JP2003128542A - 可溶化性イソフラボン組成物、その製造法及びイソフラボン含有水性飲料の製造方法 - Google Patents

可溶化性イソフラボン組成物、その製造法及びイソフラボン含有水性飲料の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不溶性イソフラボンを可溶化し得るイソフラ
ボン組成物を提供することにある。また、本発明の他の
課題は、そのような可溶化性イソフラボン組成物を効率
的に製造する方法を提供することにある。本発明の更に
他の課題は、透明性が重要視される水性飲料に添加して
透明なイソフラボン含有飲料を提供する。 【解決手段】 10μm以下の粒子サイズを有するイソフ
ラボン粉末に、該イソフラボン1重量部当たり1〜100
重量部の範囲内のアラビアガムを配合して成る可溶化性
イソフラボン組成物、その効果的製造方法、並びにこれ
を水性飲料に添加して、0.5 〜 200mg/リットルの範
囲内のイソフラボン濃度に調整したのち、加熱,冷却す
る可溶化イソフラボン含有水性飲料を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イソフラボン組成
物に関し、特に、可溶化性イソフラボン組成物,該組成
物の製造方法及び可溶化状態のイソフラボンを含有する
水性飲料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】イソフラボンは、近年の研究において、
エストロゲン作用,抗酸化作用,抗癌作用及び骨密度低
下抑制作用などの生理作用を有する人体に有用な物質で
あり、各種の癌や骨粗鬆症等の予防や健康増進に極めて
有効であることが解明されてきた。健康を保持するため
の成人一人が一日に必要なイソフラボン量は、例えば、
20〜40mg程度であろうと推定されている。イソフラボ
ンは、例えば、豆類に多量に含有される物質で、日本人
は、通常の食生活においてかなりの量を摂取している
が、食生活の洋風化による摂取量の不足を補う必要か
ら、イソフラボン粉末が商品として市販されるようにな
った。
【0003】イソフラボン、すなわち、3−フェニルク
ロモンは、天然での存在は知られていないが、例えば、
豆科の植物、代表的には大豆からダイジン,グリシチン
やゲニスチンなど種々のイソフラボン誘導体が見出され
ており、抽出,分離されている。その抽出作業は、通
常、有機溶剤あるいは含水有機溶剤で抽出が行われてい
る。そのため、抽出液には、溶剤に可溶性の大豆サポニ
ン,大豆蛋白その他の成分類が、不純物として不可避的
に混入する。例えば、特開平4−266898号公報に
は、大豆胚軸を粉砕して5倍量の70%含水アルコールで
3回抽出し、更に含水ブタノールで抽出したのち減圧乾
燥するイソフラボン類取得方法が開示されている。
【0004】また、特開平10−23878号公報に
は、脱脂大豆フレークのエタノール抽出物から、エタノ
ールを除去した大豆モラセス水溶液を加温し、限外ろ過
した透明液を冷却してイソフラボンを沈殿させて回収す
る方法、あるいは透過液を吸着樹脂に吸着させたイソフ
ラボンをアルコールと水の混合溶媒で溶出する方法が記
載されている。更に、特開平10−316671号公報
には、大豆類のアルコール抽出物からアルコールを除去
し、アルカリ処理してイソフラボン化合物を可溶性にし
たのち、酸により析出,沈殿させてイソフラボン誘導体
類を製造する方法が記載されている。この抽出分離され
たイソフラボンは、通常、30%以上を含有する混合物と
して好ましく提供されるが、精製して、例えば、80%以
上の高純度のイソフラボンも提供されている。
【0005】しかし、イソフラボンは水に溶解しないの
で、食品等への適用が制約される。食品と共に摂取する
には、イソフラボンを水溶性化することが望ましく、そ
のような観点から、イソフラボンの水溶性化ないし可溶
化について広く研究が行なわれ、いくつかの可溶化法の
提案がなされた。例えば、特開平9−309902号公
報には、イソフラボン誘導体をサイクロデキストリンで
包接させた可溶性の包接イソフラボンを製造する方法が
開示されている。特開平10−298175号公報は、
大豆原料から得られる抽出物を水溶液中でサイクロデキ
ストリンと接触させ、不溶物を除去してサイクロデキス
トリンにより包接された水易溶性の大豆イソフラボンを
製造する方法を記載している。しかし、これらの方法に
よって得られるイソフラボンは、水に溶解するとき、経
時的に沈殿物が生じたり、液が褐色に着色するなどの不
都合がしばしば発生する。また、サイクロデキストリン
の包接能に基づく水溶化は、フレーバ成分や香気成分を
同時に包接して、その飲料が有する望ましい芳香が失わ
れたり、食品によっては使用できないという問題があ
る。
【0006】更に、特開平12−325043号公報
は、無水又は含水プロピレングリコ−ル及び/又はオク
テニルコハク酸澱粉からなる可溶化剤を用いてイソフラ
ボンを可溶化する方法を記載している。しかし、かかる
方法により可溶化されたイソフラボンは、透明な飲料等
に適用するとき、経時的に濁りや沈殿物が生じて必ずし
も満足し得る製品を提供することができない。また、プ
ロピレングリコール等の合成溶媒を含有するため、健康
増進のための飲料としては好ましくないし、商品価値を
低下させる。特開平11−243928号公報には、ア
ラビアガム等のような懸濁化剤を用いてイソフラボン化
合物を水中懸濁液にする方法が開示されている。しか
し、該公報には、懸濁化剤として、各種ガム類やその他
の懸濁剤,界面活性剤,粘稠剤,増粘剤や賦形剤等が列
記され、懸濁化能を有するそれらの物質類が、イソフラ
ボンの安定な懸濁粘稠液を提供すること、及びその懸濁
液として水性飲料に添加,利用されることを記載してい
るが、そのイソフラボン懸濁液は、透明性を重視する飲
料には、実質的に適用できない。
【0007】本発明者らは、人の健康保持に有用なイソ
フラボンを、日常、飲用している各種飲料に適用するこ
とに着目し、各種果物のジュース類のような懸濁状、あ
るいは乳濁状飲料のみならず、透明な各種飲料に含有さ
せることができる可溶化イソフラボンを提供するする方
法について研究を重ね、極めて実用上望ましい方法を開
発した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、不溶性イソフラボンを可溶化し得るイソフラボン組
成物を提供することにある。また、本発明の他の課題
は、そのような可溶化性イソフラボン組成物を効率的に
製造する方法を提供することにある。本発明の更に他の
課題は、透明性が重要視される水性飲料に添加して透明
なイソフラボン含有飲料を提供することにある。本発明
のその他の技術的特徴ないし優れた効果は、以下の記載
から一層明らかになるであろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、前
記特許請求の範囲の請求項1〜3に記載の要件から成る
可溶化性イソフラボン組成物、その製造方法及びそれを
用いる可溶化イソフラボン含有水性飲料の製造方法に関
する。そのような可溶化性イソフラボン組成物は、10μ
m以下の粒子サイズを有するイソフラボン粉末に、イソ
フラボン1量部当たり1〜100 重量部の範囲割合のアラ
ビアガムを配合することによって提供される。該組成物
は、好ましくは、水媒体中で混合され、その水性液を濃
縮又は脱水乾燥することにより可溶化性イソフラボン組
成物を効率的に製造することができる。また、該イソフ
ラボン組成物を水性飲料に添加して、イソフラボンを
0.5〜200 mg/リットルの濃度範囲内に調整し、これ
を加熱殺菌したのち冷却することにより、可溶化イソフ
ラボン含有水性飲料が効果的に提供される。透明な水性
飲料に適用して透明性を維持するには、イソフラボンの
濃度は、120 mg/リットル以下が望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の可溶化性イソフラボン組
成物を製造するには、イソフラボンは、粒子サイズが10
μm以下に調整することが重要である。イソフラボン粉
末の粒子サイズが10μmを超えると、後述するようなア
ラビアガム水溶液中でのイソフラボンの加熱溶解に長時
間を要し、実用的にも工業的にも不利である。好ましい
粒子サイズは5μm以下であり、特に、2〜1μm以下
程度の可及的微細な微粉末に調整することが実用上極め
て望ましい。そのような微粉砕化は、どのような手段に
よっても、また、どのような粉砕機を使用してもよい
が、湿式粉砕機による粉砕が、実用上好ましく且つ有利
に採用される。そのような湿式粉砕としては、例えば、
ビーズ(ボール)を利用して、水に分散させたイソフラ
ボンを粉砕するミルが実用的である。その粉砕条件は、
イソフラボン原料の状態,ビーズの材質,大きさ,充填
率等の条件及びミル運転条件等により異なるが、簡単な
実験により粒径の変化を調べながら最適条件を容易に見
出すことができる。
【0011】アラビアガムは、アラビノース,ガラクト
ース,ラムノース,グルクロン酸などを主成分とする無
色ないし淡黄色の高分子物質で、加熱溶解タイプと冷水
溶解タイプがあるが、本発明においては何れも使用で
き、球状塊,フレーク又は粉末として市販されている。
また、アラビアガムは水易溶性で、乳化剤,増粘剤,接
着剤,あるいはコロイド安定剤などとして、その水溶液
粘性を利用して医療用や食品用に使用されている。事
実、前記特開平11−243928号公報には、その粘
性を利用した水性懸濁剤として利用されることが記載さ
れている。本発明者らは、そのようなアラビアガムにつ
いて、その他の知見を得るべく実験を重ねる過程におい
て、意外なことに、アラビアガムは、厳しい制約条件は
あるが、イソフラボン化合物を可溶化させる性能を有す
ることを知った。
【0012】その制約条件として、イソフラボンは10μ
m以下、好ましくは5μm以下の粒子サイズに粉砕する
ことが重要であり、また、アラビアガムは、イソフラボ
ン1重量部に対して1〜100 重量部の範囲量が配合使用
されれる。更に、水可溶化ないし溶解されるイソフラボ
ンの水中濃度は、厳密ではないが、その上限は、アラビ
アガムの配合量とも関連すると推定されるが、200 mg
/水リットル(L)程度であろう。アラビアガムの配合
量がイソフラボン1重量部当たり1重量部未満では、加
熱によるイソフラボンの可溶化がスム−ズでなく、透明
水溶液が形成されたとしても冷却によって容易に不透明
化するので、安定な透明水溶液を得ることは期待できな
い。100 重量部を超える使用は、その使用量に見合った
可溶化能及びその安定性の向上が得られないので工業的
に不利である。アラビアガムの実用的に好ましい使用量
は、イソフラボン1重量部当たり3〜30重量部である。
【0013】湿式粉砕用ビーズミルを用いるイソフラボ
ンの微粉砕においては、イソフラボンは水性分散液とし
て粉砕に供されるが、粉砕効率及び粉砕時間を考慮すれ
ば、例えば、イソフラボンは、水100 重量部に対し10〜
30重量部程度が好都合に採用される。また、所望粒径に
粉砕する作業時間は、ビーズの大きさや数、ミルの回転
速度等によっても相違する。その設定条件における粉砕
速度は、粒径の変化を適宜の時間的間隔で調べることに
より、所望径への粉砕時間を予測し、決定することがで
きる。このイソフラボンの粒径は、前述のように、アラ
ビアガム共存下での加熱溶解速度に大きく影響し、可及
的微細に粉砕すれば、その加熱溶解時間は著しく短縮す
る。
【0014】本発明においては、10μm以下の粒子サイ
ズに粉砕された10〜30重量%程度のイソフラボン含有水
分散液にアラビアガムが添加混合される。そのように調
整されたイソフラボン−アラビアガム水性分散組成物
は、濃縮水性組成物として提供されるが、要すれば、脱
水乾燥して粉末混合物にされる。その乾燥方法には、特
に制約はなく、凍結乾燥,噴霧乾燥やドラムドライヤに
よる従来知られた各種乾燥法は、すべて採用できる。高
濃度のイソフラボンを含有する水性組成物においては、
イソフラボンは水に分散しているだけで溶解しているわ
けではなく、この分散組成物を飲料に加えても、また、
粉末混合物を飲料に加えてもイソフラボンは実質的に溶
解しないが、加熱することにより媒体水に可溶化し、あ
るいは溶解状態となる。
【0015】その理由は明らかではないが、イソフラボ
ンは、アラビアガムを等重量以上含有する水中において
は、加熱によって溶解あるいは可溶化するという特異な
現象が見出された。そのイソフラボン可溶化水溶液は、
例えば、200 ppm 以下のイソフラボンを含有する場合、
常温まで冷却しても析出したり混濁することがなく、経
時的にも極めて安定であることも判かったのである。従
って、水性透明飲料にイソフラボンを200 ppm 以下の濃
度で含有させるときは、その飲料は長期にわたって透明
性が保持され、商品価値の低下の恐れがないので極めて
望ましい商品を提供する。イソフラボンの含有濃度が高
すぎると、加熱によって溶解ないし可溶化させることが
できたとしても、冷却によってイソフラボンの大きな粒
子が析出し、例えば、10〜60μm程度の大きなサイズの
粒子結晶が生ずるので、水性飲料への適用は極めて不都
合である。析出した大きな粒子は、イソフラボン濃度を
低くして再度加熱溶解させようとすれば極めて長い時間
を要するので、透明飲料等に200 ppm を超える高濃度の
イソフラボンを含有させることは避けなければならな
い。
【0016】前記したように、人の一日の必要量は、イ
ソフラボン20〜40mg程度と推定され、例えば、200 m
lの飲料で摂取するとすれば、その中に上記程度のイソ
フラボン量を溶存させればよい。このイソフラボン濃度
は、飲料1リットル(L)当たり、100 〜200 mgの含
有量、すなわち、100 〜 200 ppmであるから、本発明に
係る組成物を飲料に適用した場合に、結晶が析出する恐
れはない。一日にイソフラボン含有飲料を1L飲む場合
や補足量の摂取でよいことを考慮すれば、飲料中のイソ
フラボン濃度は、更に低い濃度、例えば、0.5 mg/L
程度でも有効であるが、通常、3〜200mg/Lの濃度
に調整される。飲料中に含有させるイソフラボンは、飲
料の種類、飲料のパック容量によって異なるが、1パッ
ク当たり5〜40mg、好ましくは、10〜30mgを溶解さ
せたものが実用的であり、大容量パックの場合は、かな
り薄いイソフラボン濃度の飲用水として提供される。
【0017】本発明に係るイソフラボン組成物が適用さ
れる飲料は、通常、瓶やペットボトルあるいは紙パック
等に封入して販売される飲料類であって、例えば、ミネ
ラルウォーター,緑茶,紅茶,烏龍茶のような各種のお
茶や各種の炭酸含有清涼飲料水のような透明な飲料及び
酒,ビール類を含む各種アルコール系飲料、あるいは各
種液状スープ類が包含される。また、葡萄,りんごや桃
などの透明なジュースは勿論のこと、柑橘類その他の濁
った各種ジュース類や牛乳にも添加して人の健康のため
に適用することができる。そのような濁ったジュースに
適用した場合にも、イソフラボンは可溶化状態で溶存
し、析出,分離する恐れが全くない。
【0018】これらの飲料は、一般に、常温あるいは10
℃以下に冷して飲用されるが、それらの製品は、容器に
充填する直前又は充填後に加熱殺菌処理される。本発明
に係るイソフラボン組成物は、加熱処理の前の飲料に所
定量が添加され、イソフラボン濃度が調整されて、加熱
殺菌処理することによりイソフラボンは、好都合に溶解
又は可溶化する。加熱殺菌は、通常、50℃ないし100 ℃
の温度で行われるが、飲料によっては、本来の風味や味
が損なわれないように、加熱殺菌温度及び時間が制限さ
れるものもあるので、イソフラボンはその処理条件で完
全且つ容易に溶解することが重要である。制約のない場
合は、80℃以上の温度で、好ましくは、85℃ないし95℃
の温度で行うことが工業的に有利である。
【0019】
【実施例】以下、具体例により、本発明を更に詳細に説
明する。なお、例中の部数及び%は、特に記載がない限
り重量による。
【0020】(実施例 1)イソフラボン約80%を含有
する「イソフラボン80」(ホーネンコーポレーション
社製)400 gを1600gの水に分散させ、内容量 0.5リッ
トル(L)のOBミル(ターボ工業社製の湿式粉砕機
で、径が 0.5mmのステンレスビーズ充填率90%)に入
れて、約2分間粉砕した。そのイソフラボン粒子の径は
約3μmであった。更に、同様の粉砕操作を2回繰返し
て、径が約1μmのイソフラボンの微細粒子の分散液を
調製した。他方、濃度 0.6%のアラビアガム( INSTANT
GUM IRX40693;コロイドナチュレル社製)の水溶液 10
0gに、上記イソフラボン分散液60mgを加えた(イソ
フラボン:アラビアガムの重量比は、ほぼ 9.6mg: 6
00mg=1:60である)。この分散液を86℃に加熱する
と透明になった。この透明溶液を室温まで放冷し、その
まま1ケ月保存したが、液の透明性には全く変化が見ら
れなかった。
【0021】(実施例 2)実施例1で調製したイソフ
ラボンの分散液60gにアラビアガム粉末40g及び防腐剤
としてポリリジン(商品名:チッソ株式会社製) 0.1g
を添加溶解させて、流動性を有する濃厚なイソフラボン
分散液(イソフラボン濃度約 9.6%)を調製した。その
分散液のイソフラボン:アラビアガムの重量比は、ほぼ
9.6g:40g=1:4である。このイソフラボン高濃度
分散液を6ヵ月保存後、その分散液の状態を観察したと
ころ、分散液状態に変化は全く見られなかった。
【0022】(比較例 1)実施例1で調製した粒子径
約1μmのイソフラボンの微細粒子の分散液(イソフラ
ボン濃度16%)60mgを濃度 0.007%のアラビアガム水
溶液 100gに加え、分散させた。分散液中のイソフラボ
ン:アラビアガムの重量比は、ほぼ1: 0.7(約9.6 m
g:7mg)である。この分散液をかき混ぜながら86℃
まで加熱して透明化させたが、この溶液を室温まで冷却
してところ、液は半透明になった。
【0023】(実施例 3)上記比較例1のイソフラボ
ンの微細粒子の分散液60mgをアラビアガム濃度1%の
水溶液 100gに加え、86℃の温度に加熱して分散液を透
明化した。この透明性は、実施例1のものと同様に安定
であった。この液は、イソフラボン:アラビアガムの重
量比が、ほぼ1:100 (9.6 mg:1000mg)で、イソフラ
ボン濃度は、96 ppmである。
【0024】(比較例 2)実施例1で調製したイソフ
ラボン約 9.6%を含有するアラビアガム水溶液(イソフ
ラボン:アラビアガムの重量比は、ほぼ1:4)の 0.5
gを、撹拌条件下の1Lの水に添加し、86℃までの温度
に加熱してイソフラボンを溶解させ、イソフラボン500p
pmの透明な水溶液を形成させた。しかし、この溶液は室
温まで冷却するとき、イソフラボンの粗大な沈殿が生じ
た。
【0025】(実施例 4)実施例1で用いた「イソフ
ラボン80」の微細分散液 0.1gとアラビアガム粉末
1.6gを90gの水に加え、その分散液を85℃まで高めて
イソフラボンを可溶化した。これに果糖 5.5g,りんご
酸0.05g及び酒石酸 0.034gを順次添加し、混合したの
ち、水を加えて全量が 100gのジュースを製造した。こ
のジュース 100g中に含有されるイソフラボンとアラビ
アガムの重量比は、それぞれ16mg及び1600mg、すな
わち、約1:100 の重量比である。得られた透明なジュ
ースを瓶に詰め、冷蔵庫に入れて4〜7℃の温度で1ヵ
月保存した。保存後のジュースに変化は全く認められ
ず、透明感の優れたものであった。
【0026】(実施例 5)実施例2のイソフラボンが
分散したアラビアガム水溶液60gをかき混ぜている水40
gに投入し、均質化したのち、噴霧乾燥してイソフラボ
ン成分を約20%含有する粉末組成物を得た。得られた粉
末 0.5gを常温の水1000gに投入して85℃まで加熱する
と、イソフラボンが速やかに溶解して、透明で安定な水
溶液が得られた。
【0027】
【発明の効果】イソフラボン微粒子と等重量以上のアラ
ビアガムを含有する本発明に係る組成物は、各種飲料に
添加して加熱することにより、イソフラボンを容易に可
溶化ないし溶解させることができ、そのように調製され
た200ppm以下のイソフラボンを溶存する飲料は、冷却に
よって濁りや沈殿を生ずることがない。また、本発明に
係る組成物を水性飲料に適用してイソフラボンを加熱溶
解させたものは、例えば、加熱保存,室温保存,冷蔵保
存等のいずれの保存方法においても、長期にわたって優
れた透明安定性が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 5/30 A61P 19/10 19/10 35/00 35/00 39/06 39/06 A23L 2/00 F (72)発明者 山崎 敏晴 横浜市西区南浅間町1番地の1 横浜油脂 工業株式会社内 (72)発明者 大谷 豊 静岡県磐田郡浅羽町西同笠107−1 Fターム(参考) 4B017 LC03 LK06 LL09 4C076 AA12 AA29 BB01 CC27 CC29 CC40 EE58A 4C086 AA01 BA06 MA17 MA43 MA52 ZB26 ZC11 ZC19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10μm以下の粒子サイズを有するイソフ
    ラボン粉末に、該イソフラボン1重量部当たり1〜100
    重量部の範囲内のアラビアガムを配合して成る可溶化性
    イソフラボン組成物。
  2. 【請求項2】 イソフラボンを10μm以下の粒子サイズ
    に粉砕し、これとイソフラボン1重量部当たり1〜100
    重量部の範囲内のアラビアガムとを水媒体中で混和し
    て、その水性液を濃縮又は脱水乾燥することを特徴とす
    る可溶化性イソフラボン組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 10μm以下の粒子サイズのイソフラボン
    粉末に、該イソフラボン1重量部当たり1〜100 重量部
    の範囲内のアラビアガムを配合して成る可溶化性イソフ
    ラボン組成物を水性飲料に添加して、0.5 〜 200mg/
    リットルの範囲内のイソフラボン濃度に調整したのち、
    加熱,冷却することを特徴とする可溶化イソフラボン含
    有水性飲料の製造方法。
JP2001326199A 2001-10-24 2001-10-24 可溶化性イソフラボン組成物、その製造法及びイソフラボン含有水性飲料の製造方法 Expired - Fee Related JP4013034B2 (ja)

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