JP2003138417A - 紡糸方法、紡糸装置及びそれらによって製造されるポリエステル繊維 - Google Patents

紡糸方法、紡糸装置及びそれらによって製造されるポリエステル繊維

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JP2003138417A
JP2003138417A JP2001374844A JP2001374844A JP2003138417A JP 2003138417 A JP2003138417 A JP 2003138417A JP 2001374844 A JP2001374844 A JP 2001374844A JP 2001374844 A JP2001374844 A JP 2001374844A JP 2003138417 A JP2003138417 A JP 2003138417A
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airflow
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Taku Iwade
卓 岩出
Masamitsu Yamashita
雅充 山下
Makoto Nishioji
誠 西大路
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィラメントへの冷却気流速度を所定の速度
に調節できる紡糸方法及び紡糸装置の提供と、DTY加
工において高速化、高張力化を行っても残留伸度の低下
がないポリエステル繊維を得ることである。 【解決手段】 溶融紡糸工程において、フィラメントF
の走行方向に付与される冷却気流70の気流速度がフィ
ラメントFの走行速度の1/3以上で2/3を越えない
よう調節することにより、複屈折率(Δn)が0.06
未満、破断伸度が90%、比重が1.355g/cm
以上、U%が0.8%以下の物性値を有するポリエステ
ル繊維を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成繊維糸条の製造
設備において適用する紡糸方法、紡糸装置及びそれらの
いずれかによって製造されるポリエステル繊維に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来紡糸装置でポリエステルあるいはポ
リアミド等の合成繊維の未延伸糸(UDY)、半延伸糸(P
OY)を製造する工程では、紡糸口金から溶融ポリマーを
押し出し、押し出されたポリマーを冷却装置で冷却しつ
つ引き取ることによってフィラメントを形成し、そのフ
ィラメントをまとめて1本の糸条としている。前記冷却
装置による冷却は、従来、フィラメントに直交する空気
流を流すことで行なわれている。
【0003】このような紡糸装置において、引き取り速
度を高めると、フィラメントを構成する分子の配向が紡
糸線上で促進されて、糸条の破断伸度が低下することが
知られている。さらに5000m/minを超える速度
で引き取ると、配向の促進によって、結晶化が起こるこ
とが知られている。すなわち、糸条の配向と結晶化は引
き取り速度と密接に関係しているため、所望する配向度
を得るためには適正な引き取り速度が存在し、生産性を
向上するため引き取り速度を上げようとしても前記の適
正な引き取り速度以上に速度を上げることができなかっ
た。
【0004】そこで、所望する配向度を維持したまま、
引き取り速度を向上する方法として、繊維学会誌Vo
l.50,No.9,P.531(1994年)「高速紡糸
過程のシミュレーション」に固化点付近の空気抗力を取
り除くと低い配向のフィラメントが得られる理論が述べ
られている。かかる理論を実践する方法として、例え
ば、米国特許第5824248号明細書に、少なくとも
500m/minを超える表面速度で回転するロールに
引き取られる溶融紡糸において、口金に続いて冷却気流
を導入するゾーンと、それに続いて冷却気流と共にフィ
ラメントが排出されるチューブが設けられ、チューブの
寸法と位置、冷却気流の量等によって冷却気流を加速
し、フィラメントと共にチューブから排出するような紡
糸装置が開示されている。
【0005】しかしながら、前記冷却気流の速度が前記
チューブから排出されるフィラメントの速度より遅い
と、詳しく言うならば冷却気流の速度がフィラメントの
速度の1/3以下である場合には、紡糸速度を増加する
とフィラメントに対する空気抗力が大きくなるので、配
向が抑制されずに促進し、糸の伸度が低下するため、P
OY製造工程の後処理(延伸仮撚加工)であるDTY工
程においてPOY製造工程と同一繊度の糸を作るにはP
OY製造工程において紡糸口金からのポリマ吐出量を増
加することができない。
【0006】ところが、前記配向が進んだだけ結晶化は
し易くなり、結晶化の促進は加工張力を増大させること
ができるのでDTY工程の高速化がはかれると共に、残
留伸度の高い嵩高加工糸が得られる。この残留伸度が低
いとその後の織布工程や編みたて工程において糸切れの
増加、布品質の低下を生じるという問題がある。
【0007】すなわち、POY製造工程では前記理由か
ら紡出糸の増加ができず、DTY工程においては高速化
によって延伸糸の処理能力を高められるということか
ら、両者間での工程バランスに崩れが生じ、一連するP
OY製造工程とDTY工程の生産効率が同一レベルに維
持されず、その結果、生産性の向上が望めないという問
題が生じるのである。
【0008】逆に、冷却気流の速度がチューブから排出
されるフィラメントの速度より速いと、固化点下流の空
気流によって張力が増大するので配向が抑制されずに促
進し、糸の伸度が低下するため、この場合も前記冷却気
流の速度がフィラメントの速度の1/3以下である場合
と同様の問題が生じる。
【0009】また、冷却気流の速度がチューブから排出
されるフィラメントの速度と略同じ場合は、最も配向が
抑制されるが、空気流と糸との相対速度が小さくなるの
で冷却速度が低下し結晶化度が低下する。このため、P
OY製造工程においては配向の抑制により伸度が増加す
るので紡糸口金からの吐出量を増加し、生産量を増すこ
とができるが、冷却速度の低下により結晶化度が低下す
るのでDTY工程においては加工張力が低下するため高
速化がはかれず、得られる嵩高加工糸の前記残留伸度も
低いものとなり、この場合でも、両者間での工程バラン
スに崩れが生じ、一連するPOY製造工程とDTY加工
工程での生産効率の向上が望めないという問題が生じ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、第1にフィラメントへの冷却気流速度を所
定の速度に調節できる紡糸方法及び紡糸装置の提供であ
り、第2にDTY加工において高速化、高張力化を行っ
ても残留伸度の低下を生じないポリエステル繊維を得る
ことである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題達成のた
めに本発明の紡糸方法及び紡糸装置はフィラメントが細
化し、いわゆるガラス転移温度に冷却されて固化が生じ
るまでの間、フィラメントの走行方向に付与される冷却
気流の速度がフィラメントの走行速度の1/3以上で2
/3を越えないように冷却気流の速度を調節し、さら
に、紡糸口金から冷却装置の冷却気流付与部までの距離
を50mm以上100mm以下に設定している。
【0012】また、第2の課題達成のために本発明のポ
リエステル繊維は請求項4に記載のように複屈折率(Δ
n)が0.06未満、破断伸度が90%以上、比重が
1.355g/cm3以上、U%が0.8%以下の物性
値を有している。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明である紡糸方法を実
施するための紡糸装置1の例示を図面を参照にして説明
する。
【0014】図1は紡糸装置1の全体正面図であり、紡
糸装置1は溶融ポリマを紡出する加熱及び保温機能を備
えた公知のスピンビーム2と、紡出された溶融ポリマを
冷却する冷却装置7と、冷却装置7に冷却気流を取り入
れるための空気エジェクタ機構8を有し、紡出された溶
融ポリマが冷却装置7で冷却されつつ複数のフィラメン
トFに形成されるように成っている。そして、その複数
のフィラメントFは下流に位置する給油ガイド19で油
剤が付与され、収束ガイド20で収束されて糸条21と
なり、公知の巻取装置22によって巻き取られる。
【0015】スピンビーム2は内部にメターリングポン
プ3、分配ブロック4及び紡糸口金41が内装された複
数の紡糸パック6を有し、それらはポリマー管5を介し
て連通され、メターリングポンプ3に供給された溶融ポ
リマが紡糸口金41から紡出されるようになっている。
【0016】冷却装置7はスピンビーム2に内設された
紡糸パック6の下方に設けられ、空気エジェクタ機構8
が冷却装置7に続いて鉛直に設けられている。そして、
それらが紡糸パック6の配設に対応して列設されてい
る。
【0017】冷却装置7は図3に示されるように、中心
aから放射状に波形整形された環状のプレートがその長
手軸心方向に積層され紡糸パック6に係合された形状の
空気整流体51と、その空気整流体51の周囲に位置す
る筒状の周面に複数の孔を有した内側多孔管52が、ダ
クト11上部に固定され、さらに、その内側多孔管52
の周囲に筒状の周面に複数の孔を有した外側多孔管53
が設けられている。内側多孔管52と外側多孔管53そ
れぞれの周面の孔は円形、楕円形の孔あるいはスリット
状の長孔等でも良い。
【0018】前記孔は、空気整流体51の周囲から空気
整流体51内に導入される空気量を調節するためのもの
であり、その調節は、外側多孔管53の下部に円弧状に
長孔を設けた板片10を取り付け、外側多孔管53を少
なくとも外側多孔管53の周面の孔と内側多孔管52の
周面の孔との位相が一致する位置からそれらの孔の大き
さ分位相がずれる範囲内で円周移動できるようにし、任
意の位置で板片10の円弧状の長孔を介してダクト11
の上面にボルトで固定して行なう。このことは後述する
が、本発明の気流速度調節手段の一部を成すものであ
る。
【0019】一方、空気エジェクタ機構8は空気噴射部
60と下降気流案内管9から成り、空気噴射部60は図
1、図2に示されるように、空気整流体51の中心aに
同心でフィラメントFと上流部からの気流が通過する導
入管61が空気整流体51に係合して設けられ、導入管
61にテーパを介して形成された小径部61aの周囲に
噴射管62が設けられた構成になっている。
【0020】噴射管62には噴射管62内に噴射される
空気流を整流するために、複数枚の環状仕切板64が空
気流の流れ方向に嵌装された整流部63が設けられ、そ
の下方に気流を噴射する噴射口65が形成されている。
噴射口65は空気エジェクタ機構8の長手軸心と角度θ
で交差しており、この角度θは0度〜3度の間に設定す
るのが好ましい。
【0021】また、空気噴射部60の下方には下降気流
案内管9が噴射管62に係合して噴射管62と一体的に
形成されており、その出口部には外周面に複数の孔が設
けられると共に、径が拡張されてテーパ形状をした気流
減速部12が形成されている。
【0022】一方、ダクト11は列設された空気エジェ
クタ機構8の空気噴射部60を収納して一体的に形成さ
れており、一端面は送風機(図示せず)に連結されてい
る。そして、両側に立設された案内レール13、14か
ら張り出して固定された空気圧シリンダ15、16によ
って支持されている。さらに、ダクト11の両端部には
ローラ群17、18が案内レール13、14に係合して
取り付けられており、空気圧シリンダ15、16へ供給
する空気圧の切り替えによってダクト11がローラ群1
7、18に案内されて案内レール13、14上を昇降す
るようになっている。
【0023】この空気圧シリンダ15、16へ供給する
空気圧は、紡糸時にダクト11の上昇により冷却装置7
がスピンビーム2の下面に押圧された状態になるように
設定され、また、ローラ群17、18の取り付けはダク
ト11の昇降動作以外の動きを規制する構成になってい
る。
【0024】以上説明した紡糸装置1によれば、本発明
のポリエステル繊維の製造工程は次のとおりである。
【0025】図4は図1における要部拡大図であって、
紡糸口金41から紡出された溶融ポリマが冷却装置7で
冷却されつつ複数のフィラメントFに形成され空気エジ
ェクタ装置8に至る。このときの冷却装置7における気
流の発生、つまり、フィラメントFの走行方向に付与さ
れる冷却気流70は、ダクト11に連結された送風機
(図示せず)からダクト11に送り込まれた気流71が
空気噴射部60の噴射口65から噴射することによって
空気噴射部60の導入管61に負圧が生じ、この負圧に
よって室内の温調された空気が冷却装置7の周囲から冷
却装置7内部へ吸引されることにより生じる。このよう
に空気噴射部60の作用により生じる冷却気流70は下
降気流となり、略フィラメントFの走行方向に流れ、フ
ィラメントFが冷却される。
【0026】一方、噴射管62の下流に位置する下降気
流案内管9内では、噴射口65からの空気流71の噴射
によってフィラメントFが冷却装置7から冷却されなが
ら導入管61を通過して吸引され、空気流71と下降す
る冷却気流70が混在した雰囲気中で固化点温度、いわ
ゆるガラス転移温度に冷却される。
【0027】この下降気流案内管9部の長さ(図4のL
2で示す)はその内径Dの10倍以上50倍以下が好ま
しい。L2が内径の10倍以下であると気流案内管9内
の固化点位置が不安定となり、そのことにより糸条の伸
度にばらつきが生じるので後工程での糸切れが増加す
る。
【0028】逆に、L2が50倍以上になると下降気流
案内管9内の圧力損失が増加するので上流での負圧力が
不足し、所定の冷却ができなくなるので繊度斑が大きく
なるばかりか、吸引力の不足によって糸が冷却装置7内
及び下降気流案内管9内に滞留して巻取機の糸掛けが困
難になることがある。
【0029】下降気流案内管9の気流減速部12では、
外周面に孔が設けられると共に出側径が増径されたテー
パ形状になっているので、糸条と共に下降する気流はそ
の部分で拡散し、糸条と共に下流の給油ガイド19に到
達するときには気流は軽減する。そのため、給油ガイド
19での糸揺れが減り油剤の付着斑が防げると共に、糸
揺れが上流へ伝播されないので繊度斑の発生も防止でき
る。
【0030】ここで、フィラメントFが細化し、ガラス
転移温度に冷却される間、フィラメントに付与される冷
却気流70及び下降気流案内管9内における冷却気流7
0と空気流71の混在した気流のフィラメントF走行方
向の速度を、フィラメントFの走行速度の1/3以上で
2/3を越えない範囲に設定する。
【0031】この気流の走行速度の調節は、第一にエジ
ェクタ機構7の空気噴射部60へのダクト11からの供
給空気圧を調節する。すなわち、この供給空気圧を調節
することによって噴射口65からの空気流71の噴射圧
が変化し、それに伴って導入管61に生じる負圧も変化
するので、冷却装置7からの冷却気流70の下降速度を
調節することができる。
【0032】さらに、冷却装置7の外側多孔管53によ
って、内側多孔管52周面の孔に対する外側多孔管53
周面の孔の位相を変え、冷却気流70の速度を調節する
ことを併用すると容易に、かつ、確実に気流の走行速度
を調節できる。
【0033】前記した気流の走行速度範囲はたび重なる
試行の結果得られたものであり、その理由は次のとおり
である。
【0034】前記気流の走行速度がフィラメントFの走
行速度の1/3以上2/3を越えない範囲であれば、フ
ィラメントFへの冷却気流による空気抗力が低減し、配
向が抑制されることによってフィラメントFの伸度が増
すのでより高速で紡糸することができる。その結果、P
OY製造工程での吐出量を増加することによって生産量
を増すことができる。
【0035】また、前記範囲内の気流の走行速度である
と、結晶化が促進されるので、POY製造工程の後工程
であるDTY工程での加工張力が増大し、その結果、D
TY工程の高速化がはかれる。
【0036】つまり、フィラメントFへの冷却気流によ
る空気抗力低減と冷却のバランスによって配向抑制と結
晶化が同時に行なわれ、POY製造工程での生産量の増
加とDTY工程での高速化が可能となるので、POY製
造工程とDTY工程での生産効率を同レベルにすること
ができ、かつ、糸の生産性の向上がはかれるのである。
【0037】また、図4において、スピンブロック2に
取り付けられた紡糸パック6内の紡糸口金41の吐出面
から、冷却装置7の冷却気流付与部、すなわち、空気整
流体51の上端面までの距離(図4のL1寸法)を50
mm以上100mm以下とすることにより、紡出された
ポリマが伸度や結晶化度の安定したフィラメントFに形
成される。前記L1寸法が範囲を逸脱した場合、つま
り、L1が50mm以下であると、紡糸口金41の吐出
面が冷却装置7の冷却気流の影響を受けて所定の温度よ
り冷やされるので糸の伸度が低下し、逆に100mm以
上であると、フィラメントFが冷却装置7まで到達する
のに距離があり冷却速度が低下するので結晶化度が低下
する等、紡糸に悪影響がおよぶのである。
【0038】
【実施例1】上述の紡糸装置を使用して、フィラメント
当たりのポリエステル溶融ポリマーの吐出量が1.2g
/min、冷却気流70及び下降気流案内管9内におけ
る冷却気流70と空気流71の混在した気流の速度が1
800m/minの条件で、4000m/min、45
00m/min、5000m/minの各巻取速度によ
ってポリエステル繊維をパッケージ100として製造し
た。
【0039】上述の各巻取速度で得られたポリエステル
繊維の繊度(dtx)、破断伸度(%)、複屈折率(△
n)、比重(g/cm3)、繊度斑(U%)の物性値を
測定したところ表1に示す通りであった。
【0040】
【表1】
【0041】表1から巻取速度が4000m/min〜
4500m/minの範囲においては破断伸度が90%
以上、複屈折率(Δn)が0.06未満、比重が1.3
55g/cm3以上、U%が0.8%以下の物性値のポ
リエステル繊維(サンプル1−1、1−2)を得られる
ことが判る。
【0042】
【実施例2】実施例1における条件の内の、冷却気流7
0及び下降気流案内管9内における冷却気流70と空気
流71の混在した気流の速度を2600m/minに変
更し、他の条件はそのままでポリエステル繊維をパッケ
ージ100として製造した。上述の各巻取速度で得られ
たポリエステル繊維の繊度(dtx)、破断伸度
(%)、複屈折率(△n)、比重(g/cm3)、繊度
斑(U%)の物性値を測定したところ表2に示す通りで
あった。
【0043】
【表2】
【0044】表2から巻取速度が4000m/min〜
5000m/minの範囲において破断伸度が90%以
上、複屈折率(Δn)が0.06未満、比重が1.35
5g/cm3以上、U%が0.8%以下の物性値のポリ
エステル繊維(サンプル2−1〜2−3)を得ることが
でき、本発明の気流速度範囲内において気流速度を増速
させると破断伸度(%)が上昇する傾向にあることが判
る。
【0045】
【比較例1】比較例のポリエステル繊維の製造に使用し
た紡糸装置25は、図5に示されるように、スピンビー
ム2、紡糸パック6及び紡糸口金41並びに給油ガイド
19、収束ガイド20及び巻取装置22等は本発明と同
様のものを使用し、冷却装置26においては、ブロア2
6から送風管28を介して冷却風がダクト29内に取り
込まれ、冷却風がフィラメントFに直交して付与される
ようになっているものを使用した。
【0046】上述の紡糸装置25を使用して、フィラメ
ント当たりのポリエステル溶融ポリマーの吐出量を1.
2g/minとし、3000m/min、3500m/
min、4000m/min、4500m/min、5
000m/minの各巻取速度によってポリエステル繊
維をパッケージ100として製造した。
【0047】上述の各巻取速度で得られたポリエステル
繊維の繊度(dtx)、破断伸度(%)、複屈折率(△
n)、比重(g/cm3)、繊度斑(U%)の物性値を
測定したところ表3に示す通りであった。
【0048】
【表3】
【0049】表3からポリエステル繊維は物性値の破断
伸度が90%以上、複屈折率(Δn)が0.06未満の
ものは巻取速度が4000m/min以下の速度であ
り、比重が1.355g/cm3以下のものは巻取速度
が4500m/min以下の速度になっていることが判
る。
【0050】上述の実施例1、2、比較例1において巻
取速度が4000m/minの条件で得られたポリエス
テル繊維(サンプル1−1、2−1、3−3)を、図6
に示されるようなパッケージ100から糸条21を引き
出して所定の速度で送る第1送りローラ101と、糸条
21を所定の温度に加熱する接触型あるいは非接触型の
加熱装置102と、冷却装置103、糸条21に撚りを
付与する仮撚装置104と、第1送りローラ101より
高速度回転し走行糸を延伸する第2送りローラ105
と、延伸仮撚加工された嵩高加工糸110を巻き取る巻
取装置106とがこの順序で設置された延伸仮撚機を使
用し、加工速度が1000m/min、延伸倍率が1.
54の場合と加工速度が1400m/min、延伸倍率
が1.60の場合の条件で延伸仮撚加工し、得られた嵩
高加工糸110の残留伸度(%)を測定したところ、そ
れぞれ表4、表5の通りであった。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】表4から本発明のポリエステル繊維(サン
プル1−1、2−1、3−3)は何れも加工速度が10
00m/minの場合では得られた嵩高加工糸110の
残留伸度は何れも25%以上であることが判る。
【0054】さらに、表5からサンプル2−1は加工速
度が1400m/minと高速度で加工張力が62cN
の場合でも得られた嵩高加工糸110の残留伸度は25
%以上であり、他のサンプル1−1の場合も得られた嵩
高加工糸110の残留伸度は24%以上を維持している
ことが判る。
【0055】これに対して従来のポリエステル繊維(サ
ンプル3−3)では加工速度が1000m/min、加
工張力が49cNの場合は、得られた嵩高加工糸110
の残留伸度は25.5%であるが、加工速度が1400
m/minと高速度で加工張力が57cNの場合は、得
られた嵩高加工糸110の残留伸度は19.7%と格段
に低下している。
【0056】このことから本発明のポリエステル繊維の
場合は高加工速度、高張力の条件で延伸仮撚加工を行っ
ても残留伸度(%)が高い嵩高加工糸が得られることが
判る。
【0057】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の紡糸方法
及び紡糸装置によれば、紡出されたフィラメントがガラ
ス転移温度に冷却される間、フィラメントの走行方向に
付与される冷却気流の速度をフィラメントの走行速度の
1/3以上で2/3を越えないようにすることにより、
より高速度で紡糸が可能となり、POY生産量を増すこ
とができると共に、複屈折率(Δn)が0.06未満、
破断伸度が90%以上、比重が1.355g/cm3
上、U%が0.8以下の物性値を有するポリエステル繊
維を得ることができる。
【0058】このポリエステル繊維をDTY工程におい
て、加工速度が1400m/minのような高速度、か
つ、加工張力62cNの高張力で加工して得られた嵩高
加工糸の残留伸度を、従来のポリエステル繊維を100
0m/minの加工速度、49cNの加工張力で加工し
て得られた嵩高加工糸の残留伸度よりも高伸度に保つこ
とができるので、DTY工程の高速度化が可能となる。
【0059】本発明によれば、DTY工程の高速度化と
前記POY生産量増との適合により、POY製造工程と
DTY工程間での工程バランスが保たれ生産性が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における紡糸装置の実施例を示す全体
正面図である。
【図2】 本発明における空気噴射部の構造を示す断面
図である。
【図3】 本発明における冷却装置の構造を示す斜視図
である。
【図4】 図1における要部拡大断面図である。
【図5】 比較例の紡糸装置を示す側面図である。
【図6】 DTY加工工程の一実施例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1、25 紡糸装置 6 紡糸パック 7、26 冷却装置 8 空気エジェクタ機構 9 下降気流案内管 11、29 ダクト 21 糸条 22、106 巻取装置 60 空気噴射部 70 冷却気流 71 空気流 100 パッケージ 104 仮撚装置 110 嵩高加工糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西大路 誠 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レエ ンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 4L035 BB31 BB56 FF07 4L045 AA05 BA03 DA22

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紡糸口金から溶融ポリマを押し出し、前
    記紡糸口金下流の冷却装置を経て、前記溶融ポリマをフ
    ィラメントとして引き取る溶融紡糸工程において、フィ
    ラメントが細化し、ガラス転移温度に冷却されて固化が
    生じるまでの間、フィラメントの走行方向に付与される
    冷却気流の速度がフィラメントの走行速度の1/3以上
    で2/3を越えないようにすることを特徴とする紡糸方
    法。
  2. 【請求項2】 紡糸口金から溶融ポリマを押し出し、前
    記紡糸口金下流の冷却装置を経て、前記溶融ポリマをフ
    ィラメントとして引き取る紡糸装置において、フィラメ
    ントが細化し、ガラス転移温度に冷却されて固化が生じ
    るまでの間、フィラメントの走行方向に付与される冷却
    気流の速度がフィラメントの走行速度の1/3以上で2
    /3を越えないように冷却気流の速度を調節するように
    したことを特徴とする紡糸装置。
  3. 【請求項3】 紡糸口金から冷却装置の冷却気流付与部
    までの距離が50mm以上100mm以下であることを
    特徴とする請求項2記載の紡糸装置。
  4. 【請求項4】 請求項1の紡糸方法、請求項2、3の紡
    糸装置のいずれかによって製造され、複屈折率(Δn)
    が0.06未満、破断伸度が90%以上、比重が1.3
    55g/cm3以上、U%が0.8%以下の物性値を有
    することを特徴とするポリエステル繊維。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106521665A (zh) * 2016-10-12 2017-03-22 桐乡市中辰化纤有限公司 16f有光超粗旦FDY全拉伸纤维的生产方法
CN108505128A (zh) * 2018-02-12 2018-09-07 江苏恒泽复合材料科技有限公司 一种有色再生聚酯dty丝的制备方法

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