JP2003138557A - 鋼矢板と鋼矢板壁の構築方法 - Google Patents

鋼矢板と鋼矢板壁の構築方法

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JP2003138557A
JP2003138557A JP2001340445A JP2001340445A JP2003138557A JP 2003138557 A JP2003138557 A JP 2003138557A JP 2001340445 A JP2001340445 A JP 2001340445A JP 2001340445 A JP2001340445 A JP 2001340445A JP 2003138557 A JP2003138557 A JP 2003138557A
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Hatsuichi Torisaki
肇一 鳥崎
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 後打鋼矢板の打ち込み施工性を低下させず
(高施工性)、高遮水性、高強度、高剛性の地中壁を構
築できる鋼矢板と鋼矢板壁構築方法を提供することを目
的とする。 【解決手段】 鋼矢板10のフランジ6の一方または両
方に、後打鋼矢板の継ぎ手2の嵌合割り込みスリット部
12を確保し、かつ、前記継ぎ手2を取り囲むようにア
ングル状あるいは半円状等の翼片8を接合延伸させて遮
水用充填材を充填するポケット部9を構成する鋼矢板に
おいて、前記翼片8に前記スリット部12を閉じるバネ
8を装着し、必要に応じてアングル翼片8の下部に底蓋
14を設けることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、埋立地や廃棄物処
分場の遮水壁、土木、建築用地下構造物の土留め壁・地
中壁・遮水壁、工事中の仮締め切り、ダムや貯水池の土
留め壁や遮水壁等の用途に用いる鋼矢板と鋼矢板壁の構
築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術として、図14に示すよう
に、鋼矢板1の継ぎ手部2の嵌合内部3に水膨潤性ポリ
マー4を塗布し、ポリマー4が鋼矢板1の打設後に周辺
の水を吸収して膨潤し、継ぎ手部2の嵌合内部3のすき
間をシールして遮水性能を発揮するようにした技術があ
る。
【0003】前記の従来技術は、鋼矢板1の継ぎ手部
2の嵌合内部3には継ぎ手部強度の制約から大きな空間
がとれないことや、塗布した水膨潤性シール材が鋼矢板
嵌合圧入時に削り取られることが多いことから信頼性が
低い。また、水膨潤性シール材は、高分子材料よりなる
吸水性ポリマーであり、強度や耐久性が十分でない。
【0004】従来技術として、特開昭56−1242
4号公報に係る矢板壁構築方法がある。この工法は、矢
板の継ぎ手部に、継ぎ手部を囲繞する囲繞部材を継ぎ手
部との間に後打鋼矢板の継ぎ手部を余裕を持って挿入で
きる程度の間隙を有して取り付け、後打鋼矢板の継ぎ手
部を連結して打設した後、その継ぎ手部と囲繞部との間
に形成される空間に止水材を充填材する技術である。
【0005】前記の従来技術は、矢板壁構築後に継ぎ
手部を取り囲む部位に形成されたある程度の大きさを持
つ空間に止水材を充填材するものであるが、鋼矢板を打
設する際に、囲繞部材の間隙および底部から土砂が侵入
し易いという問題を有している。そのため、充填材の充
填の前に土砂の排除や洗浄を行う必要がある。侵入した
土砂を排除・洗浄することは継ぎ手部の遮水性能上、重
要なことであるが、一度侵入した土砂を排除・洗浄する
ことは極めて難しい。
【0006】従来技術として、特開平1−28012
1号公報に係る止水用鋼矢板および、それを使用した止
水工法がある。この工法は、鋼矢板の継ぎ手部の一方の
外側に湾曲した耳プレートを接合することにより、次に
打設された鋼矢板の腹部に形成された空間にグラウト注
入空間を作り、継ぎ手部のみをグラウト材で止水を行う
技術である。
【0007】前記の従来技術は、グラウト注入空間の
精度が、後打鋼矢板の圧入精度に依存する。耳プレート
は、片持ち梁として鋼矢板の端部外側に突出しており鋼
矢板の地中圧入時に変形しやすい。また、後打鋼矢板を
挟み込んで位置決め拘束するのではないため、密閉性の
高いグラウト注入空間の確保には限界がある。
【0008】前記従来技術〜の問題を解決するもの
として、特開2000−192446号公報に係る鋼矢
板と鋼矢板壁構築方法が提案されている(従来技術
)。この方法は、図15に示すように、鋼矢板1の一
方または両方のフランジ6に、後打鋼矢板1の継ぎ手嵌
合割り込みスリット5を確保し、継ぎ手部2を取囲むよ
うにアングル翼片8を溶接11で接合させてモルタル等
の充填材充填用ポケット部9を構成し、当該ポケット部
9に止水用のモルタルを充填する技術である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来技術は、アング
ル翼片8で形成される充填材充填用ポケット部9が、嵌
合割り込みスリット5を介して継ぎ手部2の外側を取囲
むように密閉性の高い空間を形成しているので、従来技
術、におけるような、鋼矢板圧入時のポケット内空
間部への土砂の侵入とその排除や洗浄の問題は解決され
ており、さらに、アングル翼片8の強い拘束力で遮水用
充填材を拘束でき、高強度・高遮水性の面では優れると
いう利点を有しているが、なお改良すべき点として、継
ぎ手爪部で嵌合割り込みスリット5を押し開きながら後
打鋼矢板1を圧入するとき、モルタル充填用ポケット部
9を構成するアングル翼片8の拘束が強いため、当該圧
入時の摩擦抵抗が大きくなり、圧入時に困難を伴う恐れ
があった。
【0010】本発明は、従来技術における利点を生か
しつつ、前記の欠点を解決するものである。すなわち、
従来技術の利点である、モルタル等の遮水用充填材を
充填する空間(ポケット)を構成するアングル翼片の強
い拘束力で、遮水用充填材を確実に充填し、鋼矢板壁と
して構造の一体性や高遮水性等の要望を満たすという、
充填材用ポケット部の構成部材として好ましい性質を生
かし、かつ、後打鋼矢板の圧入時の大きな摩擦抵抗によ
る打ち込みの困難性を克服した、鋼矢板と鋼矢板壁の構
築方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明は次のように構成する。
【0012】第1の発明は、鋼矢板のフランジの一方ま
たは両方に、後打鋼矢板の継ぎ手嵌合割り込みスリット
部を確保し、かつ、前記継ぎ手を取囲むようにアングル
状あるいは半円状等の翼片を接合延伸させて遮水用充填
材を充填するポケット部を構成する鋼矢板において、前
記スリット部を閉じると共に、該スリット部への後打鋼
矢板の挿入を許容する弾性体を前記翼片に装着したこと
を特徴とする。
【0013】第2の発明は、第1の発明において、前記
翼片に装着した弾性体は、後打鋼矢板の挿入が容易であ
ると共に、打ち込み時に外からの水圧や土圧に耐えられ
る強度を持ち、後打鋼矢板の継ぎ手爪部を押付け、充填
材の注入時にその充填材が漏出しないように継ぎ手部挿
入箇所が閉じた空間を作ることができる変形性能を持つ
ことを特徴とする。
【0014】第3の発明は、第1または第2の発明にお
いて、前記翼片に装着した弾性体が、鋼板あるいはゴム
板あるいは合成樹脂板のいずれかよりなることを特徴と
する。
【0015】第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明
において、前記翼片に装着した弾性体の厚さが、後打鋼
矢板が挿入する箇所は薄く、翼片に固定される箇所は厚
くなるように厚さを変化させることを特徴とする。
【0016】第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明
において、鋼矢板打設時に土砂の侵入を防ぐと共に、前
記充填材が漏出しないように底部が閉じた空間を作るた
め、および鋼矢板の打ち込み時に前記翼片に装着した弾
性体の損傷を防ぐための底蓋を翼片下部に装着した構成
を特徴とする。
【0017】第6の発明は、第1〜第5の何れかの発明
において、前記充填材がモルタルあるいはアスファルト
混合物等の瀝青材あるいはウレタン樹脂よりなることを
特徴とする。
【0018】第7の発明の鋼矢板壁構築方法は、第1〜
第5の何れかの発明における後打鋼矢板の継ぎ手を、先
打鋼矢板における前記充填材用空間の弾性体で閉じられ
た継ぎ手部挿入箇所を押し開いて地中に挿入した後、当
該空間にモルタルあるいはアスファルト混合物等の瀝青
材あるいはウレタン樹脂等の充填材を充填することを特
徴とする。
【0019】第8の発明は、第1〜第5の何れかの発明
における後打鋼矢板の継ぎ手を、先打鋼矢板における前
記充填材用空間の弾性体で閉じられた継ぎ手部挿入箇所
を押し開いて地中に挿入する鋼矢板壁構築方法であっ
て、後打鋼矢板の圧入前に、先打鋼矢板における充填材
用空間の土砂排除と充填材の充填の何れか一方または、
両方を行うことを特徴とする。
【0020】
【作用】第1の発明によると、充填材用空間(ポケット
部)を形成する翼片の継ぎ手部挿入箇所(スリット部)
を閉じるように弾性体を装着させたことにより、この継
ぎ手部挿入箇所を余裕を持って形成でき、かつこの挿入
箇所を密閉できるので、、後打鋼矢板の挿入が容易にで
きると共に、鋼矢板挿入時にポケット部に土砂の侵入を
防ぐことができる。この点、従来技術のように剛性の
大きい材料では、後打鋼矢板の圧入時の摩擦抵抗が大き
くなり、打ち込みが困難になる恐れが大きいが、本発明
ではそうしたことが起こらない。
【0021】第2の発明によると、スリット部に装着す
る弾性体の剛性を適切に選択することにより、打ち込み
時に外からの水圧・土圧に耐えられる強度を持ち、後打
鋼矢板の打ち込み施工性を保持し、かつ挿入時の土砂侵
入を適切に防止することができる。
【0022】第3の発明によると、第1、第2の発明を
実現する弾性体の材料は、鋼板または、ゴム板あるいは
合成樹脂板の何れでもよい。前記各種材料からなる弾性
体の板厚は、地盤条件、鋼矢板の型式、打ち込み方法に
応じて決定する。弾性体を鋼板としたのは、後打鋼矢板
の圧入を容易にし、かつ土砂の侵入を防ぐ適度な弾性体
の反力を得やすいこと、翼片との接合が溶接により容易
に、かつ経済的にできることが理由である。翼片と弾性
体との接合は、ボルトあるいは接着材等を用いる方法で
もよい。
【0023】第4の発明によると、前記翼片に装着した
弾性体の厚さが、後打鋼矢板が挿入する箇所は薄く、翼
片に固定される箇所は厚くなるように厚さを変化させる
ことにより、後打鋼矢板の挿入を容易にする柔軟性を与
えることができ、かつ、鋼矢板を打ち込む際に水圧およ
び土圧により損傷しないと共に、水圧および土圧に打ち
勝ってスリット部の閉鎖状態を保持できる、適度の剛性
と強度を確実に与えることができる。
【0024】第5の発明によると、翼片の下端部に底蓋
を付けることにより、ポケット部の底部からの土砂の侵
入を防ぎ、かつ充填材が漏出しない閉じた空間を作るこ
とができる。また、鋼矢板の打ち込み時に第3発明の弾
性体が損傷するのを防ぐものである。
【0025】第6の発明によると、充填材として、施工
性および遮水性が優れているモルタルあるいはアスファ
ルト混合物等の瀝青材あるいは、ウレタン樹脂を選定し
た。
【0026】第7の発明によると、第1〜第5の発明に
おける鋼矢板を用いて、高強度・高剛性、高遮水性、高
信頼性の鋼矢板壁を施工性よく構築できる。
【0027】第8の発明によると、第1〜第5の発明に
おける鋼矢板を用いて、後打鋼矢板の圧入前に、先打鋼
矢板における充填材用空間の土砂排除と充填材の充填の
何れか一方または両方を行うことで、高強度・高剛性、
高遮水性、高信頼性の鋼矢板壁を施工性よく構築でき
る。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図を参
照して説明する。
【0029】図1〜図3は実施形態1を示し、ウェブ7
の両側にフランジ6を有し、フランジ6の先端に継ぎ手
部2を有するU型の鋼矢板10において、一方のフラン
ジ6の外側に前記継ぎ手部2の嵌合溝側を取囲むように
L型鋼(以下、アングル翼片という)8の一端を溶接1
1により固着する。このアングル翼片8の先端部8aと
継ぎ手部2との間には、図3に示す後打鋼矢板10の圧
入時、その継ぎ手爪部を余裕を持って嵌合できるスリッ
ト部12が形成されている。また、アングル翼片8の先
端部8aの外側には鋼板製のスリット閉鎖用バネ13が
溶接、接着、ネジ止め、カシメなどの接合手段により取
り付けられている。このバネ13の先端側面が継手ぎ部
2の爪部背面に圧接して前記スリット部12を閉鎖して
おり、鋼矢板10のフランジ6とアングル翼片8との間
に充填材充填用のポケット部9を構成している。
【0030】実施形態1において、鋼矢板10のウェブ
7の板厚は8mm〜28mmで、また、アングル翼片8
は、ポケット部9に充填する充填材を十分に拘束できる
強度を持たせるべく、通常厚さ6mm以上の鋼材で構成
される。一方、特許請求の範囲に記載の弾性体の一例と
して示すスリット閉鎖用バネ13は、厚さが3mm以下
の普通鋼の鋼板よりなり、アングル翼片8の延伸方向に
沿って前記溶接等の接合手段により接合延伸させてな
る。スリット閉鎖用バネ13は、普通鋼の鋼板に限ら
ず、ゴム板、合成樹脂製の材質でもよい。このスリット
閉鎖用バネ13は、後打鋼矢板の継ぎ手部挿入の容易性
の点から、一定の柔軟性を有すること、打設の際の水
圧、土圧で損傷しない剛性と強度を持つこと、打設時に
ポケット部9ヘの土砂の侵入を防ぐことなどの条件を満
たすことが必要であり、バネに何れの材料を用いるとき
も、前記の条件を満たすように設計される。
【0031】前記ポケット部9の下端部には鋼板による
底蓋14を溶接により取り付けている。実施形態1の場
合、図3、図13に示すように先打鋼矢板10と後打鋼
矢板10でアングル翼片8は左右反対のフランジ6に設
け、図に示すように、各鋼矢板10を向き合わせて、先
打鋼矢板10の継ぎ手部2のスリット部12に後打鋼矢
板10の継ぎ手部2を嵌合させながら圧入することによ
り鋼矢板地中壁15を構築できる。
【0032】この場合、後打鋼矢板10の継ぎ手部2
が、先打鋼矢板10の継ぎ手部2の比較的嵌合余裕を持
って形成されているスリット部12を閉鎖しているスリ
ット閉鎖用バネ13を押し退けながら当該スリット部1
2に嵌合し、嵌合した後は、当該バネ13が後打鋼矢板
10の継ぎ手部2の背面に圧接して、当該嵌合継ぎ手部
を取囲んで密閉性の高い充填材充填用のポケット部9を
形成できる。
【0033】図4、図5は、実施形態2を示す。この実
施形態2では、U型の鋼矢板10aのフランジ6の両側
に、実施形態1と同じアングル翼片8とフランジ6とか
らなる充填材用のポケット部9を構成している。他の構
成は実施形態1と同じである。
【0034】実施形態2の場合、図5に示すように、各
鋼矢板10aを向き合わせて、実施形態1と同様に、先
打鋼矢板10aの継ぎ手部2のスリット部12に後打鋼
矢板10aの継ぎ手部2を嵌合させながら圧入すること
により鋼矢板地中壁を構築できる。この実施形態2では
左右の継ぎ手部2における、それぞれの両側を取囲むよ
うに充填材用のポケット部9が各継ぎ手部に2つ形成さ
れているので、充填材用のポケット部9が1つの実施形
態1に比べて遮水性が一層向上する。
【0035】図6、図7は、実施形態3を示す。この実
施形態3では、アングル翼片の代わりに半円形の鋼材の
翼片8bをU型の鋼矢板10のフランジ6の片側に設
け、この半円形翼片8bの先端にスリット閉鎖用バネ1
3を設け、U型の鋼矢板10のフランジ6の片側に、半
円形翼片8bとフランジ6とからなる充填材用のポケッ
ト部9を構成した例が示されている。他の構成と作用は
実施形態1と同じである。
【0036】図8、図9は、実施形態4を示す。この実
施形態4では、U型の鋼矢板10aのフランジ6の両側
に、実施形態3と同じ半円形翼片8bとフランジ6とか
らなる充填材用のポケット部9を構成した例が示されて
いる。他の構成と作用は実施形態3と同じである。この
場合も、実施形態2と同様、継ぎ手部2の両側を取囲む
ように充填材用のポケット部9が各継ぎ手部に2つ形成
されているので、充填材用のポケット部9が1つの実施
形態3に比べて遮水性が一層向上する。
【0037】図10、図11は、実施形態5を示す。こ
の実施形態5では、U型の鋼矢板10のフランジ6の片
側に、スリット部12を閉鎖する弾性体(スリット閉鎖
用バネ)として、鋼板の代わりにゴム板13aを取り付
け、U型の鋼矢板10のフランジ6の片側に、ゴム板1
3aとフランジ6とからなる充填材用のポケット部9を
構成した例が示されている。他の構成と作用は実施形態
1と同じである。
【0038】本発明の主要部であるスリット閉鎖用バネ
13について、その柔軟性、反発強度、剛性、材質な
ど、スリット部のバネが満たすべき要件は、以下のとお
りである。
【0039】(要件1):後打鋼矢板の継ぎ手部の挿入
が容易にできる柔軟性を持つこと。 (要件2):打ち込む際に水圧および土圧により損傷し
ない剛性と強度を持つこと。 (要件3):後打鋼矢板の継ぎ手部の挿入時に継ぎ手部
を押し付けて外からの土砂の侵入を防ぐことができるこ
と。鋼矢板壁を構築後、閉じた空間(ポケット部)を作
り、そのポケット部に充填材を入れる際に充填材の漏出
を防ぐことができること。
【0040】前記の(要件3)は、(要件2)を満たす
だけの剛性と強度をバネが持っていれば、自ずと満たさ
れると考えてよい。
【0041】さらに説明すると、スリット部の幅は、挿
入される後打鋼矢板の継ぎ手部の板厚以上の大きさが必
要であり、また、スリット部の幅が大きすぎるとポケッ
ト部が大きくなり打ち込み時の抵抗が過大になり支障が
ある。したがって、スリット部の幅は、0.6mm以
上、150mm以下程度が適切と考えられる。スリット
部の幅に応じてバネの板厚が決定されるが、バネが普通
鋼の鋼板の場合について、(要件1)、(要件2)、
(要件3)を満たすバネの板厚を求めてみると、後打鋼
矢板の継ぎ手部が挿入される箇所の厚さをT1、翼片に
固定される箇所の厚さをT2として、 T1≦T21≦3.0mm T2≧0.5mm程度 の条件が必要であることが分かった。
【0042】また、図では、スリット閉鎖用バネ13の
板厚は基端から先端にかけて略同じ厚みに示している
が、これに限らず、後打鋼矢板10の継ぎ手部2が挿入
するスリット部12は薄く、アングル翼片8に固定され
る箇所は厚くなるように厚さを変化させてもよい。それ
により、スリット閉鎖用バネ13に、後打鋼矢板10の
継ぎ手部2の挿入を容易にする柔軟性を与えることがで
きると共に、鋼矢板10を打ち込む際に水圧および土圧
によりスリット閉鎖用バネ13が損傷せず、水圧および
土圧に打ち勝ってスリット部の閉鎖状態を保持できる、
適度の剛性と強度を確実に与えることができる。
【0043】基端から先端にかけて板厚が変化するスリ
ット閉鎖用バネ13の製作方法、例えば、バネ鋼により
一体に成形してもよいし、長さの異なる複数のバネ板を
重ね合わせ固着してなる重ね板バネで構成してもよく、
また、他の任意の方法で製作してもよい。
【0044】本発明に係る鋼矢板10を地中に圧入し
て、鋼矢板地中壁15を構築する作業工程を説明する。
【0045】図12に示すように、クローラクレーン1
6に吊り下げたバイブロハンマ17により、充填材用の
ポケット部9を有する鋼矢板10を先打鋼矢板として地
中22に打ち込む。打ち込みは、油圧圧入工法やアース
オーガー併用圧入工法等によっても行うことができる。
硬い地盤の場合は、補助工法として図に示すジェット水
供給装置18から導出した配管19を充填材用のポケッ
ト部9に挿入し、ウォータージェットによる土砂排除と
洗浄等を併用して打ち込むこともできる。
【0046】前記の先打鋼矢板10を地中22に打ち込
む際、外からの土圧に押されるが、底部は底蓋14によ
り閉鎖され、また、スリット部12はバネ13の反力に
より閉鎖されているので、ポケット部9内への土砂の侵
入が確実に防止される。
【0047】次に、後打鋼矢板10を先打鋼矢板10の
継ぎ手部2における充填材用のポケット部9のスリット
部12のバネ13を押しのけながら、スリット部12を
割り込むように挿入させる。
【0048】以上のように鋼矢板10の打ち込み操作を
繰返すことにより、鋼矢板地中壁15を構築する。
【0049】次に、鋼矢板10のポケット部9に侵入し
た若干の土砂を噴射水等により排除・洗浄する。この洗
浄は、先に硬い地盤へ鋼矢板10を圧入する際の補助工
法として用いたジェット水供給装置18で行うとよい。
【0050】その後、ポケット部9内にモルタルあるい
はアスファルト混合物等の瀝青材あるいは、ウレタン樹
脂等よりなる充填材を充填するものである。これらの充
填材は、優れた不透水性を発揮すると共に、鋼材との接
着性がよく、鋼矢板継ぎ手部2の高強度・高剛性構造お
よび高遮水構造が実現する。なお、充填材の充填は、充
填材供給装置20から導出したホース21を通してポケ
ット部9内に充填するとよい。
【0051】
【発明の効果】本発明に係る鋼矢板は、フランジの一方
または両方に、鋼矢板打設時に土砂の侵入を防ぐことの
できる遮水用充填材を充填する空間を作るために、後打
鋼矢板の継ぎ手部の挿入箇所を閉じる弾性体を装着した
翼片を接合延伸させたので、鋼矢板打ち込み時に土砂の
侵入を防止できる。前記の空間へ侵入した土砂を排除・
洗浄することは継ぎ手部の遮水性能上、重要なことであ
り、他方、一度侵入した土砂を排除・洗浄することは極
めて難しいが、本発明によると、このような従来の問題
が解決された。
【0052】さらに、継ぎ手部の挿入箇所(スリット
部)を後打鋼矢板の圧入時の摩擦抵抗が小さくなるよう
に十分余裕を持って形成しても、弾性体によるスリット
部の閉鎖作用により土砂の侵入を防止でき、かつ、弾性
体は柔軟性があるので、後打鋼矢板の打ち込み施工性を
低下させない。
【0053】前述のようにして、本発明によると、鋼矢
板に密閉性の高い充填材用ポケットを構成するので、高
遮水性、高強度、高施工性、高剛性の地中壁を構築でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る鋼矢板の端面図であ
る。
【図2】図1の鋼矢板の底部付近を示す立面図である。
【図3】図1の鋼矢板の継ぎ手部の嵌合圧入状態を示す
端面図である。
【図4】実施形態2に係る鋼矢板の端面図である。
【図5】図3の鋼矢板の継ぎ手部の嵌合圧入状態を示す
端面図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る鋼矢板の端面図であ
る。
【図7】図6の鋼矢板の継ぎ手部の嵌合圧入状態を示す
端面図である。
【図8】本発明の実施形態4に係る鋼矢板の端面図であ
る。
【図9】図8の鋼矢板の継ぎ手部の嵌合圧入状態を示す
端面図である。
【図10】本発明の実施形態5に係る鋼矢板の端面図で
ある。
【図11】図10の鋼矢板の継ぎ手部の嵌合圧入状態を
示す端面図である。
【図12】本発明に係る鋼矢板の地中打ち込み状態の側
面説明図である。
【図13】実施形態1の鋼矢板による地中壁の平面図で
ある。
【図14】従来例1(従来技術)の鋼矢板の継ぎ手部
の嵌合圧入状態を示す端面図である。
【図15】従来例2(従来技術)の鋼矢板の継ぎ手部
の嵌合圧入状態を示す端面図である。
【符号の説明】
1 鋼矢板 2 継ぎ手部 3 嵌合内部 4 水膨潤性ポリマー 5 継ぎ手嵌合割り込みスリット 6 フランジ 7 ウェブ 8 アングル翼片 8a 翼片先端 8b 半円形翼片 9 充填材充填用ポケット部 10 鋼矢板 10a 鋼矢板 11 溶接 12 スリット部 13 スリット部閉鎖用バネ 13a ゴム板 14 底蓋 15 鋼矢板地中壁 16 クローラクレーン 17 バイブロハンマー 18 ジェット水供給装置 19 配管 20 充填材供給装置 21 ホース 22 地中

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼矢板のフランジの一方または両方に、
    後打鋼矢板の継ぎ手嵌合割り込みスリット部を確保し、
    かつ、前記継ぎ手を取囲むようにアングル状あるいは半
    円状等の翼片を接合延伸させて遮水用充填材を充填する
    ポケット部を構成する鋼矢板において、前記スリット部
    を閉じると共に、該スリット部への後打鋼矢板の挿入を
    許容する弾性体を前記翼片に装着したことを特徴とする
    鋼矢板。
  2. 【請求項2】 前記翼片に装着した弾性体は、後打鋼矢
    板の挿入が容易であると共に、打ち込み時に外からの水
    圧や土圧に耐えられる強度を持ち、後打鋼矢板の継ぎ手
    爪部を押付け、充填材の注入時にその充填材が漏出しな
    いように継ぎ手部挿入箇所が閉じた空間を作ることがで
    きる変形性能を持つことを特徴とする請求項1記載の鋼
    矢板。
  3. 【請求項3】 前記翼片に装着した弾性体が、鋼板ある
    いはゴム板あるいは合成樹脂板のいずれかよりなる請求
    項1または2記載の鋼矢板。
  4. 【請求項4】 前記翼片に装着した弾性体の厚さが、後
    打鋼矢板が挿入する箇所は薄く、翼片に固定される箇所
    は厚くなるように厚さを変化させることを特徴とする請
    求項1〜3の何れか1項記載の鋼矢板。
  5. 【請求項5】 前記鋼矢板打設時に土砂の侵入を防ぐと
    共に、前記充填材が漏出しないように底部が閉じた空間
    を作るため、および鋼矢板の打ち込み時に前記翼片に装
    着した弾性体の損傷を防ぐための底蓋を翼片下部に装着
    した構成を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の
    鋼矢板。
  6. 【請求項6】 前記充填材がモルタルあるいはアスファ
    ルト混合物等の瀝青材あるいはウレタン樹脂よりなるこ
    とを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の鋼矢
    板。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5の何れか1項記載の後打鋼
    矢板の継ぎ手を、先打鋼矢板における前記充填材用空間
    の弾性体で閉じられた継ぎ手部挿入箇所を押し開いて地
    中に挿入した後、前記空間にモルタルあるいはアスファ
    ルト混合物等の瀝青材あるいはウレタン樹脂等の充填材
    を充填することを特徴とする鋼矢板壁構築方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5の何れか1項記載の後打鋼
    矢板の継ぎ手を、先打鋼矢板における前記充填材用空間
    の弾性体で閉じられた継ぎ手部挿入箇所を押し開いて地
    中に挿入する鋼矢板壁構築方法であって、後打鋼矢板の
    圧入前に、先打鋼矢板における前記空間の土砂排除と充
    填材の充填の何れか一方または、両方を行うことを特徴
    とする鋼矢板壁構築方法。
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JP2010084386A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Jfe Steel Corp 鋼矢板及び鋼矢板遮水壁、並びに鋼矢板の打設方法
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