JP2003125781A - 天然皮革製品の判定法 - Google Patents
天然皮革製品の判定法Info
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Abstract
めの方法を提供する。 【解決手段】天然皮革製品試験片の表面皮膜を、物理的
処理により除去する工程、該試験片を細切する工程、細
切した試験片へ、コラゲナーゼを作用させる工程、試験
片からDNAを抽出する工程、抽出したDNAを鋳型と
して、予測される動物種由来の種特異的プライマーを用
いたポリメラーゼチェインリアクションにより種特異的
DNA断片を増幅する工程、増幅されたDNAを分析す
る工程を含む、天然皮革製品の判定方法。
Description
来する動物種を判定する方法に関する。
ん、手袋、上衣、ズボン、スカート、ドレス、コート及
びプルオーバー、カーディガン、その他セーターについ
ては家庭用品品質表示法に天然皮革の種類もしくは材料
の種類についての表示方法が記載されている。皮革の種
類によって価値が異なるために、正しい表示を求める消
費者だけではなく、生産、流通に関係する者からも皮革
の種類を科学的に証明できる方法が求められている。し
かしながら、現在主に行われている同定方法は光学顕微
鏡もしくは電子顕微鏡による表面および断面の観察が殆
どであり、その他の方法として有効な同定方法はないの
が現状である。
格化されているものはない。また、同定方法として明文
化されているものも少なく、殆どが動物種によって異な
る皮革の構造的特徴や、皮革の性質が記載されているだ
けである。
体に外観的特徴が少ないこともあり、熟練した専門家で
なければ同定する事は難しい。皮革の同定は光学顕微鏡
や電子顕微鏡によって毛穴の大きさ、数、形状、配列の
仕方、また銀面の凹凸、断面構造、物理的性質(硬さや
手触り)を総合的にとらえ、専門家が経験を元に判断す
る。しかし、製品となっている革は、通常鞣や染色など
の強い処理を受けるために外観や色つやが変化し、同定
をより困難なものとする。人工皮革や合成皮革などの人
工的に天然皮革に似せて生産されているものから、型押
し革と呼ばれる牛床革や豚皮などの表面を加熱加圧する
ことによって他の革に似せる技術もある。このようなも
のになると専門家でさえも材料となっている動物種を同
定することは難しい。国内には専門家が少ないことと、
外観観察による同定は人間の感覚と経験に基づく判断と
なることから、科学的な方法が求められている。
を目的として、DNAを用いる同定方法が利用されてい
る。これは生物種ごとに特異的であるDNA配列を利用
するものであり、この特異的な配列を確認することは生
物種を同定する方法として充分な科学的な根拠があると
認知されている。
認する方法として、PCR反応にて所望の配列を増幅さ
せ、これを電気泳動法にて確認する方法が採用されてい
る。しかしながら、DNAはDNAseの働きや熱によっ
て分解されやすく、また物理的にも弱く剪断されやす
い。このため高感度の測定のためには、試料中に保存さ
れている比較的分解されづらい塩基配列を選ぶこと、出
来るだけDNAに影響を与えずに試料からDNAを抽出
することが重要になる。
処理を受けることから、試料中のDNA量が非常に少な
くなり、また損傷を受けることも多い。皮革処理の例と
して、一般的な銀付きクロム革の処理工程を挙げると以
下のごとくなる。 1.原料となる皮は、通常塩漬けされている。 2.水漬けし生皮の状態に戻す。 3.フレッシング(皮の裏面の肉や脂肪を取り除く)。 4.石灰漬け・脱毛。 5.分割(厚さを調節するため2層に分割する)。 6.脱灰。 7.ピックリング(皮をなめしに適した酸性にする)。 8.クロム鞣し 9.シェービング(裏面を削って厚さを均一にする)。 10.中和(酸性のクロム鞣し皮を染色・加脂に適する
よう中和する)。 11.染色。 12.加脂(目的に応じた柔らかさを与えるため油剤を
加える)。 13.水絞り・セッティング(革を延ばす)。 14.乾燥(一旦乾かして染料、加脂剤を革に固着させ
る)。 15.味入れ(ステーキングしやすいよう適度に水分を
与える)。 16.ステーキング(革を揉みほぐし柔らかくする)。 17.張り革・乾燥(革を平らに乾燥させる)。 18.塗装・つや出し。
ーティングを行う。コーティング処理としては、ベース
コート、ミドルコートによって、皮革を被覆し、傷を隠
す。また、トップコート剤の浸透を抑える。トップコー
トは表面の色落ちを防止し、感触、光沢などを調整す
る。
DNAの判定可能な量を抽出するのは非常に困難なもの
となっている。またDNAを少量抽出したとしても、変
性を受けたものであることが多く、一般の試料に使用さ
れるような強い処理を受けていない試料、例えば肉種判
定等のDNA同定法に用いるプライマーを使用しても、
強い処理を受けている皮革を同定する際には使用できな
い。例えば、DNA解析による肉種判定法(松永孝光
ら,平成9年度畜産物需要開発調査研究事業報告書,p1
31-137,農畜産業振興事業団)に使用されているプライ
マーは、皮革のDNAによる同定法では使用できなかっ
た。上記のような事情から、現在までDNA配列を利用
した皮革材料の判定方法は全く知られていない。
品を科学的に高精度で同定するための方法を提供するこ
とを目的とする。より詳しくは、本発明は天然皮革製品
から操作可能な量のDNAを抽出する方法、および抽出
されたDNAに基づき天然皮革製品が由来する動物種を
判定する方法、および該方法に有用な、動物種に特異的
なプライマーを提供することを目的とする。
品試験片の表面皮膜を、物理的処理により除去する工
程、該試験片を細切する工程、細切した試験片へ、コラ
ゲナーゼを作用させる工程、試験片からDNAを抽出す
る工程を含む、天然皮革製品からDNAを抽出する方法
を提供する。本発明の方法によって、従来不可能である
とされていた天然皮革製品から、PCR反応等の従来公
知の方法により操作可能な量のDNAの抽出が可能とな
った。
皮膜を、物理的処理により除去する工程、該試験片を細
切する工程、細切した試験片へ、コラゲナーゼを作用さ
せる工程、試験片からDNAを抽出する工程、抽出した
DNAを鋳型として、予測される動物種由来の種特異的
プライマーを用いたPCR反応により種特異的DNA断
片を増幅する工程、増幅されたDNAを分析する工程を
含む、天然皮革製品の判定方法を提供する。
を用いればウシ、ブタ革製品のみならず、ヒツジ、ヤ
ギ、ウマ、シカ、オーストリッチ、ヘビ、ワニ、トカゲ
等、様々な動物種由来の天然皮革製品の判定を行うこと
が可能となった。種特異的プライマーとしては、以下に
説明する本発明のウシ種判定用プライマーおよびブタ種
判定用プライマーが特に好適に用いられる。本発明の方
法において、用いるプライマーは特に種特異性が高くか
つ配列がよく保存されている部位に由来するものである
必要がある。例えば公知のヒツジ種用プライマーやヤギ
種用プライマーを用いることができる。
を施された天然皮全てを含み、染色処理、表面コーティ
ング処理の有無を問わない。また、最終製品の形に縫製
されたものおよび最終製品製造のための材料として供給
される皮革の両方を含むものとする。
として有用なusi F284(配列番号1)および usi R457
(配列番号2)を提供する。本発明のウシ種判定用プラ
イマーで増幅される増幅産物のサイズは175bpであ
る。本発明はさらにブタ種判定用プライマーとしてbuta
F284(配列番号3)およびbutaR457(配列番号4)を提供
する。本発明のブタ種判定用プライマーで増幅される増
幅産物のサイズは174bpである。
比較的良いとされているミトコンドリアDNA中におい
て、変異率が高く、生物種ごとに特有の配列を持ってい
るとされるチトクロムb遺伝子の配列を利用して、独自
に設計したものであり、非常に高い種特異性を示す。
品の判定方法のごとき、非常に高い種特異性の要求され
る判定において特に好適に用いられるが、その他、例え
ば生肉の判定等、比較的損傷を受けない状態にてDNA
試料を採取でき、したがってさほど高い種特異性が要求
されないDNA判定においても、好適に用いることがで
きる。
の天然皮革製品の試験片の表面皮膜を物理的処理により
除去する。ここで表面皮膜とは、皮革製品のいわゆるト
ップコートをいい、感触、光沢などを調整するために皮
革製品の最も付与される層である。革製品にはその用
途、目的により様々な材質のトップコートが施されてい
るが、本発明の方法においては、トップコートの材質、
厚みにかかわらず、最初にこれを除去する。
する」とは、薬品等を使用せずに表面皮膜を除去するこ
とを言い、具体的には皮膜が容易に剥がせる場合には、
適当な大きさに裁断した試験片の表面皮膜を例えばピン
セット等によりつまみ、これを剥がせばよい。表面皮膜
が容易に剥がすことのできないものである場合には、や
すり等で削り取ってもよい。
ナイフ等、常套の手段により行えばよい。細切片の大き
さは限定的ではないが、例えばハサミで約2×2cm、
約200mg程度の試験片を細切する場合に、15〜3
0分間程度切断操作を行えばよい。
る。DNA抽出操作において、細切試験片をまず界面活
性剤等を含有するDNA抽出用液中へ分散させる。ここ
で用いるDNA抽出液としてはタンパク質分解酵素が含
有されていないものであれば特に限定的ではないが、界
面活性剤であるSDSやポリエチレングリコール、およびE
DTA、DTTを含有するものが例示され、市販のものがいず
れも好適に用いられる。
色等の施された処理により、DNA抽出液が染料で濃色
に汚染される場合がある。かかる場合にはDNA抽出液
を投入した後遠心分離し、上清を交換して再度細切試験
片を分散させる操作を抽出液の色が充分薄いものとなる
まで繰り返した後に次の操作へ移せば良い。
へ、コラゲナーゼを作用させる。コラゲナーゼとして
は、市販のものがいずれも好適に用いられ、例えば、カ
ニ由来のコラゲナーゼ(C-C Biotech Corporation製)な
どが好適に用いられる。
れないがコラゲナーゼを投入した後37℃で10〜20
時間、ゆっくり攪拌しながらインキュベーションする。
作用させるコラゲナーゼ量は限定的ではなく、試験片の
種類や状態によって適宜選択すればよい。例えば50m
gの細切試験片に対してコラゲナーゼ10ユニットを1
0〜20時間作用させればよい。コラゲナーゼを作用さ
せた後、細切試験片が溶解しているかどうかを目視確認
する。コラゲナーゼ10ユニットによる処理によって試
験片が溶解していない場合には、さらに10ユニットの
コラゲナーゼを追加して同様の処理を繰り返せばよい。
片がDNA抽出液中へ1/3程度溶解したことが確認さ
れたら、試料を攪拌し、遠心分離により不溶物を沈殿さ
せる。得られる上清から、常套の方法、例えば当業者に
よく知られたフェノールとクロロホルムを用いた方法に
よりDNAを単離、精製する。
DNAを鋳型とし、種特異的プライマーを用い、PCR
反応により種特異的DNA断片を増幅させる。ウシ種由
来の天然皮革製品の判定のためには、配列番号1および
2の本発明のウシ種判定用プライマーが、そしてブタ種
由来の天然皮革製品の判定のためには、配列番号3およ
び4のブタ用プライマーが特に好適に用いられる。
る方法であり、DNAの目的とする一部分のみを大量に
増幅させる方法である。種特異的プライマーを用いてP
CR反応を行えば、使用したプライマーがハイブリダイ
ズし得る配列を有する鋳型DNAのみが増幅され、他の
種由来の鋳型DNAは増幅されない。したがって、種特
異的プライマーを用いてPCR反応を行い、得られるP
CR増幅物を解析することによって、試験片が由来する
種の判定が可能となる。
には良く知られており、一般的な教科書等にも記載され
ている。PCR反応としては以下の実施例1に記載した
方法のみならず、いずれの公知の方法、あるいはそのい
かなる改変方法を用いて行ってもよい。
次いで解析する。DNA断片の解析は公知のいずれの方
法によって行ってもよく、例えば当業者に良く知られた
アガロースゲル電気泳動法を用いて、蛍光物質で標識し
たDNA増幅物の電気泳動を行い、紫外線照射によって
これを検出すればよい。
れていた天然皮革製品の同定にあたって科学的手法を導
入することが可能とするものである。本発明の方法は、
誰が行っても同一の結果が得られる、客観的な判定方法
である。本明細書ではウシ種判定用、ブタ種判定用の2
種類のプライマーのみを示したが、他の適当な種特異的
プライマーを用いれば、その他の皮革の判定も可能とな
る。以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
ために、DNAの抽出が比較的簡単な生肉(豚肉と牛
肉)からDNAを抽出し、これらを鋳型とし、本発明の
プライマーを用いてPCR反応を行った。
試薬、水、容器及び器具については全て滅菌済みのもの
を使用した。 1.豚肉および牛肉試料をそれぞれ200mg取り、エッペ
ンドルフテストチューブ2.0mlに投入した。 2.DNA extraction buffer(DEB)(400mM Tris-HCl pH
8.0, 60mM EDTA, 1% SDS,0.1% PEG-400, 5mM DTT)を1
mlと、10U プロテイナーゼ Kを投入し、50℃で3時間以
上インキュベーションした。 3.インキュベーション後の試料を撹拌し、12000rpm,
5分間遠心分離した。上清を別のチューブに移し、300μ
lのフェノールを加え、15分間混合した。 4.ここへ300μlのクロロホルムを加え、さらに5分間
混合した。 5.2000rpm, 1分間遠心分離した。上清を別のチュー
ブに移し、0℃で15分間保冷した。 6.次いで13000rpm, 5分間遠心分離し、上清をDNA
回収用フィルター、Microcon-100を用いて精製した。 得られたDNA試料を30μlの10mM Tris-HCl(pH8.0)に
溶解して、PCR反応に供した。
6及びusiR459(配列番号1および2)およびブタ種用プ
ライマーbutaF284及びbutaR459(配列番号3および4)
を用いた。増幅産物のサイズはウシ種 175bp、ブタ種
174bpである。上記で得られた各DNA試料を鋳型と
し、以下のPCR反応プロトコルにて各プライマーを用
いて増幅させた。 PCR反応液 滅菌水 38.2μl 10×PCR緩衝液 5μl 10mM dNTP混合物 1.5μl プライマー 各1μl 50mM MgCl2 1.5μl Tween 20(1%w/v) 0.5μl DNA試料 1μl PLATINUM Taq DNA ポリメラーゼ 0.5μl(2.5ユニ
ット) PCR反応には、インビトロジェン(株)のポリメラー
ゼおよびその付属試薬を使用した。また、ネガティブコ
ントロールとして、DNA試料の代わりに1μlの10mM
Tris-HCl(pH8.0)を投入したものを用いて同様に以下の
PCRサイクルに供した。
クル 94℃ 30秒間 64℃ 30秒間 72℃ 7分間 PCR反応は、HYBAID PCR SPRINT temperature cyclin
g systemを使用して上記温度サイクルを実施した。
1.8%アガロースS((株)ニッポンジーン)のゲルを用
いた電気泳動により分析した。電気泳動条件は、100V、
25分間とした。分子量マーカーとして、Ready-Load 100
bp DNA ladderを同時に電気泳動にかけた。電気泳動
後、常套法により各バンドの位置を観察した。結果を図
1に示す。
は、ウシ種判定用プライマーを用いた場合にのみ増幅物
が検出され、ブタ種判定用プライマーを用いた場合は増
幅されなかったことがわかる。同様に、豚肉より抽出し
たDNA試料では、ブタ種判定用プライマーを用いた場
合にのみ増幅物が検出され、ウシ種のプライマーを用い
た場合は増幅されなかった。これらのことより、本発明
のプライマーを用いて試料DNAを鋳型としてPCR反
応を行い、得られるPCR産物を解析すれば、試料の由
来がウシ種およびブタ種のいずれであるかを特異的に区
別し得ることを確認した。
の方法により天然皮革製品のDNAを判定した。試薬等
は生化学用もしくは特級を使用した。また、使用する試
薬や水、使用するチューブ、チップ、容器は可能なもの
については全て滅菌済みを使用した。牛革および豚革製
品の2×2cmの試験片を用いた。 1.各試験片表面の表面皮膜であるトップコート層を剥
がし、残渣をやすりで削り取った。 2.各試験片をそれぞれハサミで15分間程度切り刻み、
細切した。 3.試料をそれぞれ50mg取り、2.0ml容のエッペンド
ルフテストチューブへ投入した。 4.DNA extraction buffer(DEB)(400mM Tris-HCl
pH8.0, 60mM EDTA, 1% SDS, 0.1% PEG-400, 5mM DTT)
を1ml投入した。室温で数回振到攪拌したところ、液中
へ染料が溶け出したため、12000rpm, 5分間遠心分離
し、上清を500μl捨てた後、再度DEBを500μl投入し、
室温で数回振到攪拌した。 5.コラゲナーゼ(Crab hepatpancreas由来、C-Cバイ
オテク社 CCB301-1)10ユニットを投入し、37℃で12時
間、ゆっくり攪拌しながらインキュベーションした。イ
ンキュベーション後に試料を観察したところ、全体が溶
けていなかったため再度10ユニットのコラゲナーゼを追
加し、12時間インキュベーションした。
解したことを確認し、次いで試料を撹拌し、12000rpm,
5分間遠心分離した。上清を別のチューブに移し、300μ
lのフェノールを加え、15分間混合した。 7.300μlのクロロホルムを加え、5分間混合した。 8.2000rpm, 1分間遠心分離した。上清を別のチュー
ブに移し、0℃で15分間保冷した。 9.13000rpm, 5分間遠心分離し、上清をMicrocon-100
(宝酒造(株))を用いて精製してDNAを得た。 DNAを30μlの10mM Tris-HCl(pH8.0)へ懸濁して、P
CR反応に供した。
のを鋳型として、PCRによりDNAを増幅した。PC
R反応は実施例1と同様にして行った。また、ネガティ
ブコントロールとしてDNA抽出物に代えてTris-HClバッ
ファーを投入した。得られたPCR産物を次いで実施例
1と同様にして電気泳動によって分離した。結果を図2
に示す。図2は、左のレーンより順に 1. 分子量マーカー 2.牛革由来DNA×ウシ種判定用プライマー 3.豚革由来DNA×ブタ種判定用プライマー 4.豚革由来DNA×ウシ種判定用プライマー 5.牛革由来DNA×ブタ種判定用プライマー 6.ネガティブコントロール×ウシ種判定用プライマー 7.ネガティブコントロール×ブタ種判定用プライマー 8.分子量マーカー である。
抽出したDNAは、ウシ種判定用プライマーを用いた場
合にのみ増幅され、ブタ種判定用プライマーでは増幅さ
れなかった。一方、ブタ革試験片より抽出したDNA
は、ブタ種判定用プライマーを用いた場合にのみ増幅さ
れ、ウシ種判定用プライマーでは増幅されなかった。
作で処理してDNAを抽出した。即ち、実施例2と同じ
牛及び豚革試験片をそれぞれ200mg取り、2.0ml容のエ
ッペンドルフテストチューブ2.0mlに投入した。次いで
DNA extraction buffer(DEB)(400mM Tris-HCl pH8.
0, 60mM EDTA, 1% SDS, 0.1% PEG-400, 5mM DTT)を1m
lと、10U プロテイナーゼ Kを投入し、50℃で3時間以
上インキュベーションした。インキュベーション後、実
施例1と同様にしてDNAを抽出し、抽出したDNAを
本発明のプライマーを用いたPCR反応に供し、これを
電気泳動にかけた。電気泳動の結果、ブタ、ウシともに
生肉のDNAは抽出され、測定可能であったが、ウシ、
ブタ共に皮革由来のDNAは検出されなかった。
果の写真である。
果の写真である。
Claims (7)
- 【請求項1】 天然皮革製品試験片の表面皮膜を、物理
的処理により除去する工程、該試験片を細切する工程、
細切した試験片へ、コラゲナーゼを作用させる工程、試
験片からDNAを抽出する工程を含む、天然皮革製品か
らDNAを抽出する方法。 - 【請求項2】 天然皮革製品試験片の表面皮膜を、物理
的処理により除去する工程、該試験片を細切する工程、
細切した試験片へ、コラゲナーゼを作用させる工程、試
験片からDNAを抽出する工程、抽出したDNAを鋳型
として、予測される動物種由来の種特異的プライマーを
用いたポリメラーゼチェインリアクションにより種特異
的DNA断片を増幅する工程、増幅されたDNAを分析
する工程を含む、天然皮革製品の判定方法。 - 【請求項3】 天然皮革製品が、ウシ、ブタ、ヒツジま
たはヤギ由来のものである、請求項1または2記載の方
法。 - 【請求項4】 種特異的プライマーが、usiF276(配列番
号1)およびusiR459(配列番号2)であり、ウシ由来天
然皮革製品を判定するための方法である、請求項2記載
の方法。 - 【請求項5】 種特異的プライマーが、butaF284(配列
番号3)およびbutaR457(配列番号4)であり、ブタ由来
天然皮革製品を判定するための方法である、請求項2記
載の方法。 - 【請求項6】 usiF276(配列番号1)およびusiR459(配
列番号2)で示される、ウシ種判定用プライマー。 - 【請求項7】 butaF284(配列番号3)およびbutaR457
(配列番号4)で示されるブタ種判定用プライマー。
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