JP7246239B2 - コンクリート養生方法 - Google Patents

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本発明は塗料組成物を用いたコンクリート養生方法に関する。
コンクリートの品質を高めるためには、コンクリート施工時に十分な養生を行うことが必要である。コンクリートの養生とは、コンクリートに所定の強度が発現するまで十分に硬化するように行うものであって、コンクリートに含まれるセメントの水和反応に適した温度を保ちつつ、水和反応に必要な水分が不足しないように湿潤状態を保つことが望ましいとされている。また、コンクリートを打設する際は、打設領域を取り囲むように予め型枠が組まれるが、通常、この型枠はコンクリートが所定の強度になった段階ですみやかに脱型される。そして脱型によって露出したコンクリート面は一定期間の養生が必要とされ、養生期間は長期であることが望ましい。コンクリートの養生期間としては一般に、1週間程度の期間が必要とされており、養生期間が長いほどコンクリート品質は向上する。
一方、打設から間もないコンクリートを日光や風に曝し、急速に乾燥させればコンクリート表面が乾燥し、セメントの水和反応が抑制され、硬化後のコンクリートにワレが発生し、強度が低下するなどの不具合が生じる。
このようにコンクリートの強度には、コンクリートの材質だけでなく、コンクリート硬化過程における養生環境が極めて重要であり、種々の養生方法が提案されてきた。
コンクリートの養生方法としては、例えば、コンクリート打設面に養生シートを敷き、その上から散水する方法がよく行われている。
しかしながら、コンクリート養生に養生シートを用いる手法は、平面での養生に問題はないが、垂直面や斜面、あるいはトンネル壁面などのアーチ形状を有するコンクリートへの養生シートの固定作業が難しいという問題がある。そのため、平面以外には貼付型の養生シートを用いた工法が利用されている。貼付型の養生シートを用いた工法では、コンクリート表面が濡れている場合に十分な接着力が得られないこと、貼り付け後の養生シートの端から水が浸入し、そこからシートが剥がれること、貼り付けたシートにシワや浮きといった接着ムラがある場合にコンクリートに色むらが生じる場合があるなどの問題がある。
こうした問題があることから、コンクリート養生に用いる養生シートに替えて塗料を使用することによって養生を行う方法、即ち、硬化前のコンクリート表面に塗料を塗装し、塗膜を形成させてから、養生が不要になったときに当該塗膜を剥がすコンクリート養生方法がある。例えば特許文献1にはコンクリート養生用塗料として、水性エマルションと保水性物質を含有する養生材が開示されており、かかる養生材によれば、天井や垂直壁などの養生シートを設けにくい場所においても簡易な塗布工程による塗膜によってコンクリート養生を行うことができることが記載されている。
しかしながら特許文献1では、養生材により形成される塗膜の保水性を高めている。この技術を利用した場合には、養生期間終了後にコンクリートから塗膜を剥がすときに塗膜が破れる場合があり、塗膜剥離性については依然として改善の余地がある。
また、剥離性のある塗料組成物として、特許文献2には伸び率及び引っ張り強度が特定範囲であるゴムのエマルジョンを含む可剥離性水性被覆組成物が、特許文献3にはコンクリートの表面に不織布を貼った後、この不織布の上から液状の可剥離性被覆組成物を塗布し、乾燥させ、養生が不要になったときに不織布と一体化した被膜ごとめくって剥がす工程を有するコンクリートの養生方法が、それぞれ開示されている。
特許文献2及び3に記載の被膜は、頑丈であるために剥がしている最中で被膜が破れにくいが、特許文献3では不織布をコンクリート表面に貼り付けるという煩雑な工程が必要である。また、特許文献2及び特許文献3記載のコンンクリート養生とは「コンクリートを傷や汚れから一時的に保護する作業」を意味するものであり、「打設したコンクリートが十分に硬化するための、一定の環境を保持する作業」であるコンクリート養生を意図するものではない。
特開2001-349060号公報 特開平9-241541号公報 特開2009-179496号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、コンクリートの水和反応が十分になされ、コンクリートの強度を向上させることができるように、脱型後のコンクリートを最適な養生環境におくことを可能とするコンクリート養生用塗材を利用したコンクリートの養生方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記した課題について鋭意検討した結果、コンクリートを覆う養生用塗材として水性ゴムエマルジョン及び無機顔料を含むものを採用するとともに、その透湿度に着目した。そしてかかる養生用塗材を厚さ150μmの塗膜の透湿度が特定範囲で塗膜伸び率が特定範囲内の塗膜を特定膜厚となるように塗装した場合に、コンクリートの養生環境を維持し、養生後、塗膜剥離を容易に行うことができることを見出した。
すなわち本発明はコンクリートの養生方法に関するものであり、その態様として以下の実施形態を含むものである。
[項1]
型枠内に、コンクリートを打ち込む工程(1)、
コンクリート硬化後に型枠を撤去する工程(2)、
工程(2)を経て気中に露出したコンクリート表面に、養生用塗材を塗装して養生塗膜を形成させる工程(3)、及び、
工程(3)で形成された養生塗膜をコンクリート表面から剥離する工程(4)、
を含むコンクリート養生方法であって、
前記養生用塗材が、水性ゴムエマルジョン及び無機顔料を含み、
前記養生用塗材から厚さ150μmの塗膜を形成させた場合の、該塗膜の透湿度が1.0~60(g/m2・24h)、伸び率が300~800%にあり、
前記工程(3)で形成された養生塗膜の厚さが乾燥膜厚で150~2000μmの範囲内にある、
コンクリート養生方法。
[項2]
前記養生用塗材における無機顔料の顔料体積濃度が5~50%の範囲内である、項1に記載のコンクリート養生方法。
[項3]
前記養生用塗材が繊維をさらに含む、項1又は2に記載のコンクリート養生方法。
[項4]
前記工程(3)の後に、前記養生用塗材により形成された養生塗膜の塗膜面上に断熱塗材を塗装し、断熱塗膜を形成させる工程(3A)をさらに含む、項1~3のいずれか1項に記載のコンクリート養生方法。
[項5]
前記工程(3)の後に、前記養生用塗材により形成された養生塗膜の塗膜面に表出した巣穴部にシートを貼り付け、その上に前記養生用塗材を塗り重ねる工程(3B)をさらに含む、項1~4のいずれか1項に記載のコンクリート養生方法。
本発明方法に用いられるコンクリート養生用塗材は、簡便に塗装することができ、養生を要するコンクリート露出面を養生塗膜によって容易に被覆することができる。また、形成された養生塗膜は養生を要するコンクリートを養生に適した環境下に長期間維持することができるとともに養生期間終了後はコンクリート表面から容易に剥がすことができる。
<養生用塗材>
本発明に用いられる養生用塗材は水性ゴムエマルジョン及び無機顔料を含む。
水性ゴムエマルジョンはゴムが水に分散した水分散液の形態を言う。養生用塗材のバインダー成分として水性ゴムエマルジョンを使用することにより、養生前の保水状態にあるコンクリート表面には適度に付着し、且つ養生終了後の硬化コンクリート表面からは簡便な手作業等により容易に剥がすことが可能となる養生塗膜が得られる。このような水性ゴムエマルジョンに含まれるゴムとしては、公知の天然あるいは合成ゴムを制限なく使用できる。天然ゴムは非変性であってもアクリルモノマー等でグラフト変性した変性天然ゴムであってもよい。合成ゴムの具体例としては、例えば、イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、イソブチレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、プロピレンブテンゴム、エチレンプロピレンブテンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリル・ブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ポリエーテルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンブチレンランダム共重合体等のスチレン系エラストマー等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水性ゴムエマルジョンの含有量としては、養生後のコンクリートの強度の点から、養生用塗材不揮発分質量100質量部を基準として水性ゴムエマルジョンの不揮発分質量が20~90質量部、特に30~70質量部の範囲内が好適である。
本明細書において、不揮発分とは揮発成分を除いた残存物を意味するものであり、残存物は常温で固形状であっても液状であっても差し支えない。不揮発分質量は、乾燥させた時の残存物質量の乾燥前質量に対する割合を不揮発分率とし、不揮発分率を乾燥前の試料質量に乗じることで算出することができる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、シリカ等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明では養生塗材がこのような無機顔料を含むことによって、養生後に行う塗膜剥離が容易となる点で好適である。
無機顔料の平均粒子径としては、通常0.1~30μm、好ましくは0.15~25μm、より好ましくは0.2~20μmの範囲内が好適である。
なお、無機顔料の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定されるメディアン径のことである。
無機顔料の含有量としては、養生後のコンクリート強度及び塗膜剥離性の点から、顔料体積濃度で5~50%、特に20~40%の範囲内が好適である。
本明細書において、顔料体積濃度とは、塗材中の不揮発分に占める全顔料分の体積割合である。顔料の体積を算出する際のもとになる顔料の比重は「塗料原料便覧第6版」(社団法人日本塗料工業会)によるものであり、また、ゴムエマルジョンなどの樹脂不揮発分の比重は1と近似するものとする。
また、前記養生用塗材は、剥離性の更なる向上の観点から繊維を含むことができる。
繊維としては、例えば炭素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアリレート繊維などの有機系繊維のほか、鋼繊維、ロックウール、セラミックウール、ガラス繊維、ガラスフレーク等の無機繊維などが挙げられる。
繊維の含有量としては、塗装作業性及び塗膜剥離性の点から、ゴムエマルジョン不揮発分質量100質量部を基準として0.1~20質量部、特に0.2~5質量部の範囲内が好適である。
また、養生用塗材は、本発明の効果が阻害されない範囲において、水性ゴムエマルジョン、無機顔料以外の他の成分を含んでいてもかまわない。他の成分としては、加硫剤、併用樹脂、架橋剤、着色剤、充填材、可塑剤、防腐剤、表面調整剤、消泡剤、分散剤、老化防止剤など、各種の添加剤が挙げられる。
これらのうち加硫剤とは、ゴムの高分子鎖を網目状に架橋結合しうる物質であり、塗膜の剥離性の点から好適に用いることができる物質である。加硫剤としては特に限定されないが、例えば、粉末硫黄、硫黄華、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド等の硫黄系加硫剤;t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド等の有機過酸化物系加硫剤;等が挙げられる。
以上に述べた養生用塗材は施工性の点から、塗装時の不揮発分濃度が45~70質量%の範囲内に調整されることが好ましい。
前記養生用塗材は、養生を要するコンクリートの表面に対して塗装され、これにより養生塗膜が設けられる。
本発明では、養生後のコンクリートの強度及び養生塗膜の剥離性の観点から、前記養生塗材から厚さ150μmの塗膜を形成させた場合の該塗膜が、
透湿度が1.0~60(g/m2・24h)、
伸び率が300~800%、
の範囲内にあることを特徴とするものである。
本明細書において、透湿度は、JIS Z 0208に準じて測定することができる。具体的には、容器に無水塩化カルシウムを適量入れた後、試験塗膜を容器開口部に封ろう剤にて接着し、これを透湿度測定用の試験体とする。該試験体を温度40℃、相対湿度92%の条件にて24時間静置し、その質量変化を測定することにより、試験塗膜1m2あたりに透過する水蒸気の質量を算出する。試験塗膜としては、乾燥膜厚150μmとなるように、離型紙にフィルムアプリケーターを用いて塗料を塗装して得られるピンホールのないフリー塗膜を用いる。フリーフィルムを作成するための乾燥条件は、気温20℃・相対湿度60%の条件下で14日間とする。
伸び率、破断時の塗膜強度は、透湿度と同様の条件で作成した乾燥膜厚が150μmのフリーフィルムを5枚ずつ作製し、インストロン式引張試験機(島津製作所製オートグラフ)を用いて、20℃、引張速度20mm/分、試験間距離20mm、幅5mmの条件で引張試験を5回行い、5回の試験で得られた伸び率及び引張強度の平均値をそれぞれ伸び率(%)及び破断時の塗膜強度(N/mm2)とする。
本発明では、養生後のコンクリート品質と養生塗膜の剥離性が特に良好なものとする観点から、養生塗膜の透湿度としては1.0~50g/m2・24h、伸び率は400~600%の範囲内にあるとさらに好適である。
<養生方法>
本発明は、
型枠内に、コンクリートを打ち込む工程(1)、
コンクリート硬化後に型枠を撤去する工程(2)、
工程(2)を経て気中に露出したコンクリート表面に、前記養生用塗材を塗装して養生塗膜を形成させる工程(3)、及び、
工程(3)で形成された養生塗膜をコンクリート表面から剥離する工程(4)、
を含む、コンクリート養生方法を提供する。
本発明の適用対象となるコンクリートとしては、結合材としてセメントを含むものであれば制限はないが、内部に合成繊維や鋼繊維などを含む繊維強化コンクリート(FRC)、骨材を含むモルタルコンクリート等も包含される。型枠内へのコンクリートの打ち込みは、型枠内にコンクリートを流し込んで硬化させ、その後、型枠は撤去され、コンクリートが成形される。
作業工程の制約や納期の期限から、コンクリート打ち込み終了から型枠が撤去されるまでの期間は1日~3日となることが多い。
次いで、型枠が撤去されたことによって空気中に露出したコンクリート表面には、上記養生用塗材が塗装される。塗装は脱型後のコンクリート露出面に対して直接施工できるが、給水処理や各種表面処理を行ったあとで実施してもよい。塗装手段としては刷毛、ローラー、スプレー、コテ等の塗装器具を用いることができる。塗布量としては1回の塗装で0.2~2.0Kg/m2程度が好適であり、必要に応じて2~4回塗り重ねてもよい。本発明では、養生用塗材からの養生塗膜の形成は、通常は常温で行われるが、冬季などは必要に応じて塗装面を加温してもよい。
本発明では工程(3)の養生塗膜の厚さが乾燥膜厚で150~2000μmにあることを特徴とするものであり、乾燥膜厚は300~1500μmであるとさらに好適である。150μm未満では養生後のコンクリート品質が不十分であり、2000μmを超えると塗膜剥離性が低下し、好ましくない。
本発明方法では、型枠撤去後の露出したコンクリート表面に前記養生塗材を塗装し、塗膜形成後に養生期間を設けることによって、強度があって緻密なコンクリートが得られる。ここでの養生期間、つまり養生用塗材塗装終了後から養生塗膜を剥離するまでの期間としては、通常、常温で7日間以上、特に1~3ヶ月であることが適している。
上記養生期間を経た養生塗膜は最終的にはコンクリート表面から剥離される。尚、養生用塗材を塗装する前に、コンクリート表面上の一定面積毎に、予めテープを貼っておくと、後の剥離作業が容易になる。
養生塗膜の剥離は、手で剥離できるが、ブレード等の道具を用いてもよい。また、養生塗膜の一端を剥がし、剥がした部分の縁を円柱等の柱状体に添わせ、柱状体を芯として回転させることによって塗膜を柱状体に巻きつけて剥離することも可能である。
また、本発明では、養生期間中のコンクリート表面を適度な養生環境とさせるために、前記養生用塗材による養生塗膜面上に断熱塗材を塗装し、断熱塗膜を形成させてもよい。
養生塗膜面上に塗装される断熱塗材としては、塗膜形成材と中空粒子とを含有する公知の断熱塗材等が採用される。断熱塗材としては、塗膜の比重が養生用塗膜よりも低いものであることが好ましい。断熱塗材の塗装は、例えば養生用塗材塗装後、常温で2~16時間経過後に行われる。塗装手段としては刷毛、ローラー、スプレー、コテ等の塗装器具を用いることができる。塗布量としては1回の塗装で0.5~2.0Kg/m2程度が好適であり、必要に応じて2~4回塗り重ねてもよい。
また、打設時にコンクリートが巻き込む泡等の影響で、脱型後のコンクリート表面に巣穴が発生する場合がある。このような巣穴に対する対策として、本発明では養生塗材を塗装後、約5~30分経過した後、前記養生塗膜面に表出した巣穴部にシートを貼り付け、その上に前記養生用塗材を塗り重ねる工程を行ってもよい。この方法で用いるシートは、巣穴を覆う程度の大きさでよく、形状にも制限はないが、施工の点からは3~10cm角程度が適当である。
<養生用塗材の製造>
製造例1~7
表1に示すように各成分を配合して養生塗材(A-1)~(A-7)を製造した。
表中、配合の数字は水性ゴムエマルジョンを100部とした時の量(質量部)を示す。透湿度、伸び率は明細書記載の方法に準じて測定し、得られた値を示す。
Figure 0007246239000001
防腐剤:ベンツイソチアゾリン(BIT)系防腐剤
増粘剤:ヘキシルエチルセルロース(HEC)系増粘剤
分散剤:ポリカルボン酸ナトリウム系分散剤
消泡剤:鉱物油/疎水性シリカ系消泡剤
水性エマルションA:商品名、レヂテックス社製、天然ゴムラテックス ULACOL 固形分60%、
水性エマルションB:商品名、レヂテックス社製、天然ゴム前加硫ラテックス PC-ULA 固形分60%、
ガラスファイバーPF E-301:商品名、日東紡社製、カットファイバー 粉末、
ガラスフレーク RCF-160:商品名、日本板硝子社製 ガラスフレーク。
実施例1
水セメント比55%の一般構造用コンクリートを作成し、これを400×100×高さ400mmの型枠に打設した。該試験体を湿度100%の雰囲気下で24時間放置し、脱型した。試験体表面のうち400mm×400mm面を養生評価面とし、それ以外の面については水分が逸散しないように専用テープで被覆した。次いで養生評価面に、養生用塗材(A-1)を(鎖骨ローラー)で塗布し、乾燥膜厚が(350)μmの養生塗膜を形成した。その後、養生塗膜が設けられた試験体を20℃、湿度50~60%雰囲気下で28日間養生した後、養生塗膜を手で剥離し、剥離性と養生後のコンクリート状態を評価した。
実施例2~6及び比較例1~5
実施例1において使用する養生用塗材及び膜厚を表2に記載の通りとする以外は、実施例1と同様にしてコンクリート養生を行った。
Figure 0007246239000002
(*)塗膜剥離性
養生評価面上に設けられた塗膜を手で引き剥がして下記基準で評価した。
○:良好に剥離できた、
△:塗膜が途中で切れて剥がしにくい、
△×:剥がす時の抵抗が強く、かなり時間を要する
×:剥離できなかった。
(*)養生後のモルタルの状態
養生完了後のモルタルの状態を目視評価した。
○:全体的に均一に緻密であり良好、
△:まだら状態が一部認められる、
×:全体的にまだら状態であり、不良。
実施例7
実施例3と同様の手順でモルタル試験体を作成後、養生評価面に、養生用塗材(A-1)を鎖骨ローラーで塗布し、20℃で1時間乾燥させ、乾燥膜厚が350μmの養生塗膜を形成した。次いでその養生塗膜面に断熱塗材(「ドリームコート」:商品名、関西ペイント社製、アクリルエマルション及び樹脂系中空粒子を含む水性断熱塗料、塗料比重0.71)を、スプレーで塗付量が1.0Kg/m2となるように塗装し、養生塗膜上に断熱塗膜が設けられた試験体を20℃、湿度50~60%の雰囲気下で28日間養生した後、養生塗膜を手で剥離し、剥離性と養生後のコンクリート状態を評価した。
結果を表3に示す。
実施例8
水セメント比55%の一般構造用コンクリートを作成し、実施例3と同様の手順で型枠に打設・脱型しコンクリート試験体を作成後、養生評価面に、養生用塗材(A-1)を(鎖骨ローラー)で塗布し、20℃で10分乾燥させ、乾燥膜厚が350μmの養生塗膜を形成した。その後、養生塗膜上に生じた大きさ1~3mmの巣穴に、1辺が5×5cmの大きさでビニロン系繊維の不織布(「サンキューブV3」日東紡社製商品名)を貼り付け、次いで養生評価面全体に養生用塗材(A-1)を再度鎖骨ローラーで塗布し、乾燥膜厚が700μmの養生塗膜を形成した。その後、養生塗膜が設けられた試験体を20℃、湿度50~60%の雰囲気下で28日間養生した後、養生塗膜を手で剥離し、剥離性と養生後のコンクリート状態を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0007246239000003

Claims (5)

  1. 型枠内に、コンクリートを打ち込む工程(1)、
    コンクリート硬化後に型枠を撤去する工程(2)、
    工程(2)を経て気中に露出したコンクリート表面に、養生用塗材を塗装して養生塗膜を形成させる工程(3)、及び、
    工程(3)で形成された養生塗膜をコンクリート表面から剥離する工程(4)、
    を含むコンクリート養生方法であって、
    前記養生用塗材が、水性ゴムエマルジョン及び無機顔料を含み、
    前記養生用塗材から厚さ150μmの塗膜を形成させた場合の、該塗膜の透湿度が1.0~60(g/m2・24h)、伸び率が300~800%にあり、
    前記工程(3)で形成された養生塗膜の厚さが乾燥膜厚で150~2000μmの範囲内にある、
    コンクリート養生方法。
  2. 前記養生用塗材における無機顔料の顔料体積濃度が5~50%の範囲内である、請求項1に記載のコンクリート養生方法。
  3. 前記養生用塗材が繊維をさらに含む、請求項1又は2に記載のコンクリート養生方法。
  4. 前記工程(3)の後に、前記養生用塗材により形成された養生塗膜の塗膜面上に断熱塗材を塗装し、断熱塗膜を形成させる工程(3A)をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンクリート養生方法。
  5. 前記工程(3)の後に、前記養生用塗材により形成された養生塗膜の塗膜面に表出した巣穴部にシートを貼り付け、その上に前記養生用塗材を塗り重ねる工程(3B)をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンクリート養生方法。
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