JP2003127161A - 摩擦材の熱成形用金型及び摩擦材の成形方法 - Google Patents
摩擦材の熱成形用金型及び摩擦材の成形方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 摩擦材の熱成形工程において、発生するガス
を成形体から外部に速やかに排出することによって、ガ
スの排出不足に起因するヒビ、フクレ等の不良率の低減
を図る熱成形用金型及び成形方法を提供する。 【解決手段】 摩擦材原料の予備成形体とプレッシャー
プレートを加熱加圧し一体に固着して摩擦材を成形する
ための、押え型と加圧型とを有する熱成形用金型におい
て、金型の成形体中央部分に相当する部分を分割金型と
し、該分割金型内に成形体中央部分を局所的に加熱する
ためのヒータを内蔵し、摩擦材成形時の分割金型温度を
金型本体の温度より高温になるように構成したことを特
徴とする摩擦材の熱成形用金型、及びそれを用いる熱成
形方法。
を成形体から外部に速やかに排出することによって、ガ
スの排出不足に起因するヒビ、フクレ等の不良率の低減
を図る熱成形用金型及び成形方法を提供する。 【解決手段】 摩擦材原料の予備成形体とプレッシャー
プレートを加熱加圧し一体に固着して摩擦材を成形する
ための、押え型と加圧型とを有する熱成形用金型におい
て、金型の成形体中央部分に相当する部分を分割金型と
し、該分割金型内に成形体中央部分を局所的に加熱する
ためのヒータを内蔵し、摩擦材成形時の分割金型温度を
金型本体の温度より高温になるように構成したことを特
徴とする摩擦材の熱成形用金型、及びそれを用いる熱成
形方法。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦材の熱成形用
金型及び摩擦材の成形方法に関するものであり、特に産
業機械、鉄道車両、荷物車両、乗用車などに用いられる
摩擦材の熱成形用金型及び摩擦材の成形方法に関するも
のであり、より具体的には前記の用途に使用されるブレ
ーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシン
グ等の熱成形用金型及び摩擦材の成形方法に関するもの
である。
金型及び摩擦材の成形方法に関するものであり、特に産
業機械、鉄道車両、荷物車両、乗用車などに用いられる
摩擦材の熱成形用金型及び摩擦材の成形方法に関するも
のであり、より具体的には前記の用途に使用されるブレ
ーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシン
グ等の熱成形用金型及び摩擦材の成形方法に関するもの
である。
【０００２】
【従来の技術】従来、自動車、鉄道車両、産業機械等の
主としてブレーキなどに用いられる摩擦材は、その配合
成分としては、一般に各種充填材、補強のための各種繊
維、有機・無機摩擦調整材と共に、これらの原料を結合
するための結合材が配合されている。従来知られている
摩擦材の製造方法の１例であるディスクブレーキ用ブレ
ーキパッドの製造工程においては、板金プレスにより所
定の形状に成形され、脱脂処理及びプライマー処理が施
され、そして接着剤が塗布されたプレッシャープレート
と、耐熱性有機繊維や無機繊維、金属繊維等の繊維基材
と、無機・有機充填材、摩擦調整材及び結合材（具体的
にはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂）等の粉末原料と
を配合し、攪拌により十分に均質化した原材料を常温に
て所定の圧力で成形（予備成形）して作製した予備成形
体とを、熱成形工程において所定の温度及び圧力で熱成
形して両部材を一体に固着し、アフタキュアを行い、最
終的に仕上げ処理を施す工程からなる。
主としてブレーキなどに用いられる摩擦材は、その配合
成分としては、一般に各種充填材、補強のための各種繊
維、有機・無機摩擦調整材と共に、これらの原料を結合
するための結合材が配合されている。従来知られている
摩擦材の製造方法の１例であるディスクブレーキ用ブレ
ーキパッドの製造工程においては、板金プレスにより所
定の形状に成形され、脱脂処理及びプライマー処理が施
され、そして接着剤が塗布されたプレッシャープレート
と、耐熱性有機繊維や無機繊維、金属繊維等の繊維基材
と、無機・有機充填材、摩擦調整材及び結合材（具体的
にはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂）等の粉末原料と
を配合し、攪拌により十分に均質化した原材料を常温に
て所定の圧力で成形（予備成形）して作製した予備成形
体とを、熱成形工程において所定の温度及び圧力で熱成
形して両部材を一体に固着し、アフタキュアを行い、最
終的に仕上げ処理を施す工程からなる。
【０００３】一般に摩擦材の製造工程は、配合・攪拌、
予備成形、熱成形、加熱、研磨・機械加工等の工程から
成っている。各工程における品質の良否は、後工程や完
成品の品質・性能にも影響を及ぼすためそれぞれ重要で
あるが、なかでも熱成形工程はその良否が完成品の品質
・性能に大きな影響を及ぼすため、特に重要な工程であ
る。熱成形工程で最も発生し易い不良の一つに、ヒビ、
クラックなどの成形不良がある。この不良の主たる原因
は、熱成形中に発生するガスが、昇温初期に速やかに成
形体外部に排出されないで内部に残り、成形体の外周部
が硬化した後に、ガスが硬化層を破りながら成形体外部
に排出されるため、ヒビ、クラックなどの成形不良が発
生する。
予備成形、熱成形、加熱、研磨・機械加工等の工程から
成っている。各工程における品質の良否は、後工程や完
成品の品質・性能にも影響を及ぼすためそれぞれ重要で
あるが、なかでも熱成形工程はその良否が完成品の品質
・性能に大きな影響を及ぼすため、特に重要な工程であ
る。熱成形工程で最も発生し易い不良の一つに、ヒビ、
クラックなどの成形不良がある。この不良の主たる原因
は、熱成形中に発生するガスが、昇温初期に速やかに成
形体外部に排出されないで内部に残り、成形体の外周部
が硬化した後に、ガスが硬化層を破りながら成形体外部
に排出されるため、ヒビ、クラックなどの成形不良が発
生する。
【０００４】この対策としては、できるだけ成形体内部
と外周部の昇温の差を小さく（理想的には、内部の昇温
速度が外周部の昇温速度より速いことが望ましい）し、
摩擦材内部で発生したガスが、外周部が硬化する前に排
出されるようにするのが良い。しかし、現在の摩擦材の
熱成形は、高温の金型からの熱伝導によって摩擦材に熱
を与えて成形しているため、金型に接触している摩擦材
外周部の昇温が内部より速く、なかなかヒビ、クラック
などの成形不良を完全に防止することが困難である。
と外周部の昇温の差を小さく（理想的には、内部の昇温
速度が外周部の昇温速度より速いことが望ましい）し、
摩擦材内部で発生したガスが、外周部が硬化する前に排
出されるようにするのが良い。しかし、現在の摩擦材の
熱成形は、高温の金型からの熱伝導によって摩擦材に熱
を与えて成形しているため、金型に接触している摩擦材
外周部の昇温が内部より速く、なかなかヒビ、クラック
などの成形不良を完全に防止することが困難である。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点に鑑みてなされたものであり、摩擦材の熱
成形工程において、発生するガスを成形体から外部に速
やかに排出することによって、ガスの排出不足に起因す
るヒビ、フクレ等の不良率の低減を図ることを目的とす
る。
従来の問題点に鑑みてなされたものであり、摩擦材の熱
成形工程において、発生するガスを成形体から外部に速
やかに排出することによって、ガスの排出不足に起因す
るヒビ、フクレ等の不良率の低減を図ることを目的とす
る。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
下記の手段により解決することができた。 （１）摩擦材原料の予備成形体とプレッシャープレート
とを加熱加圧し一体に固着して摩擦材を成形するため
の、押え型と加圧型とを有する熱成形用金型において、
金型の成形体中央部分に相当する部分を分割金型とし、
該分割金型内に成形体中央部分を局所的に加熱するため
のヒータを内蔵し、摩擦材成形時の分割金型温度を金型
本体の温度より高温になるように構成したことを特徴と
する摩擦材の熱成形用金型。 （２）前記分割金型の材料を前記金型本体よりも熱伝導
率が良い材料で作製したことを特徴とする前記（１）記
載の摩擦材の熱成形用金型。 （３）前記分割金型が銅合金製であり、前記押え型の金
型本体が鋼製であることを特徴とする前記（１）又は
（２）記載の摩擦材の熱成形用金型。
下記の手段により解決することができた。 （１）摩擦材原料の予備成形体とプレッシャープレート
とを加熱加圧し一体に固着して摩擦材を成形するため
の、押え型と加圧型とを有する熱成形用金型において、
金型の成形体中央部分に相当する部分を分割金型とし、
該分割金型内に成形体中央部分を局所的に加熱するため
のヒータを内蔵し、摩擦材成形時の分割金型温度を金型
本体の温度より高温になるように構成したことを特徴と
する摩擦材の熱成形用金型。 （２）前記分割金型の材料を前記金型本体よりも熱伝導
率が良い材料で作製したことを特徴とする前記（１）記
載の摩擦材の熱成形用金型。 （３）前記分割金型が銅合金製であり、前記押え型の金
型本体が鋼製であることを特徴とする前記（１）又は
（２）記載の摩擦材の熱成形用金型。
【０００７】（４）金型の成形体中央部分に相当する部
分を分割金型とし、該分割金型内に成形体中央部分を局
所的に加熱するためのヒータを内蔵した熱成形用金型を
用いて、プレッシャープレートと摩擦材原料の予備成形
体を、成形体中央部分の分割金型温度を金型本体の温度
より高温になるように加熱して、成形体中央部分の昇温
速度を外周部よりも速くして、成形体内部で発生したガ
スを速やかに外部に排出して、一体に固着させることを
特徴とする摩擦材の成形方法。
分を分割金型とし、該分割金型内に成形体中央部分を局
所的に加熱するためのヒータを内蔵した熱成形用金型を
用いて、プレッシャープレートと摩擦材原料の予備成形
体を、成形体中央部分の分割金型温度を金型本体の温度
より高温になるように加熱して、成形体中央部分の昇温
速度を外周部よりも速くして、成形体内部で発生したガ
スを速やかに外部に排出して、一体に固着させることを
特徴とする摩擦材の成形方法。
【０００８】
【発明の実施の形態】本発明の摩擦材熱成形用金型を、
図面を参照して説明する。本発明の、上記熱成形工程に
おいては、縦断面説明図である図１に示すように、上記
プレッシャープレート（以下「Ｐ／Ｐ」ということがあ
る）１と摩擦材原料の予備成形体２とを、金属製の中型
３、押え型である上型４及び加圧型である下型（パン
チ）５からなる熱成形用金型で形成される空間（成形領
域）内に挿入充填し、前記成形用原料の予備成形体２を
Ｐ／Ｐ１と共に上型４と下型５で加圧するものである
が、この際同時に上型４及び下型５に設けた熱板により
加熱して、Ｐ／Ｐ１と合わせて予備成形体２を加熱する
ように構成されている。
図面を参照して説明する。本発明の、上記熱成形工程に
おいては、縦断面説明図である図１に示すように、上記
プレッシャープレート（以下「Ｐ／Ｐ」ということがあ
る）１と摩擦材原料の予備成形体２とを、金属製の中型
３、押え型である上型４及び加圧型である下型（パン
チ）５からなる熱成形用金型で形成される空間（成形領
域）内に挿入充填し、前記成形用原料の予備成形体２を
Ｐ／Ｐ１と共に上型４と下型５で加圧するものである
が、この際同時に上型４及び下型５に設けた熱板により
加熱して、Ｐ／Ｐ１と合わせて予備成形体２を加熱する
ように構成されている。
【０００９】ところで、本発明のポイントは、上記上型
（押え型）４と下型（加圧型）５として、Ｐ／Ｐ１及び
予備成形体２に面する側の表面の中央部に分割金型６、
７をそれぞれ配設し、分割金型６、７の内部にヒータ
８，９をそれぞれ内蔵した構造のものを用い、このよう
に構成した上型（押え型）４でＰ／Ｐ１に接触させ、ま
た下型（加圧型）５で予備成形体２の下面に接触させる
ことにより、上型４の表面は中央部の分割金型６でＰ／
Ｐ１に接触し、その部分Ｘで上型４の他の部分Ｙよりも
高温に加熱することができ、Ｐ／Ｐ１中央部Ｘの昇温速
度を外周部Ｙより速くすること、及び下型５に関しても
上型４と同様に予備成形体２の中央部Ｘの昇温速度を外
周部Ｙより速くすることが可能となる点である。前記表
面のその他の部分は、分割金型６、７とはＰ／Ｐ１及び
予備成形体２の面に関し離れた位置に保持された状態と
なり、このためＰ／Ｐ１及び予備成形体２の中央部Ｘの
昇温速度は速いが、外周部Ｙの昇温速度はそれよりも遅
くなる。なお、分割金型６、７は、加圧に際して十分な
圧力をかけることができるような、金型本体と関連した
構造のものとすることが好ましい。この結果、従来の全
体が熱間工具鋼からなり、分割金型６、７や内蔵ヒータ
８，９がない金型で成形する場合よりも、成形体内部の
昇温速度が外周部に比してより速くなるので、ガスの排
出不良に起因するヒビ、クラックなどの成形不良が低減
できる。
（押え型）４と下型（加圧型）５として、Ｐ／Ｐ１及び
予備成形体２に面する側の表面の中央部に分割金型６、
７をそれぞれ配設し、分割金型６、７の内部にヒータ
８，９をそれぞれ内蔵した構造のものを用い、このよう
に構成した上型（押え型）４でＰ／Ｐ１に接触させ、ま
た下型（加圧型）５で予備成形体２の下面に接触させる
ことにより、上型４の表面は中央部の分割金型６でＰ／
Ｐ１に接触し、その部分Ｘで上型４の他の部分Ｙよりも
高温に加熱することができ、Ｐ／Ｐ１中央部Ｘの昇温速
度を外周部Ｙより速くすること、及び下型５に関しても
上型４と同様に予備成形体２の中央部Ｘの昇温速度を外
周部Ｙより速くすることが可能となる点である。前記表
面のその他の部分は、分割金型６、７とはＰ／Ｐ１及び
予備成形体２の面に関し離れた位置に保持された状態と
なり、このためＰ／Ｐ１及び予備成形体２の中央部Ｘの
昇温速度は速いが、外周部Ｙの昇温速度はそれよりも遅
くなる。なお、分割金型６、７は、加圧に際して十分な
圧力をかけることができるような、金型本体と関連した
構造のものとすることが好ましい。この結果、従来の全
体が熱間工具鋼からなり、分割金型６、７や内蔵ヒータ
８，９がない金型で成形する場合よりも、成形体内部の
昇温速度が外周部に比してより速くなるので、ガスの排
出不良に起因するヒビ、クラックなどの成形不良が低減
できる。
【００１０】上記のＰ／Ｐ１の中央部に接触する部分に
分割金型６、７及び内蔵ヒータ８，９を設けた上型４と
下型５を採用した熱成形金型を用い、補強繊維、摩擦調
整材及び結合材などからなる諸原料を配合し、攪拌・混
合した攪拌物を通常の製法に従って常温成形した予備成
形体２、又は前記諸原料の攪拌物を、Ｐ／Ｐ１と共に熱
成形することにより、成形不良のない、高品質の摩擦材
を製造することができる。
分割金型６、７及び内蔵ヒータ８，９を設けた上型４と
下型５を採用した熱成形金型を用い、補強繊維、摩擦調
整材及び結合材などからなる諸原料を配合し、攪拌・混
合した攪拌物を通常の製法に従って常温成形した予備成
形体２、又は前記諸原料の攪拌物を、Ｐ／Ｐ１と共に熱
成形することにより、成形不良のない、高品質の摩擦材
を製造することができる。
【００１１】上記原料において、補強繊維としては、例
えば芳香族ポリアミド繊維、耐炎化アクリル繊維等の有
機繊維や銅繊維、スチール繊維等の金属繊維、チタン酸
カリウム繊維やＡｌ2Ｏ3−ＳｉＯ2系セラミック繊維等
の無機繊維が挙げられる。無機充填材としては、例えば
銅やアルミニウム、亜鉛等の金属粒子、バーミキュライ
トやマイカ等の鱗片状無機物、硫酸バリウムや炭酸カル
シウム等が挙げられる。結合材としては、例えばフェノ
ール樹脂（ストレートフェノール樹脂、ゴム等による各
種変性フェノール樹脂を含む）、メラミン樹脂、エポキ
シ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂等を挙げるこ
とができる。また、摩擦調整材としては、例えばアルミ
ナやシリカ、マグネシア、ジルコニア、酸化クロム、石
英等の無機摩擦調整材、合成ゴムやカシューダスト等の
有機摩擦調整材、黒鉛や二硫化モリブデン等の固体潤滑
材を挙げることができる。
えば芳香族ポリアミド繊維、耐炎化アクリル繊維等の有
機繊維や銅繊維、スチール繊維等の金属繊維、チタン酸
カリウム繊維やＡｌ2Ｏ3−ＳｉＯ2系セラミック繊維等
の無機繊維が挙げられる。無機充填材としては、例えば
銅やアルミニウム、亜鉛等の金属粒子、バーミキュライ
トやマイカ等の鱗片状無機物、硫酸バリウムや炭酸カル
シウム等が挙げられる。結合材としては、例えばフェノ
ール樹脂（ストレートフェノール樹脂、ゴム等による各
種変性フェノール樹脂を含む）、メラミン樹脂、エポキ
シ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂等を挙げるこ
とができる。また、摩擦調整材としては、例えばアルミ
ナやシリカ、マグネシア、ジルコニア、酸化クロム、石
英等の無機摩擦調整材、合成ゴムやカシューダスト等の
有機摩擦調整材、黒鉛や二硫化モリブデン等の固体潤滑
材を挙げることができる。
【００１２】摩擦材の組成としては、種々の組成割合を
採ることができる。すなわち、これらは、製品に要求さ
れる摩擦特性、例えば、摩擦係数、耐摩耗性、振動特
性、鳴き特性等に応じて、単独でまたは２種以上を組み
合わせて混合すればよい。
採ることができる。すなわち、これらは、製品に要求さ
れる摩擦特性、例えば、摩擦係数、耐摩耗性、振動特
性、鳴き特性等に応じて、単独でまたは２種以上を組み
合わせて混合すればよい。
【００１３】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。
る。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。
【００１４】実施例１及び比較例１
（成形装置）図１に示すように、全体は熱間工具鋼（Ｓ
ＫＤ６１：熱伝導率：７４Ｗ／ｍＫ）から成り、成形体
中央部分に相当する箇所を熱伝導率の良いベリリウム銅
（熱伝導率：１７４Ｗ／ｍＫ）で、成形体面積の約２０
％の面積を有する分割型とし、その分割型内部にヒータ
を設置した摩擦材成形用金型（本発明金型Ａ）を作製し
た。
ＫＤ６１：熱伝導率：７４Ｗ／ｍＫ）から成り、成形体
中央部分に相当する箇所を熱伝導率の良いベリリウム銅
（熱伝導率：１７４Ｗ／ｍＫ）で、成形体面積の約２０
％の面積を有する分割型とし、その分割型内部にヒータ
を設置した摩擦材成形用金型（本発明金型Ａ）を作製し
た。
【００１５】前記金型Ａと、全体が熱間工具鋼から成
り、分割金型や内蔵ヒータがない従来の金型Ｂを用い
て、第１表のような配合の摩擦材を熱成形した。金型温
度は金型Ａ、Ｂともに上下金型温度：１５５℃、中型温
度：１４５℃で、金型Ａの場合は、成形体中央部分の分
割金型温度を内蔵ヒータの加熱により１７５℃とした。
圧力、成形サイクルは金型Ａ、Ｂともに、成形圧力：４
０ＭＰａ、成形サイクル：加圧及びガス抜き各５秒を７
回繰り返した後、最終加圧３３０秒で行った。
り、分割金型や内蔵ヒータがない従来の金型Ｂを用い
て、第１表のような配合の摩擦材を熱成形した。金型温
度は金型Ａ、Ｂともに上下金型温度：１５５℃、中型温
度：１４５℃で、金型Ａの場合は、成形体中央部分の分
割金型温度を内蔵ヒータの加熱により１７５℃とした。
圧力、成形サイクルは金型Ａ、Ｂともに、成形圧力：４
０ＭＰａ、成形サイクル：加圧及びガス抜き各５秒を７
回繰り返した後、最終加圧３３０秒で行った。
【００１６】
【表１】
【００１７】金型Ａ及びＢを用いて熱成形を行った時の
Ｐ／Ｐ直下の成形体中央部（図１のＸ部）と、外周部
（図１のＹ部）の温度変化（昇温曲線）を図４に示す。
金型Ｂの場合は、成形体中央部（Ｘ）の昇温が外周部
（Ｙ）より遅かったが、金型Ａの場合は、成形体中央部
（Ｘ）の昇温が外周部（Ｙ）より速かった。このことか
ら、金型Ａで成形した場合は、成形体内部で発生したガ
スは速やかに成形体外部に排出されることが予測され
る。
Ｐ／Ｐ直下の成形体中央部（図１のＸ部）と、外周部
（図１のＹ部）の温度変化（昇温曲線）を図４に示す。
金型Ｂの場合は、成形体中央部（Ｘ）の昇温が外周部
（Ｙ）より遅かったが、金型Ａの場合は、成形体中央部
（Ｘ）の昇温が外周部（Ｙ）より速かった。このことか
ら、金型Ａで成形した場合は、成形体内部で発生したガ
スは速やかに成形体外部に排出されることが予測され
る。
【００１８】前記条件により金型Ａ、Ｂを用いて成形し
た成形体５００個についてのヒビ、フクレ不良率は、金
型Ａ：１個（０．２％）、Ｂ：１６個（３．２％）であ
り、本発明の金型Ａはヒビ、フクレなどの成形不良防止
に効果があることが確認できた。
た成形体５００個についてのヒビ、フクレ不良率は、金
型Ａ：１個（０．２％）、Ｂ：１６個（３．２％）であ
り、本発明の金型Ａはヒビ、フクレなどの成形不良防止
に効果があることが確認できた。
【００１９】本発明の好ましい実施態様に基づく実施例
を上記に説明したが、下記の態様も本発明の範囲内に包
含されることは言うまでもない。金型材質及び金型本体
と分割金型の温度差は、実施例に限定はされない。金型
本体の熱伝導率よりも分割金型の熱伝導率が良い組み合
わせならば良く、両者の熱伝導率の差は大きい方が望ま
しいが、他の要因によって熱伝導率の差が大きな組み合
わせを選定できない場合は、内蔵ヒータにより、金型本
体と分割金型の温度差を大きく設定すれば良い。
を上記に説明したが、下記の態様も本発明の範囲内に包
含されることは言うまでもない。金型材質及び金型本体
と分割金型の温度差は、実施例に限定はされない。金型
本体の熱伝導率よりも分割金型の熱伝導率が良い組み合
わせならば良く、両者の熱伝導率の差は大きい方が望ま
しいが、他の要因によって熱伝導率の差が大きな組み合
わせを選定できない場合は、内蔵ヒータにより、金型本
体と分割金型の温度差を大きく設定すれば良い。
【００２０】
【発明の効果】本発明によれば、摩擦材の熱成形工程に
おいて、成形体中央部分を他の部分より熱伝導率の良い
材質の分割金型とし、併せて分割金型内にヒータを内蔵
させることによって、成形体中央部分の金型温度が、外
周部分の金型温度より高く成るよう温度勾配をつけるこ
とができる。その結果、成形体中央部分の昇温速度が外
周部より速くなり、成形体内部で発生したガスが速やか
に外部に排出されるため、ガスの排出不良に起因するヒ
ビ、クラックなどの成形不良が低減できた。
おいて、成形体中央部分を他の部分より熱伝導率の良い
材質の分割金型とし、併せて分割金型内にヒータを内蔵
させることによって、成形体中央部分の金型温度が、外
周部分の金型温度より高く成るよう温度勾配をつけるこ
とができる。その結果、成形体中央部分の昇温速度が外
周部より速くなり、成形体内部で発生したガスが速やか
に外部に排出されるため、ガスの排出不良に起因するヒ
ビ、クラックなどの成形不良が低減できた。
【図１】本発明の熱成形用金型を説明するための縦断面
概要図である。
概要図である。
【図２】図１の金型の上型の平面図である。
【図３】図１の金型の下型の平面図である。
【図４】本発明の実施例における金型の昇温過程の成形
体の温度変化を説明するグラフ図である。
体の温度変化を説明するグラフ図である。
１ プレッシャープレート
２ 摩擦材原料の予備成形体
３ 中型
４ 上型（押え型）
５ 下型（加圧型）
６、７ 分割金型
８，９ 内蔵ヒータ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考）
Ｂ２９Ｋ 105:16 Ｂ２９Ｋ 105:16
Ｂ２９Ｌ 31:16 Ｂ２９Ｌ 31:16
(72)発明者 栗原 生
埼玉県羽生市東５丁目４番71号 株式会社
曙ブレーキ中央技術研究所内
Ｆターム(参考） 4F202 AA37 AB11 AB16 AB18 AB25
AG02 AJ02 AK05 AK09 AR06
CA09 CB01 CK43 CL02 CN01
CN18 CN21
4F204 AA36 AA37 AA38 AA39 AA40
AB07 AB11 AB16 AB17 AD03
AD05 AD16 AG02 AK09 AM32
AR06 FA01 FB01 FB11 FN11
FN12 FN16 FQ15
Claims (4)
- 【請求項１】 摩擦材原料の予備成形体とプレッシャー
プレートとを加熱加圧し一体に固着して摩擦材を成形す
るための、押え型と加圧型とを有する熱成形用金型にお
いて、金型の成形体中央部分に相当する部分を分割金型
とし、該分割金型内に成形体中央部分を局所的に加熱す
るためのヒータを内蔵し、摩擦材成形時の分割金型温度
を金型本体の温度より高温になるように構成したことを
特徴とする摩擦材の熱成形用金型。 - 【請求項２】 前記分割金型の材料を前記金型本体より
も熱伝導率が良い材料で作製したことを特徴とする請求
項１記載の摩擦材の熱成形用金型。 - 【請求項３】 前記分割金型が銅合金製であり、前記押
え型の金型本体が鋼製であることを特徴とする請求項１
又は請求項２記載の摩擦材の熱成形用金型。 - 【請求項４】 金型の成形体中央部分に相当する部分を
分割金型とし、該分割金型内に成形体中央部分を局所的
に加熱するためのヒータを内蔵した熱成形用金型を用い
て、プレッシャープレートと摩擦材原料の予備成形体
を、成形体中央部分の分割金型温度を金型本体の温度よ
り高温になるように加熱して、成形体中央部分の昇温速
度を外周部よりも速くして、成形体内部で発生したガス
を速やかに外部に排出して、一体に固着させることを特
徴とする摩擦材の成形方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001326415A JP2003127161A (ja) | 2001-10-24 | 2001-10-24 | 摩擦材の熱成形用金型及び摩擦材の成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001326415A JP2003127161A (ja) | 2001-10-24 | 2001-10-24 | 摩擦材の熱成形用金型及び摩擦材の成形方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003127161A true JP2003127161A (ja) | 2003-05-08 |
Family
ID=19142801
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001326415A Withdrawn JP2003127161A (ja) | 2001-10-24 | 2001-10-24 | 摩擦材の熱成形用金型及び摩擦材の成形方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003127161A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009126003A (ja) * | 2007-11-21 | 2009-06-11 | Bridgestone Corp | 気体除去方法、気体除去装置、コアの製造方法、コアの製造装置及び積層支持体 |
| WO2009095248A1 (de) | 2008-01-31 | 2009-08-06 | Tmd Friction Services Gmbh | Vorrichtung zur herstellung von reibbelägen |
| JP2009228685A (ja) * | 2008-03-19 | 2009-10-08 | Teikoku Piston Ring Co Ltd | 板バネ付きピストンリング及びピストンとピストンリングの組合せ |
| CN108357045A (zh) * | 2018-03-07 | 2018-08-03 | 山东金麒麟股份有限公司 | 鼓式摩擦片成型模具及其制作鼓式摩擦片的方法 |
-
2001
- 2001-10-24 JP JP2001326415A patent/JP2003127161A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009126003A (ja) * | 2007-11-21 | 2009-06-11 | Bridgestone Corp | 気体除去方法、気体除去装置、コアの製造方法、コアの製造装置及び積層支持体 |
| WO2009095248A1 (de) | 2008-01-31 | 2009-08-06 | Tmd Friction Services Gmbh | Vorrichtung zur herstellung von reibbelägen |
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| CN108357045A (zh) * | 2018-03-07 | 2018-08-03 | 山东金麒麟股份有限公司 | 鼓式摩擦片成型模具及其制作鼓式摩擦片的方法 |
| CN108357045B (zh) * | 2018-03-07 | 2024-01-26 | 山东金麒麟股份有限公司 | 鼓式摩擦片成型模具及其制作鼓式摩擦片的方法 |
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