JP2003129964A - 回転式ポンプ及びその回転式ポンプを備えたブレーキ装置 - Google Patents

回転式ポンプ及びその回転式ポンプを備えたブレーキ装置

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JP2003129964A JP2002227718A JP2002227718A JP2003129964A JP 2003129964 A JP2003129964 A JP 2003129964A JP 2002227718 A JP2002227718 A JP 2002227718A JP 2002227718 A JP2002227718 A JP 2002227718A JP 2003129964 A JP2003129964 A JP 2003129964A
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和典 内山
Naoki Hakamata
尚樹 袴田
Taku Sato
卓 佐藤
Takahiro Yamaguchi
貴洋 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インナーロータ及びアウターロータとサイド
プレート端面との接触による損失トルクを低減する。 【解決手段】 メカニカルシール機能を担うアウターロ
ータ51、インナーロータ52、第2のサイドプレート
72の各端面51b、52b、72bに放射状の研磨筋
を施す。このようにすれば、各研磨筋の噛合いがなくな
ると共に真実接触面積が減少し、摩擦係数が減少して、
摺動面への油の供給が促進されるようにできる。また、
空隙部50aと空隙部53とが研磨筋で形成される微小
な溝で連通され、また、空隙部53とシャフト穴52b
も微小な溝で連通される。このため、アウターロータ5
1及びインナーロータ52と第2のサイドプレート72
との摺動面に油が供給・保持され、損失トルクが小さく
なるようにできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体を吸入・吐出
する回転式ポンプ及び回転式ポンプを用いたブレーキ装
置に関し、特にトロコイドポンプ等の内接歯車ポンプに
適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】従来、トロコイドポンプ等の内接歯車型
の回転式ポンプとして、特開平2000−179466
号公報に示されるものがある。この回転式ポンプは、外
周に外歯部を備えたインナーロータ、内周に内歯部を備
えたアウターロータ、及びこれらアウターロータとイン
ナーロータを収納するケーシング等から構成されてい
る。インナーロータ及びアウターロータは、内歯部と外
歯部とが互いに噛み合わさり、これら互いの歯によって
複数の空隙部を形成した状態でケーシング内に配置され
ている。
【0003】インナーロータとアウターロータの両中心
軸を通る線をポンプの中心線とすると、この中心線を挟
んだ両側には、上記複数の空隙部と連通する吸入口や吐
出口が備えられている。ポンプ駆動時には、インナーロ
ータの中心軸を駆動軸として、この駆動軸を介してイン
ナーロータが回転運動し、それに伴って外歯部と内歯部
の噛合によりアウターロータも同方向へ回転する。この
ときに、それぞれの空隙部の容積がアウターロータ及び
インナーロータが1回転する間に大小に変化して吸入口
からオイルを吸入し、吐出口でオイルを吐き出すように
なっている。
【0004】そして、この回転式ポンプにおける軸方向
端面のシールは、両面ともに、樹脂からなる樹脂部材で
行われており、この樹脂部材がゴムなどの弾性体からな
る弾性部材によって押圧されてシール機構を果たす機構
となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記公報のように、軸
方向の両端面共に樹脂製のシール手段を用いたシール方
法を採用することはコストアップの要因となる。このた
め、一端面側のみを樹脂製のシール手段にてシールし、
他端面側はインナーロータ及びアウターロータを第2の
サイドプレートヘ直接押し当てるメカニカルシールとす
ることで、コスト削減を図ることが考えられる。
【0006】このメカニカルシールは金属製のインナー
ロータ及びアウターロータを金属製のサイドプレートに
シール材の弾性力等により強く押し当ててシールする構
造である。よって、アウターロータ、インナーロータ、
およびサイドプレートの摺動面の損失トルクが大きいと
ポンプ吐出能力に影響を与え、モータ体格を大きくしな
ければならない等の弊害を生じる。
【0007】また、アウターロータ、インナーロータと
サイドプレート間の摺動面において回転の損失トルクが
大きい部分と小さい部分とが生じる場合、ポンプの高速
あるいは長時間の回転に伴って損失トルクが大きい部分
で発熱を生じ、この発熱部分が膨張することによるポン
プ吐出能力への弊害も考えられる。
【0008】本発明は上記問題に鑑みて成され、インナ
ーロータ及びアウターロータとケーシング(サイドプレ
ート)端面との接触による損失トルクを低減した、ある
いは/および損失トルクを均一化した回転式ポンプ及び
それを用いたブレーキ装置を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】従来では、アウターロー
タ、インナーロータ、サイドプレートの対面する軸方向
端面の双方に、平研研磨による直線状の研磨筋、あるい
は円周状研磨筋が施されている。このような仕上げ面で
ある場合において、上述したメカニカルシール機能を得
るべく、金属製のアウターロータ及びインナーロータを
金属製のサイドプレートに高圧で押し当ててシールする
構造とすれば、摺動面に損失トルク大の部位ができて、
損失トルクが非常に大きくなってしまう場合がある。
【0010】たとえば、直線状の研磨筋がサイドプレー
トに図9に示す如く吐出口から吸引口の方向に全面に残
るように研磨し、且つアウターロータおよびインナーロ
ータにおいても全面に至って直線状の研磨筋が残るよう
に研磨をした場合、アウターロータにおける最大閉じ込
み部、最小閉じこみ部の紙面上側・下側にはアウターロ
ータの軸方向端面を空隙部により途切れることなく一直
線状に研磨筋が残ることとなる。よって、この部分への
潤滑用の油の空隙部等からの流入は、アウターロータの
研磨筋を介しては実現されることができない。たとえ
ば、アウターロータおよびインナーロータが回転してア
ウターロータの研磨筋方向と第2のサイドプレートに残
る研磨筋方向とが一致した場合には、空隙部により途切
れることなく一直線状に研磨筋が残るアウターロータの
部位はアウターロータの研磨筋および第2のサイドプレ
ートの研磨筋のどちらによっても空隙部に繋がることが
ない状態となる。また、アウターロータの研磨筋とサイ
ドプレートの研磨筋とが交わる回転状態において、第2
のサイドプレート側の研磨筋がアウターロータにおける
空隙部により途切れることなく一直線状に研磨筋が残る
部位に対して空隙部側から外周方向に存在する場合にお
いても、アウターロータ側の研磨筋によって、サイドプ
レート側の研磨筋を通ろうとする潤滑用の油の流動が妨
げられることになり、上述の最大閉じ込み部、最小閉じ
こみ部の紙面上側・下側の部分は潤滑が不十分な部分と
なり得る。よって図9に示す如くトルク損失大の部分と
なり得る。
【0011】逆に図9のトルク損失小の部分は研磨筋
が、インナーロータとアウターロータとの間の油が流動
する部分といかなる回転状態においても繋がっているた
め、最もトルク損失が小さい部分となる。
【0012】また、アウターロータおよびインナーロー
タとサイドプレートとが対面する軸方向端面の双方とも
に円周状の研磨筋が残る場合には、アウターロータおよ
びインナーロータ共に、空隙部と研磨筋が繋がらない部
分が大半となり、全体的に潤滑用の油が流動する確立が
低くなりトルク損失が大きくなる。
【0013】上述のようなトルク損失大小部分の特定等
は、本発明者らの鋭意実験によって確認されている。す
なわち、トルク損失が大と特定した部分はポンプを回転
した際に発熱が大きい部分であり、トルク損失が小と考
えた部分は発熱が小さい部分である。これは、アウター
ロータおよびインナーロータとサイドプレートとの間の
潤滑用の油の流動の多い部分は摩擦抵抗が小さく、流動
の少ない部分は摩擦抵抗が大きいため、摩擦熱が発生し
たと考えるのが妥当である。
【0014】そして、このことに基づき、本発明者ら
は、アウターロータ、インナーロータ、サイドプレート
の軸方向端面の研磨筋を放射状とすることによりインナ
ーロータおよびアウターロータの回転による遠心力によ
り効率的に潤滑を行うことを考え出した。また直線状あ
るいは円周状の研磨筋が残る場合においても、部分的に
損失トルクが高くなる場合にはこの損失トルクが高くな
る部位に損失トルクを低減する構成を考え出した。ある
いはアウターロータおよびインナーロータの研磨筋とサ
イドプレートの研磨筋との方向の組合せにより、従来に
おける最も損失トルクが大きかった部位相当の損失トル
クよりも損失トルクを低減することを考え出した。
【0015】そこで、上記目的を達成するため、以下の
技術的手段を採用する。請求項1に記載の発明では、回
転部のうち駆動軸(54)の軸方向の一方側では、第1
のサイドプレート(71)に備えられたシール手段(1
00)により、アウターロータ及びインナーロータにお
ける軸方向端面と第1のサイドプレートにおける軸方向
端面との間がシールされ、回転部のうち軸方向の他方側
では、アウターロータ(51)及びインナーロータ(5
2)が第2のサイドプレート(72)に押し付けられる
ことで、アウターロータ及びインナーロータにおける軸
方向端面(51b、52b)と第2のサイドプレートに
おける軸方向端面(72b)との間がメカニカルシール
されており、メカニカルシールが成される前記インナー
ロータ、前記アウターロータ、及び前記第2のサイドプ
レートの軸方向端面が放射状の研磨筋を有することを特
徴としている。
【0016】このように、メカニカルシールが成される
インナーロータ、アウターロータ、及び第2のサイドプ
レートの軸方向端面に放射状の研磨筋を施すことで、遠
心力により摺動面への油の供給を促進させることがで
き、摺動面の摩擦係数を減少させられると共に、回転式
ポンプの損失トルクを低減することが可能となる。
【0017】請求項2に記載の発明では、第2のサイド
プレートにおける軸方向端面が共に吐出口から前記吸入
口へ向かう直線状の研磨筋を有しており、またアウター
ロータ、インナーロータの軸方向端面にも直線状の研磨
筋が施されており、第2のサイドプレートには、アウタ
ーロータに対抗する部位であって第1の閉じ込み部およ
び第2の閉じ込み部の近傍に油溝(72c)が形成され
ていることを特徴とする。
【0018】前述の如く損失トルクが最も大きい部位に
本発明による油溝を設けることで摩擦抵抗の大きい部位
を減少することができ、損失トルクを低減することがで
きる。
【0019】請求項3に記載の発明では、メカニカルシ
ールが成されるインナーロータ及びアウターロータの軸
方向端面と第2のサイドプレートの軸方向端面のいずれ
か一方が放射状の研磨筋を有し、他方の仕上げ面が円周
状の研磨筋を有することを特徴とする。
【0020】このようにすると、前述の如く従来におけ
る最も損失トルクが大であった部分をなくすことがで
き、損失トルクを低減することができる。また、アウタ
ーロータおよびインナーロータの研磨筋と、サイドプレ
ートの研磨筋との方向が一致することを無くすることが
できることによって、アウターロータおよびインナーロ
ータとサイドプレートとの対向面の一回転あたりの実際
の接触面積が最も小さくできる。これによっても、アウ
ターロータおよびインナーロータとサイドプレートとの
対向面間の摩擦抵抗を低減することができる。すなわ
ち、図9において前述したトルク損失大であった部分相
当の接触抵抗を有する部位は無くすことができるもので
ある。
【0021】請求項4に記載の発明では、放射状の研磨
筋は直線で形成されている。この際には遠心力による潤
滑用の油が最も効率よく研磨筋に沿って流動する。
【0022】請求項5に記載の発明では、放射状の研磨
筋が曲線で形成されている。これは、砥石あるいは/お
よびアウターロータ、インナーロータおよびサイドプレ
ートを、研磨する際に小さい曲率半径で移動させた場合
にできる研磨筋である。
【0023】請求項6に記載の発明では、アウターロー
タおよびインナーロータ側の研磨筋の曲率方向と、サイ
ドプレート側の研磨筋の曲率方向が逆にされている。こ
の場合、アウターロータおよびインナーロータ側の研磨
筋とサイドプレート側の研磨筋とが回転中に一致するこ
とがなく、対向面間の摩擦抵抗を低減することが可能で
あり、遠心力による効果に加えた効果を発揮することが
できる。請求項7に記載の発明では、アウターロータお
よびインナーロータ側の研磨筋と、サイドプレート側の
研磨筋との一方が直線放射状であって、他方の研磨筋は
曲線放射状であることを特徴とする。この場合にも請求
項6に記載の発明と同様の作用効果を発揮することがで
きる。請求項8に記載の発明では、アウターロータおよ
びインナーロータ側の研磨筋およびサイドプレート側の
研磨筋の双方ともが曲線放射状であって、アウターロー
タおよびインナーロータ側の曲線放射状の研磨筋の中心
位置と、サイドプレート側の曲線放射状の研磨筋の中心
位置とがずれていることを特徴とする。この場合にも請
求項6に記載の発明と同様の作用効果を発揮することが
できる。
【0024】請求項9に示すように、第2のサイドプレ
ートおよびアウターロータの軸方向端面が全面に至って
直線状の研磨筋を備えており、第2のサイドプレートと
アウターロータとの対向面双方における研磨筋の方向が
一致する際に、アウターロータの軸方向端面の研磨筋の
うち当該アウターロータの外周から外周へ途切れずに研
磨筋が存在する部位、あるいはこの部位と対向する第2
のサイドプレートの部位のいずれかに油溝(72c)が
形成するようにしてもよい。すなわち、アウターロータ
およびインナーロータは回転するが、第2のサイドプレ
ートは回転しない。この場合、第2のサイドプレートに
おいて直線状の研磨筋が残る方向により図9におけるト
ルク損失大の部位が変わることとなる。よって、この第
2のサイドプレートにおける研磨筋方向に応じて油溝
(72c)の形成部位を当該発明の如く可変すれば、請求
項2に記載の発明と同等の作用効果を得ることができ
る。
【0025】請求項10の発明のごとく、内周に内歯部
(51a)を有するアウターロータと、外周に外歯部
(52a)を有すると共に駆動軸(54)を軸として回
転運動するインナーロータ(52)とを備え、前記内歯
部と外歯部との噛み合いの間に複数の空隙部(53)が
形成された回転部と、前記回転部の一方の軸方向端面側
に配置された第1のサイドプレート(71)と、前記回
転部の他方の軸方向端面側に配置され、前記アウターロ
ータおよびインナーロータの軸方向端面との接触面がメ
カニカルシールを行う第2のサイドプレート(72)
と、を含み、前記回転部を覆うように形成されたケーシ
ング(50)と、前記ケーシングに設けられ、前記回転
部に流体を吸引する吸入口(60)と前記回転部から流体
を吐出する吐出口(61)と、前記ケーシングの内部の
前記回転部が内包される空間を、前記吸入口と接続され
た低圧側の空間と前記吐出口と接続された高圧側の空間
とに分割するシール手段と、前記アウターロータの軸方
向端面と対向する前記第2のサイドプレートの部位の前
記内歯部に重ならない部位に設けられ、前記高圧側の空
間と低圧側の空間とに跨ることなく形成された油溝(7
2c)と、を備えることを特徴とするようにしてもよ
い。
【0026】すなわちこの発明では、アウターロータと
第2のサイドプレートとの間の如くメカニカルシールさ
れる部位において、油溝をアウターロータあるいは第2
のサイドプレートの少なくとも一方に形成することによ
り、油溝の面積分、アウターロータの軸方向端面と第2
のサイドプレートの接触面積を減少させる。このように
この発明では前述までの発明の如く研磨筋や遠心力の作
用とは別に、アウターロータと第2のサイドプレートと
の間の接触抵抗を低減できる。
【0027】なお、請求項11に記載の如く、高圧側空
間と低圧側の空間は、複数の空隙部の部分とアウターロ
ータの外円周とケーシングとの間の部分との双方に設け
られ、複数の空隙部の高圧側の空間の部位と、アウター
ロータの外円周とケーシングとの間の高圧側の空間の部
位とが回転部の半径方向で重なる範囲において、油溝が
形成されるようにしてもよい。
【0028】メカニカルシールされるアウターロータと
第2のサイドプレートとの間の流体の流動は、複数の空
隙部の部位の流体圧と、アウターロータの外円周とケー
シングとの間の部位の流体圧との差圧がない部分では、
研磨筋に沿う流体の移動あるいは回転体の遠心力による
流体の移動による潤滑以外は存在しない。逆に、複数の
空隙部の部位の流体圧と、アウターロータの外円周とケ
ーシングとの間の部位の流体圧との差圧が存在する部
分、すなわち高圧側の空間と低圧側の空間との半径方向
の位置が重なる場合には、この差圧により高圧側から低
圧側にメカニカルシールされている部位を流体が移動す
る。よって、複数の空隙部の部位の流体圧と、アウター
ロータの外円周とケーシングとの間の部位の流体圧との
差圧がない部分が最も潤滑が悪いと考えられ、この部位
に油溝を設ければ、いっそう効果的にアウターロータと
第2のサイドプレートとの間の接触抵抗を低減できる。
【0029】なお、本発明における回転式ポンプは、請
求項12に示すように、踏力に基づいてブレーキ液圧を
発生させるブレーキ液圧発生手段(1〜3)と、ブレー
キ液圧に基づいて車輪に制動力を発生させる制動力発生
手段(4、5)と、ブレーキ液圧発生手段に接続され、
制動力発生手段にブレーキ液圧を伝達する主管路(A)
と、ブレーキ液圧発生手段に接続され、制動力発生手段
が発生させる制動力を高めるために、主管路側にブレー
キ液を供給する補助管路(D)とを有するブレーキ装置
において、吸入口が補助管路を通じてブレーキ液圧発生
手段側のブレーキ液を吸入でき、吐出口が主管路を通じ
て制動力発生手段に向けてブレーキ液を吐出できるよう
に配置される。
【0030】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
【0031】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、図に示す
実施形態について説明する。図1に、回転式ポンプとし
てトロコイドポンプを適用したブレーキ装置のブレーキ
配管概略図を示す。以下、ブレーキ装置の基本構成を、
図1に基づいて説明する。本実施形態では、前輪駆動の
4輪車において、右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各
配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両に、
本発明によるブレーキ装置を適用した例について説明す
る。
【0032】図1に示すように、ブレーキペダル1は倍
力装置2と接続されており、この倍力装置2によりブレ
ーキ踏力等が倍力される。そして、倍力装置2は、倍力
された踏力をマスタシリンダ3に伝達するプッシュロッ
ド等を有しており、このプッシュロッドがマスタシリン
ダ3に配設されたマスタピストンを押圧することにより
マスタシリンダ圧が発生する。なお、これらブレーキペ
ダル1、倍力装置2及びマスタシリンダ3がブレーキ液
圧発生手段に相当する。
【0033】また、このマスタシリンダ3には、マスタ
シリンダ3内にブレーキ液を供給したり、マスタシリン
ダ3内の余剰ブレーキ液を貯留するマスタリザーバ3a
が接続されている。
【0034】そして、マスタシリンダ圧は、アンチロッ
クブレーキ装置(以下、ABSという)を介して右前輪
FR用のホイールシリンダ4及び左後輪RL用のホイー
ルシリンダ5へ伝達されている。以下の説明は、右前輪
FR及び左後輪RL側について説明するが、第2の配管
系統である左前輪FL及び右後輪RR側についても全く
同様であるため、説明は省略する。
【0035】そして、このブレーキ装置はマスタシリン
ダ3に接続する管路(主管路)Aを備えており、この管
路Aには比例制御弁(PV:プロポーショニングバル
ブ)22が備えられている。そして、この比例制御弁2
2によって管路Aは2部位に分けられている。すなわち
管路Aは、マスタシリンダ3から比例制御弁22までの
間においてマスタシリンダ圧を受ける管路A1と、比例
制御弁22から各ホイールシリンダ4、5までの間の管
路A2に分けられる。
【0036】この比例制御弁22は、通常、正方向にブ
レーキ液が流動する際には、ブレーキ液の基準圧を所定
の減衰比率をもって下流側に伝達する作用を有してい
る。そして、図1に示すように、比例制御弁22を逆接
続することにより、管路A2側が基準圧となる。
【0037】また、管路A2において、管路Aは2つに
分岐しており、一方にはホイールシリンダ4へのブレー
キ液圧の増圧を制御する増圧制御弁30が備えられ、他
方にはホイールシリンダ5へのブレーキ液圧の増圧を制
御する増圧制御弁31が備えられている。
【0038】これら増圧制御弁30、31は、ABS用
の電子制御装置(以下、ECUという)により連通・遮
断状態を制御できる2位置弁として構成されている。そ
して、この2位置弁が連通状態に制御されているときに
は、マスタシリンダ圧あるいはポンプのブレーキ液の吐
出によるブレーキ液圧を各ホイールシリンダ4、5に加
えられるようになっている。これら増圧制御弁30、3
1は、ABS制御が実行されていないノーマルブレーキ
時には、常時連通状態に制御されている。
【0039】なお、増圧制御弁30、31には、それぞ
れ安全弁30a、31aが並列に設けられており、ブレ
ーキ踏み込みを止めてABS制御が終了したときにホイ
ールシリンダ4、5側からブレーキ液を排除するように
なっている。
【0040】また、第1、第2の増圧制御弁30、31
と各ホイールシリンダ4、5との間における管路Aとリ
ザーバ20のリザーバ孔20aとを結ぶ管路Bには、A
BS用のECUにより連通・遮断状態を制御できる減圧
制御弁32、33がそれぞれ配設されている。これらの
減圧制御弁32、33はノーマルブレーキ状態(ABS
非作動時)では、常時遮断状態とされている。
【0041】管路Aの比例制御弁22と増圧制御弁3
0、31とリザーバ20のリザーバ孔20aとを結ぶ管
路Cには回転式ポンプ10が安全弁10a、10bに挟
まれて配設されている。この回転式ポンプ10にはモー
タ11が接続されており、このモータ11によって回転
式ポンプ10が駆動されるようになっている。なお、こ
の回転式ポンプ10についての詳細な説明は後述する。
【0042】また、回転式ポンプ10が吐出したブレー
キ液の脈動を緩和するために、管路Cのうち回転式ポン
プ10の吐出側にはダンパ12が配設されている。そし
て、リザーバ20と回転式ポンプ10の間と、マスタシ
リンダ3とを接続するように管路(補助管路)Dが設け
られており、回転式ポンプ10はこの管路Dを介して管
路A1のブレーキ液を吸入し、管路A2へ吐出すること
によってホイールシリンダ4、5におけるホイールシリ
ンダ圧をマスタシリンダ圧よりも高くして車輪制動力を
高める。なお、比例制御弁22は、この際のマスタシリ
ンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧を保持する。
【0043】この管路Dには制御弁34が設けられてお
り、この制御弁34はノーマルブレーキ時には常時遮断
状態とされている。
【0044】なお、このときの管路Dから伝えられる液
圧により、管路Cからリザーバ20へ逆流しないように
管路C及び管路Dの接続部とリザーバ20の間には逆止
弁21が配設されている。
【0045】さらに、管路Aのうち、管路Dとの接続点
と比例制御弁22との間には、制御弁40が備えられて
いる。この制御弁40は、通常は連通状態にされている
2位置弁であり、マスタシリンダ圧が所定圧よりも低い
ときにホイールシリンダ4、5に急ブレーキをかける
時、或いはTRC時に遮断され、マスタシリンダ側とホ
イールシリンダ側との差圧を保つようになっている。
【0046】次に、図2(a)に回転式ポンプ10の模
式図を示し、また図2(b)に図2(a)のA−A矢視
断面図を示す。まず、図2(a)、(b)に基づき回転
式ポンプ10の構造について説明する。
【0047】この回転式ポンプ10におけるケーシング
50のロータ室50a内には、アウターロータ51及び
インナーロータ52がそれぞれの中心軸(図中の点Xと
点Y)が偏心した状態で組付けられて収納されている。
アウターロータ51は内周に内歯部51aを備えてお
り、インナーロータ52は外周に外歯部52aを備えて
いる。そして、これらアウターロータ51とインナーロ
ータ52とが互いの歯部51a、52aによって複数の
空隙部53を形成して噛み合わさっている。なお、図2
(a)からも判るように、本実施形態の回転式ポンプ1
0は、アウターロータ51の内歯部51aとインナーロ
ータ52の外歯部52aとで空隙部53を形成する、仕
切り板(クレセント)なしの多数歯トロコイドタイプの
ポンプである。また、インナーロータ52の回転トルク
を伝えるために、インナーロータ52とアウターロータ
51とは複数の接触点を有している。
【0048】図2(b)に示されるように、ケーシング
50は、両ロータ51、52を両側から挟むように配置
される第1のサイドプレート部71及び第2のサイドプ
レート部72と、これら第1、第2のサイドプレート部
71、72間に配設され、アウターロータ51及びイン
ナーロータ52を収容する孔が設けられた中央プレート
部73とから構成されており、これらによってロータ室
50aが形成されている。
【0049】また、第1、第2のサイドプレート71、
72の中心部には、ロータ室50a内と連通する中心孔
71a、72aが形成されており、これら中心孔71a
には駆動軸54が嵌入されている。そして、アウターロ
ータ51及びインナーロータ52は、中央プレート部7
3の孔内において回転自在に配設される。つまり、アウ
ターロータ51及びインナーロータ52で構成される回
転部は、ケーシング50のロータ室50a内を回転自在
に組み込まれ、アウターロータ51は点Xを軸として回
転し、インナーロータ52は点Yを軸として回転するこ
とになる。
【0050】さらに、アウターロータ51及びインナー
ロータ52のそれぞれの回転軸となる点Xと点Yを通る
線を回転式ポンプ10の中心線Zとすると、第1のサイ
ドプレート部71のうち中心線Zを挟んだ左右には、ロ
ータ室50aへ連通する吸入口60と吐出口61が形成
されている。この吸入口60及び吐出口61は、複数の
空隙部53と連通する位置に配設されている。そして、
吸入口60を介して外部からのブレーキ液を空隙部53
内に吸入して、吐出口61を介して空隙部53内のブレ
ーキ液を外部へ吐出することができるようになってい
る。
【0051】複数の空隙部53のうち、体積が最大とな
る閉じ込み部53a、及び体積が最小となる閉じ込み部
53bは、吸入口60及び吐出口61のいずれにも連通
しないようになっており、この閉じ込み部53a、53
bによって吸入口60における吸入圧と吐出口61にお
ける吐出圧との差圧を保持している。
【0052】第1のサイドプレート部71には、アウタ
ーロータ51の外周と吸入口60とを連通する導通経路
73a、さらにアウターロータ51の外周と吐出口61
とを連通する導通経路73b、73cが設けられてい
る。導通経路73aは、アウターロータ51の回転軸と
なる点Xを中心として中心線Zから吸入口60方向へ約
90度の位置に配設されている。また、導通経路73b
は、吐出口61と連通する複数の空隙部53のうち、最
も、閉じ込み部53aに近い空隙部53とアウターロー
タ51の外周とを連通するように形成されており、ま
た、導通経路73cは、吐出口61と連通する複数の空
隙部53のうち、最も閉じ込み部53bに近い空隙部5
3とアウターロータ51の外周とを連通するように形成
されている。そして、これら導通経路73bと導通経路
73cは、それぞれ点Xを中心として中心線Zから吐出
口61方向へ約22.5度の位置に配設されている。
【0053】また、中央プレート73の孔を形成する中
央プレート73の壁面であって、アウターロータ51の
回転軸となる点Xを中心として中心線Zから吸引口60
方向へ約45度の位置には、それぞれ凹部73dと凹部
73eが形成されており、これら凹部73d、73e内
にアウターロータ51の外周におけるブレーキ液の流動
を抑制するためのシール部材80、81が備えられてい
る。具体的には、シール部材80、81は、導通経路7
1bと導通経路71dの間に配設されており、アウター
ロータ51の外周において、ブレーキ液圧が低圧になる
部分と高圧になる部分をシールするようになっている。
【0054】シール部材80は、略円筒状をしたゴム部
材80aと、直方体形状をしたテフロン(登録商標)製
の樹脂部材80bとから構成されている。そして、樹脂
部材80bはゴム部材80aによって押されて、アウタ
ーロータ51に接するようになっている。すなわち、製
造誤差等によってアウターロータ51の大きさに若干の
誤差分が生じるため、この誤差分を弾性力の有るゴム部
材80aによって吸収できるようにしている。
【0055】さらに、図2(b)に示されるように、第
1サイドプレート部71には溝部71bが形成されてい
る。この溝部71bは、図2(a)の二点鎖線で示され
るように、駆動軸54を囲む円環状で構成されていると
共に、所定領域において溝幅が広げられた構成となって
いる。具体的には、溝部71bの中心は、駆動軸54の
軸中心に対して吸入口60側(紙面左側)に偏心した状
態となっている。
【0056】これにより、溝部71bは、吐出口61と
駆動軸54の間を通って、閉じ込み部53a、53b、
シール部材80、81がアウターロータ51をシールし
ている部分を通過するような配置となる。そして、溝部
71bは、駆動軸54の軸と溝部71bの中心とを結ん
だ線を想定した時に、その線が吸入口60又は吐出口6
1と交差する位置において、インナーロータ51とアウ
ターロータ52の両方とオーバラップするように溝幅が
大きくされている。また、溝部71bは、閉じ込み部5
3a、53bとオーバラップする部分においても溝部7
1b、72bの溝幅が大きくされている。
【0057】このような構成の溝部71bの中には、そ
れぞれ溝部71bの形状と同様の形状を成すシール部材
100が配置されている。これらシール部材100の模
式図を図3に示す。この図に示されるように、シール部
材100は、円環状の部材の所定領域が幅広に形成され
て構成されている。
【0058】幅広に形成された幅広部100Cと幅広部
100Dは、それぞれ閉じ込み部53aと閉じ込み部5
3bを全面的に覆えるような幅で構成されており、主と
して閉じ込み部53a、53b内のブレーキ液の洩れを
防止するシールとしての役割を果たす。また、これら幅
広部100C及び幅広部100Dはアウターロータ51
及びインナーロータ52の軸方向のずれをなくす役割も
果たす。
【0059】これらシール部材100は、ゴム等の弾性
体からなる弾性部材100aと、樹脂からなる樹脂部材
100bとによって構成されている。樹脂部材100b
は、インナーロータ52、アウターロータ51及び中央
プレート73に接するように配置され、樹脂部材100
bよりも溝部71bの底側に配置された弾性部材100
aと溝部71bに導入された吐出圧のブレーキ液により
押圧されてシール機能を果たすように構成されている。
なお、弾性部材100aおよび樹脂部材100bは、ア
ウターロータ51を図2(a)紙面上方向に弾性力によ
り押庄してアウタロータ51およびインナーロータ52
をサイドプレート72に密着させている。
【0060】このように配置されたシール部材100に
よって、インナーロータ52及びアウターロータ51の
軸方向紙面下側端面と第1のサイドプレート部71の間
における隙間において、高圧な吐出口61と、低圧な駆
動軸54とインナーロータ52との間の間隙部及び吸入
口60とをシールすることができる。
【0061】また、インナーロータ52及びアウターロ
ータ51の軸方向端面と第1のサイドプレート部71の
間における隙間において、高圧な部分と低圧な部分とを
シールするためには、シール部材100が、吐出口61
と駆動軸54との間、及び吐出口61と吸入口60との
間を通過し、アウターロータ51の外周まで達している
ことが必要とされる。これに対して、本実施形態におい
ては、シール部材100のうち、シール部材80から駆
動軸54と吐出口61との間を通過してシール部材81
に至るまでの領域が、高圧な部分と低圧な部分とをシー
ルするために必要とされる領域になる。よって、軸方向
端面側において、閉じ込み部53a、53bおよびシー
ル部材80、81の存在する部位が最もシール性を必要
とされる部位であり、この部位において樹脂部材100
bがサイドプレート72およびアウターロータ51、イ
ンナーロータ52に最も強く接触するように構成されて
いる。言い換えれば、シールが必要とされないその他の
領域でインナーロータ52及びアウターロータ51に接
している部分は無視できる程度に少ない。このようにシ
ール部材100により接触抵抗を少なくして、第1のサ
イドプレート71と両ロータ51、52との間の機械損
失を低減している。
【0062】一方、図2(b)に示すように、アウター
ロータ51及びインナーロータ52のうち、紙面上側に
位置する軸方向端面51b、52bについては、これら
各端面51b、52bが第2のサイドプレートの軸方向
端面72bに逆サイドのシール部材100の弾性力等で
高圧で押し付けられた状態で摺動し、高圧と低圧をシー
ルするメカニカルシール構造となっている。
【0063】このメカニカルシール機能を担うアウター
ロータ51、インナーロータ52および第2のサイドプ
レート72の各端面51b、52b、72bの加工面
は、図4に示すような通常の直線状の研磨筋あるいは円
周状の研磨筋ではなく、図5に示すような放射状の研磨
筋が施されている。なお、この実施例では第2のサイド
プレート72、アウターロータ51およびインナーロー
タ52における研磨筋は軸中心からのびる湾曲した曲線
状の放射状筋とされている。
【0064】ここで示した研磨筋は、砥石を用いて形成
されるものであり、円形状の研磨面を有する砥石を回転
させ、同時にワーク側も回転させることで得られる。な
お、研磨筋の湾曲は砥石の外周の曲率に応じて形成され
るものであり、砥石の曲率を小さくすれば小さくなる。
【0065】なお、アウターロータ51およびインナー
ロータ52の研磨は、アウターロータ51とインナーロ
ータ52とを組み合わせた一体化した状態で実施しても
良いし、別々に実施しても良い。
【0066】次に、このように構成されたブレーキ装置
及び回転式ポンプ10の作動について説明する。
【0067】ブレーキ装置に備えられた制御弁34は、
大きな制動力を必要とする場合、例えばブレーキ踏力に
対応した制動力が得られない場合やブレーキペダル1の
操作量が大きいとき等に適宜連通状態にされる。そし
て、管路Dを通じてブレーキペダル1の踏み込みによっ
て発生している高圧なマスタシリンダ圧が回転式ポンプ
10にかかる。
【0068】回転式ポンプ10は、モータ11の駆動に
より駆動軸54の回転に応じてインナーロータ52が回
転運動し、それに伴って内歯部51aと外歯部52aの
噛合によりアウターロータ51も同方向へ回転する。こ
のとき、アウターロータ51及びインナーロータ52が
1回転する間にそれぞれの空隙部53の容積が大小に変
化するため、吸入口60からブレーキ液を吸入し、吐出
口61から管路A2に向けてブレーキ液を吐き出す。
【0069】このように、本回転式ポンプ10は、ロー
タ51、52が回転することによって吸入口60からブ
レーキ液を吸入し、吐出口61からブレーキ液を吐出す
るという基本的なポンプ動作を行い、この回転式ポンプ
10によって吐出されたブレーキ液によってホイールシ
リンダ圧の増圧が成される。
【0070】このポンプ動作において、アウターロータ
51の外周のうち吸入口60側は導通経路73aを通じ
て吸入されるブレーキ液によって吸入圧とされ、アウタ
ーロータ51の外周のうち吐出口61側は導通経路73
b、73cを通じて吸入されるブレーキ液によって吐出
圧とされる。このため、アウターロータ51の外周にお
いて低圧な部分と高圧な部分が生じる。そして、インナ
ーロータ52及びアウターロータ51の軸方向端面と第
1、第2のサイドプレート部71、72との間の隙間に
おいても、低圧な吐出口60及び駆動軸54とインナー
ロータ52との間の間隙と、高圧な吐出口61とによっ
て、低圧な部分と高圧な部分が生じる。
【0071】これに対し、シール部材80、81やシー
ル部材100が備えられているため、アウターロータ5
1の外周、もしくはアウターロータ51及びインナーロ
ータ52の軸方向端面と第1のサイドプレート71との
間の隙間を通じて、高圧側から低圧側にオイル洩れが発
生することを防止できる。なお、図2ではシール部材1
00はアウターロータ51及びインナーロータ52と接
しないようにも見えるが吐出口61が高圧になるにつれ
てシール部材100がたわみ、アウターロータ51及び
インナーロータ52に完全に接してシール機能を果た
す。
【0072】そして、アウターロータ51及びインナー
ロータ52の軸方向端面が第2のサイドプレート72へ
直接押し当てられることで、メカニカルシール機構が構
成される。このため、アウターロータ51及びインナー
ロータ52の軸方向端面が第2のサイドプレート2との
間の隙間を通じて高圧側から低圧側にオイル洩れが発生
することを防止できる。
【0073】また、シール部材80、81により、アウ
ターロータ51の外周のうちの吸入口60側は低圧とな
って、吸入口60と連通する空隙部53と同様の圧力と
なり、アウターロータ51の外周のうちの吐出口61側
は高圧となって、吐出口61と連通する空隙部53と同
様の圧力となる。このため、アウターロータ51の内外
における圧力バランスが保持され、ポンプ駆動を安定し
て行うようにすることができる。
【0074】さらに、本実施形態では、メカニカルシー
ル機能を担うアウターロータ51、インナーロータ5
2、第2のサイドプレート72の各端面51b、52
b、72bの仕上げ加工面に、通常の直線状あるいは円
周状の研磨筋ではなく、放射状の研磨筋を施してある。
【0075】このようにインナーロータ52、アウター
ロータ51の軸方向端面の研磨筋も放射状にすること
で、中央プレート73の孔とアウターロータ51外周と
で形成される空隙部50aとアウターロータ51とイン
ナーロータ52により形成される空隙部53が研磨筋で
形成される微小な溝で連通され、また、空隙部53とイ
ンナーロータ52のシャフト穴52bもまた微小な溝で
連通される。このため、アウターロータ51及びインナ
ーロータ52と第2のサイドプレート72との摺動面に
油が供給・保持され、損失トルクが小さくなるようにで
きる。特に、本回転式ポンプ10の圧力分布が図7で表
されることから、本回転式ポンプの構成では、微小な放
射状の溝の両端部で圧力差が生じることになり、摺動面
上で空隙部間を連通する微小な溝の存在効果が増幅され
る。
【0076】さらに、研磨筋の微小な溝部に存在するブ
レーキ液には、ギヤが回転することによって半径方向に
遠心力が働くので、研磨筋を放射状にすることで遠心力
の方向と微小な溝の方向とが一致し、微小な溝に沿って
油が摺動面に供給され易くなる。
【0077】以上説明したように、メカニカルシール機
能を担うアウターロータ51、インナーロータ52、第
2のサイドプレート72の各端面51b、52b、72
bに放射状の研磨筋を施すことで、摺動面への油の供給
を促進させることができ、したがって摺動面の摩擦係数
を減少させられ、回転式ポンプ10の損失トルクを低減
することが可能となる。
【0078】(第2の実施形態)図8(a)に、本発明
の第2実施形態における回転式ポンプの正面図を示し、
図8(b)に図8(a)のA−A矢視断面図を示す。第
1実施形態では、アウターロータ51、インナーロータ
52及び第2のサイドプレート72の軸方向端面の仕上
げ面に放射状の研磨筋を形成していた。これに対し、本
実施形態では、図8(a)中の矢印で示すように、第2
のサイドプレートの軸方向端面の仕上げ面を吐出口と吸
入口とを結ぶ方向の通常の直線状研磨筋とし、第2のサ
イドプレートのうち、アウターロータ51及びインナー
ロータ52の研磨筋が第2のサイドプレート72の研磨
筋に沿う位置に油溝72cを設置している。なお、この
直線状の研磨筋はアウターロータ51、インナーロータ
52では全面に至って一直線状に形成されており、また
第2のサイドプレート72側でも、アウターロータ51
が対向する部分を含み、この部分よりも広い範囲に全面
に至って一直線状に形成されている。
【0079】なお、第2のサイドプレート72において
アウターロータと対面する部分のうち油溝72Cが設け
られる部位は、アウターロータ52の研磨筋と第2のサ
イドプレートの研磨筋とが同方向となる回転状態におい
て、アウターロータ52の外周から外周を空隙部により
途切らされることなく一直線にアウターロータ52に研
磨筋が残る部分と対向する部位である。この部分は空隙
部からの油の供給が少なくなるため最も損失トルクが高
くなる部分である。よって、本実施形態の如くこの損失
トルクが最も高くなる部分においてアウターロータ51
と第2のサイドプレート72との接触面積が小さくなる
ように油溝72Cを設けると、接触摩擦抵抗を低減する
ことができ、損失トルクを低減することが可能である。
なお、この油溝72cを設けたことによって接触面積が
小さくなるだけでなく、油溝72cに溜まった油が近傍
の摺動面に供給されることにより損失トルクを低減する
効果も奏する。
【0080】なお、本実施例では第2のサイドプレート
72における研磨筋が図8(a)の紙面左右方向を例と
したが、第2のサイドプレート72における研磨筋が紙
面縦方向等どのように可変しても油溝を設けるべき部位
は特定できる。すなわち、アウターロータにおいて最も
損失トルクが大きくなる部位の研磨筋方向と第2のサイ
ドプレートにおける研磨筋方向とが一致する際に、この
損失トルクが最大の部位と対向する第2のサイドプレー
トの部位が油溝を設けるべき部位である。
【0081】また、油溝はアウターロータ51側に設け
るようにしてもよい。この場合には第2のサイドプレー
トにおける研磨筋方向がどのようであっても、アウター
ロータ51において外周から外周を空隙部により途切ら
されることなく一直線に研磨筋が残る部位が最も損失ト
ルクを生むところであるので、この部位に油溝を設ける
ようにすればよい。
【0082】(第3の実施形態)本実施形態では、第2
のサイドプレート72の端面の仕上げ面を放射状の研磨
筋に、アウターロータ51、インナーロータ52の各端
面の仕上げ面を円周状の研磨筋にしている。
【0083】この場合、第2のサイドプレート72の研
磨筋とアウターロータ51、インナーロータ52の研磨
筋は、回転中、全ての領域で略直角に交わることとな
る。よって、研磨筋が交わることによって、第2のサイ
ドプレート72の表面とアウターロータ51、インナー
ロータ52の表面との実際の接触面積は、研磨筋の凹凸
により非異常に小さくなる。なお、この実施形態におい
て、アウターロータ51の対向する面は、第2の実施形
態における油溝72Cを設けた損失トルクが最大の部位
の接触抵抗よりも必ず小さい。すなわち本実施形態の接
触抵抗は、第2の実施形態における第2のサイドプレー
ト72の研磨筋方向と回転したアウターロータ51の研
磨筋方向が沿わない場合と同等である。なお、本実施形
態における接触抵抗は、第2の実施形態において最も損
失トルクが高いとして油溝72Cを形成した部分を除く
部分と同等であるが、研磨による抵抗を鑑みた際に全面
に至って同等の接触抵抗とできるというメリットを備え
ている。すなわち、研磨筋による抵抗が全面に至って同
等の接触抵抗となると、回転に伴い接触抵抗が大きい部
分すなわち余分な負荷がかかる部分がなくなり、摩擦に
よる接触面の削れ等を抑えることができ、また摩擦熱に
よる金属の膨張による性能低下を抑えることができ、ポ
ンプ性能上有利である。
【0084】なお、これとは反対に、第2のサイドプレ
ート72の端面の仕上げ面を円周状の研磨筋にし、アウ
ターロータ51及びインナーロータ52の各端面の仕上
げ面を放射状の研磨筋にしても、上記と同様の効果を得
ることができる。
【0085】(第4の実施形態)上記各実施形態につい
て、第2のサイドプレート72の軸方向端面72bのう
ち、閉じ込み部53a、53bと対向する部位(シール
部材100の幅広部100C、100Dに相当する部
位)に、油溝を設けるようにしても良い。この部位は、
シール部材100がアウターロータ51及びインナーロ
ータ52に直接接触してシールしており、第2のサイド
プレート72側の摺動も厳しくなる。このため、油溝を
設置することで、潤滑を助けることができ、損失トルク
を低減することができる。
【0086】また、上記各実施形態に限らず、アウター
ロータ51及びインナーロータ52の軸方向端面51
b、52bや第2のサイドプレート72の軸方向端面7
2bの研磨筋が直線状又は円周状とされた回転式ポンプ
10に対しても、本実施形態のような油溝を設ければ、
損失トルク低減の効果を得ることが可能である。
【0087】また、第1の実施形態において、第2のサ
イドプレート72、アウターロータ51、インナーロー
タ52の軸方向端面に形成される研磨筋は湾曲した形状
をしていたが、図10(a)(b)に示すように軸中心
位置から直線で伸びる放射状としてもよい。この際には
第1の実施の形態における遠心力による作用効果と同様
の作用効果を発揮することができる。
【0088】また、図11の(a)(b)に示すよう
に、第2のサイドプレート72と、アウターロータ5
1、およびインナーロータ52のどちらか一方の軸方向
端面を曲線の放射状研磨筋とし、他方を直線の放射状研
磨筋とすることも可能である。この際にも第1の実施の
形態と同等の作用効果を得ることができる。また第1の
実施の形態の作用効果に加えて、第2のサイドプレート
72の研磨筋とアウターロータ51およびインナーロー
タ52の研磨筋とが重なることが無く、必ず交差するた
め、軸方向端面同士の接触面積が研磨筋の凹凸により低
減され、接触抵抗、損失トルクが低減される。また、図
12に示すように第2のサイドプレート72における摺
動面の曲線の放射状研磨筋と、アウターロータ51およ
びインナーロータ52の摺動面の曲線の放射状研磨筋と
において、曲線の曲率が逆方向を向くようにしても同様
の作用効果を得ることができる。なお、図12における
実線はアウターロータ51およびインナーロータ52に
おける研磨筋を示し、点線は第2のサイドプレートにお
ける研磨筋を示す。また、図13に示すように、第2の
サイドプレート72の摺動面における曲線の放射状研磨
筋と、アウターロータ51およびインナーロータ52の
摺動面における曲線の放射状研磨筋とにおいて、双方の
放射状研磨筋の中心位置が重ならないようにずらすこと
によっても、同様の作用効果を得ることができる。な
お、図13における実線はアウターロータ51およびイ
ンナーロータ52における研磨筋を示し、点線は第2の
サイドプレートにおける研磨筋を示す。
【0089】また、前述の実施例では油溝72cを、第
2のサイドプレート72に施された直線状の研磨筋を鑑
みて図8(a)にて示した位置等に形成したが、これに
関わらず単に以下のようにアウターロータ51の軸方向
端面と第2のサイドプレート72との間のメカニカルシ
ール面における接触面積を低減することを目的として油
溝72cを形成するようにしてもよい。
【0090】すなわち、第2のサイドプレート72にお
いてアウターロータ51の軸方向端面において内歯部5
1aと干渉しない部位が対向する第2のサイドプレート
72の部位に油溝72cを設ける。この際、図7に示さ
れるアウターロータの外円周に関する圧力分布において
高圧部と低圧部とが存在するが、油溝72cはこの高圧
部と低圧部とに跨らないように形成される。すなわち、
この油溝72cを通って圧力差が解消されてしまわない
ようにするためである。
【0091】なお、油溝72c第2のサイドプレート7
2側において、図7のアウタロータ外円周の高圧部に接
する部位に設けることが好ましい。すなわち、低圧部側
はたとえシール部材100、80、81でシールしたと
しても100%完全シールすることはできず多少なりと
も高圧部側から低圧部側へ油が流動し、これにより低圧
部のメカニカルシール部分の潤滑が行われる可能性があ
るが、高圧部へは圧力差によるメカニカルシール部分へ
の油の流動は期待できないからである。油溝72cをこ
のようにアウターロータの外円周の高圧部に対応して設
ける際に、空隙部の高圧部の部位と半径方向で一致して
いる範囲に設けてもよいし、空隙部は低圧部であり同半
径方向のアウターロータ外円周部位は高圧部となってい
る範囲に設けるようにしても良い。前者のように油溝7
2cを設けた場合、メカニカルシール部分において圧力
差により潤滑する率が最も小さい部位が、この油溝72
cの面積分、接触面積が減少する。よって、減少した接
触面積分、摩擦抵抗が減少できる。また、後者のように
油溝72cを設けた場合、油溝72c分の接触面積を減
少させるだけでなく、差圧作用によりメカニカルシール
部分において最も潤滑が行われる部位に対し、油溝72
cに溜まる油をもって油の流動をいっそう多くすること
ができ、全体の潤滑を高めることができる。
【0092】なお、前述までの実施形態において、第1
の閉じ込み部(53a)は、複数の空隙部のうち体積が
最大となると規定しているが、ポンプの設計上、厳密に
は最大ではない場合もある。同様に第2の閉じ込み部
(53b)は複数の空隙部のうち体積が最小となると規
定しているが、ポンプの設計上、厳密には最小ではない
場合もある。しかしながら、本発明においては、複数の
空隙部を吸入側と吐出側とを分けるための空隙部が少な
くとも2箇所あって、体積が最大となる付近の閉じ込み
部を第1の閉じ込み部、体積が最小となる付近の閉じ込
み部を第2の閉じ込み部と定義するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における回転式ポンプを
備えたブレーキ装置の管路構成図である。
【図2】図1における回転式ポンプ10の具体的構成を
示す図である。
【図3】図2に示すシール部材100の模式図である。
【図4】直線状の研磨筋を示した図である。
【図5】図1における回転式ポンプ10のアウターロー
タ51及びインナーロータ52、第2のサイドプレート
72の軸方向端面に施された研磨筋を示す図である。
【図6】アウターロータ51及びインナーロータ52と
第2のサイドプレート72との摺動面を拡大した図であ
る。
【図7】図1における回転式ポンプ10の圧力分布を示
した図である。
【図8】本発明の第2実施形態における回転式ポンプ1
0の具体的構成を示す図である。
【図9】本発明者らが実験によって確認した回転式ポン
プの損失トルクの分布を示した図である。
【図10】その他の実施形態におけるアウターロータ、
インナーロータ、および第2のサイドプレートに施され
る研磨筋の概略図である。
【図11】その他の実施形態におけるアウターロータ、
インナーロータ、および第2のサイドプレートに施され
る研磨筋の概略図である。
【図12】その他の実施形態におけるアウターロータ、
インナーロータ、および第2のサイドプレートに施され
る研磨筋の概略図である。
【図13】その他の実施形態におけるアウターロータ、
インナーロータ、および第2のサイドプレートに施され
る研磨筋の概略図である。
【符号の説明】
51…アウターロータ、51a…内歯部、52…インナ
ーロータ、52a…卒外歯部、53…空隙部、53a、
53b…閉じ込み部、54…駆動軸、60…吸入口、6
2…吐出口、71、72…第1、第2のサイドプレー
ト、100…シール部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 袴田 尚樹 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 佐藤 卓 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 山口 貴洋 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3D049 BB05 BB30 CC02 HH12 HH20 HH30 3H041 AA02 BB03 BB04 CC07 CC13 DD04 DD05 DD38

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周に内歯部(51a)を有するアウタ
    ーロータ(51)と、外周に外歯部(52a)を有する
    と共に駆動軸(54)を軸として回転運動するインナー
    ロータ(52)とを備え、前記内歯部と前記外歯部とを
    噛み合わせることによって複数の空隙部(53)を形成
    するように組み付けて構成した回転部と、 前記駆動軸を嵌入する開口部(71a、72a)を有す
    ると共に、前記回転部に流体を吸入する吸入口(60)
    及び前記回転部から前記流体を吐出する吐出口(61)
    とを有し、前記回転部を覆うケーシング(50)とを備
    え、 前記回転部の回転運動によって前記吸入口から前記流体
    を吸入し、前記吐出口から前記流体を吐出する回転式ポ
    ンプにおいて、 前記ケーシングは、前記駆動軸の軸方向において前記ア
    ウターロータおよび前記インナーロータを挟み込む第
    1、第2のサイドプレート(71、72)を有して構成
    されており、 前記回転部のうち前記駆動軸の軸方向の一方側では、前
    記第1のサイドプレート(71)に備えられたシール手
    段(100)により、前記アウターロータ及び前記イン
    ナーロータにおける軸方向端面と前記第1のサイドプレ
    ートにおける軸方向端面との間がシールされ、 前記回転部のうち前記軸方向の他方側では、前記アウタ
    ーロータ及び前記インナーロータが前記第2のサイドプ
    レート(72)に押し付けられることで、前記アウター
    ロータ及び前記インナーロータにおける軸方向端面(5
    1b、52b)と前記第2のサイドプレートにおける軸
    方向端面(72b)との間がメカニカルシールされてお
    り、 前記メカニカルシールが成される前記インナーロータ、
    前記アウターロータ、及び前記第2のサイドプレートの
    軸方向端面が放射状の研磨筋を有することを特徴とする
    回転式ポンプ。
  2. 【請求項2】 内周に内歯部(51a)を有するアウタ
    ーロータ(51)と、外周に外歯部(52a)を有する
    と共に駆動軸(54)を軸として回転運動するインナー
    ロータ(52)とを備え、前記内歯部と前記外歯部とを
    噛み合わせることによって複数の空隙部(53)を形成
    するように組み付けて構成した回転部と、 前記駆動軸を嵌入する開口部(71a、72a)を有す
    ると共に、前記回転部に流体を吸入する吸入口(60)
    及び前記回転部から前記流体を吐出する吐出口(61)
    とを有し、前記回転部を覆うケーシング(50)とを備
    え、 前記複数の空隙部のうち、体積が最大となる第1の閉じ
    込み部(53a)と体積が最小となる第2の閉じ込み部
    (53b)にて前記吸入口と前記吐出口との圧力差を保
    持しつつ、前記回転部の回転運動によって前記吸入口か
    ら前記流体を吸入し、前記吐出口から前記流体を吐出す
    る回転式ポンプにおいて、 前記ケーシングは、前記駆動軸の軸方向において前記ア
    ウターロータおよび前記インナーロータを挟み込む第
    1、第2のサイドプレート(71、72)を有して構成
    されており、 前記回転部のうち前記駆動軸の軸方向の一方側では、前
    記第1のサイドプレート(71)に備えられたシール手
    段(100)により、前記アウターロータ及び前記イン
    ナーロータにおける軸方向端面と前記第1のサイドプレ
    ートにおける軸方向端面との間がシールされ、 前記回転部のうち前記軸方向の他方側では、前記アウタ
    ーロータ及び前記インナーロータが前記第2のサイドプ
    レート(72)に押し付けられることで、前記アウター
    ロータ及び前記インナーロータにおける軸方向端面(5
    1b、52b)と前記第2のサイドプレートにおける軸
    方向端面(72b)との間がメカニカルシールされてお
    り、 前記第2のサイドプレートにおける前記軸方向端面が共
    に前記吐出口から前記吸入口へ向かう直線状の研磨筋を
    有しており、またアウターロータ、インナーロータの軸
    方向端面にも直線状の研磨筋が施されており、 前記第2のサイドプレートには、前記アウターロータに
    対抗する部位であって前記第1の閉じ込み部および第2
    の閉じ込み部の近傍に油溝(72c)が形成されている
    ことを特徴とする回転式ポンプ。
  3. 【請求項3】 内周に内歯部(51a)を有するアウタ
    ーロータ(51)と、外周に外歯部(52a)を有する
    と共に駆動軸(54)を軸として回転運動するインナー
    ロータ(52)とを備え、前記内歯部と前記外歯部とを
    噛み合わせることによって複数の空隙部(53)を形成
    するように組め付けて構成した回転部と、 前記駆動軸を嵌入する開口部(71a、72a)を有す
    ると共に、前記回転部に流体を吸入する吸入口(60)
    及び前記回転部から前記流体を吐出する吐出口(61)
    とを有し、前記回転部を覆うケーシング(50)とを備
    え、 前記回転部の回転運動によって前記吸入口から前記流体
    を吸入し、前記吐出口から前記流体を吐出する回転式ポ
    ンプにおいて、 前記ケーシングは、前記駆動軸の軸方向において前記ア
    ウターロータおよび前記インナーロータを挟み込む第
    1、第2のサイドプレート(71、72)を有して構成
    されており、 前記回転部のうち前記駆動軸の軸方向の一方側では、前
    記第1のサイドプレート(71)に備えられたシール手
    段(100)により、前記アウターロータ及び前記イン
    ナーロータにおける軸方向端面と前記第1のサイドプレ
    ートにおける軸方向端面との間がシールされ、 前記回転部のうち前記軸方向の他方側では、前記アウタ
    ーロータ及び前記インナーロータが前記第2のサイドプ
    レート(72)に押し付けられることで、前記アウター
    ロータ及び前記インナーロータにおける軸方向端面(5
    1b、52b)と前記第2のサイドプレートにおける軸
    方向端面(72b)との間がメカニカルシールされてお
    り、 前記メカニカルシールが成される前記インナーロータ及
    び前記アウターロータの軸方向端面と前記第2のサイド
    プレートの軸方向端面のいずれか一方が放射状の研磨筋
    を有し、他方の仕上げ面が円周状の研磨筋を有すること
    を特徴とする回転式ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記放射状の研磨筋は直線状であること
    を特徴とする請求項1または請求項3に記載の回転式ポ
    ンプ。
  5. 【請求項5】 前記放射状の研磨筋は曲線状であること
    を特徴とする請求項1または請求項3に記載の回転式ポ
    ンプ。
  6. 【請求項6】 前記放射状の研磨筋は曲線状であって、
    前記アウターロータおよびインナーロータにおける研磨
    筋の曲率方向と、前記サイドプレートにおける研磨筋の
    曲率方向とが逆方向に形成されていることを特徴とする
    請求項1に記載の回転式ポンプ。
  7. 【請求項7】 前記アウターロータおよびインナーロー
    タ側の研磨筋と、前記サイドプレート側の研磨筋との一
    方が直線放射状であって、他方の研磨筋は曲線放射状で
    あることを特徴とする請求項1に記載の回転式ポンプ。
  8. 【請求項8】 前記アウターロータおよびインナーロー
    タ側の研磨筋および前記サイドプレート側の研磨筋の双
    方ともが曲線放射状であって、前記アウターロータおよ
    びインナーロータ側の曲線放射状の研磨筋の中心位置
    と、前記サイドプレート側の曲線放射状の研磨筋の中心
    位置とがずれていることを特徴とする請求項1に記載の
    回転式ポンプ。
  9. 【請求項9】 内周に内歯部(51a)を有するアウタ
    ーロータ(51)と、外周に外歯部(52a)を有する
    と共に駆動軸(54)を軸として回転運動するインナー
    ロータ(52)とを備え、前記内歯部と前記外歯部とを
    噛み合わせることによって複数の空隙部(53)を形成
    するように組め付けて構成した回転部と、 前記駆動軸を嵌入する開口部(71a、72a)を有す
    ると共に、前記回転部に流体を吸入する吸入口(60)
    及び前記回転部から前記流体を吐出する吐出口(61)
    とを有し、前記回転部を覆うケーシング(50)とを備
    え、 前記複数の空隙部のうち、体積が最大となる第1の閉じ
    込み部(53a)と体積が最小となる第2の閉じ込み部
    (53b)にて前記吸入口と前記吐出口との圧力差を保
    持しつつ、前記回転部の回転運動によって前記吸入口か
    ら前記流体を吸入し、前記吐出口から前記流体を吐出す
    る回転式ポンプにおいて、 前記ケーシングは、前記駆動軸の軸方向において前記ア
    ウターロータおよび前記インナーロータを挟み込む第
    1、第2のサイドプレート(71、72)を有して構成
    されており、 前記回転部のうち前記駆動軸の軸方向の一方側では、前
    記第1のサイドプレート(71)に備えられたシール手
    段(100)により、前記アウターロータ及び前記イン
    ナーロータにおける軸方向端面と前記第1のサイドプレ
    ートにおける軸方向端面との間がシールされ、 前記回転部のうち前記軸方向の他方側では、前記アウタ
    ーロータ及び前記インナーロータが前記第2のサイドプ
    レート(72)に押し付けられることで、前記アウター
    ロータ及び前記インナーロータにおける軸方向端面(5
    1b、52b)と前記第2のサイドプレートにおける軸
    方向端面(72b)との間がメカニカルシールされてお
    り、 前記第2のサイドプレートおよび前記アウターロータの
    軸方向端面が全面に至って直線状の研磨筋を備えてお
    り、 前記第2のサイドプレートと前記アウターロータとの対
    向面双方における研磨筋の方向が一致する際に、前記ア
    ウターロータの前記軸方向端面の研磨筋のうち当該アウ
    ターロータの外周から外周へ途切れずに研磨筋が存在す
    る部位、あるいはこの部位と対向する前記第2のサイド
    プレートの部位のいずれかに油溝(72c)が形成され
    ている事を特徴とする回転式ポンプ。
  10. 【請求項10】 内周に内歯部(51a)を有するアウ
    ターロータと、外周に外歯部(52a)を有すると共に
    駆動軸(54)を軸として回転運動するインナーロータ
    (52)とを備え、前記内歯部と外歯部との噛み合いの
    間に複数の空隙部(53)が形成された回転部と、 前記回転部の一方の軸方向端面側に配置された第1のサ
    イドプレート(71)と、前記回転部の他方の軸方向端
    面側に配置され、前記アウターロータおよびインナーロ
    ータの軸方向端面との接触面がメカニカルシールを行う
    第2のサイドプレート(72)と、を含み、前記回転部
    を覆うように形成されたケーシング(50)と、 前記ケーシングに設けられ、前記回転部に流体を吸引す
    る吸入口(60)と前記回転部から流体を吐出する吐出口
    (61)と、 前記ケーシングの内部の前記回転部が内包される空間
    を、前記吸入口と接続された低圧側の空間と前記吐出口
    と接続された高圧側の空間とに分割するシール手段と、
    前記アウターロータの軸方向端面と対向する前記第2の
    サイドプレートの部位の前記内歯部に重ならない部位に
    設けられ、前記高圧側の空間と低圧側の空間とに跨るこ
    となく形成された油溝(72c)と、 を備えることを特徴とする回転式ポンプ。
  11. 【請求項11】 前記高圧側空間と低圧側の空間は、前
    記複数の空隙部の部分と前記アウターロータの外円周と
    前記ケーシングとの間の部分との双方に設けられ、前記
    複数の空隙部の高圧側の空間の部位と、前記アウターロ
    ータの外円周と前記ケーシングとの間の高圧側の空間の
    部位とが前記回転部の半径方向で重なる範囲において、
    前記油溝が形成されていることを特徴とする請求項10
    に記載の回転式ポンプ。
  12. 【請求項12】 踏力に基づいてブレーキ液圧を発生さ
    せるブレーキ液圧発生手段(1〜3)と、 前記ブレーキ液圧に基づいて車輪に制動力を発生させる
    制動力発生手段(4、5)と、 前記ブレーキ液圧発生手段に接続され、前記制動力発生
    手段に前記ブレーキ液圧を伝達する主管路(A)と、 前記ブレーキ液圧発生手段に接続され、前記制動力発生
    手段が発生させる制動力を高めるために、前記主管路側
    にブレーキ液を供給する補助管路(D)と、を有するブ
    レーキ装置において、 請求項1乃至11に記載の回転式ポンプは、前記吸入口
    が前記補助管路を通じて前記ブレーキ液圧発生手段側の
    ブレーキ液を吸入でき、前記吐出口が前記主管路を通じ
    て前記制動力発生手段に向けてブレーキ液を吐出できる
    ように配置されていることを特徴とする回転式ポンプを
    備えたブレーキ装置。
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