JP2003140333A - 剥離作業性に優れた感光性カバーレイフィルム - Google Patents

剥離作業性に優れた感光性カバーレイフィルム

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JP2003140333A
JP2003140333A JP2001335928A JP2001335928A JP2003140333A JP 2003140333 A JP2003140333 A JP 2003140333A JP 2001335928 A JP2001335928 A JP 2001335928A JP 2001335928 A JP2001335928 A JP 2001335928A JP 2003140333 A JP2003140333 A JP 2003140333A
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film
photosensitive
coverlay
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layer structure
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JP2001335928A
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English (en)
Inventor
Kaoru Kokawara
薫 高河原
Yoshifumi Okada
好史 岡田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Materials For Photolithography (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】感光性カバーレイフィルムは、使用時に保護フ
ィルムや支持体フィルムを剥離したりする必要がある
が、感光性フィルムへの剥離強度が強すぎると、剥離時
に無理な力がかかって、感光性フィルムがシワになった
り、感光性フィルムを積層される側の基板に傷がついた
りしやすいという問題があった。 【解決手段】感光性フィルムに対して剥離性の良好な保
護フィルムおよび支持体フィルムを用いることにより、
使用時に保護フィルムを容易に剥離でき作業性が向上す
る。また、パターン露光後に支持体フィルムを剥離する
際に無理な力を加える必要がないので、感光性フィルム
や基板を傷つけることがなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性フィルムに
関するものであって特にフレキシブルプリント配線板用
の感光性カバーレイフィルムに関する。
【0002】ここで感光性フィルムには、大きく分けて
2種類ある。まず1つ目は、プリント配線板などの銅の
回路を形成するためのエッチングレジストの役割を果た
した後に最終的には剥離されるレジストフィルム()
である。2つ目は、プリント配線板などの回路の上に積
層され、マスクパターンをのせて露光・現像により所定
の位置に穴あけを行うことのできる感光性フィルムとい
う役割と、その後、熱硬化させて回路の絶縁保護フィル
ムという役割の2つを果たす感光性カバーレイフィルム
()である。本発明は後者の感光性カバーレイフィル
ムに属する。
【0003】フレキシブルプリント配線板の作製におけ
る上記2種類の感光性フィルムの具体的な使用方法とし
ては、まず、「ポリイミドフィルム/接着剤層/銅箔」
をこの順に積層し圧着させる。この積層体の銅箔面上に
レジストフィルム()を積層し(もしくは感光性樹脂
を塗布・乾燥し)、さらにその上にマスクパターン(描
きたい銅の回路パターンの図が描かれている)を載せて
露光・現像する。現像後のレジストフィルムをエッチン
グレジストとして銅をエッチングすると、所望の銅の回
路パターンを描くことができる。その後、不要となった
レジストフィルムは剥離される。
【0004】このように作製された銅回路付積層板(銅
回路付CCL)の銅の回路上に、絶縁保護フィルム(カ
バーレイフィルム)を積層するわけであるが、ここで感
光性カバーレイフィルム()を用いる。銅回路付CC
Lに感光性カバーレイフィルムを積層し、マスクパター
ン(導通をとりたい部分に穴あけができるようなパター
ンが描かれている)をのせて露光・現像すると、導通を
とりたい部分のみに穴があく。
【0005】現像後の「銅回路付CCL/感光性カバー
レイフィルム」積層体を熱硬化させてフレキシブルプリ
ント配線板が作製される。硬化した感光性カバーレイフ
ィルムは銅回路の絶縁保護フィルム(カバーレイフィル
ム)となる。穴があいた部分には、半田により端子がつ
なげられたりする。
【0006】本発明は、フレキシブルプリント配線板や
パソコンのハードディスク装置のヘッド部分に使用され
るカバーレイフィルムとなる、支持体フィルムと保護フ
ィルムを有する、剥離作業性に優れた感光性ドライフィ
ルムレジストに関する。
【0007】
【従来の技術】感光性フィルムのうち、特にフレキシブ
ルプリント配線板用の感光性カバーレイフィルムは、銅
貼積層板(CCL)を用いて形成されたフレキシブルプ
リント配線板の銅回路パターンの絶縁保護及び屈曲特性
の向上を目的に使用される。
【0008】フレキシブルプリント配線板の絶縁保護フ
ィルム(カバーレイフィルム)の製造方法としては、従
来、片面に接着剤がついたポリイミドフィルム等からな
るカバーレイフィルムの所定の位置に穴をあけ、この穴
をあけたカバーレイフィルムを銅回路付CCLの上に熱
ラミネート又はプレスなどにより積層する方法が一般的
である。
【0009】しかし、フレキシブルプリント配線板にお
ける配線の微細化が進むにつれ、カバーレイフィルムに
回路の端子部や部品との接合部に穴や窓をあけてからC
CL上の回路と位置合わせをする方法は、作業性や位置
精度の点から限界があり、歩留まりが悪いという問題が
ある。
【0010】また、回路を形成したCCL上に片面に接
着剤のついたポリイミドフィルム等からなるカバーレイ
フィルムを熱圧着した後に、レーザーエッチングやプラ
ズマエッチングなどの方法により、カバーレイフィルム
の所定の位置にのみに穴をあける第二の方法があるが、
位置精度は大変良好であるが穴あけに時間がかかり、装
置や運転コストが高いという欠点がある。
【0011】これらの課題を解決するために、カバーレ
イフィルムとして感光性樹脂組成物を用いる方法、もし
くは感光性樹脂組成物から作製される感光性カバーレイ
フィルムを用いる方法がある。
【0012】この方法では、感光性樹脂組成物を回路が
形成されたCCL上に塗布して感光性カバーレイ層を形
成、もしくは感光性カバーレイフィルムを回路が形成さ
れたCCL上に熱圧着し、フォトマスクパターンをのせ
て露光し、ベースフィルムを剥離、アルカリ現像するこ
とにより、所定の位置に精度良く穴をあけることができ
る。さらに必要に応じて熱硬化させてカバーレイフィル
ムとすることができる。本発明はこの感光性カバーレイ
フィルムに属する。
【0013】感光性カバーレイフィルムは通常、支持体
フィルムと保護フィルムが積層された状態になってお
り、支持体フィルムおよび保護フィルムの剥離性が感光
性カバーレイフィルムの使い易さに大きく影響する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、支持
体フィルムおよび保護フィルムの剥離性に優れた感光性
フィルムの実用化である。更に詳しくは、支持体フィル
ムの感光性フィルムからの剥離強度の方が、保護フィル
ムの感光性フィルムからの剥離強度よりも大きく、選択
的に保護フィルムが剥離しやすいことを特徴とする感光
性フィルムに関する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、以下の構成を
とることにより達成される。 1)支持体フィルム、感光性フィルムを積層してなる二
層構造シートであって、支持体フィルムと感光性フィル
ムとの剥離強度が、0.5Pa・m以上かつ200Pa
・m以下であることを特徴とする感光性カバーレイフィ
ルム。 2)支持体フィルム、感光性フィルム、保護フィルムを
この順に積層してなる三層構造シートであって、支持体
フィルムと感光性フィルムとの剥離強度が、0.5Pa
・m以上かつ200Pa・m以下であることを特徴とす
る感光性カバーレイフィルム。 3)支持体フィルム、感光性フィルム、保護フィルムを
この順に積層してなる三層構造シートであって、保護フ
ィルムと感光性フィルムとの剥離強度が0.1Pa・m
以上かつ100Pa・m以下であることを特徴とする
2)に記載の感光性カバーレイフィルム。 4)支持体フィルムと感光性フィルムとの剥離強度が、
保護フィルムと感光性フィルムとの剥離強度の1.2倍
以上5倍以下であることを特徴とする1)〜3)いずれ
か一項に記載の感光性カバーレイフィルム。 5)上記感光性フィルムがポリイミドを含有することを
特徴とする1)〜4)いずれか一項に記載の感光性カバ
ーレイフィルム。 6)上記感光性フィルムが(A)可溶性ポリイミド、
(B)炭素間二重結合を少なくとも1つ含む(メタ)ア
クリル系化合物を必須成分とする感光性樹脂組成物から
なる感光性フィルムであることを特徴とする1)〜5)
いずれか一項に記載の感光性カバーレイフィルム。 7)(A)、(B)成分に加え、(C)リンおよび/ま
たはハロゲンおよび/またはシロキサン部位を含有する
化合物を必須成分とする感光性樹脂組成物からなる感光
性フィルムであることを特徴とする1)〜6)いずれか
一項に記載の感光性カバーレイフィルム。 8)前記(A)および(B)および(C)成分の合計量
に対して(A)成分を30〜70重量%、(B)成分を
5〜50重量%、かつ(C)成分を1〜50重量%含有
する感光性樹脂組成物から作製される感光性フィルムで
あることを特徴とする1)〜7)いずれか一項に記載の
感光性カバーレイフィルム。 9)前記(A)、(B)、(C)成分に加え、さらに
(D)光反応開始剤および/または増感色素を配合して
なる7)または8)記載の感光性樹脂組成物から作製さ
れることを特徴とする感光性フィルムであることを特徴
とする感光性カバーレイフィルム。 10)感光性フィルムの厚みが5〜75μmであること
を特徴とする1)〜9)いずれか一項に記載の感光性カ
バーレイフィルム。 11)支持体フィルムの厚みが5〜50μmであること
を特徴とする1)〜10)いずれか一項に記載の感光性
カバーレイフィルム。 12)保護フィルムの厚みが5〜50μmであることを
特徴とする2)〜11)いずれか一項に記載の感光性カ
バーレイフィルム。 13)Bステージ状態の圧着可能温度が20℃〜150
℃であることを特徴とする1)〜12)いずれか一項に
記載の感光性カバーレイフィルム。 14)前記1)〜13)の感光性カバーレイフィルムを
カバーレイとして用いることを特徴とする、フレキシブ
ルプリント配線板。 15)前記1)〜13)の感光性カバーレイフィルムを
カバーレイとして用いることを特徴とする、パソコンの
ハードディスク駆動装置のヘッド。 16)前記5)〜8)いずれか一項に記載の(A)、
(B)、(C)成分を含む感光性樹脂組成物の有機溶媒
溶液を支持体フィルムの上に塗布し乾燥する工程を含
む、二層構造シートからなる感光性カバーレイフィルム
の製造方法。 17)前記16)に記載の二層構造シートからなる感光
性カバーレイフィルムに保護フィルムを積層する工程を
含む、三層構造の感光性カバーレイフィルムの製造方
法。
【0016】本発明における剥離性の良好な支持体フィ
ルムおよび保護フィルムを有する感光性カバーレイフィ
ルムを用いることにより、支持体フィルムおよび保護フ
ィルムが剥離しやすいため、作業性が向上する。
【0017】また、支持体フィルムの感光性フィルムか
らの剥離強度の方が、保護フィルムの感光性フィルムか
らの剥離強度よりも小さいようにすれば、選択的に保護
フィルムを剥離することが可能となるため、作業性はさ
らに向上する。
【0018】支持体フィルムの材料としては、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレ
ンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通
常市販されている各種のフィルムが使用可能であるが、
これらに限定されるものではない。
【0019】ある程度の耐熱性を有し、比較的安価に手
に入ることから、支持体フィルムとしてはPETフィル
ムが多く用いられる。
【0020】また、支持体フィルムの感光性フィルムと
の接合面については、適度な密着性と剥離性をもたせる
ために、表面処理されているものが好ましい。
【0021】支持体フィルムの感光性フィルムとの接合
面と、感光性フィルムとの剥離強度は、0.5Pa・m
以上かつ200Pa・m以下であることが好ましい。支
持体フィルムと感光性フィルムとの剥離強度が0.5P
a・m未満であると支持体フィルムの感光性フィルムの
密着性が悪い傾向がある。また、200Pa・mより大
きいと剥離性が悪いため、剥離する時に無理な力がかか
り感光性フィルムが破れたりシワになったりすることが
ある。
【0022】剥離強度の測定 この剥離強度の測定は、以下のようにして測定できる。
【0023】まず、支持体フィルムと感光性フィルムと
が積層されたサンプルを、2cm幅、長さ7cmの大き
さにカットし、感光性フィルム側をアルミニウム板(厚
み3mm)などの支持体の上に両面テープで貼り付け
る。テンシロンを用いて支持体フィルムを90°に引っ
張って剥離する時に必要な力(N)を測定する。測定値
を0.02(サンプルの幅:m)で割った値がそのまま
剥離強度(単位Pa・m)となる。
【0024】また、支持体フィルムの厚みは5μm以上
50μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは
10μm以上30μm以下である。厚みが小さすぎると
シワになりやすく操作性が悪い傾向があり、また厚みが
大きすぎると、長尺シートの感光性ドライフィルムレジ
ストを作製した場合に全体の重量が重くなりすぎるとい
う問題がある。
【0025】さらに「支持体フィルム/感光性フィル
ム」の積層体(二層構造)の感光性フィルム上にさらに
保護フィルムを積層し、三層構造からなる感光性ドライ
フィルムレジストとしてもよい。保護フィルムは、感光
性フィルム面に10℃〜50℃の温度でラミネートして
積層することが好ましい。
【0026】保護フィルムは使用時には剥離するため、
保護フィルムと感光性フィルムとの接合面は、保管時に
は適度な密着性を有し、同時に剥離しやすさを兼ね備え
ていることが好ましい。
【0027】保護フィルムと感光性フィルムとの剥離強
度は、0.1Pa・m以上かつ100Pa・m以下であ
ることが好ましい。保護フィルムと感光性フィルムとの
剥離強度が0.1Pa・m未満であると保護フィルムの
感光性フィルムの密着性が悪く空気が入りやすい傾向が
ある。また、100Pa・mより大きいと保護フィルム
を感光性フィルムから剥離するのに力がかかり、手間が
かかることがある。
【0028】この剥離強度の測定は、以下のようにして
測定できる。
【0029】まず、支持体フィルム/感光性フィルム/
保護フィルムがこの順で積層されたサンプルを、2cm
幅、長さ7cmの大きさにカットし、支持体フィルム側
をアルミニウム板(厚み3mm)などの支持体の上に両
面テープで貼り付ける。テンシロンを用いて保護フィル
ムのみを90°に引っ張って剥離する時に必要な力
(N)を測定する。測定値を0.02(サンプルの幅:
m)で割った値がそのまま剥離強度(単位Pa・m)と
なる。
【0030】この時、保護フィルムと感光性フィルムと
の剥離強度は、支持体フィルムと感光性フィルムとの剥
離強度の1.2倍以上5倍以下であることが好ましい。
こうすることにより、選択的に保護フィルムの方を感光
性フィルムから剥離することが可能となる。
【0031】剥離性については、感光性フィルムの材質
によっても異なるが、保護フィルムの材質や表面処理の
されたフィルムを選択することにより、ある程度コント
ロールすることができる。
【0032】保護フィルムの材料としては、ポリエチレ
ンフィルム(PEフィルム)、ポリエチレンビニルアル
コールフィルム(EVAフィルム)、「ポリエチレンと
エチレンビニルアルコールの共重合体フィルム」((以
下(PE+EVA)共重合体フィルムと略す)、「PE
フィルムと(PE+EVA)共重合体フィルムの貼り合
せ体」、もしくは「(PE+EVA)共重合体とポリエ
チレンとの同時押し出し製法によるフィルム」(片面が
PEフィルム面であり、もう片面が(PE+EVA)共
重合体フィルム面であるフィルムとなる)などが挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。PEフィル
ムは安価であり表面の滑り性がよいという長所がある。
また、(PE+EVA)共重合体フィルムは、感光性フ
ィルムへの適度な密着性と剥離性を同時に有するが、表
面の滑り性はあまり良くないという特徴がある。
【0033】そこで、「PEフィルムと(PE+EV
A)共重合体フィルムの貼り合せ体」、もしくは「(P
E+EVA)共重合体とポリエチレンとの同時押し出し
製法によるフィルム」を保護フィルムとして用いて、感
光性フィルムとの接合面には(PE+EVA)共重合体
フィルム面が接するようにし、支持体フィルムとの接触
する側にはPEフィルム面が来るようにするという方法
が好ましい。
【0034】この保護フィルムを用いることにより、保
護フィルム/感光性フィルム/支持体フィルムからなる
三層構造シートをロール状に巻き取った場合に三層構造
シートの表面の滑り性が良くなるという利点がある。
【0035】また保護フィルムに遮光性を持たせてもよ
く、その方法としては、感光性フィルムに含有される光
開始反応剤および増感色素が吸収する範囲の波長の光を
カットするような色にPEフィルムを着色する方法がと
られる。
【0036】上記の保護フィルムのうち、「PEフィル
ムと(PE+EVA)共重合体フィルムの貼り合せ体」
については、延伸ポリエチレンフィルムに(PE+EV
A)共重合体フィルムを接着剤により貼り合せて作製さ
れる。また、共重合体フィルム面にはコロナ処理などの
易接着化処理を施したものが好ましい。貼り合わせ製法
の場合、(PE+EVA)共重合体フィルムとOPEフ
ィルムを貼り合わせる方法としては、種々挙げられる
が、OPEフィルム上に接着剤を薄くコーティングし、
乾燥した後、該接着剤面と(PE+EVA)共重合体フ
ィルムのコロナ処理面とを熱ロールでラミネートするの
が一般的である。上記貼り合わせに用いられる接着剤
は、特に限定されるものではなく、通常の市販の接着剤
が使用できるが、特にウレタン系接着剤が有効に使用さ
れる。
【0037】また、「(PE+EVA)共重合体とポリ
エチレンとの同時押し出し製法によるフィルム」につい
ては、同時押し出しの際に、ポリエチレンとエチレンビ
ニルアルコール樹脂の共重合体からなる樹脂の量と、ポ
リエチレン樹脂の量を調整することにより、作製される
フィルムの(PE+EVA)共重合体フィルムとPEフ
ィルムそれぞれの厚みを制御することができる。この方
法では片面がPEフィルム面、もう片面が(PE+EV
A)共重合体フィルム面となるフィルムが得られる。該
(PE+EVA)共重合体フィルムとしては、潤滑剤、
静電防止剤などの添加剤を含まないことが好ましい。該
(PE+EVA)共重合体フィルムは感光性フィルム面
と直接に接するので、これらの添加剤が保護フィルムか
らブリードアウトして感光性フィルムに転写すると、感
光性フィルムとCCLとの密着性や接着性を低下させる
おそれがある。従って、保護フィルムに添加剤を使用し
たり、表面処理を行ったりする場合は、これらの点に十
分配慮する必要がある。ここで保護フィルムの厚みは5
μm以上50μm以下であることが好ましい。さらに好
ましくは10μm以上30μm以下である。厚みが小さ
すぎるとシワになりやすくまた剥離しにくい傾向があ
り、また厚みが大きすぎると、長尺シート状の感光性ド
ライフィルムレジストを作製した場合に全体の重量が重
くなりすぎるという問題がある。また、感光性フィルム
の厚みは5μm以上75μm以下であることが好まし
い。さらに好ましくは10μm以上60μm以下、最も
望ましくは15μm以上40μm以下である。感光性フ
ィルムの厚みが小さすぎると、プリント配線板などの銅
回路とベースフィルムとの凹凸を埋め込むことができ
ず、また回路を形成したCCLと感光性フィルムの積層
した後に表面の平坦性を保つことができないために屈曲
性が悪くなるといった問題が発生する傾向がある。ま
た、厚みが大きすぎると、微細なパターンを現像しにく
く解像度が低下したり、硬化後のサンプルの反りが発生
しやすいという傾向がある。本発明の感光性フィルムド
ライレジストは、支持体フィルムの上に感光性樹脂の有
機溶媒溶液を均一に塗布し、乾燥した後、保護フィルム
を10〜50℃の温度でラミネートする方法が一般的で
ある。保護フィルムを積層する前の二層構造シートの状
態で保存するならば、感光性フィルム面が乾燥したり酸
素に触れたりしないようにロール状に巻き取って保存し
てもよい。また、保護フィルムを積層して三層構造シー
トの状態であれば、ロール状に巻き取って保存してもよ
いし、ある適当な大きさにカットしてシート状のものを
積み重ねた状態で保存してもよい。感光性フィルムは、
空気に長時間触れると、ゴミが付着しやすいといった問
題のほか、空気中の酸素や水分により感光性フィルムの
貯蔵安定性が極端に低下するので二層構造シートの状態
で保存するよりは、保護フィルムを積層して三層構造シ
ートの状態で保存する方が好ましい。次に、感光性フィ
ルム層の材料となる感光性樹脂組成物について説明す
る。ベースポリマーとして、重量平均分子量が10,0
00〜300,000、好ましくは10,000〜15
0,000、更に好ましくは30,000〜100,0
00の範囲のカルボキシル基含有ポリマーが好ましい。
たとえば以下のものが挙げられるが、それに限定される
ものではない。カルボキシル基含有ポリマーとしては、
たとえば、(メタ)アクリレートを主成分とし、これに
エチレン性不飽和カルボン酸を共重合したアクリル系共
重合体が挙げられるが、必要に応じ、他の共重合可能な
モノマーを共重合したアクリル系共重合体とすることも
可能である。この場合の各成分の含有量は(メタ)アク
リレート成分が15〜85重量%、好ましくは30〜8
0重量%、エチレン性不飽和カルボン酸成分が15〜8
5重量%、好ましくは20〜70重量%、他の共重合可
能なモノマー成分が0〜15重量%である。ここで(メ
タ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベ
ンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
グリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。これ
に反応させるエチレン性不飽和カルボン酸としては、例
えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカ
ルボン酸が好適に用いられ、そのほか、マレイン酸、フ
マール酸、イタコン酸等のジカルボン酸、あるいはそれ
らの無水物やハーフエステルも用いることができる。こ
れらの中では、アクリル酸とメタクリル酸が特に好まし
い。他の共重合可能なモノマーとしては、例えばテトラ
ヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リルジメチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレ
ート、(メタ)アクリルアミド、2,2,3,3−テト
ラフルオロプロピル(メタ)アクリレートアクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、α−メチル
スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アルキルビニ
ルエーテル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ
る。このようにして得られるカルボキシル基含有ポリマ
ーには、上記以外に、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂
等を併用することもできる。又、該カルボキシル基含有
ポリマーの重量平均分子量は10,000〜300,0
00、好ましくは10,000〜150,000、更に
好ましくは30,000〜100,000の範囲のもの
が好ましく、分子量が小さいとフィルム形成能に劣り、
逆に大きいと現像されにくく、解像度の低下を招いたり
する傾向にある。また、カルボキシル基含有ポリマーと
しては以下に説明する可溶性ポリイミドであってもよ
い。(A)成分として可溶性ポリイミドを用いる感光性
ドライフィルムレジストを用いることにより、これをカ
バーレイフィルムとして被覆したフレキシブルプリント
配線板に、プラスチック材料の難燃性試験規格UL94
V−0を満たすような難燃性および自己消火性、耐熱
性、優れた機械特性、良好な電気絶縁性、耐アルカリ性
を付与することができる。なお、可溶性ポリイミドと
は、テトラヒドロフラン100gに、20℃において
1.0g以上溶解するものをいう。
【0038】可溶性ポリイミドは、例えば以下の製法に
より作製される。本発明に用いられる可溶性ポリイミド
は、その前駆体であるポリアミド酸から得ることができ
るが、ポリアミド酸は、有機溶剤中ジアミンと酸二無水
物と反応させることにより得られる。アルゴン、窒素等
の不活性雰囲気中において、ジアミンを有機溶媒中に溶
解あるいは、スラリー状に拡散させ、酸二無水物を有機
溶媒に溶解、スラリー状に拡散させた状態、あるいは固
体の状態で添加する。
【0039】この場合のジアミンと酸二無水物が実質上
等モルであれば、酸成分1種・ジアミン成分1種のポリ
アミド酸になるが、それぞれ2種以上の酸二無水物成分
及びジアミン成分を用い、ジアミン成分全量と酸二無水
物成分全量のモル比を実質上等モルに調整してポリアミ
ド酸共重合体を任意に得ることもできる。例えば、ジア
ミン成分−1及びジアミン成分−2を有機極性溶媒中に
先に加えておき、ついで酸二無水物成分を加えて、ポリ
アミド酸重合体の溶液としてもよい。また、ジアミン成
分−1を有機極性溶媒中に先に加えておき、酸二無水物
成分を加え、しばらく攪拌してからジアミン成分−2を
加え、ポリアミド酸重合体の溶液としてもよい。もしく
は、酸二無水物成分を有機極性溶媒中に先に加えてお
き、ジアミン成分−1を加え、しばらく攪拌してからジ
アミン成分−2を加え、さらにしばらく攪拌してからジ
アミン成分−3を加えて、ポリアミド酸重合体の溶液と
してもよい。
【0040】この時の反応温度は、−20℃〜90℃が
望ましい。反応時間は30分から24時間程度である。
【0041】ここで、ポリアミド酸の平均分子量は50
00〜1000000であることが望ましい。平均分子
量が5000未満では、できあがったポリイミド組成物
の分子量も低くなり、そのポリイミド組成物をそのまま
用いても樹脂が脆くなる傾向にある。一方、10000
00を越えるとポリアミド酸ワニスの粘度が高くなる傾
向にあり、取扱いが困難となる場合がある。
【0042】また、このポリイミド樹脂に各種の有機添
加剤、或は無機のフィラー類、或いは各種の強化材を複
合することも可能である。
【0043】ここでポリアミド酸の生成反応に使用する
有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシ
ド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホル
ムアミドなどのホルムアミド系溶媒、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メ
タノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセ
ロソルブ等のセロソルブ系などをあげることができ、こ
れらを単独または混合物として用いるのが望ましいが、
ポリアミド酸を合成した後、このポリアミド酸の溶液を
減圧下に加熱して、溶媒の除去とイミド化を同時に行う
ので、ポリアミド酸を溶解し、なるべく沸点の低いもの
を選択することが、工程上有利である。
【0044】次に、ポリアミド酸をイミド化する工程に
ついて説明する。
【0045】ポリアミド酸がイミド化する際には、水を
生成する。この生成した水は、ポリアミド酸を容易に加
水分解し分子量の低下を引き起こす。この水を除去しな
がらイミド化する方法として、 1)トルエン・キシレン等の共沸溶媒を加え共沸により
除去する方法、 2)無水酢酸等の脂肪族酸二無水物とトリエチルアミン
・ピリジン・ピコリン・イソキノリン等の3級アミンを
加える化学的イミド化法、 3)減圧下に加熱イミド化する方法 がある。いずれの方法でもよいが、イミド化により生成
する水を減圧下に加熱し、積極的に系外に除去すること
により加水分解を抑え、分子量低下を避けることができ
るという点から3)の方法が最も望ましい。
【0046】減圧下、加熱乾燥できるなら方法は問わな
いが、バッチ式の方法として、真空オーブン、連続式の
方法として、例えば減圧装置の付随した押出し機により
実施できる。押出し機は、2軸或いは3軸押出し機が好
ましい。これらの方式は、生産量により選択される。こ
こでいう「減圧装置の付随した押出し機」とは、熱可塑
樹脂の加熱および溶融押出しを行う、一般的な例えば2
軸或いは3軸溶融押出し機に、減圧して溶媒を除去する
装置を付随させた装置であり、従来の溶融押出し機に付
設することもできるし、新たに減圧機能を組み込んだ装
置を作成することもできる。この装置により、ポリアミ
ド酸溶液が、押出し機により混練されながら、ポリアミ
ド酸はイミド化され、溶媒とイミド化時に生成した水は
除去され、最終的には生成した可溶性ポリイミドが残
る。
【0047】イミド化の加熱条件は、80〜400℃で
ある。イミド化が効率よく行われ、しかも水が効率よく
除かれる100℃以上、望ましくは120℃以上であ
る。最高温度は、用いるポリイミドの熱分解温度以下に
設定することが望ましく、通常、250〜350℃程度
でイミド化は、ほぼ完了するため、最高温度をこの程度
にすることもできる。
【0048】減圧する圧力の条件は、圧力が小さいほう
が好ましいが、上記加熱条件でイミド化時に生成する水
が効率よく除去される圧力であればよい。具体的には、
減圧加熱する圧力は0.09MPa〜0.0001MP
aであり、望ましくは、0.08MPa〜0.0001
MPa、さらに望ましくは、0.07MPa〜0.00
01MPaである。
【0049】このポリイミドに用いられる酸二無水物
は、酸二無水物であれば特に限定されないが、芳香環を
1〜4個有する酸二無水物または脂環式の酸二無水物を
用いることが、耐熱性の点から好ましい。
【0050】これらのテトラカルボン酸二無水物は、単
独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
カルボン酸二無水物として例えば、3,3’,4,4’
−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,
4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェ
ニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジ
カルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジ
フェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パー
フルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
等の芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることがで
きる。
【0051】これらの酸二無水物の中でも、芳香環を1
〜4個有する酸二無水物または脂環式の酸二無水物を用
いることが、耐熱性の点から好ましい。これらのテトラ
カルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み合わ
せて用いることができる。特に、有機溶媒への溶解性の
高いポリイミドを得るためにさらに好ましくは、下記群
1:化1
【0052】
【化1】 (式中R1は、―、エーテル基、カルボキシル基、−S
2−、もしくは2価の有機基を、Xはエーテル基もし
くはエステル基を示す。) の構造で表されるような、芳香環を持つ酸二無水物を一
部用いることが望ましい。さらに好ましくは、芳香環を
4つ持つ酸二無水物を一部用いることが望ましい。
【0053】次に、このポリイミドに用いられるジアミ
ンとしては、ジアミンであれば特に限定されないが、1
分子中に水酸基および/またはカルボキシル基を有する
ジアミン成分を少なくとも全ジアミン成分の一部として
用いることが好ましい。このことにより生成するポリイ
ミドに水酸基側鎖および/もしくはカルボキシル基側鎖
を持たせることでき、得られる感光性樹脂組成物のアル
カリに対する溶解性を上げることができる。従ってこの
感光性樹脂組成物を用いた感光性ドライフィルムレジス
トは、アルカリ溶液を現像液として用いることができ
る。さらに、ポリイミドの水酸基側鎖および/もしくは
カルボキシル基側鎖をエポキシ樹脂やエポキシアクリレ
ートなどと反応させて、他の反応性官能基をポリイミド
に導入することもできる。
【0054】このポリイミドに用いられるジアミンは、
耐熱性と可溶性のバランスをとることができる点から、
下記一般式(1):化2
【0055】
【化2】 (式中、R2は、−,−CO−,−O−,−C(CF3
2−,−C(CH32−,−COO−,−SO2−を、R
3は同一または異なって、水素、水酸基、カルボキシル
基、ハロゲン、メトキシ基,C1〜C5のアルキル基
を、aは0,1,2,3を、bおよびcは、0,1,
2,3,4を示す。) で表されるジアミンを用いることが好ましい。とくに、
一般式(1)中のR3が水酸基もしくはカルボキシル基
であるジアミンを用いると、ポリイミドのアルカリ水溶
液への溶解性を上げることができる。これらのジアミン
化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いること
ができる。
【0056】また、上記一般式(1)で表されるジアミ
ンは、得られるポリイミドの可溶性が高くなるという点
から、全ジアミン中5〜95モル%用いることが好まし
い。さらに望ましくは、全アミン中10〜70モル%で
ある。また、フィルムの弾性率を下げることができると
いう点から、ジアミンの一部としてシリコンジアミンを
用いてもよい。また、水酸基及び/またはカルボキシル
基を有するジアミンを全ジアミン成分の一部に用いるこ
とにより、前記可溶性ポリイミドに水酸基および/また
はカルボキシル基を導入し、アルカリに対する溶解性が
向上させることができる。
【0057】水酸基及び/またはカルボキシル基を有す
るジアミンとしては、水酸基及び/またはカルボキシル
基を有していれば特に限定されることはないが、例え
ば、ジアミノフェノール類、ヒドロキシビフェニル化合
物類、ヒドロキシジフェニルアルカン類、ヒドロキシジ
フェニルエーテル化合物、ジフェニルスルフォン化合
物、ビス[(ヒドロキシフェニル)フェニル]アルカン
化合物類、ビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合
物類、ビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフ
ォン化合物、ジアミノ安息香酸類、カルボキシビフェニ
ル化合物類、カルボキシジフェニルアルカン類、カルボ
キシジフェニルエーテル化合物、ジフェニルスルフォン
化合物、ビス[(カルボキシフェニル)フェニル]アル
カン化合物類、ビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル
化合物類、ビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]ス
ルフォン化合物を例示することができる。上記のジアミ
ンは、全ジアミン中10〜100モル%用いることが好
ましい。また、ジアミン成分として、上記ジアミン以外
に、以下のジアミンを同時に用いてもよい。ジアミンで
あれば特に限定されないが、例えば、p−フェニレンジ
アミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン4,4’
−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェ
ニルスルフィド、4,4’−ジアミノフェニルスルフォ
ン、1,5−ジアミノナフタレン等の脂肪族ジアミン、
モノ置換フェニレンジアミン類で表わされる化合物等を
挙げることができる。これらのジアミン化合物は単独で
または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0058】上記の酸2無水和物とジアミンを反応させ
て得られる、水酸基および/またはカルボキシル基を導
入した可溶性ポリイミドは、下記一般式(2)化3
【0059】
【化3】 (ただし、式中dおよびeはd+e>1を満たす1以上
の整数、R4は4価の有機基、R5は2価の有機基、R6
は3価の有機基、R7は水酸基もしくはカルボキシル
基) のような構造を一部持っており、ポリイミドに導入した
水酸基および/またはカルボキシル基を以下のように反
応させて変性ポリイミドとして用いてもよい。
【0060】上記のようにして得られる可溶性ポリイミ
ドにさらに反応性・硬化性を付与するためには、水酸基
および/またはカルボキシル基を導入した可溶性ポリイ
ミドに、これと反応可能なエポキシ基を有する化合物と
反応させることにより、後述の各種の官能基を導入し、
変性ポリイミドとすることができる。ここでいうエポキ
シ基を有する化合物は、さらに光重合性および/または
熱重合性官能基として、エポキシ基、炭素間三重結合、
炭素間二重結合から選ばれる官能基を二つ以上有するこ
とが好ましい。このような光重合性および/または熱重
合性官能基を導入することにより、得られる組成物に良
好な硬化性や接着性を付与することができる。
【0061】以下、水酸基および/またはカルボキシル
基を有する可溶性ポリイミドに官能基を導入する方法に
ついて説明する。具体的に、変性ポリイミドとは、下記
一般式(3):化4
【0062】
【化4】 (ただし、式中fおよびgはf+g>1を満たす1以上
の整数、R4は4価の有機基、R5は2価の有機基、R6
は3価の有機基、R8は下記群(2):化5
【0063】
【化5】 (式中R9は、エポキシ基、炭素間三重結合、または炭
素間二重結合からなる群から選ばれる少なくとも一種以
上の官能基を有する1価の有機基)で表される有機基)
で表される構造単位を少なくとも1個以上有するポリイ
ミドである。前述の水酸基あるいはカルボキシル基を有
する変性ポリイミドを有機溶媒に溶かし、エポキシ基を
有する化合物と反応させることにより変性ポリイミドが
得られる。前記エポキシ基を有する化合物は、エポキシ
基を2個以上有するエポキシ樹脂、エポキシ基以外にさ
らに炭素間三重結合、炭素間二重結合から選ばれる官能
基を二つ以上有する化合物が好ましい。
【0064】エポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂
とは、エポキシ基を分子内に2個以上持っていれば特に
限定されないが、以下のように例示することができる。
例えば、エピコート828(油化シェル社製)等のビス
フェノール型エポキシ樹脂、180S65(油化シェル
社製)等のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹
脂、157S70(油化シェル社製)等のビスフェノー
ルAノボラック型エポキシ樹脂、1032H60(油化
シェル社製)等のトリスヒドロキシフェニルメタンノボ
ラック型エポキシ樹脂、ESN375等のナフタレンア
ラルキルノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロー
ルエタン1031S(油化シェル社製)、YGD414
S(東都化成)、トリスヒドロキシフェニルメタンEP
PN502H(日本化薬)、特殊ビスフェノールVG3
101L(三井化学)、特殊ナフトールNC7000
(日本化薬)、TETRAD−X、TETRAD−C
(三菱瓦斯化学社製)等のグリシジルアミン型樹脂など
があげられる。
【0065】エポキシ基と炭素間二重結合を有する化合
物とは、エポキシ基と二重結合を同一分子内に持ってい
れば特に限定されないが、アリルグリシジルエーテル・
グリシジルアクリレート・グリシジルメタクレート・グ
リシジルビニルエーテル等を例示することができる。
【0066】エポキシ基と炭素間三重結合を有する化合
物とは、エポキシ基と三重結合を同一分子内に持ってい
れば特に限定されないが、プロパギルグリシジルエーテ
ル・グリシジルプロピオレート・エチニルグリシジルエ
ーテル等を例示することができる。
【0067】反応に用いられる溶媒は、エポキシ基と反
応せず、水酸基および/あるいはカルボキシル基を有す
るポリイミドを溶解するものであれば特に限定されな
い。例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等の
アルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系
あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラク
トン等、キシレン、トルエンのような芳香族炭化水素が
使用可能である。これらを単独または混合物として使用
することができる。後に、溶媒の除去を行うので、水酸
基あるいはカルボキシ基を有する熱可塑性ポリイミドを
溶解し、なるべく沸点の低いものを選択することが、工
程上有利である。反応温度は、エポキシ基と水酸基・カ
ルボキシル基と反応する40℃以上130℃以下の温度
で行うことが望ましい。特にエポキシ基と二重結合ある
いは、エポキシ基と三重結合を有する化合物について
は、二重結合・三重結合が熱により架橋・重合しない程
度の温度で反応させることが望ましい。具体的には、4
0℃以上100℃以下、さらに望ましくは、50℃以上
80℃以下である。反応時間は、1時間程度から15時
間程度である。上記のように調製された可溶性ポリイミ
ド、または変性ポリイミド、すなわち(A)成分は、
(A)、(B)、(C)成分の合計量を基準として30
〜70重量%用いることが好ましい。30%より少ない
と硬化後のカバーレイフィルムの難燃性の実現が難し
く、さらに機械特性が悪くなる傾向があり、70%より
多いとカバーレイフィルムの現像性が悪くなる傾向があ
る。
【0068】次に、(B)成分について説明する。炭素
間二重結合を有する化合物であれば特に限定はないが、
ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレ
ングリコールジアクリレート等が挙げられるが、これら
に限定されない。架橋密度を向上するためには、特に2
官能以上のモノマーを用いることが望ましい。(B)成
分としては、1分子中に芳香環および/または複素環を
1個以上有する化合物であることが、ドライフィルムと
して用いた場合に、熱圧着したときの流動性を付与し、
高い解像度を付与することができるという点から好まし
い。1分子中に芳香環および/または複素環を1個以
上、炭素間二重結合を1個以上有する(メタ)アクリル
系化合物としては、以下のようなものが例示できる。
【0069】例えば、アロニックスM-210、M-211B(東
亞合成製)、NKエステルABE-300、A-BPE-4、A-BPE-10、
A-BPE-20、A-BPE-30、BPE-100、BPE-200(新中村化学
製)等のビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレー
ト、アロニックスM-208(東亞合成製)等のビスフェノ
ールF EO変性(n=2〜20)ジ(メタ)アクリレート、デ
ナコールアクリレートDA-250(ナガセ化成製)、ビスコ
ート#540(大阪有機化学工業製)等のビスフェノールA
PO変性(n=2〜20)ジ(メタ)アクリレート、デナコー
ルアクリレートDA-721(ナガセ化成製)等のフタル酸PO
変性ジアクリレート、をあげることができる。さらに、
芳香環は含まないが、アロニックスM-215(東亞合成
製)等のイソシアヌル酸 EO 変性ジアクリレートやアロ
ニックスM-315(東亞合成製)、NKエステルA-9300(新
中村化学製)等のイソシアヌル酸 EO 変性トリアクリレ
ートなどのアクリレートを含有していてもよい。
【0070】(B)成分は、(A)および(B)および
(C)の合計量の1〜50重量%配合されることが好ま
しい。1重量%より少ないと圧着可能温度が高く、かつ
解像度が悪くなる傾向にあり、50重量%より多いとB
ステージ状態のフィルムにベタツキが見られ、室温でも
銅箔やポリイミドフィルムへ粘着しやすく、また熱圧着
時に樹脂がしみ出しやすくなり、さらに硬化後のフィル
ムが脆くなる傾向にある。好ましくは、1〜40重量%
の範囲であり、さらに望ましくは、5〜30重量%であ
る。次に、(C)成分であるリンおよび/またはハロゲ
ンおよび/またはシロキサン部位を含有する化合物につ
いて説明する。これらの化合物を用いることにより、硬
化後の感光性カバーレイフィルムに難燃性や高い半田耐
熱性を付与することができる。(C)成分がリンを含む
化合物である場合、難燃性を効果的に付与できる点か
ら、そのリン含量は5.0%以上であることが好まし
く、さらに好ましくは7.0%以上である。(C)成分
がハロゲンを含む化合物である場合、難燃性を効果的に
付与できる点から、ハロゲン含量は15%以上であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは20%以上である。ハ
ロゲンとしては、特に塩素または臭素を用いたものが一
般的に用いられる。(C)成分がシロキサン部位を含む
化合物である場合、耐熱性よび難燃性を効果的に付与で
きる点から、芳香環を高比率で含有するオルガノポリシ
ロキサン化合物であることが好ましい。(C)成分とし
てリン系化合物を用いる場合、リン系化合物として、ホ
スフィン、ホスフィンオキサイド、リン酸エステル(縮
合リン酸エステルも含む)、亜リン酸エステルなどのリ
ン化合物、などが挙げられるが、(A)成分である可溶
性ポリイミドとの相溶性の面からホスフィンオキサイ
ド、またはリン酸エステル(縮合リン酸エステルも含
む)であることが好ましい。(C)成分として用いるリ
ン系化合物のリン含量は5.0重量%、さらに好ましく
は7.0%以上であることが好ましい。このようなリン
系化合物としては、例えば、TPP(トリフェニルホス
フェート)、TCP(トリクレジルホスフェート)、T
XP(トリキシレニルホスフェート)、CDP(クレジ
ルジフェニルホスフェート)、PX−110(クレジル
2,6-キシレニルホスフェート)(いずれも大八化学製)
などのリン酸エステル、CR−733S(レゾシノ−ル
ジホスフェート)、CR−741、CR−747、PX
−200)(いずれも大八化学製)などの非ハロゲン系
縮合リン酸エステル、ビスコートV3PA(大阪有機化
学工業製)、MR−260(大八化学製)などのリン酸
(メタ)アクリレート、亜リン酸トリフェニルエステル
などの亜リン酸エステル、また、(C)成分は1分子中
にハロゲン原子を有するリン系化合物であってもよく、
このような化合物としては、CLP(トリス(2-クロロ
エチル)ホスフェート)、TMCPP(トリス(クロロ
プロピル)ホスフェート)、CRP(トリス(ジクロロ
プロピル)ホスフェート)、CR−900(トリス(ト
リブロモネオペンチル)ホスフェート)(いずれも大八
化学製)などの含ハロゲンリン酸エステルなどが挙げら
れる。(C)成分として含ハロゲン化合物を用いる場
合、そのハロゲン含量はのぞましくは30重量%以上、
さらにのぞましくは40重量%以上、最ものぞましくは
50%以上であることが好ましく、難燃性の向上という
点からは、ハロゲン含量は多ければ多いほど好ましい。
また、硬化性反応基を持ち耐熱性と難燃性を同時に付与
できるという点から含ハロゲン(メタ)アクリル系化合
物を含有することが好ましい。含ハロゲン化合物とし
て、塩素もしくは臭素を含む有機化合物などが挙げられ
るが、含臭素化合物が一般的に用いられ、例えば、ニュ
ーフロンティアBR−30、BR−30M、BR−3
1、BR−42M(第一工業製薬製)などの臭素系モノ
マー、ピロガードSR−245(第一工業製薬製)など
の臭素化芳香族トリアジン、ピロガードSR−250、
SR−400A(第一工業製薬製)などの臭素化芳香族
ポリマー、ピロガードSR−990A(第一工業製薬
製)などの臭素化芳香族化合物、などが挙げられる。ま
た、(C)成分として含ハロゲン化合物を用いた場合に
は、三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモン
を添加することにより難燃性を上げることができる。さ
らに、(C)成分として、シロキサン部位を有する化合
物を用いる場合、難燃性を付与するというから芳香環を
高比率で含有するオルガノポリシロキサン化合物である
ことが好ましく、フェニル基を全有機置換基のうち10
%以上、さらにのぞましくは20%以上、より好ましく
は25%以上含有するオルガノポリシロキサン化合物で
あることが好ましい。フェニルの基含有率が小さければ
難燃の効果は小さくなり、フェニル基の含有率が高けれ
ば高いほど、難燃の効果が高くなり望ましい。芳香環を
高比率で含有するオルガノポリシロキサン化合物として
は以下のようなものが例示できる。例えば信越シリコー
ン(株)製のKF50−100S、KF54、KF5
6、HIVAC F4、HIVAC F5、X−22−
1824B、KR211,KR311などが挙げられ、
単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
(C)成分は、(A)、(B)、(C)成分の合計量を
基準として5〜50重量%用いることが好ましい。5%
より少ないと硬化後のカバーレイフィルムに難燃性を付
与することが難しくなる傾向があり、50%より多いと
硬化後のカバーレイフィルムの機械特性が悪くなる傾向
がある。
【0071】さらに本発明の組成物には、露光現像によ
り所望のパターンを描けるようにするために(D)成
分、光反応開始剤を配合することが好ましい。光によ
り、g線程度の長波長の光によりラジカルを発生する化
合物の一例として、下記一般式(3)、一般式(4):
化6、
【0072】
【化6】 (式中、R10,R11及びR12は、C65−,C64(C
3)−,C62(CH33−,(CH33C−,C6
3Cl2−を、R13,R14及びR15は、C65−,メトキ
シ基,エトキシ基,C64(CH3)−,C62(C
33−を表す。)で表されるアシルフォスフィンオキ
シド化合物が挙げられる。これにより発生したラジカル
は、炭素間二重結合を有する反応基(ビニル・アクロイ
ル・メタクロイル・アリル等)と反応し架橋・重合を促
進する。
【0073】一般式(3)で表されるアシルフォスフィ
ンオキシドが2個のラジカルを発生するのに対し、特に
一般式(4)で表されるアシルフォスフィンオキシド
は、α開裂により4個のラジカルを発生するためより好
ましい。
【0074】ポリイミド樹脂の側鎖に付けたエポキシ
基、炭素間二重結合、三重結合を硬化させるためには、
以上のようなラジカル発生剤の替わりに、光カチオン発
生剤を用いてもよい。例えば、ジメトキシアントラキノ
ンスルフォン酸のジフェニルヨードニウム塩等のジフェ
ニルヨードニウム塩類・トリフェニルスルフォニウム塩
類・ピリリニウム塩類、トリフェニルオニウム塩類・ジ
アゾニウム塩類等を例示することができる。この際、カ
チオン硬化性の高い脂環式エポキシやビニルエーテル化
合物を混合することが好ましい。
【0075】もしくは、側鎖に付けたエポキシ基、炭素
間二重結合、三重結合を硬化させるために、光塩基発生
剤を用いてもよい。例えば、ニトロベンジルアルコール
やジニトロベンジルアルコールとイソシアナートの反応
により得られるウレタン化合物、或いはニトロ−1−フ
ェニルエチルアルコールやジニトロ−1−フェニルエチ
ルアルコールとイソシアナートの反応により得られるウ
レタン化合物、ジメトキシ−2−フェニル−2−プロパ
ノールとイソシアナートの反応により得られるウレタン
化合物等が例示できる。
【0076】本発明の組成物には、実用に供しうる感光
感度を達成するため、増感剤を配合することが望まし
い。増感剤の好ましい例としては、ミヒラケトン、ビス
−4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾフ
ェノン、カンファーキノン、ベンジル、4,4’−ジメ
チルアミノベンジル、3,5−ビス(ジエチルアミノベ
ンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−
ビス(ジメチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4
−ピペリドン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリ
デン)−N−エチル−4−ピペリドン、3,3’−カル
ボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(2
−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、
2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾー
ル、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4
−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2−(p
−ジメチルアミノスチリル)ベンゾチアゾール、2−
(p−ジメチルアミノスチリル)−3,3−ジメチル−
3H−インドール等が挙げられるが、これらに限定され
ない。
【0077】また、ラジカル開始剤として種々のパーオ
キサイドを前記増感剤と組み合わせて用いることができ
る。特に3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパー
オキシカルボニル)ベンゾフェノンとの組み合わせが特
に好ましい。
【0078】光反応開始剤および増感剤の総重量は、前
記(A)成分および(B)成分および(C)成分の合計重
量を基準として0.001〜10重量部配合すること好
ましく、0.01〜10重量部とすることが、さらに好
ましい。0.001〜10重量部の範囲を逸脱すると、
増感効果が得られなかったり、現像性に好ましくない影
響を及ぼしたりする場合がある。なお、光反応開始剤お
よび増感剤として、1種類の化合物を用いても良いし、
数種類を混合して用いてもよい。
【0079】本発明の感光性樹脂組成物を用いて感光性
ドライフィルムレジストを製造するに際しては、まず、
(A)成分と(B)成分、(C)成分、必要に応じて
(D)成分を有機溶剤に均一に溶解する。ここで用いる
有機溶剤は、感光性樹脂組成物を溶解する溶剤であれば
よく、例えば、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒド
ロフランなどのエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチ
ルケトンなどのケトン系溶剤、メチルアルコール、エチ
ルアルコールなどのアルコール系溶剤などが用いられ
る。これらの溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上
を混合して用いてもよい。後に、溶媒の除去を行うの
で、(A)、(B)、(C)、(D)成分を溶解し、なる
べく沸点の低いものを選択することが、工程上有利であ
る。
【0080】ついで、溶液状となった感光性樹脂組成物
を支持体フィルム上に均一に塗布した後、加熱および/
もしくは熱風吹き付けにより溶剤を除去して乾燥し、感
光性ドライフィルムレジストとする。
【0081】この時の乾燥温度は、(B)成分などに含
まれるアクリル基などの硬化性基が反応してしまわない
程度の温度が好ましく、120℃以下が好ましく、さら
に望ましくは100℃以下である。乾燥時間は溶媒が除
去されるのに十分な時間があればよいが、なるべく短い
時間の方が工程上有利である。具体的には、 1) 80〜120℃の温度で2分間以上短時間で
乾燥する方法と、 2) 45℃5分間、65℃5分間、85℃5分間
のように低温から徐々に温度を上げながら乾燥していく
方法 がある。1)のように比較的高温で一気に乾燥させる方
法は、感光性フィルム厚が小さい場合に適しており、短
時間で乾燥できるため、長尺の感光性フィルムを作製す
る場合に有利である。ただし、感光性フィルム厚が50
μm以上と大きい場合は、感光性樹脂組成物を溶解させ
ている溶媒が蒸発除去されるのに時間がかかり、高温で
乾燥させて表面が乾燥されていても、フィルム内部には
まだ溶媒が残留しており、基板などへのラミネート時に
樹脂が染み出したり、ラミネート・パターン露光・現像
後に熱キュアする工程で、感光性フィルムが発泡してし
まったりするという問題がある。そこで、感光性フィル
ム厚が比較的大きい場合は、乾燥時間はかかるが、2)
のように徐々に乾燥温度を上げていく方法が好ましい。
支持体フィルムは,Bステージ状態の感光性ドライフィ
ルムレジストへの密着に優れているものが好ましく、露
光により光架橋反応が始まると、支持体フィルムの剥離
しやすくなるように表面処理されているものが好まし
い。支持体フィルムの材料や厚み、支持体フィルムと感
光性フィルムとの剥離強度については前記に述べた通り
である。通常、感光性ドライフィルムレジストは、上記
感光性組成物を半硬化状態(Bステージ)で保ったもの
であり、熱プレスもしくはラミネート加工時には流動性
を持ち、フレキシブルプリント配線版の回路の凸凹に追
従して密着し、露光時の光架橋反応、プレス加工時の熱
およびプレス後に施す加熱キュアにより硬化が完了する
ように設計される。さらに、感光性樹脂組成物を支持体
フィルムに塗布し乾燥して作製した感光性ドライフィル
ムレジストの上には、保護フィルムを積層することが好
ましい。空気中のゴミやチリが付着することを防ぎ、感
光性ドライフィルムレジストの乾燥による品質の劣化を
防ぐことができる。保護フィルムの材料や厚み、支持体
フィルムと感光性フィルムとの剥離強度については前記
に述べた通りである。支持体フィルムの上に作製した感
光性ドライフィルムレジストの上に上記の保護フィルム
を室温でラミネートすることにより、密着させる。本発
明にかかる三層構造シートからなる感光性ドライフィル
ムレジストを用いてフレキシブルプリント配線板用カバ
ーレイを製造するに際しては、保護フィルムを除去後、
回路を形成したフレキシブルプリント配線板および感光
性フィルムを加熱ラミネ−トにより積層する。積層時の
温度が高すぎると感光性反応部位が架橋してフィルムが
硬化してしまい感光性カバーレイとしての機能を失って
しまうため、積層時の温度は低いほうが好ましい。具体
的には、60℃から150℃であり、さらに好ましくは
80℃から120℃である。温度が低すぎると、感光性
ドライフィルムレジストの流動性が悪くなるため、フレ
キシブルプリント配線板上の微細な回路を被覆すること
が難しく、また密着性が悪くなる傾向がある。このよう
にしてフレキシブルプリント配線板/感光性フィルム/
支持体フィルムの順に積層された状態となる。支持体フ
ィルムは積層が完了した時点で剥離してもよいし、露光
が完了してから剥離してもよい。感光性ドライフィルム
レジストの保護という点からは、フォトマスクパターン
をのせて露光してから支持体フィルムを剥離するほうが
好ましい。また、この感光性ドライフィルムレジスト
は、フレキシブルプリント配線板の回路上へ接着した
後、紫外線などの光を照射後、加熱キュアすると、フィ
ルムが硬化して、回路を絶縁保護するカバーレイとな
る。感光性ドライフィルムレジストに含まれる光反応開
始剤は、通常波長が450nm以下の光を吸収するため、
照射する光は波長が300~430nmの光を有効に放射する
光源を用いるとよい。さらに、本発明の感光性ドライフ
ィルムレジストをフレキシブルプリント配線板の感光性
カバーレイとして用いる場合、フレキシブルプリント配
線板の回路上へ接着した後、フォトマスクパターンをの
せて、露光し、現像することにより、所望の位置に穴を
あけることができる。現像液としては、塩基性を有する
水溶液あるいは有機溶媒を用いることができる。塩基性
化合物を溶解させる溶媒としては水でもよいし有機溶媒
でもよい。ポリイミドの溶解性を改善するため、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ
ール、イソブタノール、N−メチルー2−ピロリドン、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N一ジメチルアセトア
ミド等の水溶性有機済媒を、さらに含有していてもよ
く、二種類以上の溶媒を混合したものでもよい。塩基性
化合物としては、1種類を用いてもよいし、2種類以上
の化合物を用いてもよい。塩基性化合物の濃度は、通常
0.1〜10重量%とするが、フィルムへの影響などか
ら、0.1〜5重量%とすることが好ましい。上記塩基
性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土
類金属またはアンモニウムイオンの、水酸化物または炭
酸塩や、アミン化合物などが挙げられる。本発明の感光
性ドライフィルムレジストは、(A)成分として可溶性
ポリイミド、(B)成分としてリンまたはハロゲンまた
はシロキサン部位を含有する化合物、さらに(C)成分
として1分子中に芳香環および/または複素環を1個以
上、かつ炭素間二重結合を1個以上有する化合物、
(D)成分として光反応開始剤および/または増感剤を
含む感光性樹脂組成物から作製することにより、露光部
の樹脂は硬化し、未露光部の樹脂はアルカリ水溶液によ
りすみやかに溶解除去されるため、短時間で良好な解像
度を持つことを特徴とする。また、難燃剤として(B)
成分:リンまたはハロゲンまたはシロキサン部位を含有
する化合物を用いることにより、硬化後の感光性ドライ
フィルムレジストに、ポリイミドフィルムと積層した状
態でプラスチック材料の難燃性試験規格UL94V−0
を満たす難燃性および半田耐熱性を付与することができ
る。さらにポリイミドを主成分とすることにより、優れ
た電気絶縁性、耐熱性、機械特性を有するため、本発明
の感光性カバーレイフィルムは、フレキシブルプリント
配線板用感光性カバーレイのほか、パソコンのハードデ
ィスク装置のヘッド用の感光性カバーレイにも適する。
とくに、本発明の感光性カバーレイフィルムは、保護フ
ィルムおよび支持体フィルムの剥離性が良好であるた
め、使用時に保護フィルムを容易に剥離でき作業性が向
上する上、パターン露光後に支持体フィルムを剥離する
際に無理な力を加える必要がないので、カバーレイや基
板を傷つけることがない。
【0082】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】実施例における感光性カバーレイフィルム
および三層構造シートの作製、その評価は以下のように
行った。 (1)感光性カバーレイフィルムの作製 可溶性ポリイミド(A)成分を有機溶媒に固形分30重
量%になるように溶解させた後、(B)炭素間二重結合
を1個以上有する(メタ)アクリル系化合物、(C)リ
ン、ハロゲンまたはシロキサン部位を含有する化合物、
および(D)成分として光反応開始剤を混合し、感光性
樹脂組成物のワニスを調整する。この感光性樹脂組成物
のワニスを支持体フィルム;PETフィルム(厚み25
μm)上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布
し、45℃で5分、続いて65℃で5分乾燥して有機溶
剤を除去するとともに、感光性フィルム層がBステージ
状態である二層構造の感光性カバーレイフィルムを作製
した。 (2)三層構造シートの作製 保護フィルムとして、「PEフィルムと低密度オレフィ
ン共重合体フィルムの貼り合わせ体フィルム」からなる
市販されているサンエー化研(株)製サニテクトフィル
ム(厚み25μm)を用いた。
【0084】また、「(EVA+PE)共重合体とポリ
エチレンとの同時押し出し製法によるフィルム」として
は、市販されている積水化学(株)製プロテクト(#6
221F)フィルム(厚み50μm)を用いた。
【0085】上記の保護フィルムを、サニテクトフィル
ムの場合は低密度オレフィン共重合体フィルム面が感光
性フィルム面と接するように、プロテクトフィルムの場
合は(PE+EVA)共重合体フィルム面が感光性フィ
ルム面と接するように、ラミネートして三層構造シート
からなる感光性カバーレイフィルムを作製した。
【0086】ラミネート条件は、ロール温度40℃、ニ
ップ圧は1500Pa・mとした。 (4)三層構造シートの評価 得られた三層構造シートおよび感光性フィルムについて
以下の方法により諸特性の評価を行なった。 <保護フィルムの剥離性>2cm幅、長さ7cmの大き
さに切った三層構造シートの支持体フィルム面を両面テ
ープを用いてアルミニウム板(厚み3mm)に貼り合わせ
た後、保護フィルムを90度に引っ張ってテンシロンで
保護フィルムを感光性フィルムから剥離するのに必要な
強度(N)を測定した。この測定値を0.02(サンプ
ルの幅:m)で割った値がそのまま剥離強度(単位Pa
・m)となる。(N/m=Pa/m) 保護フィルムの剥離性は実用的には0.1〜100Pa・
mが好ましく、その範囲を合格とした。また100Pa・
mより大きい場合は剥離するのに必要な力が大きすぎる
ので不合格とした。 <支持体フィルム剥離性>2cm幅、長さ7cmの大き
さに切った三層構造シートの保護フィルムのみを剥離
し、感光性フィルムと支持体フィルムの二層構造となっ
たサンプルの感光性フィルム面を両面テープを用いてア
ルミニウム板(厚み3mm)に貼り合わせた後、支持体フ
ィルムを90度に引っ張ってテンシロンで支持体フィル
ムを感光性カバーレイフィルムから剥離するのに必要な
強度(N)を測定した。この測定値を0.02(サンプ
ルの幅:m)で割った値がそのまま剥離強度(単位Pa
・m)となる。
【0087】支持体フィルムの剥離性は実用的には0.
5〜200Pa・mが好ましく、その範囲を合格とした。
また200Pa・mより大きい場合は剥離するのに必要な
力が大きすぎるので不合格とした。 <ポリイミドフィルムと感光性カバーレイフィルムの積
層体の難燃性試験>プラスチック材料の難燃性試験規格
UL94に従い、以下のように難燃性試験を行った。三
層構造シートから保護フィルムを剥離後、感光性フィル
ム面を25μm厚のポリイミドフィルム(鐘淵化学工業
(株)製、25AHフィルム)に遮光しながら100
℃、20000Pa・mでラミネート加工する。次に、4
00nmの光を600mJ/cm2だけ露光してから支
持体フィルムを剥離し、180℃のオーブンで2時間加
熱キュアを行う。
【0088】このように作製したサンプルを寸法1.2
7cm幅×12.7cm長さ×50μm厚み(ポリイミ
ドフィルムの厚みを含む)にカットしたものを20本用
意する。
【0089】そのうち10本は23℃/50%相対湿
度/48時間で処理し、残りの10本は70℃で16
8時間処理後無水塩化カルシウム入りデシケーターで4
時間以上冷却する。
【0090】これらのサンプルの上部をクランプで止め
て垂直に固定し、サンプル下部にバーナーの炎を10秒
間近づけて着火する。10秒間経過したらバーナーの炎
を遠ざけて、サンプルの炎や燃焼が何秒後に消えるか測
定する。各条件(、)につき、サンプルからバーナ
ーの炎を遠ざけてから平均(10本の平均)で5秒以
内、最高で10秒以内に炎や燃焼が停止し自己消火した
ものが合格である。1本でも10秒以内に消火しないサ
ンプルがあったり、炎がサンプル上部のクランプのとこ
ろまで上昇して燃焼するものは不合格とした。 <現像性>三層構造シートから保護フィルムを剥離後、
感光性フィルム面を電解銅箔35μmの光沢面に積層
し、遮光しながら100℃、20000Pa・mでラミネ
ート加工した。
【0091】この積層体の支持体フィルムの上にマスク
パターンを乗せ、波長400nmの光を300mJ/c
2だけ露光する。このサンプルの支持体フィルムを剥
離した後、スプレー現像機(サンハヤト(株)製エッチ
ングマシーンES−655D)を用いて、1%の水酸化
カリウムの水溶液(液温40℃)、スプレー圧0.85
MPa、現像液への露出時間2分間の条件で現像した。
露光する前にカバーフィルムの上にのせるフォトマスク
パターンは、100x100μm角の微細な穴を描いた
ものである。現像によって形成したパターンは、次いで
蒸留水により洗浄して、現像液を除去し、乾燥させる。
100x100μm角の穴が現像できていれば、合格と
した。
【0092】
【実施例1】ポリイミドの原料として、(2,2'-ビス(4-
ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート)-3,3',4,
4'-テトラカルボン酸無水物(以下、ESDAと示
す)、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォ
ン(以下、BAPS−Mと示す)、シリコンジアミンお
よびジアミノ安息香酸、[ビス(4-アミノ-3-カルボキシ)
フェニル]メタン(以下、MBAAと示す)を用いた。
【0093】溶媒として、N,N'-ジメチルホルムアミド
(DMF)およびジオキソランを用いた。 (可溶性ポリイミドワニスの作製)攪拌機を設置した50
0 mlのセパラブルフラスコにESDA 17.3 g (0.030 mo
l)、DMF 30 gを入れて、攪拌機で攪拌して溶解させる。
【0094】次に、和歌山精化製のジアミンMBAA 5.15
g (0.018 mol)をDMF 9 gに溶解して加え、1時間激しく
攪拌する。さらに、シリコンジアミンKF-8010(信越シ
リコーン製)7.47 g (0.009 mol)を加え、1時間程度攪
拌する。最後に、BAPS-M 1.29 g (0.003 mol)を加え
て、1時間激しく攪拌する。
【0095】このようにして得たポリアミド溶液をテフ
ロン(R)コートしたバットにとり、真空オーブンで、
200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し、26.4
0 gの可溶性ポリイミドを得た。
【0096】こうして合成したポリイミド15gをジオキ
ソラン50gに溶解させ、固体含有量(Sc) = 30wt/wt%
の可溶性ポリイミドワニスを作製した。 (感光性カバーレイフィルムの作製)以下に示す(a)
〜(d)成分を上記可溶性ポリイミドワニスに混合し感
光性樹脂組成物を調整し(1)感光性ドライフィルムレ
ジストの作製において記載した方法で支持体フィルムと
なるPETフィルム上にBステージの感光性カバーレイ
フィルムを作製した。 (三層構造シートの作製)上記二層構造の感光性カバー
レイフィルムの上にサンエー化研(株)製サニテクトフ
ィルムを保護フィルムとしてラミネートして三層構造シ
ートを作成した。 (a)上記方法により作製した可溶性ポリイミド 60重量部 (b)ビスフェノールA EO変性(m+n≒30)ジアクリレート (新中 村化学工業(株)製NKエステルA-BPE-30) 10重量部 (c)TPP(トリフェニルホスフェート) 30重量部 (d)ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チ バ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア819) 1重量部 この感光性カバーレイフィルムの保護フィルムの剥離強
度は、1.0Pa・mであり、支持体フィルムの剥離強
度は、2.0Pa・mであった。
【0097】また、難燃性試験を行ったところ、炎は平
均4秒で消え、規格UL94V−0に合格していた。
【0098】また、現像性試験を行ったところ、100
μm×100μm角の穴は現像できており、合格であっ
た。
【0099】
【実施例2】(変性ポリイミドの合成)実施例1で作製
した可溶性ポリイミド20.8g(0.020 mol)をジオキソ
ラン80gに溶解し、4-メトキシフェノール0.030gを添
加し60℃のオイルバスであたためながら溶解させた。
この溶液にメタクリル酸グリシジル3.75 g(0.0264 mo
l)をジオキソラン5gに溶解した第二の溶液を加え、
さらに触媒としてトリエチルアミン0.01 gを添加し60
℃で6時間加熱攪拌を行った。このようにして変性ポリ
イミドを合成した。 (感光性カバーレイフィルムの作製)以下に示す成分を
混合して感光性樹脂組成物を調整し、(1)感光性カバ
ーレイフィルムの作製において記載した方法でPETフ
ィルム上にBステージの感光性カバーレイフィルムを作
製した。
【0100】この二層構造の感光性カバーレイフィルム
の上にサンエー化研(株)製サニテクトフィルムを保護
フィルムとしてラミネートして三層構造シートを作成し
た。 (e)上記で合成した変性ポリイミド 50重量部 (b)ビ スフェノールA EO変性(m+n≒30)ジアクリレート (新中村化学工業(株)製NKエステルA-BPE-30) 5重量部 (f)ビスフェノールA EO変性(m+n≒4)ジアクリレート (東亞合成(株)製アロニックスM-211B) 10重量部 (g)PX−200(縮合リン酸エステル)(大八化学(株)製) 35重量部 (h)エポキシ樹脂エピコート828(油化シェル(株)製)3重量部 (i)4,4'-ジアミノジフェニルメタン 1重量部 (j) 4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン)1重量部 (k)3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン 1重量部 この感光性カバーレイフィルムの保護フィルムの剥離強
度は、 5.0Pa・mであり、支持体フィルムの剥離
強度は、6.0Pa・mであり合格であった。
【0101】この感光性カバーレイフィルムの難燃性試
験を行ったところ、炎は平均4.5秒で消え、規格UL
94V−0に合格していた。
【0102】また、現像性試験を行ったところ、100
μm×100μm角の穴が現像でき、合格であった。
【0103】
【実施例3】実施例2において、保護フィルムを積水化
学(株)製プロテクト(#6221F)フィルム(厚み
50μm)に替えて、三層構造の感光性ドライフィルム
レジストを作製した。
【0104】この感光性カバーレイフィルムの保護フィ
ルムの剥離強度は、3.5Pa・mであり合格であっ
た。
【0105】
【実施例4】実施例2において、(g)成分の替わりに (m)EO変性トリブロモフェニルアクリレート (第一工業製薬(株)製BR−31) 35重量部 を用いるほかは、全く同じ方法で三層構造の感光性ドラ
イフィルムレジストを作製した。
【0106】この感光性カバーレイフィルムの保護フィ
ルムの剥離強度は21Pa・m、支持体フィルムの剥離
強度は120Pa・mであり合格であった。
【0107】また、難燃性試験を行ったところ、サンプ
ルに炎は着火せずカバーレイフィルムが炭化するのみで
あり規格UL94V−0に合格していた。
【0108】また、現像性試験を行ったところ、100
μm×100μm角の微細な穴が現像でき、合格であっ
た。
【0109】
【実施例5】実施例2において、(g)成分の替わり
に、(n)フェニル基含有率70%のフェニルシロキサ
ン化合物(信越シリコーン(株)製KR211)を用い
た感光性樹脂を用いてBステージ状態の感光性フィルム
を作製し、保護フィルムとして積水化学(株)製プロテ
クト(#6221F)フィルム(厚み50μm)を用い
て、三層構造の感光性カバーレイフィルムを作製した。
【0110】この感光性カバーレイフィルムの保護フィ
ルムの剥離強度は15Pa・m、支持体フィルムの剥離
強度は20Pa・mであり合格であった。
【0111】また、難燃性試験を行ったところ、サンプ
ルに炎は着火せずカバーレイフィルムが炭化するのみで
あり規格UL94V−0に合格していた。
【0112】また、現像性試験を行ったところ、100
μm×100μm角の微細な穴が現像でき、合格であっ
た。
【0113】
【比較例1】実施例2において、保護フィルムを延伸ポ
リエチレンフィルム(厚み20μm)に替えて、三層構
造の感光性カバーレイフィルムを作製した。
【0114】この感光性カバーレイフィルムの保護フィ
ルムの剥離強度は、0.1Pa・m未満であり、不合格
であった。このように、保護フィルムの剥離強度が小さ
すぎると、感光性フィルム面に保護フィルムが密着せず
すぐに剥がれてしまう。
【0115】
【比較例2】実施例4において、保護フィルムをPET
フィルム(厚み25μm)に替えて、三層構造の感光性
カバーレイフィルムを作製した。
【0116】この感光性カバーレイフィルムの保護フィ
ルムとの剥離強度は、120a・mであり不合格であっ
た。このように支持体フィルムと保護フィルムに全く同
じフィルムを用いると、保護フィルムの剥離がしにく
く、作業性が低下する。
【0117】
【比較例3】以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成
物を調整し、(1)の方法でPETフィルム上にBステ
ージの感光性カバーレイフィルムを作製し、以下に示す
成分を混合して感光性樹脂組成物を調整し、(1)の方
法でPETフィルム上にBステージの感光性ドライフィ
ルムレジストを作製した。保護フィルムとして、ポリエ
チレンフィルム(厚み12.5μm)をラミネートして
三層構造シートを作製した。 (b)ビスフェノールA EO変性(m+n≒30)ジアクリレート (新中村化学工業(株)製NKエステルA-BPE-30) 30重量部 (f)ビスフェノールA EO変性(m+n≒4)ジアクリレート (東亞合成(株)製アロニックスM-211B) 40重量部 (m)EO変性トリブロモフェニルアクリレート (第一工業製薬(株)製BR−31) 30重量部 (j)4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 1重量部 (k)3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン 1重量部 この感光性カバーレイフィルムの保護フィルムの剥離強
度は53Pa・m、支持体フィルムの剥離強度は220
Pa・mと強すぎ、不合格であった。また、難燃性試験
を行ったところ、サンプルは炎をあげて激しく燃焼し、
規格UL94V−0には不合格であった。また、現像性
試験の方は、100x100μm角の穴が現像できてお
り、合格であった。このようにアクリル系樹脂を主成分
とする感光性カバーレイフィルムは、支持体フィルムの
剥離強度が強すぎる。また、難燃性規格UL94V−0
を満たすことができない。
【0118】
【発明の効果】上記に示したように本発明による感光性
カバーレイフィルムは、保護フィルムおよび支持体フィ
ルムの剥離性が良好であるため、使用時に、まず優先的
に保護フィルムを剥離することができ、パターン露光
後、現像する前に無理な力を加えることなく支持体フィ
ルムを剥離することができる。また、(A)可溶性ポリ
イミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、(C)リン
および/またはおよび/またはシロキサン部位を含有す
る化合物、(D)光反応開始剤および/または増感剤を
必須成分とする感光性樹脂組成物を用いることにより、
優れた難燃性や耐熱性を有し、かつアルカリ水溶液で現
像可能な感光性カバーレイフィルムを作製できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/38 501 G03F 7/38 501 H05K 3/28 H05K 3/28 F Fターム(参考) 2H025 AA16 AB11 AB15 AC01 AD01 BC42 CA01 CA20 CA27 CA28 CB25 CC20 DA01 FA01 FA03 FA17 2H096 AA26 BA05 BA20 CA20 DA01 EA02 GA08 LA16 5E314 AA27 AA33 AA36 BB07 CC15 GG08 GG24

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体フィルム、感光性フィルムを積層し
    てなる二層構造シートであって、支持体フィルムと感光
    性フィルムとの剥離強度が、0.5Pa・m以上かつ2
    00Pa・m以下であることを特徴とする感光性カバー
    レイフィルム。
  2. 【請求項2】支持体フィルム、感光性フィルム及び保護
    フィルムをこの順に積層してなる三層構造シートであっ
    て、支持体フィルムと感光性フィルムとの剥離強度が、
    0.5Pa・m以上かつ200Pa・m以下であること
    を特徴とする感光性カバーレイフィルム。
  3. 【請求項3】支持体フィルム、感光性フィルム及び保護
    フィルムをこの順に積層してなる三層構造シートであっ
    て、保護フィルムと感光性フィルムとの剥離強度が0.
    1Pa・m以上かつ100Pa・m以下であることを特
    徴とする請求項2記載の感光性カバーレイフィルム。
  4. 【請求項4】支持体フィルムと感光性フィルムとの剥離
    強度が、保護フィルムと感光性フィルムとの剥離強度の
    1.2倍以上5倍以下であることを特徴とする請求項1
    〜3記載の感光性カバーレイフィルム。
  5. 【請求項5】感光性フィルムがポリイミドを含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜4記載の感光性カバーレイフ
    ィルム。
  6. 【請求項6】感光性フィルムが(A)可溶性ポリイミ
    ド、(B)炭素間二重結合を少なくとも1つ含む(メ
    タ)アクリル系化合物を必須成分とする感光性樹脂組成
    物からなる感光性フィルムであることを特徴とする請求
    項1〜5記載の感光性カバーレイフィルム。
  7. 【請求項7】(A)、(B)成分に加え、(C)リン、
    ハロゲンまたはシロキサン部位を含有する化合物を必須
    成分とする感光性樹脂組成物からなる感光性フィルムで
    あることを特徴とする請求項1〜6記載の感光性カバー
    レイフィルム。
  8. 【請求項8】(A)、(B)および(C)成分の合計量
    に対して(A)成分を30〜70重量%、(B)成分を
    5〜50重量%、かつ(C)成分を1〜50重量%含有
    する感光性樹脂組成物から作製される感光性フィルムで
    あることを特徴とする請求項1〜7記載の感光性カバー
    レイフィルム。
  9. 【請求項9】(A)、(B)、(C)成分に加え、さら
    に(D)光反応開始剤および/または増感色素を配合し
    てなる請求項7または8記載の感光性樹脂組成物から作
    製されることを特徴とする感光性フィルムであることを
    特徴とする感光性カバーレイフィルム。
  10. 【請求項10】感光性フィルムの厚みが5〜75μmで
    あることを特徴とする請求項1〜9記載の感光性カバー
    レイフィルム。
  11. 【請求項11】支持体フィルムの厚みが5〜50μmで
    あることを特徴とする請求項1〜10記載の感光性カバ
    ーレイフィルム。
  12. 【請求項12】保護フィルムの厚みが5〜50μmであ
    ることを特徴とする請求項2〜11に記載の感光性カバ
    ーレイフィルム。
  13. 【請求項13】感光性フィルムのBステージ状態の圧着
    可能温度が20℃〜150℃であることを特徴とする請
    求項1〜12記載の感光性カバーレイフィルム。
  14. 【請求項14】請求項1〜13記載の感光性カバーレイ
    フィルムをカバーレイとして用いることを特徴とするフ
    レキシブルプリント配線板。
  15. 【請求項15】請求項1〜13記載の感光性カバーレイ
    フィルムをカバーレイとして用いることを特徴とするパ
    ソコンのハードディスク駆動装置のヘッド。
  16. 【請求項16】請求項5〜8記載の(A)、(B)、
    (C)成分を含む感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を支
    持体フィルムの上に塗布し乾燥する工程を含む二層構造
    シートからなる感光性カバーレイフィルムの製造方法。
  17. 【請求項17】請求項16記載の二層構造シートからな
    る感光性カバーレイフィルムに保護フィルムを積層する
    工程を含む三層構造の感光性カバーレイフィルムの製造
    方法。
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