JP2003133667A - 貫通導体用組成物 - Google Patents

貫通導体用組成物

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JP2003133667A JP2001331900A JP2001331900A JP2003133667A JP 2003133667 A JP2003133667 A JP 2003133667A JP 2001331900 A JP2001331900 A JP 2001331900A JP 2001331900 A JP2001331900 A JP 2001331900A JP 2003133667 A JP2003133667 A JP 2003133667A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラスセラミック基板に形成した貫通導体の
内部に空隙ができたり、貫通導体の周辺の基板との間に
空隙が生じたり、基板にクラックができたり、貫通導体
が凹凸形状になるという問題が発生してしまう。 【解決手段】 800〜1100℃で焼成されるガラスセラミ
ック基板1内に貫通導体2を形成するための貫通導体用
組成物であって、無機成分が、積算50%粒径が3〜7μ
mで積算10%粒径が2μm以上のCu粉末80〜90重量%
および軟化点がガラスセラミック基板1の焼結温度より
10〜60℃高いガラス粉末10〜20重量%から成る主要部が
97〜99.5重量%と、アルミナ粉末が0.5〜3重量%とから
成る貫通導体用組成物とする。ガラスセラミック基板1
と貫通導体2との焼結収縮のタイミングを一致させるよ
うにすることにより、貫通導体2の内部の空隙の発生や
貫通導体2の周辺の基板1との間の空隙の発生等の上記
の問題が発生しない。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、半導体LSI・チ
ップ部品等を搭載し、それらを相互配線するためのガラ
スセラミック基板に貫通導体を形成するのに用いられ、
特に貫通導体の内部に隙間やボイド等の欠陥が生じ難い
貫通導体用組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、半導体LSI・チップ部品等は小
型化・軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板
も小型化・軽量化が望まれている。このような要求に対
して、基板内に内層の配線導体等を配した多層セラミッ
ク基板は、高密度配線の要求に対応が可能であり、かつ
薄型化が可能なことから、今日のエレクトロニクス業界
において多用されている。 【0003】多層セラミック基板としては、アルミナ質
焼結体から成る絶縁基板の表面および/または内部にタ
ングステン(W)・モリブデン(Mo)等の高融点金属
から成る配線導体が形成されたものが従来より広く用い
られている。 【0004】一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用
される電気信号の周波数帯域はますます高周波帯に移行
しつつある。このような高周波の信号の伝送を行なう高
周波配線基板においては、高周波信号を高速で伝送する
上で、配線導体を形成する導体の抵抗が小さいことが要
求され、絶縁基板にもより低い誘電率が要求される。 【0005】しかし、従来のタングステン・モリブデン
等の高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝播速度が
遅く、また30GHz以上の高周波領域の信号伝播も困難
であることから、タングステン・モリブデン等の金属に
代えてCu・Ag・Au等の低抵抗金属を使用すること
が必要である。ところが、上記のような低抵抗金属の融
点は最も融点の高いCuでも1084℃と低いため、800〜1
100℃程度の低温で焼成することが必要であることか
ら、このような低抵抗金属から成る配線導体は、高温焼
成が必要なアルミナと同時焼成することができなかっ
た。また、アルミナ質焼結体は誘電率が高いため、絶縁
基板にアルミナ質焼結体を用いた多層セラミック基板
は、高周波回路基板としては不適切である。 【0006】このため、最近では、ガラスとセラミック
ス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガ
ラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目さ
れている。すなわち、ガラスセラミックスは誘電率が低
いため高周波回路基板用の絶縁基板として好適であり、
またガラスセラミックスは800〜1100℃の低温で焼成す
ることができることから、Cu・Ag・Au等の低抵抗
金属を配線導体として使用できるという利点がある。 【0007】一方、多層ガラスセラミック基板は、ガラ
スとフィラーとの混合物に有機バインダ・可塑剤・溶剤
等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりガ
ラスセラミックグリーンシートを成形した後、Cu・A
g・Au等の低抵抗金属の粉末を含有する導体ペースト
を印刷するなどしてガラスセラミックグリーンシート上
に導体パターンを形成し、次いで複数枚のガラスセラミ
ックグリーンシートを積層して800〜1100℃の温度で焼
成して得られる。 【0008】また、上記の低抵抗金属の中で、Cuは貴
金属であるAuやAgより安価であり、またAgに比較
するとマイグレーションによる絶縁不良等の不具合が発
生しにくいといった利点があり、多層ガラスセラミック
基板の導体材料として注目されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法により多層ガラスセラミック基板を製造する際に、
上下に位置する配線層同士を絶縁基板を貫通して電気的
に接続する貫通導体を形成するために、ガラスセラミッ
クグリーンシートに形成した貫通孔に導体ペーストを充
填したガラスセラミックグリーンシート積層体を焼成し
た場合、貫通導体の内部にボイドが発生したり、貫通導
体の周囲の絶縁基板との間(貫通導体の外周面と貫通孔
の内周面との間)に隙間が発生したり、貫通導体の周辺
の絶縁基板にクラックが発生したり、貫通導体の端部が
絶縁基板の表面から突出して、またはへこんで凹凸形状
になったりするという問題が発生することがある。貫通
導体の内部にボイドが発生すると、貫通導体の比抵抗値
が増加し、半導体素子の作動が困難となる。また、貫通
導体の周囲に隙間やクラックが発生すると、水分の侵入
により貫通導体成分が拡散してマイグレーションが発生
したりする。また、貫通導体部の凹凸形状により、多層
ガラスセラミック基板上の平滑性が損なわれ、凹凸形状
部の上に半田を介して半導体LSI・チップ部品等を実
装すると、接合部の強度が充分でなく、一般的に言われ
ている半田接合応力により、接合部が破断することがあ
るという問題があった。 【0010】これらの問題が生じる原因は、焼成過程に
おいて、貫通孔に充填された導体ペーストとガラスセラ
ミックグリーンシート積層体との焼結タイミングあるい
は熱収縮挙動のズレに大きな原因があるものと思われ
る。ガラスセラミックグリーンシート積層体と貫通孔に
充填された導体ペーストとの焼結に大きなズレがある
と、焼成された絶縁基板とその貫通孔に形成された貫通
導体との間に過大な応力や歪みが生じて、前述のような
ボイドや隙間・クラック・貫通導体部での凹凸形状の発
生等の不具合が生じることとなる。 【0011】本発明は以上のような従来技術の問題点を
解決すべくなされたもので、その目的は、ガラスセラミ
ック基板に貫通導体を形成するのに用いられ、貫通導体
の内部の隙間やボイドの発生や貫通導体周辺の絶縁基板
へのクラックの発生・貫通導体部の凹凸形状等の欠陥が
生じ難い貫通導体用組成物を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、貫通導体内部の隙間
やボイド等の欠陥を無くし、また貫通導体周辺の絶縁基
板へのクラックの発生や貫通導体部の凹凸形状等の欠陥
等を無くすためには、ガラスセラミックグリーンシート
と比べて貫通導体用組成物の焼結温度が低くなり過ぎな
いようにし、かつガラスセラミック基板の焼結温度以上
の軟化点を有するガラス粉末の含有量を調整すればよい
ことを見出すに至った。本発明は、このような特性基準
に基づき貫通導体用組成物の組成を特定することによっ
て完成されたものである。 【0013】すなわち、本発明の貫通導体用組成物は、
800〜1100℃で焼成されるガラスセラミック基板内に貫
通導体を形成するための貫通導体用組成物であって、無
機成分が、積算50%粒径が3〜7μmで積算10%粒径が
2μm以上のCu粉末80〜90重量%および軟化点が前記
ガラスセラミック基板の焼結温度より10〜60℃高いガラ
ス粉末10〜20重量%から成る主要部が97〜99.5重量%
と、アルミナ粉末が0.5〜3重量%とから成ることを特徴
とするものである。 【0014】本発明の貫通導体用組成物によれば、ガラ
スセラミック基板の焼結温度より低い温度領域では、ガ
ラスセラミックグリーンシートは焼結収縮せず、Cu粉
末は、ガラス粉末とアルミナ粉末がCu粉末間に存在す
るために焼結を抑制されている。次に、ガラスセラミッ
ク基板の焼結温度付近ではガラスセラミックグリーンシ
ートが焼結収縮を開始し、貫通孔の体積も収縮する。こ
のとき、Cu粉末は、ガラス粉末とアルミナ粉末がCu
粉末間に存在するために焼結を抑制されており、Cu粉
末が移動できる状態にあるので、ガラスセラミックグリ
ーンシートの焼結収縮に追従して貫通孔に充填された貫
通導体用組成物は体積収縮を行なうので、貫通導体の周
囲の絶縁基板との間(貫通導体の外周面と貫通孔の内周
面との間)に隙間や貫通導体の周辺の絶縁基板にクラッ
クが発生する、あるいは貫通導体の端部が絶縁基板の表
面に対して凹凸形状になる、等の問題は発生しない。さ
らに、焼結温度を超え焼成温度(通常1時間程度保持す
る)になると、貫通導体用組成中のガラス粉末が軟化
し、Cu粉末の焼結が促進して貫通導体が緻密化する。
このとき、アルミナ粉末は、軟化したガラス粉末と濡れ
て、ガラス成分を貫通導体中に保持する核成分として作
用し、ガラス成分の流出を抑制して貫通導体内部にボイ
ドが発生するのを抑制する。 【0015】以上のように、本発明の貫通導体用組成物
によれば、ガラスセラミック基板の内部に信頼性の高い
貫通導体を形成することが可能となる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例に
ついて添付図面に基づき説明する。 【0017】図1は本発明の貫通導体用組成物を用いて
貫通導体を形成したガラスセラミック基板の実施の形態
の一例を示す断面図であり、1はガラスセラミック基
板、2は貫通導体、3は配線導体、4はこれらガラスセ
ラミック基板1・貫通導体2および配線導体3から成る
多層ガラスセラミック基板である。 【0018】多層ガラスセラミック基板4は、ガラスと
フィラーとの混合物に有機バインダ・可塑剤・溶剤等を
加えてスラリーとし、ドクターブレード法等によりガラ
スセラミック基板1となるガラスセラミック・グリーン
シートを成形した後、所定の貫通孔を金型にて打ち抜き
加工し、この貫通孔に貫通導体2となるCu粉末・ガラ
ス粉末およびアルミナ粉末を含有する貫通導体用組成物
を用いた導体ペーストをスクリーン印刷にて充填し、ま
た所定の配線導体3のパターンとなるように導体ペース
トを印刷するなどして前記グリーンシート上に導体パタ
ーンを形成し、次いで複数枚のグリーンシートを積層し
て800〜1100℃程度の温度で焼成することによって得ら
れる。 【0019】貫通導体2を形成するための導体ペースト
は、Cu粉末・ガラス粉末およびアルミナ粉末から成る
無機成分である貫通導体用組成物を攪拌脱泡機にて予備
分散させた後、3本ロール等を用いて樹脂および溶剤を
主成分とするビヒクルに分散させてペースト状にするこ
とにより、汎用的なスクリーン印刷によりガラスセラミ
ックグリーンシートの貫通孔に充填させることができ
る。 【0020】なお、ビヒクルの成分は特に限定されない
が、例えば、エチルセルロース・ニトロセルロース・ア
クリル等の樹脂を単独であるいは混合して用い、この樹
脂をターピネオール・ブチルカルビトールアセテート等
の溶剤やフタル酸ブチル等の可塑剤に溶解させて調製さ
れる。 【0021】本発明の貫通導体用組成物を構成するCu
粉末については、最適な粒径範囲として積算50%粒径を
3〜7μmの範囲に設定することを要する。その積算50
%粒径が3μmより小さいと、ガラス粉末の添加と無関
係に焼結が低温領域より開始されるようになり、また、
Cu粉末自身の充填性の向上により、体積収縮も大きく
なるので、これにより得られる貫通導体2は、ガラスセ
ラミック基板1の表面に対して凹形状になりやすくな
る。また、積算50%粒径が7μmより大きいと、貫通導
体2の焼結が完了せずに、結果として、体積収縮がガラ
スセラミックグリーンシートより小さくなり、貫通導体
2の凸形状や隙間/クラックの発生が見られるようにな
るからである。 【0022】ただし、積算50%粒径が上記最適範囲内で
も、粒径の小さいCu粉末が多く含まれる場合には同様
に欠陥が発生しやすくなる傾向があるので、2μm以下
のCu粉末が10%未満であること、すなわち積算10%粒
径が2μm以上であることが好ましい。これは、粒径の
小さいCu粉末が多量に存在すると、その粒径の小さい
Cu粉末が焼結の起点となり、貫通導体部の焼結を促進
し、結果として積算50%粒径が3μmより小さい場合と
同様な作用をすることとなるからである。 【0023】なお、Cu粉末の粒径については、例え
ば、レーザー式粒度分布測定装置により測定して積算50
%粒径および積算10%粒径を算出する。 【0024】ガラス粉末の軟化点は、ガラスセラミック
基板1(ガラスセラミックグリーンシート)の焼結温度
より10〜60℃高い温度範囲内であることを要する。ガラ
ス粉末の軟化点がガラスセラミック基板1(ガラスセラ
ミックグリーンシート)の焼結温度より10〜60℃高い温
度範囲内であると、アルミナ粉末を核として保持された
ガラス粉末が、Cu粉末の焼結開始温度領域ではCu粉
末同士の焼結を抑制し、ガラスセラミックグリーンシー
ト(ガラスセラミック基板1)の厚み方向への焼結収縮
温度領域では貫通導体2がガラスセラミックグリーンシ
ートに追従して収縮することとなって、その結果、貫通
導体2の内部に隙間・ボイド等の欠陥の少ない、また貫
通導体2がガラスセラミック基板1の表面に対して凹凸
形状とならないような貫通導体2を形成することができ
る。その後、焼成温度で、Cu粉末同士の焼結が促進
し、また、Cu成分の拡散によりガラス粉末が軟化し、
貫通導体2が緻密化する。 【0025】ガラス粉末の軟化点がガラスセラミック基
板1(ガラスセラミックグリーンシート)の焼結温度に
対して+10℃より低い場合は、ガラスセラミック基板1
を焼成する際の基板磁器の収縮時に、ガラス粉末が軟化
しこれに流動性があるためCu粉末同士が接近してしま
い、Cu粉末同士の濡れを抑制できずに貫通導体2の内
部でのCu粉末同士の焼結が進み過ぎることとなり、貫
通導体2の内部の空隙やクラックの発生・貫通導体部の
凹形状発生等の不具合が生じることとなる。他方、ガラ
ス粉末の軟化点がガラスセラミック基板1(ガラスセラ
ミックグリーンシート)の焼結温度に対して+60℃を超
えると、ガラスセラミック基板1の焼成温度ではガラス
が完全には軟化できず、その結果、貫通導体2の内部に
ボイドやクラック等の欠陥を発生させてしまうこととな
る。 【0026】また、ガラス粉末は、貫通導体用組成物を
貫通孔へ充填しやすくし、また貫通導体2の内部でCu
粉末間にその焼結を充分に抑制できるように均一に分散
させるために、積算50%粒径を3〜5μmとしておくの
がよい。 【0027】貫通導体用組成物の無機成分の配合割合
は、主要部としてCu粉末を80〜90重量%、ガラス粉末
を10〜20重量%の範囲内にそれぞれ設定し、かつこの2
成分から成る主要部を97〜99.5重量%含有し、アルミナ
粉末を0.5〜3重量%含有することを要する。 【0028】貫通導体用組成物の主要部においてガラス
粉末が10重量%より少なくなると、Cu粉末同士の焼結
抑制に必要なガラス量が不足してしまい、Cu粉末の焼
結収縮がガラスセラミックグリーンシート(ガラスセラ
ミック基板1)の厚み方向への焼結収縮に追従できなく
なって、貫通導体部の凹形状等が生じることとなる。他
方、主要部においてガラス粉末が20重量%より多くなる
と、貫通導体2の抵抗値が高くなる問題を生じさせるこ
ととなる。 【0029】また、アルミナ粉末は、貫通導体用組成物
の主要部中に添加したガラス粉末によるガラス成分を貫
通導体2の内部に保持する核成分として作用するため、
主要部が99.5重量%を超えアルミナ粉末が0.5重量%未
満となる場合には、貫通導体2の内部に、ボイドやクラ
ック等の欠陥を有してしまうこととなる。また、主要部
が97重量%未満となりアルミナ粉末が3重量%より多く
なると、貫通導体2の抵抗値が高くなる問題を生じさせ
てしまうこととなる。 【0030】なお、アルミナ粉末は、貫通導体用組成物
のガラス粉末を貫通導体2中で充分に保持できるように
均一に分散させるために、その積算50%粒径を1〜3μ
mとしておくのがよい。 【0031】 【実施例】ガラスセラミック成分として、SiO2−M
gO−CaO−Al23系ガラス粉末70重量%・Al2
3粉末30重量%を使用した。このガラスセラミック成
分100重量部に有機バインダとしてアクリル樹脂12.0重
量部・フタル酸系可塑剤5重量部および溶剤としてトル
エン30重量部を加え、ボールミル法により混合してスラ
リーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法
により厚さ300μmのガラスセラミックグリーンシート
を成形した。 【0032】また、表1に示すように、Cu粉末・ガラ
ス粉末・アルミナ粉末を各々合計100重量部とした固形
分(無機成分)と、エチルセルロース2重量部・ターピ
ネオール溶液14重量部を攪拌脱泡機にて予備混合し、そ
の後、3本ロールで混錬してペーストを作製した。 【0033】ここで、Cu粉末は、積算50%粒径が1〜
9μmの球状タイプのものを使用した。また、ガラス粉
末は、SiO2−MgO−CaO−Al23系で積算50
%粒径が3μmの球状タイプのものを使用した。なお、
ガラス粉末の軟化点温度については、組成を調整して変
化させている。アルミナ粉末は、積算50%粒径が1.7μ
mの球状タイプのものを使用した。 【0034】 【表1】 【0035】前記ガラスセラミックグリーンシートに、
直径200μmの貫通孔を、金型を用いて1000個開孔し、
スクリーン印刷で表1中に各実施例ならびに比較例とし
て示した組成比の貫通導体用組成物を用いたCuペース
トを充填し、70℃で1時間乾燥した後、4枚を重ねた上
で、温度55℃、圧力200kg/cm2の条件で10秒間加圧
して一体化した。得られた積層体をアルミナセッターに
載置し、100〜700℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中で有機
物の除去を行ない、次いで、窒素雰囲気中で850℃で1
時間焼成した。 【0036】次に、上述の手順で得られた多層ガラスセ
ラミック基板について評価試験を行なった。 【0037】この評価試験においては、焼成した各多層
ガラスセラミック基板における貫通導体の外観および断
面の状態について、貫通導体の凹凸状態および貫通導体
の周辺のガラスセラミック基板との隙間やクラックの有
無等を、外観については1000箇所を、断面については20
箇所を観察して、その不良数を調べた。この結果を表2
に示す。 【0038】なお、評価項目中、「外観/貫通導体凹
凸」は、貫通導体の断面でガラスセラミック基板の表面
を基準とした凹凸量が10μm以下のときを規格満足と判
定して○で示した。また、「隙間/クラック」は、貫通導
体と貫通孔あるいは配線導体との間に生じる隙間の有無
および貫通導体の周辺のガラスセラミック絶縁基板に生
じるクラックの有無を観察した結果を示した。さらに、
「比抵抗値」は、貫通導体の1個当りの抵抗を示す。 【0039】 【表2】【0040】表1および表2の結果より、本発明の実施
例1〜8では、貫通導体の比抵抗は低く、凹凸状態が良
好で、隙間/クラックの発生もなく、優れた特性を備え
た貫通導体を有するガラスセラミック基板が得られてい
ることが分かる。 【0041】これに対し、比較例1では、Cu粉末の積
算50%径が小さいため、貫通導体の凹形状や隙間/クラ
ックが発生している。また、比較例2では、Cu粉末の
積算50%径が大きく、焼結が完了せずに比抵抗値が増大
し、貫通導体の凸形状や隙間/クラックが発生してい
た。 【0042】比較例3,4にてアルミナ粉末を添加せず
に貫通導体用組成物を調製した場合には、ガラス軟化点
に関係なく、焼成後に貫通導体の凹形状や隙間/クラッ
クが発生していた。これは、アルミナ粉末が貫通導体用
組成物中のガラス成分を保持する核成分の働きをしてい
るために、アルミナ粉末が無いと貫通導体の内部のガラ
ス成分が外部に流出してしまい、貫通導体とガラスセラ
ミック基板との間に隙間が発生するためである。 【0043】比較例5では、アルミナ粉末の添加量が貫
通導体用組成物中のガラス成分を保持する核成分として
の量が不十分なため、ガラス成分が貫通導体の外部に流
出してしまい、ガラスセラミックグリーンシートの厚み
方向の焼結収縮に追従できずに、貫通導体とガラスセラ
ミック基板との間に隙間が発生していた。 【0044】比較例6では、アルミナ粉末の添加量が過
剰になり、貫通導体およびその周辺のガラスセラミック
基板に欠陥は発生しないが、貫通導体の焼結が不十分と
なり、比抵抗値が大幅に増加していた。 【0045】比較例7では、ガラス粉末の添加量が貫通
導体用組成物中のCu粉末の焼結を抑制するのに不十分
なため、Cu粉末の焼結が促進し、ガラスセラミックグ
リーンシートの厚み方向の焼結収縮が開始される温度で
は既にCu粉末同士が接触しネックを形成して、ガラス
セラミックグリーンシートの厚み方向への収縮に追従で
きずに貫通導体とガラスセラミック基板との間に隙間が
発生していた。 【0046】比較例8では、ガラス粉末の添加量が多過
ぎるため、貫通導体および貫通導体の周辺のガラスセラ
ミック基板に欠陥は発生しなかったが、貫通導体の焼結
が不十分となり、比抵抗値が大幅に増加してしまった。 【0047】比較例9では、ガラス粉末の軟化点がガラ
スセラミックグリーンシート(ガラスセラミック基板)
の焼結温度より低いために、ガラス粉末がガラスセラミ
ックグリーンシートの焼結収縮開始前に軟化してしま
い、Cu粉末の焼結を充分抑制できずに、貫通導体の周
囲に隙間が発生してしまった。 【0048】比較例10では、ガラス粉末の軟化点が高過
ぎるため、ガラス粉末が完全には軟化できずに貫通導体
の内部にボイドやクラック等の欠陥を有しており、さら
に貫通導体の焼結が不十分となり、比抵抗値が大幅に増
加した。 【0049】なお、本発明の以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。 【0050】例えば、Cu粉末の形状を充填性を考慮し
て変更したり、Cu粉末として2種以上の異なる粒径を
有するCu粉末を混合して使用してもよい。 【0051】 【発明の効果】本発明の貫通導体用組成物によれば、ガ
ラスセラミックグリーンシート(ガラスセラミック基
板)に対しその焼成時の磁器収縮のタイミングに貫通導
体用組成物(貫通導体)の焼結収縮を一致させるように
その無機成分の組成が調整されているため、また、アル
ミナ粉末を核として保持された、軟化点がガラスセラミ
ック基板(ガラスセラミックグリーンシート)の焼結温
度より10〜60℃高い温度であるガラス粉末の添加によ
り、Cu粉末同士の焼結をコントロールし、ガラスセラ
ミックグリーンシート(ガラスセラミック基板)の厚み
方向への焼結収縮温度範囲で貫通導体用組成物が追従し
て収縮し、貫通導体の内部に隙間やボイド等を無くし、
また貫通導体周辺の絶縁基板へのクラックの発生や貫通
導体部の凹凸等の欠陥等を無くすことができ、ガラスセ
ラミック基板の内部に信頼性の高い貫通導体を形成する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の貫通導体用組成物を用いて貫通導体を
形成したガラスセラミック基板の実施の形態の一例を示
す断面図である。 【符号の説明】 1・・・ガラスセラミック基板 2・・・貫通導体 3・・・配線導体 4・・・多層ガラスセラミック基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/11 H01L 23/14 M 3/46 23/12 D 23/14 C Fターム(参考) 4E351 AA07 BB31 BB49 CC11 CC22 DD04 DD31 GG03 GG08 5E317 AA24 BB04 BB12 BB19 CC22 CC25 GG09 GG11 GG20 5E346 AA15 AA24 CC18 CC32 DD02 DD13 DD34 EE24 FF01 FF07 FF18 GG03 HH07 HH11 HH33 5G301 DA06 DA33 DA34 DD01 DD10

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 800〜1100℃で焼成されるガラス
    セラミック基板内に貫通導体を形成するための貫通導体
    用組成物であって、無機成分が、積算50%粒径が3〜
    7μmで積算10%粒径が2μm以上のCu粉末80〜
    90重量%および軟化点が前記ガラスセラミック基板の
    焼結温度より10〜60℃高いガラス粉末10〜20重
    量%から成る主要部が97〜99.5重量%と、アルミ
    ナ粉末が0.5〜3重量%とから成ることを特徴とする
    貫通導体用組成物。
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