JP2003137871A - 1−アルキル−5−ハイドロキシピラゾールの製造法 - Google Patents

1−アルキル−5−ハイドロキシピラゾールの製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 農薬・医薬品の中間体として有用な1−アル
キル−5−ハイドロキシピラゾールの容易かつ安価に製
造する方法を提供すること。 【解決の手段】 3,3−ジアルコキシプロピオン酸ア
ルキルエステルとアルキルヒドラジンを触媒存在下反応
させると、1−アルキル−5−ハイドロキシピラゾール
が高収率で得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は農薬、医薬品中間体
として重要な1−アルキル−5−ハイドロキシピラゾー
ルの製造法に関する。特に1−メチル−5−ハイドロキ
シピラゾールは既知化合物であり、除草剤の中間体とし
て有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】原料として、3,3−ジアルコキシプロ
ピオン酸アルキルエステルを用いた1−アルキル−5−
ハイドロキシピラゾールの製法としては、次式(V)の
反応経路で示す特開平3−44375号公報に記載の製
法が知られている。
【化5】 式中、R、R、R、R、R及びR
の各々は、炭素数1から6の直鎖または分岐アルキ
ル基を示す、
【0003】しかしながら、上記の方法では、1段目の
ヒドラジッド化反応に、ヒドラジンを過剰に用いて、溶
媒加熱還流下10時間以上の反応時間を要するという問
題がある。しかも合成ルートが4段階と長く、また保護
基を用いるので化学反応上不経済であり、工業的に十分
に満足しうるものではない。
【0004】また、従来例として、3,3−ジアルコキ
シプロピオン酸アルキルエステルから3−アルコキシア
クリル酸エステルを経由して1−アルキル−5−ハイド
ロキシピラゾールを与える、次式(VI)
【化6】 式中、R,R,Rは、独立して炭素数1か
ら6の直鎖または分岐アルキル基を示す、の特開昭61
−189271号公報に記載の製法も挙げられる。
【0005】しかしながら、上記の方法は、ジアルコキ
シプロピオン酸アルキルエステルを直接用いる方法に比
べて、1段階反応が長いという不利益がある。また、反
応性が高く、不安定なアクリル酸エステル中間体を経由
するため、反応条件によっては、特開平10−1759
57号公報に記載されているように、次式(VII)
【化7】 式中、R及びRの各々は、炭素数1から6の直
鎖または分岐アルキル基を示す、で表される副生成物を
生じやすいことも問題である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ジア
ルコキシプロピオン酸アルキルエステルとアルキルヒド
ラジンを用いることにより、1段階で、また不安定な中
間体を経由することなく、高収率で1−アルキルハイド
ロキシピラゾールが得られる製法を提供することであ
る。また、本発明の他の目的は、金属アルカリ触媒を用
いることにより低温で速やかに反応が進行し、かつ保護
基等を用いることなしに高選択的に1−アルキル−5−
ハイドロキシピラゾールを得ることができる製法を提供
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、3,3−ジア
ルコキシプロピオン酸アルキルエステルとアルキルヒド
ラジンを金属アルカリ存在下反応させると、対応するヒ
ドラジッドが速やかに生成し、それを酸触媒により環化
させることにより、1−アルキル−5−ハイドロキシピ
ラゾールを高収率で得ることができる製法を見いだし、
本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、これを具体的に説明する
と、下記式(I)
【化8】 式中、R,R,Rは、独立して炭素数1か
ら6の直鎖または分岐アルキル基を示す、の3,3−ジ
アルコキシプロピオン酸アルキルエステルと、下記式
(II)
【化9】 式中、Rは炭素数1から6の直鎖または分岐アルキ
ル基を示す、のアルキルヒドラジン(II)とを金属アル
カリ触媒下で反応させることにより、下記式(III)
【化10】 式中、R,Rは、独立して炭素数1から6の直
鎖または分岐アルキル基を示す、Rは炭素数1から
6の直鎖または分岐アルキル基を示す、の3,3−ジア
ルコキシプロピオン酸ヒドラジッド(III)を経由した
後に、酸触媒により環化することを特徴とする下記式
(IV)
【化11】 式中、Rは炭素数1から6の直鎖または分岐アルキ
ル基を示す、の1−アルキル−5−ハイドロキシピラゾ
ール(IV)の製法に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の方法について詳
細に説明する。本発明の目的生成物である1−アルキル
−5−ハイドロキシピラゾール(IV)の合成に使用する
3,3−ジアルコキシプロピオン酸アルキルエステル
(I)、及びアルキルヒドラジン(II)において、式中
の基、R、R、R、Rは同一又は異な
る低級アルキル基であるが;好ましくは、炭素数1〜6
個の直鎖状又は分岐状のものであり;さらに好ましくは
炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のものであり;
よりさらに好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0010】本発明の目的生成物である1−アルキル−
5−ハイドロキシピラゾール(IV)の合成中間体である
3,3−ジアルコキシプロピオン酸ヒドラジッド(II
I)の合成にはアルカリ触媒が用いられる。1−アルキ
ル−5−ハイドロキシピラゾール(IV)を目的生成物と
した3,3−ジアルコキシプロピオン酸ヒドラジッド
(III)の環化反応は酸触媒下で行われる。
【0011】用いるアルカリ触媒は、本発明の目的を達
成できる限り特に限定されないが、ナトリウムメチラー
ト、カリウムメチラートなどのアルカリ金属アルコラー
ト、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ
金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ソーダなどのアルカ
リ金属炭酸塩などが用いられるが、好ましくはナトリウ
ムメチラート、カリウムメチラートである。
【0012】一方、環化に用いる酸触媒は、塩酸、硫
酸、リン酸等の無機酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸
等の有機酸、などをあげることができるが、特に好まし
いのは塩酸、リン酸である。
【0013】原料化合物の使用量は、3,3−ジアルコ
キシプロピオン酸アルキルエステルに対してアルキルヒ
ドラジンが1〜10倍モルであるが、好ましくは1〜
1.2倍である。アルカリ触媒の使用量は0.05〜3
モル倍量、好ましくは0.2〜0.5モル倍量であり、
酸触媒はアルカリ触媒の中和に必要量以外に0.05〜
5倍モル、好ましくは0.2〜0.5倍モルである。
【0014】使用する溶媒の種類は、本発明の目的を達
成できる限り特に限定されないが、無溶媒、メタノー
ル、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒、
ヘキサン、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素溶媒、ジ
クロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲ
ン化炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、N,N−ジメ
チルホルムアミド、アセトニトリルなどの非プロトン性
極性溶媒などが用いられるが、好ましくは無溶媒であ
る。
【0015】反応温度は0〜150℃であるが、ヒドラ
ジッド合成では好ましくは0〜20℃、環化反応では好
ましくは30〜70℃である。
【0016】
【実施例】本発明を次の例で更に説明するが、本発明は
以下の例によって制限されるものではない。
【0017】実施例1[1−メチル−5−ヒドロキシピ
ラゾールの合成] 攪拌機、温度計を備えた500mLの四つ口フラスコ
に、3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル74.1g
(0.5モル)と98%メチルヒドラジン23.3g
(0.5モル)を仕込み、氷冷で0℃に冷却した。25
%ナトリウムメチラートのメタノール溶液18.8g
(0.1モル)を反応液中に1時間かけて滴下し、さら
に反応液を60℃に加熱して15時間攪拌した。次い
で、リン酸28.9g(0.25モル)を60℃で滴下
し、さらに6時間反応を行った。反応終了後、反応液を
30℃に以下に冷却し、25%ナトリウムメチラート2
5.6g(0.136モル)で中和した。反応液を高速
液体クロマトグラフィーで分析すると、1−メチル−5
−ハイドロキシピラゾールが49.1g(0.431モ
ル)生成していた(収率86.2%)。副生した無機塩
を濾別し、濾液を濃縮後、再結晶を行うことにより、1
−メチル−5−ハイドロキシピラゾール32.9g
(0.335モル、収率67%)を得た。融点109.
1℃:溶け終わり、高速液体クロマトグラフィー純度9
9%、異性体1−メチル−3−ハイドロキシピラゾール
は検出されず。
【0018】実施例2[1−エチル−5−ヒドロキシピ
ラゾールの合成] 前記実施例1で使用した98%メチルヒドラジンの代わ
りに、98%エチルヒドラジン33.7g(0.5モ
ル)を使用し、同様な操作で反応を行った。反応液を高
速液体クロマトグラフィーで分析すると、1−エチル−
5−ハイドロキシピラゾールが47.3g(0.422
モル)生成していた(収率84.3%)。副生した無機
塩を濾別し、濾液を濃縮後、再結晶を行うことにより、
1−エチル−5−ハイドロキシピラゾール36.5g
(モル、収率64.3%)を得た。融点99.2℃:溶
け終わり、高速液体クロマトグラフィー純度99%、異
性体1−エチル−3−ハイドロキシピラゾールは検出さ
れず。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、3,3−ジアルコキシ
プロピオン酸アルキルエステルとアルキルヒドラジンを
金属アルカリ存在下反応させると、対応するヒドラジッ
ドが速やかに生成し、それを酸触媒により環化させるこ
とにより、農薬・医薬品の中間体として有用な1−アル
キル−5−ハイドロキシピラゾールが、容易かつ安価に
製造することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3,3−ジアルコキシプロピオン酸アル
    キルエステルを原料とする1−アルキル−5−ハイドロ
    キシピラゾールの製造法において、3,3−ジアルコキ
    シプロピオン酸アルキルエステルとアルキルヒドラジン
    とを反応させ、生成する3,3−ジアルコキシプロピオ
    ン酸ヒドラジッドを環化させることを特徴とする1−ア
    ルキル−5−ハイドロキシピラゾールの製造法。
  2. 【請求項2】 1−アルキル−5−ハイドロキシピラゾ
    ールが下記式(IV) 【化1】 式中、Rは炭素数1から6の直鎖または分岐アルキ
    ル基を示す、で表される化合物であることを特徴とする
    請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】 3,3−ジアルコキシプロピオン酸アル
    キルエステルが下記式(I) 【化2】 式中、R,R,Rは、独立して炭素数1か
    ら6の直鎖または分岐アルキル基を示す、で表される化
    合物であり、アルキルヒドラジンが下記式(II) 【化3】 式中、Rは炭素数1から6の直鎖または分岐アルキ
    ル基を示す、で表される化合物であることを特徴とする
    請求項1または2に記載の製造法。
  4. 【請求項4】 3,3−ジアルコキシプロピオン酸ヒド
    ラジッドが下記式(III) 【化4】 式中、R,Rは、独立して炭素数1から6の直
    鎖または分岐アルキル基を示す、Rは炭素数1から
    6の直鎖または分岐アルキル基を示す、で表される化合
    物であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記
    載の製造法。
  5. 【請求項5】 3,3−ジアルコキシプロピオン酸アル
    キルエステルとアルキルヒドラジンとの反応を、金属ア
    ルカリ触媒の存在下に行うことを特徴とする請求項1乃
    至4の何れかに記載の製造法。
  6. 【請求項6】 ヒドラジッド体の環化反応を、酸触媒の
    存在下に行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか
    に記載の製造法。
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