JP2003142089A - ニッケル電極活物質の製造方法、ニッケル電極活物質、ニッケル電極用活物質ペーストの製造方法、ニッケル電極およびアルカリ蓄電池 - Google Patents

ニッケル電極活物質の製造方法、ニッケル電極活物質、ニッケル電極用活物質ペーストの製造方法、ニッケル電極およびアルカリ蓄電池

Info

Publication number
JP2003142089A
JP2003142089A JP2001341650A JP2001341650A JP2003142089A JP 2003142089 A JP2003142089 A JP 2003142089A JP 2001341650 A JP2001341650 A JP 2001341650A JP 2001341650 A JP2001341650 A JP 2001341650A JP 2003142089 A JP2003142089 A JP 2003142089A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
nickel
nickel electrode
cobalt compound
hydroxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001341650A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4370746B2 (ja
Inventor
Mitsuhiro Kodama
充浩 児玉
Minoru Kurokuzuhara
実 黒▲葛▼原
Seijiro Ochiai
誠二郎 落合
Kengo Furukawa
健吾 古川
Masaharu Watada
正治 綿田
Masahiko Oshitani
政彦 押谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yuasa Corp
Original Assignee
Yuasa Corp
Yuasa Battery Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yuasa Corp, Yuasa Battery Corp filed Critical Yuasa Corp
Priority to JP2001341650A priority Critical patent/JP4370746B2/ja
Publication of JP2003142089A publication Critical patent/JP2003142089A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4370746B2 publication Critical patent/JP4370746B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ蓄電池の負極に放電リザーブを形成
しにくい非焼結式ニッケル電極を製造するために用いら
れる活物質ペーストの安定性を高める。 【解決手段】 活物質ペーストを製造する際に用いるニ
ッケル電極活物質として、高次コバルト化合物含有水酸
化ニッケル系材料を酸の水溶液を用いて洗浄することに
より製造されたものを用いる。ここで用いられる高次コ
バルト化合物含有水酸化ニッケル系活物質は、通常、水
酸化コバルトおよび一酸化コバルトのうちの少なくとも
1つを含む水酸化ニッケル系材料を、アルカリ水溶液中
で酸化剤を用いて酸化して得られたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活物質の製造方
法、特に、ニッケル電極活物質の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】携帯電話や小型パーソナルコ
ンピュータ等の携帯用小型電子機器類、小型電動工具お
よび電気とガソリンの両方をエネルギー源として走行す
るハイブリッド自動車(HEV)等の充放電用電源とし
て、アルカリ蓄電池の一種であるニッケル水素蓄電池が
注目されており、その需要が急伸している。
【0003】このようなニッケル水素蓄電池において
は、正極にニッケル電極が用いられ、また、負極に水素
を吸蔵および放出可能な活物質(例えば、水素吸蔵合
金)を備えたものが用いられている。ここで、正極のニ
ッケル電極としては、これまで、ニッケル等の粉末を焼
結した極板に水酸化ニッケルを析出させた焼結式電極が
主として用いられてきたが、小型電動工具やHEV等の
大電流を必要とする使用目的下でのニッケル水素蓄電池
の需要急伸に伴い、最近では、焼結式電極に比べて容量
を高め易く、しかも製造が容易なことから、高密度の球
状水酸化ニッケル粉末にセルロース系等の増粘剤を混合
して調製した活物質ペーストを穿孔鋼板や発泡基板など
の電極に塗布または充填した非焼結式電極が多く用いら
れるようになりつつある。
【0004】ところが、非焼結式電極は、電極(集電
体)と活物質との距離が大きく、また、活物質同士の接
触が不十分なため、導電性が小さく、焼結式電極に比べ
て高率放電特性が劣る。このため、非焼結式電極用の活
物質として、水酸化ニッケルと水酸化コバルト等のコバ
ルト化合物とを含むものが種々提案されている(例え
ば、特開昭62−256366号公報)。このような活
物質は、アルカリ電解液中において、初期充電時にコバ
ルト化合物が酸化されてオキシ水酸化コバルト等の高次
コバルト化合物に変換され、これが水酸化ニッケル粉末
粒子間の導電性を高める緻密なネットワークを形成す
る。この結果、この非焼結式電極は、導電性が高まり、
高率放電特性が焼結式電極程度に高まることになる。
【0005】ところで、上述のような非焼結式電極をニ
ッケル水素蓄電池に使用した場合、コバルト化合物から
高次コバルト化合物が生成する反応は不可逆反応である
ため、この反応に要した初期充電電気量は、潜在的な放
電電気量(放電リザーブ)として負極側に蓄えられるこ
とになる。このような事情から、正極に非焼結式電極を
用いたニッケル水素蓄電池は、正極の容量に比べて負極
の容量が大きく設定されており、充放電容量が正極の容
量により規制されるように設定されている。したがっ
て、ニッケル水素蓄電池の容量を高めるためには、正極
の容量を高め、また、それに伴う放電リザーブを考慮し
て負極の容量も高める必要があるため、電池が大型化し
てしまう。
【0006】このため、例えば、特開平3−78965
号公報、特開平4−26958号公報、特開平7−22
026号公報、特開平8−213010号公報および特
開2000−307130号公報等には、水酸化ニッケ
ルと水酸化コバルト等のコバルト化合物とを含む上述の
ような活物質を水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の
アルカリ金属水酸化物水溶液中において酸化剤を用いて
酸化し、コバルト化合物を初期充電の前に予め高次コバ
ルト化合物に変換しておくことが提案されている。この
ようにして予め酸化処理された活物質を正極に用いたニ
ッケル水素蓄電池は、負極側に放電リザーブが形成され
にくくなるので、限られた大きさで高容量化を達成し易
くなる。
【0007】しかし、上述のようにして予め酸化処理さ
れた活物質は、酸化処理時に用いたアルカリ金属水酸化
物水溶液に由来するアルカリ金属水酸化物を吸着してい
る場合がある。このアルカリ金属水酸化物は、上述の活
物質ペースト中に溶出し、増粘剤を分解する可能性があ
る。例えば、予め酸化処理されていない活物質と増粘剤
とを混合して調製したペーストの粘度は、通常、10,
000mPa・s程度であって、この粘度は時間が経過
しても維持され得る。これに対し、予め酸化処理された
活物質と増粘剤とを混合して調製したペーストは、粘度
が当初10,000mPa・s程度であっても、数時間
程度の短時間で数百〜3,000mPa・s程度まで急
激に低下し、活物質が沈降してしまう。したがって、予
め酸化処理された活物質を用いて調製されたペースト
は、極めて不安定であって上述の穿孔鋼板や発泡基板な
どの電極に塗布または充填しにくく、非焼結式電極を製
造しにくい。
【0008】本発明の目的は、アルカリ蓄電池の負極に
放電リザーブを形成しにくい非焼結式ニッケル電極を製
造するために用いられる活物質ペーストの安定性を高め
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るニッケル電
極活物質の製造方法は、アルカリ蓄電池のニッケル電極
活物質を製造するための方法であり、高次コバルト化合
物含有水酸化ニッケル系材料を酸の水溶液を用いて洗浄
する工程を含んでいる。
【0010】この製造方法では、例えば、洗浄により得
られる洗浄液のpHが6〜10になるよう高次コバルト
化合物含有水酸化ニッケル系材料の洗浄を実施する。
【0011】また、この製造方法で用いられる高次コバ
ルト化合物含有水酸化ニッケル系材料は、通常、金属コ
バルト、水酸化コバルトおよび一酸化コバルトのうちの
少なくとも1つを含む水酸化ニッケル系材料を、アルカ
リ水溶液中で酸化剤を用いて酸化して得られたものであ
る。
【0012】この製造方法において用いられる上記酸
は、通常、強酸である。
【0013】本発明の活物質は、アルカリ蓄電池のニッ
ケル電極に用いられるものであり、高次コバルト化合物
と水酸化ニッケル系材料とを含み、アルカリ金属元素の
含有量が0.5重量%以下である。このニッケル電極活
物質は、例えば、平均酸化数が2.04〜2.40であ
る。
【0014】本発明の他の見地に係る活物質は、アルカ
リ蓄電池のニッケル電極に用いられるものであり、高次
コバルト化合物と水酸化ニッケル系材料とを含み、20
℃に設定された、アルカリ金属元素を含まない100m
lの水中に、10gを24時間放置した後における当該
水のアルカリ金属元素含有量が60ppm以下である。
【0015】本発明に係る活物質ペーストの製造方法
は、アルカリ蓄電池で用いられる、高次コバルト化合物
含有水酸化ニッケル系材料を含むニッケル電極用活物質
ペーストを製造するための方法であり、高次コバルト化
合物含有水酸化ニッケル系材料を酸の水溶液を用いて洗
浄する工程と、酸の水溶液を用いて洗浄後の高次コバル
ト化合物含有水酸化ニッケル系材料と増粘剤とを水と共
に混合する工程とを含んでいる。
【0016】本発明のニッケル電極は、アルカリ蓄電池
の正極として用いられるものであり、集電体と、当該集
電体に配置された、高次コバルト化合物と水酸化ニッケ
ル系材料とを含みかつアルカリ金属元素の含有量が0.
5重量%以下の活物質とを備えている。
【0017】本発明のアルカリ蓄電池は、高次コバルト
化合物と水酸化ニッケル系材料とを含みかつアルカリ金
属元素の含有量が0.5重量%以下の活物質を有する正
極と、水素を吸蔵および放出可能な活物質を有する負極
と、正極と負極との間に配置されたアルカリ電解液とを
備えている。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係るニッケル電極用活物
質の製造方法は、アルカリ蓄電池において用いられる非
焼結式ニッケル電極用の活物質を製造するための方法で
あり、水酸化ニッケル系活物質材料を酸の水溶液を用い
て洗浄する工程を含んでいる。
【0019】本発明において用いられる水酸化ニッケル
系活物質材料は、高次コバルト化合物を含む水酸化ニッ
ケル系材料、すなわち、高次コバルト化合物含有水酸化
ニッケル系材料である。ここで用いられる水酸化ニッケ
ル系材料は、通常、微粒子状のものであり、アルカリ蓄
電池のニッケル電極用活物質として用いられるものであ
れば特に限定されるものではないが、球状(粒子状)の
高密度水酸化ニッケルが好ましい。この水酸化ニッケル
は、アルカリ蓄電池の充放電サイクル寿命を低下させる
原因となるγ型オキシ水酸化ニッケル(γ−NiOO
H)の生成を抑制するために、マグネシウムやカルシウ
ム等の2A族元素、亜鉛やカドミウム等の2B族元素お
よびコバルトのうちの少なくとも1つの元素を固溶状態
で含有していてもよい。すなわち、この水酸化ニッケル
は、ニッケル元素の一部が、2A族元素、2B族元素お
よびコバルトのうちの少なくとも1つの元素により置換
されていてもよい。
【0020】一方、上記高次コバルト化合物は、通常、
それを構成するコバルトの酸化数が2価より大きなもの
であり、例えばオキシ水酸化コバルトである。このよう
な高次コバルト化合物は、金属コバルト、またはアルカ
リ蓄電池の電解液として用いられるアルカリ溶液中にお
いてコバルトイオンを溶出可能なコバルト化合物、例え
ばα型水酸化コバルトやβ型水酸化コバルトなどの水酸
化コバルト若しくは一酸化コバルト(以下、便宜上、高
次コバルト化合物前駆体という)を酸化処理すると調製
することができる。なお、高次コバルト化合物前駆体
は、金属コバルトおよび上述のようなコバルト化合物の
うちの2種以上の混合物であってもよい。
【0021】高次コバルト化合物含有水酸化ニッケル系
材料において、高次コバルト化合物は、水酸化ニッケル
系材料と混合された状態で含まれていてもよいし、上述
のような粒子状の水酸化ニッケル系材料の表面を被覆し
た状態で含まれていてもよい。
【0022】上述のような高次コバルト化合物含有水酸
化ニッケル系材料は、次のようにして製造することがで
きる。先ず、水酸化ニッケル系材料と高次コバルト化合
物前駆体との混合物を調製する。なお、ここでの混合物
は、(i)水酸化ニッケル系材料と高次コバルト化合物
前駆体とを単純に混合した混合物、(ii)高次コバルト
化合物前駆体が水酸化ニッケル系材料粒子の表面に被覆
されたもの、若しくは(i)と(ii)との混合物であ
る。なお、(ii)の形態の混合物は、公知の方法に従っ
て製造することができる(例えば、特開昭62−234
867号公報参照)。
【0023】次に、上述の混合物を酸化処理する。ここ
では、例えば、アルカリ水溶液を調製し、このアルカリ
水溶液中に混合物を投入する。ここで利用可能なアルカ
リ水溶液は、特に限定されるものではないが、通常はア
ルカリ蓄電池の電解液として利用可能なアルカリ金属水
酸化物の水溶液、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナト
リウムおよび水酸化リチウムのうちの少なくとも1つを
含む水溶液である。なお、上述の混合物が上記(ii)の
形態の場合、次に説明する酸化処理工程において、水酸
化ニッケル系材料がγ―NiOOHに変換するのを抑制
しやすいことから、水酸化ナトリウム水溶液を用いるの
が好ましい。
【0024】次に、混合物が投入されたアルカリ水溶液
中に酸化剤を添加し、混合物中に含まれる高次コバルト
化合物前駆体を酸化処理する。これにより、高次コバル
ト化合物前駆体は、コバルトの酸化数が2価より大きな
高次コバルト化合物(例えば、オキシ水酸化コバルト)
に化学的に変化し、目的とする高次コバルト化合物含有
水酸化ニッケル系材料が得られる。
【0025】ここで用いられる酸化剤は、特に限定され
るものではないが、酸化力が大きく、高次コバルト化合
物前駆体を効率的に酸化処理することができる点で、ペ
ルオキソ二硫酸カリウム(K228)、ペルオキソ二
硫酸ナトリム(Na228)、ペルオキソ二硫酸アン
モニウム((NH4228)、次亜塩素酸ナトリウム
(NaClO)および亜塩素酸ナトリウム(NaClO
2)のうちの少なくとも1つを用いるのが好ましい。
【0026】酸化剤の添加量は、酸化剤の種類により変
化するため一概に特定できるものではないが、高次コバ
ルト化合物前駆体を所要の高次コバルト化合物に化学変
化させるために必要な量に設定するのが好ましい。ま
た、酸化処理時においては、高次コバルト化合物前駆体
の酸化処理を促進する観点から、アルカリ水溶液の温度
を50〜130℃程度に設定するのが好ましい。
【0027】なお、上述の酸化処理工程において、高次
コバルト化合物前駆体は、全てが高次コバルト化合物に
転換されている必要はない。但し、アルカリ蓄電池の負
極の放電リザーブ量をより効果的に削減する観点から、
高次コバルト化合物前駆体は、可能な限り、高次コバル
ト化合物に化学的に変化しているのが好ましい。
【0028】因みに、上述の混合物の酸化処理は、空気
中等の酸化性雰囲気中において、当該混合物を水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウム等のア
ルカリ金属水酸化物の少なくとも1種と共に加熱する方
法により実施することもできる。
【0029】本発明において用いられる高次コバルト化
合物含有水酸化ニッケル系材料として好ましいものは、
コバルト元素を固溶状態で高次コバルト化合物含有水酸
化ニッケル系材料重量の0.5〜6重量%含む水酸化ニ
ッケル系材料を用いかつ高次コバルト化合物をコバルト
元素換算で高次コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材
料重量の2〜10重量%含むものである。
【0030】本発明で用いられる酸の水溶液は、リン
酸、硫酸および塩酸等の無機酸や酢酸等の有機酸の水溶
液であって酸性を示すものであれば特に限定されるもの
ではない。但し、本発明において用いられる酸の水溶液
は、後述するように、硫酸や塩酸等の強酸の水溶液が好
ましい。
【0031】上述の高次コバルト化合物含有水酸化ニッ
ケル系材料を上述の酸の水溶液を用いて洗浄する場合
は、例えば、酸の水溶液中に高次コバルト化合物含有水
酸化ニッケル系材料を投入して攪拌する。或いは、水中
に高次コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材料を投入
して攪拌しながら酸を適宜注入する。これにより、高次
コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材料に含まれる、
例えば上述の製造過程において用いたアルカリ金属水酸
化物等のアルカリ金属化合物やアルカリ金属イオン等が
酸の水溶液中に溶解し、高次コバルト化合物含有水酸化
ニッケル系材料から取り除かれる。
【0032】なお、この洗浄工程は、高次コバルト化合
物含有水酸化ニッケル系材料の洗浄液、すなわち酸の水
溶液のpHが6〜10になるよう実施するのが好まし
く、当該pHが6.5〜9.0になるよう実施するのが
より好ましい。洗浄液のpHが10を超える場合は、高
次コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材料に上述のア
ルカリ金属化合物やアルカリ金属イオン等が残留してい
る可能性があるため、増粘剤を用いて後述するニッケル
電極用活物質ペーストを製造した場合、残留しているア
ルカリ金属化合物やアルカリ金属イオン等が増粘剤を分
解し、当該ペーストが不安定になる可能性がある。逆
に、洗浄液のpHが6未満の場合は、高次コバルト化合
物含有水酸化ニッケル系材料を構成する高次コバルト化
合物が洗浄液中に溶解しやすくなる可能性がある。
【0033】なお、上述の洗浄工程において、酸の水溶
液としてリン酸等の弱酸の水溶液を用いた場合、高次コ
バルト化合物含有水酸化ニッケル系材料に含まれるアル
カリ金属元素と弱酸とが反応して塩基性の塩が生成す
る。この塩基性の塩は、上述の洗浄液のpHを高めるた
め、洗浄液のpHを上述の範囲に設定しにくくする可能
性がある。これに対し、塩酸や硫酸等の強酸の水溶液を
洗浄用に用いると、高次コバルト化合物含有水酸化ニッ
ケル系材料に含まれるアルカリ金属元素と強酸とが反応
して中性塩が生成する。この中性塩は、洗浄液のpHを
高めにくいため、洗浄液のpHを上述の範囲に設定しや
すくする。以上のような理由から、洗浄工程において
は、弱酸の水溶液よりも強酸の水溶液を用いるのが好ま
しい。
【0034】なお、酸の水溶液を用いて洗浄された高次
コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材料は、必要に応
じ、適宜水洗されるのが好ましい。
【0035】上述のような製造工程を経て得られるニッ
ケル電極活物質は、高次コバルト化合物含有水酸化ニッ
ケル系材料からなるもの、すなわち、高次コバルト化合
物と水酸化ニッケル系材料とを含むものであり、酸の水
溶液を用いて洗浄されている結果、通常、アルカリ金属
元素の含有量が0.5重量%以下、好ましくは0.3重
量%以下である。このように、このニッケル電極活物質
は、アルカリ金属元素の含有量が0.5重量%以下であ
るため、増粘剤を用いて後述するニッケル電極用活物質
ペーストを製造する場合に増粘剤を分解しにくく、当該
ニッケル電極用活物質ペーストの安定性を高めることが
できる。また、同じ理由により、このニッケル電極活物
質では、タップ密度低下の要因となるγ−NiOOHが
生成しにくくなる。
【0036】なお、ニッケル電極活物質中におけるアル
カリ金属元素の含有量は、例えば、原子吸光分析法に従
って求めることができる。
【0037】また、上述のニッケル電極活物質は、平均
酸化数が2.04〜2.40になるよう設定されている
のが好ましい。平均酸化数が2.04未満の場合は、後
述するニッケル電極活物質ペーストを用いて製造された
正極を備えたアルカリ蓄電池の負極において、放電リザ
ーブが削減されにくくなり、アルカリ蓄電池の小型化を
図りながら容量を高めるのが困難になる可能性がある。
逆に、平均酸化数が2.40を超える場合は、同様のア
ルカリ蓄電池において、電池容量が負極規制になって放
電容量が低下する可能性があり、その結果、アルカリ蓄
電池のサイクル寿命が損なわれる可能性がある。
【0038】なお、上述の平均酸化数は、硫酸第一鉄法
により測定した値である。具体的には、先ず、ニッケル
電極活物質に含まれる活性酸素量を求める。ここでは、
ニッケル電極活物質の粉末(試料粉末)0.1gと硫酸
第一鉄アンモニウム1gとを秤量し、これを5℃に設定
された20体積%濃度の酢酸水溶液に添加する。そし
て、約3〜10時間攪拌して完全に溶解させた後、この
溶液を1/10規定(0.02mol/l)の過マンガ
ン酸カリウム溶液を用いて滴定し、次の式(i)から活
性酸素量を算出する。
【0039】
【数1】
【0040】式(i)中、XFeは硫酸第一鉄アンモニ
ウムの秤量量(g)、Vは過マンガン酸カリウム溶液の
滴定量(ml)、fは過マンガン酸カリウム溶液のファ
クター、Xspは試料粉末の秤量量(g)である。
【0041】次に、試料粉末中に含まれるニッケル元素
量(重量%)およびコバルト元素量(重量%)を、IC
P発光分析法や原子吸光分析法などの方法により定量分
析し、次の式(ii)に基づいて平均酸化数を算出す
る。
【0042】
【数2】
【0043】因みに、ニッケル電極活物質の平均酸化数
は、高次コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材料の製
造過程における高次コバルト化合物前駆体の酸化処理の
程度や酸の水溶液を用いる上述の洗浄工程における洗浄
の程度などを適宜調整すると、上述の範囲に設定するこ
とができる。
【0044】さらに、上述のニッケル電極活物質は、結
晶性の小さなもの、例えば、X線粉末回折法における
(101)面ピークの半価幅が0.8°/2θ以上のも
のが好ましい。この半価幅が0.8°/2θ未満の場合
は、水酸化ニッケル系材料の結晶性が高くなり、粒子内
のプロトン運動が束縛されるため、規定の容量が得られ
にくくなるおそれがある。なお、ニッケル電極活物質に
おいて、このような半価幅は、例えば、水酸化ニッケル
系材料の製造時において、反応雰囲気のpHを適宜調節
することにより達成することができる(例えば、特開平
4−328257号公報参照)。
【0045】なお、上述のような製造工程を経て得られ
るニッケル電極活物質は、高次コバルト化合物含有水酸
化ニッケル系材料に含まれるアルカリ金属化合物やアル
カリ金属イオンが取り除かれているため、20℃に設定
された、アルカリ金属元素を含まない100mlの水中
(例えば純水中)に10gを24時間放置した後におけ
る当該水のアルカリ金属元素含有量が通常は60ppm
以下である。このアルカリ金属元素量は、原子吸光分析
法に従って測定することができる。
【0046】本発明のニッケル電極は、アルカリ蓄電
池、特に、ニッケル水素蓄電池の正極用として好ましく
用いられるものであり、集電体と、この集電体に配置さ
れた活物質とを備えている。ここで用いられる集電体
は、アルカリ蓄電池用のニッケル電極において利用可能
なものであれば特に限定されるものではないが、例え
ば、導電性の多孔体や網状体、穿孔鋼板若しくは発泡基
板などである。
【0047】また、ここで用いられる活物質は、上述の
ニッケル電極用活物質、すなわち、高次コバルト化合物
と水酸化ニッケル系材料とを含みかつアルカリ金属元素
の含有量が0.5重量%以下のものである。
【0048】このようなニッケル電極を製造する場合
は、先ず、本発明に係る上述の製造方法により得られた
ニッケル電極活物質を用いて活物質ペーストを調製す
る。この活物質ペーストは、当該ニッケル電極活物質と
増粘剤とを水と共に混合して練り合わせると調製するこ
とができる。この際、必要に応じ、活物質ペーストが集
電体に保持されやすいようにするため、ポリテトラフル
オロエチレンやスチレン−ブタジエンゴム等の結着剤の
適量が併せて混合されてもよい。
【0049】ここで用いられる増粘剤は、活物質ペース
トに所要の粘性を付与し、それによって当該ペーストを
集電体に塗布または充填しやすくすると共に集電体に対
して保持させ易くするためのものである。増粘剤の種類
は、ニッケル電極用活物質ペーストを製造する際に用い
られるものであれば特に限定されるものではないが、例
えば、メチルセルロース系増粘剤、メチルヒドロキシエ
チルセルロース系増粘剤、メチルヒドロキシプロピルセ
ルロース系増粘剤およびカルボキシメチルセルロース系
増粘剤などのセルロースエーテル系増粘剤、ポリエチレ
ングリコール系増粘剤などのポリエーテル系増粘剤、ポ
リビニルアルコール系増粘剤、ポリビニルアセトアミド
系増粘剤などのポリビニルアセトアミン誘導体系増粘剤
並びにポリアクリル酸系増粘剤等を用いるのが好まし
い。これらの増粘剤は、2種以上のものが適宜併用され
てもよい。
【0050】活物質ペーストの調製方法は、特に限定さ
れるものではないが、通常は、ニッケル電極活物質と粉
末状の増粘剤とを混合し、これに水を適宜加えて練り合
わせる方法や、ニッケル電極活物質と増粘剤の水溶液と
を混合して練り合わせる方法等を採用することができ
る。なお、増粘剤の水溶液を用いる場合、その濃度は、
通常、0.1〜4重量%に設定するのが好ましい。
【0051】上述の混合方法において、増粘剤の使用量
は、通常、ニッケル電極活物質量の0.01〜2重量%
に設定するのが好ましく、0.05〜0.5重量%に設
定するのがより好ましい。増粘剤の使用量が0.01重
量%未満の場合は、活物質ペーストの粘度が小さくな
り、活物質ペーストを集電体に対して塗布または充填し
にくくなる場合がある。逆に、増粘剤の使用量が2重量
%を超える場合は、活物質ペーストの粘度が高まり過
ぎ、同様の問題が生じる可能性がある。また、ニッケル
電極に含まれる水酸化ニッケル系活物質量が相対的に減
少することになるため、ニッケル電極の大きさを維持し
ながら容量を高めるのが困難になる。
【0052】なお、増粘剤として増粘剤の水溶液を用い
る場合、上述の使用量は、当該水溶液中に含まれる増粘
剤換算の量である。
【0053】活物質ペーストの製造時に用いる水の量
は、通常、活物質ペーストの水分率が10〜40重量%
になるよう設定するのが好ましく、15〜30重量%に
なるよう設定するのがより好ましい。因みに、増粘剤水
溶液を用いる場合、この水分率は、当該増粘剤水溶液に
由来の水分を含む。
【0054】また、活物質ペーストの製造時において、
ニッケル電極活物質と増粘剤との混合中の温度は、通
常、0〜80℃に設定するのが好ましく、10〜30℃
に設定するのがより好ましい。この温度が0℃未満の場
合は、増粘剤の溶解度が低下したり、ペースト粘度が大
きくなり過ぎるため、活物質ペーストを調製しにくくな
る可能性がある。逆に、80℃を超える場合は、増粘剤
の解重合が促進されてしまう可能性がある。
【0055】上述のような製造方法により製造される活
物質ペーストは、本発明に係る上述のような製造方法で
得られた、予めアルカリ金属化合物やアルカリ金属イオ
ン等が除去された高次コバルト化合物含有水酸化ニッケ
ル系材料を用いているため、増粘剤が分解(解重合)さ
れる可能性が少なく、長時間安定性を維持し得る。特
に、このニッケル電極活物質ペーストは、増粘剤の解重
合を起こしやすい、平均酸化数が2.06を超えるニッ
ケル電極活物質を用いている場合であっても、増粘剤の
解重合が効果的に抑制され、長時間安定性を維持し得
る。
【0056】次に、上述のようにして調製された活物質
ペーストを、集電体に対して塗布または充填する。塗布
または充填された活物質ペーストは、乾燥後に加圧し、
集電体の内部に密に充填するのが好ましい。このよう
に、このニッケル電極は、長時間安定な活物質ペースト
を用いて製造されているので、活物質ペーストの製造
後、集電体に塗布または充填するまでに時間的な余裕を
設けることができ、その点において従来のものに比べて
容易にかつ安価に製造することができる。
【0057】本発明のアルカリ蓄電池は、電槽と、当該
電槽内に収容された上述のようなニッケル電極(すなわ
ち正極)、負極および正極と負極との間に配置されたセ
パレータと、電槽内に注入された電解液とを主に備えて
いる。
【0058】ここで用いられる負極は、ニッケル電極を
正極とするアルカリ蓄電池において用いられるものであ
れば特に限定されるものではなく、通常、水素を吸蔵お
よび放出可能な材料、カドミウムまたは亜鉛を活物質と
するものである。ここで、水素を吸蔵および放出可能な
材料としては、水素吸蔵合金や炭素材料が用いられる。
因みに、水素吸蔵合金としてはCaCu5型構造の合
金、MmXx合金(XはNi、Co、AlおよびMnの
うちの少なくとも1種類の元素を示し、xは5、5未満
または5より大である)のニッケルの一部をアルミニウ
ム、マンガン、コバルト、チタン、銅および亜鉛のうち
の少なくとも1つで置換した多元素系合金、TiNi系
合金およびTiFe系合金等を用いることができる。な
お、Mmは希土類元素の混合物(通常はランタン、セリ
ウム、プラセオジムおよびネオジウムの混合物)を意味
している。
【0059】セパレータは、正極と負極との短絡を防止
すると共に電解液を保持するためのものであり、アルカ
リ蓄電池において利用可能なものであれば特に限定され
るものではないが、例えば、ポリプロピレン樹脂繊維な
どのポリオレフィン樹脂繊維またはポリアミド樹脂繊維
を用いて形成された不織布である。このような不織布を
形成するためのポリオレフィン樹脂繊維やポリアミド樹
脂繊維には、必要に応じてスルホン化処理やアクリル酸
などをグラフト重合して親水性が付与されていてもよ
い。
【0060】電解液は、同じくアルカリ蓄電池において
用いられるものであれば特に限定されるものではなく、
例えば、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶
液または水酸化リチウム水溶液などのアルカリ金属水酸
化物水溶液である。アルカリ金属水酸化物水溶液は、2
種以上のものが混合して用いられてもよい。
【0061】本発明のアルカリ蓄電池の正極に用いられ
るニッケル電極は、上述の製造方法により製造された活
物質ペーストを用いたものであるため、高次コバルト化
合物を含んでおり、初期充電工程において負極に形成さ
れる放電リザーブを削減することができる。つまり、ニ
ッケル電極活物質に含まれるコバルト化合物は、初期充
電工程においてニッケル電極活物質に対して導電性ネッ
トワークを付与可能な導電性コバルト化合物への化学的
な変化量が少なく、また、コバルトの酸化数が2価より
大きな高次コバルト化合物であって初期充電工程前より
導電性を有し、それが初期充電工程前からニッケル電極
活物質に対して導電性ネットワークを付与しているた
め、初期充電工程において負極に放電リザーブを形成し
にくい。このため、このようなニッケル電極を用いた本
発明のアルカリ蓄電池は、負極の容量を増加させずに正
極の容量を高めることができるので、電池サイズを維持
しながら高容量化を達成することができる。
【0062】また、このアルカリ蓄電池は、正極のニッ
ケル電極活物質において、上述のような導電性ネットワ
ークが形成されているため、高率放電特性が良好であ
る。さらに、このアルカリ蓄電池は、上述のような製造
が容易なニッケル電極を正極に用いているため、従来の
ものに比べて安価に提供することができる。
【0063】
【実施例】比較例1(ニッケル電極活物質の製造) 亜鉛およびコバルトをそれぞれ4重量%および5重量%
固溶した水酸化ニッケル粒子の表面に、公知の方法に従
ってβ−水酸化コバルト層を形成した。β−水酸化コバ
ルト層が付与された水酸化ニッケル粒子(以下、被覆水
酸化ニッケル粒子という)において、β−水酸化コバル
ト層の割合は6重量%であった。次に、被覆水酸化ニッ
ケル粒子を90℃に設定された30%水酸化ナトリウム
水溶液中に浸漬し、これに酸化剤としての次亜塩素酸ナ
トリウム(NaOCl)を被覆水酸化ニッケル粒子10
gに対して5mlの割合で添加して3時間酸化処理し
た。このようにして得られた高次コバルト化合物含有水
酸化ニッケル系材料を水洗した後に乾燥し、目的とする
ニッケル電極活物質を得た。
【0064】このニッケル電極活物質中に含まれるアル
カリ金属元素量(ナトリウム量)を原子吸光分析法に従
って求めたところ、0.6重量%であった。また、この
ニッケル電極活物質10gを純水100ml中に投入
し、20℃で24時間放置した。そして、上澄み液のア
ルカリ金属元素含有量(ナトリウム量)を原子吸光分析
法に従って測定したところ、81.74ppmであっ
た。
【0065】実施例1(ニッケル電極活物質の製造) 比較例1と同様にして高次コバルト化合物含有水酸化ニ
ッケル系材料(水洗前のもの)を調製し、その210g
を20℃に設定された700gの水に浸漬して攪拌した
ところ、当該水のpHは11.3になった。次に、この
水中で高次コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材料を
攪拌し、そこに硫酸を添加してpHが7になるまで洗浄
した。そして、高次コバルト化合物含有水酸化ニッケル
系材料をろ過して水洗した後に乾燥し、目的とするニッ
ケル電極活物質を得た。このニッケル電極活物質中に含
まれるアルカリ金属元素量(ナトリウム量)を原子吸光
分析法に従って求めたところ、0.2重量%であった。
また、このニッケル電極活物質10gを純水100ml
中に投入し、20℃で24時間放置した。そして、上澄
み液のアルカリ金属元素含有量(ナトリウム量)を原子
吸光分析法に従って測定したところ、18.55ppm
であった。
【0066】比較例2(ニッケル電極活物質ペーストの
製造) 増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(第一工業製
薬株式会社の商品名“BSH−12”)の濃度が0.6
重量%の水溶液を調製した。そして、この増粘剤水溶液
75gに比較例1で得られたニッケル電極活物質300
gを加えて25℃で30分間混合し、ニッケル電極活物
質ペーストを得た。このペーストを20℃の温度環境下
で24時間放置し、そのときの粘度の経時変化を200
rpmで1分間攪拌直後にB型粘度計を用いて測定し
た。結果を図1に示す。図1によると、このニッケル電
極活物質ペーストは、製造後5時間の間に粘度が急激に
低下しており、安定性を欠くことがわかる。
【0067】実施例2(ニッケル電極活物質ペーストの
製造) 比較例1で得られたニッケル電極活物質300gに代え
て実施例1で得られたニッケル電極活物質300gを用
い、比較例2の場合と同様にしてニッケル電極活物質ペ
ーストを得た。このペーストについて、比較例2の場合
と同様にして粘度の経時変化を測定した結果を図1に示
す。図1によると、このニッケル電極活物質ペースト
は、1日放置しても粘度の低下が軽微で安定しており、
集電体に対する塗布性、充填性が良好なことがわかる。
【0068】参考例 比較例1の方法に倣い、アルカリ金属元素量(ナトリウ
ム量)が0.8重量%のニッケル電極活物質を得た。ま
た、実施例1の方法に倣い、アルカリ金属元素量(ナト
リウム量)が0.5重量%、0.4重量%および0.1
重量%のニッケル電極活物質を得た。これらのニッケル
電極活物質を個別に用い、比較例2の場合と同様にして
ニッケル電極活物質ペーストを得た。これらの活物質ペ
ーストを20℃の温度環境下で24時間放置した後、2
00rpmで1分間攪拌直後にその粘度を測定した結果
を図2に示す。図2によると、ニッケル電極活物質中に
含まれるアルカリ金属元素量が0.5重量%を超える場
合、当該ニッケル電極活物質を用いたペーストの粘度は
一般的なペースト塗布機を用いて集電体に対して塗布可
能な粘度の下限値である1,000〜2,000mPa
・s以下になるので、集電体に充填するのが困難なこと
がわかる。
【0069】
【発明の効果】本発明に係るニッケル電極活物質の製造
方法は、高次コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材料
を酸の水溶液を用いて洗浄しているので、この方法によ
り得られるニッケル電極活物質を用いれば、アルカリ蓄
電池の負極に放電リザーブを形成しにくいニッケル電極
を製造するために用いる活物質ペーストの安定性を高め
ることができる。
【0070】本発明のニッケル電極活物質は、アルカリ
金属元素の含有量が一定量以下に規制されているので、
アルカリ蓄電池の負極に放電リザーブを形成しにくいニ
ッケル電極を製造するために用いる活物質ペーストの安
定性を高めることができる。
【0071】本発明に係るニッケル電極用活物質ペース
トの製造方法は、高次コバルト化合物含有水酸化ニッケ
ル系材料を酸の水溶液を用いて洗浄する工程を含んでい
るので、アルカリ蓄電池の負極に放電リザーブを形成し
にくいニッケル電極を製造することができる安定な活物
質ペーストを製造することができる。
【0072】本発明のニッケル電極は、高次コバルト化
合物と水酸化ニッケル系材料とを含み、しかも安定なニ
ッケル電極活物質ペーストを製造可能な上述のニッケル
電極活物質を用いているため、アルカリ蓄電池の負極に
放電リザーブを形成しにくく、容易に製造することがで
きる。
【0073】本発明のアルカリ蓄電池は、本発明に係る
ニッケル電極を備えているため、負極に放電リザーブが
形成されにくく、小型化を図りながら高容量化を達成し
やすい。また、このアルカリ蓄電池は、製造が容易な本
発明のニッケル電極を備えている結果、安価に提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2および比較例2で得られたニッケル電
極活物質ペーストの粘度変化を示すグラフ。
【図2】参考例におけるニッケル電極活物質ペーストの
粘度の測定結果を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 落合 誠二郎 大阪府高槻市古曽部町二丁目3番21号 株 式会社ユアサコーポレーション内 (72)発明者 古川 健吾 大阪府高槻市古曽部町二丁目3番21号 株 式会社ユアサコーポレーション内 (72)発明者 綿田 正治 大阪府高槻市古曽部町二丁目3番21号 株 式会社ユアサコーポレーション内 (72)発明者 押谷 政彦 大阪府高槻市古曽部町二丁目3番21号 株 式会社ユアサコーポレーション内 Fターム(参考) 5H028 BB06 BB10 EE01 EE05 HH01 HH03 5H050 AA19 BA14 CA03 CA04 CB13 CB14 CB16 EA01 EA02 EA12 GA10 GA14 GA15 HA00 HA01 HA10 HA14

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ蓄電池のニッケル電極活物質を製
    造するするための方法であって、 高次コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材料を酸の水
    溶液を用いて洗浄する工程を含む、ニッケル電極活物質
    の製造方法。
  2. 【請求項2】前記洗浄により得られる洗浄液のpHが6
    〜10になるよう前記洗浄を実施する、請求項1に記載
    のニッケル電極活物質の製造方法。
  3. 【請求項3】前記高次コバルト化合物含有水酸化ニッケ
    ル系材料が、金属コバルト、水酸化コバルトおよび一酸
    化コバルトのうちの少なくとも1つを含む水酸化ニッケ
    ル系材料を、アルカリ水溶液中で酸化剤を用いて酸化し
    て得られたものである、請求項1または2に記載のニッ
    ケル電極活物質の製造方法。
  4. 【請求項4】前記酸が強酸である、請求項1、2または
    3に記載のニッケル電極活物質の製造方法。
  5. 【請求項5】アルカリ蓄電池のニッケル電極に用いられ
    る活物質であって、 高次コバルト化合物と水酸化ニッケル系材料とを含み、 アルカリ金属元素の含有量が0.5重量%以下である、
    ニッケル電極活物質。
  6. 【請求項6】平均酸化数が2.04〜2.40である、
    請求項5に記載のニッケル電極活物質。
  7. 【請求項7】アルカリ蓄電池のニッケル電極に用いられ
    る活物質であって、 高次コバルト化合物と水酸化ニッケル系材料とを含み、 20℃に設定された、アルカリ金属元素を含まない10
    0mlの水中に、10gを24時間放置した後における
    前記水のアルカリ金属元素含有量が60ppm以下であ
    る、ニッケル電極活物質。
  8. 【請求項8】アルカリ蓄電池で用いられる、高次コバル
    ト化合物含有水酸化ニッケル系材料を含むニッケル電極
    用活物質ペーストを製造するための方法であって、 前記高次コバルト化合物含有水酸化ニッケル系材料を酸
    の水溶液を用いて洗浄する工程と、 前記酸の水溶液を用いて洗浄後の前記高次コバルト化合
    物含有水酸化ニッケル系材料と増粘剤とを水と共に混合
    する工程と、を含むニッケル電極用活物質ペーストの製
    造方法。
  9. 【請求項9】アルカリ蓄電池の正極として用いられるニ
    ッケル電極であって、 集電体と、 前記集電体に配置された、高次コバルト化合物と水酸化
    ニッケル系材料とを含みかつアルカリ金属元素の含有量
    が0.5重量%以下の活物質と、を備えたニッケル電
    極。
  10. 【請求項10】高次コバルト化合物と水酸化ニッケル系
    材料とを含みかつアルカリ金属元素の含有量が0.5重
    量%以下の活物質を有する正極と、 水素を吸蔵および放出可能な活物質を有する負極と、 前記正極と前記負極との間に配置されたアルカリ電解液
    と、を備えたアルカリ蓄電池。
JP2001341650A 2001-11-07 2001-11-07 ニッケル電極活物質の製造方法およびニッケル電極用活物質ペーストの製造方法 Expired - Fee Related JP4370746B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001341650A JP4370746B2 (ja) 2001-11-07 2001-11-07 ニッケル電極活物質の製造方法およびニッケル電極用活物質ペーストの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001341650A JP4370746B2 (ja) 2001-11-07 2001-11-07 ニッケル電極活物質の製造方法およびニッケル電極用活物質ペーストの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003142089A true JP2003142089A (ja) 2003-05-16
JP4370746B2 JP4370746B2 (ja) 2009-11-25

Family

ID=19155638

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001341650A Expired - Fee Related JP4370746B2 (ja) 2001-11-07 2001-11-07 ニッケル電極活物質の製造方法およびニッケル電極用活物質ペーストの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4370746B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010059493A (ja) * 2008-09-04 2010-03-18 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ニッケル微粉及びその製造方法
JP2010132944A (ja) * 2008-12-02 2010-06-17 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ニッケル粉の製造方法及び該製造方法により得られたニッケル粉

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010059493A (ja) * 2008-09-04 2010-03-18 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ニッケル微粉及びその製造方法
JP2010132944A (ja) * 2008-12-02 2010-06-17 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ニッケル粉の製造方法及び該製造方法により得られたニッケル粉

Also Published As

Publication number Publication date
JP4370746B2 (ja) 2009-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1164650B1 (en) Nickel rechargeable battery and process for the production thereof
JP3558590B2 (ja) アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法
WO1993008611A1 (en) Method for production of nickel plate and alkali storage battery
JP4496704B2 (ja) ニッケル水素電池の製造方法
JPWO2006064979A1 (ja) アルカリ二次電池用ニッケル電極及びその製造方法並びにアルカリ二次電池
JP2004071304A (ja) アルカリ蓄電池用正極活物質ならびにそれを用いた正極およびアルカリ蓄電池
JPH1074512A (ja) ニッケル水素二次電池とその正極
JP2002117842A (ja) アルカリ蓄電池用正極活物質およびその製造方法、アルカリ蓄電池用正極並びにアルカリ蓄電池
JP4474722B2 (ja) アルカリ蓄電池とそれに用いるアルカリ蓄電池用正極
JPH11307092A (ja) アルカリ蓄電池正極活物質用水酸化ニッケル粉末及びその製造方法
JP4569068B2 (ja) ニッケル電極用増粘剤、ニッケル電極及びその製造方法、並びに、アルカリ蓄電池
JPH0221098B2 (ja)
JP4370746B2 (ja) ニッケル電極活物質の製造方法およびニッケル電極用活物質ペーストの製造方法
JP4432285B2 (ja) アルカリ蓄電池用ニッケル電極活物質、アルカリ蓄電池用ニッケル電極およびアルカリ蓄電池
JP2003109586A (ja) ニッケル電極活物質ペーストの製造方法、ニッケル電極活物質ペースト、ニッケル電極およびアルカリ蓄電池
JP2003077468A (ja) ニッケル電極材料の製造方法
JP4552319B2 (ja) アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法
JP4366722B2 (ja) アルカリ蓄電池用水酸化ニッケル活物質
JP3249414B2 (ja) アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極の製造方法
JP2003077469A (ja) ニッケル電極材料、その製造方法、ニッケル電極、及びアルカリ蓄電池
JP2003249214A (ja) アルカリ蓄電池およびアルカリ蓄電池用ニッケル電極、ニッケル電極用活物質粉末。
JP2000058062A (ja) アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極
JP3229800B2 (ja) アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極
JP2003217591A (ja) 非焼結式ニッケル電極およびアルカリ電池
JP4479136B2 (ja) ニッケル電極材料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040922

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20060404

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080130

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080220

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20080229

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080326

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080229

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090811

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090824

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120911

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4370746

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120911

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120911

Year of fee payment: 3

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120911

Year of fee payment: 3

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120911

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120911

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130911

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees