JP2003129155A - 強度及び耐食性に優れたNi基単結晶合金 - Google Patents
強度及び耐食性に優れたNi基単結晶合金Info
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Abstract
き、より高温でのクリ−プ破断強度を犠牲にすることな
く高温における耐酸化性及び耐食性を向上させることが
可能な単結晶Ni基合金とその製造法を提供することにあ
る。 【解決手段】本発明は、重量で、Cr:3.0〜6.0%、Co:3.0
〜15.0%、W:5.0〜7.0%、Mo:0.5〜3.0%、Re:3.5〜6.0%、
Ta:4.0〜8.0%、Ti:0.1〜2.0%、Al:4.5〜6.0%、Hf:0.01
〜0.2%、原子比で、Ta+Ti+Al:14〜16%を含み、重量で、
C:0.01%以下、B:0.005%以下、Zr:0.01%以下、O:0.005%
以下及びN:0.005%以下であり、残部Ni及び不可避不純物
よりなる強度及び耐食性に優れた単結晶Ni基超合金、又
その合金について複数回の溶体化処理と複数回の時効処
理を行う製造法にある。
Description
度、靭性及び耐食性に優れていることが要求される部品
及び製品の素材として利用するのに適した新規な強度及
び耐食性に優れた単結晶Ni基超合金とその製造法に関す
るものである。
などの動力機関においては、その高性能化及び高効率化
などのために、タービン入口温度の高温化が必要不可欠
となっており、このような高温化に耐えうるタービンブ
レード材料の開発が重要課題とされている。
な特性は、高温での遠心力に耐えうる優れたクリープ破
断強度、靭性及び高温燃焼ガス雰囲気に対する優れた耐
酸化性及び耐食性である。そして、この要求特性を満た
すために、現在ではNi基超合金の単結晶材が有望視さ
れ、実用化の段階に入っている。
合金(等軸晶)や一方向凝固柱状晶合金と異なり、粒界
がないために融点直下で溶体化処理することが可能であ
り、凝固偏析を完全に除去した均質組織を得ることがで
きる。このため、従来の合金に比べてクリープ破断強度
と靭性が著しく高いという特徴を有している。また、こ
の高温での溶体化によって、固溶強化元素も従来合金に
比べて多く添加することが可能であり、固溶強化度の高
いWやTaを多量に添加して、クリープ破断強度を高める
ことができるという特徴を有している。
〜0.20%、Cr:2〜16%、Al:4〜7%、W:2〜15%、Ti:0.5〜5
%、Nb:0〜3%、Mo:0〜6%、Ta:0〜12%、Co:0〜10.5%、Hf:
0〜2%、Re:0〜4%、B:0〜0.035%、Zr:0〜0.35%及び残部5
8%以上のNi基単結晶合金が示されている。
優れた特徴をもつ単結晶合金の開発が盛んに進められて
おり、多くの合金が発明されている。
温でのクリープ破断強度の改善を主目的として開発され
ており、そのほかの要求特性である高温における耐食性
についてはあまり検討されていないのが実情である。
有量を多くすることが最も効果的である。しかし、Cr含
有量を多くするとWやTaのような固溶強化度の高い元素
の固溶限が低下し、クリ−プ破断強度を高めることが不
可能になる。そのため、Cr含有量を極端に少なくし、高
温での耐食性を犠牲にして、高温におけるクリ−プ破断
強度を高めた合金も開発されているが、高温での耐食性
の改善はいまだ不十分なものとなっている。
ができ、それにより高温でのクリ−プ破断強度を犠牲に
することなく高温における耐酸化性及び耐食性に優れた
単結晶Ni基合金及びその製造法を提供することにある。
食性に優れた単結晶Ni基超合金は、重量で、Cr:3.0〜6.
0%、Co:3.0〜15.0%、W:5.0〜7.0%、Mo:0.5〜3.0%、
Re:3.5〜6.0%、Ta:4.0〜8.0%、Ti:0.1〜2.0%、Al:4.
5〜6.0%、Hf:0.01〜0.2%、原子比で、Ta+Ti+Al:14〜1
6%を含み、重量で、C:0.01%以下、B:0.005%以下、Z
r:0.01%以下、O:0.005%以下、N:0.005%以下に規制
し、残部Ni及び不可避不純物よりなるものである。
た単結晶Ni基超合金は、重量で、Cr:3.0〜5.0%、Co:4.
7〜12.0%、W:5.2〜6.8%、Mo:0.6〜1.6%、Re:3.5〜5.
6%、Ta:6.0〜7.0%、Ti:0.8〜1.8%、Al:4.8〜6.0%、
Hf:0.03〜0.15%、でかつ原子比で、Ta+Ti+Al:14〜16%
を含み、重量で、C:0.01%以下、B:0.005%以下、Zr:0.
01%以下、O:0.005%以下、N:0.005%以下に規制し、残
部Ni及び不可避不純物よりなるものである。
た単結晶Ni基超合金は、Cr:3.8〜4.5%、Co:9.0〜11.5
%、W:5.3〜6.2%、Mo:0.6〜1.4%、Re:4.0〜5.4%、
Ta:6.5〜7.0%、Ti:1.0〜1.5%、Al:5.0〜5.8%、Hf:0.
1〜0.15%、原子比で、Ta+Ti+Al:14〜16%を含み、重量
で、C:0.01%以下、B:0.005%以下、Zr:0.01%以下、O:
0.005%以下、N:0.005%以下に規制し、残部Ni及び不可
避不純物よりなるものである。
結晶Ni基超合金は、重量で、Cr:3.0〜6.0%、Co:3.0〜1
5.0%、W:5.0〜7.0%、Mo:0.5〜3.0%、Re:3.5〜6.0
%、Ta:4.0〜8.0%、Ti:0.1〜2.0%、Al:4.5〜6.0%、H
f:0.01〜0.2%及び原子比でTa+Ti+Al:14〜16%を含み、
残部Ni及び不可避不純物よりなり、1040℃、137MPaでの
クリープ破断時間が500時間以上及び1040℃、600時間加
熱後の酸化減量がCr3%で4.5mg/cm2とCr6%で0mg/cm2とを
結ぶ値以下又は900℃、35時間の軽油燃焼ガスによる腐
食量が3mg/cm2以下であることを特徴とする。
た単結晶Ni基超合金は、前記組成からなり、次式の各元
素を原子分率によってもとめられるMdt値を0.975〜0.99
0及びBo値を0.653〜0.665とすることを特徴としている
ものである。 Mdt=1.142×(Cr)+0.777×(Co)+1.655×(W)+
1.550×(Mo)+1.267×(Re)+2.224×(Ta)+2.271
×(Ti)+1.900×(Al)+0.717×(Ni) Bo=1.278×(Cr)+0.697×(Co)+1.730×(W)+
1.611×(Mo)+1.692×(Re)+1.670×(Ta)+1.098
×(Ti)+0.533×(Al)+0.514×(Ni)
くとも鋳造後に、一回以上の溶体化処理及び二回以上の
時効処理を順次行うことを特徴とする。又、溶体化処理
は複数回の加熱処理を有し、該加熱処理の温度が3回ま
では後に行う順に高い温度であり、更に時効処理は複数
回の加熱処理を有し、該加熱処理の温度が後に行う順に
低い温度であることを特徴とする強度及び耐食性に優れ
た単結晶Ni基超合金の製造法にある。
℃以上、好ましくは1300〜1330℃であり、前記時効処理
温度はγ’相が析出する温度であり、1050〜1200℃と、
850〜900℃の順に2段時効処理を行うことが好ましい。
た単結晶Ni基合金の成分範囲及び好ましいその限定条件
の設定理由について説明する。
素であり、その効果がより顕著に現れるのは3.0%超過
からである。そして、Crを含有量の増加に伴ってその効
果は大きくなるが、多くなると固溶強化元素の固溶限度
を下げるとともに、脆化相であるTCP相が析出して高温
強度や高温耐食性を害するため、その上限を6.0%とす
る必要がある。この組成範囲に於いて、強度と耐食性の
バランスを考慮した場合、好ましくは:3.0〜5.0%の範
囲、より好ましくは:3.8〜4.5%の範囲である。
を低下させて溶体化処理を容易にするほか、γ相を固溶
強化すると共に高温耐食性を向上させる効果を有する。
そのような効果が現れるのは、Coの含有量が3.0%以上
である。一方、Coの含有量が15.0%を越えると、析出強
化相であるγ'相の析出を抑制し、高温強度を低下させ
てしまうため、15.0%以下にする必要がある。この組成
範囲に於いて、溶体化熱処理の容易性と強度とのバラン
スを考慮した場合、好ましくは4.7〜12.0%の範囲、よ
り好ましくは9.0〜11.5%の範囲である。
し、固溶強化によりクリープ強度を高めるのに有効な元
素である。そして、このような効果を十分に得るために
は5.0%以上の含有量が必要である。しかし、Wは比重が
大きく、合金の重量を増大するばかりでなく、合金の高
温における耐食性を低下させる。また、7.0%を越える
と針状のα―Wが析出し、クリープ強度、高温耐食性及
び靭性を低下させるため、その上限を7.0%とする必要
がある。この組成範囲に於いて、高温における強度、耐
食性及び高温での組織安定性のバランスを考慮した場
合、好ましくは5.2〜6.8%の範囲、より好ましくは、5.
3〜6.2%の範囲である。
と代替することが可能である。また、γ'相の固溶温度
をあげるため、クリープ強度を向上させる。そして、こ
のような効果を十分に得るための0.5%以上の含有量が
必要である。また、MoはWに比べて比重が小さいため合
金の軽量化が図れる。一方、Moは合金の耐酸化特性及び
耐食性を低下させるため、添加するとしてもその上限を
3.0%とする必要がある。この組成範囲に於いて、高温
における強度、耐食性及び高温での耐酸化特性のバラン
スを考慮した場合、好ましくは0.6〜1.6%の範囲、より
好ましくは0.6〜1.4%の範囲である。
化によってクリープ強度を高めるとともに、合金の耐食
性を改善するのに有効な元素である。このような効果を
十分に得るためには3.5%以上の含有量が必要である。
しかし、Reは高価であり、比重が大きく、合金の重量を
増大する。また、6.0%を越えると針状のα−Wまたはα
−Re(Mo)が析出し、クリープ強度及び靭性を低下させ
るため、その上限を6.0%とする必要がある。この組成
範囲に於いて、高温における強度、耐食性及び高温での
組織安定性のバランスを考慮した場合、好ましくは3.5
〜5.6%の範囲、より好ましくは4.0〜5.4%の範囲であ
る。
する。これによりクリープ強度が向上する。この効果を
十分に得るためには、4.0%以上の含有量が必要であ
り、8.0%超過になると過飽和になって針状のδ相[Ni、
Ta]が析出し、クリープ強度を低下させる。したがっ
て、その上限を8.0%とする必要がある。この組成範囲
に於いて、高温における強度と組織安定性のバランスを
考慮した場合、好ましくは6.0〜7.0%の範囲、より好ま
しくは6.5〜7.0%の範囲である。
し、固溶強化するが、Taほどの効果はない。むしろ、Ti
は合金の高温における耐食性を改善する効果があるので
0.1%以上の含有量とする。しかし、2.0%を越えて添加
すると、耐酸化特性が劣化するため、その上限を2.0%
とする必要がある。この組成範囲に於いて、高温におけ
る強度と耐食性、耐酸化特性のバランスを考慮した場
合、好ましくは0.8〜1.8%の範囲、より好ましくは1.0
〜1.5%の範囲である。
これによりクリープ強度が向上する。また、耐酸化特性
の向上にも大きく寄与する。それらの効果が十分得るた
めには、4.5%以上の含有量が必要であるが、6.0%を超
えると、γ'相[Ni3Al]が過大に析出し、かえって強度を
低下させることから、4.5〜6.0%の範囲とすることが必
要である。この組成範囲に於いて、高温における強度と
耐酸化特性のバランスを考慮した場合、好ましくは4.8
〜6.0%の範囲、より好ましくは5.0〜5.8%の範囲であ
る。
表面に形成される保護皮膜(例えば、Cr2O3、Al2O3)
の密着性を向上させることが可能である。Hfの添加量が
多くなると保護皮膜の密着性は著しく向上するが、0.2
%を越えるとNi基耐超熱合金の融点を著しく下げてしま
い、溶体化処理温度を狭くするため、0.2%以下にする
ことが必要である。この組成範囲に於いて、耐食性、耐
酸化特性と合金の熱処理温度範囲のバランスを考慮した
場合、好ましくは0.03〜0.15%の範囲、より好ましくは
0.10〜0.15%の範囲である。
相の体積率との関係においては、γ'相の体積率が60〜6
5%で最強になることが多結晶合金で知られている。そ
こで、本発明合金系において、このようなγ'相を得る
ためには、γ'相の形成元素であるTa、Ti及びAlの合計
を14〜16原子%にする必要がある。したがって、Ta+Ti
+Alの合計量は14〜16原子%とした。
下、Zr:0.01重量%以下 これらの元素は従来の普通鋳造合金及び一方向凝固柱状
晶合金において粒界強化元素として用いられた元素であ
る。しかし、単結晶とする合金では、これら粒界強化元
素は必要なく、むしろ次に示す理由により有害元素とな
るため、以下のように規制する必要がある。
に析出する。この炭化物は、合金の融点に比べ溶融温度
が低く、合金の融点直下で行う溶体化処理では局部溶融
を起こすため、溶体化処理温度を上げることができず、
単結晶の溶体化温度範囲を狭くする。さらに固溶強化元
素であるTaと炭化物を形成することにより、固溶強化に
よるTaのみかけの含有量が少なくなり、高温でのクリー
プ強度を低下させる。そこで、Cの上限を0.01%とし
た。好ましくは0.001〜0.006%である。
成し、合金の粒界に析出する。このホウ化物も炭化物と
同様に合金の融点に比べ低融点であり、単結晶の溶体化
処理温度を低下させ、溶体化処理温度範囲を狭くする。
そこで、Bの上限を0.005%とした。好ましくは0.0005〜
0.0025%である。
合物は合金の融点を低下し、単結晶の溶体化処理温度を
低下させ、溶体化処理温度範囲を狭くする。そこで、Zr
の上限を0.01%とした。好ましくは0.001〜0.006%であ
る。
とが多く、Oはるつぼからも入り、合金中には酸化物(A
l2O3)や窒化物(TiNあるいはAlN)として塊状に存在す
る。単結晶とする合金中にこれらが存在すると、クリー
プ変形中にこれらがクラックの起点となり、クリープ破
断寿命が低下する。そこで両元素の上限をいずれも0.00
5%とした。好ましくは、前者が0.0001〜0.0025%及び
後者が0.0002〜0.0010%である。
合金においては、凝固偏析によりγ/γ'共晶が単結晶鋳
造時にデンドライトアーム間に晶出する。単結晶合金で
は、このγ/γ'共晶を融点直下の溶体化処理によって完
全固溶させることにより、高温クリープ特性を改善させ
ている。しかし、成分バランスによってγ/γ'共晶が多
く晶出すると融点直下では溶体化処理してもγ/γ'共晶
が未固溶となって残留し、クリープ強度が低下する。本
合金系において、晶出したγ/γ'共晶が溶体化処理によ
って完全に固溶する上限は、次式の各元素の原子分率に
よって求められるMdt値が0.990以下である。一方、Mdt
値が小さくなるとクリープ強度が低下するため、その下
限を0.975とするのがよい。 Mdt=1.142×(Cr)+0.777×(Co)+1.655×(W)+
1.550×(Mo)+1.267×(Re)+2.224×(Ta)+2.271
×(Ti)+1.900×(Al)+0.717×(Ni)
ほど結合力が強くなるので合金の強化に有効である。し
かし、あまり値が大きすぎるとα―Wやα―Reなどの有
害相が析出し、強度や靭性、及び耐食性等を悪化させ
る。本合金系では強度が最大となり、かつ有害相が析出
しない範囲は、次式の各元素の原子分率によって求めら
れるBo値は、0.653〜0.665の範囲である。 Bo=1.278×(Cr)+0.697×(Co)+1.730×(W)+
1.611×(Mo)+1.692×(Re)+1.670×(Ta)+1.098
×(Ti)+0.533×(Al)+0.514×(Ni)
o.1〜7)、比較例合金(No.8〜11)及び既存
合金(No.12〜17)の化学組成を示すものであ
る。なお、既存合金No.13、14はすでに実用化さ
れている単結晶合金であり、既存合金No.16、17
は既に実用化されている一方向凝固合金である。表2
は、C、Si、Mn、P、S、B、Zr、O及びNの不可避不純物に
係るものであり、C0.001〜0.006%、Si0.001〜0.02%、Mn
0.002%以下、P0.0002〜0.005%、S0.0001〜0.002%、B0.0
009〜0.0025%、Zr0.001〜0.01%、O2〜22ppm及びN1〜5pp
mを有するものである。
るつぼを用いた真空誘導炉を使用して行い、それぞれ直
径70mm、長さ200mmのインゴットにした。単結晶の鋳造
は、上記インゴットを用いて、鋳型引き出し式一方向凝
固法で行った。鋳型は、アルミナ質のセラミック鋳型を
用い、鋳型加熱温度1540℃、鋳型引き出し速度20cm/h
で、直径15mm、長さ100mmの単結晶試験片をセレクタ法
で鋳造した。鋳造は、全て真空中で行った。鋳造した単
結晶試験片の成長方位は、<001>から全て10°以内
である。
体化処理及び時効処理を行った。本発明の実施例合金
(No.1〜7)は、いずれも3段の溶体化処理を行っ
たもので、1段目の温度に対して後の溶体化処理温度を
各5℃又は10℃高く設定して行ったものである。これら
の各温度は好ましくは3〜15℃の間で任意に高く設定す
ることができる。
行部直径6.0mm、平行部長さ30mmのクリープ試験片と、
長さ25mm、幅10mm、厚さ1.5mmの高温酸化試験片及び直
径8mm、長さ40mmの高温腐食試験片を切り出した。な
お、比較合金のNo.10は表3に示す溶体化熱処理を行
っても、鋳造時に形成された共晶γ’相は、消失せずそ
のまま残ったため、クリープ破断試験は2条件と、酸化
試験及び腐食試験を行った。
条件を示す。クリープ破断試験は、1040℃―137MPa、98
2℃―206MPa、920℃―248MPa、920℃―314MPa、850℃―
441MPaの5条件で行った。高温酸化試験は、1040℃及び
920℃―600h連続保持試験としそれぞれ重量の変化を測
定した。また、高温腐食試験は、軽油燃焼ガス中にNaCl
を80ppm添加し、900℃の条件で7時間の繰り返し腐食試
験を行い、重量変化を測定した。
ず、 表5に示す結果より明らかなように、本発明実施
例合金No.1〜7では、既存の実用一方向凝固合金
(No.16、17)よりいずれも腐食重量が著しく少
なく、かつクリープ破断寿命が大幅に改善されている事
が明らかである。また、既存の実用化された単結晶合金
(No.13)に対しては、ほぼ同じ腐食減量でありな
がら、かつクリープ破断寿命が大幅に改善されている。
特に、920℃、850℃の低温側で大幅に改善されている事
が明らかである。同じくNo.14の単結晶合金に対し
ても、クリープ破断強度が大幅に改善されている。
間とCr量との関係を示す図である。○印が本発明合金、
△印が比較合金、既存合金である。図1に示すように、
Cr量が多くなるに従ってクリープ破断時間が短くなるこ
とが明らかである。そして、本発明合金は同等のCr量を
有するNo.10と比較していずれも高いクリープ破断
時間を有することが明らかである。他の温度においても
同様の傾向を有している。本発明合金においては、Cr3%
において1200時間、Cr5%において200時間の各点を結ぶ
直線で得られる値以上の強度を有するものが好ましい。
は、クリープ破断強度がほぼ同じであるが、耐酸化特
性、耐食性が大幅に改善されていることが分かる。特に
耐食性の改善が著しい。すなわち、本発明合金は、高温
クリープ破断寿命を犠牲にすることなく、高温での耐食
性、耐酸化特性を著しく向上させたものであることが認
められた。
しない比較例合金No.8〜11では、クリープ破断寿
命が短く、また高温での耐食性も劣っている。比較合金
No.8のクリープ破断強度は、本発明合金よりやや優
れているが、Cr量が本発明合金の範囲を満足しないた
め、耐酸化特性、耐食性の両特性が劣っている。比較合
金No.9、10は耐酸化特性及び耐食性は本開発合金と
ほぼ同じであるが、Co量が本発明合金の範囲を満足しな
いため、クリープ破断強度が劣っている。同様にNo.
11の耐酸化特性は本発明合金とほぼ同等であるが、Cr、
W、Taが本発明合金の範囲を満足しないため、クリープ
破断強度及び耐食性で劣っている。
とCr量との関係を示す図である。○印が本発明合金、△
印が比較合金、既存合金である。図2に示す様に、Cr量
が多い程酸化減量が少なく、特にCr3.5〜5.5%で顕著に
低下しており、優れていることが明らかである。本発明
合金は、酸化減量がCr3%において4.5mg/cm2、Cr6%にお
いて0mg/cm2の各点を直線で結ぶ値以下となることが好
ましい。
係を示す図である。○印が本発明合金、△印が比較合
金、既存合金である。図3に示す様に、本発明合金は比
較合金及び既存合金に比較して、いずれも腐食量が少な
い優れた耐食性を有することが明らかである。No.1
0の比較合金は耐酸化性及び耐食性が優れているのはT
a量が多いためである。しかし、Ta量が多いと図1に示
す様にクリープ破断強度が低下するので好ましくない。
本発明合金は、腐食による変化量が3mg/cm2以下に成る
ようにすることが好ましい。
結晶Ni基超合金においては、合金組成として、更にC、S
i、Mn、B、Zr、O及びN量をより少なくしたことにより、
より高温での溶体化処理が可能となり、合金全体で均一
な組成を持った単結晶合金が得られ、その結果、前述の
ようなクリープ破断強度、耐酸化特性及び耐食性に優れ
た合金が得られることが明らかである。
からなる単結晶Ni基超合金によれば、より高温での溶体
化処理が可能となり、均一な組成を持った単結晶合金が
得られ、その結果、クリープ破断強度、耐酸化特性及び
耐食性に優れた合金が得られることが明らかである。従
って、特に高温でのクリープ破断強度を犠牲にすること
なく、高温における耐食性を向上させることが可能であ
り、例えばジェットエンジンやガスタービンなどの動力
機関における高性能化及び高効率化のためにタービン入
口温度を1500℃以上に高める場合に十分対応しうるもの
である。
ある。
Claims (12)
- 【請求項1】重量で、Cr:3.0〜6.0%、Co:3.0〜15.0
%、W:5.0〜7.0%、Mo:0.5〜3.0%、Re:3.5〜6.0%、T
a:4.0〜8.0%、Ti:0.1〜2.0%、Al:4.5〜6.0%、Hf:0.0
1〜0.2%及び原子比でTa+Ti+Al:14〜16%を含み、重量
で、C:0.01%以下、B:0.005%以下、Zr:0.01%以下、O:
0.005%以下及びN:0.005%以下であり、残部Ni及び不可
避不純物よりなることを特徴とする強度及び耐食性に優
れた単結晶Ni基超合金。 - 【請求項2】重量で、Cr:3.0〜5.0%、Co:4.7〜12.0
%、W:5.2〜6.8%、Mo:0.6〜1.6%、Re:3.5〜5.6%、T
a:6.0〜7.0%、Ti:0.8〜1.8%、Al:4.8〜6.0%、Hf:0.0
3〜0.15%及び原子比で、Ta+Ti+Al:14〜16%を含み、重
量で、C:0.01%以下、B:0.005%以下、Zr:0.01%以下、
O:0.005%以下及びN:0.005%以下であり、残部Ni及び不
可避不純物よりなることを特徴とする強度及び耐食性に
優れた単結晶Ni基超合金。 - 【請求項3】重量で、Cr:3.8〜4.5%、Co:9.0〜11.5
%、W:5.3〜6.2%、Mo:0.6〜1.4%、Re:4.0〜5.4%、
Ta:6.5〜7.0%、Ti:1.0〜1.5%、Al:5.0〜5.8%、Hf:0.
1〜0.15%及び原子比で、Ta+Ti+Al:14〜16%を含み、C:
0.01%以下、B:0.005%以下、Zr:0.01%以下、O:0.005
%以下及びN:0.005%以下であり、残部Ni及び不可避不
純物よりなることを特徴とする強度及び耐食性に優れた
単結晶Ni基超合金。 - 【請求項4】重量で、Cr:3.0〜6.0%、Co:3.0〜15.0
%、W:5.0〜7.0%、Mo:0.5〜3.0%、Re:3.5〜6.0%、T
a:4.0〜8.0%、Ti:0.1〜2.0%、Al:4.5〜6.0%、Hf:0.0
1〜0.2%及び原子比でTa+Ti+Al:14〜16%を含み、残部N
i及び不可避不純物よりなり、1040℃、137MPaでのクリ
ープ破断時間が500時間以上及び1040℃、600時間加熱後
の酸化減量がCr3%で4.5mg/cm2とCr6%で0mg/cm2とを結ぶ
値以下又は900℃、35時間の軽油燃焼ガスによる腐食量
が3mg/cm2以下であることを特徴とする強度及び耐食性
に優れた単結晶Ni基超合金。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれかにおいて、次式の
各元素について原子分率によって求められるMdt値を0.9
75〜0.990及びBo値を0.653〜0.665とすることを特徴と
する強度及び耐食性に優れた単結晶Ni基超合金。 Mdt=1.142×(Cr)+0.777×(Co)+1.655×(W)+
1.550×(Mo)+1.267×(Re)+2.224×(Ta)+2.271
×(Ti)+1.900×(Al)+0.717×(Ni) Bo=1.278×(Cr)+0.697×(Co)+1.730×(W)+
1.611×(Mo)+1.692×(Re)+1.670×(Ta)+1.098
×(Ti)+0.533×(Al)+0.514×(Ni) - 【請求項6】請求項1〜5のいずれかにおいて、母相が
γの実質的な単結晶組織であり、該単結晶の母相中に
γ’相が析出した組織を有することを特徴とする強度及
び耐食性に優れた単結晶Ni基超合金。 - 【請求項7】重量で、Cr:3.0〜6.0%、Co:3.0〜15.0
%、W:5.0〜7.0%、Mo:0.5〜3.0%、Re:3.5〜6.0%、T
a:4.0〜8.0%、Ti:0.1〜2.0%、Al:4.5〜6.0%、Hf:0.0
1〜0.2%及び原子比で、Ta+Ti+Al:14〜16%を含み、重
量で、C:0.01%以下、B:0.005%以下、Zr:0.01%以下、
O:0.005%以下及びN:0.005%以下であり、残部Ni及び不
可避不純物よりなり、一回以上の溶体化処理及び二回以
上の時効処理を順次行うことを特徴とする強度及び耐食
性に優れた単結晶Ni基超合金の製造法。 - 【請求項8】重量で、Cr:3.0〜5.0%、Co:4.7〜12.0
%、W:5.2〜6.8%、Mo:0.6〜1.6%、Re:3.5〜5.6%、T
a:6.0〜7.0%、Ti:0.8〜1.8%、Al:4.8〜6.0%、Hf:0.0
3〜0.15%及び原子比で、Ta+Ti+Al:14〜16%を含み、重
量で、C:0.01%以下、B:0.005%以下、Zr:0.01%以下、
O:0.005%以下及びN:0.005%以下であり、残部Ni及び不
可避不純物よりなり、一回以上の溶体化処理及び二回以
上の時効処理を順次行うことを特徴とする強度及び耐食
性に優れた単結晶Ni基超合金の製造法。 - 【請求項9】重量で、Cr:3.8〜4.5%、Co:9.0〜11.5
%、W:5.3〜6.2%、Mo:0.6〜1.4%、Re:4.0〜5.4%、T
a:6.5〜7.0%、Ti:1.0〜1.5%、Al:5.0〜5.8%、Hf:0.1
〜0.15%及び原子比で、Ta+Ti+Al:14〜16%を含み、重
量で、C:0.01%以下、B:0.005%以下、Zr:0.01%以下、
O:0.005%以下及びN:0.005%以下であり、残部Ni及び不
可避不純物よりなり、一回以上の溶体化処理及び二回以
上の時効処理を順次行うことを特徴とする強度及び耐食
性に優れた単結晶Ni基超合金。 - 【請求項10】請求項7〜9のいずれかにおいて、次式
の各元素を原子分率によって求められるMdt値を0.975〜
0.990及びBo値を0.653〜0.665とすることを特徴とする
強度及び耐食性に優れた単結晶Ni基超合金の製造法。 Mdt=1.142×(Cr)+0.777×(Co)+1.655×(W)+
1.550×(Mo)+1.267×(Re)+2.224×(Ta)+2.271
×(Ti)+1.900×(Al)+0.717×(Ni) Bo=1.278×(Cr)+0.697×(Co)+1.730×(W)+
1.611×(Mo)+1.692×(Re)+1.670×(Ta)+1.098
×(Ti)+0.533×(Al)+0.514×(Ni) - 【請求項11】請求項6〜10のいずれかにおいて、前
記溶体化処理は複数回の加熱処理を有し、該加熱処理の
温度が後に行う順に高い温度であり、前記時効処理温度
は複数回の加熱処理を有し、該加熱処理の温度が後に行
う順に低い温度であることを特徴とする強度及び耐食性
に優れた単結晶Ni基超合金の製造法。 - 【請求項12】請求項11において、前記溶体化処理は
その最後の溶体化温度が1300℃以上であり、前記時効処
理温度はγ’相が析出する温度であることを特徴とする
強度及び耐食性に優れた単結晶Ni基超合金の製造法。
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JP2010037658A (ja) * | 2008-08-06 | 2010-02-18 | General Electric Co <Ge> | ニッケル基超合金、その一方向凝固プロセス並びに得られる鋳造品 |
CN102732750A (zh) * | 2011-04-08 | 2012-10-17 | 中国科学院金属研究所 | 一种低成本、低密度镍基单晶高温合金 |
CN104745992A (zh) * | 2015-04-26 | 2015-07-01 | 邢桂生 | 发动机涡轮用高温合金的热处理方法 |
CN104928604A (zh) * | 2015-06-30 | 2015-09-23 | 西北工业大学 | 镍基单晶高温合金固溶处理方法 |
WO2019103210A1 (ko) * | 2017-11-21 | 2019-05-31 | 한국기계연구원 | 니켈기 단결정 초내열합금 및 이의 제조방법 |
-
2001
- 2001-10-19 JP JP2001322183A patent/JP4184648B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2019103210A1 (ko) * | 2017-11-21 | 2019-05-31 | 한국기계연구원 | 니켈기 단결정 초내열합금 및 이의 제조방법 |
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