JP2003136020A - 構造物の表面保護方法及び保護膜 - Google Patents
構造物の表面保護方法及び保護膜Info
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Abstract
の表面保護方法及び保護膜を提供する。 【解決手段】構造物1の表面2に低融点ワックスエマル
ション3を薄膜状に塗布し乾燥させてワックス皮膜4を
形成し、構造物表面2をワックス皮膜4の付着により保
護し、ワックス皮膜4を前記ワックスの軟化点以上の高
温流体7との接触により構造物表面2から剥離する。好
ましくは、ワックス皮膜4上に該ワックス皮膜4の撥水
性に抗して付着可能な粘度の皮膜形成ポリマー水溶液又
は水エマルション5を薄膜状に塗布し乾燥させて所要厚
さのポリマー皮膜6を形成し、構造物表面2をワックス
皮膜4及びポリマー皮膜6の付着により保護する。更に
好ましくは、ポリマー皮膜6上に前記ワックスエマルシ
ョン3を薄膜状に塗布し乾燥させて防水皮膜9を形成す
る。
Description
法及び保護膜に関し、とくに構造物の表面に剥離可能な
皮膜を形成して該表面を損傷や汚染等から保護する表面
保護方法及び保護膜に関する。
て、構造物の既に仕上げた部分又は既存の外壁面や内装
面及びその周辺の資材や機器等(以下、これらを纏めて
構造物表面ということがある。)を、工事中の損傷や汚
れの付着等から保護すること(以下、養生ということが
ある。)が求められる。例えば、水分を含んだ汚れが吸
水性の構造物表面に付着すると、内部に染み込んで洗浄
だけでは落とすことができないシミとなり、構造物表面
の切削等が必要となるので、構造物の仕上がり上の問題
となる場合がある。また、工事中にコンクリート打設時
のノロ(lime wash)等が構造物表面に付着して仕上が
り上の問題となることも多く、施工上の大きな問題とな
っている。塗料のたれ、鳥等の排泄物、水中での生物の
付着等により構造物表面が汚れる問題や、小粒子を含ん
だ塗料の吹き付け塗装時に飛散した小粒子が不所望の構
造物表面に付着してダメージを与える等の問題点も経験
されている。
フィルム(ブルーシート)等を接着剤や熱処理で接着し
て養生する方法が実施されている。しかしこの方法は、
構造物表面の養生対象域の形状に合わせて保護フィルム
を裁断して接着する必要があり、養生対象域が大面積で
ある場合又は複雑な形状である場合に手間がかかる問題
点がある。また、接着に用いるテープ等の接着剤が熱に
より溶けて構造物表面に汚れとして残り、その汚れを除
去するために作業や費用がかかる問題点もある。保護フ
ィルムが風に煽られて破けやすい等の問題点もある。
護方法の問題点を解決するため、付着膜形成ポリマー溶
液の塗布による構造物の順次仕上面保護方法を開発し、
特許第3171535号公報に開示した。図3を参照して同公
報の保護方法を簡単に説明すると、部分毎に順次仕上げ
る構造物の各部分の仕上げ時に、剥離可能な付着膜形成
ポリマー12が溶媒13に溶解したポリマー溶液11を当該部
分の仕上面10a、10b、10cに薄膜14として塗布し、溶媒1
3の蒸発により薄膜14を付着膜15として当該部分の仕上
面10a、10b、10cに剥離可能に付着させ(同図(A)〜
(D)参照)、構造物全体の仕上り後に付着膜15を全て
の仕上面10a、10b、10cからシール状に剥離する(同図
(E)参照)。付着膜形成ポリマー12の一例はポリビニ
ルアルコール(以下、PVAと表わすことがある。)であ
り、例えばPVAを水13に溶解してポリマー溶液11を調製
する。図3の方法によれば、ポリマー溶液11を塗布する
だけの簡単な作業で構造物表面を養生することができ
る。
液11で形成された皮膜15は固くて脆く、構造物表面から
剥がしにくい場合がある。この点に関し特許第3135210
号公報は、例えば、5〜20重量%の皮膜形成ポリマー12
と該ポリマーに対し0.5〜15重量%の可塑剤17とが水13
に溶解したポリマー溶液11を用いる構造物表面の保護方
法を開示する。可塑剤17の添加により、皮膜15の引張り
強さを小さくする共に破断伸びを大きくし、皮膜15を柔
らかく剥がしやすいものとして、構造物表面からの皮膜
15の剥離作業の容易化を図ることができる。皮膜15は、
例えば一端に力を加えて構造物表面からシール状に引き
剥がす。
可塑剤17を添加して皮膜15を形成した場合でも、皮膜15
の構造物表面への付着時間が長期に亘るような場合は、
時間の経過と共に皮膜15と構造物表面とが強固に付着
し、皮膜15の剥離が困難になる場合が経験された。とく
に構造物表面の凹部に食い込んだ皮膜15の部分が構造物
表面に強固に付着し、その部分が剥離時に切れて構造物
表面に汚れとして残る場合があり、皮膜15を全て剥離す
るのに手間と費用がかかる場合がある。
がしやすい皮膜による構造物の表面保護方法及び保護膜
を提供することにある。
に、本発明の構造物表面の保護方法は、構造物1の表面
2に低融点ワックスエマルション3を薄膜状に塗布し乾
燥させてワックス皮膜4を形成し、構造物表面2をワッ
クス皮膜4の付着により保護し、ワックス皮膜4を前記
ワックスの軟化点以上の高温流体7との接触により構造
物表面2から剥離してなるものである。
ように、ワックス皮膜4上に該ワックス皮膜4の撥水性
に抗して付着可能な粘度の皮膜形成ポリマー水溶液又は
水エマルション5を薄膜状に塗布し乾燥させて所要厚さ
のポリマー皮膜6を形成し、構造物表面2をワックス皮
膜4及びポリマー皮膜6の付着により保護する。更に好
ましくは、図3(H)及び(I)に示すように、ポリマ
ー皮膜6上に前記ワックスエマルション3を薄膜状に塗
布し乾燥させて防水皮膜9を形成する。
構造物表面の保護膜は、構造物1の表面2への低融点ワ
ックスエマルション3の薄膜状塗布及び乾燥により形成
され、且つ常温下で構造物表面2に付着し、前記ワック
スの軟化点以上の高温流体7との接触により構造物表面
2から剥離するワックス皮膜4を備えてなるものであ
る。
ように、ワックス皮膜4上に該ワックス皮膜4の撥水性
に抗して付着可能な粘度の皮膜形成ポリマー水溶液又は
水エマルション5の薄膜状塗布及び乾燥により形成した
所要厚さのポリマー皮膜6を設ける。更に好ましくは、
図3(H)及び(I)に示すように、ポリマー皮膜6上
に前記ワックスエマルション3を薄膜状に塗布し乾燥さ
せて形成した防水皮膜9を設ける。
蝋、鯨蝋、木蝋等の動物性又は植物性ワックスを用いた
実施例を示す。低融点ワックスとは、後述するように高
温流体との接触(例えば、温水の塗布又は吹き付け)に
より融解可能なワックスである。動物性又は植物性ワッ
クスは自然界において分解可能であり、構造物表面から
剥離後のワックス皮膜4が自然界に流出した場合でも環
境を汚染するおそれが小さい。低融点ワックスを適当な
乳化剤により例えば水溶液又はアルコール系溶液に分散
させてワックスエマルション3を調製する。本発明で使
用するワックスエマルション3は低融点ワックスを主成
分とするものであれば足り、必要に応じてワックスエマ
ルション3中に物性改善剤、保存剤、殺虫剤や防菌剤、
芳香剤、漂白剤その他の薬品等を混合してもよい。
クスエマルション3をローラ20(図3参照)、又は刷毛
塗り、吹き付け、しぼり出し等の方法により構造物表面
2に薄膜状に塗布し、水分の蒸発により表面2上にワッ
クス皮膜4を形成する。ワックスエマルション3として
塗布することにより、シート等として貼る場合と異な
り、構造物表面2の小さな凹部にもワックスエマルショ
ン3を入り込ませ、乾燥により構造物表面2上に密着し
たワックス皮膜4を形成することができる。構造物表面
2との密着により、乾燥後のワックス皮膜4が風等に煽
られて破れる事態が避けられる。なお、ワックスエマル
ション3は微香性であるが無害であって塗布作業に際し
換気等を必要としない。
付着し、図1(C)に示すように表面2を汚れ物質8の
付着等から保護する。動物性又は植物性ワックスエマル
ション3の乾燥により形成されるワックス皮膜4は無色
透明であるため、構造物表面2の外観を損なうおそれが
小さい。但し、本発明は無色透明なワックス皮膜4の使
用に限定されず、必要に応じて着色剤等の混入により形
成した有色ワックス皮膜4を使用してもよい。またワッ
クス皮膜4は撥水性であるため、図1(D)に示すよう
に比較的低温の洗浄水18によってワックス皮膜4上に付
着した汚れ物質8を洗い流すことが可能である。更に、
撥水性のワックス皮膜4によれば、従来のPVA等の水溶
性ポリマー皮膜では保護が困難であった雨水に晒される
構造物表面2や水中に設置する構造物表面2の保護も可
能である。
付着しているが、例えば図1(E)及び(F)に示すよ
うに外側からワックスの軟化点以上の高温流体を接触さ
せることにより、構造物表面2から容易に剥離できる。
例えばワックスとして蜜蝋を使用した場合は、70℃程度
の温水の塗布又は吹き付けによりワックス皮膜4を軟化
させ、付着力が弱まったワックス皮膜4を構造物表面2
から容易に剥離できる。また、温水を高圧で吹き付ける
ことによりワックス皮膜4を水圧のみで剥離することも
可能であり、剥離作業の更なる容易化が図れる。但し、
ワックス皮膜4の剥離方法は温水の塗布又は吹き付けに
限定されず、ワックス皮膜4を付着力が弱まる程度に軟
化させるに足る高温流体との接触、例えばワックスの融
点以上の高温蒸気との接触によりワックス皮膜4を構造
物表面2から剥離してもよい。
表面2の保護効果を確認するため、下記組成のワックス
エマルション3を用いて実験を行った。本実験では、セ
メント1000gに対し水150gの割合で調製したコンクリ
ート製の板を2枚作成し、1日乾燥後、1枚のコンクリ
ート板の表面に下記ワックスエマルション3を100g/m
2の割合で塗布し乾燥させてワックス皮膜4を形成し
た。皮膜4付きコンクリート板と皮膜4無しコンクリー
ト板との表面にそれぞれ前記コンクリートの飛沫とノロ
を汚染物質8として付着させ、更に1日乾燥させた。前
記両コンクリート板の表面を図1(D)のように洗浄水
18で水洗したところ、皮膜4付きコンクリート板では汚
染物質8が容易に除去できたが、皮膜4無しコンクリー
ト板では汚染物質8を除去することはできなかった。
(E)のように温水高圧洗浄機(MICONE社製、製品名HO
T BOX、圧力6.5bar、加熱温度145℃)で洗浄したとこ
ろ、皮膜4付きコンクリート板からは水圧のみでワック
ス皮膜4を1枚のシートとして容易に剥離させることが
できた。これに対し皮膜4無しコンクリート板上の汚染
物質8は温水高圧洗浄によっても一部だけしか除去でき
なかった。また、皮膜4無しコンクリート板上の汚染物
質8をスクレッパーで掻き落として除去したところ、コ
ンクリート板上に切削痕等が残った。本実験結果から、
構造物表面2にワックス皮膜4を形成することにより、
付着した汚れ物質8を比較的低温の水によって簡単に洗
い落とすことができ、また高温水の塗布や吹き付けによ
り汚れ物質8をワックス皮膜4と共に剥離できることが
確認できた。
や水中に設置する構造物表面2に対するワックス皮膜4
の保護効果を確認するため、2本の塩化ビニル製パイプ
(製品名AVビニルパイプVP)と前記ワックスエマルショ
ン3とを用いて実験を行った。1本のパイプの表面に前
記ワックスエマルション3を100g/m2の割合で塗布し
乾燥させてワックス皮膜4を形成した。皮膜4付きパイ
プと皮膜4無しパイプの表面に6個体のムラサキイガイ
を付着させ、両パイプを13日間水槽内に沈めて貝を飼育
した。
いることを確認したのち、両パイプを95℃の温水中に移
したところ、皮膜4付きパイプでは付着した6個体の貝
をワックス皮膜4と共に除去することができた。また、
除去後のパイプ表面に貝の足糸は残っていなかった。他
方、皮膜4無しパイプでは4個体の貝が依然として付着
したままであり、また2個体についても足糸は除去でき
なかった。本実験結果から、水中に設置する構造物表面
2もワックス皮膜4の形成により水中の生物の付着等か
ら効果的に保護できることが確認できた。
から剥がしやすい皮膜による構造物の表面保護方法及び
保護膜」の提供が達成できる。
に限らず、ガラス、金属、紙類、布類、タイル、陶器、
木材、土砂、岩、各種塗装面、合成樹脂、漆喰等で仕上
た構造物表面2に対して適用可能である。また、ワック
ス皮膜4は構造物表面2の保護だけでなく、構造物表面
2に付着していた汚れ物質を吸着する浄化機能をも備え
ている。
保護について説明したが、ワックス皮膜4は2〜3回重
ね塗りしても厚さ0.1mm以下であるため、ワックス皮膜
4のみでは外部からの衝撃等に対して構造物表面2を十
分に保護できない場合がある。図2の実施例では、ワッ
クス皮膜4の衝撃に対する強さを補うため、構造物表面
2にワックスエマルション3を薄膜状に塗布し乾燥させ
てワックス皮膜4を形成したのち(同図(A)及び
(B)参照)、ワックス皮膜4上に皮膜形成ポリマー水
溶液又は水エマルション5(以下、両者を纏めてポリマ
ー水溶液5ということがある。)を薄膜状に塗布し、水
分の蒸発により乾燥させてワックス皮膜4上に所要厚さ
のポリマー皮膜6を形成している(同図(C)及び
(D)参照)。ワックス皮膜4とポリマー皮膜6とによ
り、衝撃等に対して構造物表面2が保護できる厚さ、例
えば0.1mm以上を確保する。
り、吹き付け、しぼり出し等の方法によりワックス皮膜
4上に塗布することができる。但し、ワックス皮膜4の
撥水性のため、粘度が低いポリマー水溶液5では膜状に
塗布することが難しい。本発明では、ワックス皮膜4の
撥水性に抗して付着可能な粘度のポリマー水溶液5を使
用する。
コール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸
ビニル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセ
テート等よりなる群から選ばれた一種又は二種以上の物
質であり、好ましくはPVA又はエチレン・酢酸ビニル共
重合体である。例えば重合度500〜5,000、好ましくは1,
000〜3,000でケン化度85〜99モル%のPVAを用い、濃度
が5〜30重量%であって2,000〜100,000mPa・sの高粘度
ポリマー水溶液5を用いれば、ワックス皮膜4上に薄膜
状に塗布でき且つ乾燥時にポリマー皮膜6が形成できる
ことを本発明者は実験的に確認した。ただし、ポリマー
水溶液5の濃度や粘度は、構造物表面2の材質や周囲の
環境条件、塗布方法等に応じて適宜調整可能である。
6は、保護に十分な厚さが確保できれば単層でも足りる
が、必要に応じてポリマー水溶液5の薄膜状塗布と乾燥
との繰り返し(重ね塗り)により多層として十分な厚さ
を確保する。また、必要に応じてポリマー水溶液5中に
グリセリンやプロピレングリコール等の可塑剤を添加
し、ポリマー皮膜6の柔らさや剥がしやすさを調節す
る。可塑剤を添加する場合は、皮膜形成ポリマーに対し
て0.5〜15重量%の可塑剤を添加することが好ましい。
グリセリン、プロピレングリコール等の可塑剤は何れも
自然界で生分解可能であり、ポリマー皮膜6の処分時に
環境汚染のおそれが小さいものである。
さのポリマー皮膜6とにより被覆された構造物表面2を
示す。保護期間中はワックス皮膜4及びポリマー皮膜6
を構造物表面2に付着させ、構造物表面2を汚れの付着
及び衝撃による損傷等から保護する。保護期間経過後に
構造物表面2からワックス皮膜4及びポリマー皮膜6を
剥がす時は、例えば図2(E)に示すようにポリマー皮
膜6の一端に力を加えてワックス皮膜4から引き剥が
す。特別な薬品や複雑な器具は必要としない。ポリマー
皮膜6にカッターで適当な大きさの切れ目を入れて引き
剥がしてもよい。後述する実験例3に示すように、構造
物表面2とポリマー皮膜6との間にワックス皮膜4を設
けることにより、構造物表面2に対するポリマー皮膜6
の付着力を格段に小さくし、ポリマー皮膜6を破らずに
構造物表面2及びワックス皮膜4から引き剥がすことが
できる。従って、皮膜4の一部分が剥離時に切れて構造
物表面2上に汚れとして残ることを避け、構造物表面2
の保護作業の容易化及びコスト低減を図ることができ
る。またワックス皮膜4は、上述したようにワックスの
軟化点以上の高温流体との接触により構造物表面2から
容易に剥離できる。
皮膜4とを別々に構造物表面2から剥離しているが、例
えばポリマー皮膜6上へのワックスの軟化点以上の高温
流体の接触、例えばポリマー皮膜6上に高温水を塗布又
は吹き付けることにより、ポリマー皮膜6とワックス皮
膜4とを同時に構造物表面2から剥離することも可能で
ある。
ー皮膜6の構造物表面2からの剥がしやすさを確認する
ため、表1の組成のワックスエマルション3を用いて実
験を行った。本実験では、構造物表面2として面積30cm
×10cmの普通コンクリート表面とガラス表面とを用い、
それらの表面上に前記ワックスエマルション3を0.1リ
ットル/m2の割合で塗布し乾燥させてワックス皮膜4を
形成したのち、ワックス皮膜4上に濃度15重量%のPVA
水溶液5(PVAの重合度2,000、ケン化度98〜99、PVA水
溶液の粘度14,000mPa・s)を1kg/m2の割合で1回塗布
し乾燥させて厚さ50〜70μmのポリマー皮膜6を形成し
た。また比較のため、普通コンクリート表面とガラス表
面とにそれぞれ前記PVA水溶液5を前記割合で直接塗布
し乾燥させて厚さ50〜70μmのポリマー皮膜6を形成し
た。
に必要な力を計測したところ、ワックス皮膜4のない普
通コンクリート表面では1.0〜1.2kg、ワックス皮膜4の
ないガラス表面では0.7〜0.9kgであった。この場合、コ
ンクリート表面では剥離途中でポリマー皮膜6が破れ
た。これに対し、ワックス皮膜4のある普通コンクリー
ト表面では0.4〜0.6kg、ワックス皮膜4のあるガラス表
面では0.2〜0.4kgの力でポリマー皮膜6を剥離すること
ができた。この場合は、何れの表面からもポリマー皮膜
6を破らずに1枚のシートとして剥がすことができた。
本実験結果から、構造物表面2とポリマー皮膜6との間
にワックス皮膜4を設けることにより、ポリマー皮膜6
を構造物表面2上に直接形成した場合に比し、構造物表
面2に対するポリマー皮膜6の付着力を半減させ、ポリ
マー皮膜6を破れない程度の弱い力で構造物表面2から
剥離できることを確認できた。
塗布及び乾燥により構造物表面2にワックス皮膜4を形
成したのち(同図(A)及び(B)参照)、ポリマー水
溶液5の薄膜状塗布及び乾燥と繊維性補強部材8の展設
とを繰り返すことにより、ワックス皮膜4上に所要厚さ
の多層ポリマー皮膜6を形成する本発明の他の実施例を
示す。
溶液5を塗布して第1層目のポリマー皮膜6a(以下、基
礎皮膜6aということがある。)を作り(同図(C)及び
(D)参照)、例えば基礎皮膜6aが乾燥する前にその上
に第2層目として繊維性補強部材8を展設し(同図
(E)参照)、更にポリマー水溶液5を補強部材8の外
側から塗布し且つ乾燥させて基礎皮膜6a及び補強部材8
と一体化する第3層目のポリマー皮膜6b(以下、重畳皮
膜6bということがある。)を形成することより(同図
(F)及び(G)参照)、所要厚さの多層ポリマー皮膜
6を形成している。
一例は布、紙、及びポリマー水溶液5が浸透可能なガー
ゼ、不織布、プラスチックネット、ガラス繊維マット等
のシート部材である。繊維性補強部材8上から塗布する
ポリマー水溶液5を補強部材8下の基礎皮膜6aにまで浸
透させて基礎皮膜6a及び繊維性補強部材8と一体化する
重畳皮膜6bが形成できるように、繊維性補強部材8を水
との親和性の高い繊維性のもの、又は水との親和性が小
さくともポリマー水溶液5との一体化のために繊維間の
空隙の大きい網状のシート部材とすることが好ましい。
強部材8と重畳皮膜6bとの一体化により例えば厚さ1〜
3mm程度の強靭なポリマー皮膜6を形成し、外部からの
衝撃等に対して構造物表面2を確実に保護することがで
きる。基礎皮膜6a及び重畳皮膜6bはそれぞれ1層づつに
限定されず、必要に応じてポリマー水溶液5の重ね塗り
により形成した多層皮膜6a、6bとすることができる。ま
た、重畳皮膜6b上に更に繊維性補強部材8の展設とポリ
マー水溶液5の薄膜状塗布及び乾燥とを繰り返し、4層
以上の多層ポリマー皮膜6を形成することもできる。な
お、図3の多層ポリマー皮膜6は、多層構造をそのまま
維持しながら構造物表面2又はワックス皮膜4から破ら
ずに引き剥がすことができる。
に、前記繊維性補強部材8に代えてポリマー水溶液5に
木材パルプ等の短繊維が混入された混入液を用い、ワッ
クス皮膜4上に前記混入液を塗布し乾燥させて所要厚さ
のポリマー皮膜6を形成してもよい。ポリマー水溶液5
に混入できる短繊維の一例は、木材パルプの他、木綿、
アクリル、ポリエステル、絹、麻、プラスチック、ガラ
ス繊維など、又はそれ等を二種以上組み合わせたもので
あり、好ましくは長さ3〜10mm程度のものである。
場所の構造物表面2を保護する場合は、図3(H)及び
(I)に示すように、ポリマー皮膜6の外側にワックス
エマルション3を薄膜状に塗布し乾燥させて防水皮膜9
を形成することが好ましい。防水皮膜9によりポリマー
皮膜6の水分吸収による軟化を防止することができ、更
に生物等の付着によるポリマー皮膜6の劣化が防止でき
る。また防水皮膜9の形成により、例えば土中又は水中
に設置する構造物表面2の保護に際しても図2及び3に
示す本発明の実施例を適用することが可能となる。
る構造物の表面保護方法及び保護膜は、構造物の表面に
低融点ワックスのエマルションを塗布してワックス皮膜
を形成し、ワックスの軟化点以上の高温流体との接触に
より前記表面からワックス皮膜を剥離するので、次の顕
著な効果を奏する。
けの簡単な作業で構造物表面を汚れの付着等から保護で
きる。 (ロ)撥水性のワックス皮膜により、雨水に晒される構
造物表面や水中に設置する構造物表面をも保護すること
ができる。 (ハ)ワックスの軟化点以上の高温流体との接触により
凹凸のある構造物表面からも保護膜を破らずに簡単に引
き剥がすことができ、表面保護作業の容易化及びコスト
低減を図れる。 (ニ)ワックスの軟化点以上の高温水を高圧で吹き付け
ることによりワックス皮膜を水圧のみで剥離することが
可能であり、作業の更なる容易化が図れる。
ることにより、保護膜を自然界で分解可能なものとし、
作業員及び環境に対する安全性を高めることができる。 (ヘ)ワックス皮膜上に該ワックス皮膜の撥水性に抗し
て付着可能な粘度の皮膜形成ポリマー水溶液を塗布して
所要厚さのポリマー皮膜を形成することにより、衝撃に
対する強度が大きい保護膜とすることができる。 (ト)ポリマー溶液の重ね塗りや繊維性補強部材の展設
により十分な厚さのポリマー皮膜を簡単に形成すること
ができ、構造物表面を損傷から確実に保護できる。 (チ)ポリマー皮膜上にワックスエマルションを塗布し
て防水皮膜を形成することができ、雨が当たる場所や湿
度が高い場所の構造物表面をも効果的に保護できる。
図である。
Claims (16)
- 【請求項1】構造物の表面に低融点ワックスエマルショ
ンを薄膜状に塗布し乾燥させてワックス皮膜を形成し、
前記表面を前記ワックス皮膜の付着により保護し、前記
ワックス皮膜を前記ワックスの軟化点以上の高温流体と
の接触により前記表面から剥離してなる構造物の表面保
護方法。 - 【請求項2】請求項1の保護方法において、前記ワック
ス皮膜上に該ワックス皮膜の撥水性に抗して付着可能な
粘度の皮膜形成ポリマー水溶液又は水エマルションを薄
膜状に塗布し乾燥させて所要厚さのポリマー皮膜を形成
し、前記表面を前記ワックス皮膜及びポリマー皮膜の付
着により保護してなる構造物の表面保護方法。 - 【請求項3】請求項2の保護方法において、前記ポリマ
ー皮膜上への前記高温流体の接触により前記ワックス皮
膜及びポリマー皮膜を前記表面から剥離してなる構造物
の表面保護方法。 - 【請求項4】請求項2又は3の保護方法において、前記
ポリマー皮膜を、前記ポリマー水溶液又は水エマルショ
ンの塗布及び乾燥の繰り返しにより所要厚さとしてなる
構造物の表面保護方法。 - 【請求項5】請求項2から4の何れかの保護方法におい
て、前記ポリマー皮膜を、前記ポリマー水溶液又は水エ
マルションに短繊維が混入された混入液の塗布及び乾
燥、又は前記ポリマー水溶液又は水エマルションの塗布
及び乾燥と繊維性補強部材の展設との繰り返しにより形
成してなる構造物の表面保護方法。 - 【請求項6】請求項2から5の何れかの保護方法におい
て、前記ポリマー皮膜上に前記ワックスエマルションを
薄膜状に塗布し乾燥させて防水皮膜を形成してなる構造
物の表面保護方法。 - 【請求項7】請求項2から6の何れかの保護方法におい
て、前記ポリマー水溶液又は水エマルションの粘度を2,
000〜100,000mPa・sとしてなる構造物の表面保護方法。 - 【請求項8】請求項2から7の何れかの保護方法におい
て、前記皮膜形成ポリマーをポリビニルアルコールとし
てなる構造物の表面保護方法。 - 【請求項9】請求項1から8の何れかの保護方法におい
て、前記低融点ワックスを動物性又は植物性ワックスと
してなる構造物の表面保護方法。 - 【請求項10】構造物の表面への低融点ワックスエマル
ションの薄膜状塗布及び乾燥により形成され且つ常温下
で前記表面に付着し前記ワックスの軟化点以上の高温流
体との接触により前記表面から剥離するワックス皮膜を
備えてなる構造物の表面保護膜。 - 【請求項11】請求項10の保護膜において、前記ワッ
クス皮膜上に該ワックス皮膜の撥水性に抗して付着可能
な粘度の皮膜形成ポリマー水溶液又は水エマルションの
薄膜状塗布及び乾燥により形成した所要厚さのポリマー
皮膜を設けてなる構造物の表面保護膜。 - 【請求項12】請求項11の保護膜において、前記ポリ
マー皮膜を、前記ポリマー水溶液又は水エマルションに
短繊維が混入された混入液の塗布及び乾燥、又は前記ポ
リマー水溶液又は水エマルションの塗布及び乾燥と繊維
性補強部材の展設との繰り返しにより形成したものとし
てなる構造物の表面保護膜。 - 【請求項13】請求項11又は12の保護膜において、
前記ポリマー皮膜上に前記ワックスエマルションを薄膜
状に塗布し乾燥させて形成した防水皮膜を設けてなる構
造物の表面保護膜。 - 【請求項14】請求項11から13の何れかの保護膜に
おいて、前記ポリマー水溶液又は水エマルションの粘度
を2,000〜100,000mPa・sとしてなる構造物の表面保護
膜。 - 【請求項15】請求項11から14の何れかの保護膜に
おいて、前記皮膜形成ポリマーをポリビニルアルコール
としてなる構造物の表面保護膜。 - 【請求項16】請求項10から15の何れかの保護膜に
おいて、前記低融点ワックスを動物性又は植物性ワック
スとしてなる構造物の表面保護膜。
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- 2001-11-02 JP JP2001337887A patent/JP3952360B2/ja not_active Expired - Lifetime
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