JP2003138636A - 貫通孔を設けたスペーサー及びそれを用いたコンクリート製構造物 - Google Patents

貫通孔を設けたスペーサー及びそれを用いたコンクリート製構造物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】排水性舗装内に貯留する雨水を排水可能とす
る、貫通孔を有するコンクリート性構造物を、従来の無
孔製品と同様に製造することを可能とする貫通孔を設け
たスペーサーと、コンクリート性構造物を提供する。 【解決手段】コンクリート製構造物の補強部材として用
いられる、縦鉄筋と横鉄筋からなる鉄筋格子を、規定の
鉄筋かぶり量を保持し、型枠内に固定するスペーサー
の、型枠間の鉄筋かぶり量を保持し固定する間隔保持部
に貫通孔を設ける、コンクリート製構造物に前記スペー
サーの貫通孔を経由する導水径路を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、おもに雨天時のハ
イドロプレーニング現象の緩和、雨天夜間時の認識性の
向上、車両走行による騒音の低減を目的に施工される、
排水性舗装の舗装内に貯留する雨水を排水可能とする、
スペーサーとそれを用いたコンクリート構造物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】排水性舗装とは、厚さ40mm〜50mmの
表層を空隙率20%程度の多孔質なアスファルト混合物
を用いて排水性舗装とし、その下層に不透水性舗装を設
けた舗装であるが、通常のコンクリート製側溝では、排
水性舗装に浸透した雨水が側壁に堰き止められるため、
不透水舗装面の位置に貫通孔を設ける必要がある。
【0003】従来の方法で、道路用鉄筋コンクリート側
溝のような落蓋式U字型側溝を製造するには、図15
(a)に示すように天地が逆となる型枠70の片方の側板
71に貫通孔用入子72をボルトで螺着し、規定の鉄筋
かぶり量を保持するスペーサーが装着された鉄筋格子を
挿入後、コンクリートを注入する、そして図15(b)に
示すように脱型時に側板71からボルトを取り外し、型
枠70から貫通孔用入子72を装着したまま落蓋式U字
型側溝10を脱型後、貫通孔用入子72を図15(c)に
示すように打ち抜かなければならない。
【0004】または、特開平10−315215号公報
では型枠の台枠と側板の係合にローラやアームを用い
て、貫通孔用入子を側板より外す事なく脱型する技術が
開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、落蓋式U字型
側溝10の側壁13厚は40mm〜60mmであり、貫通孔
9の中心は天端面11より30mm〜40mmの位置となる
ので、貫通孔用入子72を打ち抜くとき側壁13が破損
しやすいため、側壁13を厚くしたり、図13に示す断
面箱型の暗渠型側溝などで対応しているが重量が嵩んだ
り、製造が複雑になっている、また特開平10−315
215号公報の技術では型枠が複雑となり型枠の耐久性
や作業性に問題がある。
【0006】そこで、本発明では、貫通孔を設けたスペ
ーサーを用いることで、従来の無孔コンクリート製構造
物と同等の作業性やコストで製造できる、主に排水性舗
装用の貫通孔を有するコンクリート製構造物を提供する
事にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のスペーサーは、
コンクリート製構造物の補強部材として用いられる、縦
鉄筋と横鉄筋からなる鉄筋格子を、規定の鉄筋かぶり量
を保持し、型枠内に固定するスペーサーにおいて、型枠
の鉄筋かぶり量を保持し固定する間隔保持部に、貫通孔
を設けたことである。
【0008】また、前記記載のスペーサーを用いて形成
されるコンクリート製構造物で、前記スペーサーの貫通
孔を経由する導水経路で外部の雨水を排水を有すること
を特徴とするものである。
【0009】
【実施例】本発明のスペーサーとそれを用いたコンクリ
ート構造物の、実施例を図面に基づき説明すると、図1
〜図8はスペーサーの実施例であり図8〜図14はスペ
ーサーを用いたコンクリート製構造物の実施例である。
【0010】図1は本発明のスペーサーの一例を示す斜
視図であり図2は該スペーサーの正面図と側面図であ
る、スペーサー1は格子鉄筋の縦鉄筋S1と横鉄筋S2
の接合部付近に装着された状態で、コンクリート構造物
の側壁13上部の端面12近くに配置されている。
【0011】天端面保持部2が縦鉄筋S1の突き出し部
に嵌入され、縦鉄筋S1と天端面11を規定の天端鉄筋
かぶり量K1を確保し、前記天端面保持部2の下部側面
には構造物延長方向に水平に、端面保持部3が接続して
おりその下面に横鉄筋挟持部5が、2箇所配置され横鉄
筋S2を挟入しており、端面保持部3が横鉄筋S2と端
面12を規定の端面鉄筋かぶり量K2を確保し、前記天
端面保持部2の下部には、垂直支柱7が接続し、該垂直
支柱7の先端には横断方向に、貫通孔9を設けた断面保
持部4が接続し、断面保持部4の側面には縦鉄筋挟持部
6が配置され、縦鉄筋S1を挟入し格子鉄筋S1,S2と
側壁13間の側壁鉄筋かぶり量を確保すると共に、前記
貫通孔9の内部底面が不透水舗装面H2と同じ高さに配
置されている。
【0012】図3(a)の実施例では、端面保持部3上面
に横鉄筋挟持部5が2箇所配置され、前記端面保持部3
は下方に配置された、貫通孔9を設けた断面保持部4と
垂直支柱7で接続し、前記断面保持部4の側面には縦鉄
筋挟持部6が配置されている、天端面保持部に別体のキ
ャップスペーサー100を用いることで、構造を簡略化
している。
【0013】図3(b)の実施例では、横鉄筋挟持部5下
方に配置された垂直支柱7で、貫通孔9を設けた断面保
持部4が接続され、前記断面保持部4の側面に縦鉄筋挟
持部6が上下に2箇所配置されている、天端面保持部と
側端面保持部には別体のキャップスペーサー100を用
いることで、構造を簡略化すると共に前記両保持部が不
用となる端面部以外での使用に有効である。
【0014】図4(a)の実施例では、横鉄筋挟持部5下
部と貫通孔9を設けた断面保持部4上部が垂直支柱7で
接続し、前記断面保持部4側面と縦鉄筋挟持部6が水平
支柱8で接続され、各保持部を1箇所とし前記各実施例
より簡略化している、図4(b)の実施例では、水平支柱
8両端に縦鉄筋挟持部6が配置され、前記水平支柱8の
中央下部に横鉄筋挟持部5が接続し、該横鉄筋挟持部5
下部に垂直支柱7が接続し、貫通孔9を設けた断面保持
部4の上部に接続され、スペーサー1が縦鉄筋S1の左
右どちら側にも挟持出来るようになっている。
【0015】図5は貫通孔9を設けた断面保持部4の貫
通孔9の断面形状を示す実施例で、図5(a)では貫通孔
9を縦長とし、厚さの違う排水性舗装部に対応出来るよ
うにしている、図5(b)では貫通孔9を横長とし、該貫
通孔9の断面積を広げ多くの雨水を導水出来るようにす
ると共に、スペーサーの装着数を減らす事が出来る。
【0016】図6は貫通孔9を設けた断面保持部4側面
を示す実施例で断面保持部4のみを示す図である、図6
(a)では断面保持部4の外周を水平とし、貫通孔9を舗
装部側よりコンクリート構造物内部側に低く傾斜させ、
導水した雨水を速やかに排水出来るようにしている、図
6(b)では断面保持部4が内部側に傾斜し、該断面保持
部4底面に水平支柱8が配置され、スペーサー1を水平
に配置可能とし、コンクリート構造物内部の障害物、例
えれば図12の街渠桝60上部のグレーチング枠を回避
している、図6(c)では断面保持部4底面は水平に、側
面と上面は舗装部側に漏斗状に広がっており、排水舗装
部の骨材による貫通孔9の目詰リを防止している。
【0017】図7は貫通孔9を設けた断面保持部4の、
長さ調整方法を示す実施例で図7(a)では断面保持部4
のみを表示しており、該断面保持部4は中央部を除く両
端側が、蛇腹形101に形成され伸縮可能となってお
り、多種の断面厚に対応できるほか、型枠との加圧密着
が可能となりコンクリート注入時に、貫通孔9内へのペ
ースト漏れを防止できる、図7(b)では断面保持部4と
鉄筋挟持部102が別体に形成され、該鉄筋挟持部10
2は上部に横鉄筋挟持部5と側面に縦鉄筋挟持部6を配
置した、円周の約1/4を欠く管状帯で形成され、前記
断面保持部4の中央部に一段低く配置された外周溝部1
03を挟持し、一体のスペーサーとしている。
【0018】図8は貫通孔9を設けた断面保持部4端面
を示す実施例で、端面のみを示す図であり、図8(a)で
は端面が外周より内面に向い鋭角に傾斜し、先端部が薄
くひだ状に形成された傾斜断面104で形成され、断面
保持部4延長をコンクリート構造物の断面延長より数m
m長くすることで、型組時にひだ部が潰れ断面保持部4
と型枠が密着し、コンクリート注入時に貫通孔9内への
ペースト漏れを防止できる、図8(b)では断面保持部4
端面の内側に段差105を有し、合成繊維網状管やスパ
イラル管などの透水パイプが挿入可能に形成され、該透
水パイプを排水性舗装部内に配置することで、舗装部内
の排水が速やかに行われると共に、排水性舗装部の目詰
まり防止に対応できる。
【0019】本発明のスペーサーを用いた排水舗装に対
応するコンクリート構造物には、図9、図10に示す側
溝蓋20を側溝10に嵌合した時、側溝天端面11と側
溝蓋天端面21が同じ高さになる落蓋式U字型側溝1
0、図11に示す底部が開放され両側壁32と天端部の
大梁31で形成された門型の可変勾配型側溝30、図1
2に示す従来技術で、側溝40と側溝蓋側面23の接合
面に空間が空く側溝の一例である騒音防止型側溝40、
図13に示す両側壁52、天端面51、底面55で閉塞
された断面箱型の暗渠型側溝50、図14に示すグレー
チング蓋61を有する街渠桝60などがある。
【0020】図9の落蓋式U字型側溝10の実施例で
は、側溝10の舗装部側側壁13上部に、スペーサー1
の貫通孔9が、不透水性舗装面の高さに合わせ複数配置
されている、前記側溝10に嵌合し連接する側溝蓋20
の、一方の側面23には側溝10の貫通孔9の高さに合
わせ、延長方向に側壁溝25が設けられ、端面22の両
方又は一方が天端面21より内側に斜めに傾斜して形成
している、雨水の導水径路は前記側溝10に配置された
スペーサー1の貫通孔9から、前記側溝蓋20の側壁溝
25を通り連接する端面22間下部の空間より、側溝蓋
掛り部14に流れた後、側溝内に排水される。
【0021】図10の落蓋式U字型側溝10の実施例で
は、前記図9記載の側溝10の蓋掛り部14に溝15が
横断方向に数箇所配置されている、嵌合する側溝蓋20
の一方の側面26は、前記側溝20に配置されたスペー
サー1の貫通孔9上部の高さから内側に傾斜し形成され
ている、雨水の導水径路は前記側溝10に配置された貫
通孔9より、蓋掛り部14と前記側溝蓋20の側壁26
の空間を通り、前記蓋掛り部14の溝15より側構内に
排水される。
【0022】図11の可変勾配型側溝30の実施例で
は、従来品の側溝蓋20には端面22の両面が天端面2
1より内側に斜めに傾斜して、該側溝蓋20を隣接した
とき端面22下部に空間が空く製品がある、側溝側壁3
2の前記端面22下部の空間位置に貫通孔9を配置して
いる、雨水の導水径路は貫通孔9より蓋掛り部33を通
り側溝内に流れる、貫通孔9を前記空間位置に配置する
には、水平支柱8の長さを調整したスペーサーを使用す
る方法と、前記側壁32内の縦鉄筋S1の間隔を調整し
た鉄筋格子を使用する方法があるが、間隔を調整した鉄
筋格子を使用する際は、構造計算を行ない規定の荷重強
度を確保しなければ成らない。
【0023】図12の騒音防止型側溝40の実施例で
は、舗装部側壁42に側溝蓋20の延長ごとに、凹円弧
面で形成された蓋掛り部43を有する側溝40と、底面
27の一方が中央を平坦面で形成し、前後面を前記蓋掛
り部43の凹円弧面と同円の凸円弧面で形成され、前記
平坦面上部に側面切り欠け部28を有する側溝蓋20で
構成され、前記側面切り欠け部28に対する側壁42に
スペーサー1を配置し形成されている、雨水の導水径路
はスペーサー1の貫通孔9より蓋掛り部43に流れ側溝
内の排水される、同様に従来技術で側溝壁並びに蓋掛り
部と、側溝蓋接合面に空間のある側溝に、該空間部に本
発明のスペーサー1を配置することで排水性舗装用側溝
となる。
【0024】図13の暗渠型側溝50の実施例では、天
端面51厚が排水性舗装厚より厚く、スペーサー1は側
壁外側の一段窪んだ透水部材嵌合部53下部の、排水性
舗装部より低い位置に配置し、前記嵌合部53に透水部
材54が嵌合し形成されている、雨水の導水径路は前記
透水部材54から貫通孔9を通り側溝内の排水される。
【0025】図14の街渠桝60の実施例では、上部に
開閉式グレーチング蓋61を装備し形成されている、前
記グレーチング蓋61の受枠62の高さが、排水舗装厚
と同程度の50mm〜60mmありスペーサー1を水平に設
置できないため、図6(b)の水平支柱8を装備するスペ
ーサー1を用いている、雨水の導水径路は貫通孔9を通
り街渠桝60内に排水される。
【0026】また本発明の貫通孔を設けたスペーサー
を、排水性舗装に対応する位置より低い位置に配置する
事で、一般舗装での路盤内の排水対策や透水性舗装の排
水対策にも採用でき、前記実施例のコンクリート製構造
物の他にも、上蓋式U字型側溝、L型擁壁、柵板など、
いずれもスペーサーで鉄筋を型枠間に固定し、製造され
る鉄筋コンクリート製構造物に採用される。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の貫通孔を
設けたスペーサーを使用したコンクリート製構造物は、
製造時に従来の無孔製品と同様の作業工程で製造でき生
産性に優れている、また型枠脱型時の製品破損も無いた
め、肉厚補強したりする必要がなく、無孔製品と同程度
の単価で製品を提供できる。
【0028】また、従来の無孔製品用型枠を使用して、
排水の導水径路を貫通孔を設けたスペーサーだけ、また
はスペーサーと導水径路確保のため小改造した型枠で対
応できるため、専用型枠を必要とせず新たな設備投資を
必要としないなど、製造と販売の両面に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係るスペーサーの斜視図
【図2】図1のスペーサーの正面図と側面図
【図3】請求項1に係るキャップスペーサーを併用し使
用するスペーサーの斜視図
【図4】請求項1に係るスペーサーの鉄筋挟持部を説明
する斜視図
【図5】請求項1に係るスペーサーの貫通孔の断面形状
を説明する斜視図
【図6】請求項1に係るスペーサーの断面保持部の縦断
形状を説明する斜視図
【図7】請求項1に係るスペーサーの断面保持部の長さ
調整を説明する斜視図
【図8】請求項1に係るスペーサーの貫通孔の端面形状
を説明する斜視図
【図9】請求項2に係る落蓋式U字型側溝の斜視図
【図10】請求項2に係る落蓋式U字型側溝の斜視図
【図11】請求項2に係る可変勾配型側溝の斜視図
【図12】請求項2に係る騒音防止型側溝の斜視図
【図13】請求項2に係る暗渠型側溝の斜視図
【図14】請求項2に係る街渠桝の斜視図
【図15】従来技術で落蓋式U字型側溝を製造した場合
の断面による説明図
【符号の説明】
1 スペーサー 2 天端面保持部 3 側端面保持部 4 貫通孔を設けた断面保持部 5 横鉄筋挟持部 6 縦鉄筋挟持部 7 垂直支柱 8 水平支柱 9 貫通孔 10 落蓋式U字型側溝 20 側溝蓋 30 可変勾配型側溝 40 騒音防止型側溝 50 暗渠型側溝 60 街渠桝 70 型枠 100 キャップスペーサー H1 排水性舗装面 H2 不透水性舗装面 K1 天端面鉄筋かぶり量 K2 側端面鉄筋かぶり量 K3 側壁鉄筋かぶり量 S1 縦鉄筋 S2 横鉄筋

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート製構造物の補強部材として
    用いられる、縦鉄筋と横鉄筋からなる鉄筋格子を、規定
    の鉄筋かぶり量を保持し、型枠内に固定するスペーサー
    において、型枠間の鉄筋かぶり量を保持し固定する間隔
    保持部に、貫通孔を設けたことを特徴とするスペーサ
    ー。
  2. 【請求項2】 請求項1のスペーサーを用いて形成され
    るコンクリート製構造物で、前記スペーサーの貫通孔を
    経由する導水径路を有するコンクリート製構造物。
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