台により支持されていてもよい。
【0036】本発明の誘電体共振器によれば、誘電体で
形成されたボルトと、貫通孔を有するボルト押さえ板
と、貫通孔を有する支持台と、貫通孔を有する誘電体ブ
ロックと、キャビティを具備し、ボルトに該ボルト押さ
え板と支持台と誘電体ブロックとが順番に通しナットで
留められて共振器ユニットが構成されると共に、共振器
ユニットがキャビティに固定されていることにより、上
記目的を達成する。
【0037】ある実施の形態では、前記共振器ユニット
が取り付けられる前記キャビティの部分の厚さが、前記
ボルトの頭部より厚く、ボルトの頭部を通す開口部が設
けられ、前記ボルト押さえ板で開口部が塞がれていても
よい。
【0038】本発明の誘電体共振器によれば、直径d、
高さhの円柱形または円筒形の誘電体ブロックと、幅
W、奥行きD、高さHの直方体形の金属製キャビティを
具備し、誘電体ブロックは金属製キャビティの中央部近
傍に保持され、奥行きDの直径dに対する比が1.3以上
2.0以下、幅Wの直径dに対する比が2.0以上4.0以下、
幅Wの奥行きDに対する比が1.2以上2.5以下であること
により、上記目的を達成する。
【0039】ある実施の形態では、前記金属製キャビテ
ィの内部において前記幅Wと前記高さHで規定される前
記金属製キャビティの2つの面のいずれか、または各々
の面と前記誘電体ブロックとの間に少なくとも一つの結
合ループまたは結合プローブが設けられ、誘電体ブロッ
クと電磁界結合されていてもよい。
【0040】ある実施の形態では、前記金属製キャビテ
ィの内部において前記奥行きDと前記高さHで規定され
る前記金属製キャビティの2つの面のいずれか、または
各々の面と前記誘電体ブロックとの間に少なくとも一つ
の結合ループまたは結合プローブが設けられ、誘電体ブ
ロックと電磁界結合されていてもよい。
【0041】ある実施の形態では、前記誘電体ブロック
の円周方向が金属帯によって上下に長方形の開口部をも
つように取り囲まれ、金属帯の両端が溶接、半田鑞付
け、銀鑞付けまたは噛み合わせによって接合され、前記
金属製キャビティが構成されていてもよい。
【0042】本発明の誘電体フィルタによれば、前記誘
電体共振器が、奥行きD方向に並べて固定されており、
誘電体共振器の間が電気的に接続されていることによ
り、上記目的を達成する。
【0043】本発明の誘電体フィルタによれば、直径
d、高さhの円柱形または円筒形のN個(Nは2以上の
整数)の誘電体ブロックと、幅W、奥行きN×D、高さ
Hの1個の直方体形の金属製ケースと、(N−1)個の
幅W、高さHの金属製仕切板とを具備し、金属製仕切板
で金属ケースが長さ方向について実質的に等間隔に仕切
られることで幅W、奥行きD、高さHの直方体形のキャ
ビティが構成され、前記誘電体ブロックは前記キャビテ
ィの中央部近傍に保持され、奥行きDの直径dに対する
比が1.3以上2.0以下、前記幅Wの前記直径dに対
する比が2.0以上4.0以下、前記幅Wの前記奥行き
Dに対する比が1.2以上2.5以下であることによ
り、上記目的を達成する。
【0044】本発明の誘電体共振器によれば、キャビテ
ィと誘電体ブロックと結合電極と周波数調整部材とロッ
クナットと固定ネジとを具備し、キャビティは周波数調
整部材のネジと螺合する第1のネジ孔を有し、ロックナ
ットは周波数調整部材のネジと螺合する第2のネジ孔と
固定ネジと螺合する第3のネジ孔とを有し、キャビティ
の中央部近傍に誘電体ブロックが保持され、誘電体ブロ
ックと結合電極とは電磁界結合され、第1のネジ孔に周
波数調整部材を通して周波数調整部材がキャビティに取
り付けられ、ロックナットの第2のネジ孔をキャビティ
の外側から周波数調整部材に通し、固定ネジが第3のネ
ジ孔を通して締められ、周波数調整部材がキャビティに
固定されていることにより、上記目的が達成される。
【0045】ある実施の形態では、前記キャビティが、
さらに前記固定ネジと螺合する第4のネジ孔を有し、固
定ネジが第4のネジ孔を通して締め付けられ、前記周波
数調整部材が前記キャビティに固定されていてもよい。
【0046】本発明によれば、第1の構成の誘電体ノッ
チフィルタは、誘電体ノッチフィルタの誘電体共振器と
伝送線路の結合度調整を電気的な手法でおこなってい
る。具体的には、金属製キャビティと一端が電気的に接
地された結合ループと前記金属製キャビティの中央部に
保持された誘電体ブロックとを具備した1つ以上の誘電
体共振器を、両端に入出力端子を有する伝送線路に引き
出し線路となる結合度調整線路(coupling a
djusting line;c.a.l.)を介して
接続している。前記c.a.l.の電気長を変化させる
ことによって、誘電体共振器の電磁界結合度が調整され
る。
【0047】また、本発明の第2の構成によれば、イン
ピーダンス整合のために、前記伝送線路と前記c.a.
l.とが接続されている点から、前記誘電体共振器と並
列にインダクタンス素子もしくはキャパシタンス素子の
いずれかを接続している。
【0048】また、本発明の第3の構成によれば、誘電
体ノッチフィルタの誘電体ブロックの保持構造が、絶縁
体で形成されたボルトと、貫通孔を有するボルト押さえ
板と、貫通孔を有する支持台と、貫通孔を有する誘電体
ブロックと、キャビティを具備している。前記ボルトに
前記ボルト押さえ板と前記支持台と前記誘電体ブロック
とを順番に通しナットで留めて共振器ユニットを構成す
ると共に、前記共振器ユニットを前記キャビティに固定
している。
【0049】また、本発明の第4の構成によれば、誘電
体ノッチフィルタの金属製キャビティは、直径d、高さ
hの円柱形もしくは円筒形の誘電体ブロックと、幅W、
奥行きD、高さHの直方体形の金属製キャビティを具備
している。前記誘電体ブロックは前記金属製キャビティ
の概中央部に保持し、前記奥行きDの前記直径dに対す
る比を1.3以上2.0以下、前記幅Wの前記直径dに
対する比を2.0以上4.0以下、前記幅Wの前記奥行
きDに対する比を1.2以上2.5以下としている。
【0050】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面を参照しながら説明する。
【0051】図1は、本発明による誘電体ノッチフィル
タの実施の形態の外観図である。本実施の形態の誘電体
ノッチフィルタは、5つの誘電体共振器を有し、各誘電
体共振器は、箱型の金属製キャビティ101a〜e、共
振周波数を調整するためのチューニングスクリュー10
4a〜e、誘電体ブロック105a〜e、結合ループ1
07a〜e、支持部材109a〜eを有する。102は
内部に伝送線路の内導体を保持する伝送線路ハウジング
であり、103は入出力ポートである。金属製キャビテ
ィ101a〜eは、その内部に、誘電体ブロック105
a〜e、結合ループ107a〜eを有している。
【0052】図2は、金属製キャビティ101a〜eの
蓋部を取り除くことにより、図1に示された本実施の形
態のノッチフィルタの内部構造を示すとともに、伝送線
路ハウジング102の内部の電気的な接続をも示してい
る。金属キャビティ101a〜eの内部には、それぞれ
支持部材109a〜eによって支持された誘電体ブロッ
ク105a〜eおよび結合ループ107a〜eがある。
また、伝送線路108には、それぞれEc1〜5の長さ
をもつc.a.l.106a〜eの端部が接続されてい
る。各c.a.l.106a〜eの接続点の間は、それ
ぞれ長さE1〜4をもつ伝送線路108a〜dとなって
いる。c.a.l.106a〜eのもう一方の端部は、
それぞれ金属製キャビティ101a〜eの内部におい
て、結合ループ107a〜eと接続されている。さら
に、c.a.l.106a〜eが伝送線路108に接続
されている各点において、リアクタンス素子110a〜
eが、各c.a.l.106a〜eおよび各誘電体共振
器と並列に接続されている。リアクタンス素子110a
〜eは、各誘電体共振器のインピーダンスを整合させる
ために接続されている。以上の構成により、伝送線路1
08と誘電体ブロック105a〜eとが、結合ループ1
07による電磁界結合を介して互いに接続されている。
【0053】図3に、本ノッチフィルタの等価回路を示
す。上述の誘電体共振器は、それぞれ図3に示される直
列共振回路で表現され、本発明の誘電体フィルタは、特
定の周波数の信号を除去する帯域阻止フィルタ(ノッチ
フィルタ)となる。また、結合ループ107a〜eによ
る電磁界結合度を変化させることにより、図3における
共振回路を構成する等価回路パラメータ(Ln、Cn、
Rn、ただしn=1、…、5)を変化させることができ
る。また、等価回路パラメータおよび長さE1〜4を適
当な値に設定することにより、所望のノッチフィルタ特
性が得られる。
【0054】本発明の特徴は、誘電体共振器の電磁界結
合度を調整する方法として、c.a.l.106a〜e
を採用することにより、その長さEc1〜5と、リアク
タンス素子110a〜eの値とを変化させる方法を用い
たことにある。c.a.l.106a〜eの長さEc1
〜5およびリアクタンス素子110a〜eの値によっ
て、等価回路パラメータを調整できることを以下に図面
および実験データを用いて説明する。
【0055】まず、リアクタンス素子110a〜eの役
割について説明する。リアクタンス素子110a〜e
は、誘電体共振器のインピーダンス整合をとるための素
子である。理想的な共振器は、共振点からじゅうぶん離
れた周波数において、リアクタンス成分をもたない。言
い換えると、誘電体共振器を理想的な共振器として動作
させるには、共振点からじゅうぶん離れた周波数におい
て、リアクタンス成分がキャンセルされる必要があり、
リアクタンス素子110a〜eはこのためのものであ
る。
【0056】図4は、直列共振回路に並列にリアクタン
ス素子401を接続した回路を示している。図5(a)
〜(c)は、図4の回路において、リアクタンス素子4
01のリアクタンス値を変化させて、回路全体のインピ
ーダンスを誘導性(インダクティブ)から容量性(キャ
パシティブ)へと変化させたときの反射特性(以下S1
1という)および伝達特性(以下S21という)を示し
ている。図5(a)は誘電体共振器が誘導性である場
合、図5(b)は誘電体共振器が誘導性でも容量性でも
ない場合、すなわちインピーダンスが整合された場合、
図5(c)は誘電体共振器が容量性である場合を示す。
図5(a)および(c)に示されるように、誘電体共振
器のインピーダンスの整合がとれていないと、共振周波
数に対して、S11もS21も非対称であり、誘電体共
振器は、理想的な共振器として動作しない。そこで、誘
電体共振器のインピーダンスが誘導性または容量性であ
る場合(図5(a)または(c))には、誘電体共振器
と並列にリアクタンス素子110を接続することによっ
て、誘電体共振器のもつ誘導性または容量性をキャンセ
ルし、インピーダンスが整合された状態(図5(b))
が実現できる。誘電体共振器のインピーダンスを整合さ
せるためには、誘電体共振器が誘導性のときにはリアク
タンス素子110は容量性とし、また誘電体共振器が容
量性のときにはリアクタンス素子110は誘導性とす
る。
【0057】次に、伝送線路の先につながれた直列共振
回路にリアクタンス素子を並列に接続したときのインピ
ーダンスについて説明する。例えば図6(a)に示すよ
うに、長さゼロ(電気長ゼロ)の伝送線路の先に直列共
振回路を接続する。このときの直列共振回路のスミスチ
ャート上の周波数軌跡は図7中の点線で示したものとな
る。このときの直列共振回路の回路パラメータと図7中
の軌跡の関係を以下に説明する。図7において、f0は
誘電体共振器の共振周波数、f1およびf2は誘電体共
振器のリアクタンス成分の絶対値が外部負荷と等しくな
る周波数である。このとき、誘電体共振器の外部Q値
(External Q)Qextは、数式1で得られ
る。
【0058】 Qext=f0/(f1−f2) ・・・(数式1) さらに、Qextと図6(a)に示す等価共振回路定数の
関係は、数式2で得られる。
【0059】 Lr=Qext×ZL/2πf0 Cr=1/(2πf0)2/Lr Rr=2πf0Lr/Qu ただし、ZLは負荷インピーダンス Quは誘電体共振器の無負荷Q値 Lr、Cr、Rrは図6(a)に示した直列共振回路定数 ・・・(数式2) 誘電体共振器の結合度を大きくすると(f1−f2)の
値が大きくなり(つまり帯域が広くなり)、Qextの
値は小さくなる。
【0060】さらに、図6(b)のように線路長Leの
伝送線路を接続すると、図7のスミスチャート上で、点
線から4πLe/λ(λは波長)ラジアンだけ回転した
一点破線に移動する。さらにインピーダンス整合をとる
ために図6(c)のように、直列共振回路に並列にリア
クタンス素子、ここではインダクタLsを接続すると、
図7のスミスチャート上では等コンダクタンス上を(1
/ωLs)だけ動いて実線に移動する。このときの共振
特性は、図6(c)中に示したようにL,C,Rの直列
共振特性となる。
【0061】このときのQext’は、 Qext’=f0’/(f3−f4) ・・・(数式3) ここで、f0’は共振周波数、f3およびf4は図7の
実線で示した共振特性において、リアクタンス成分の絶
対値と外部負荷値が等しくなった周波数である。図7か
らわかるように、(f1−f2)に比べて(f3−f
4)のほうが大きくなっている。言い換えれば、図6
(a)の場合に比べ、図6(c)のほうが帯域が広い。
このように共振回路のインピーダンスを変化させること
ができる。つまり、共振回路を誘電体共振器で構成すれ
ば、上述の操作で電磁界結合度を調整することができ
る。
【0062】以上のことを実験的に確認したので、図
8、図9および図10を参照して、説明する。図8は、
実験に用いた誘電体共振器の回路を示している。この回
路は、前述した5段の帯域阻止フィルタで用いた誘電体
共振器の1段分に相当し、任意長の伝送線路108およ
び入出力ポート103が接続された1段の帯域阻止フィ
ルタである。また、誘電体共振器のインピーダンスを整
合させるために、c.a.l.106と伝送線路108
との接続点から、誘電体共振器と並列にリアクタンス素
子110が接続されている。図9は、図8に示す誘電体
共振器の等価回路を示す。ここで用いたc.a.l.1
06の長さEcは66、68、70および72mmであ
る。また、実験に用いたキャビティ101は、内寸10
8W×140D×110H(mm)であり、側面部は銅
メッキされた鉄、天井部および底面部はアルミでできて
いる。誘電体ブロック105は外径62mm、高さ40
mm、比誘電率34である。誘電体ブロックは、外径3
5mm、高さ30mmの96%アルミナ製支持台109
によって支持されている。結合ループ107は、650
mm2の断面をもち、キャビティ101の幅(W)方向
側面部の中央に水平に取り付られている。
【0063】図10は、誘電体共振器の等価回路パラメ
ータのインダクタンス値Lとc.a.l.の長さEcと
の関係を実験で調べた結果である。縦軸はLの値、横軸
はEcである。ここで、縦軸は誘電体共振器の電磁界結
合度に対応しており、Lの値が小さいほど電磁界結合度
は大きい。図10に示すように、伝送線路長が66mm
から72mmまで変化すると、Lの値は10.3×10
−6(H)から6.7×10−6(H)まで変化するこ
とがわかった。Lの値は、c.a.l.106の長さE
c(mm)に対してほぼ直線的に変化するが、さらに厳
密に2次式で近似すると数式4のようになる。
【0064】 L=78.097−1.4266Ec+6.0531×10-3Ec2 (×10-6(H)) ・・・(数式 4) 以上、結合ループの有効断面積を機械的に変化させなく
ても、c.a.l.106の長さEcを変えることによ
り、電気的に共振回路の回路パラメータを変化できるこ
とを実験でも確認した。特に、図2に示す本実施の形態
の構成において、必ずc.a.l.106は必要であ
り、これを誘電体共振器のインピーダンス変換(電磁界
結合度調整)に積極的に利用したことが、本発明の最大
の特徴である。数式3で示したLとEcの関係は、あく
まで上記の寸法のキャビティや結合ループ、誘電体ブロ
ックを用いた場合の一例である。しかし、異なる形状の
キャビティや結合ループ、誘電体ブロックを用いても、
誘電体共振器の回路パラメータをc.a.l.の長さで
変化させることが可能である。
【0065】また、本実施の形態において、c.a.
l.106a〜eの長さEc1〜5の調整方法として、
以下に示す方法がある。第1の方法として、図11およ
び図12に示すパターンを印刷した基板を用いてc.
a.l.として用いることができる。図11のパターン
の一部を削り取ることにより、電流の流れる経路が変化
し、電気長が変化する。図12においては、長いパター
ンと短いパターンとが並列に接続されている。
【0066】したがって、パターンを削り取らない状態
では、電流は主に短いパターンを流れる。短いパターン
を切断すれば、電流は長いパターンを流れるようになる
ので、電気長が変化する。これらの方法は、機械的信頼
性も高く、極めて簡便に長さを変化させることができ
る。基板としては、アルミナ基板、ポリテトラフルオロ
エチレン基板、ガラスエポキシ基板などが用いられ、そ
の大きさは、例えば縦30〜50mm、横20〜30m
mのものが用いられる。パターンの材料としては、銅な
どが用いられ、パターンの幅は例えば5mmである。
【0067】また、基板上にはc.a.l.106a〜
eの電極パターンだけではなく、インピーダンス整合素
子110a〜eも同時に構成することができ、部品の少
数化を図ることができる。
【0068】第2の方法として、図13に示すように、
c.a.l.106の導体の周りに誘電体を近づけた
り、もしくは周りの誘電体を交換する方法がある。この
場合には、線路の電気長Eceは線路周りの誘電体の実
効誘電率εを用いて数式5で与えられる。
【0069】 Ece=Ec×ε1/2 (数式5) すなわち、伝送線周りの誘電体に誘電体を近づけたり、
誘電体を交換したりすることによって伝送線の電気長E
ceを変化させることができる。この方法によれば、不
要な削り屑を発生させることなく、また正確に電気長を
調整することができる。
【0070】特記すべきことは、リアクタンス素子の接
続位置である。本実施の形態のように2段以上の多段ノ
ッチフィルタを構成する場合、リアクタンス素子110
は、伝送線路108とc.a.l.106とが接続され
ている点で接続されることが好ましい。なぜなら、伝送
線路108からみると、c.a.l.106から誘電体
ブロック側、すなわち伝送線路108とc.a.l.1
06の接続点より誘電体ブロック側が、誘電体共振器と
みなされるからである。また、リアクタンス素子110
は、その誘電体共振器のインピーダンスを整合させるた
めのものである。仮にc.a.l.106の接続点では
ない点においてリアクタンス素子110を接続すること
によってインピーダンスを整合させたとしても、等価的
には伝送線路108に整合のとれた誘電体共振器が
「点」で接続されていないことになる。多段の誘電体共
振器を用いてノッチフィルタを構成するときは、それぞ
れの誘電体共振器が接続されている間の伝送線路の長さ
(例えば図3におけるE1、E2、E3、E4)は、イ
ンピーダンスインバータの役割をはたし、この値は、ノ
ッチフィルタ設計において重要なパラメータである。よ
ってリアクタンス素子110を、c.a.l.106と
伝送線路108との接続点に接続することによって、所
望のインピーダンスインバータをc.a.l.106そ
れぞれの接続点の間の電気長として実現できる。その結
果、設計通りのノッチフィルタ特性を得ることができ
る。
【0071】なお、リアクタンス素子110としては、
例えば空芯コイル、平行平板キャパシタ、伝送線スタブ
などが用いられる。リアクタンス素子110として空芯
コイルを用いるときは、空芯コイルを変形させることに
より、誘電体共振器のインピーダンス特性を容易に調整
することができる。
【0072】本実施の形態において、結合ループ107
の長さを、4分の1波長もしくは4分の1波長の奇数倍
の長さよりも8分の1波長以下の長さだけ長く設定する
ことができる。その結果、結合ループ107の開放端側
にインダクタを並列に接続して、誘電体共振器のインピ
ーダンスを整合させることができ、その方法がきわめて
容易となる。
【0073】本実施の形態における誘電体ブロック10
5を金属製キャビティ101に保持する方法について図
面を参照しながら説明する。図14は、誘電体ブロック
105を金属製キャビティに保持する方法を示した図で
あり、誘電体ブロック105の中心部を通る断面を描い
たものである。図14において、105は円筒形で、支
持台109が入る凹部1405を有する誘電体ブロッ
ク、109は円筒形の支持台、1401、1402およ
び1403は、それぞれ樹脂製のボルト、ナットおよび
ワッシャである。1404は中央にボルトを通す穴の開
いた押さえ板、1406は押さえ板を取り付けるための
固定用のビスである。ボルト1401は、押さえ板14
04、支持台109、誘電体ブロック105、ワッシャ
1403、ナット1402の順に通されて、これらを一
体化する。ワッシャ1403は、誘電体ブロック105
の位置決めのために、誘電体ブロック105の貫通孔に
合致する凹部1405を有している。また、金属製キャ
ビティ101には、ボルト1401の頭が納まる穴と押
さえ板1404を留めるビス1406の通る穴とが設け
られている。
【0074】以上の構成により、誘電体ブロック105
と支持台109とを一体化でき、金属キャビティ101
への固定が容易になる。また、本実施の形態による誘電
体ブロックの保持方法によれば、金属製キャビティ10
1内に発生する電磁界において磁界密度が低い誘電体ブ
ロック105の中心部を、ボルト1401を通して固定
している。その結果、共振回路のQ値を高くできる。ま
た、ボルト1401、ナット1402およびワッシャ1
403の材料としては、誘電率の小さい材料を用いるこ
とが、Q値を高くするためには、好ましい。具体的に
は、Qの値と、機械的強度とを考慮すると、ポリカーボ
ネイト、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンも
しくはこれらのガラス混合材を用いることが好ましい。
【0075】また、支持台109の材料として、比較的
誘電率の小さい材料を用いれば、金属製キャビティ10
1の底面付近における磁束密度を小さくできるので、よ
りQの高い誘電体共振器が実現できる。支持台109の
材料としては、誘電体ブロック105の誘電率(30か
ら45)の3分の1以下の誘電率の材料、たとえばアル
ミナ、マグネシアもしくはフォルステライト(誘電率約
10)などを用いることができる。また、金属製キャビ
ティ101にボルト1401の頭の納まる穴を設け、さ
らに取付位置の肉厚をボルト1401の頭の厚みより厚
くすることにより、金属キャビティ101表面からの突
起部をなくすことができる。それにより、フィルタ本体
の移動の際に、応力がボルトに直接加わることが防げ
る。その結果、誘電体ブロックの位置ずれや、ボルトの
物理的破損を防ぐことができる。
【0076】また、誘電体ブロック105の下部にザグ
リを入れ、かつ、ワッシャ1403の中央部に凸部を設
けることにより、キャビティ101に対する誘電体ブロ
ック105の位置決めが容易かつ正確になる。その結
果、共振周波数や結合度のばらつきを防ぐことができ
る。
【0077】なお、TEモードの電磁界共振モードを用
いたときには、誘電体ブロック105に設けてある、伝
搬軸方向と平行な貫通孔にボルト1401を通しワッシ
ャ1403およびナット1402で留めることにより、
誘電体ブロック105を金属製キャビティ101に固定
することができる。そうすることにより、ボルト、ワッ
シャおよびナットによるQの劣化を最小にすることがで
きる。
【0078】本実施の形態において用いることができる
金属製キャビティ101について、図15を参照しなが
ら説明する。図15は本実施の形態における金属製キャ
ビティ101および誘電体ブロック105の形状を示し
ている。金属製キャビティ101は、幅(W)×奥行き
(D)×高さ(H)の直方体である。1501は蓋であ
る。
【0079】無負荷時のQの値Quに関して、従来の円
柱形キャビティと、本発明の実施の形態における箱型の
キャビティとの比較を行う。本発明の実施の形態に対応
する箱型のキャビティを用いた誘電体ノッチフィルタと
従来の円柱形のキャビティを用いた誘電体ノッチフィル
タとを比較するために、同一の誘電体ブロックを用いて
Quを実測した結果を(表1)に示す。
【0080】
【表1】
【0081】(表1)において、Aは120×160×
110mm、Bは100×160×110mm、Cは1
20×120×110mm、Dは100×120×11
0mmの箱型キャビティを用いたときの本発明の誘電体
ノッチフィルタであり、Eは140φ×105mm、F
は120φ×72mmの従来の円柱形キャビティ用いた
ときの誘電体ノッチフィルタである。また、誘電体ブロ
ックは、比誘電率33.4、高さh30mm、外径d6
0mmφ、誘電素体Q値53000のものである。(表
1)の結果からわかるように、Eのキャビティを用いた
ときのQu値(39000)よりも、本発明の実施の形
態のキャビティすなわち、A、B、CおよびDのキャビ
ティを用いたときのすべての場合におけるQu値の方が
優れていることがわかる。また体積比の点でも、本発明
の実施の形態のノッチフィルタの方が小さく優れてい
る。
【0082】これまで、誘電体共振器のQは、誘電体ブ
ロックと最短距離となる金属製キャビティの壁が支配的
であり、言い替えると、同じ誘電体ブロックを用いたと
きには誘電体ブロックと金属製キャビティとの最短距離
によってQが決定されると考えられていた。ところが、
本発明の実施の形態で示したように、キャビティを直方
体型にすることにより、キャビティ内に発生する電磁界
がキャビティの長手方向に変位した状態となる結果、誘
電体ブロックとキャビティとの距離が短くなっても、電
磁界が長手方向に逃げるので、Qの低下が抑えられるこ
とがわかった。
【0083】上記のように、本実施の形態のノッチフィ
ルタに用いるキャビティは従来より小型化を実現しなが
ら、Quの劣化を抑制するということができる。
【0084】(表1)に示したキャビティの形状は、実
験に用いたキャビティの形状を示したものである。本発
明のキャビティにおいては、電磁界を閉じ込める直方体
のキャビティの形状が、ある特定の寸法関係をもつとき
にのみ前述の効果が得られる。多くの同様な実験の結
果、幅W、奥行きD、高さHの直方体形の金属製キャビ
ティおよび直径d、高さhの円柱形もしくは円筒形の誘
電体ブロックを用いた場合、キャビティの奥行きDの誘
電体ブロックの直径dに対する比を1.3以上2.0以
下、キャビティの幅Wの誘電体ブロックの直径dに対す
る比を2.0以上4.0以下、キャビティの幅Wのキャ
ビティの奥行きDに対する比を1.2以上2.5以下と
することにより、キャビティを直方体にする効果が顕著
となることがわかった。
【0085】本実施の形態においては結合ループ107
を用いて誘電体ブロック105と電磁界結合させてい
る。他の結合方法として、図16(a)および(c)に
示す結合プローブ1601を用いた結合も使用できる。
さらに、図16(a)に示すように、結合ループ107
または結合プローブ1601を金属製キャビティ101
の幅方向(Wの方向)に取り付けることにより、キャビ
ティ内の磁力線の分布が比較的高密度の領域で結合され
るので、密に結合させることができる。いっぽう、図1
6(b)および図16(c)に示すように、結合ループ
107または結合プローブ1601を金属製キャビティ
101の奥行き方向(Dの方向)に取り付けることによ
り、キャビティ内の磁力線の分布が比較的低密度の領域
で結合されるので、結合度の微調整が容易となる。ま
た、結合ループ107は、厚さ0.3〜1mm、幅3〜
8mm程度の金属製の線を用い、金属製キャビティ10
1にネジ止めすると、電気的にも機械的にもしっかりし
た固定ができる。
【0086】図17は、本実施の形態の直方体状の金属
製キャビティ101の構成方法の一例を示している。金
属製キャビティ101は、誘電体ブロック105の円周
方向に沿って、上下に長方形の開口部を有するように金
属板を折り曲げることで本体部材1702が構成され、
その本体部材1702の開口部が蓋部材1701および
底部材1703で塞がれている。ただし、必ずしも図1
7に描かれているように金属製キャビティ101の構成
部材を分ける必要はない。しかし、例えばTE01δモ
ードを用いるときには、誘電体ブロック105の円周方
向に交流電界が発生するので、金属製キャビティ101
のQをより高くするには、キャビティ内を円周方向に流
れる交流電流を妨げない構成が好ましい。図17に示し
た構成は、誘電体ブロック105の円周方向が本体部材
1702により一体構成されている。また、本体部材1
702を構成する際、板金で曲げた後の端部1706の
処理は、簡単な方法としてネジ止めでもよい。また、溶
接、半田鑞付け、銀鑞付けまたは噛み合わせで処理する
ことによって、端部1706における接触抵抗をより小
さくでき、それによってよりQの高い共振器が実現でき
る。その他、図17においては蓋部材1701、本体部
材1702および底部材1703をそれぞれ別の部材と
して構成したが、工程の簡略化を考慮して一体化して構
成しても良い。なお、本実施の形態において、金属製キ
ャビティ101は例えば板金でつくることができ、板金
であれば従来のへら絞り法等にくらべて容易にかつ安価
に作製することができる。
【0087】図18は本実施の形態における誘電体ノッ
チフィルタの構造を分解展開図として示している。図1
8において、1801および1802は金属製キャビテ
ィの底部材および天板部材、1803は伝送線路108
のハウジング構成部材、1804は入出力コネクタ10
3の支持材となるコネクタスタンド、1805は金属製
キャビティ101に設けられた孔で、結合ループ107
を引き出すためのものである。金属製キャビティ101
では、その内部に結合ループ107を有し、結合ループ
107の一端は金属製キャビティ101に接地されてお
り、他端は孔1805から取り出されている。また、金
属製キャビティ101は、上下面にアスペクト比が1.
0〜2.0の長方形の開口部を有している。天板部材1
802には、各誘電体共振器のチューニングスクリュー
104を具備している。このような構成をもつ金属製キ
ャビティ101を同一の方向に並べ、金属製キャビティ
101とその上下の開口部を塞ぐように底部材1801
および天板部材1802とが一体化されている。ハウジ
ング構成部材1803は、伝送線路108の上下から挟
み込むことによってトリプレート型の高周波伝送線路の
遮蔽金属を構成しており、その内部には伝送線路10
8、c.a.l.106およびリアクタンス素子110
が構成されている。ここでは一例として、リアクタンス
素子110として一端を接地した空芯コイルを用いた場
合を記載している。
【0088】以上のような構成とすることにより、最低
限の部品数で以下の効果を得ることができる。
【0089】1、前述した理由で高Qな金属製キャビテ
ィ101を構成することができる。
【0090】2、低損失な伝送線路を実現することがで
きる。
【0091】3、c.a.l.106を接続するポイン
トを変更することによって、共振器間のインバータを容
易に調整することができる。
【0092】4、機械的に極めて堅牢である誘電体ノッ
チフィルタを構成することができる。
【0093】また、図18に示した金属製キャビティ1
01構成方法の代わりに、図19に示すように、個数分
の容量をもつ金属製本体部材1901に金属製の仕切板
1902を入れたのち、蓋部材1903で封止する構成
を用いることもできる。
【0094】以上、本発明の実施の形態は、帯域阻止フ
ィルタについての説明であるが、本発明の金属製キャビ
ティ101の構造は、帯域通過フィルタなどにも適用可
能である。
【0095】図20は、帯域通過フィルタの構成の一例
として、その構成の概略を示している。ここでは、結合
ループ107と結合窓2001を用いて構成している。
上記したように、結合ループ107の電磁界結合度調整
法、インピーダンス整合法および金属製キャビティ10
1の構成法を用いることができ、同様な効果を得ること
ができる。なお、本実施の形態において、金属製キャビ
ティ101に周波数調整機構を設けることもできる。
【0096】本実施の形態における周波数調整部材につ
いて図21および図22を参照しながら説明する。図2
1および図22は本実施の形態における周波数調整部材
の構造を示している。図21および図22において、2
101は円板状の金属板で周波数調整部材2102と一
体化されている。2103および2201は中央にネジ
が切られたロックナット、2104はビスである。ここ
で、ロックナット2103には、ビス2104を通す貫
通孔が開けてあり、いっぽうロックナット2201につ
いては、ビス2104と螺合するネジが切られている。
【0097】図21に示した周波数調整機構の構造につ
いて説明する。本実施の形態においては、天板部材18
02に、ロックナット2103に開けられた貫通孔と一
致する位置にネジを切ってある。また、誘電体共振器の
共振周波数は、金属板2101を上下させることによっ
て調整することができる。本実施の形態では、周波数調
整部材2102に切られたネジと螺合するネジを、天板
部材1802に切ることによって、周波数調整部材21
02を回転して金属板2101を上下に動かすことを可
能にする。前述の方法で周波数を調整した後、ロックナ
ット2103を用いて周波数調整部材2102をロック
する。このとき、ロックナット2103と天板部材18
02の間に僅かな隙間(0.1mm以上1.0mm以
下)を開けた状態で、ロックナット2103の貫通孔と
天板部材1802の位置を合わせて、ロックナット21
03の上部からビス2104を取り付ける。ビス210
4をねじ込むことによって、ロックナット2103が押
さえられる力がはたらき、周波数調整部材2102を確
実にロックすることができる。
【0098】図22に示したもう一つの周波数調整機構
の構造について説明する。もう一つの周波数調整機構は
図21で説明したものと基本的に同一である。しかし、
本調整機構においては、ロックナット2201にビス2
104と螺合するネジが切ってあり、周波数を調整した
後、ロックナット2201に切ってあるネジにビス21
04を通して締め付けることにより、ロックナット22
01に上向きに力が加わり、周波数調整部材2102を
確実にロックすることができる。
【0099】本発明の実施の形態における誘電体ノッチ
フィルタについて、図1、図2および図3を参照しなが
ら回路中のパラメータの設定の方法について説明する。
各誘電体ノッチフィルタの共振周波数を、図2および図
3において左から、それぞれF1〜5として、F1〜5
および伝送線路108a〜dの値をそれぞれ数式7のよ
うに設定する。
【0100】 F1=fo F2=fo+df1 F3=fo−df2 F4=fo+df2 F5=fo−df1 ただし、0<df1<df2 ・・・(数式7) また、伝送線路108a〜dは、インピーダンスインバ
ータとして動作するが、インバータとして動作を決定す
るのは、それぞれの電気長である。より急峻な選択特性
を得るために、伝送線路108a〜dの電気長E1〜4
をそれぞれ数式8のように設定する。
【0101】 E1=λ/4×(2×m−1)+de1 E2=λ/4×(2×m−1)−de2 E3=λ/4×(2×m−1)−de3 E4=λ/4×(2×m−1)+de4 ただし、λは中心周波数の波長、mは自然数、de1〜4はλ/8以下 の実数 ・・・(数式8) このように共振周波数を中心周波数に対して対称、か
つ、インバータとなる伝送線路108a〜dの電気長を
90度(λ/4)からシフトさせて構成する。上記のよ
うに帯域阻止フィルタを構成すると、通過特性において
帯域内に等リップルの特性が得られ、さらに反射特性に
おいて帯域近傍に極を発生させることができる。その結
果、急峻なフィルタ特性を得ることができる。
【0102】すなわち、5段の共振器を用いた場合、急
峻なノッチフィルタ特性を得る方法は、数式7および数
式8に示す通りであり、言い換えると以下のようにな
る。1段目の共振器の共振周波数をフィルタ帯域の中心
周波数に、2段目の共振器の共振周波数を中心周波数よ
りdf1だけ高く、4段目の共振周波数をdf2だけ高
く設定し、5段目の共振器の共振周波数を中心周波数よ
りdf1だけ低く、3段目の共振器の共振周波数をdf
2だけ低く設定する。1段目と2段目の間および4段目
と5段目の間の伝送線路の電気長をλ/4の奇数倍より
最大λ/8長くし、2段目と3段目の間および3段目と
4段目の間の伝送線路の電気長をλ/4の奇数倍より最
大λ/8短くする。
【0103】一例として、減衰中心周波数845.75
MHz、減衰帯域1.1MHz、減衰量21dBの帯域
阻止フィルタを設計した場合を数式9に示す。
【0104】 F1=845.75MHz=fo F2=846.16MHz=fo+df1 F3=845.20MHz=fo−df2 F4=846.31MHz=fo+df2 F5=845.36MHz=fo−df1 ただし、df1=0.40±0.02MHz df2=0.55±0.02MHz Qext1=1263 Qext2=1235 Qext3=1752 Qext4=3493 Qext5=2046 E1=117度=λ/4+3/40λ E2= 75度=λ/4−λ/24 E3= 83度=λ/4−7/360λ E4=130度=λ/4+λ/9 ただし、λは中心周波数の波長 ・・・(数式9) ここで、Qext1〜5は図2および図3中に示してい
る誘電体共振器の外部Qであり、同図中、左の誘電体共
振器から順にQext1、Qext2、Qext3、Q
ext4、Qext5としている。以上の構成のときの
ノッチフィルタ特性の実測値として伝達特性(S21)
および反射特性(S11)をそれぞれ図23(a)およ
び(b)に示す。以上のように、ノッチフィルタを構成
すると、通過特性において帯域内に等リップルの特性が
得られ、さらに反射特性において帯域近傍に極(図23
(b)中のマーカ1と2との中間およびマーカ3と4と
の間に存在するディップ)、を発生させることができ
る。その結果、急峻なノッチフィルタ特性を得ることが
できる。
【0105】すなわち、5段の共振器を用いた場合、数
式3および数式4に示すように、1段目の共振器の共振
周波数をフィルタ帯域の中心周波数に、2段目の共振器
の共振周波数を中心周波数より高く、4段目の共振周波
数をさらに高く設定し、5段目の共振器の共振周波数を
中心周波数より低く、3段目の共振器の共振周波数をさ
らに低く設定すること、および1段目と2段目の間およ
び4段目と5段目の間の伝送線路の電気長をλ/4の奇
数倍より最大λ/8長くし、2段目と3段目の間および
3段目と4段目の間の伝送線路の電気長をλ/4の奇数
倍より最大λ/8短くすることが、急峻なノッチフィル
タ特性を得る方法である。
【0106】本実施の形態によれば、フィルタを構成す
る伝送線路108のうち、電気長の短いインバータを構
成する部位(E2、E3)と電気長の長いインバータを
構成する部位(E1、E4)が、左右対称的に配置され
る。つまり、伝送線路108が構造的にフィルタ本体中
央に対し、ほぼ対称に位置する。片側だけが極端に長く
なったり短くなったりしないので、c.a.l.106
の標準的な長さ(約60mm)で、伝送線路108と結
合ループとを接続し、さらに結合度を調整するのに都合
がよい。もし、インバータを構成する伝送線路108の
うち、長いものがフィルタ本体の中央に対して片寄る
と、c.a.l.106の標準的な長さでは、物理的に
結合ループ107と伝送線路108との接続が不可能と
なったり、c.a.l.106の長さを調節して結合度
を変えることが困難となったりする。本発明の実施の形
態において、結合ループの代わりに結合プローブを用い
ても良く、その場合でも同様な効果を得ることができ
る。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、部品点数が少なく機械
的信頼性の優れた誘電体共振器の電磁界結合度調整法を
提供することができる。
【0108】また、簡単な構造で理想的なインピーダン
ス特性をもつ誘電体共振器を実現することができ、誘電
体ノッチフィルタの設計および構成が容易となる。
【0109】また、少ない部品点数で機械的電気的に優
れた誘電体ブロックの支持方法を得ることができる。
【0110】また、小型でかつQの高い金属製キャビテ
ィを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における誘電体ノッチフィ
ルタの外観図
【図2】本発明の実施の形態における誘電体ノッチフィ
ルタの内部構造図
【図3】本発明の実施の形態における誘電体ノッチフィ
ルタの等価回路図
【図4】直列共振回路に並列にリアクタンス素子を接続
した等価回路図
【図5】図4の回路において、リアクタンス素子のリア
クタンス値を変化させたときの、反射特性および伝達特
性を示す図
【図6】伝送線路に直列共振回路が接続されたときの等
価回路図
【図7】誘電体共振器のインピーダンスの周波数特性を
スミスチャート(SmithChart)上に示した図
であり、同時に共振周波数および外部Q値Qextを求
めるための周波数を示した図
【図8】実験に用いた誘電体共振器の回路を示す図
【図9】実験に用いた誘電体共振器の等価回路を示す図
【図10】誘電体共振器の等価回路パラメータのインダ
クタンス値Lとc.a.l.の長さEcとの関係を説明
する図
【図11】本発明の実施の形態におけるc.a.l.1
06の構成法の一例を示す図
【図12】本発明の実施の形態におけるc.a.l.1
06の構成法の一例を示す図
【図13】本発明の実施の形態におけるc.a.l.1
06の構成法の一例を示す図
【図14】本発明の実施の形態における誘電体ブロック
の保持方法の断面図
【図15】本発明の実施の形態における金属製キャビテ
ィおよび誘電体ブロックの形状を示す図
【図16】本発明の実施の形態における結合ループおよ
び結合プローブの構成位置の一例を示す図
【図17】本発明の実施の形態における金属製キャビテ
ィの構成方法の一例を示す図
【図18】本発明の実施の形態における誘電体ノッチフ
ィルタの構造の一例を示す図
【図19】本発明の実施の形態における誘電体ノッチフ
ィルタの構造の一例を示す図
【図20】本発明の実施の形態における帯域通過フィル
タの構成の一例を示す図
【図21】本発明の実施の形態における周波数調整機構
の構造の一例を示す図
【図22】本発明の実施の形態における周波数調整機構
の構造の一例を示す図
【図23】本発明の実施の形態における誘電体ノッチフ
ィルタのフィルタ特性図
【図24】(a)は、従来の誘電体ノッチフィルタの上
面図 (b)は、従来の誘電体ノッチフィルタの側面図
【図25】従来の誘電体ノッチフィルタの内部構成図
【図26】従来の誘電体共振器の電磁界結合機構の詳細
【符号の説明】
101a〜e 金属キャビティ 102 伝送線路のハウジング 103 入出力ポート 104a〜e チューニングスクリュー 105a〜e 誘電体ブロック 106a〜e 結合調整線路(c.a.l.) 107a〜e 結合ループ 108a〜e 伝送線路 109a〜e 支持部材 110a〜e リアクタンス素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畠中 雅巳 京都府京田辺市大住浜55番12号 松下日東 電器株式会社内 (72)発明者 坂 裕二 京都府京田辺市大住浜55番12号 松下日東 電器株式会社内 (72)発明者 中村 俊昭 京都府京田辺市大住浜55番12号 松下日東 電器株式会社内 Fターム(参考) 5J006 HC03 HC12 HC23 HC25 JA02 LA02 LA11 LA18 LA21 LA24 LA26 MA01 MB01 MB03 NA02 NA08 ND00 NE03 NE13 NE15 PA01 PA03 PA05

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャビティと、前記キャビティ内に固定さ
    れた誘電体ブロックと、前記キャビティ内に形成される
    電磁界に結合される結合素子とを備えた誘電体共振器で
    あって、前記誘電体ブロックには貫通孔が形成され、前
    記貫通孔には誘電体から形成された固定軸が通され、前
    記固定軸の一端は押さえ具で前記キャビティに留められ
    ていることを特徴とする誘電体共振器。
  2. 【請求項2】誘電体ブロックはTEモードで共振し、貫
    通孔が伝搬軸方向と平行に設けられていることを特徴と
    する請求項1記載の誘電体共振器。
  3. 【請求項3】固定軸にねじが切られ、押さえ具が樹脂製
    ナットであることを特徴とする請求項1記載の誘電体共
    振器。
  4. 【請求項4】樹脂製ナットに、貫通孔と嵌合する凸部が
    設けられていることを特徴とする請求項3記載の誘電体
    共振器。
  5. 【請求項5】樹脂製ナットと誘電体ブロックとの間に、
    貫通孔と嵌合する凸部が設けられた樹脂製ワッシャが挟
    まれていることを特徴とする請求項3記載の誘電体共振
    器。
  6. 【請求項6】貫通孔の直径が固定軸の直径より大きく、
    誘電体ブロックと前記固定軸との間に隙間が設けられて
    いることを特徴とする請求項1記載の誘電体共振器。
  7. 【請求項7】固定軸に、貫通孔が設けられた支持台が通
    され、誘電体ブロックが前記支持台により支持されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の誘電体共振器。
  8. 【請求項8】誘電体で形成されたボルトと、貫通孔を有
    するボルト押さえ板と、前記貫通孔を有する支持台と、
    前記貫通孔を有する誘電体ブロックと、キャビティを具
    備し、前記ボルトに前記ボルト押さえ板と前記支持台と
    前記誘電体ブロックとが順番に通しナットで留められて
    共振器ユニットが構成されると共に、前記共振器ユニッ
    トが前記キャビティに固定されていることを特徴とする
    誘電体共振器。
  9. 【請求項9】共振器ユニットが取り付けられるキャビテ
    ィの部分の厚さが、ボルトの頭部より厚く、前記ボルト
    の頭部を通す開口部が設けられ、ボルト押さえ板で前記
    開口部が塞がれていることを特徴とする請求項8記載の
    誘電体共振器。
  10. 【請求項10】直径d、高さhの円柱形または円筒形の
    誘電体ブロックと、幅W、奥行きD、高さHの直方体形
    の金属製キャビティを具備し、前記誘電体ブロックは前
    記金属製キャビティの中央部近傍に保持され、奥行きD
    の直径dに対する比が1.3以上2.0以下、幅Wの直径dに
    対する比が2.0以上4.0以下、幅Wの奥行きDに対する比
    が1.2以上2.5以下であることを特徴とする誘電体共振
    器。
  11. 【請求項11】金属製キャビティの内部において、幅W
    と高さHで規定される前記金属製キャビティの2つの面
    のいずれか、または各々の面と誘電体ブロックとの間に
    少なくとも一つの結合ループまたは結合プローブが設け
    られ、前記誘電体ブロックと電磁界結合されていること
    を特徴とする請求項10記載の誘電体共振器。
  12. 【請求項12】金属製キャビティの内部において、奥行
    きDと高さHで規定される前記金属製キャビティの2つ
    の面のいずれか、または各々の面と誘電体ブロックとの
    間に少なくとも一つの結合ループまたは結合プローブが
    設けられ、前記誘電体ブロックと電磁界結合されている
    ことを特徴とする請求項10記載の誘電体共振器。
  13. 【請求項13】誘電体ブロックの円周方向が金属帯によ
    って上下に長方形の開口部をもつように取り囲まれ、前
    記金属帯の両端が溶接、半田鑞付け、銀鑞付けまたは噛
    み合わせによって接合され、金属製キャビティが構成さ
    れていることを特徴とする請求項10記載の誘電体共振
    器。
  14. 【請求項14】請求項10記載の誘電体共振器が、奥行
    きD方向に並べて固定されており、前記誘電体共振器の
    間が電気的に接続されていることを特徴とする誘電体フ
    ィルタ。
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