JP2003138420A - 難燃性ポリプロピレン系繊維 - Google Patents

難燃性ポリプロピレン系繊維

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JP2003138420A
JP2003138420A JP2001333856A JP2001333856A JP2003138420A JP 2003138420 A JP2003138420 A JP 2003138420A JP 2001333856 A JP2001333856 A JP 2001333856A JP 2001333856 A JP2001333856 A JP 2001333856A JP 2003138420 A JP2003138420 A JP 2003138420A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工時の難燃剤の熱分解が少なく、環境汚染
を引き起こしにくく、紡糸性が改善され、風合、ヒート
シール性等に優れた繊維製品を得ることの難燃性ポリプ
ロピレン系繊維の提供。 【解決手段】 メタロセン触媒によって重合され、融点
(Tm)が140℃以下、Q値が1.5〜4.0のプロ
ピレン−α−オレフィンランダム共重合体100重量部
に対し、ホスファゼン系難燃剤5〜10重量部、トリブ
ロモネオペンチルアルコール誘導体5〜15重量部、三
酸化アンチモン0.5〜5重量部を配合した樹脂組成物
を、紡糸温度170℃以下で紡糸してなることを特徴と
する難燃性ポリプロピレン系繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性ポリプロピ
レン系繊維に関し、詳しくは、加工時の熱分解が少な
く、臭気等が抑制され、紡糸性等が改良された難燃性ポ
リプロピレン系繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリオレフィン樹脂はその加
工性、耐熱性、耐候性、耐薬品性、電気的特性等及び機
械的強度等の優位性を活かし、産業用、家庭用向けなど
に多くの用途開発が行われて来たが、材料使用上の欠点
として難燃性ではないことが挙げられ、ここ数年特にポ
リオレフィン樹脂の難燃化が強く求められている。
【0003】特に最近では、社会的に環境問題に対する
個人の意識が高まっており、従来使用されていたハロゲ
ン系難燃剤や酸化アンチモン等を使用したポリオレフィ
ン樹脂材料は環境汚染の問題から使用制限がなされるま
でに至っている。また、繊維及び布などの成形品では燃
焼時のドリップ性(滴下物の有無)や自消性(自己消火
性)を得る為にはハロゲン系難燃剤や無機難燃剤ではか
なりの添加量を必要とする為に、材料強度の大幅な低下
や臭気の悪化等、材料本来の特性が得られなくなる等の
欠点があった。
【0004】このような欠点を改良する技術として、特
開2001−40149号公報では、無機難燃剤とハロ
ゲンを含まない有機リン系難燃剤を併用することにより
少量の添加量で優れた難燃性を有するポリオレフィン系
樹脂組成物が開示されているが、難燃剤の合計含量が1
0〜60重量%とかなり多くの添加量が必要となり経済
的にも、物性保持の面からも劣るものである。また、難
燃性を引き出す為にホスファゼンの他に水酸化金属化合
物を配合することで難燃性の向上と樹脂本来の特性低下
を抑制するとあるが、元々これら水酸化物は比重が重く
(該公報記載の水酸化マグネシウムは比重が1.54と
重く)、樹脂組成物の比重も高くなり、材料としては問
題があり、経済的でない。さらに、練り込み加工時に1
80℃以上の温度に難燃剤が晒されるために、加工時の
フォスファゼン系難燃剤が極めて悪臭を放つ為に環境対
策上も問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み、加工時の難燃剤の熱分解が少なく、難燃剤配合
品の臭気も抑制され低臭気化が可能になり、ノンハロゲ
ンまたは低ハロゲン系難燃剤により環境汚染を引き起こ
しにくく、紡糸性が改善され、ぬめり感が少なく、風合
も良く、ヒートシール性に優れた繊維製品を得ることの
できる難燃性ポリプロピレン系繊維、及びその繊維成形
品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、メタロセン触媒で重合された特定の性状を有
するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体にホ
スファゼン系難燃剤、トリブロモネオペンチルアルコー
ル誘導体、及び三酸化アンチモンを特定量配合して紡糸
することにより上記目的が達成されることを見出し、本
発明に至った。
【0007】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
メタロセン触媒によって重合され、融点(Tm)が14
0℃以下、Q値が2.0〜4.0のプロピレン・α−オ
レフィンランダム共重合体100重量部に対し、下記添
加剤を配合した樹脂組成物を、紡糸温度170℃以下で
紡糸してなることを特徴とする難燃性ポリプロピレン系
繊維が提供される。 (a)ホスファゼン系難燃剤5〜10重量部、(b)ト
リブロモネオペンチルアルコール誘導体5〜15重量
部、及び(c)三酸化アンチモン0.5〜5重量部(た
だし、融点(Tm)は示差走査熱量計(DSC)によっ
て得られる融解曲線のピーク温度、Q値はGPCにより
測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mwとの比
(Mw/Mn)をそれぞれ示す。)
【0008】また、本発明の第2の発明によれば、プロ
ピレン・α−オレフィンランダム共重合体の融点(T
m)が、110〜135℃である樹脂組成物を紡糸して
なることを特徴とする第1の発明に記載の難燃性ポリプ
ロピレン系繊維が提供される。
【0009】また、本発明の第3の発明によれば、ポリ
プロピレン系繊維が、芯鞘構造を有する複合繊維であっ
て、鞘部分が第1又は2の発明に記載の樹脂組成物から
なる繊維であることを特徴とする難燃性ポリプロピレン
系繊維が提供される。
【0010】また、本発明の第4の発明によれば、ポリ
プロピレン系繊維が、芯鞘構造を有する複合繊維であっ
て、芯部分がポリプロピレン単独重合体であることを特
徴とする第3の発明に記載の難燃性ポリプロピレン系繊
維が提供される。
【0011】また、本発明の第5の発明によれば、第1
〜4のいずれかの発明に記載の難燃性ポリプロピレン系
繊維を用いることを特徴とする不織布が提供される。
【0012】また、本発明の第6の発明によれば、第1
〜4のいずれかの発明に記載の難燃性ポリプロピレン系
繊維を用いることを特徴とするカーペット基布又はカー
ペットが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の難燃性プロピレン系繊維で用いるプロピレン・
α−オレフィンランダム共重合体は、メタロセン触媒を
使用して重合した共重合体である。メタロセン触媒は、
チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4〜
6族遷移金属と、シクロペンタジエニル基あるいはシク
ロペンタジエニル誘導体基との錯体を使用した触媒であ
る。
【0014】メタロセン触媒において、シクロペンタジ
エニル誘導体基としては、ペンタメチルシクロペンタジ
エニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基
が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した
基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フ
ルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水
素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペ
ンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレ
ン基等で結合したものも好ましく用いられる。
【0015】メタロセン錯体として、具体的には次の化
合物を好ましく挙げることができる。(1)メチレンビ
ス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)
(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(4)エチレン(シクロペンタジエニ
ル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウム
ジクロリド、(5)メチレンビス(インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、(6)エチレンビス(2−メチルイ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、(7)エチレン
1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウム
ジクロリド、(8)エチレン(シクロペンタジエニル)
(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(9)ジメ
チルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1
0)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、(11)ジメチルシリレンビス(4,5,
6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロ
リド、(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニ
ル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(1
3)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オク
タヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(1
4)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−
4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリ
ド、(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル
−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリ
ド、(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル
−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、(1
7)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−
(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコ
ニウムジクロリド、(18)ジメチルシリレンビス[1
−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−
アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、(19)ジメ
チルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−
4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、(2
0)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−
(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコ
ニウムジクロリド、(21)ジメチルシリレンビス[1
−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジル
コニウムジクロリド、(22)ジメチルシリレンビス
[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]
ジルコニウムジクロリド、(23)ジメチルシリレンビ
ス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニ
ル)]ジルコニウムジクロリド、(24)ジメチルゲル
ミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)
(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド。
【0016】また、チタニウム化合物、ハフニウム化合
物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても
上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分お
よび触媒については、これらの化合物を併用してもよ
い。
【0017】また、これらの化合物のクロリドの一方あ
るいは両方が臭素、ヨウ素、水素、メチルフェニル、ベ
ンジル、アルコキシ、ジメチルアミド、ジエチルアミド
等に代わった化合物も例示することができる。さらに、
上記のジルコニウムの代わりに、チタン、ハフニウム等
に代わった化合物も例示することができる。
【0018】助触媒としては、アルミニウムオキシ化合
物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分
をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もし
くはルイス酸、固体酸、あるいは、イオン交換性層状珪
酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が
用いられる。また、必要に応じてこれら化合物と共に有
機アルミニウム化合物を添加することができる。
【0019】アルミニウムオキシ化合物としては、メチ
ルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモ
キサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサ
ン、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキ
サン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。
また、トリアルキルアルミニウムとアルキルボロン酸と
の反応物を使用することもできる。例えば、トリメチル
アルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、トリ
イソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応
物、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニ
ウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、トリエチル
アルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物などであ
る。
【0020】イオン交換性層状珪酸塩としては、モンモ
リロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナ
イト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、
ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バー
ミキュライト族、雲母族などの珪酸酸塩が用いられる。
これらのケイ酸塩は化学処理を施したものであることが
好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不
純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化
学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることがで
きる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処
理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられ
る。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の
陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等
の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子
複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固
体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独
で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよ
い。
【0021】また、必要に応じてこれら化合物と共にト
リエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化
合物を使用してもよい。
【0022】本発明においては、上記メタロセン触媒を
使用してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体
を得る。α−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭
素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチ
レン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチル−1−ブ
テン、ヘキセン−1、3−メチル−1−ペンテン、4−
メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、
ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン
−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセ
ン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−
オレフィンは、一種類でも二種類以上併用してもよい。
このうちエチレン、ブテン−1が好適であり、特にエチ
レンが好適である。
【0023】重合法としては、これらの触媒の存在下、
不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いな
い気相法や溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とする
バルク重合法等が挙げられる。
【0024】本発明で用いるプロピレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体は、前述のメタロセン触媒で重合さ
れた共重合体であって、融点(Tm)が140℃以下、
Q値が2.0〜4.0である必要がある。以下、各特性
について説明する。
【0025】融点(Tm)は、示差走査熱量計(DS
C)によって得られる融解曲線のピーク温度で表され
る。本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダ
ム共重合体のTmは、140℃以下であり、好ましくは
110〜135℃、より好ましくは115〜135℃で
あり、さらに好ましくは120〜130℃である。Tm
が140℃を超える場合、成形温度を170℃以上に設
定しないと紡糸性が劣る為、実用的でない。
【0026】また、Tmの具体的測定は、パーキンエル
マー社製の示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル
量10mgを採り、200℃で5分間保持した後、40
℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃
/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピー
ク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とする。
【0027】Q値は、GPCにより測定した重量平均分
子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)で表
される。本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンラ
ンダム共重合体のQ値は、1.5〜4.0であり、好ま
しくは1.8〜3.7であり、より好ましくは2.0〜
3.5である。Q値が4.0を超えると、高分子量の存
在により紡糸延伸性が損なわれるといった弊害が生じ
る。逆に、2.0未満であると、糸揺れが生じ、糸切れ
が多くなり、成形上問題がある。さらに繊度むらを生じ
実用上の問題がある。プロピレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体のQ値を調整する方法は、好ましくは2種
以上のメタロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上
のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合する、
または重合時に2段以上の多段重合を行うことによりQ
値を広く制御することができる。逆にQ値を狭く調整す
るためには、プロピレン・α−オレフィンランダム共重
合体を重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練すること
により調整することができる。
【0028】なお、Q値の測定は、次の条件でおこな
う。 装置 :Waters社製HLC/GPC 150C カラム温度:135℃ 溶媒 :o−ジクロロベンゼン 流量 :1.0ml/min カラム :東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1 注入量 :0.15ml(濾過処理無し) 溶液濃度 :5mg/3.4ml 試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整 し140℃で1〜3時間溶解させる。 検量線 :ポリスチレン標準サンプルを使用。 検量線次数:1次 PP分子量:PS×0.639
【0029】さらに、MFR、TREFにおけるT80
−T20、0℃可溶分量において次のような値を有して
いることが好ましい。本発明で用いるプロピレン・α−
オレフィンランダム共重合体のメルトフローレート(M
FR)は、JIS−K6921による230℃、21.
18Nで測定した値である。共重合体のメルトフローレ
ート(MFR)は、好ましくは、4.0〜100g/1
0分であり、より好ましくは8〜90g/10分であ
り、さらに好ましくは10〜80g/10分である。M
FRが4.0g/10分未満であると紡糸圧力が高くな
りすぎ、高倍率での延伸が困難となり、繊維径の不均一
などの弊害が生じる。一方、100g/10分を超える
と溶融粘度が低いことから紡糸時に糸揺れが顕著とな
り、隣接する糸同士が融着し糸切れが多発するといった
弊害が生じる。ポリマーのMFRを調節するには、例え
ば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供
給量などを適宜調節する方法、あるいは重合終了後に過
酸化物の添加により調整する方法がある。
【0030】本発明で用いるプロピレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体は、温度上昇溶離分別(TREF:
Temperature Rising Elutio
nFraction)によって得られる溶出曲線におい
て、80重量%が溶出する温度(T80)と20重量%
が溶出する温度(T20)の差、T80−T20が、好
ましくは、10℃以下であり、より好ましくは2〜9℃
であり、さらに好ましくは2〜8℃である。T80−T
20が10℃を超えると、低融点成分が増加するため、
構成繊維のべたつき、不織布とした時の表面すべり特性
の悪化、紡糸性能の低下等の弊害が生じる。ポリマーの
80−T20が上記のように特定の狭い範囲にあるこ
とは、ポリマーの分子量分布がより均一であることを意
味している。プロピレン・α−オレフィンランダム共重
合体のT80−T20を調整する方法は、2種以上のメ
タロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上のメタロ
セン錯体を併用した触媒系を用いて重合することによ
り、T80−T20を大きく調整することができる。ま
た、担体にメタロセン触媒成分を担持する際、担持が不
均一である触媒を使用して重合した場合、低分子量成分
が増え、これに伴いT −T20が大きくなってしま
う。したがってメタロセン触媒成分を担体に均一に担持
する技術が重要である。
【0031】ここで、上記温度上昇溶離分別(TRE
F)とは、不活性担体の存在下に一定高温下でポリマー
を完全に溶解させた後に冷却し、該不活性担体表面に薄
いポリマー層を生成させ、次に、温度を連続又は段階的
に昇温して、溶出した成分を回収し、その濃度を連続的
に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグ
ラフ(溶出曲線)により、ポリマーの組成分布を測定す
る方法である。温度上昇溶離分別(TREF)の測定の
詳細については、Journal of Applie
d Polymer Science第26巻 第42
17〜4231頁(1981年)に記載されており、本
発明においてもこれに従って行う。
【0032】なお、T80−T20は、具体的には、次
の条件で測定した値である。測定装置はダイヤインスツ
ルメンツ製CFC T−102Lを使用し、まず、測定
すべきサンプルを溶媒(o−ジクロロベンゼン)を用
い、3mg/mlとなるように、140℃で溶解し、こ
れを測定装置内のサンプルループ内に注入する。以下の
測定は設定条件にしたがって自動的に行われる。サンプ
ルループ内に保持された試料溶液は、溶解温度の差を利
用して分別するTREFカラム(不活性担体であるガラ
スビーズが充填された内径4mm、長さ150mmの装
置付属のステンレス製カラム)に0.4ml注入され
る。次に該サンプルを1℃/分の速度で140℃から0
℃の温度まで冷却させる。TREFカラムが0℃で更に
30分間保持された後、0℃の温度で溶解している成分
2mlが1ml/分の流速でTREFカラムからSEC
カラム(昭和電工製AD806MS 3本)へ注入され
る。SECで分子サイズの分別が行われている間に、T
REFカラムでは次の溶出温度(10℃)に昇温され、
その温度に約30分保持される。SECでの各溶出区分
の測定は39分間隔で行われる。溶出温度は0℃から4
0℃まで10℃毎に、40℃から90℃まで5℃毎に、
90℃から140℃までは4℃毎に階段的に昇温され
る。該SECカラムで分子サイズによって分別された溶
液は装置付属の赤外線分光光度計で検出され、各溶出温
度区分におけるクロマトグラフが得られる。なお、赤外
線分光光度計での検出は検出波数3.42μmにおける
吸光度を使用して行われ、溶液中のポリマー成分量と吸
光度とが比例するものとして以下のデータ処理が行われ
る。各溶出温度区分におけるクロマトグラムは内蔵のデ
ータ処理ソフトにより処理され、各クロマトグラムの面
積を基に、積算が100%となるように規格化された各
溶出温度区分の溶出量が計算される。更に、得られた各
溶出温度区分の溶出量から、積分溶出曲線が作成され
る。0℃可溶分量とは0℃で溶出したポリマー成分の量
(%)を示すものであり、T20とは積算溶出量が20
%となる温度を、T80とは積算溶出量が80%となる
温度を示すものである。
【0033】本発明で用いるプロピレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体のTREF測定時の0℃可溶分量
は、3重量%以下であり、好ましくは1.0重量%以下
であり、更に好ましくは0.5重量%以下であり、特に
好ましくは0.3重量%以下である。TREF測定時の
0℃可溶分量は、低分子量成分がそのほとんどを占めて
おり、不織布のべたつきの原因となる。上記範囲より大
きい場合は、不織布べたつきが顕著となり、これは沸騰
水での溶出原因にもなり、好ましくない。
【0034】本発明で用いるプロピレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体中のα−オレフィン(コモノマー)
含有量は、1〜18モル%であり、好ましくは2.5〜
10モル%であり、より好ましくは3〜8モル%であ
る。特にコモノマーがエチレンの場合は、1〜12モル
%が好ましい。コモノマー含有量が上記範囲よりも少量
であると融点が高く、ヒートシール特性が改善されず好
ましくない。一方、多すぎると紡糸時の固化が遅く、生
産性が損なわれる、また不織布強度や剛性が大きく低下
してしまうといった弊害が生じる。ポリマー中のα−オ
レフィン含有量は重合反応系へ供給するα−オレフィン
の量を制御することにより容易に調節することができ
る。なお、本発明において、α−オレフィン含有量は、
フーリエ変換赤外分光光度計により定量されるものであ
る。
【0035】本発明のプロピレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体に配合される(a)ホスファゼン系難燃剤
としては、特に限定されるものではないが、下記式
(A)で示される環状(Cyclic)ホスファゼン化
合物、及び式(B)で示される線状(Linear)ホ
スファゼン化合物が好ましい。
【0036】
【化1】
【0037】式(A)中、mは3〜25の整数、好まし
くは3〜18の整数、より好ましくは3〜12の整数で
ある。Rは同一又は異なった炭素数1〜8のアルキル
基、炭素数1〜8のアルキル基及び/又はアリル基で置
換されていても良いフェノキシ基を示す。
【0038】
【化2】
【0039】式(B)中、nは1〜24の整数、好まし
くは3〜18の整数、より好ましくは3〜12の整数で
ある。Rは同一又は異なった炭素数1〜8のアルキル
基、アリール基、アルキル置換アリール基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アミノ基又は水酸基である置換
基であり、炭素数1〜8のアルキル基及び/又はアリル
基で置換されていても良いフェノキシ基を示す。
【0040】本発明において用いられる上記式(A)で
表される環状ホスファゼンは、具体的には、テトラフェ
ノキシシクロジホスファゼン、モノメトキシトリフェノ
キシシクロジホスファゼン、ジメトキシジフェノキシシ
クロジホスファゼン、トリメトキシモノフェノキシシク
ロジホスファゼン、ヘキサフェノキシシクロトリホスフ
ァゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、
デカフェノキシシクロテトラホスファゼン、モノメトキ
シペンタフェノキシシクロトリホスファゼン、ジメトキ
シテトラフェノキシシクロトリホスファゼン、トリメト
キシトリフェノキシシクロトリホスファゼン、ジフェノ
キシテトラメトキシシクロトリホスファゼン、モノフェ
ノキシペンタメトキシシクロトリホスファゼン、ヘプタ
フェノキシモノメトキシシクロテトラホスファゼン、ジ
メトキシヘキサフェノキシシクロテトラホスファゼン、
ペンタフェノキシトリメトキシシクロテトラホスファゼ
ン、テトラメトキシテトラフェノキシシクロテトラホス
ファゼン、ペンタメトキシトリフェノキシシクロテトラ
ホスファゼン、ジフェノキシヘキサメトキシシクロテト
ラホスファゼン、ヘプタメトキシモノフェノキシシクロ
テトラホスファゼン、モノメトキシノナフェノキシシク
ロペンタホスファゼン、ジメトキシオクタフェノキシシ
クロペンタホスファゼン、ヘプタフェノキシトリメトキ
シシクロペンタホスファゼン、ヘキサフェノキシテトラ
メトキシシクロペンタホスファゼン、ペンタメトキシペ
ンタフェノキシシクロペンタホスファゼン、ヘキサメト
キシテトラフェノキシシクロペンタホスファゼン、ヘプ
タメトキシトリフェノキシシクロペンタホスファゼン、
ジフェノキシオクタメトキシシクロペンタホスファゼ
ン、モノフェノキシノナメトキシシクロペンタホスファ
ゼンなどの環状ホスファゼン化合物を挙げられる。
【0041】また、本発明において用いられる上記式
(B)で表される線状(直鎖状)ホスファゼンは、具体
的には線状ジクロルホスファゼンにプロポキシ基及び/
又はフェノキシ基を置換した線状ホスファゼン化合物な
どが挙げられる。
【0042】これらのホスファゼン系難燃剤は、市販さ
れているものを使用することができ、例えばケミプロ化
成社製 KD−102、KD−302S、KD−30
2、大塚化学(株)製SP−100などが挙げられる。
また、これらのホスファゼン系難燃剤は、より難燃性を
高めるために2種以上併用するのが好ましい。
【0043】ホスファゼン系難燃剤の配合量は、プロピ
レン・α−オレフィンランダム共重合体100重量部に
対して、5〜10重量部であり、好ましくは7〜9重量
部である。配合量が5重量部未満では、燃焼時のドリッ
プ発生が生じやすくなり、一方、10重量部を超えると
難燃性は向上するが臭気が強くなり好ましくない。
【0044】本発明のプロピレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体に配合される(b)トリブロモネオペンチ
ルアルコール誘導体は、一般式(I)で表される化合物
である。
【0045】
【化3】 (式(I)中、n=2又は4であり、Xは、式(II)
〜(VI)で表される基である。)
【0046】
【化4】 (式(II)〜(VI)中、m=0〜2の整数、YはC
l基又はBr基である。)
【0047】(b)トリブロモネオペンチルアルコール
誘導体は、分子中に複数のトリブロモネオペンチル骨格
を有し、かつ、トリブロモネオペンチル骨格は、全ての
臭素原子が第1級炭素に結合しているので耐熱性に優
れ、特に脂肪族二塩基性酸のビストリブロモネオペンチ
ルエステル化合物は、脂肪族臭素化合物でありながら耐
熱性に優れているという特徴を有している。更に、トリ
ブロモネオペンチルアルコール誘導体は臭素原子のβ位
に水素原子を有さない特徴的な構造を有しているため、
例えば、へキサブロモシクロドデカンにおいて見られる
ような、熱分解による脱HBr反応及びそれによる不飽
和基の生成が大幅に減少する。従って、トリブロモネオ
ペンチルアルコール誘導体は、着色が少なくまた耐光性
に優れた骨格構造を有していると言うことができる。
【0048】一般に、臭素含有化合物の難燃効果の発現
は、熱分解により生成する臭素ラジカルにより開始され
ることが知られている。熱による臭素ラジカルの発生が
容易か否かは、C−Brの結合エネルギーによるところ
が大きい。例えば、芳香族臭素の場合は脂肪族臭素に比
べて結合エネルギーが大きく熱安定性に優れるものの難
燃効果は小さい。また、脂肪族臭素の場合C−Brの結
合エネルギーは第3級炭素<第2級炭素<第1級炭素の
順に大きくなり、臭素原子が脱離し易くなることより、
難燃効果は高くなるもののそれに反して耐熱性が低下す
る。従来より知られているへキサブロモシクロドデカン
やジブロモプロピル基を含有する臭素化合物は、第2級
炭素に結合する臭素原子を含有しているため、高い難燃
効果が得られるものの耐熱性に劣っている。したがっ
て、芳香族臭素化合物よりも難燃効果が高く、かつ耐熱
性及び耐光性に優れる特異的なトリブロモネオペンチル
骨格を、二塩基性酸ジエステル、芳香族のテトラエステ
ル又はジハロネオペンチルジリン酸のテトラエステルで
連結することで、より化学的、熱的に安定な化合物とな
っている。
【0049】(b)トリブロモネオペンチルアルコール
誘導体の具体的な化合物としては、ビス(トリブロモネ
オペンチル)オキサレート、ビス(トリブロモネオペン
チル)サクシネート、ビス(トリブロモネオペンチル)
マレート、ビス(トリブロモネオペンチル)フマレー
ト、テトラキス(トリブロモネオペンチル)ピロメリテ
ート等を挙げることができる。
【0050】トリブロモネオペンチルアルコール誘導体
の配合量は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重
合体100重量部に対して、5〜15重量部であり、好
ましくは8〜13重量部である。配合量が5重量部未満
では、難燃性能が劣り、一方、15重量部を超えると発
煙成分による臭気発生とともに紡糸性も悪くなり実用的
でない。
【0051】本発明のプロピレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体に配合される(c)三酸化アンチモンは、
難燃助剤として機能し、UL規格を満たすようにするた
めに加えられる。三酸化アンチモンの配合量は、プロピ
レン・α−オレフィンランダム共重合体100重量部に
対して、0.5〜5重量部であり、好ましくは1.5〜
3.5重量部である。配合量が0.5重量部未満では、
難燃性能が劣り、一方、5重量部を超えると難燃性能は
向上するが製品の比重が高くなるので好ましくない。
【0052】なお、(a)〜(c)の添加剤全体の配合
量としては、プロピレン・α−オレフィンランダム共重
合体100重量部に対して、10.5〜30重量部であ
り、好ましくは12.5〜23重量部である。配合量が
10.5重量部未満では、難燃性が劣り、一方、30重
量部を超えると難燃性は向上するが臭気悪化による環境
問題などで実用性が低下する傾向にある。
【0053】さらに、本発明のプロピレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体には、本発明の目的が損なわれな
い範囲で、各種添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止
剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、結晶造核剤、銅害防止
剤、帯電防止剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇
剤、着色剤、充填剤、エラストマー、石油樹脂などを配
合することができる。
【0054】本発明における繊維成形材料は、上記プロ
ピレン・α−オレフィンランダム共重合体、難燃剤と、
必要に応じて、上記の各種添加剤、さらに他の樹脂成分
等をドライブレンドの状態あるいは溶融混練機を用い
て、好ましくは180〜300℃で加熱溶融混練し、粒
状に裁断されたペレットの状態で提供される。
【0055】本発明のポリプロピレン系繊維は、公知の
方法で上記で得られた樹脂組成物を紡糸して繊維とする
ことができ、その方法としては特に限定されるものでは
ないが、溶融紡糸、スパンボンディングプロセス、及び
溶融ブローを含む溶融したポリマーから繊維を形成する
方法、遠心紡糸、シート切断、及びフィルムのフィブリ
ル化を含む方法等が挙げられる。好ましくは芯鞘型構造
を有する複合繊維の形態に紡糸するのが好ましく、特
に、芯鞘型構造の鞘部に上記難燃剤含有プロピレン・α
−オレフィンランダム共重合体の樹脂組成物を用い、芯
部にポリプロピレン単独重合体を用いた芯鞘型構造を有
する複合繊維の形態に紡糸するのが好ましい。また、紡
糸は、170℃以下の温度で行う必要がある。紡糸温度
が170℃を超えると難燃剤の一部が揮発して臭気発生
要因となり、好ましくない。
【0056】本発明の難燃性ポリオレフィン系繊維にお
いて、ホスファゼン系難燃剤、トリブロモネオペンチル
アルコール系難燃剤、三酸化アンチモンの組み合わせた
難燃剤は、環境汚染を引き起こしにくい難燃剤であると
ともに、難燃性を高次元で付与できる難燃剤であること
から、本発明のように、優れた難燃性を有し、環境汚染
を引き起こしにくい難燃性ポリオレフィン系繊維とする
ことができる。
【0057】本発明の難燃性ポリオレフィン系繊維成形
品は、上記した本発明の難燃性ポリオレフィン系繊維を
成形してなる。成形方法としては、所望の方法を採用で
き、繊維成形品としては、ヤーン、シート、モノフィラ
メント及び不織布等が挙げられる。繊維成形品の成形方
法としては、限定されるものではないが、例えば、不織
布の成形は、溶融紡糸等で得られる長繊維又は短繊維か
ら構成され、一般にはスパンボンド成形、メルトブロー
ン成形及びスパンレース成形などから不織布を得ること
ができる。
【0058】特に、上記の芯鞘型複合繊維から得られた
不織布は、難燃性であり、ぬめり感がなく、臭気がな
く、ヒートシール性に優れ、カーペット基布およびカー
ペットの用途に最適である。
【0059】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り下記の実施
例に限定されるものではない。物性等の測定は下記の通
りである。また、実施例、比較例で用いたプロピレン・
α−オレフィン共重合体の製造方法を重合例に示した。
【0060】(1)MFR:JIS−K6921−2附
属書に準拠し測定した。(条件:温度/230℃、荷重
21.18N)
【0061】(2)Q値:前述の測定方法に従って測定
し、検量線として、表1のポリスチレン標準サンプルを
使用した。
【0062】
【表1】 検量線次数:1次 PP分子量:PS×0.639
【0063】(3)融解ピーク温度(Tm):パーキン
エルマー社製の示差走査熱量計(DSC)を用い、サン
プル量10mgを採り、200℃で5分間保持した後、
40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に1
0℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線の
ピーク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とした。
【0064】(4)温度上昇溶離分別(TREF)によ
る、T80−T20、0℃可溶分量:前述の測定方法に
従って測定した。
【0065】(5)難燃性試験:1/8インチの厚みの
テストピースを作製してUL−94垂直燃焼法に準拠し
て測定した。
【0066】(6)ぬめり感:5人のパネラーによる手
触りの感触で評価した。3人以上がぬめりが強いと感じ
た場合を「有り」、それ以外の場合を「なし」とした。
【0067】(7)ヒートシール性:ヒートシール性の
評価はシール温度が低い温度ほど優れるが、具体的に
は、測定されるべき不織布シートを熱傾斜型シール機
(東洋精機社製)を用いて、圧力2kgf/cmで1
秒間加熱してシールし、シール強度を測定した。シール
温度を変化させ測定、シール強度が0.5kg/15m
mに達する温度が135℃未満であるものをヒートシー
ル性が「優れる」、ヒートシール温度が135℃以上〜
150℃未満のものを「良好」、150℃以上を「劣
る」とした。
【0068】(8)臭気判定:紡糸時の難燃剤の分解物
生成の臭気および紡糸成形された不織布の臭気を総合し
て5人のパネラーによって判定し、次の判定基準で判断
した。 強い臭い:5人以上が強く臭うと判定 やや臭う:5人中2〜4人が臭うと判定 少ない:5人中1人が臭うと判定
【0069】重合例1 (1)触媒の調整 3つ口フラスコ(容積1L)中に硫酸で逐次的に処理さ
れたスメクタイト族ケイ酸塩(水沢化学社製ベンクレイ
SL)20g、ヘプタン200mLを仕込み、トリノル
マルオクチルアルミニウム50mmolで処理後ヘプタ
ンで洗浄し、スラリー1とした。また別のフラスコ(容
積200mL)中に、ヘプタン90mL、〔(r)−ジ
クロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル
−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]
ジルコニウム〕0.3mmol、トリイソブチルアルミ
ニウム1.5mmolを仕込みスラリー2とした。スラ
リー2を、上記スラリー1に加えて、室温で60分攪拌
した。その後ヘプタンを210mL追加し、このスラリ
ーを1Lオートクレーブに導入した。オートクレーブの
内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の
速度でフィードし4時間40℃を保ちつつ予備重合、1
時間残重合を、行い予備重合触媒83gを得た。
【0070】(2)プロピレン・α−オレフィンランダ
ム共重合体の製造 内容積270Lの反応器に液状プロピレン、エチレン、
水素、およびトリイソブチルアルミニウム(TIBA)
のヘキサン希釈溶液を連続的に供給し、内温を62℃に
保持した。プロピレンの供給量は、38kg/hrであ
り、エチレンの供給量は0.92kg/hrであり、水
素の供給量は0.29g/hrであり、TIBAの供給
量は18g/hrであった。前記予備重合触媒を流動パ
ラフィンによりスラリー状とし、2.1g/hrでフィ
ードした。その結果、12.2kg/hrのプロピレン
・エチレンランダム共重合体Iを得た。得られたプロピ
レン・エチレンランダム共重合体Iは、MFR=29.
0g/10分、エチレン含量=4.5mol%、Tm=
128.3℃、Q値=2.7であった。
【0071】重合例2 重合例1で調整した固体触媒を用い、水素の供給量を
0.35g/hr、予備重合触媒を流動パラフィンによ
りスラリー状としたフィード量を1.8g/hrに変更
した以外は、重合例1と同様にして重合を行った。その
結果、12.4kg/hrのプロピレン・エチレンラン
ダム共重合IIを得た。得られたプロピレン・エチレン
ランダム共重合体IIは、MFR=41.0g/10
分、エチレン含量=4.5mol%、Tm=128.1
℃、Q値=2.8であった。
【0072】重合例3 重合例1で調整した固体触媒を用い、水素の供給量を
0.20g/hr、予備重合触媒を流動パラフィンによ
りスラリー状としたフィード量を2.2g/hrに変更
した以外は、重合例1と同様にして重合を行った。その
結果、11.8kg/hrのプロピレン・エチレンラン
ダム共重合IIIを得た。得られたプロピレン・エチレ
ンランダム共重合体IIIは、MFR=22g/10
分、エチレン含量=4.5mol%、Tm=127.9
℃、Q値=2.7であった。
【0073】重合例4 重合例1で調整した固体触媒を用い、エチレンの供給量
を0.97kg/hr、水素の供給量を0.01g/h
r、予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状と
したフィード量を3.60g/hrに変更した以外は、
重合例1と同様にして重合を行った。その結果、12.
3kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合I
Vを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重
合体IVは、MFR=0.5g/10分、エチレン含量
=4.7mol%、Tm=127.0℃、Q値=2.7
であった。
【0074】このプロピレン・エチレンランダム共重合
体IVのパウダー100重量部に対して、結晶造核剤と
して3−メチルブテン重合体のマスターバッチを0.1
0重量部、酸化防止剤として1、3、5−トリス[(4
−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−キシリ
ル)メチル]−1、3、5−トリアジン−2、4、6
(1H、3H、5H)−トリオン(サイテック製、商品
名サイアノックス1790)を0.04重量部、トリス
−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名イルガ
ホス168)を0.05重量部、及び中和剤としてステ
アリン酸カルシウム(日東化成工業製、商品名Ca−S
t)を0.05重量部、及び過酸化物(パーヘキサ25
B:日本油脂社製)を800ppm配合し、ヘンシェル
ミキサーで500rpm、3分間高速混合した後、φ5
0mm単軸押出機(ユニオンプラスチック社製)を使用
し、押出温度230℃の条件で溶融、混練、冷却、カッ
トしてペレット状のプロピレン共重合体組成物IV
調製した。得られたプロピレン・エチレンランダム共重
合体組成物IVは、MFR=14g/10分、エチレ
ン含量=4.7mol%、Tm=127℃、Q値=1.
7であった。
【0075】実施例1〜2 重合例1で得たプロピレン・エチレンランダム共重合体
Iの100重量部に対して、結晶造核剤として3−メチ
ルブテン重合体のマスターバッチを0.10重量部、酸
化防止剤として1、3、5−トリス[(4−tert−
ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−キシリル)メチル]
−1、3、5−トリアジン−2、4、6(1H、3H、
5H)−トリオン(サイテック製、商品名サイアノック
ス1790)を0.04重量部、トリス−(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャ
ルティ・ケミカルズ製、商品名イルガホス168)を
0.05重量部、及び中和剤としてステアリン酸カルシ
ウム(日東化成工業製、商品名Ca−St)を0.05
重量部、難燃剤として、表2に示したとおり、メトキシ
フェノキシホスファゼン(ケミプロ化成製、商品名KD
−102)を5又は10重量部、ビス(トリブロモネオ
ペンチル)フマレートを10重量部、三酸化アンチモン
を2重量部配合し、ヘンシェルミキサーで500rp
m、3分間高速混合した後、φ50mm単軸押出機(ユ
ニオンプラスチック社製)を使用し、押出温度230℃
の条件で溶融、混練、冷却、カットしてペレット状のプ
ロピレン共重合体組成物を調製した。次に得られた組成
物を原料として、ホール数24個の紡糸口金を用いて溶
融紡糸を行った。溶融紡糸は、表2の条件で行い、その
後エアサッカーにて延伸し、繊度2.2デシテックスの
単一繊維を得た。この単一繊維をエアサッカー下方にあ
るコンベアーに集積させた後、110℃に設定したエン
ボスロールにより繊維同士を融着させ、目付量40g/
の不織布を得た。得られた不織布の評価を行った。
その結果を表3に示す。
【0076】実施例3〜4 芯成分として、表2に示すポリプロピレン単独重合体
(SA05またはSA06;共に日本ポリケム社製)を
用い、鞘成分として実施例1で調製した組成物を用い、
芯鞘比50/50となるように、ホール数24個の芯鞘
型の紡糸口金を用いて溶融紡糸を行った。溶融紡糸は、
表2の条件で行い、その後エアサッカーにて延伸し、繊
度2.2デシテックスの芯鞘型複合繊維を得た。この繊
維をエアサッカー下方にあるコンベアーに集積させた
後、110℃に設定したエンボスロールにより繊維同士
を融着させ、目付量40g/mの不織布を得た。得ら
れた不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0077】実施例5 芯成分としてポリプロピレン単独重合体(SA90;日
本ポリケム社製)を用い、鞘成分としてプロピレン・エ
チレンランダム共重合体Iを共重合体IIに代えた他
は、実施例2の共重合体組成物を同様に調整し、共重合
体組成物IIを用い、芯鞘比50/50となるように、
ホール数24個の芯鞘型の紡糸口金を用いて溶融紡糸を
行った。溶融紡糸は、表2の条件で行い、その後エアサ
ッカーにて延伸し、繊度2.2デシテックスの芯鞘型複
合繊維を得た。この繊維をエアサッカー下方にあるコン
ベアーに集積させた後、110℃に設定したエンボスロ
ールにより繊維同士を融着させ、目付量40g/m
不織布を得た。得られた不織布の評価を行った。その結
果を表3に示す。
【0078】実施例6 芯成分としてポリプロピレン単独重合体(SA2D;日
本ポリケム社製)を用い、鞘成分としてプロピレン・エ
チレンランダム共重合体Iを共重合体IIIに代えた他
は、実施例2の共重合体組成物を同様に調整し、共重合
体組成物IIIを用い、芯鞘比50/50となるよう
に、ホール数24個の芯鞘型の紡糸口金を用いて溶融紡
糸を行った。溶融紡糸は、表2の条件で行い、その後エ
アサッカーにて延伸し、繊度2.2デシテックスの芯鞘
型複合繊維を得た。この繊維をエアサッカー下方にある
コンベアーに集積させた後、110℃に設定したエンボ
スロールにより繊維同士を融着させ、目付量40g/m
の不織布を得た。得られた不織布の評価を行った。そ
の結果を表3に示す。
【0079】比較例1 芯成分としてポリプロピレン単独重合体(SA05;日
本ポリケム社製)のみを用い、デカブロモジフェニレン
オキサイド難燃剤15重量部と三酸化アンチモン2重量
部を配合し、ホール数24個の紡糸口金を用いて溶融紡
糸を行った。溶融紡糸は、表2の条件で行い、その後エ
アサッカーにて延伸し、繊度2.2デシテックスの単繊
維を得た。この繊維をエアサッカー下方にあるコンベア
ーに集積させた後、110℃に設定したエンボスロール
により繊維同士を融着させ、目付量40g/mの不織
布を得た。得られた不織布の評価を行った。その結果を
表3に示す。
【0080】比較例2 芯成分としてポリプロピレン単独重合体(SA05;日
本ポリケム社製)を用い、鞘成分としてMFRが25g
/10分、融点が140℃、Q値が3.6、T 80−T
20が31.5℃、0℃可溶分が3.83wt%のチー
グラー系プロピレン・エチレンンランダム共重合体(S
G03;日本ポリケム製)を用い、表2の添加剤を配合
し、芯鞘比50/50となるように、ホール数24個の
芯鞘型の紡糸口金を用いて溶融紡糸を行った。溶融紡糸
は、表2の条件で行い、その後エアサッカーにて延伸
し、繊度2.2デシテックスの芯鞘型複合繊維を得た。
この繊維をエアサッカー下方にあるコンベアーに集積さ
せた後、110℃に設定したエンボスロールにより繊維
同士を融着させ、目付量40g/mの不織布を得た。
得られた不織布の評価を行った。その結果を表3に示
す。
【0081】比較例3 芯成分としてポリプロピレン単独重合体(SA2D;日
本ポリケム社製)を用い、鞘成分としてプロピレン・エ
チレンランダム共重合体(SG03;日本ポリケム製)
を用い、デカブロモジフェニレンオキサイド難燃剤20
重量部と三酸化アンチモン2重量部を配合し、芯鞘比5
0/50となるように、ホール数24個の芯鞘型の紡糸
口金を用いて溶融紡糸を行った。溶融紡糸は、表2の条
件で行い、その後エアサッカーにて延伸し、繊度2.2
デシテックスの芯鞘型複合繊維を得た。この繊維をエア
サッカー下方にあるコンベアーに集積させた後、110
℃に設定したエンボスロールにより繊維同士を融着さ
せ、目付量40g/mの不織布を得た。得られた不織
布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0082】比較例4 芯成分としてポリプロピレン単独重合体(SA05;日
本ポリケム製)を用い、鞘成分として芯成分と同じ、M
FRが50g/10分、融点が161℃、Q値が2.
7、T80−T20が8.5℃、0℃可溶分が1.24
wt%のポリプロピレン単独重合体(SA05;日本ポ
リケム製)を用い、表2の添加剤を配合し、芯鞘比50
/50となるように、ホール数24個の芯鞘型の紡糸口
金を用いて溶融紡糸を行った。溶融紡糸は、表2の条件
で行い、その後エアサッカーにて延伸し、繊度2.2デ
シテックスの芯鞘型複合繊維を得た。この繊維をエアサ
ッカー下方にあるコンベアーに集積させた後、110℃
に設定したエンボスロールにより繊維同士を融着させ、
目付量40g/mの不織布を得た。得られた不織布の
評価を行った。その結果を表3に示す。
【0083】比較例5 芯成分としてポリプロピレン単独重合体(SA03A;
日本ポリケム社製)を用い、鞘成分としてMFRが25
g/10分、融点が140℃、Q値が3.6、T80
20が31.5℃、0℃可溶分が3.83wt%のチ
ーグラー系エチレン・プロピレンランダム共重合体(S
G03;日本ポリケム製)を用い、表2の添加剤を配合
し、芯鞘比50/50となるように、ホール数24個の
芯鞘型の紡糸口金を用いて溶融紡糸を行った。溶融紡糸
は、表2の条件で行い、その後エアサッカーにて延伸
し、繊度2.2デシテックスの芯鞘型複合繊維を得た。
この繊維をエアサッカー下方にあるコンベアーに集積さ
せた後、110℃に設定したエンボスロールにより繊維
同士を融着させ、目付量40g/mの不織布を得た。
得られた不織布の評価を行った。その結果を表3に示
す。
【0084】比較例6 芯成分として、ポリプロピレン単独重合体(SA06;
日本ポリケム社製)を用い、鞘成分としてプロピレン・
エチレンランダム共重合体組成物IVを用い、実施例
3と同様にして、芯鞘型の紡糸口金を用いて溶融紡糸を
行った。溶融紡糸は、表2の条件で行い、その後エアサ
ッカーにて延伸し、繊度2.2デシテックスの芯鞘型複
合繊維を得た。この繊維をエアサッカー下方にあるコン
ベアーに集積させた後、110℃に設定したエンボスロ
ールにより繊維同士を融着させ、目付量40g/m
不織布を得た。得られた不織布の評価を行った。その結
果を表3に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】表3から明らかなように、本発明のプロピ
レン・α−オレフィンランダム共重合体に難燃剤を配合
した組成物からの繊維及び複合繊維は、紡糸温度を低く
設定できるため、臭気が少なく、難燃剤の分解も少な
く、難燃性能が良好であり、それから得られる不織布
は、ぬめり感もなく、ヒートシール性も良好であった
(実施例1〜6)。一方、比較例1のポリプロピレン単
独重合体のみで成形した不織布では紡糸温度が高く設定
する必要があり、難燃剤の分解臭が強く、また、不織布
のヒートシール性も本発明の実施例に比べ劣るものであ
った。比較例2〜3では本発明のメタロセン系プロピレ
ン・α−オレフィンランダム共重合体に替えてチーグラ
ー系プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を使
用したが、紡糸温度が210℃と高くする必要があり、
難燃剤の分解臭が強く、また不織布表面のぬめり感がそ
れらに比べ有り、サラサラ感のある本発明に比べ好まし
くないものであった。更に不織布のヒートシール性も融
点の低い本発明のメタロセン系プロピレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体に比べ劣るものであった。比較例
4では芯と鞘に同じホモポリプロピレン単独重合体を使
用したもので評価したが、成形温度を高くしないと糸切
れが多発する事と、それによる難燃剤の分解臭が強くな
り、また、ヒートシール性は本発明のメタロセン系プロ
ピレン・α−オレフィンランダム共重合体に劣るもので
あった。比較例5は比較例2の芯材を鞘材原料MFRに
そろえた複合繊維系で評価したが、紡糸性は特に変わら
ず、成形温度も本発明品より高い為、難燃剤の分解臭も
強く、不織布のぬめり感も有り、一方、ヒートシール性
は良好であったが、融点の低い本発明のメタロセン系プ
ロピレン・α−オレフィンランダム共重合体に比べ劣る
ものであった。さらに、比較例の難燃性能を表3で示し
たが、紡糸性を維持する為に、成形温度を有る程度高く
設定する必要があり、その結果、難燃剤の分解が起きや
すく、それによって難燃性能が本発明のもの比べ劣る結
果であった。比較例6は、実施例4の鞘材がQ値が低
い、メタロセン系プロピレン・α−オレフィンランダム
共重合体組成物を使用した複合繊維系で評価したが、糸
揺れが生じ、糸切れ頻度が多くなり、成形加工性に問題
が認められた。
【0088】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリオレフィン系繊維
は、ホスファゼン系難燃剤、トリブロモネオペンチルア
ルコール系難燃剤、三酸化アンチモンを組み合わせた難
燃性を高次元で付与できる難燃剤により、優れた難燃性
を有し、環境汚染を引き起こしにくい難燃性ポリオレフ
ィン系繊維である。また、その芯鞘型複合繊維から得ら
れた不織布は、難燃性であり、ぬめり感がなく、臭気が
なく、ヒートシール性に優れ、難燃性の要求される産業
資材、建材、包装資材分野において最適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04H 1/54 D04H 1/54 C // A47G 27/02 A47G 27/02 E (72)発明者 西村 淳一 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番1号 日 本ポリケム株式会社材料開発センター内 Fターム(参考) 3B120 AA24 EB06 4L035 EE14 FF01 FF05 HH04 JJ05 JJ13 JJ25 LA01 4L041 AA07 BA02 BA05 BA21 BA24 BC11 BD09 BD11 CA38 CB05 CB18 CB19 DD01 DD21 4L047 AA14 AA27 BA08 BA23 EA10 4L048 AA15 AA28 AA53 AA56 AB07 AC14 CA06 DA16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタロセン触媒によって重合され、融点
    (Tm)が140℃以下、Q値が2.0〜4.0のプロ
    ピレン・α−オレフィンランダム共重合体100重量部
    に対し、下記添加剤を配合した樹脂組成物を、紡糸温度
    170℃以下で紡糸してなることを特徴とする難燃性ポ
    リプロピレン系繊維。 (a)ホスファゼン系難燃剤5〜10重量部、(b)ト
    リブロモネオペンチルアルコール誘導体5〜15重量
    部、及び(c)三酸化アンチモン0.5〜5重量部(た
    だし、融点(Tm)は示差走査熱量計(DSC)によっ
    て得られる融解曲線のピーク温度、Q値はGPCにより
    測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mwとの比
    (Mw/Mn)をそれぞれ示す。)
  2. 【請求項2】 プロピレン・α−オレフィンランダム共
    重合体の融点(Tm)が、110〜135℃である樹脂
    組成物を紡糸してなることを特徴とする請求項1に記載
    の難燃性ポリプロピレン系繊維。
  3. 【請求項3】 ポリプロピレン系繊維が、芯鞘構造を有
    する複合繊維であって、鞘部分が請求項1又は2に記載
    の樹脂組成物からなる繊維であることを特徴とする難燃
    性ポリプロピレン系繊維。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン系繊維が、芯鞘構造を有
    する複合繊維であって、芯部分がポリプロピレン単独重
    合体であることを特徴とする請求項3に記載の難燃性ポ
    リプロピレン系繊維。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難
    燃性ポリプロピレン系繊維を用いることを特徴とする不
    織布。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難
    燃性ポリプロピレン系繊維を用いることを特徴とするカ
    ーペット基布又はカーペット。
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