JP2003128930A - 複合誘電体材料および基板 - Google Patents
複合誘電体材料および基板Info
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Abstract
域において9以上の高い誘電率εを有するとともに、成
形性及び加工性に優れ、小型機器への対応が容易な複合
誘電体材料およびこれを用いた基板を提供する。 【解決手段】 誘電体セラミクスが有機高分子樹脂中に
分散している複合誘電体材料において、誘電体セラミク
スの組成をxBaO−yNd2O3 −zTiO2と表した
とき、6.67<x<21.67(mol%),6.6
7<y<26.67(mol%),61.66<z<7
6.66(mol%),y>−2x+40,とする。す
ると、高いQ値を維持しつつ、2GHzという高周波帯
域において9以上の高い誘電率εを有することが可能と
なる。有機高分子樹脂としては、ポリビニルベンジルエ
ーテル化合物を用いることが好ましい。
Description
用に好適な複合誘電体材料および基板に関する。
小型化、軽量化、高速化が強く望まれている。特に、自
動車電話、デジタル携帯電話等の携帯移動体通信、衛星
通信に使用される電波の周波数帯域はメガからギガHz
帯(以下、「GHz帯」という)の高周波帯域のものが
使用されている。使用される通信機器の急速な発展の中
で、匡体および基板、電子素子の小型高密度実装化が図
られているが、高周波帯域に対応した通信機器の小型
化、軽量化をより一層推進するためには、通信機器に使
用される基板等の材料はGHz帯において高周波伝送特
性が優れた(誘電損失が小さい)ものでなければならな
い。ここで、誘電損失は周波数と基板の誘電率εと誘電
正接(以下tanδと記載する)の積に比例する。よっ
て、誘電損失を小さくするためには基板のtanδを小
さくしなければならない。また、基板中では電磁波の波
長が1/√εに短縮されるため、誘電率εが大きい程基
板の小型化が可能である。以上のことから高周波帯域で
使用される小型の通信機器、電子機器、情報機器に用い
る回路基板としては、誘電率εが高く、かつtanδが
小さい材料特性が要求されている。
材料として誘電体セラミクス、有機材料としてフッ素樹
脂等が用いられている。さらに、有機材料と無機材料の
複合体として熱硬化性樹脂とチタン酸バリウム等の誘電
体セラミクスを混合してなる複合基板も用いられている
(例えば特開平1−245053号、特開平4−307
788号公報等参照)。ところが、上記誘電体セラミク
スからなる基板は、誘電率ε、tanδの特性は優れて
いるが寸法精度、加工性に難点があり、脆いため欠けや
割れが生じやすいという問題点があった。他方、樹脂等
の有機材料からなる基板は、成形性及び加工性に優れt
anδも小さいという利点はあるが、誘電率εが小さい
という問題があった。このため、近年、両者の利点を有
する基板を得るため、チタン酸バリウム等の誘電体セラ
ミクスを有機高分子樹脂と混合した複合基板が提案され
ている。しかしながら、従来の複合基板は、誘電体セラ
ミクスに比べ寸法精度、加工精度が改善され、また有機
基板に比べ誘電率εが改善されているものの、GHz帯
の高周波帯域において、誘電率εは3程度と低く、ta
nδは50×10-4程度と高く、いずれも不十分であっ
た。
9712号公報は、BaO−Nd2O3 −TiO2−Bi
2O3−Mn系の誘電体セラミクスと有機高分子樹脂を混
合してなる樹脂−セラミクス複合材を提案している。こ
の特開平8−69712号公報記載の樹脂−セラミクス
複合材によれば、低いtanδ、つまり高いQ値(ここ
で、Qはtanδの逆数であり、Q=1/tanδ)を
得ることができるとともに、GHz帯の高周波帯域にお
いて4以上の誘電率εを得ることができる。
使用周波数帯はどんどん高周波帯域へ移行していくこと
を考慮すると、GHz帯の高周波帯域において、より高
い誘電率εを得ることができる複合誘電体材料が望まれ
る。そこで本発明は、高いQ値を維持しつつ、GHz帯
の高周波帯域において9以上の高い誘電率εを有すると
ともに、成形性及び加工性に優れ、小型機器への対応が
容易な複合誘電体材料およびこれを用いた基板を提供す
ることを課題とする。
材料の高周波特性を改善すべく、誘電体セラミクスの組
成について様々な検討を行った。その結果、xBaO−
yNd2O3 −zTiO2で表される誘電体セラミクスに
おいて、x、yおよびzの最適な範囲を知見した。すな
わち、本発明は、xBaO−yNd2O3 −zTiO2と
表したとき、6.67<x<21.67(mol%),
6.67<y<26.67(mol%),61.66<
z<76.66(mol%),y>−2x+40,とな
る誘電体セラミクスが、有機高分子樹脂中に分散してい
ることを特徴とする複合誘電体材料を提供する。本発明
による複合誘電体材料によれば、高いQ値を維持しつ
つ、2GHzという高周波帯域において9以上の高い誘
電率εを有することが可能となる。本発明において、誘
電体セラミクスと有機高分子樹脂との合計を100vo
l%としたとき、誘電体セラミクスの含有量が20vo
l%以上70vol%未満とすることが好ましい。
Oを他のアルカリ土類金属の酸化物の1種または2種以
上で50mol%未満置換することができる。ここで、
他のアルカリ土類金属としては、Mg,Ca,Srが挙
げられる。これらの酸化物の1種または2種以上でBa
Oを置換することにより、誘電率εおよびQ値を所望の
範囲に変動させることができる。他のアルカリ土類金
属、つまりMg,Ca,Srの中で特に好ましいのがC
aであり、BaOの一部をCaOで5〜40mol%置
換した場合には、9.5以上の誘電率εおよび400以
上のQ値(Q=1/tanδ、tanδは誘電正接)を得ること
ができる。また、本発明において、有機高分子樹脂はポ
リビニルベンジルエーテル化合物であることが好まし
い。ポリビニルベンジルエーテル化合物は、他の有機高
分子樹脂と比較して、誘電率εが低く、Q値が高いとい
う優れた電気特性を有する(ε=2.5、Q=26
0)。ポリビニルベンジルエーテル化合物は、こうした
電気特性を有するとともに、優れた耐熱性および耐薬品
性を有するとともに、吸水率が非常に低く、しかも各種
材料との接着性に優れるという特徴を有する。よって、
本発明における有機高分子樹脂としてポリビニルベンジ
ルエーテル化合物を用いることにより、吸水率が非常に
低く、耐熱性および耐薬品性に優れた基板を得ることが
できる。
材を添加することができる。補強材は、機械的強度や寸
法安定性を向上させる上で有効であり、特に、本発明の
複合誘電体材料を用いて回路用基板を作製するにあたっ
ては、所定量の補強材を有機高分子樹脂に含有せしめる
ことが好ましい。また、本発明者は、誘電体セラミクス
の平均粒径と、誘電率εおよびQ値は比例することを知
見した。誘電体セラミクスの平均粒径は0.5〜20μ
mとすることが好ましく、平均粒径をこの範囲とするこ
とにより、高いQ値を維持しつつ、2GHzで9以上の
誘電率εを得ることができる。
iO2で表される誘電体セラミクス粉末と、有機高分子
樹脂との混合物を硬化して得られる基板であって、誘電
体セラミクス粉末と有機高分子樹脂との合計を100v
ol%としたとき、誘電体セラミクス粉末の含有量が2
0vol%以上70vol%未満であり、2GHzで9
以上の誘電率を有することを特徴とする基板を提供す
る。ここで、本発明における基板とは、電子部品を搭載
するための回路基板や多層基板、あるいは半導体素子を
収納するための半導体パッケージ用基板等を意味する。
また、本発明における基板によれば、2GHzという高
周波帯域において、基板を構成する有機高分子樹脂のQ
値(Q=1/tanδ、tanδは誘電正接)よりも高いQ値を
有することができる。さらに、本発明の基板において、
誘電体セラミクス粉末の組成をxBaO―yNd2O3
−zTiO2と表したとき、6.67<x<21.67
(mol%),6.67<y<26.67(mol
%),61.66<z<76.66(mol%),y>
−2x+40,とすることが好ましい。また、誘電体セ
ラミクス粉末は、平均粒径が0.5〜20μmであるこ
とが好ましい。
体セラミクスが有機高分子樹脂中に分散しており、誘電
体セラミクスの組成がxBaO−yNd2O3 −zTi
O2と表したとき、6.67<x<21.67(mol
%),6.67<y<26.67(mol%),61.
66<z<76.66(mol%),y>−2x+40
であることを特徴としている。次に、x,y,zの限定
理由について述べる。xが6.67以下となると、誘電
率εが低下する。一方、xが21.67以上となると、
Q値が低下してしまう。よって、6.67<x<21.
67(mol%)とする。また、yが6.67以下の場
合、およびyが26.67以上の場合には、誘電率εが
低下する。よって、6.67<y<26.67とする。
同様に、zが61.66以下の場合、およびzが76.
66以上の場合には、やはり誘電率εが低下してしま
う。よって、61.66<z<76.66とする。本発
明の誘電体セラミクスの組成をxBaO−yNd2O3
−zTiO2と表したときに、x,y,zを上記の範囲
とすることによって、GHz帯域においても良好なQ値
を維持しつつ、2GHzで9以上の高い誘電率εを有す
る複合誘電体材料を得ることができる。本発明の基板は
粘着性に優れており、積層が容易である。x,y,zの
好ましい範囲は、12≦x≦20、12≦y≦17、6
4≦z≦75である。x,y,zの範囲をこの範囲とす
ることによって、9.5以上の誘電率ε(at 2GH
z)および300以上のQ値を得ることもできる。
セラミクスと有機高分子樹脂との合計を100vol%
としたとき、誘電体セラミクスの含有量は20vol%
以上70vol%未満とする。誘電体セラミクスの量が
20vol%未満になる(有機高分子樹脂の量が80v
ol%以上になる)、基板としての寸法安定性を欠くと
ともに、誘電率εが低下してしまう。つまり、誘電体セ
ラミクスを含有する効果があまりみられない。一方、誘
電体セラミクスの量が70vol%以上になる(有機高
分子樹脂の量が30vol%未満になる)と、プレス成
形の際、流動性が非常に悪くなり、緻密な成形物が得ら
れなくなる。その結果、水等の侵入が容易になり電気特
性の劣化につながる。また、誘電体セラミクスを添加し
ない場合に比べて、Q値が大きく低下することもある。
よって、誘電体セラミクスの含有量は20vol%以上
70vol%未満とする。望ましい誘電体セラミクスの
含有量は25〜65vol%、さらに望ましい誘電体セ
ラミクスの含有量は30〜60vol%である。
一部を他のアルカリ土類金属の酸化物で置換することが
できる。ここで、他のアルカリ土類金属としては、M
g,Ca,Srのうち一種または二種以上とすることが
できる。BaOの一部をMgO,CaO,SrOのうち
一種または二種以上によって置換することにより、Q値
および誘電率εを変動させることができ、2GHzにお
いて9以上という高い誘電率εを維持しつつ、Q値を向
上させることが可能となる。
うち一種または二種以上で置換する場合の望ましい置換
量は50mol%未満であり、より望ましい置換量は、
5〜45mol%、さらに望ましい置換量は10〜30
mol%である。置換量を50mol%未満とすること
によって、上記の効果、すなわち、2GHzにおいて9
以上という高い誘電率εを維持しつつ、Q値を向上させ
ることができる。ところが、置換量が50mol%以上
になると、Q値が著しく低下してしまう。よって、置換
量は50mol%未満とすることが望ましい。より具体
的には、BaOの一部をMgOまたはSrOで置換する
場合の望ましい置換量は30mol%未満、より望まし
くは5〜25mol%である。また、BaOの一部をC
aOで置換する場合の望ましい置換量は50mol%未
満、より望ましくは5〜40mol%である。後述の実
施例に示す通り、BaOの一部をCaOによって置換す
ることが特に好ましい。BaOの一部を所定量のCaO
で置換した場合には、2GHzという高周波帯域で9.
5以上の高い誘電率εおよび400以上のQ値を得るこ
とができる。
20μmとする。誘電体セラミクスの平均粒径が0.5
μm未満になると、高い誘電体特性、具体的にはGHz
帯域において9以上の誘電率εを得ることが困難であ
る。また、誘電体セラミクスの平均粒径が0.5μm未
満と小さい場合には、有機高分子樹脂との混練がしにく
いという不都合も生じ、誘電体セラミクスの粒子が凝集
して不均一な混合体となるなど、取り扱いが困難とな
る。一方、誘電体セラミクスの平均粒径が20μmを超
えると、誘電体特性は良好であるものの、基板の厚みよ
りも径が大きい粒子が存在することとなり、好ましくな
い。その上、粒径が20μmを超えると、有機高分子樹
脂との均一な分散・混合が困難となるとともに、基板の
表面に凸凹が生じやすい。よって、誘電体セラミクスの
平均粒径は、0.5〜20μmとする。誘電体セラミク
スの望ましい平均粒径は1〜10μm、さらに望ましい
平均粒径は1.5〜6μmである。誘電体セラミクスの
平均粒径を0.5〜20μmとすることによって、2G
Hzという高い周波数帯域においても、9以上の誘電率
εおよび290以上のQ値を得ることが可能となる。
法により焼成して得られたものであり、その焼成条件に
も特に制限はないが、焼成温度としては1000〜14
00℃程度であることが好ましい。
機高分子樹脂について説明する。有機高分子樹脂として
は、重量平均絶対分子量が1000以上の1種または2
種以上の樹脂で構成される樹脂組成物であって、炭素原
子と水素原子の原子数の和が99%以上からなり、かつ
樹脂分子間の一部またはすべてが相互に化学的結合して
いる耐熱性低誘電性高分子材料であることが好ましい。
このような構成を有する有機高分子樹脂を用いることに
よって、高周波数帯域において、高い誘電率εおよび高
いQ値を有する複合誘電体材料を得ることができる。
00以上の樹脂組成物の耐熱性低誘電性高分子材料を用
いるのは、十分な強度、金属との密着性、および耐熱性
を得るためである。重量平均絶対分子量が1000より
小さいと、機械的物性、耐熱性が不足してしまう。ま
た、炭素と水素の原子数の和を99%以上とするのは、
存在する化学的結合を非極性結合とするためであり、こ
れにより高いQ値が得られやすくなる。一方、炭素と水
素の原子数の和が99%より少ない場合、特に酸素原子
や、窒素原子などの有極性分子を形成する原子数が1%
より多く含まれる場合には、Q値が小さくなってしま
う。特に好ましい重量平均絶対分子量は3000以上、
さらに好ましくは5000以上である。このときの重量
平均絶対分子量の上限に特に制限はないが、通常100
0万程度である。
低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超超低密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低分子量ポリエ
チレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−プロピレ
ン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ4−メ
チルペンテン等の非極性α−オレフィンの単独ないし共
重合体[以下、(共)重合体ともいう]、ブタジエン、
イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエ
ン、オクタジエン、フェニルブタジエン、ジフェニルブ
タジエン等の共役ジエンの各単量体の(共)重合体、ス
チレン、核置換スチレン、例えばメチルスチレン、ジメ
チルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレ
ン、クロルスチレン、α−置換スチレン、例えばα−メ
チルスチレン、α−エチルスチレン、ジビニルベンゼ
ン、ビニルシクロヘキサン等の炭素環含有ビニルの各単
量体の(共)重合体等が挙げられる。
好ましいのは、ポリビニルベンジルエーテル化合物であ
る。ポリビニルベンジルエーテル化合物としては、式
(1)で表されるものが好ましい。
基を表す。R2は水素原子または炭素数1〜10の炭化
水素基を表す。R2で表される炭化水素基は、各々置換
基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリ
ール基、等である。アルキル基としてはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基等であり、アラルキル基と
してはベンジル基等であり、アリール基としてはフェニ
ル基等である。
表し、水素原子は式(1)の化合物を合成する場合の出
発化合物に由来するものであり、水素原子とビニルベン
ジル基とのモル比は60:40〜0:100が好まし
く、より好ましくは40:60〜0:100である。n
は2〜4の数である。
とのモル比を上記範囲とすることにより、誘電体を得る
際の硬化反応を十分に進行させることができ、また十分
な誘電特性を得ることができる。これに対し、R3が水
素原子である未反応物が多くなると硬化反応が十分に進
行しなくなり、十分な誘電特性が得られなくなる。
等の組合せで以下に示すが、これらに限定されるもので
はない。
おいてR3=Hであるポリフェノールと、ビニルベンジ
ルハライドとを反応させることにより得られる。この詳
細については、特開平9−31006号公報の記載を参
照することができる。
物は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。ま
た、本発明のポリビニルベンジルエーテル化合物は、そ
れのみを樹脂材料として重合して用いてもよく、他のモ
ノマーと共重合させて用いてもよく、さらには、他の樹
脂と組み合わせて使用することができる。共重合可能な
モノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、
ジビニルベンゼン、ジビニルベンジルエーテル、アリル
フェノール、アリルオキシベンゼン、ジアリルフタレー
ト、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニ
ルピロリドン等が挙げられる。これらのモノマーの配合
割合は、ポリビニルベンジルエーテル化合物に対して、
2〜50質量%程度である。
樹脂としては、例えばビニルエステル樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、マレイミド樹脂、ポリフェノールのポリ
シアネート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニ
ルベンジル化合物等の熱硬化性樹脂や、例えばポリエー
テルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアセタール、
ジシクロペンタジエン系樹脂等の熱可塑性樹脂がある。
その配合割合は、本発明のポリビニルベンジルエーテル
化合物に対して5〜90質量%程度である。中でも好ま
しくは、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、マレイミド樹脂、ポリフェノールのポリシアネート
樹脂、エポキシ樹脂およびこれらの混合物からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種である。
物自体、あるいはこの化合物と他のモノマーまたは熱硬
化性樹脂とを含有してなる硬化性樹脂組成物の重合およ
び硬化は、公知の方法で行うことができる。硬化は、硬
化剤の存在下または不存在下のいずれでも可能である。
硬化剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、メチルエチ
ルケトンパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブ
チルパーベンゾエート等の公知のラジカル重合開始剤を
使用することができる。使用量は、ポリビニルベンジル
エーテル化合物100質量部に対して0〜10質量部で
ある。硬化温度は、硬化剤の使用の有無および硬化剤の
種類によっても異なるが、十分に硬化させるためには、
20〜250℃、好ましくは50〜250℃である。ま
た、硬化の調整のために、ハイドロキノン、ベンゾキノ
ン、銅塩等を配合してもよい。
材を添加することができる。補強材は機械的強度や寸法
安定性を向上させる上で有効であり、回路用基板を作製
するにあたっては、通常、所定量の補強材が有機高分子
樹脂に添加される。補強材としては、繊維状または板状
あるいは粒状などの非繊維状の補強材を挙げることがで
きる。繊維状の補強材としては、ガラス繊維、アルミナ
繊維、硼酸アルミニウム繊維、セラミック繊維、炭化珪
素繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステン
レス繊維、スチール繊維、金属繊維、ホウ酸マグネシウ
ムウィスカまたはその繊維、チタン酸カリウムウィスカ
またはその繊維、酸化亜鉛ウィスカ、ボロンウィスカ繊
維等の無機繊維および炭素繊維、芳香族ポリアミド繊
維、アラミド繊維、ポリイミド繊維などが挙げられる。
繊維状の補強材を用いる場合には、特開2001−18
7831号公報等に記載の、いわゆる含浸方法を採用す
ることができる。要するに、誘電体セラミクス粉末と有
機高分子樹脂とがスラリー状に調整された塗工槽に、シ
ート状に成形した繊維状の補強材を浸漬すればよい。ま
た、非繊維状の補強材としては、ワラステナイト、セリ
サイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、ア
スベスト、タルク、アルミナシリケート、パイロフィラ
イト、モンモリロナイト等の珪酸塩、二硫化モリブデ
ン、アルミナ、塩化珪素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの
炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、
ポリリン酸カルシウム、グラファイト、ガラスビーズ、
ガラスマイクロバルーン、ガラスフレーク、窒化ホウ
素、炭化珪素およびシリカなどの針状、板状、あるいは
粒状の補強材などが挙げられ、これらは中空であっても
よい。非繊維状の補強材を用いる場合には、有機高分子
樹脂に添加すればよい。
く、2種類以上併用することが可能であり、必要により
シラン系ならびにチタン系カップリング剤で予備処理し
て使用することができる。本発明に用いる特に好ましい
補強材は、ガラス繊維である。ガラス繊維の種類は、一
般に樹脂の強化用に用いられるものなら特に限定はな
く、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドス
トランド、チョップドストランドマット、連続長繊維マ
ット、織物、編物等の布帛状ガラス、ミルドファイバー
などから選択して用いることができる。
0〜30wt%の範囲であることが好ましい。より好ま
しくは15〜25wt%である。
造方法に従うことが好ましい。まず、誘電体セラミクス
粉末と有機高分子樹脂を所定量ずつ調合して混合する。
なお、混合は、例えば、乾式混合によっても行えるが、
ボールミル、攪拌機等でトルエン、キシレン等の有機溶
剤中で十分に混合でするのが望ましい。このスラリーを
90〜120℃で乾燥し、誘電体セラミクス粉末と有機
高分子樹脂との固まりを得る。この固まりを粉砕して誘
電体セラミクスと有機高分子樹脂の混合粉末を得る。ス
ラリーから混合粉末にする方法は、スプレードライヤー
等の顆粒製造装置を用いてもよい。混合粉末の平均粒径
は50〜1000μm程度とすればよい。次に、この混
合粉末を100〜150℃で所望の形状にプレス成形
し、この成形物を100〜200℃、30〜180分硬
化させる。この硬化に際しては、前述の補強材を存在さ
せてもよい。
に、誘電体セラミクス粉末を、ポリビニルベンジルエー
テル化合物等の有機高分子樹脂の重合ないし硬化前に混
合することが好ましいが、場合によっては、重合ないし
硬化後に混合してもよい。ただし、完全に硬化した後に
おける誘電体セラミクス粉末の混合は望ましくない。
て、あるいはバルク状や所定形状の成形体で、そしてフ
ィルム状のラミネーションとして、など種々の形態で用
いることができる。したがって高周波用の電子機器や電
子部品(共振器、フィルタ、コンデンサ、インダクタ、
アンテナ等)の各種基板、チップ部品としてのフィルタ
(例えば多層基板であるCフィルタ)や共振器(例えば
トリプレート型共振器)、あるいは誘電体共振器等の支
持台、さらには各種基板ないし電子部品のハウジング
(例えばアンテナ棒ハウジング)、ケーシング、あるい
は電子部品やそのハウジングやケーシング等に用いるこ
とができる。基板としては従来のガラエポ基板の代替品
としての用途が期待され、具体的には部品搭載用オンボ
ード基板、Cu張り積層板およびメタルベース/メタル
コア基板等が挙げられる。さらには回路内蔵基板、アン
テナ基板(パッチアンテナ等)にも用いることができ
る。また、CPU用オンボード基板にも用いることがで
きる。
末を挟んでプレスしながら硬化させて行うことや、完全
硬化する前の段階で片面もしくは両面にCu箔等の金属
箔を張り付け、プレスしながら硬化させて行うことや、
プレスで金属箔をつけて仮硬化させた後、別に熱処理に
よって硬化を進めて行うことや、成形物を硬化させた
後、金属の蒸着やスパッタ、無電解めっきや(樹脂)電
極等の塗布により行うことができる。
スおよびこれらを用いた基板は、GHz帯域においても
好適に使用することができ、周波数帯域が2GHzの場
合において9以上の誘電率ε、および260以上のQ値
を有することができる。
詳細に説明する。 (実施例1)まず、誘電体セラミクス粉末(平均粒径
1.2μm)とポリビニルベンジルエーテル化合物(誘
電率ε=2.5、Q値=261)を表1〜表3に示す組
成になるように調合し、ボールミルにて16時間、トル
エンに希釈溶解させた。次いで、誘電体セラミクス粉末
とポリビニルベンジルエーテル化合物の混合物を110
℃で約1.5時間乾燥させた。乾燥後、これを粉砕し
て、誘電体セラミクスとポリビニルベンジルエーテル化
合物の混合粉末を得た。この混合粉末を、355μmの
篩を通過させた後、金型に入れ、150℃で30分成型
した。次いで、型から取り出した後、180℃で8時間
硬化させて、23個の試料(試料No.1〜試料No.
17、比較例1〜比較例6)を作製した。各試料は、厚
さ1.5mmで1.5mm×100mmの基板である。
o.7、比較例1、比較例2は、Nd2O3 量を16.
67mol%に固定し、BaO量およびTiO2量を変
動させたものである。また表2に示すように、試料N
o.8〜試料No.12、比較例3、比較例4は、Ti
O2量を66.66mol%に固定し、BaO量および
Nd2O3 量を変動させたものである。さらに、表3に
示すように、試料No.13〜試料No.17、比較例
5、比較例6は、BaO量を16.67mol%に固定
し、Nd2O3 量およびTiO2量を変動させたものであ
る。
(1)において、R1がメチル基、R2がベンジル基、R
3の水素原子とビニルベンジル基とのモル比が、水素原
子:ビニルベンジル基=0:100、n=3のものであ
る。
(2GHz)を空洞共振器法(摂動法)により測定した
(ヒューレットパッカード(株)製83260A、87
57Cを使用)。さらには、tanδおよびQ値を求め
た。その結果を併せて表1〜表3に示す。
17のように、BaO量、Nd2O3量、TiO2量をそ
れぞれ適切な範囲とすることによって、誘電率εを9以
上かつQ値をポリビニルベンジルエーテル化合物のQ値
(261)よりも高い値とすることができる。一方、B
aO量、Nd2O3 量、TiO2量のバランスが崩れる
と、比較例1〜比較例6のように誘電率εが9未満また
は/およびQ値がポリビニルベンジルエーテル化合物の
Q値(261)よりも低い値を示す。
び比較例1〜比較例6を用いて、BaO量、Nd2O3
量、TiO2量の適切な範囲を検討する。図1は、試料
No.1〜試料No.17の組成および比較例1〜比較
例6の組成をプロットしたものである。ここで、表1に
示した試料No.1〜試料No.7、比較例1、比較例
2のBaO量、Nd2O3 量、TiO2量はそれぞれ直線
a上にプロットされる。同様に、表2に示した試料N
o.8〜試料No.12、比較例3、比較例4のBaO
量、Nd2O3 量、TiO2量はそれぞれ直線b上に、表
3に示した試料No.13〜試料No.17、比較例
5、比較例6のBaO量、Nd2O3 量、TiO2量はそ
れぞれ直線cにプロットされる。
について検討する。図1を見ると、BaO量が最も多い
のは、直線a上の比較例2および直線b上の比較例3で
あり、ともにBaO量は21.67mol%である。こ
こで、直線a上の比較例2(BaO量:21.67mo
l%)および試料No.7(BaO量:20.67mo
l%)に着目すると、表1に示したように、BaO量が
20.67mol%である試料No.7は9.69と良
好な誘電率εを示すとともに、299.8という、ポリ
ビニルベンジルエーテル化合物のQ値(261)よりも
高いQ値を示す。これに対し、BaO量が21.67m
ol%である比較例2は、9.74と良好な誘電率εを
示すものの、Q値は256.3とポリビニルベンジルエ
ーテル化合物のQ値(261)よりも低い値を示す。ま
た、表2に示したように、直線b上の比較例3(BaO
量:21.67mol%)および試料No.8(BaO
量:20.67mol%)についても、直線a上の比較
例2(BaO量:21.67mol%)および試料N
o.7(BaO量:20.67mol%)と同様の関係
が見られる。よって、BaO量が21.67mol%以
上になると、ポリビニルベンジルエーテル化合物のQ値
(261)よりも高いQ値を得ることが困難であると推
測される。
いのは、直線b上の比較例4であり、そのBaO量は
6.67mol%である。ここで、直線b上の比較例4
(BaO量:6.67mol%)および試料No.12
(BaO量:7.67mol%)に着目すると、表2に
示したように、BaO量が7.67mol%である試料
No.12は、9以上の誘電率εおよび321.0とい
う良好なQ値を示す。一方、BaO量が6.67mol
%である比較例4は、316.6という良好なQ値を示
すものの、誘電率εは8.87まで低下してしまう。よ
って、BaO量が6.67mol%以下になると、9以
上の誘電率εを得ることが困難であると推測される。以
上の結果から、誘電率εを9以上かつQ値をポリビニル
ベンジルエーテル化合物のQ値(261)よりも高い値
とするためには、6.67mol%<BaO量<21.
67mol%とすることが有効であることがわかった。
について検討する。図1を見ると、Nd2O3 量が最も
多いのは、直線b上の比較例4であり、そのNd2O3
量は26.67mol%である。ここで、直線b上の比
較例4(Nd2O3 量:26.67mol%)および試
料No.12(Nd2O3 量:25.67mol%)に
着目すると、表2に示したように、Nd2O3 量が2
5.67mol%である試料No.12は9以上の誘電
率εを示すとともに、321.0という高いQ値を示
す。これに対し、Nd2O3 量が26.67mol%で
ある比較例4は、316.6という良好なQ値を示すも
のの、誘電率εは8.87まで低下してしまう。よっ
て、Nd2O3 量が26.67mol%以上になると、
9以上の誘電率εを得ることが困難であると推測され
る。
少ないのは、直線c上の比較例6であり、そのNd2O3
量は6.67mol%である。ここで、直線c上の比
較例6(Nd2O3 量:6.67mol%)および試料
No.17(Nd2O3 量:7.67mol%)に着目
すると、表3に示したように、Nd2O3 量が7.67
mol%である試料No.17は、9以上の誘電率εお
よびポリビニルベンジルエーテル化合物のQ値(26
1)よりも高いQ値を示す。一方、Nd2O3 量が6.
67mol%である比較例6のQ値は297.4と良好
であるものの、誘電率εは8.88まで低下してしま
う。よって、Nd2O3 量が6.67mol%以下にな
ると、9以上の誘電率εを得ることが困難であると推測
される。以上の結果から、誘電率εを9以上かつQ値を
ポリビニルベンジルエーテル化合物のQ値(261)よ
りも高い値とするためには、6.67mol%<Nd2
O3 量<26.67mol%とすることが有効であるこ
とがわかった。
について検討する。図1を見ると、TiO2量が最も多
いのは、直線c上の比較例6であり、そのTiO2量は
76.66mol%である。ここで、直線c上の比較例
6(TiO2量:76.66mol%)および試料N
o.17(TiO2量:75.66mol%)に着目す
ると、表3に示したように、TiO2量が75.66m
ol%である試料No.17は9以上の誘電率εおよび
298.8というビニルベンジルエーテル化合物のQ値
よりも高いQ値を得ている。これに対し、TiO2量が
76.66mol%である比較例6の誘電率εは8.8
8と、9以下の値を示す。よって、TiO2量が76.
66mol%以上になると、9以上の誘電率εを得るこ
とが困難であると推測される。
ないのは、直線a上の比較例2および直線c上の比較例
5であり、ともにTiO2量は61.66mol%であ
る。ここで、直線a上の比較例2(TiO2量:61.
66mol%)および試料No.7(TiO2量:6
2.66mol%)に着目すると、表1に示したよう
に、TiO2量が62.66mol%である試料No.
7は9.69と良好な誘電率εを示すとともに、29
9.8という、ポリビニルベンジルエーテル化合物のQ
値(261)よりも高いQ値を示す。これに対し、Ti
O2量が61.66mol%である比較例2は、9.7
4と良好な誘電率εを示すものの、Q値は256.3と
ポリビニルベンジルエーテル化合物のQ値(261)よ
りも低い値を示す。また、表3に示したように、直線c
上の比較例5(TiO2量:61.66mol%)およ
び試料No.13(TiO2量:62.66mol%)
についても、直線a上の比較例2(TiO2量:61.
66mol%)および試料No.7(TiO2量:6
2.66mol%)と同様の関係が見られる。よって、
TiO2量が61.66mol%以下になると、ポリビ
ニルベンジルエーテル化合物のQ値(261)よりも高
いQ値を得ることが困難であると推測される。以上の結
果から、誘電率εを9以上かつQ値をポリビニルベンジ
ルエーテル化合物のQ値(261)よりも高い値とする
ためには、61.66mol%<TiO2量<76.6
6mol%とすることが有効であることがわかった。
量:11.67mol%、Nd2O3量:16.67mo
l%、TiO2量:71.66mol%)、比較例4
(BaO量:6.67mol%、Nd2O3 量:26.
67mol%、TiO2量:66.66mol%)、比
較例6(BaO量:16.67mol%、Nd2O3
量:6.67mol%、TiO2量:76.66mol
%)は同一直線上に位置していることがわかる。ここ
で、比較例1、比較例4、比較例6のBaO量およびN
d2O3 量に基づき、この直線を求めると、BaOの係
数xとNd2O3 の係数yは、y=−2x+40の関係
にあることが導き出せる。そして、この直線上に位置す
る比較例1、比較例4、比較例6は、上述の通り、誘電
率εが9未満またはQ値がポリビニルベンジルエーテル
化合物のQ値(261)よりも低い値を示す。よって、
本発明では、BaO量とNd2O3 量の関係は、y>−
2x+40とする。
スをxBaO−yNd2O3 −zTiO2とで表したと
き、6.67<x<21.67(mol%)、6.67
<y<26.67(mol%)、61.66<z<7
6.66(mol%)、y>−2x+40の範囲とする
ことにより、誘電率εを9以上かつQ値をポリビニルベ
ンジルエーテル化合物のQ値(261)よりも高い値と
することができることがわかった。ここで、この範囲を
図1に示すと、ほぼホームベースのような形となり、試
料No.1〜試料No.17はいずれもこの範囲に含ま
れる。また、試料No.1〜試料No.6、試料No.
9、試料No.15については、誘電率εが9.5以上
かつQ値が300以上という非常に良好な誘電体特性を
示していることが注目される。よって、x、y、zの好
ましい範囲は、12≦x≦20、12≦y≦17、64
≦z≦75であるといえる。
の変動に伴う誘電特性の変動を確認するために行った実
験を、実施例2として説明する。誘電体セラミクスの組
成を16.67BaO−16.67Nd2O3 −66.
66TiO2(mol%)とし、誘電体セラミクス粉末
の平均粒径(以下、適宜「誘電体粒子径」という)を表
4に示すような値とする以外は実施例1と同一の条件で
試料を作製した。誘電体セラミクス粉末とポリビニルベ
ンジルエーテル化合物の体積比は40vol%:60v
ol%である。次に、作製した各試料について、誘電率
ε(2GHz)を空洞共振器法(摂動法)により測定し
た(ヒューレットパッカード(株)製83260A、8
757Cを使用)。さらには、tanδおよびQ値を求
めた。その結果を併せて表4に示す。また、誘電体粒子
径と誘電率εの関係を図2に示す。
径が大きくなるにつれて、誘電率εが増加する。具体的
には、誘電体粒子径が0.4μmの場合(比較例7)の
誘電率εは8.82であるのに対し、誘電体粒子径が
0.6μm(試料No.18)になると、誘電率εは
9.00まで向上する。そして、誘電体粒子径が4.0
μm程度になると、10以上の誘電率εを示す。また、
表4に示したように、Q値についても誘電体粒子径と比
例関係にあり、誘電体粒子径が大きくなるに従って、Q
値も増加する。すなわち、誘電体粒子径が0.4μmの
場合(比較例7)のQ値は283であるのに対し、誘電
体粒子径が0.6μm(試料No.18)になるとQ値
は295まで増加する。さらに誘電体粒子径が0.9μ
m(試料No.19)になると、300以上のQ値を示
す。以上の結果から、誘電体粒子径を0.5μm以上と
することによって、2GHzの周波数帯域において9以
上の誘電率εおよび290以上のQ値を得ることができ
ることがわかった。また、誘電体粒子径が4.0μm以
上である試料No.22〜試料No.24については2
GHzの周波数帯域において10以上の誘電率εおよび
300以上のQ値を得ていることが注目される。但し、
誘電体粒子径が20μmを超えると、有機高分子樹脂と
の均一な分散・混合が困難となるとともに、基板の表面
に凸凹が生じやすい。よって、誘電体セラミクスの平均
粒径は、0.5〜20μmとする。誘電体セラミクスの
望ましい平均粒径は1〜10μm、さらに望ましい平均
粒径は1.5〜6μmである。
で示される誘電体セラミクスのBaOの一部を他のアル
カリ土類金属の酸化物で置換した場合の効果を確認する
ために行った実験を、実施例3として説明する。誘電体
セラミクスの組成を16.67BaO−16.67Nd
2O3 −66.66TiO2(mol%)とし、誘電体セ
ラミクス粉末とポリビニルベンジルエーテル化合物(誘
電率ε=2.5、Q値=261)を表5〜表7に示す組
成になるように調合し、他の条件は実施例1と同一にし
て試料を作製した。表5はBaOをSrOで置換した場
合(試料No.26、比較例8、比較例9)、表6はB
aOをCaOで置換した場合(試料No.27、試料N
o.28、比較例10)、表7はBaOをMgOで置換
した場合(試料No.29、比較例11、比較例12)
の組成を示しているが、置換量はSrO置換、CaO置
換、MgO置換のいずれの場合についても10mol
%、30mol%、50mol%である。なお、誘電体
セラミクス粉末とポリビニルベンジルエーテル化合物と
の体積比は40vol%:60vol%である。
(2GHz)を空洞共振器法(摂動法)により測定した
(ヒューレットパッカード(株)製83260A、87
57Cを使用)。さらには、tanδおよびQ値を求め
た。誘電率ε、tanδ、Q値の測定結果を併せて表5
〜表7に示す。
い、誘電率εおよびQ値が変動することがわかる。Sr
O置換量が10mol%である試料No.26は、試料
No.25(SrO置換なし)よりも若干低い誘電率ε
を示すものの、依然として9以上の高い誘電率εを示
す。また、試料No.26(SrO置換量:10mol
%)のQ値は413であり、試料No.25(SrO置
換なし)のQ値よりも50以上高い値を示していること
が注目される。ところが、SrO置換量が30mol%
の場合(比較例8)のQ値は350であり、試料No.
25(SrO置換なし)のQ値よりも低い値を示す。さ
らに、SrO置換量が50mol%の場合(比較例9)
には、10.13という良好な誘電率εを示すものの、
Q値が234まで低下した。以上の結果から、BaOの
一部を所定量のSrOで置換することによって、9以上
の高い誘電率εを維持しつつ、Q値を向上させることが
できることがわかった。BaOをSrOで置換する場合
の好ましい置換量は、30mol%未満、より好ましく
は5〜25mol%程度、さらに好ましくは5〜15m
ol%程度であるといえる。置換量をこの範囲とするこ
とにより、9以上の誘電率εおよび400以上のQ値を
得ることも可能となる。
aO置換量:10mol%)および試料No.28(C
aO置換量:30mol%)は、9以上の高い誘電率ε
を示しつつ、400以上の高いQ値を得ていることがわ
かる。ところが、CaO置換量が50mol%(比較例
10)になると、Q値は242まで低下した。以上の結
果から、BaOの一部を所定量のCaOで置換した場合
においても、9以上の高い誘電率εを維持しつつ、Q値
を向上させることができることがわかった。BaOをC
aOで置換する場合の好ましい置換量は、50mol%
未満であるといえる。試料No.27(CaO置換量:
10mol%)は試料No.25(CaO置換なし)の
Q値よりも100以上高い値を示していること、また試
料No.28(CaO置換量:30mol%)は、誘電
率εおよびQ値がともに試料No.25(CaO置換な
し)の値を上回っていることから、より好ましい置換量
は5〜40mol%程度、さらに好ましくは5〜30m
ol%程度であるといえる。
Oにて置換した場合についても、上記と同様の傾向を示
すことがわかる。つまり、BaOの一部を所定量のMg
Oで置換することにより、9以上の高い誘電率εを維持
しつつ、Q値を向上させることができる。BaOをMg
Oで置換する場合の好ましい置換量は、30mol%未
満、より好ましくは5〜25mol%程度、さらに好ま
しくは5〜15mol%程度であるといえる。置換量を
この範囲とすることにより、9以上の誘電率εを維持し
つつ、MgO置換前のQ値よりも高いQ値を得ることが
できる。
TiO2で示される誘電体セラミクスのBaの一部を他
のアルカリ土類金属で置換することにより、誘電率εお
よびQ値を所望の範囲に変動せしめることができること
が明らかとなった。
高いQ値を維持しつつ、GHz帯の高周波帯域において
9以上の高い誘電率εを有するとともに、成形性及び加
工性に優れ、小型機器への対応が容易な複合誘電体材料
および基板を得ることができる。
1〜比較例6の組成をプロットした状態を示す図であ
る。
る。
Claims (11)
- 【請求項1】 xBaO−yNd2O3 −zTiO2と表
したとき、 6.67<x<21.67(mol%), 6.67<y<26.67(mol%), 61.66<z<76.66(mol%), y>−2x+40, となる誘電体セラミクスが、有機高分子樹脂中に分散し
ていることを特徴とする複合誘電体材料。 - 【請求項2】 前記誘電体セラミクスと前記有機高分子
樹脂との合計を100vol%としたとき、前記誘電体
セラミクスの含有量が20vol%以上70vol%未
満であることを特徴とする請求項1に記載の複合誘電体
材料。 - 【請求項3】 前記誘電体セラミクスにおいて、BaO
を他のアルカリ土類金属の酸化物の1種または2種以上
で50mol%未満置換したことを特徴とする請求項1
または2に記載の複合誘電体材料。 - 【請求項4】 前記誘電体セラミクスにおいて、BaO
の一部をCaOで5〜40mol%置換したことを特徴
とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合誘電体材
料。 - 【請求項5】 前記有機高分子樹脂は、ポリビニルベン
ジルエーテル化合物であることを特徴とする請求項1〜
4のいずれかに記載の複合誘電体材料。 - 【請求項6】 前記有機高分子樹脂は補強材で強化され
たものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
に記載の複合誘電体材料。 - 【請求項7】 前記誘電体セラミクスは、平均粒径が
0.5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜6
のいずれかに記載の複合誘電体材料。 - 【請求項8】 BaO−Nd2O3−TiO2で表される
誘電体セラミクス粉末と、有機高分子樹脂との混合物を
硬化して得られる基板であって、 前記誘電体セラミクス粉末と前記有機高分子樹脂との合
計を100vol%としたとき、前記誘電体セラミクス
粉末の含有量が20vol%以上70vol%未満であ
り、 2GHzで9以上の誘電率を有することを特徴とする基
板。 - 【請求項9】 2GHzで、前記有機高分子樹脂のQ値
(Q=1/tanδ、tanδは誘電正接)よりも高いQ値を有
することを特徴とする請求項8に記載の基板。 - 【請求項10】 前記誘電体セラミクス粉末の組成をx
BaO−yNd2O3 −zTiO2と表したとき、 6.67<x<21.67(mol%), 6.67<y<26.67(mol%), 61.66<z<76.66(mol%), y>−2x+40, であることを特徴とする請求項8または9に記載の基
板。 - 【請求項11】 前記誘電体セラミクス粉末は、平均粒
径が0.5〜20μmであることを特徴とする請求項8
〜10のいずれかに記載の基板。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001324179A JP4127995B2 (ja) | 2001-10-22 | 2001-10-22 | 複合誘電体材料および基板 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2005123841A1 (ja) * | 2004-06-16 | 2005-12-29 | Ntn Corporation | 高誘電性エラストマー組成物および誘電体アンテナ |
JP2006001989A (ja) * | 2004-06-16 | 2006-01-05 | Ntn Corp | 高誘電性エラストマー組成物 |
US11198263B2 (en) | 2018-03-22 | 2021-12-14 | Rogers Corporation | Melt processable thermoplastic composite comprising a multimodal dielectric filler |
-
2001
- 2001-10-22 JP JP2001324179A patent/JP4127995B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US7678853B2 (en) | 2004-06-16 | 2010-03-16 | Ntn Corporation | Highly dielectric elastomer composition and dielectric antenna |
US11198263B2 (en) | 2018-03-22 | 2021-12-14 | Rogers Corporation | Melt processable thermoplastic composite comprising a multimodal dielectric filler |
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