JP2003142108A - アルカリ蓄電池用焼結基板の製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池用焼結基板の製造方法

Info

Publication number
JP2003142108A
JP2003142108A JP2001334742A JP2001334742A JP2003142108A JP 2003142108 A JP2003142108 A JP 2003142108A JP 2001334742 A JP2001334742 A JP 2001334742A JP 2001334742 A JP2001334742 A JP 2001334742A JP 2003142108 A JP2003142108 A JP 2003142108A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slurry
temperature
substrate
viscosity
kneading
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001334742A
Other languages
English (en)
Inventor
Masataka Shinyashiki
昌孝 新屋敷
Masahiro Hosoda
正弘 細田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP2001334742A priority Critical patent/JP2003142108A/ja
Publication of JP2003142108A publication Critical patent/JP2003142108A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔度の高い焼結基板を提供する。 【解決手段】 金属ニッケル粉末の鎖状構造を破壊しな
いように、メチルセルロースなどの熱ゲル化を起こす増
粘剤を用いて、熱ゲル化が起こらない程度の高温低粘度
で混練してスラリーを形成し、こののちスラリーを冷却
して粘度を上昇させたのちに導電性芯体に塗着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ蓄電池用
焼結基板の製造方法にかかり、特に鎖状構造を持つ金属
ニッケル粉末を塗布する製造方法において、粉末の鎖状
構造を破壊しないように混練した後、均一に塗布するた
めの方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ蓄電池は、各種の電源として広
く使われており、小型電池は各種の携帯用の電子通信機
器に、大型電池は産業用に、それぞれ広く用いられるよ
うになってきている。
【0003】この種のアルカリ蓄電池においては、正極
としてはほとんどの場合がニッケル電極である。一方、
負極の場合は、カドミウムの他に、亜鉛、鉄、水素吸蔵
合金等が使われるが、主としてカドミウム電極が主体で
ある。
【0004】このニッケル電極及びカドミウム電極を形
成する方法として、焼結式と非焼結式がある。前者は導
電性芯体にニッケル粉を焼結し、多孔質の焼結基板を作
製し、この焼結基板を活物質塩溶液と、アルカリ液とに
交互に複数回繰り返して浸漬して、この焼結基板中に活
物質を析出させる方式である。
【0005】また後者は、活物質粉末と各種添加剤粉末
とを配合し、これに有機物結着剤を加えて混練し、ペー
スト状にし、これを多孔質ニッケル基板に充填、又は導
電性芯体に塗着することによって形成する方式である。
【0006】円筒型電池の場合、このようにして形成さ
れた正極及び負極がセパレータを介して渦巻き状に巻回
され、巻回されたものを円筒型電池ケースに収納し、こ
のケース内に電解液を注入し蓄電池が形成される。ま
た、角型電池の場合は、このようにして形成されたニッ
ケル電極に、セパレータと負極を重ねあわせて積層体を
形成し、これを角型電池ケースに収納し、このケース内
に電解液を注入し蓄電池が形成される。
【0007】ところでこのような焼結式電極において
は、導電性芯体にニッケル粉を焼結することによって得
られた焼結基板を、活物質塩溶液とアルカリ液とに交互
に複数回繰り返して浸漬して、焼結基板中に活物質を析
出させることによって形成される。
【0008】このため、焼結基板は多孔性であることが
極めて重要であり、この多孔性の度合いによって含浸度
が異なることになる。したがって多孔性を得るために種
々の工夫がなされている。
【0009】従来、焼結基板の形成に際しては、鎖状構
造を持つニッケル粉末が一般的に用いられるが、多孔性
を高めるためには、鎖状構造が発達した見かけ密度の小
さいニッケル粉末を使用するのが望ましい。しかしなが
ら、見かけ密度の小さいニッケル粉末は増粘剤と混練し
てスラリーを作成したときに、鎖状構造が破壊され見か
け密度が上昇してしまったり、また、鎖状構造を破壊し
ないように低粘度で混練した場合は導電性芯体への塗着
時にスラリーが垂れるため、塗着厚みを上げることが出
来ず、均一な厚みを得ることが出来ないという問題があ
った。
【0010】また、熱ゲル化現象を伴わない増粘剤を用
いて高温低粘度で混練したのち常温に戻して導電性芯体
に塗着することで鎖状構造の破壊を抑え高多孔度の焼結
板を得る(特開昭50−132443)方法が提案され
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法でも、十分に板厚(膜厚)が大きく高多孔度の焼結基
板を得ることはできなかった。これは熱ゲル化しない増
粘剤を用いているため導電性芯体に塗着したスラリーを
乾燥したときに水分の蒸発と共に塗膜厚みが収縮してし
まい、結果として多孔性向上効果が阻害されてしまい、
厚みの均一性も低下するためであると考えられる。そこ
で、本発明は上記課題を解決するためになされたもので
あって、高多孔度の焼結基板を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、金属ニッケルを主体とする粉末の鎖状構
造を破壊しないように、メチルセルロースなどの熱ゲル
化を起こす増粘剤を用いて増粘剤の熱ゲル化が起こる温
度未満の温度で混練して低粘度のスラリーを形成し、こ
ののちスラリーを冷却して混練粘度を上昇させたのちに
導電性芯体に塗着するようにしたことを特徴とする。
【0013】本発明では、増粘剤の量と混練時のスラリ
ー温度を調整して十分に粘度を下げるようにして、ニッ
ケル粉末の鎖状構造の破壊を抑制しつつ充分に混練する
ことが可能となるようにし、この後温度を下げて粘度を
上げ導電性芯体に塗着し、乾燥せしめ、乾燥の初期に増
粘剤が熱ゲル化するようにし、スラリー塗膜乾燥時の収
縮量を低減し、厚みが均一で高多孔度の焼結基板を形成
するものである。増粘剤の量を調整することにより、混
練時の温度を大きく上昇させなくても熱ゲル化温度以下
で十分に粘度を下げることも可能である。また、導電性
芯体への塗着前には冷却によって粘度を十分に上げるこ
とが可能である。さらに、増粘剤をメチルセルロースな
どの比較的低分子の材料にすれば、より低濃度のものを
用いることができ、また、これにより、より低温下で低
粘度化を図ることが可能となる。
【0014】すなわち、本発明の方法では、鎖状構造を
有する金属ニッケルを主体とする粉末と、熱ゲル化を起
こし得るように構成された増粘剤と、糊料溶媒とを、ゲ
ル化が起こる温度未満の温度に加熱せしめて混練しスラ
リーを形成する混練工程と、前記スラリーを冷却し、粘
度を上昇せしめた状態で導電性芯体に塗着する塗着工程
とを含むことを特徴とする。
【0015】かかる方法によれば、スラリーを冷却して
粘度を上昇させるようにしているため、増粘剤の量を減
らして同温度でのスラリー粘度が低下しても、冷却後は
塗着可能な粘度にすることができる。一方増粘剤の量を
減らしているため混練時の温度を従来のように高温まで
上昇させなくても熱ゲル化温度以下で十分に粘度を下げ
ることができ、ニッケル粉末の鎖状構造の破壊を抑制す
ることができる。すなわち、乾燥工程ではじめて増粘剤
が熱ゲル化することになるため、スラリー塗膜乾燥時の
収縮量が少なく、厚みが均一で高多孔度の焼結基板を形
成することが可能となる。
【0016】望ましくは、前記鎖状構造を有する金属ニ
ッケルを主体とする粉末の見かけ密度は0.60g/c
3以下であることを特徴とする。
【0017】金属ニッケルを主体とする粉末の見かけ密
度が0.60g/cm3以上であると、鎖状構造は十分に
発達していないので焼結基板の多孔性は低くなることに
加えて、もともと鎖状構造が発達していないので鎖状構
造の破壊抑制の効果は小さく、多孔性の高い焼結基板は
得られない。
【0018】望ましくは、前記増粘剤は、メチルセルロ
ースであることを特徴とする。
【0019】かかる構成によれば、メチルセルロースは
ゲル化するため、乾燥工程の初期で塗膜厚みが固定さ
れ、乾燥後厚みが厚くなり、その結果乾燥塗膜中のニッ
ケル密度を低くすることが出来、多孔性が向上する。
【0020】望ましくは、前記混練工程においては、ス
ラリーの混練温度は30〜45℃で実行されるようにし
たことを特徴とする。
【0021】かかる構成によれば、スラリーの混練温度
が30〜45℃で混練を行うようにしているため、熱ゲ
ル化を起すことなく、ニッケル粉末の鎖状構造の破壊を
抑制することができる。45℃を越えるとスラリーの一
部にゲル化が起こる可能性がある。一方、30℃より低
温であると充分な低粘度化をはかることができない。
【0022】望ましくは、前記混練工程においては、粘
度が5000mPa・s以下となるように増粘剤の濃度
が設定されていることを特徴とする。
【0023】かかる構成によれば、粘度5000mPa
・s以下となるような増粘剤濃度条件下で混練を行うよ
うにしているため、混練時のニッケル粉末の鎖状構造の
破壊を抑制することができる。
【0024】望ましくは、前記塗着工程は、スラリー温
度5〜15℃で実行されるようにしたことを特徴とす
る。
【0025】かかる構成によれば、スラリー温度5〜1
5℃で塗着することにより、十分に高粘度(15000
mPa・s以上)とすることができるため、垂れること
なく充分な膜厚を得ることができる。5℃より低温であ
ると、塗布時にスラリーの一部が凝固してしまうことが
ある。15℃を越えると充分な高粘度を得ることができ
ず、十分な膜厚を得ることができないことがある。
【0026】望ましくは、前記塗着工程は、スラリー粘
度15000mPa・s以上となるように温度設定がな
されていることを特徴とする。
【0027】かかる構成によれば、スラリー粘度150
00mPa・s以上となるように温度条件などの設定を
することにより、降温幅を大きくすることなしに、垂れ
ることなく充分な膜厚を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の焼結基板の製造方
法をアルカリ蓄電池用焼結基板に適用した場合の一実施
形態を説明する。
【0029】1.焼結基板の作成 (実施例1) (1)まず、2.6w%メチルセルロース水溶液60重
量部にカルボニルニッケル粉末(見かけ密度0.55g
/cm3:フィッシャーサイズ2.5μm)40重量部
を混合する。 (2)続いて40℃に昇温した状態で、30分間混練
し、スラリーを作成する。 (3)そしてニッケルメッキを施したパンチングメタル
からなる芯体を用意する。 (4)混練されたスラリーを10℃まで強制冷却し、粘
度を上昇させる。(以下、実施例2〜3、比較例1〜3
においては実施例1と同様に、スラリー粘度を2000
0mPa・sに維持できるように冷却温度を適宜調整し
た。) そしてこの芯体の両面に前記スラリーをスリットを介し
て塗布し、塗膜の厚みを均一化させる。 (5)そしてさらに、前記塗膜を即時に500℃の遠赤
外線ヒータで5分間乾燥する。 (6)最後に、この乾燥塗膜を1000℃の還元雰囲気
下で焼結する。 このようにして第1の基板サンプルとしての基板Aを得
る。
【0030】(実施例2)実施例2として、前記実施例
1とカルボニルニッケル粉末の見かけ密度を0.65g
/cm3とした以外はすべて同様にして形成し、第2の
基板サンプルを形成する。 (1)まず、2.6w%メチルセルロース水溶液60重
量部にカルボニルニッケル粉末(見かけ密度0.65g
/cm3:フィッシャーサイズ2.5μm)40重量部
を混合する。上記工程(2)以降は前記実施例1と同様
の条件で焼結基板を形成し、第2の基板サンプルとして
の基板Bを得る。
【0031】(実施例3)実施例3として、前記実施例
1において2.6w%メチルセルロース水溶液に代え
て、濃度をあげ、3.0w%メチルセルロース水溶液を
用いた以外はすべて同様にして形成し、第4の基板サン
プルを形成する。
【0032】すなわち、(1)まず、3.0w%メチル
セルロース60重量部にカルボニルニッケル粉末(見か
け密度0.55g/cm3:フィッシャーサイズ2.5
μm)40重量部を混合する。上記工程(2)以降は前
記実施例1と同様の条件で焼結基板を形成し、第4の基
板サンプルとしての基板Cを得る。
【0033】(比較例1)比較例1として、前記実施例
1において2.6w%メチルセルロース水溶液に代え
て、3.0w%カルボキシルメチルセルロースを用いた
以外はすべて同様にして形成し、第3の基板サンプルを
形成する。
【0034】すなわち、(1)まず、3.0w%カルボ
キシルメチルセルロース60重量部にカルボニルニッケ
ル粉末(見かけ密度0.55g/cm3:フィッシャー
サイズ2.5μm)40重量部を混合する。上記工程
(2)以降は前記実施例1と同様の条件で焼結基板を形
成し、第3の基板サンプルとしての基板Dを得る。
【0035】(比較例2)比較例2として、前記実施例
1において工程(2)の混練温度を20℃とした以外は
すべて同様にして形成し、第5の基板サンプルを形成す
る。
【0036】すなわち、実施例1において(1)の工程
で混合した混合物を(2)の工程で昇温せず20℃の状
態で、30分間混練し、スラリーを作成する。そしてこ
の工程(2)以降は前記実施例1と同様の条件で焼結基
板を形成し、第5の基板サンプルとしての基板Eを得
る。
【0037】(比較例3)比較例3として、前記実施例
1において工程(2)の混練温度を50℃とした以外は
すべて同様にして形成し、第6の基板サンプルを形成す
る。
【0038】すなわち、実施例1において(1)の工程
で混合した混合物を(2)の工程で続いて50℃に昇温
した状態で、30分間混練し、スラリーを作成する。そ
してこの工程(2)以降は前記実施例1と同様の条件で
焼結基板を形成し、第6の基板サンプルとしての基板F
を得る.
【0039】(比較例4)比較例4として、前記実施例
1において塗着工程(4)におけるスラリー冷却温度を
0℃とした以外はすべて同様にして形成し、第7の基板
サンプルを形成する。
【0040】すなわち、実施例1において(1)乃至
(3)の工程を経て、スラリーを作成する。そして
(4)混練されたスラリーを0℃まで強制冷却を行っ
た。 そしてこの芯体の両面に前記スラリーをスリット
を介して塗布し、塗膜の厚みを均一化させる。そしてこ
の工程(5)以降は前記実施例1と同様の条件で焼結基
板を形成し、第7の基板サンプルとしての基板Gを得
る。
【0041】(比較例5)比較例5として、前記実施例
1において塗着工程(4)におけるスラリー冷却温度を
20℃とした以外はすべて同様にして形成し、第8の基
板サンプルを形成する。
【0042】すなわち、実施例1において(1)乃至
(3)の工程を経て、スラリーを作成する。そして
(4)混練されたスラリーを20℃まで自然冷却し、粘
度を上昇させる。そしてこの芯体の両面に前記スラリー
をスリットを介して塗布し、塗膜の厚みを均一化させ
る。
【0043】そしてこの工程(5)以降は前記実施例1
と同様の条件で焼結基板を形成し、第8の基板サンプル
としての基板Hを得る。
【0044】2.基板の多高度の測定 3cm×5cmに切り取った基板サンプルA乃至Hおよ
び芯材の質量を測定する。そしてサンプルをデシケータ
にいれ真空ポンプで30分以上真空引きを行い(1kP
a以下)、真空下で水分を含有させる。その後、水分を
含有したあとの各基板サンプルの質量を測定し、下式で
多孔度を算出する。
【0045】多孔度[%]=含水量/[(基板質量―芯
材質量)/8.9+含水量]×100(ニッケルの比
重:8.9g/cm3 水の比重:1.0g/cm3) それぞれのスラリー混練時の液温と粘度、25℃におけ
る粘度、芯材に塗布時の液温と粘度、乾燥塗膜の厚みお
よび作成した基板の多孔度を下表1に示す。
【表1】
【0046】実施例1の基板Aでは、混練時の粘度は4
500mPa・sであり、良好に混練されている。そし
て塗着時の粘度は20000mPa・sであり、その結
果膜厚0.60mmと充分な膜厚を得、多孔度は86%
と含浸性の良好なものであった。
【0047】実施例2の基板Bでは、ニッケル粉末の混
練時の粘度は3500mPa・sであり、良好に混練さ
れている。そして塗着時の粘度は20000mPa・s
であり、その結果膜厚0.59mmと充分な膜厚を得た
が、多孔度は82%と低いものであった。
【0048】この実施例1と実施例2との多孔度の差は
以下の理由によるものと考えられる。ニッケル粉末の見
かけ密度が0.65g/cm3と大きいものを材料として
おり、充分に鎖状構造が発達していないため、混練時の
スラリー粘度はより低下してはいるが、多孔度は82%
と低く、本発明の効果は低いものであった。これはもと
もと鎖状構造が発達していないために、低粘度混練によ
る鎖状構造の破壊抑制効果は小さい結果となっている。
これらの基板A、Bの比較から、ニッケル粉末の見かけ
密度を0.60g/cm3以下とすることにより、より本
発明の効果が得られ、多孔性の高い焼結基板を得ること
ができることがわかる。さらに好ましくはニッケル粉末
の見かけ密度を0.55g/cm3以下とするとよい。
【0049】また、比較例1の基板Dでは、実施例1の
基板に比べて多孔度は低下している。この差の原因の一
つは、実施例1では増粘剤にメチルセルロースを用いて
いるため、スラリー乾燥時に乾燥初期の温度上昇でゲル
化が起こり、塗膜厚みが固定されることで乾燥後厚みが
厚くなり、乾燥後の塗膜中のニッケル密度を低くするこ
とができたためと考えられる。これに対し比較例1で
は、増粘剤にカルボキシルメチルセルロースを用いてい
るため、スラリー乾燥時にゲル化せず、塗着厚みが固定
されることなく収縮してしまい、乾燥塗膜中のニッケル
密度が高くなり、基板の多孔度も低下したと考えられ
る。また、混練時のスラリー粘度も実施例1の基板Aの
方が低いため、鎖状構造の破壊がより良好に抑制されて
いることからも多孔度に差がでたものと考えられる。
【0050】また、実施例3の基板Cでは、実施例1の
基板に比べて多孔度は低下している。この差の原因の一
つは、この実施例3では増粘剤の濃度が3.0%と高い
ために、混練時のスラリー温度を40℃にしても粘度は
9000mPa・sまでしか低下せず多孔度もあまり向
上していない。
【0051】また、比較例2,3の基板E、Fでは、実
施例1の基板に比べて多孔度は低下している。この差の
原因の一つは、この比較例2では混練時のスラリー温度
を20℃にし、粘度は13000mPa・sで充分に低
下させていないため多孔度もあまり向上していないもの
と考えられる。また比較例3では、混練時のスラリー温
度を50℃にしているため、ゲル化してしまい、鎖状構
造の破壊は更に大きく多孔度も低下している。したがっ
て、混練時のスラリーは粘度が低下しかつゲル化の起こ
らない30〜40℃で、粘度を5000mPa・s以下
とすることが望ましい。さらに好ましくは4500mP
a・s以下とするのがよい。
【0052】また、比較例4の基板Gでは、塗着時に0
℃に低下させているためスラリーは凝固し塗布不可であ
った。
【0053】また、比較例5の基板Hでは、塗着温度が
20℃であり、粘度は13000mPa・sであり、十
分な厚みが得られず、不均一でもあった。これらの比較
から、塗着時の温度は5〜15℃、スラリー粘度は15
000mPa・s以上とすることが望ましい。さらに好
ましくはスラリー粘度は20000mPa・s以上とす
るとよい。
【0054】増粘剤の濃度を低下させ、同温度でのスラ
リー粘度を低下させても、芯材への塗着時の温度を制御
することにより、スラリー粘度を所望の値に維持するこ
とができ、多孔度の高い良好な焼結基板を得ることが可
能となる。
【0055】このようにして形成された焼結基板はアル
カリ蓄電池、特に焼結式ニッケル電極用基板、焼結式カ
ドミウム負極用基板に好適である。
【0056】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば増粘剤の量を減らしているため混練時の温度を上昇さ
せなくても熱ゲル化温度以下で十分に粘度を下げること
ができ、ニッケル粉末の鎖状構造の破壊を抑制すること
ができ、塗着時には、スラリーを冷却して粘度を上昇さ
せるようにしているため、増粘剤の量を減らして同温度
でのスラリー粘度が低下しても、冷却後は塗着可能な粘
度にすることができる。
【0057】従って、スラリー塗膜乾燥時の収縮量が少
なく、厚みが均一で高多孔度の焼結基板を形成すること
が可能となる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鎖状構造を有する金属ニッケルを主体とす
    る粉末と、熱ゲル化を起こし得るように構成された増粘
    剤と、糊料溶媒とを、 前記増粘剤のゲル化が起こる温度未満の温度に加熱せし
    めて混練し、スラリーを形成する混練工程と、 前記スラリーを冷却した後、該スラリーを導電性芯体に
    塗着する塗着工程とを含むことを特徴とするアルカリ蓄
    電池用焼結基板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記鎖状構造を有する金属ニッケルを主体
    とする粉末の見かけ密度は0.60g/cm3以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池用焼
    結基板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記増粘剤は、メチルセルロースであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のアル
    カリ蓄電池用焼結基板の製造方法。
  4. 【請求項4】前記混練工程は、スラリーの混練温度が3
    0〜45℃で実行されるようにしたことを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかに記載のアルカリ蓄電池用焼結
    基板の製造方法。
  5. 【請求項5】前記混練工程は、スラリー粘度が5000
    mPa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれかに記載のアルカリ蓄電池用焼結基板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記塗着工程は、スラリー温度が5〜15
    ℃で実行されるようにしたことを特徴とする請求項1乃
    至5のいずれかに記載のアルカリ蓄電池用焼結基板の製
    造方法。
  7. 【請求項7】前記塗着工程において、スラリー粘度が1
    5000mPa・s以上であることを特徴とする請求項
    1乃至6のいずれかに記載のアルカリ蓄電池用焼結基板
    の製造方法。
JP2001334742A 2001-10-31 2001-10-31 アルカリ蓄電池用焼結基板の製造方法 Pending JP2003142108A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001334742A JP2003142108A (ja) 2001-10-31 2001-10-31 アルカリ蓄電池用焼結基板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001334742A JP2003142108A (ja) 2001-10-31 2001-10-31 アルカリ蓄電池用焼結基板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003142108A true JP2003142108A (ja) 2003-05-16

Family

ID=19149828

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001334742A Pending JP2003142108A (ja) 2001-10-31 2001-10-31 アルカリ蓄電池用焼結基板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003142108A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI454580B (zh) 具有鋁多孔質燒結體之鋁複合體的製造方法
EP2415543A1 (en) Process for producing porous sintered aluminum, and porous sintered aluminum
JP5246538B2 (ja) 全固体電池、全固体電池の製造方法及び電子伝導性付与方法
CN109713363A (zh) 锂石榴石氧化物固态电解质及其制备方法和应用
CN109300695B (zh) 一种低esr钽电解电容器的阴极及其制备方法
JP2003142108A (ja) アルカリ蓄電池用焼結基板の製造方法
CN111360264A (zh) 一种孔隙率可调的泡沫铝电极材料的制作方法
US3325698A (en) Electrical capacitor electrode and method of making the same
JP2000082639A (ja) Nbコンデンサの製造方法
CN112334254B (zh) 复合材料
US9704652B2 (en) Method for manufacturing tungsten-based capacitor element
JP5782611B2 (ja) 電気二重層型キャパシタ
JP4079667B2 (ja) アルカリ蓄電池用焼結基板およびその製造方法
EP0448854A1 (en) Improved method of making a nickel hydroxide-containing cathode for alkaline batteries
JP5164412B2 (ja) アルカリ蓄電池及び焼結基板の製造方法
JP2008205190A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JPS63105469A (ja) アルカリ電池用ニツケル基板の製法
CN116206902A (zh) 耐焊接钽电解电容器的二氧化锰阴极、电容器及其制备方法
JPH05151964A (ja) 電極の製造方法
JP2738186B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2567672B2 (ja) アルカリ蓄電池用焼結式カドミウム負極及びその製造方法
JPS6042585B2 (ja) 蓄電池電極用焼結基板の製造方法
JPH0521278A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2983664B2 (ja) 非焼結式ニッケル正極の製造方法
JP3409305B2 (ja) アルカリ蓄電池用焼結式カドミウム負極及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060104

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071126

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090407

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091006