JP2003125764A - ダイヤモンド微粒子担体 - Google Patents

ダイヤモンド微粒子担体

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JP2003125764A JP2001326159A JP2001326159A JP2003125764A JP 2003125764 A JP2003125764 A JP 2003125764A JP 2001326159 A JP2001326159 A JP 2001326159A JP 2001326159 A JP2001326159 A JP 2001326159A JP 2003125764 A JP2003125764 A JP 2003125764A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定化操作が簡便でかつ優れた性能を有す
る、物質あるいはウイルスの固定化担体を得提供する。 【解決手段】 爆薬の爆射による爆射式でダイヤモンド
−非ダイヤモンド混合物(初期BD)を製造し、該ダイ
ヤモンド−非ダイヤモンド混合物を酸化処理し、生成し
た懸濁液からダイヤモンドを含有する相を分離する方法
において、前記酸化処理の後に、それ自身揮発性の又は
その分解反応生成物が揮発性の塩基性材料を加えて、硝
酸との間で分解反応を生起させて中和することにより得
られたものであるダイヤモンド微粒子を、物質あるいは
ウィルスの固定化用担体として使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体由来高分子化
合物を固定化するための担体に関するものであり、具体
的には、DNA、RNA、タンパク質、ペプチドを固定
化するためのダイヤモンド微粒子からなる担体、及び該
担体を用いたDNAチップ基板、ウイルス補足用担体、
ワクチンに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生体由来高分子を固定化する手段
として、遺伝子機能の解明において効率的に作業を進め
るために、DNAチップ手段が注目されているほか、微
少担体にウイルス特にエイズウイルスを固定化してワク
チン等に利用しようという試みも盛んに研究されてい
る。
【0003】DNAチップは、スライドグラス等の固層
担体に、多数のDNA分子を整列固定化させたマイクロ
アレイであり、検体遺伝子との結合状態、位置を標識に
より光電的に読みとり、解析を行うもので、多数遺伝子
の同時一括解析が可能であり、ヒトゲノム計画にみられ
る遺伝子機能の解明の他、遺伝子発現解析、遺伝子多型
の判別、変異遺伝子の特定あるいはガン遺伝子の判別等
にも有効なものである。また、DNAチップ手段は、こ
れら遺伝子のみならず、DNA以外の生体分子、特に生
理活性タンパクないしペプチドの機能の解明等において
も有効であり、例えば、新規薬剤の開発、診断等にも適
用可能な手段である。しかし、従来のDNAチップに問
題がないわけではなく、例えば、スライドガラスあるい
はシリコン基板表面にポリリジン等のポリ陽イオン性高
分子等を塗布し、DNAをスポッター装置により固定化
させる手段が一般的に用いられているが、この手段は、
DNAの荷電を利用して固層担体に静電結合させるもの
であるので、ハイブリダイゼーション時あるいは洗浄時
にDNAが担体から剥離しやすいという問題点があっ
た。
【0004】一方、DNAチップの支持基板として、ダ
イヤモンドを使用するものもある(特開2001−13
9532号公報)。これは、ダイヤモンドを使用するた
め熱伝導性に優れ、加熱冷却を繰り返すPCR法を行う
にあたり、ヒートサイクル時間を短縮できるメリットは
あるものの、ダイヤモンドにはDNAを結合させるため
の官能基が存在しないため、ダイヤモンドにDNAを結
合するための官能基を導入する必要があり、このため、
ダイヤモンドに紫外線照射しつつ塩素化し、さらにこれ
を紫外線照射下でアンモニアと反応させアミノ化し、こ
のアミノ基に、あらかじめ調整しておいた活性化ジエス
テルと反応させることにより、ダイヤモンド基体にDN
Aと結合し得る官能基を導入するものであり、その工程
は複雑で、簡便なものではなかった。
【0005】これらとは別に、高分子ナノスフェアから
なる担体に、糖認識タンパク質としてマンノース結合性
レクチンであるコンカナバリンAを結合せしめ、これに
よりウイルス、特にエイズウィルス(HIV)を捕捉せし
め、これをワクチンとして使用しようとする研究もなさ
れている(「化学工業」2001年9月号、P.41−
46)。これに使用する高分子ナノスフェア担体は、例
えば、ポリメタクリル酸マクロマーとスチレンのラジカ
ル共重合によりポリスチレン部分からなる疎水性コアと
ポリメタクリル酸部分からなる親水性コロナ部分からな
る。ナノスフェア表面にはポリメタクリル酸のカルボキ
シル基が存在しており、このカルボキシル基とマンノー
ス結合性レクチンであるコンカナバリンAのアミノ基と
反応させ、ナノスフェア表面にコンカナバリンを固定化
し、エイズウィルス補足用担体とする。固定化されたコ
ンカナバリンAは、エイズウィルス表面に存在する糖タ
ンパク質gp120の糖鎖(マンノース)を認識してエ
イズウィルスを捕捉する。この捕捉率はほぼ100%で
ある。このエイズウィルスが捕捉された高分子ナノスフ
ェアを、高いIgA誘導性を有するエイズウィルスワク
チンとして用いようとするものである。しかし、この高
分子ナノスフェアは、凝集性強く、血液中で凝集し、凝
固する恐れがあり、安全性に問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、上記従来技術の問題点を解消し得る全く新しい物質
あるいはウイルス固定用担体を提供することにあり、特
に、該担体を用いて、DNAチップ基板、ウィルス補足
用担体及びあるいはウィルスワクチンを提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
技術の問題点を解消すべく鋭意研究の結果、 爆薬の爆
射による爆射式でダイヤモンド−非ダイヤモンド混合物
(初期BD)を製造し、該ダイヤモンド−非ダイヤモン
ド混合物を酸化処理し、生成した懸濁液からダイヤモン
ドを含有する相を分離する方法において、前記酸化処理
の後に、それ自身揮発性の又はその分解反応生成物が揮
発性の塩基性材料を加えて、硝酸との間で分解反応を生
起させて中和することにより、全く新しいダイヤモンド
微粒子を得ることに成功した。そして、このダイヤモン
ド微粒子が、ナノオーダの粒径を有し、極めて大きい被
表面積を有するとともに、その表面に、極めて多種、多
数の官能基、すなわちカルボキシル基、アミノ基、水酸
基、スルフォニル基等を有すること、また、特にマイナ
ス荷電性官能基が数多く存在することに起因して、分散
性が非常に良好で、水性懸濁液中で極めて安定しており
凝集しにくいこと、さらに、親水性が極めて高く、生体
親和性にも優れ、生体毒性がなく、安全であることが確
かめられ、このダイヤモンド微粒子を用いれば、極めて
有用な物質あるいはウィルスを固定化するための担体と
なり、該担体を用いて、従来技術の問題点を解消しうる
極めて優れたDNAチップ基板、ウィルス補足用担体及
びあるいはウィルスワクチンを提供することができるこ
とを見いだし、本発明を完成させるに至ったものであ
る。
【0008】すなわち、本発明は以下の構成に係るもの
である。 (1)爆薬の爆射による爆射式でダイヤモンド−非ダイ
ヤモンド混合物(初期BD)を製造し、該ダイヤモンド
−非ダイヤモンド混合物を酸化処理し、生成した懸濁液
からダイヤモンドを含有する相を分離する方法におい
て、前記酸化処理の後に、それ自身揮発性の又はその分
解反応生成物が揮発性の塩基性材料を加えて、硝酸との
間で分解反応を生起させて中和することにより得られた
ものであるダイヤモンド微粒子からなり、その表面に官
能基を有する物質またはウィルス固定化用担体。 (2)以下(i)〜(iv)で規定されるダイヤモンド
微粒子からなり、その表面に官能基を有する物質あるい
はウィルス固定化用担体。 (i)72〜89.5%の全炭素、0.8〜1.5%の
水素、1.5〜2.5%の窒素、10.5〜25.0%
の酸素の元素組成比を有し、(ii)粒径1000nm以上の粒
子が存在せず、粒径30nm以下の粒子が存在せず、数平
均粒径(φn)が150〜650nmの狭分散形であり、(i
ii)Cu、K α線を線源とするX線回析スペクトル(X
D)におけるブラッグ(Bragg)角(2θ±2°)が4
3.9°に最も強いピークを有し、73.5°、95°
に特徴的な強いピークを有し、17°に強く偏在したハ
ローがあり、26.5°にピークが実質的になく、(iv)
比表面積が1.50×105m2/kg以上で、実質的に
全ての表面炭素原子がヘテロ原子と結合しており、0.
5×10−3m3/kg以上の全吸収空間を有する。 (3)前記固定化される物質が、DNAまたはRNAで
あることを特徴とする前記第(1)または第(2)の担
体。 (4)前記固定化される物質が、タンパク質またはペプ
チドである前記第(1)または第(2)に記載の担体。 (5)前記タンパク質が、レクチンであることを特徴と
する前記第(4)記載の担体。 (6)前記第(1)または第(2)に記載の担体を少な
くとも支持体表面に有するDNAチップ基板。 (7)前記第(1)または第(2)に記載の担体からな
ることを特徴とするウイルス捕捉用担体。 (8)前記第(1)または第(2)に記載の担体にレク
チンが結合していることを特徴とするウィルス補足用担
体。 (9)前記ウィルスがレトロウィルスであることを特徴
とする前記第(8)に記載のウィルス補足用担体。 (10)前記レトロウィルスがエイズウィルスであるこ
とを特徴とする前記第(9)に記載のウィルス補足用担
体。 (11)前記エイズウイルスまたはその部分構成蛋白を
前記第(8)または第(9)に記載のウィルス補足用担
体に捕捉せしめたワクチン。
【0009】〔本発明において使用するダイヤモンド微
粒子〕まず、本発明において使用するダイヤモンド微粒
子(以下、UDD微粒子という。)について、以下、具
体的に説明する。本発明において使用するUDD微粒子
は、上述したように、爆薬の爆射による爆射式でダイヤ
モンド−非ダイヤモンド混合物(初期BD)を製造し、
該ダイヤモンド−非ダイヤモンド混合物を酸化処理し、
生成した懸濁液からダイヤモンドを含有する相を分離す
る方法において、前記酸化処理の後に、それ自身揮発性
の又はその分解反応生成物が揮発性の塩基性材料を加え
て、硝酸との間で分解反応を生起させて中和することに
より得られたものであるが、本発明のUDD微粒子は以
下の粉体特性を有するものである。 (a)(i)72〜89.5%の全炭素、0.8〜1.
5%の水素、1.5〜2.5%の窒素、10.5〜2
5.0%の酸素の元素組成比を有し、(ii)粒径1000nm
以上の粒子が存在せず、粒径30nm以下の粒子が存在せ
ず、数平均粒径(φn)が150〜650nmの狭分散形で
あり、(iii)Cu、K α線を線源とするX線回析スペクト
ル(XD)におけるブラッグ(Bragg)角(2θ±2°)
が43.9°に最も強いピークを有し、73.5°、9
5°に特徴的な強いピークを有し、17°に強く偏在し
たハローがあり、26.5°にピークが実質的になく、
(iv)比表面積が1.50×10/kg以上で、実質
的に全ての表面炭素原子がヘテロ原子と結合しており、
0.5×10−3/kg以上の全吸収空間を有する。
【0010】さらに、本発明のダイヤモンド微粒子は以
下(b)〜(f)の粉体特性を有していてもよい。 (b)前記粒度分布状態として、粒径1000nm以上の粒
子が存在せず、粒径30nm以下の粒子が存在せず、数平
均粒径(φn)が300〜500nmの狭分散形であるこ
と。 (c)比密度が3.20×10−3kg/m〜3.4
0×10−3kg/mであり、赤外線(IR)吸収スペ
クトルにおける吸収が、3500cm−1付近に最も強
い幅広い帯域を示し、1730〜1790cm−1の吸
収が、前後に幅広く拡がって偏奇し、1170cm−1
付近に強い幅広い帯域を示し、610cm −1付近に中
程度の強度の幅広い帯域を示すこと。 (d)赤外線(IR)吸収スペクトルにおける吸収が、1
740cm−1付近に中程度の強度の帯域を示し、16
40cm−1付近に中程度の強度の帯域を示し、126
0cm−1付近に幅広い帯域を示すこと。 (e)Cu、K α線を線源とするX線回析スペクトル(X
RD)におけるブラッグ(Bragg)角(2θ±2°)の前
記最も強いピーク43.9°の強度に対する、その余の
ブラッグ(Bragg)角(2θ±2°)のピークの合計強度
が、11/89〜19/81であること。 (f)1273°Kに加熱後のBET法による比表面積
が1.95×10/kg〜4.04×10/k
gであること。
【0011】本発明において使用するUDD微粒子を製
造するための原料となる粗ダイヤモンド(以下、ブレン
ドダイヤモンド又はBDとも云う)は、上記[Science,V
ol.133,No.3467(1961), pp1821-1822]、特開平1−23
4311号公報、特開平2−141414号公報、[Bul
l.Soc. Chim.Fr.Vol.134(1997).pp875-890]、[Diamond
and Related materials Vol.9(2000),pp861-865]、[Che
mical Physics Letters,222(1994) pp343-346]、[Carbo
n,Vol.33, No.12(1995), pp1663-167]1、[Physics of t
he Solid State,Vol.42,No.8(2000),PP1575-1578]、[Ca
rbon Vol.33, No.12(1995), pp1663-1671]、[K.Xu.Z.Ji
n,F.Wei and T.Jiang,Energetic Materials, 1,19(199
3)(in Chinese)]、特開昭63−303806号公報、
特開昭56−26711号公報、英国特許第11546
33号公報、特開平3−271109号公報、特表平6
−505694号(WO93/13016号)公報、
[炭素],第22巻,No.2,189〜191頁(19
84)、Van Thiei. M. & Rec.,F. H.[J. Appl. Phys.
62, pp. 1761〜1767(1987)]、特表平7−505831
号(WO94/18123号)又は米国特許第5861
349号明細書に記載の、爆薬を用いた爆射法により製
造することができる。好ましい製法の具体例については
後程詳述する。
【0012】このような爆射法で製造された粗ダイヤモ
ンド(Blended Diamond:BD)は、数10−数100n
m、場合によっては数百nm径まで、UDD及び非グラ
フアイトからなる形のものであり、さらに、各UDD
は、1.5−7nm径の極く小さいナノクラスターサイ
ズのダイヤモンド単位(ナノダイヤモンド)が強固に凝
集し、機械的に破壊することが不能又は極く困難な凝集
体である。換言すれば、UDDは、最低4個、普通10
数個から数百のナノダイヤモンドの強固な凝集体であ
り、BDはUDDの集合物であって、極く少量の微小
(1.5ナノミクロン以下)アモルファスダイヤモンド
及びグラフアイト、非グラファイト炭素超微粒子が検出
される。
【0013】本発明において使用するUDD微粒子の製
造においては、爆薬の爆射による転移によって生じた縮
合炭素相を、液相中で段階的に酸化処理することにより
非ダイヤモンド構造の部分を分解する。酸化には好まし
くは硝酸が用いられる。所望により、金属酸化物の不純
物を溶出するため、予じめ塩酸で処理することもでき
る。先ず初めに、粗ダイヤモンド(BD)を包接する縮
合炭素相を酸化分解してダイヤモンド部分を炭素相から
分離採取する。
【0014】次に、粗ダイヤモンドの表面部分を覆う非
ダイヤモンド炭素を酸化分解及び酸化エッチングして除
去し、更に、ダイヤモンド表面の1部を形成している非
ダイヤモンド炭素を酸化エッチングして除去する。ダイ
ヤモンド部分表面を覆う非ダイヤモンド炭素及びダイヤ
モンド表面の1部を形成している非ダイヤモンド炭素
は、主に、ダイヤモンド合成反応としての爆薬の爆射に
よる転移の過程で、一旦合成されたダイヤモンドが、速
やかに減少した圧力及び未だ充分に高い温度の影響によ
り、元のグラファイトに再度戻る転移反応によって生じ
たものと思われる。ダイヤモンドの表面部分を覆う非ダ
イヤモンド炭素及びナノダイヤモンドの表面層の1部を
形成している非ダイヤモンド炭素の、酸化分解及び酸化
エッチングによる除去は、同時に遂行することができ、
又は好ましく順次遂行することができる。
【0015】精製された生成物(UDD)を構成するナ
ノダイヤモンドは、コヒーレント光電場散乱(CSF)
による平均粒径が42±2×10−10mであり、ダイヤモ
ンド格子構造を有するUDD核部の性質、及びUDD全
体に分散し格子を形成せず1.5×10−10m未満の原子
間隔を有する微少量の炭素原子の凝集体も、本発明にお
ける測定の結果、検知されたが、1方、本発明における
別法の測定結果によれば、精製された生成物の粒子内部
界面にも極微少量の炭素原子の凝集体の性質が検知さ
れ、その相互原子間隔はガウス分布をとることから、粒
子内部界面の炭素原子の凝集体はアモルファスであるこ
とが分かった。
【0016】従来のこの種のUDDは、一般に、(2.5〜
3.5)×10/gの比表面積、及び、(0.3〜1.0)×10
−3/kgの孔部容積を有する。また、1273°Kに
加熱したときに比表面積の減少がない。また、従来のU
DDは、サスペンジョンの場合、粒子サイズは最大1000
×10−6mであるが、これを乾燥した場合、凝集して粒
径分布が多分散の粉体となり、不活性雰囲気中で加熱し
た場合、873°Kからスフェロールライト(sphrollite)
の形をとるUDD粒子が増えはじめるが、このスフェロ
ールライト形のUDD粒子は、(100〜150)×10Paの圧
力印加で崩壊させることができる。その後は再凝集によ
る再度の多分散粉体を生じる可能性が少なくなる。
【0017】これに対して、本発明において使用するU
DD微粒子は、合成過程における非均一な条件のため、
高密度の欠陥、大きい比表面(従来のものとは桁違いの
1.50×10/kg以上の大きさ)を有し、かつこの
大きな表面全体が、発達した高活性度を有し、過剰なエ
ンタルピーを有する。また、p/ps=0.995(ここで、
pはNガスにより充填された孔内部の表面積を、ps
はNガスの単層を形成するための窒素ガス分圧を、そ
れぞれ表す)に基く全吸収空間が0.5m/kg以上であっ
て、この値も従来のこの種のものにおける値とは大きく
異なる。これら性質は、本発明のUDD微粒子の有用性
を裏付けるものである。
【0018】本発明のUDDには、不純物として揮発性
物質及び固体不純物が表面に存在する。揮発性物質はC
O、CO、N、HO、HSO、HNOのよ
うな酸からの残存物(化学的精製後)であり、固体不純物
は非ダイヤモンド、金属の酸化物、カーバイドのような
不溶性化合物、塩不純物である。結局、本発明のUDD
は、72〜89.5%の全炭素、0.8〜1.5%の水
素、1.5〜2.5%の窒素、10.5〜25.0%の
酸素(従来の一般的なダイヤモンドは普通90〜99%の全
炭素、0.5〜1.5%の水素、2〜3%の窒素、10%未満の酸
素)の元素組成を有する。全炭素のうち90〜97%が
ダイヤモンド結晶であり、10〜3%が非ダイヤモンド
炭素である。
【0019】UDDの不純物は、理論上(i)水溶性電
解質(ionized)、(ii)ダイヤモンド表面に化学結合した
加水分解性及びイオン性のもの(官能性表面基の塩の形
のもの)、(iii)水不溶性のもの(表面のメカニカルな不
純物、不溶性塩、不溶性酸化物)、(iv)ダイヤモンド結
晶格子中に包含されるか又はカプセル化されたもの、に
分けることができるが、前記(i)及び(ii)は、UDD
の精製過程で形成されたものであり、基本的な(i)の
水溶性電解質は水洗により除去することができるが、よ
り効果的に除去するにはイオン交換樹脂で処理すること
が好ましい。
【0020】本発明において使用するUDD微粒子の表
面官能性基は、イオン源としての−COOH、−OH、
−SOH、−NO、−NOのような陰性基が大部
分を占めるが、アミノ基(中和工程で生じたものと思わ
れる。)も存在する。而して、このダイヤモンドそれ自
体、イオン交換材と考えることができるので、このUD
Dの水性懸濁液をイオン交換材により処理して表面基を
非塩状態にすることは、後の使用を考えると効果的であ
る。
【0021】上記(iii)の水不溶性の不純物は、金属、
金属酸化物、金属カーバイド、金属塩(硫酸塩、シリケ
ート、カーボネート)のような分離したミクロ粒子と、
分離できない表面塩、表面金属酸化物の双方からなる。
これらを除去するため、即ち可溶性の形に変換するた
め、本発明においては酸が用いられる。
【0022】本発明において使用するUDD微粒子にお
いては、各種方法を用いて、前記(i)乃至(iii)の不
純物を40〜95%除去することができるが、しかし、
不純物を完全に除去することはできず、また、本発明に
おいて、不純物を完全に除去することは必要不可欠では
ない。これらのUDD不純物は、DNAチップおける測
定あるいはウイルスの捕捉、ワクチンに特に悪影響を与
えない。前記(iii)の不純物の完全除去を別にしても、
化学的方法による前記(iv)の不純物の除去は実質的でな
い。不純物を構成する基本的元素は、珪素、カルシウ
ム、鉄、硫黄、チタン、銅、クロム、カリウムであり、
これらは常に少量が実質的に存在する。発達した活性表
面を有する本発明のUDDは、溶液中から不純物を吸収
除去する能力を有するものであり、そのような用途に使
用することができる。それ故逆に、幾つかの不純物、す
なわち珪素、カリウム及び鉄の一部は、UDDの精製技
術で用いられる水の硬度を低下させることができる。鉄
は基本的な技術的不純物(つまり、爆射法に使用し易い
材料)であり、1.0乃至0.5重量%以下の濃度に除
去することは難かしい。鉄のそのような不純物量は主に
表面に存在する。
【0023】本発明のUDD微粒子は、かなりの数及び
量の揮発性不純物(最高10重量%)を含むが、0.0
1paの真空中で熱処理によってこれらを精製すること
ができ又は含有量を減少させることができる。この場
合、適当な加熱温度は現時点では400℃まで、最適な
加熱温度は250℃までである。
【0024】一方、別の観点によれば、本発明において
使用するUDD微粒子の製造過程で得られた最大の科学
的知見は、爆薬の爆壊により得られた人工の粗ダイヤモ
ンド(ブレンドされたダイヤモンド、BD)との幅広い
各種精製操作と、生成UDDの組成及び諸特性との関係
が明らかにされた点にある。本発明に先立って、BD
を、硝酸を基にした各種酸化系で処理し、また、有機溶
剤(炭化水素、アルコール)を基にした各種非酸化系で
処理して、生成UDDの組成及び特性を検討した結果を
次表に纏めて示す。
【0025】
【表1】
【0026】有機溶剤(炭化水素CnH2n+2、及びア
ルコールCnH2n+1OH)によるBDの非酸化性処理
は、UDD粒子の炭素スケルトンに影響を及ぼさず、表
面官能基の変化を生じて、BDの元素組成を変化させ
る。即ち炭化水素及びアルコールのUDDへの結合、消
費に伴って水素含有分及び酸素含有分が相対的に増加
し、合計ヘテロ元素(水素、窒素、酸素)の数量は2倍
に増加する。
【0027】[UDDの製造]本発明において使用す
る、改良されたUDD微粒子の製造方法は、爆薬の爆射
による爆射式でダイヤモンド−非ダイヤモンド混合物
(初期BD)を製造し、該ダイヤモンド−非ダイヤモン
ド混合物を酸化処理し、生成した懸濁液からダイヤモン
ドを含有する相を分離する各段階を含むダイヤモンド粒
子の懸濁水性液を製造する方法において、前記酸化処理
の後に、それ自身揮発性の又はその分解反応生成物が揮
発性の塩基性材料を加えて、硝酸との間で分解反応を生
起させて中和することを特徴とする。
【0028】前記酸化処理段階は、150℃〜250
℃、14気圧〜25気圧で、少なくとも10〜30分間
ずつ、複数回行なわれることが好ましい。また、前記酸
化処理段階は、硝酸による酸化性分解処理と、該酸化性
分解処理の後の硝酸による酸化性エッチング処理とから
なり、前記硝酸との間で分解反応を生起させて中和する
処理が、酸化性エッチング処理の後に行なわれることが
好ましい。
【0029】さらに、前記酸化性エッチング処理は、酸
化性分解処理の際の圧力及び温度よりも高い圧力及び温
度で行なわれることが好ましく、さらに、前記酸化性エ
ッチング処理は、1次酸化性エッチング処理と、2次酸
化性エッチング処理とからなり、該2次酸化性エッチン
グ処理が、前記1次酸化性エッチング処理の際の圧力及
び温度よりも高い圧力及び温度で行なわれることが好ま
しい。また、前記塩基性材料による中和段階でされた生
成した懸濁液からダイヤモンドを含有する相を分離する
段階は、水を加えて傾斜することによりダイヤモンドを
含有する相を、ダイヤモンドを含有しない相と分離する
ことが好ましい。
【0030】さらに、前記水で傾斜することによりダイ
ヤモンドを含有する相を、ダイヤモンドを含有しない相
と分離する処理の後さらに、懸濁液に硝酸を加え洗浄処
理し、生成ダイヤモンド微粒子を含む下層懸濁液と上層
排液とに分層処理し、生成ダイヤモンド微粒子を含む下
層懸濁液を上層排液から分離する処理を行なうことが好
ましい。また、前記生成ダイヤモンド微粒子を含む下層
懸濁液を上層排液から分離する処理は、前記硝酸洗浄処
理後の懸濁液を静置する処理であることができる。
【0031】さらに、前記生成ダイヤモンド微粒子を含
む下層懸濁液に、さらにPH調節及び濃度調節処理を施
して、懸濁液が1.0〜7.9のPH値、好ましくは1.5〜
6.95のPH値、より好ましくは2〜6.0のPH
値、0.05〜16%のダイヤモンド微粒子濃度、好ま
しくは0.1〜12%のダイヤモンド微粒子濃度、より
好ましくは1%〜10%のダイヤモンド微粒子濃度に濃
縮することができる。
【0032】したがって、本発明において使用する改良
されたUDD懸濁液を得るには、好ましい態様として、
爆薬の爆射による爆射式でダイヤモンド−非ダイヤモン
ド混合物(初期BD)を製造し、該ダイヤモンド−非ダ
イヤモンド混合物を酸化性分解処理し、精製された該ダ
イヤモンド−非ダイヤモンド混合物を酸化性エッチング
処理し、生成物を含む硝酸水溶液に、それ自身揮発性の
又はその分解反応生成物が揮発性の塩基性材料を加え
て、硝酸との間で分解反応を生起させて中和し、生成し
た懸濁液を水により傾斜し、傾斜段階を経た懸濁液に硝
酸を加え洗浄して静置し、生成ダイヤモンド微粒子を含
む下層懸濁液を上層排液から抜き取り、硝酸により洗浄
し、洗浄された懸濁液を遠心分離し、分離された懸濁液
に、必要に応じてPH調節及び濃度調節をしてダイヤモ
ンド懸濁水性液を調製する各段階を含む。
【0033】さらに、本発明で使用するUDD微粒子の
粉末を製造するには、前記ダイヤモンド微粒子懸濁液
を、遠心分子してダイヤモンド微粒子を懸濁液から取り
出し、400℃以下、好ましくは250℃以下の温度で
乾燥する。
【0034】そのようにすることにより、(i)72〜
89.5%の全炭素、0.8〜1.5%の水素、1.5
〜2.5%の窒素、10.5〜25.0%の酸素の元素
組成比を有し、(ii)粒径1000nm以上の粒子が存在せ
ず、粒径30nm以下の粒子が存在せず、数平均粒径(φ
n)が150〜650nmの狭分散形であり、(iii)Cu、K
α線を線源とするX線回析スペクトル(XD)における
ブラッグ(Bragg)角(2θ±2°)が43.9°に最も
強いピークを有し、73.5°、95°に特徴的な強い
ピークを有し、17°に強く偏在したハローがあり、2
6.5°にピークが実質的になく、(iv)比表面積が1.
50×10/kg以上で、全ての表面炭素原子がヘ
テロ原子と結合しており、0.5×10−3/kg以
上の全吸収空間を有するという粉末特性を有する、本発
明のUDD微粒子を比較的高収率(1〜5%の収率)で
製造することができる。
【0035】本発明で使用するUDD微粒子は、ダイヤ
モンド特有の高硬度、低導電性であるにも拘らず低誘電
性、低感磁性等の優れた電気的磁気的特性、高潤滑性、
小さい熱伝導度及び優れた耐熱性、耐熱膨張性、耐剥離
性、耐水耐薬品性を有し、粒度分布幅が小さい超微粉末
特有の優れた分散特性を有し、また、優れた表面活性、
イオン特にカチオン交換性、金属材料及びセラミックと
の高い親和性、薬剤としての安全性等を示す他、ダイヤ
モンド結晶のうち双方形結晶を除く特有の粒形、つま
り、粒子の形が長方形又は板状の偏平形でなく、例えば
立方体のように纏まった体積の形をしていることが多
く、かつ、BDからの酸化性分解処理や酸化性エッチン
グ処理により多孔質の活性表面が丸みを有していること
さえある。
【0036】このUDD微粒子は、無色透明であって他
材料に混合しても均一に充分分散されているので外観で
はほとんどその存在を黙視できず、また、固層組成物中
に分散されていてもほとんど触知することができない。
そのため、本発明の目的の他、自動車、オートバイ部品
金型、宇宙産業用機器材及び航空機用機器材、化学プラ
ント、コンピュータ用又は電子機器要素及び部品又はO
A機器用又はカメラ等の光学機器用要素及び部品及び磁
気テープ又はCD等記録媒体の等の摺動性、潤滑性、耐
摩耗性、耐熱性、耐熱膨張性、耐剥離性、耐水耐薬品及
び耐ガス腐食性の改善、外観及び触感の改善、色調の改
善、比重密度の改善を目的にして、潤滑油組成物、燃料
組成物、グリースのようなペースト状組成物、成形用樹
脂組成物、ゴム組成物、金属材料、セラミック組成物等
に添加することができ、また、粉末の形態自体で機械の
摺動部位等に存在させ、或いは吸着材、イオン交換材と
しても用いることができるが、このUDD微粒子は、基
本的な利点として、懸濁液、特に水性懸濁液とした場合
に優れた分散安定性を示す。
【0037】すなわち、本発明のUDD微粒子は、乾燥
微粉末としたときのUDD炭素含有率が98.22%、
酸化精製処理における酸化可能な残存炭素が0.93
%、不燃焼性残渣が0.85%のUDDを水性相中に1
5.5%濃度で含有する1100g(UDD含有量17
0g)の市販の水性UDD懸濁液は、商品としたときに
24ケ月の寿命を保証することができ、乾燥微粉末とし
たときのUDD炭素含有率が98.40%、酸化精製処
理における酸化可能な残存炭素が0.85%、不燃焼性
残渣が0.75%のUDDを水性相中に12.5%濃度
で含有する2010g(UDD含有量251g)の他の
水性UDD懸濁液も、商品としたときに24ケ月の寿命
を保証することができ、乾燥微粉末としたときのUDD
炭素含有率が98.87%、酸化精製処理における酸化
可能な残存炭素が0.73%、不燃焼性残渣が0.4%
のUDDを水性相中に11.0%濃度で含有する552
g(UDD含有量56g)の他の水性UDD懸濁液も、
商品としたときに24ケ月の寿命を保証することがで
き、乾燥微粉末としたときのUDD炭素含有率が98.
8%、酸化精製処理における酸化可能な残存炭素が0.
8%、不燃焼性残渣が0.4%のUDDを水性相中に1
1.5%濃度で含有する1044g(UDD含有量12
0g)の他の水性UDD懸濁液も、商品としたときに2
4ケ月の寿命を保証することができる。しかしながら、
これら保証される商品寿命は、零度℃より低い温度での
保管であることが最も好ましい。予定されてない将来の
使用に備えて予め懸濁液を購入し、極く長期間、零度℃
より極く低い温度で保管し続けるには、当然、特別の配
慮と、特別の設備が必要になるので、その旨説明するこ
とが好ましい。
【0038】しかしながら、本発明において使用するU
DD微粒子粉末は、水性懸濁液としたときに、最高16
%の濃度で、室温(15℃〜25℃)で約6ケ月間保存
しても、UDDの凝集、沈殿を生じない。一般的に、水
性組成物の品質低下程度は、保管温度が約10℃上昇す
る毎に倍増する。例えば、現在のメッキ処理は殆ど、加
熱された高温操作下で行われるので、本発明のUDD水
性懸濁液のこのような高温耐久性は、非常に有利とな
る。しかしながら通常は−15℃〜10℃で保存するの
が有利である。
【0039】本発明のUDD微粒子は、その表面の各種
カルボニル基の存在のため、上記のような優れた分散安
定性及び高い活性度を有し、N型半導体と類似の挙動を
示し、水性懸濁液としたときに、弱酸性を示し、若干の
導電性を有し、通常60℃或いは70℃の条件下での使
用に耐えるが、そのような温度を超える条件下での使用
は、避けることが好ましい。本発明のUDD水性懸濁液
は、pH8以下、通常pH1.0〜7.9、好ましくはpH
1.5〜6.95、より好ましくはpH2〜6に調製す
る。懸濁液のpHが8を超えると不安定になり易い。
【0040】分散性を良好にするためには通常界面活性
剤を使用するが、本発明のUDD水性懸濁液の場合に
は、界面活性剤の添加は、必要不可欠でない。界面活性
剤を添加しても分散安定が保持されることもあるが、多
くの場合、界面活性剤を添加すると、UDD水性懸濁液
の分散安定性を損なう。
【0041】本発明のUDD微粒子は、表面に多量に存
在するマイナス荷電性官能基のため、表面活性、親和性
に優れ、また、粒径分布に大径粒子を含まず、狭い粒度
分布を有するため、従来のダイヤモンド超微粒子と異な
り沈殿を生じ難く、水性懸濁液中で、安定に懸濁してい
る。先に記述したように、本発明のUDD懸濁液が水性
のものである場合には界面活性剤の添加は必要不可欠で
はなく、逆に、懸濁安定性を損なうことがある。これ
は、次のような機構に基くものと推測される。
【0042】即ち、従来のダイヤモンド超微粒子の場合
はカチオン性界面活性剤が添加されていたが、本発明の
懸濁液にカチオン性界面活性剤を添加すると、界面活性
剤は、カチオン部位がUDD表面のマイナス荷電性の官
能基に吸引され、界面活性剤の疎水性長鎖炭化水素基末
端が外側を向いて配向されるため、親水和性がなくな
る。
【0043】[樹脂組成物]本発明のUDD微粒子の添
加により樹脂の性質を改善することができる。参考とし
て以下の例を示す。例えば、UDDによる弗素系エラス
トマーの冷硬化及び含浸法は、つぎのような特徴を有す
る被覆を得ることができる。即ち、(i)炭化水素及び
極性溶剤の浸透性を1.389×10−7kg/m.secから0.02
78×10−7kg/m.secに50倍減少させる。
【0044】また、塩分を含む酸及びアルカリ環境下
で、本発明のUDD微粒子を添加したエチレン/パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体(保護皮膜)は
極めて高い化学的耐久性を示す。(ii)金属のドライ摩擦
係数を0.01以下に減少する。(iii)前記共重合体エラス
トマーの耐久性を改善し、100%延伸したエチレン/パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体エラストマ
ーの場合、引張りストレス係数は8.5 M・paから92 M・pa
へ、耐破裂強度は15.7 M・paから173 M・paへと、それぞ
れ10倍以上増加する。同時に、相対引張り伸び率は、28
0%から480%に1.6倍増加し、相対引張り伸び残存率は108
%から81%に、即ち、約1/1.2に減少する。(iv)接着剤の
貼付強度を次のように増加する。即ち、(a)活性表面に
関しては、鋼(CTグレード)への貼付強度を1.7 k・Nか
ら5.1 k・Nに、アルミニウムへの貼付強度を0.5 k・Nから
3.3 k・Nに増加させ、つまり約300〜500倍増加させ、ま
た亜鉛への貼付強度も同程度倍増加させ、(b)不活性表
面に関しては、鉛及び銅への貼付強度を2.8 k・N〜3.3 k
・Nに向上させ、(c)各種皮膜サンプルは、4000 M Hzで膜
厚に応じて2.58〜2.71の誘電正接損失(tan)、5000 M Hz
で膜厚に応じて最高15の透磁係数(penetration factor)
及び最高12.4の可逆透磁係数(reflction factor)を有
し、11000 M Hzで膜厚に応じて最高14.3の透磁係数(pen
etration factor)及び最高12.4の可逆透磁係数(reflcti
on factor)を示すような改善がなされる。
【0045】このように、本発明のUDD含有皮膜は、
その物理的、機械的特性を改良して、2×10kg/m
圧力印加下での操作を可能にする。(d)ポリシロキサン
を本発明のUDD微粒子で変性した皮膜は、ポリシロキ
サンエラストマーの耐久性を改善し、100%延伸した当
該エラストマーの場合、引張りストレス係数は19 M・pa
から53 M・paへ、3倍に増加し、耐引張破裂強度も、52 M
・paから154 M・paへ、3倍増加する。(e)本発明のUDD
を含有する弗素ゴムは、次のような耐弾性特性及び熱老
化耐久性を有する。即ち、100%延伸した当該弗素ゴムの
ストレスは、7.9M・paから12.5 M・paへ、1.6倍増加し、
耐引張破裂強度も、210 M・paから285 M・paへ、1.35倍増
加する。また、本発明のUDD微粒子を含有する弗素エ
ラストマーは、耐摩擦老化性を、1.5〜2倍増加させる。
ポリイソプレンの場合もこの増加率に非常に近い。さら
に、本発明のUDD微粒子を含有する弗素ゴムは、加熱
老化の過程を経ても、物理的、機械的特性が、加熱なし
の通常の組成の弗素ゴムの特性と同じレベル、又はそれ
以上のレベルにある。加熱老化の過程でUDD微粒子
は、弗素ゴムの構造破壊を生ぜず、むしろ反対の作用を
する。このように、本発明のUDD微粒子を含有する弗
素ゴムは、改良された弾性体特性を示す。
【0046】この弗素ゴムを300%延伸した際のストレ
スは、7.7 M・paから12.3 M・paへ、1.4倍増加し、耐引張
破裂強度は、139 M・paから148 M・paへ増加する。この弗
素ゴムのトルエン中での最大膨潤度は45%に低下する。
このように、この弗素ゴムは高い硬化度、高い耐久性
(従来よりも約30%高い)、高い耐機械疲労性を有す
る。このような諸耐久特性の増加による延伸率増大は、
従来の常識に当て嵌まらなず、当該弗素ゴムの分子構造
上の変化を示しており、この事実は、粘着性が1.7M・pa
から2.7 M・paへ、1.6倍増加したことにより立証され
る。
【0047】本発明のUDD微粒子によるこのゴムの変
性は、弾性を変化させずに、検討された全ての特性(300
%延伸時のストレス、破裂強度、及び引裂強度)を1.6
〜1.8倍向上させる。本発明のUDDを含むこのゴム
は、油中で、本発明のUDD微粒子を含まない弗素ゴム
に比し、より高い硬度(300%延伸時に5.8 M・paから7.4
M・paへ増加し、延伸率は700%から610%に低下)を有す
る。本発明のUDD微粒子及び人工カーボン粉末を同時
にこのゴムに添加すると、引裂強度は標準サンプルより
も25〜35%高くなる。
【0048】ブタジエン(70モル)−スチレン(30モル)
共重合体ベースの普通のゴム混合物に本発明のUDD微
粒子を添加した場合、標準サンプルに比較して、粘着強
度が1.6 M・paから3.1 M・paへ、1.5倍〜2.0倍増加した。
本発明のUDDを含むこの共重合体ゴムは、標準サンプ
ルと同様の普通の耐久性を有し、かつ、硬度が高く、引
裂強度が71kNから135kNへ、約2倍程向上し、300%
延伸した際のストレスは、7.9 M・paから11.4 M・paへ、
約1.44倍程向上した。
【0049】本発明のUDD微粒子により変性されたブ
タジエン−ニトリルゴム B14は、つぎの諸特性即ち
1.5倍減少した摩擦係数、1.4倍増加した疲労耐久性、1.
7倍増加した弾力性、耐白濁化(frost resistance)性(8
〜10%のガラス化温度低下)を示す。
【0050】本発明のUDD微粒子により変性された天
然ゴム(マレーシアのRSS)は、摩擦係数、疲労耐久性
の増加を伴って、300%延伸した際のストレスが1.8 M・p
aから5.4 M・paへ、約3倍程向上した。また、本発明のU
DD微粒子を含むエポキシ系接着剤の場合には、粘度及
び高い貼付強度を示した。
【0051】本発明のUDD微粒子は溶液重合、懸濁重
合、共重合、化学的硬化、電子線硬化、ガス炎加熱硬
化、静電塗装硬化のような重合反応で好適に用いられ
る。本発明のUDD微粒子を含む重合体組成物の利点と
しては、(i)改善された強度、耐候性、耐摩擦性、(i
i)ポリフルオロ弾性体及びパーフルオロポリマーの低摩
擦係数、及びポリイソプレンの高摩擦係数、(iii)微細
技術、微細製品に用いられる材料及び被覆物への応用の
ような、品質向上及び商品価値の向上が挙げられる。本
発明のUDDの使用量は、通常、重合体及びゴム1000kg
当り1〜5kg、フイルム及び被覆膜の場合1000m当り1
〜5kg、である。
【0052】[UDDの製造法の具体的説明]以下、本
発明において使用するUDD微粒子の製造法について図
面に基いて具体的に説明する。図1は、本発明による改
良されたUDD微粒子の製造方法の1例を説明する模式
図である。この例のUDD微粒子の製造方法において
は、(A)爆薬の爆射による爆射式で初期BDを製造す
る段階、(B)生成した初期BDを回収して酸化性分解
により炭素等の夾雑物を分解するBDの酸化性分解処理
段階、(C)酸化性分解処理により精製されたBDを酸
化性エッチング処理して主にBD表面を被覆する硬質炭
素を除去する1次酸化性エッチング処理段階、(D)1
次酸化性エッチング処理されたBDをさらに酸化性エッ
チング処理して主にBD凝集体を構成する個々のUDD
間のイオン透過性ギャップ及びUDD表面の結晶欠陥部
に存在する硬質炭素を除去する2次酸化性エッチング処
理段階、(E)2次酸化性エッチング処理されたBDを
含む硝酸水溶液に、それ自身揮発性の又はその分解反応
生成物が揮発性の塩基性材料を加えて、硝酸との間で2
次凝集体であるBD凝集体を1次凝集体である個々のU
DDに解体する小爆発を伴なう分解反応を生起させる激
しい中和反応段階、(F)中和反応段階を経て生成され
たUDDの反応懸濁液を水により充分にデカンテーショ
ンする傾斜段階、(G)傾斜段階を経たUDD懸濁液に
硝酸を加え洗浄して静置し、得られたUDDを含む下層
懸濁液を上層排液から抜き取る、UDD反応懸濁液の硝
酸による洗浄段階、(H)洗浄されたUDD懸濁液を遠
心分離する遠心分離段階、(J)遠心分離されたUDD
から所望PH、所望濃度の精製済みUDD懸濁水性液を
調製するUDD懸濁水性液調製段階、及び(K)遠心分
離されたUDDから、250℃以下、好ましくは130
℃以下の温度で乾燥して、UDD微粒子粉末を作成する
UDD微粒子粉末作成段階、を包含する。(J)の調整
段階を経た本発明のUDD懸濁水性液は、通常、1.0〜
7.9のPH、好ましくは1.5〜6.95のPH、より好ましく
は2〜6.0のPHを有する。
【0053】この例による(A)の爆射式初期BD製造
段階においては、水と多量の氷(1)を満たした純チタ
ン製の耐圧容器(2)に、電気雷管(6)を装着した爆
薬(5)(この例ではTNT(トリニトロトルエン)/H
MX(シクロテトラメチレンテトラニトラミン)=50
/50を使用)を胴内に収納させる片面プラグ付き鋼鉄
製パイプ(4)を水平に沈め、この鋼鉄製パイプ(4)
に鋼鉄製のヘルメット(3)を被覆して、爆薬(5)を
爆裂させ、反応生成物としての初期BDを容器(2)中
の水及び氷中から回収する。
【0054】しかしながら、BDの合成過程における温
度条件は重要であり、冷却された条件下で合成されたB
Dは、活性因又は吸着中心としての酸素含有官能基が結
合すべき構造欠陥の密度が少なくなる傾向があるので、
氷の使用量は避けるか又は制限されたものであることが
できる。
【0055】回収された生成BD(初期BD)は、
(B)のBDの酸化性分解処理段階において、オートク
レーブ(7)中で55〜56重量%の濃HNO3に分散
され、14気圧150〜180℃の温度で10〜30分
間、酸化性分解処理に付されることにより、炭素系夾雑
物、無機夾雑物等を分解する。(B)の酸化性分解処理
段階を経たBDは、次に、(C)の1次酸化性エッチン
グ処理を施す。この(C)の1次酸化性エッチング処理
段階では、主にBD表面を被覆する硬質炭素を除去する
ため、処理条件は、18気圧、200〜240℃と厳し
くなる。
【0056】つぎに、(D)の2次酸化性エッチング処
理を施す。2次酸化性エッチング処理段階は、主にBD
凝集体を構成する個々のUDD間のイオン透過性界面ギ
ャップ及びUDD表面の結晶欠陥部に除去し難い状態で
存在する極く少量の硬質炭素を除去するためのものであ
るので、処理条件は、25気圧、230〜250℃とさ
らに厳しくなる。本発明において、このような14気圧
150〜180℃、18気圧200〜240℃、25気
圧230〜250℃は必ずしも順守すべき基準条件では
ないが、少なくとも処理条件に傾斜を設けることが好ま
しい。(D)の2次酸化性エッチング処理を経た被処理
液は、PHが通常2〜6.95の酸性液である。
【0057】上記(E)の中和反応段階は、従来法にな
い操作の1つである。この中和反応の際、揮発性の分解
生成物を生じる塩基性物質の添加により、被処理液は、
PHが2〜6.95から7.05〜12に上昇する。
(E)の中和反応段階では、2次酸化性エッチング処理
されたBDを含む硝酸水溶液に、それ自身揮発性の又は
その分解反応生成物が揮発性の塩基性材料を加えて中和
反応させる。この中和反応は、BDを含む硝酸水性懸濁
液中のBD内に残存する硝酸まで、アニオンより一般的
にイオン半径が小さいカチオンが浸透して攻撃すること
により、各反応部位で反応相手との間で小爆発を伴なう
激しい中和反応、分解反応、不純物脱離溶解反応、ガス
生成反応、表面官能基生成反応を生起し、ガスが発生し
系の昇圧昇温も生じ得るものと考えられ、その結果、B
D凝集体を個々のUDD微粒子に解体する。また、主に
(E)の小爆発を伴う中和反応段階で、本発明のUDD
微粒子における大きな比表面積及び孔部吸着空間が形成
されるものと思われる。
【0058】このような塩基性材料としては、ヒドラジ
ン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミ
ン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、エタノールアミン、プロピルアミン、イソプロピル
アミン、ジプロピルアミン、アリルアミン、アニリン、
N,N−ジメチルアニリン、ジイソプロピルアミン、ジ
エチレントリアミンやテトラエチレンペンタミンのよう
なポリアルキレンポリアミン、2−エチルヘキシルアミ
ン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、ホルムアミ
ド、N,N−メチルホルムアミド、尿素等を挙げること
ができる。例えば、塩基性材料がアンモニアである場
合、酸と HNO + NH → NHNO → N
+ 2HO NO → N + (O) 3HNO + NH →NHNO + N
+ HO+ O + (O) NHNO → N + 2HO N + NH → 2N + 3HO N → N + O + (O) NHNO + 2NH →2N + H
+ 3H + (O)→ HO HCl + NaOH → Na + Cl
O HCl + NH → NH + ClNH
→NH + HSO + 2NH→NO + SO
NO のような各種ガス発生反応が生じ、発生したN
、NO、HO、H、SOガスを系外に放出
できるので、残存物による系に対する影響はほとんどな
くなる。
【0059】(F)の傾斜段階では、中和反応段階を経
て生成されたUDDの反応懸濁液に水を加えて充分にデ
カンテーションすることが必要回数(例えば3回以上)
繰り返される。(G)の洗浄段階では、傾斜段階を経た
UDD懸濁液に硝酸を加え撹拌(この例の場合はメカニ
カルマグネチックスターラーを使用)、洗浄して静置し
て上層排液と下層懸濁液に分け、得られたUDD微粒子
を含む下層懸濁液を上層排液から抜き取る。この場合
(UDD含有液1kgに対して水50kg加えた場
合)、上層排液と下層懸濁液とは明瞭に層分離してない
が、UDD微粒子を含む下層懸濁液の容量は、上層排液
の容量のほぼ1/4程度である。上層排液中にはダイヤ
モンド形の1.2〜2.0nm径程度の超々微粒子が存在し得
るが、この超々微粒子は液層中の不純部を巻き込んで凝
集して機械的圧力では分解不能な不良UDDを生成し勝
ちな可能性があるので、本発明においては回収操作が不
可欠ではない。
【0060】槽の底部から回収されたUDD懸濁液は、
つぎに、(H)の遠心分離段階で20000RPMの超
高速遠心分離機により遠心脱水分離され、所望により
(J)のUDD微粒子の懸濁水性液調製段階でUDD微
粒子懸濁水性液を調製し、さらに(K)のUDD微粒子
粉末作成段階で乾燥によりUDD微粒子粉末を作成す
る。なお、UDD微粒子を製造する場合、上記(J)の
工程を省略して(H)の遠心分離操作から直接乾燥して
もよい。このようにして得られた本発明のUDD微粒子
は、微粉体の形態であっても、粒径分布範囲が極めて狭
く、測定の結果、1000nm以上の粒子が存在せず(従来
の粉末は、通常、1000nm以上の粒子が15%以上混在)、
かつ、30nm以下の超微粒子が存在せず、体積平均粒径
が150〜650nm、典型的には300〜500nmの狭分散形で
あって、機械的力により、比較的簡単に分割可能なUD
D粉末である。
【0061】このような本発明のUDDの微粒子粉末
は、3.20×10−3kg/m〜3.40×10
−3kg/mの比密度を有する。アモルフアス炭素の
比密度は(1.8〜2.1)×10−3kg/m、グラファイ
ト炭素の比密度は2.26×10−3kg/m、天然ダイヤ
モンドの比密度は3.51×10−3kg/mであり、静的
な圧力印加法(非爆射法)による人工ダイヤモンドの比密
度は3.47〜3.50であるから、本発明におけるUDDは、
天然ダイヤモンドや静的圧力法によるダイヤモンドより
も比密度が小さいということができる。
【0062】一方、本発明のUDD微粒子の懸濁液は、
前記のように、1.0〜7.9のPH、好ましくは1.5〜6.95
のPH、より好ましくは2〜6のPHに調節したものであ
る。液中に懸濁しているUDD粒子の体積平均粒径は、
50nm±25nmの範囲にあり、粒径は10nm〜100nm
のものがほとんど(数平均で80%以上、重量平均で7
0%以上)であって、狭分散形である。懸濁液中のUD
D微粒子の濃度は0.05〜16%、好ましくは0.1
〜12%、より好ましくは1〜10%である。また、1
6%を超える濃度であると、この懸濁液の保存安定性に
支障をきたすことが多い。
【0063】図1では便宜上、例えば(B)段階、
(C)段階、(D)段階を別の場所で別の容器で実行す
るかのように示されているが、これら各段階は、同一場
所、同一容器で実行しても、無論さしつかえない。
(F)段階、(G)段階の場合も同様である。容器は耐圧
容器である。
【0064】図2に概念的に示されるように、上記第1
図に示される操作により、粒径(10〜1000)×1
−8mオーダーの初期BDから、平均粒径(4.2±
2)nmオーダーのナノダイヤモンド個体が最低限4
個、通常数10個〜数100個、強固に凝集し、粒径1
0〜100nmのものがほとんどで粒度分布の巾が小さ
く、重量平均粒径が約50nmの精製済みUDD微粒子
を得ることができ、このUDD微粒子は、ヘテロ原子の
うち、窒素以外のヘテロ原子(水素、酸素)の含有率が
高く、比表面積が高く、孔面積が大きく孔部分が多いた
めもあって、表面活性が極めて高く、分散安定性に非常
に優れている。精製済みUDD微粒子の収率(対爆薬使
用量)は1%以上5%程度までである。
【0065】〔UDD微粒子試料の物性 〕以下に、上
記UDD微粒子およびその懸濁液の製造法により得られ
た各種試料を分析した結果を示す 試験1;元素分析 上記図1に示される製造方法により得られた、本発明の
UDDについて、酸化性分解処理及び酸化性エッチング
処理の程度に依存する、使用サンプルの元素分析の結果
は炭素100原子当り慣用の元素組成としてつぎの表に
示される。
【0066】
【表2】
【0067】表中、酸化の程度αは、前記意味と同じ意
味を有する。
【0068】この結果は重要かつ興味ある技術的知見を
開示している。つまり、BDの酸化性分解生成物は、炭
素元素含有量とヘテロ原子含有量との組成比を大きく変
化させる。この表2の結果から、BD又はUDD中のヘ
テロ元素の含有率は、処理条件(酸化の程度α)と単純
な比例関係にないことが分かる。またこの表2及び前記
表1の結果から、BD又はUDD中のヘテロ元素として
の水素原子の含有率は、100個の炭素原子当り5個〜
35個の広い範囲に亘って変化し、酸素原子の含有率
も、100個の炭素原子当り4個〜32個の広い範囲に
亘って変化するが、しかし、窒素原子の含有率について
は、100個の炭素原子当り2個〜4個の狭い範囲であ
り、処理条件(酸化の程度α)によって殆ど変化しない
ことが分かる。
【0069】またこの表2への記載は省略しているが、
二酸化炭素ガスの発生は、BDの表面状態に密接な関係
があると思われるので、本発明において確認試験を行な
い、温度上昇、酸濃度上昇等の処理条件の違いによっ
て、BD中の炭素原子の二酸化炭素ガスへの変換割合は
徐々に増大することを確認した。
【0070】酸化性エッチング処理においては、最初、
炭素の乱れのあるアモルファス部分が酸化され、次にミ
クログラファイト構造が酸化され、順々に、UDD自身
の炭素の非ダイヤモンドの形から、更なる酸化をするこ
とが難かしい化学的に不活性な材料である実質的に完全
なBDの精製生成物が得られる。しかしながら、本発明
のUDD微粒子の製造においては、特定の厳しい酸化条
件下で長時間エッチング処理することによって、ダイヤ
モンド材質の一部を分解することができる。本発明にお
けるエッチングの程度は、UDDの約45%または初期
BDの76.5%が限度である。
【0071】試験2;UDD微粒子の炭素原子の官能基
化 本発明により、初期DBを試験1と同様に酸化処理し、
図3に示されるような酸化程度がそれぞれ異なる12の
サンプルを得た。図3のグラフに示されるように、酸化
分解及びエッチングの程度と、BD組成のとの関係は複
雑であり、BD組成は、酸化程度に一律に依存性してい
ない)。炭素100原子当りの初期BDに相当するヘテロ原
子の含有量は最低であり、部分酸化された(α=26〜
31%)BDの炭素100原子当りのヘテロ原子の含有量
は、53.5であり、部分エッチングされた(α=65
〜75%)BDの炭素100原子当りのヘテロ原子の含有
量は、4.9であった。酸化が進むにつれて、水素原子
及び酸素原子の含量が変化するので、表面官能基の化学
的組成が一定に近づく。
【0072】部分酸化されたBD生成物又は部分エッチ
ングされたUDD生成物のような準安定(metastable)構
造物については、反応媒体により硬い表面状態を弛緩さ
せ、最大限のヘテロ結合を形成することにより、活性度
を高めることができる。本発明のBD及びUDDのよう
な、より安定な形のものは最少量のヘテロ原子を有する
が、しかし、これらの活性度は、純度が高い周知の静的
合成ダイヤモンド(C 1001.12.2)又はす
す(C1005.14.1)の同様な特性(活性度)
をはるかに超えている。
【0073】上記得られた結果から、各相の連続的な変
化である酸化性分解過程は、1)炭素マトリックスの構
造欠陥及び粒子間結合のエッチングが最初に起こり、次
に反応表面が拡大した後、セミ酸化生成物で表面が飽和
し、2)さらに、弛緩した表面のエッチング、表面酸化
反応の生成物のガス化及び除去が生じるものであること
が、化学的見地から理解される。また、各相変化が循環
性を有するのは、構造的に不均一な物質が分解され、而
して、酸化剤の効果は、異なる構造形に対して選択的で
あることを示している。
【0074】BD及びUDD中のヘテロ原子のような高
存在度は、炭素の結合特性が偏在している可能性を示し
ている。計算の結果、約4×10−9m径のサイズのダ
イヤモンド粒子は、最高12×10個の炭素原子から
なり、そのうちの3×10個の炭素原子が表面露出原
子である。したがって、例えば本発明におけるUDDの
全体組成式はつぎのとおりである。
【0075】
【表3】
【0076】さらに、ここに記載を省略している他の実
験結果の場合も同様であった。したがって、このような
見地から、本発明におけるUDD微粒子は、実質的に全
ての表面炭素原子がヘテロ結合していることになる。本
発明における「実質的に全ての表面炭素原子がヘテロ原
子と結合している」とはこのような意味である。
【0077】本発明のUDD微粒子表面の活性水素(H
act)の濃度についての検討の結果、水素原子は、炭
素原子以外のいずれかの元素の原子に結合しているとき
には、活性であると考えることができる。炭素表面の活
性水素(Hact)について、ヒドロキシ基、カルボニ
ル基、アミノ基、スルホン基のような官能基上のHac
tの状態を特定することができる。
【0078】BD及びUDD微粒子表面の官能基と、ア
ニゾール存在下でのメチルマグネシウムアイオダイドと
の相互作用について、3段階のプロセス、すなわち、
1)不純物分子と外面(よりアクセスし易い官能基)と
の相互作用、2)開孔表面との相互作用、3)UDD凝
集体の機械的崩壊によるフリーになった表面との相互作
用、を象徴的に摘出した。
【0079】BD及びUDDの処理条件により、これら
UDD中の官能基因子源(protogenic group)の濃度は
0.34〜2.52マイクロkg当量/mであり、活
性水素元素の量は0.49〜7.52マイクロkg当量
/mであった。したがって、これらUDD表面及びB
D表面上の遊離可能な水素原子の量は、粉体UDD微粒
子表面及びBD中の全水素含量のうちの4〜22%であ
った。
【0080】本発明におけるUDD微粒子表面には、水
性液への分散濃度、親和性、電解質因子濃度を左右し、
pH値を決定する電荷を、水性溶液中でUDDに与える
各種酸素含有基を有する。全ての検体粉末の懸濁液のp
Hに基いて、表面に存在する酸性基の分離程度の増加に
依存した比吸収値を判定することができる。炭素材料の
分解、エッチングによる比吸収値の変化は、連続的な単
調子でなく、極端かつ急激である。
【0081】当初BDの低い比吸収値は、非酸化性媒体
中でBDが合成され、したがってその表面には僅かの酸
素含有基のみが存在していることを示している。本発明
において、BDを同時に酸化剤に露らす2段階反応の進
行結果によれば、表面が酸素含有基により飽和し、炭素
がエッチングされる。一方、酸化性作用が増加すると、
酸素含有基による炭素表面の飽和が起こり、比吸収値が
最大になって後、変化が生じないようになる。しかし酸
化可能な残存炭素の含量が18〜20%を超えると、比
吸収値の低下が生じる。
【0082】これは、ロシア特許第2046094号,[Bjuljut
en izobretenij,(29),189(1995)],「合成ダイヤモンド含
有材料」に示される結果とも一致している。参考のた
め、図4に、該ロシア文献記載の技術の1部を示す。図
4のカーブの著しい特性は、酸化剤処理下におけるBD
表面の構造的な特性変化、即ち、グラファイト状の構造
からダイヤモンド状炭素への構造変化を示している。材
料は、変遷途中の状態では高い吸収性を有する。BDの
強力な酸化条件下での酸化によれば、安定ダイヤモンド
形のみが残る。温和な酸化性エッチング条件ではダイヤ
モンド状炭素と非ダイヤモンド状炭素との境界が置き変
わる。実際、ダイヤモンド状の相(即ち真正のダイヤモ
ンドに似た相)としての最後の酸化可能な残存炭素含量
18〜20%は、ダイヤモンドクラスターの周辺部を構
成する炭素である。
【0083】試験3;表面特性 後記試験5に使用したNo13のサンプル(α=49%のサンプ
ルA)、No14のサンプル(α=56%のサンプル、サンプル
B)、および上記試験1に使用したNo4のサンプル(α=5
5%のサンプル、サンプルC)、同No5のサンプル(α=64.
9%のサンプル、サンプルD)、同No6のサンプル(α=74.
4%のサンプル、サンプルE)、同No1〔(後記試験5のNo
8のサンプルと同じ(α=0%のサンプル、サンプル
F)〕、従来法による典型的なUDDサンプル(乾燥粉
末、サンプル、サンプルG)、の7サンプルに用いて、
Cu、K α線を線源とするX線回析スペクトル(XD)に
おけるブラッグ(Bragg)角(2θ±2°)を測定した結
果を纏めて図5に、これらサンプルのうち、サンプルA
を用いて測定した結果を図6に、サンプルBを用いて測
定した結果を図7に、それぞれ示す。図5、6、7のチ
ャートから、本発明のUDD微粒子粉末のサンプルは、
ブラッグ角(2θ±2°)が最も強い44°の(11
1)結晶に帰属する反射強度のピークは85.0%であ
り、73.5°の(220)結晶に帰属する反射強度の
ピークは14.0%であり、91°の(311)結晶に
帰属する反射強度のピークは0.2%であり、(40
0)結晶に帰属する反射強度のピークは0.2%であ
り、26.5°±2°のグラファイト(002)結晶に
帰属するピークは実質的にないことが分かる。
【0084】測定の結果、Sp結合した炭素濃度の特
定パターンが多数現われたことで、UDD微粒子中の極
小アモルファスグラファィト相の周囲にダイヤモンド相
が存在することが示された。
【0085】本明細書の前記定義の酸化度(α)=6
4.9%のUDD中心とするサンプルをX線回析グラフ
において、ローレンツ(Lorenz)の回析スペクトルピーク
における幅広い対象形の回析スペクトル形としての(1
11)結晶に帰属する2θ=43.9°のスペクトル、
(220)結晶に帰属する2θ=73.5°のスペクト
ル、(311)結晶に帰属するブラッグ角2θ=95.
5°のスペクトルが記録された。
【0086】これらスペクトルは、結晶格子パラメータ
ー(α)=(3.565±0.005)×10−10mを
有するダイヤモンド型を反映したものである。これら3
つのスペクトル曲線の半幅値から、シェラー(Shehre)の
式によりこのUDDの平均粒径を定めたところ、平均粒
径(L)=(42±2)×10−10mであった。
【0087】また、ブラッグ角2θ=17°付近に強く
偏在したハローがあり、さらに1次ビームをドローイン
グした場合は散乱放射の強度が強く安定していた。1次
ビーム近くの強い散乱は、不規則なアモルファス構造に
基く回析特性である。観測できるハローが、マクロ構造
に基く回析光を明確に示さないことは明らかであり、分
子レベルのサイズ(例えば、グラフィンのサイズまたは
ベンゼン環のサイズ)と同様なサイズを有する構造単位
による散乱と関係があることはもちろんである。このよ
うな構造物は、4×10−9m以下の周囲粒子(ダイヤ
モンド構造)のみならず、規則的な炭素鎖又は規則的に
積層された平面体であり得る。(333)結晶構造のピ
ークの強度に比較して、このような高いハロー強度があ
ることから、上記分子サイズの構造も存在する可能性が
ある。ハローの半値幅に基き(シェラー(Shehre)の式に
よって)、このような構造物のサイズは約1.5×10
mであると推定される。このような小さい粒径オー
ダーの粒子(4×10−9m以下)の存在は、ラーマン
散乱スペクトルで現れるアモルファスのダイヤモンド及
びグラファイトの存在を暗示している。
【0088】また、これらX線回析スペクトルチャート
の解析から、Cu、K α線を線源とするX線回析スペクト
ル(XRD)におけるブラッグ(Bragg)角(2θ±2
°)の前記最も強いピーク43.9°の強度に対する、
その余のブラッグ(Bragg)角(2θ±2°)のピークの
合計強度が、11/89〜19/81であること、即
ち、(111)線が81〜89と高いことが分かる。
【0089】試験4;IR分析 同様に、表2に示される元素分析結果を有する試験1の
α=64.9%のBD試料、α=74.4%のBD試
料、α=75.6%のBD試料を用い、KBr結晶を標
準としてFTIRスペクトルを測定した結果を(Dolmato
v report p30,l23,Ref.[27])、図8、図9、図10
に、それぞれ示す。図8、9、10のチャートから、充
分に精製されてないUDDサンプルは、炭素表面に含れ
る多種類の基により、カルボニル基に帰属する1730
〜1790cm−1の吸収が、前後に幅広く拡がって偏
奇しており、炭素表面に含れる多種類の基の影響を受
け、ヒドロキシ基に帰属する1640cm−1の吸収、
及び3400cm−1の吸収が共に、前後にシフトして
いる。1640cm−1以上の吸収はまた、結合水及び
遊離水により影響を受ける。1750cm−1の吸収中
はOH基の振動に関係している。1100〜1140c
−1の吸収の幅広い吸収は、不純物ニトロ基に帰属す
る吸収除去する能力を有するものあり、そのような用途
に使用することができる。それ故逆に、幾つかの不純
物、すなわち珪素、カリウム及び鉄の一部は、UDDの
精製技術で用いられる水の硬度を低下させることができ
る。鉄は基本的な技術的不純物(つまり、爆射法に使用
し易い材料)であり、1.0乃至0.5重量%以下の濃
度に除去することは難かしい。鉄のそのような不純物量
は主に表面に存在する。上記結果から明らかなように、
本発明のUDD微粒子において、各種カルボニル基の吸
収強度及び吸収帯域の位置は、UDDの変性処理条件に
より著しく影響を受ける。窒素ガス中で700℃に加熱
すると、カルボニル基、カルボキシル基が分解して、相
当する吸収帯の強度が減少する。また、673°Kに加
熱した後には1730cm−1の吸収は、1780〜1
790cm−1の位置に移動するので、これから、O=
C−O−C=O構造が生成したことが分かる。
【0090】本発明におけるUDD微粒子は、硝酸処理
後に、処理前の位置からシフトして、つぎの位置及びパ
ターンの吸収を示す。
【0091】
【表4】
【0092】このうち、3500cm−1付近のバンド
が、最も強く、1740cm−1付近のバンドは、16
40cm−1付近のバンドよりも強度が小さいが、複雑
かつ凹凸がほぼ平らで、多くのバンドが密集したものか
らなり、1640cm−1付近のバンドは、2番目に強
いものであり、1170cm−1付近のバンドは3番目
に強く、かつ長波長側に少なくとも2つの小さいピーク
又は少なくとも2つのショルダー部を有してなだらかに
勾配しており、610cm−1付近のバンドは複雑な中
程度の強度の幅広いバンドである。さらに、本発明のU
DDは、2940cm−1付近(C−H、飽和に帰
属)、1505cm−1、1390付近cm−1及び6
50付近cm−1付近に、小さいピーク又は少なくとも
ショルダー部を有している。これらの結果から、本発明
のUDDは、図11に示されるように、表面炭素が、−
COOH基、−C−O−C−基、−CHO基、−OH基
等の活性な官能基により覆われていると確信される。
【0093】試験5;酸化度と表面特性 上記試験1に用いた試料と同様にして作成され、ただ
し、試験1とは異なる次表に示されるような酸化度、す
なわちサンプルNo.8(α=0.0%)、サンプルNo.9(α
=17%)、サンプルNo.10(α=28%)、サンプルNo.1
1(α=32%)、サンプルNo.12(α=48%)、サンプル
No.13(α=49%)、サンプルNo.14(α=56%)、サン
プルNo.15(α=63%)、サンプルNo.16(α=63%)、
サンプルNo.17(α=81%;比較サンプルNo2)、サンプ
ルNo.18(α=94%;比較サンプルNo3)、No.19(α=
98%;比較サンプルNo4)の酸化性分解及びエッチング
度の各サンプルの表面特性について、測定した結果を表
5に示す。
【0094】
【表5】
【0095】この表から、UDDの吸収能は、必ずしも
孔部サイズ、限界孔部サイズに依存しないこと、UDD
表面の活性化率、及び全表面積中の高活性化された面積
に、より依存することが分かる。
【0096】従来、UDDの表面活性についての研究と
しては、GP.Bogatiryonva, M.N.Voloshin, M.A.Mirinic
h, V.G.Malogolovets, V.L.Gvyazdovskaya, V.S.Gavril
ova[Sverhtvjordii materiali,No.6,pp42(1999)]Surfac
e and electrophysical properties of dynamic synthe
sis nanodiamondに記載されたものがある。比較、参考
のため、次表に、該従来UDDの表面活性を示す。
【0097】
【表6】
【0098】これら表5及び表6の結果から、PET法
による窒素ガス脱吸着量を測定の結果、α=81%未満
の本発明の各サンプルは、従来サンプル(比較サンプル)
に比し、活性度が充分に発達し、最高4.5×10
/kg程度の大きな比表面積を有し、また大きな表面
炭素割合(Csurface/Ctotal)を有し、
かつ、Csurfaceが有する官能基の濃度がほとん
ど100%と極めて高いことが分かった。従来のこの種
のダイヤモンドにおいては、全表面炭素原子中、ヘテロ
原子と結合する炭素原子の比率は15%程度である。
【0099】試験6;示差熱分析 UDDサンプルについて、空気及び不活性ガス雰囲気中
で示差熱分析をも行なった。結果は、次のとおりであ
る。即ち、空気中で毎分10°Kの割合で加熱した場
合、703°Kで酸化が始まる。一方、文献によれば、
従来の静的合成方法により合成されたあるダイヤモン
ド、静的合成方法により合成された他のダイヤモンド及
び従来爆射法によるUDDの1サンプルの場合は、それ
ぞれ、酸化開始温度は863°K、843°K、823
°Kであった。本発明におけるUDD微粒子の酸化性は
高いということができる。
【0100】中性雰囲気中で、1273°Kまで加熱し
た場合の重量損失は3乃至4%であった。このサンプル
を温度範囲443〜753°Kの間で炭酸ガス雰囲気中
で加熱した場合には、重量増加が5%まで達し、その
後、更に高温に加熱すると重量が減少する。水素ガス雰
囲気中で加熱した場合には、HCNガスの分離が生ず
る。次に、このUDDを複合示差熱分析した。次の結果
が得られた。すなわち、次の(a)〜(c)の3つの特
徴を有するサーモグラフ曲線が得られた。 (a)373〜383°Kで若干の発熱を伴う重量損失
5〜7%((α)=63%のUDD、(α)=27%の
UDDの2サンプル)を生じる。このプロセスは可逆的
である。脱吸着されたガス生成物を分析した結果、これ
ら温度で脱吸着されたガスの97〜98%は窒素ガスで
あった。これは空気中から吸収されたガスの脱着である
と考えられる。 (b)523°KにおけるサンプルUDDの重量の減
少。これは吸熱を伴ったものである。 (c)753〜1023°K間での発熱を伴なう重量損
失。753〜773°Kにおける大きな発熱を伴った強
い重量損失(95%まで)を生じる。これは1023〜
1053°Kまで続き、それ以降の温度では、もはや変
化は見られず、通常の方法によって測定し、最高10%
までの初期材料中の灰分に相当する不燃性残渣が検出さ
れた。773〜1023°Kまでの間の温度において
は、炭素の強力な酸化が行なわれ、最後に不燃焼残渣が
生じるものと考えられる。また、この酸化過程において
は、強いグローが観察される。
【0101】試験7;加熱によるUDD微粒子表面の親
水性基に対する影響 次に、上記試験5のNo.11のサンプル、No.13のサンプ
ル、No.14のサンプルを二酸化炭素気流中で毎分10°
Kの温度上昇率で1273°Kまで加熱した後、各サン
プルの重量の増減割合を測定し、また各サンプルの比表
面積を試験5の場合と同様に測定した。各サンプルの重
量の増減は殆どなかった(No.11のサンプルは0.25
%の重量減少を、No.12のサンプルは0.22%の重量
増加を、No.13のサンプルは0.15%の重量減少を、N
o.14のサンプルは0.22%の重量増加を示した)。ま
た、各サンプルの比表面積にもほとんど変化はなかっ
た。これは、本発明におけるUDD微粒子は、孔部中の
非グラファイト状態の炭素原子縮合体が安定しており、
また、エレクトロンドナーとしてのヒドロキシ、カルボ
キシ、カルボニル、アルデヒド、等の親水性基がほとん
ど加熱消滅しないことを示している。
【0102】試験8;粒度分布 前記試験5のNo13のサンプル(α=49%のサンプルA
S)、同No14のサンプル(α=56%のサンプル、サンプル
BS)、上記(1)の試験のNo4のサンプル(α=55%のサ
ンプル、サンプルCS)、同No5のサンプル(α=64.9%の
サンプル、サンプルDS)、同No6のサンプル(α=74.4%
のサンプル、サンプルES)、同No1のサンプル〔試験5
のNo8のサンプルと同じ(α=0%のサンプル、サンプルF
S)〕、従来法による典型的なUDDサンプル(乾燥粉
末、サンプル、サンプルGS)、の7サンプルについ
て、粒度分布を測定した。これら、サンプルAS〜GS
の結果は、順に、図12(サンプルAS)、図13(サ
ンプルBS)、図14(サンプルCS)、図15(サン
プルDS)、図16(サンプルES)、図17(サンプ
ルFS)、図18(サンプルGS)に示される。
【0103】この結果から、従来UDD粉末(サンプル
GS)及び未酸化処理UDD粉末(サンプルFS)は、
1000nm以上の大径粒子を含みかつ、粒度分布の範囲が広
いのに対して、本発明によるUDD微粒子粉体サンプル
(サンプルAS、BS、CS、DS、ES)は、粒度分
布の範囲が狭く、かつ1000nm以上の大径粒子を全く含ま
ないことが分かる。
【0104】試験9;吸着水分及び窒素の離脱 他方、本発明のウエットなUDD微粒子粉体は、403
〜433°Kで基本的な水分量を消失する。それ以降の
温度においては、パラメーターの変化は予備乾燥された
サンプルの場合と同様である。不活性ガス(He)雰囲
気中で383〜393°Kに加熱した場合には、空気中
から吸収した窒素の脱着が生じる。673〜1173°
Kの間の温度においては、発熱を伴い10%の重量損失
があった。その後、二酸化炭素及び窒素が発生する(モ
ル比は4:1)。この過程は、UDD材料の形態変化を
伴う。1153〜1163°Kにおいては、質量の変化
が観測されず、若干の吸熱効果が見られる。この過程は
UDD材料の形態及び色調の変化なしに行なわれる。こ
れに反して、従来の文献に記載されたデータによれば、
このような不活性雰囲気中でのアニーリングの際に、こ
れらと同じ温度域で表面の各種基の実質的に完全な除去
が生じる。
【0105】試験10;構造欠陥部の容積率 上記試験4の広範な赤外分析を通じて、広義の意味でダ
イヤモンドと考えられる全ての結晶状態について、UD
Dにおける構造欠陥部の容積率を陽性部位−電子消滅法
(positron-electron annihilation method)により検討
した。高分散RDXの5〜70重量%を含むTNT/R
DTアロイの水中での爆射変換によってUDDを製造し
た。このUDDのシンタリングプロセスにおけるUDD
の構造欠陥部の濃度、容積及び分散状態を見るため、爆
薬中の炭素−水素比のみならず、衝撃波の印加直径(高
い圧力及び温度の存在状態)、硬化状態を変化させた。
化学精製の後、UDDの結晶構造を、陽性部位−電子消
滅法により構造欠陥部の容積率を測定し、また、窒素の
低温吸収によって比表面積を測定した。構造欠陥部の最
大密度の容積((3.05-3.10×103kg)/m3)をもつU
DDのシンタリング過程を検討するため、コヒレント散
乱法による平均粒径((,1.5-2.0)×10−9m)及び最大
分散性(4.2×10/kgの比表面積)を選択した。UD
D粉末を4〜12Gpaの圧力下でシンタリングし、得
られた多結晶粉末凝結物のマクロ硬度及び圧縮破壊強度
を測定した。
【0106】炭素含有爆薬の爆射において、爆薬中の炭
素含有率及び爆射温度が高くなっていくにつれ、クラス
ターの欠落密度及び孔部の密度の分布曲線には最大点が
存在し、その点を過ぎるとクラスターの欠落密度及び孔
部の密度が減少し始める。最大点は3900°Kの温度
領域に相当する。UDD中のクラスターの欠落密度が最
大値に増加するにつれて、(1〜2)×10−9mのサ
イズの孔径を有するサブマイクロ孔部の濃度も最大値に
増加する。電子を捕獲して消滅する電子捕獲中心は、欠
陥部の総計であり、各欠陥部は結局、各サブマイクロ孔
部の核である。このUDDに出現した電子捕獲性陽性部
位(positronium)は、ダイヤモンド中に形成されたもの
でなく、サブマイクロ孔部の内面に形成されたものであ
り、これらは結局、欠陥部から形成されたものである。
TNTから結晶化されたUDDにおけるサブマイクロ孔
部が欠乏し、また構造欠陥の容積が欠乏(3.3×10kg/
の比重密度)すると、静的合成法によるダイヤモン
ドに近づく。従来報告されている各種UDD粉末のIR
スペクトル分析結果もこれを物語っている。
【0107】本発明におけるUDD微粒子の構造欠陥の
容積部分が形成される機構は、つぎのように推測(ただ
し、この仮説は、説明のための推測であって、本発明を
限定するためのものではない)される。すなわち、炭素
含有爆薬を爆射したときのUDDの形成プロセスは、不
均一な各相変化、つまり、1)炭素含有爆薬の最初のプ
ラズマ状濃厚状態(各イオン、自由電子、励起された粒
子、最も単純なラジカル等の高濃度状態を特徴とする)
の相の形成、2)該プラズマ状濃厚状態相から、水素を
含有する炭素の最初の小クラスター状態相への変化、
3)該最初の小クラスター状態相から、超分散ダイヤモ
ンド(UDD)への相変化、の結果と表わすことができ
る。全ての相変化は10−8〜10−9秒の短時間内に
進行する。そして、諸粒子の電子的サブスシテムが励起
されたときに新たなメカニズムによりダイヤモンドの超
高速形成のため付随的な条件が整い、順次、爆薬の化学
的変換領域及びその外側領域の双方が高温高圧領域に変
化し、より緩慢な合体の拡散プロセスが起こり、再結晶
及びダイヤモンド相と孔部の成長が進行し、水素の分離
及び拡散が生じ、欠落部が形成され、つぎに、欠落部の
あるクラスター及びサブミクロン孔部の集積化が進行す
る。この過程はUDDの結晶構造の形成を終了する低速
度過程であり、粉末の硬化により妨げられて10−6
以下の長時間で進行する。
【0108】試験11;電磁気学的性質 本発明のUDD微粒子粉体サンプルについて、磁気的性
質を静的合成法によるダイヤモンドのそれと比較検討し
た。ダイヤモンドは、磁化率(χ)=-0.62×10−8
/kgの定数値を有する反磁性材料である。しかし、
本発明のUDD微粒子粉体は、これとは違う値の磁化率
(χ)を有する。粉体状材料の比磁化率は、粉体の全容
積の磁気的性質の量的特性であり、粉体を構成する全て
の成分の比磁化率(χi)の加成強度である。次表は、
本発明における前記UDD微粒子粉体サンプル中の不純
物の磁化率を示す。
【0109】
【表7】
【0110】本発明のUDD微粒子粉体の導電率は57
3°Kに加温されたサンプルの場合、最小で、約10
12Ω・mの値であり、加熱を続けると導電率が6.0×1
010Ω・m〜2.0×1011Ω・mに低下し、二酸化炭素
中で、グラファイト化開始温度の境界と思われる1173°
Kに加熱すると導電率が2.3×10Ω・mまで低下す
る。
【0111】前記UDD微粒子粉体サンプルの誘電定数
又は透磁率はE01で2.4〜2.7、E 10で1.7〜2.0、E
1.5で21.7〜2.0であり、高周波損失(tan δ)は約0.
5×10−3〜1.0×10−2であった。
【0112】このように、本発明のUDD微粒子は、従
来の静的合成法によるダイヤモンドと多くの性質が全く
異なり、また、従来の爆射法によるUDDに比較して炭
素のダイヤモンド状の相は、その高い反応性にも拘ら
ず、中性雰囲気及び還元性雰囲気中で安定な物理的化学
的諸性質を示す。
【0113】本発明の微粒子粉体を、室温で密実なタブ
レットに成形したUDDの比抵抗は10〜10Ω・
mの値であり、湿めらせたときには比抵抗の値は急激に
減少し、水分含量5%ときの比抵抗は10Ω・m未満
となるが、さらに水分を増加させても比抵抗の値はもは
や変化しないので、水分含量5%は、水分吸収の限界で
あると考えることができる。また水分含量5%は、UD
Dの残存水分含量の測定法の開発の基本点になると思わ
れる。
【0114】ダイヤモンド表面の重要な性質の1つに、
電気熱力学的ポテンシャル、換言すれば界面電位(ζ電
位又はゼータ電位)がある。このζ電位はナノダイヤモ
ンドの表面状態に著しく依存することを考慮すると、同
じ品位のUDD間のζ電位の差異は、両UDDが異なる
精製法及び変性法によるものであることを予想させる。
S.I.Chuhaeva等(S.I.Chuhaeva,P.Ya.Detkov,A.P.Tkac
henko,A.D.Toropov.Physico-chemical properties of f
racitons isolated from ultradispersed diamonds(nan
odiamonds).[Sverhtvjordii materiali,vol.42,pp29(19
98)]は、電流の影響下、液相に関連した分散媒体中の粒
子の志向運動に基く電気泳動法によりζ電位を測定して
いる。彼らはRussian Federal Nuclear Center製のUD
Dから得られた3層に分離した小区分の各部分、すなわ
ち沈殿部分、中間層部分、懸濁層部分、のζ電位を測定
し、沈殿部分について+16×10−3V、中間層部分につ
いて+32×10−3V、懸濁層部分について+39×10−3
Vのζ電位を記録している。Chuhaeva等は、サンクトペ
テルブルグのJSCダイヤモンドセンター製造のUDD
−TAH(品種−TU 05121441−275−9
5)の濃厚UDD水性懸濁液のUDDサンプルについて
もζ電位を測定し報告している。
【0115】前記3層に分離した小区分の各部分につい
て、次表
【0116】
【表8】
【0117】のような報告(V.L.Kuznetsov, A.L.Chuvil
in, Yu.V.Butenkov, I.Yu.Malkov, A.K.Gutakovskii,
S.V.Stankus, R.Kharulin[Mat.Res.Soc.Symp.Proc.396,
pp105(1995)]もあり、従来、層分離された3つの小区分
UDD懸濁液は、特性が互いに異なることが知られてい
るが、主に、液中のUDD粒子の組成、UDD粒子の粒
径に基く沈降速度差によると考えられており、UDD粒
子表面の官能基がUDD特性に与える影響は正確には知
られていなかった。
【0118】試験12;表面荷電電位 本発明のUDD懸濁液サンプルをイオン交換樹脂で精製
した後、297°K〜〜298°Kの温度でζ電位を3
度測定した。(32〜34)×10−3Vの測定結果が得
られた。比較のため、従来の製法により製造した爆射法
BD(3層の小区分に未分離)のUDD液のζ電位を測
定したところ、(25〜26)×10−3Vの測定結果が
得られた。
【0119】従来の層分離操作は、懸濁液の組成及び粒
径に基く単純な撹拌による所定の液体及び沈殿物の各小
区分への分離であったが、本発明においては、高度に分
散されたコロイド系の各小区分への分離、特にUDD懸
濁液の重力による各小区分への分離は、適切な分離操作
であるとは云えない。本発明におけるUDD懸濁液から
の凝集物の粒径は最低3×10−7m以上であった。最
適の場合、デカンテーションにより極微細な分離物を生
じた。極微細な分離物は乾燥時に凝集し、乾燥した凝集
物の再分解はしばしば容易でない。
【0120】また、ナノダイヤモンドは高い有機溶剤吸
収能を有するので有機溶剤の使用も適当ではない。他
方、本発明において、上記UDDのサンプルから得られ
た乾燥粉末を超音波処理により水性懸濁とした場合、1
ケ月以上の保存後にも分散性は変化しなかった。
【0121】本発明の各種純度のUDD組成物におい
て、諸官能基の典型的な1セットがあり、このセットは
ダイヤモンド構造が破壊されるまでコンスタントに残存
する。これらは−OH基、−NH基、−C=O基、−C
−H基、−C=N基のような極性の官能基である。これ
ら基のうち特に−C=O基、−OH基は懸濁液中のUD
D粒子の凝集傾向を決定する重要なパラメータのように
思われる。分離された各UDD小区分サンプルのIR分
析の結果、これら各サンプルは、同様な多くの官能基を
含有していたが、但し各サンプルは、これら各官能基の
含有率に違いがあった。
【0122】本発明におけるUDD微粒子懸濁液は、例
えば、ω,ω’型の両末端ジカチオン性基を有する短鎖
界面活性物質等の1部の界面活性物質を除いて、各種界
面活性物質による懸濁安定化は概して適当でない。懸濁
液中のUDD微粒子は、添加された界面活性物質の分子
に囲まれた形になる。これにより、界面活性物質分子の
疎水性部分である尾部分(長鎖脂肪族部分)が水性媒体
に面するようになるため、UDD微粒子が撥水性に変化
し、水中分散安定性が減少するものと思われる。
【0123】試験13;分散媒と分散安定性 本発明において、UDD微粒子とその分散媒の種類との
関係に関し検討したところ、アセトン<ベンゼン<イソ
プロパノール<水の順に、UDD微粒子の親和性が増加
して分散安定性が増すことが確認された。UDD微粒子
の分散のためには、分散媒の極性が重要であるだけでな
く、分散媒のUDD粒子との間のπ−複合体の形成能
は、UDDクラスターの活性表面の親和化及び分散安定
化を促進することが分かる。非極性有機溶媒を用いたU
DD懸濁液は、実用上の観点から非常に重要である。こ
のようなナノダイヤモンド懸濁液作成が可能であれば、
エラストマーに基くクラスターの現実的な開発促進が可
能になる。この問題を実際に解決する1つの方法は、U
DD微粒子の表面を親水性から疎水性に変換することで
ある。本発明においては、この目的のため1例として、
ナノダイヤモンドの乾燥粉末をポリジメチルシラン及び
ポリイソプレンからなるエラストマーのベンゼン溶液中
に添加する。すなわち本発明のUDD微粒子は、ポリマ
ーの疎水性鎖をダイヤモンドクラスターの表面に吸着さ
せて、懸濁液を安定化させる。実際に、有機溶媒中への
UDDの分散性が増大することが観察された。本発明に
よりUDD表面の最適な変性剤は現状ではポリイソプレ
ン等のジエン材料の重合体であることが見いだされ、U
DD表面の変性法及び懸濁液の最適化法が開発された。
ポリイソプレン等によるUDDクラスター表面の変性に
より、約300nm径の基本的な最大径を有するUDD
懸濁液の作成が可能になる。この懸濁液の耐沈殿安定性
は10日以上であった。
【0124】試験14;ダイヤモンド相−グラファイト
相の相変換 本発明のUDD微粒子中のダイヤモンド相−グラファイ
ト相の変換を検討した。この相変換は720〜1400
°Kの温度間で不活性媒体中で加熱したときに生じたも
のである。相変換を識別するため、ラーマン散乱法(Ram
an Scattering(RS))及びX線スペクトル法を用いた。
RSスペクトル及びX線回析の結果から、UDDは約4.
3×10−9mのサイズのナノクリスタル特性のダイヤモ
ンドの結晶構造を有するクラスター物質であると結論さ
れた。
【0125】多くの場合、(4〜5)×10−9mサイズの狭
い範囲のUDDナノクラスターが観測された。これか
ら、小さいナノクリスタルサイズにおいてはグラファイ
トでなく、ダイヤモンドが熱的に安定な形であるという
ことができる。このような推測は、M.Gamarnik, Phys.R
ev.Vol.54,PP2150(1996)により支持される。
【0126】ダイヤモンド及びグラファイトの格子振動
子密度の最大機能と一致しているRSスペクトル中の特
定の形部分は、サンプル材料中の少量のアモルファスダ
イヤモンド及びグラファイトの存在を示している。公知
(G.V.Sakovich, V.D.Gubarevich, F.Z.Badaev, P.M.Bri
lyakov, O.A.Besedina.[Proceedings of Science of US
SR,Vol.310,No.402(1990].Aggregation ofdiamonds obt
ained from explosives)のように、UDDクラスター、
及び同様な他の超分散した物質は単凝集体であるので、
アモルファス相はダイヤモンド核の表面上の凝集体であ
ると思われる。
【0127】本発明の前記X線回析データにより、粒径
特性が約1.5×10−9mサイズのアモルファス相の存在
が確認された。RSスペクトルにおけるアニーリング温
度(Tann)=1000°Kまで示された1322cm
−1のピークの位置が不変であることにより、この温度
までのアニーリング温度ではダイヤンドの構造変化は生
じないことが判明した。これは、X線回析の分析結果に
よっても確認され、X線回析の分析結果はグラファイト
相の概念はTann>1200°Kでのみ確認された。
ダイヤモンド相−グラファイト相間の相変化は不活性雰
囲気中でのアニーリング時にクラスター表面から始ま
る。本発明のX線回析データによれば、このグラファイ
ト相は、4×10−9m以下の特定サイズを有する等間隔
のグラファイトのナノプレートのセットであり、このグ
ラファイト相はTann>1200°Kの温度で基本的
にダイヤモンド核の消費により生じることが確信され
た。
【0128】前記V.L.Kuznetsov, A.L.Chuvilin, Yu.V.
Butenkov, I.Yu.Malkov, A.K.Gutakovskii, S.V.Stanku
s, R.Kharulin[Mat.Res.Soc.Symp.Proc.396,pp105(199
5)]によれば、測定された初期相変換温度(Tpt)は、
電子顕微鏡の観測データと一致している。本発明におい
て、T>1300°Kでの測定データにより、ナノクリ
スタリンダイヤモンドの核は、T>1300°Kで、炭
素の球根様形状を経てサイズ減少する。RSスペクトル
分析において1575cm−1に、このような特定の形
が出現し、これは、T=1400°Kで明確に示される
ので、当該温度が炭素の球根様形状の出現温度である旨
の前記V.L.Kuznetsov他の報告内容は正確であった。
【0129】本発明のUDD微粒子において、ダイヤモ
ンド−グラファイト間の相転換の開始は、Tann>1
900°Kで、ダイヤモンドの容積的なモノクリスタル
化温度よりも低い温度温度であることが分かった。この
ような相転換の開始温度の低下は、例えば融点低下は、
金属クラスターの場合にも見られたことが報告(E.L.Nag
aev,[Uspehi fizicheskoi nauki. No.162.pp.49(199
2)])されている。
【0130】Tann>720°Kで、ダイヤモンドク
ラスターのコア上におけるグラファイト相の形成と共
に、UDD中のsp部分の規則化が最初に起こる。こ
のsp 調整された結晶化は、ダイヤモンドの結晶各の
外側で生じ、sp結合したアモルファス炭素ヘの変換
である。これは、約1350〜1600cm−1の領域
のRSスペクトル帯の強度増加、Tann>1300°
KでのX線回析の小さい角度及び中程度の角度域におけ
る散乱パターンに基く微小構造の出現で示される。
【0131】クラスターを形成しているUDD微粒子
は、比較的高密度かつ規則化した結晶様コア、及び、ゆ
るく化学的に破壊され易い殻(シェル)からなる。ダイ
ヤモンドコアはUDDの基本的なダイヤモンド特性、す
なわち熱安定性及び化学的安定性、高伝熱性、高熱拡散
性、低導電性、低X線回析性、擬似耐摩耗性、擬似硬度
を担保する。クラスターのシェル構造は、UDD粒子の
表面電荷のマイナス記号及び電荷量、吸収性、吸着性、
化学的収着性、表面官能基の化学的組成、液中及びたの
媒体中でのUDD微粒子コロイドの安定性に寄与する。
コア及びリーガンドシェルが化学的に異質元素からな
る、すなわち、金属原子及びコンプレックス形成イオン
からなる旧来の金属クラスターとは対象的に、UDDク
ラスターの場合にはコア及び安定化されたシェルの双方
が基本的に炭素原子からなる。そのため、ダイヤモンド
格子構造から、ポリヘドロンフレーム系、多環構造系、
ネット構造系を経て、非ダイヤモンド構造の周囲殻に変
換することが可能である。クラスターの境界は周囲殻の
炭素原子と爆薬による爆射のガス状生成物、空気、酸化
性混合物、変性剤のような物質の雰囲気との相互生成物
により安定化することができる。周囲殻は、ダイヤモン
ドクラスターの凝集過程で、主な役割を演じ、爆薬材料
のマトリックス物質及び被覆材料と相互反応する。この
ようなUDD粒子中の2種類の炭素成分の存在は、本発
明における上記実験結果以外にも、T.M.Gubarevich, Y
u.V.Kulagina, L.I.Poleva[Sverhtvjordii materali,N
o.2,pp34(1993)]Oxidation of ultradispersed diamond
s in liquid mediaに示されており、本発明における上
記実験結果は、該文献が開示する内容と同様なものであ
った。
【0132】A.I.Lyamkin, E.A.Petrov, A.P.Ershov,
G.V.Sakovich, A.M.STaver, V.M.Titov[In Proceedings
of Academy of Science of USSR,No.302,pp611(198
8)]、A.M.Staver, N.V.Gubareva, A.I.Lyamkin, E.A.Pe
trov[Phisika Gorenniya Ivzriva,Vol.20,No.5,pp100(1
984)]Ultradispersed diamond powders obtained with
the use of explosives、及び、N.V.Kozirev, P.M.Bril
yakov, Sen Chel Su, M.A.Stein[In Proceedings of Ac
ademy of Science DAH USSR,Vol.314,No.4,pp889(199
0)]Investigation of synthesis of ultradispersed di
amonds by mean of tracer method にも示されるよう
に、爆薬による爆射の凝縮生成物の構造は、基本的過程
すなわち爆射の衝撃波による化学反応の帯域中での基本
的爆射過程、及び、反応相の放散過程すなわち爆発生成
物の放散期間と衝撃波の反射波がこの爆発生成物を通過
する期間、の双方の期間で形成される。上記N.V.Kozire
v等の場合には、ダイヤモンドのグラファイト化及び結
晶相のアモルフアス化のような2次過程の大きな可能性
が示唆されている。粒子中の炭素フレームに影響を与え
る構造的変換及び相変換を別にして、爆破室内では凝縮
物とガス状物質との間で反応が起こる。広範な温度値、
及び合成反応器中での炭素凝縮物の種々の寿命に伴う広
範な衝撃印加時間のため、化学的な相互作用は大きく異
なる。
【0133】爆射生成物からのダイヤモンド物質の凝集
時間がマイクロ秒単位であることを考慮すると、本発明
のUDD微粒子の製造においては、1)化学反応帯域で
は高度爆薬の第1爆発分解生成物の均一化が完了せず、
2)爆射生成物の凝集物と分子状成分との分離を完了す
るための充分な時間がないことが想定された。この推定
によれば、爆射生成物からの凝集物中に、ダイヤモンド
形成プロセスの化学的マーク、すなわち、爆薬の遊離炭
素の凝集メカニズムと炭素原子それ自体の再構築メカニ
ズムについて判断できる分子化合物及び凝集構造の破片
物質、が保存されている可能性があることになる。
【0134】化学的マークは次の4つのカテゴリー、す
なわち、(i)sp状態炭素であることを特徴とする
ダイヤモンド構造物及びダイヤモンド様構造物の破片と
してのフレーム、ブリッジ、脂環式炭素化合物、(ii)グ
ラファイト様構造物(sp混成軌道のもの)の破片とし
ての単環及び多環芳香族化合物の誘導体、(iii)炭素ク
ラスターの周囲部境までのアモルファス化物の破片、及
びカルビン構造(R-CH -構造)の存在の兆候物の破片と
しての脂肪族直鎖状及び分枝状化合物、(iv)炭素粒子の
表面層のの破片としての-C-N結合又は-C-O結合含有化合
物、に分けて考えることができる。
【0135】試験15;化学的マークの解析 かような化学的マークを明らかにし解析するため、本発
明においては、UDD、DBの温和な熱分解生成物及び
UDDとDBの非ダイヤモンド相の超臨界状態有機溶媒
中での分解生成物(所謂オルガノリシス性分解の生成物)
について検討した。すなわち、ソックスレー(Soxhlet)
装置中で、固体:液体=1:10の割合で、(3.60〜4.32)×1
0秒の抽出時間、冷抽出を行なった。液体の抽出力が
最大のとき、超臨界状態で所謂オルガノリシス性分解を
行なった。4×10−4容積のオートクレーブ中で5
MPa以上の圧力、573〜673゜Kで処理した。得られた抽
出物を低温蛍光スペクトル分析法、ガス−液相クロマト
グラフィ、クロマトマススペクトル分析、IRスペクト
ル分析、及び、常磁性共鳴スペクトル分析法で解析し
た。各冷抽出物を得るため、ダイヤモンドを含有しない
標準サンプルを含む異なるタイプの爆射混合物を用い
た。合成条件の違いにより、各爆射混合物は異なる数の
抽出された物質を含んでいた。これらは、環構造上に1
個又はそれ以上の置換基をもつ二環性芳香族炭化水素、
及び多環性芳香族炭化水素であった。さらに、混合物か
らの低温抽出による分子状生成物中から、sp混成軌
道のもの及びsp混成軌道のものを含む各種化合物が
得られた。しかしながら、超分散されたグラファイト及
びターボストレート(turbostrate:スメクタイトや石炭
のように集合原子により構成される各層が平行であり、
かつ、各層が互いに不規則な方向を向いて及び/又は不
規則な間隔で重なったメソ状態の相)炭素が、ダイヤモ
ンドよりも、このような化合物を含む天然物に類似して
いることは明らかである。冷抽出の条件下では、固体炭
素マトリックスは破壊せず、有機溶媒に溶解しうる化合
物分子の脱吸着及び洗い出し(所謂抽出)のみが生じる。
そのため、同定された化合物は、最初の爆射生成物から
炭素凝集物に移る過程の中間状態の炭素化合物であると
結論することができる。前記混合物中の抽出材中に排出
される多芳香族性化合物と、ダイヤモンド相の完成され
た構造物及びその含有量との関係が測定された。即ちダ
イヤモンドを含有しない爆射生成物からは、可溶性物質
の最大5%の排出が測定された。
【0136】試験16;不純物の抽出 固体物質の部分分解を伴う、より強力な抽出を、200
〜400℃及び昇圧条件下、即ち使用した有機溶剤の超
臨界状態下で行なった。最も活性な溶剤の1つとして知
られるピリジン中で、炭素の最大の超臨界液化を行なっ
た。比較的穏やかな溶剤(炭化水素)を用いて熱抽出さ
れた組成物に関する単純で詳細な結果は、次表のとおり
であった。
【0137】
【表9】
【0138】実際に、得られた抽出物は、色調が淡黄色
(n−炭化水素)から暗褐色(ヒドロナフタレン)まで
異なっていた。抽出処理後のダイヤモンド相−グラファ
イト相の炭素物質の比率は変化し、表面の性質も著しく
変っていた。30分間のこの超臨界液化により、炭素含
有ダイヤモンドの10%以上の質量が可溶性の状態に変
化し得る。この場合、炭素の活性化学結合への分解は比
較的ゆるやかに進行し、クラスターの表面層付近の表面
に影響を与え不均一化する。安定構造のユニット、例え
ば溶液中に排出された固体炭素のような顕微鏡的なユニ
ット、個々の分子のようなマクロユニットは、影響を受
けずに残る。この個々のユニットのうち、環中に1個乃
至2個の窒素原子を環中に有する4環までの窒素含有多
環式複素環分子が同定された。
【0139】有機化学の原則に従うこのような化合物の
形成は、多分、窒素が、炭素−窒素結合を有する窒素含
有モノマーの多縮合過程で消費され、UDD合成の第1
反応のダイヤモンドを含む凝集炭素中に包含されること
によるものと考えられる。この点で、本発明におけるこ
の点は、ダイヤモンド格子中の炭素と置換した不純物窒
素原子によるUDDのEPRスペクトル中に、特徴的な
トリプレットの信号がない旨のA.L.Vereshagin, V.F.Ko
marov, V.M.Mastihin, V.V.Novosyolov, L.A.Petrova,
I.I.Zolotuhina, N.V.Vichin, K.S.Baraboshikin, A.E.
Petrov[Published Documents for the Conference Enti
tled name of In Proceeding of 5th All-Union meetin
g on detonation,Held in Krasnoyarsk,Jan.1991.pp99]
Investigation of properties of detonation synthesi
s diamond phase 記載のデータとは相違するが、しか
し、これは、本発明における「爆射期間中のUDD形成のた
めの多縮合」と通常の「ダイヤモンド結晶の拡散成長」と
の差異によるものである。ダイヤモンド結晶の拡散成長
の場合には、形成されたダイヤモンド結晶への不純物窒
素の捕獲と結晶中への拡散が観測されるが、本発明にお
けるUDD合成の場合には、不純物窒素(正確には窒素
−炭素結合)が最初に(芳香族構造の環状体の高い結合
エネルギーを有する)芳香族環中に入り、次にこれが予
備縮合したパッキング中に包含される。この場合、窒素
の常磁性特性が、単原子状の不純物窒素のそれとは異な
る。
【0140】ダイヤモンドクラスターの外周シェルの外
側表面の構造は、熱吸収データから、両者共同様である
と思われる。本発明においては、クロマトマススペクト
ルメータLKB−209(スエーデン)を用いて熱吸収
測定が行なわれた。ヘリウム気流中573°Kで熱脱吸
着が行なわれ、生成物は、液体窒素で冷却された毛細管
中に連続的に捕獲された。次に、ヘリウムガスキャリア
ー(VHe=2.5×10 m・m)の気流中で弱極性の
相(SPB-5,lk=60m,dc=3.2×10 m)の
毛細管カラムで、毎分4°の加熱割合で293°Kから
543°Kまでプログラム加熱し、熱脱吸着生成物を蒸
発させた。
【0141】試験17;マススペクトルによる脱吸着物
の分析 マススペクトルライブラリーを用いた電算機によりマス
スペクトル処理し、生成物を同定した。ダイヤモンド含
有混合物及びUDDの表面から脱吸着された物質の組成
は次表に示される。
【0142】
【表10】
【0143】BD表面からは炭化水素のみ、即ち、飽和
〜C11炭化水素、不飽和C〜C炭化水素、脂
環式炭化水素及び芳香族炭化水素が脱収着された。C
10のアルカンの含有量は顕著であり、脱収着生成物中
でn−デカンC1022自身が主である。これは、爆
射生成物におけるキュムレン結合(C・C
・CH=の結合)形の消費でC10〜C12の炭化水素
鎖がパッキングされるときに熱力学的に効率的な構造と
してのカルビン構造(R・CH−構造)がある旨のデー
タと一致する。本発明により、BD自身中の多環芳香族
ネットの存在が確認されたが、しかし、C10のアルキ
ルベンゼンを含む芳香族炭化水素は、BD物質から脱吸
着された全質量のうちの充分に小さい区分にすぎない。
それ故、sp 型炭素の縮合程度は充分に高い。しかし、
多環芳香族ネットは強く不整合化され、主に脂肪族性の
周囲基、いわゆる炭化水素フリンジを有する。BD表面
から脱吸着された生成物中の水素は、C−H型結合の非
活性水素である。これは、ロシア特許第2046094
号(合成炭素ダイヤモンド材料)、Bjuljuten izobretnj
i,(29),pp189(1995)記載の超分散された炭素表面の活性
水素の分析結果とも齟齬がない。
【0144】UDD表面からの脱吸着生成物の組成は大
変複雑で多岐に亘る。炭化水素を別にして、炭素表面の
酸化の結果として窒素含有化合物及び酸素含有化合物挙
げられる。ベンゼン及びC〜C10の同族体が広く作
られ、それらからC10のアルカンが得られる。そのう
ち、n−デカンが優勢である。ブリッジ脂環類はカンフ
ェン及びテルパジエンC1016として存在する。脱
吸着生成物のこのような組成は、ダイヤモンド構造の相
境界面が露出する可能性は少ないことを示している。
【0145】種々の過度性炭素構造により、UDDクラ
スター構造を安定化することができる。水素気流中で4
00℃でUDDを処理(前記表中の水素処理したUD
D)すると、C〜C11の大量の炭化水素を非可逆的
に脱吸着する。しかし、表面炭素構造を分解すると、C
〜Cの炭化水素の形成を伴って、連続的な表面、す
なわち準安定(metastable)な表面を再生する。
【0146】爆射法によるダイヤモンド粒子は、フラク
タルルール(集合体を構成する個々の画像要素の形とそ
の集合体画像の形とが相似形であることが大、中、小と
繰り返されている無限等比級数系のルール)が適用さ
れ、小粒子が非連続に凝集したクラスターからなり、該
小粒子1個はまた種々の大きさの小片が結合したものか
らなることは従来から知られ(G.V.Sakovich, V.D.Gubar
evich, F.Z.Badaev, P.M.Brilyakov, O.A.Besedina[In
Proceedings of Science of USSR,Vol.310g,No.2,pp402
(1990)]Aggregation of diamonds obtained form explo
sives、及びLuciano Pietronero, Erio Tosatti[Fracta
ls in Physics:Proc.of the Sixth Trieste Internatio
nal Symposium of fractals in physics(1985), ICTP,T
rieste,Italy]Invetigation of synthesis of Ultradis
persed diamonnds、及びA.V.Igonatchenko, A.B.Solohi
na[Published Documents for the Conference Entitled
name of In Proceeding of 5th All-Union meeting on
detonation,Held in Krasnoyarsk,Jan.1991.pp164]Fra
ctal structure of ultradispersed diamonds参照)てい
る。
【0147】本発明におけるUDD懸濁物のイオン強度
はpH2.1乃至2.3の範囲で変化するが、温度上
昇、pH上昇はこの懸濁粒子のフロキュレーションを生
じ易くする。本発明においては、UDDの凝集メカニズ
ムは2段階であると考えることができる。最初の段階は
化学的精製期間にBDの非ダイヤモンド成分の酸化条件
下で粒子のクラスター化により、比較的コンパクトな第
1の凝集体が形成される。第2の段階は、クラスター−
クラスター間の凝集であり、これは、より破壊され易い
第2の構造を形成する。この第2段階は、第1の凝集体
のフロキュレーションを生じるまでが限度である。ある
場合にはクラスター−粒子間の凝集、第2構造のクラス
ター相互間の凝集等好ましくない凝集を生じ得る。
【0148】試験18;製法によるUDDの性質の変化 つぎに、静的製造法(製法I:非爆射法)によるUD
D、従来の爆射法(G.A.Adadurov, A.V.Baluev, O.N.Bre
usov, V.N.Drobishev, A.I.Rogechyov, A.M.Sapegin,
B.F.Tatsji[Proceedigs of Academy of Science of USS
R,Inorganic materials,Vol.13,No.4,pp649(1977)]Some
properties of diamonnds obtained by explosion met
hod、製法II)によるUDD、及び本発明の方法(製法II
I)によるUDDの諸性質を比較した。結果は次表に示さ
れる。
【0149】
【表11−1】
【0150】
【表11−2】
【0151】上の表から、製法IIIによるUDDは、炭
素含有率が90%未満であって低く、水素含有率が0.
8%以上であって高く、酸素含有率が6.8%以上であ
って高いことが分かる。他のダイヤモンドと異なる顕著
な点として、比表面積がほぼ10倍程度に大きいこと、
収着能が384×10J/kg以上であってほぼ10倍程度に
大きいこと、表面電位がマイナス77.44×10V以
上であってほぼ10倍程度に大きいことが挙げられる。
若干の表面導電性を有すること、吸水率は他のものに比
し倍程度高いことが次に挙げられるが、他方、空中酸化
開始温度、真空中でのグラファイト化開始温度は相対的
に低い。電気的、磁気的物理特性は他のダイヤモンドと
さほどの違いがない。従来の製法IIによるUDDは、2
つの相、すなわち、結晶定数a=3.57×10−10
mの立方晶形の相と、結晶定数a=2.52×10
−10mの六方晶形の相を含むが、本発明の製法IIIに
よるUDD微粒子は、結晶定数a=3.57×10
−10mの立方晶形の相のみからなる。
【0152】〔UDD微粒子の担体としての使用〕前述
したように、本発明のUDD微粒子は、その表面が−C
OOH基、−CHO基、−C−O−C−基、OH基、S
H、−NO基、−NO基、NH 等の活性な官
能基に覆われている。また、本発明のUDD微粒子は、
最高4.5×10/Kg程度の比表面を有し、ま
た、大きな表面炭素割合(Csurface/Ctotal)を有
し、かつCsurfaceが有する官能基の濃度はほとんど1
00%である。したがって、本発明のUDD微粒子にお
ける、官能基の総量は極めて多量であり、その種類も多
岐にわたるので、本発明のUDD微粒子は、様々な有機
物質と共有結合する能力を有し、これらを固定化する担
体として極めて好適な材料である。例えば、タンパク質
とは、タンパク質中の遊離アミノ基とUDD微粒子表面
の−COOH基、−CHO基を介して結合でき、タンパ
ク質中のカルボキシル基とはUDD粒子表面のNH
OH基を介して結合でき、これらによりタンパク質をU
DD微粒子に固定化する。また、多糖類、糖蛋白中の糖
鎖とは、糖中のOH基とUDD微粒子の−COOH基と
CHO基との反応により、糖中のCHO基とUDD微粒
子のOH基、NH 基等との反応により、これらをUD
D微粒子に固定化しうる。さらに、DNAあるいはRN
Aとは、例えばその塩基中のNH基、OH基あるいは
燐酸基と、上記UDD微粒子の表面官能基と反応させる
ことにより固定化できる。もちろん、これらの固定化に
おいては、適当なリンカーを介して目的の有機物質と反
応させ固定化しても良い。
【0153】一方、前述したとおり、本発明のUDD微
粒子はマイナス荷電を有し、その表面電位は高い、エイ
ズウィルス(HIV)等の粒子表面はプラスに帯電して
いるので、これを利用して、本発明のUDD微粒子をウ
イルスを補足するための担体とすることもできる。ま
た、これらウイルスを認識結合できるタンパク質を、ア
ミド結合あるいはエステル結合を介して本発明のUDD
微粒子と結合させ、これを用いてウイルスを捕捉しても
よい。
【0154】〔DNAチップ〕本発明のUDD微粒子か
らなる固定化担体は、DNAチップの担体として好適な
ものであり、以下、本発明のUDD微粒子を使用したD
NAチップについて説明する。本発明においてDNAチ
ップを作成する手段としては、まず、支持体上に本発明
のUDD微粒子層を設けて、DNAチップ基体を作成
し、本発明のUDD微粒子の上記官能基の反応性を利用
して、また必要に応じリンカー分子を介して、例えばD
NAプローブと共有結合させる。支持基板としては、ス
ライドガラス、シリコン基板、セラミックス、ポリカー
ボネート、ポリエチレンテレフタレート、スチレン系重
合体、アクリル(メタクリル)系重合体等の樹脂成型
品、あるいは紙等のいずれであってもよい。
【0155】本発明のUDD微粒子を支持体上に本発明
のUDD微粒子層を設ける手段としては、たとえば以下
の方法を挙げることができる。 (1)本発明のUDD微粒子を接着剤溶液中に懸濁し
て、上記支持体上に塗布接着させ、さらに、必要に応じ
塗布体の表面を溶剤処理してUDD表面を露出させて、
DNAチップ基板を作成する方法。これによれば、特に
支持体の種類は限定されない。 (2)スライドガラス、シリコン支持体、あるいはセラ
ミックス支持体に、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリ
メトキシシランあるいはN−β(アミノエチル)γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップ
リング剤を共有結合させて、これら支持体表面のアミノ
基と、本発明のUDD微粒子表面のカルボキシル基等の
陰性基と反応させて、これら支持体表面に本発明の微粒
子層が強固に結合したDNAチップ基板を得る方法。 (3)アミノ基あるいはカルボキシル基等の遊離の官能
基を有する樹脂材料支持体を用い、該樹脂材料支持体の
官能基と本発明のUDD微粒子の官能基とを反応させて
支持体表面に本発明のUDD微粒子層が強固に結合した
DNAチップ基板を得る方法。この方法においては、ポ
リマー中に官能基が存在する樹脂材料からなる支持体
に、直接本発明のUDD微粒子を結合させるか、あるい
は樹脂支持体を成型した後、新たに官能基を導入し、本
発明のUDD微粒子を結合させるか、いずれの方法であ
ってもよい。前者の方法においては、例えば、アクリル
(メタクリル)酸エステル/アクリル酸共重合体、スチ
レン/アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール等を
使用し、これら樹脂成型品のカルボキシル基あるいは水
酸基と、本発明のUDD微粒子のアミノ基あるいは水酸
基等とアミド結合あるいはエステル結合させて、表面に
本発明のUDD微粒子層を有するDNAチップ基板を得
る。また、後者の方法においては、例えばポリスチレン
からなる支持体を亜硝酸アミンでニトロソ化し、還元し
てポリスチレンのパラ位にアミノ基を導入した後、該ア
ミノ基と本発明のUDD粒子のカルボキシル基と反応さ
せて、表面に本発明のUDD微粒子層を有するDNAチ
ップ基板を得る。 (4)支持体に、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポ
リアルキルアミン等のポリ陽イオンを塗布して静電的に
結合させて支持体表面にアミノ基を導入し、このアミノ
基と本発明のUDD粒子のカルボキシル基と反応させ
て、表面に本発明のUDD微粒子層を有するDNAチッ
プ基板を得る方法。 (5)樹脂液中に本発明のUDD微粒子を分散させた
後、樹脂を成形体に硬化させ、切り出しあるいは表面を
研削して、成形体表面にUDD微粒子を露出させ、DN
Aチップとする方法。 本発明におけるDNAチップを得るためには、上記いず
れの方法によってもよいが、支持体に本発明のUDD微
粒子を安定に保持させるためには、共有結合を伴う上記
(2)及び(3)の方法が望ましい。
【0156】DNAチップを作成するには、まず、DN
AあるいはRNAプローブをDNA基板上の特定の位置
に配置する必要があるが、これには、周知の方法を用い
ればよい、例えばスポッター装置により、上記作成した
DNA基板上の特定位置にプローブとなるDNA、ある
いはRNAを順次スポットするか、あるいは半導体装置
の作成に用いられる光リソグラフ法を利用して、DNA
基板上の特定の位置に特定のDNAプローブが合成され
るように、それ以外はフォトマスクをかけて、紫外線照
射により保護基を有するDNA単量体の保護基を外しな
がらDNAあるいはRNAを順次合成していく方法が採
られる。このようにして、DNAチップ基板上の特定位
置に配置された特定のDNAあるいはRNAは、次にD
NA基板に固定化されるが、本発明においては上記のよ
うに作成したDNAチップ基板上のUDD微粒子の官能
基を利用して共有結合により、基板上にDNAあるいは
RNAプローブを配列させる。本発明のUDD微粒子表
面の各官能基は極めて活性に富み、特に−COOH(無
水を含む)基の量は極めて多いので、この官能基を利用
してプローブとなるDNAあるいはmRNA断片を固定
化することが好ましい。これには、例えば、DNAプロ
ーブの5’末端のリン酸基にアミノ基を有する脂肪属炭
化水素鎖を導入する、それ自体周知の方法(「Nucleic
acids Res.」11(18)P.6513(1983)により、アミノ
基導入DNAプローブを得、これを上記DNAチップ基
板上のUDD微粒子のカルボキシル基とアミド結合によ
り固定化する。また、本発明のUDD微粒子は表面にア
ミノ基を有し(官能基の5%程度)これを利用してプロ
ーブとなるDNAあるいはmRNA断片を固定化するこ
ともできる。また、これには、例えば、PDC(p−フ
ェニレンジアミンジイソシアネート)の存在下、上記ア
ミノ基導入DNAプローブを反応させることにより、上
記DNAチップ基板上にDNAプローブ等を固定化でき
る。さらに、担体表面のアミノ基をDNAプローブの固
定化に利用する方法として、2,4−ジハロゲン化トリ
アジン化合物を使用して、アミノ基導入DNAと反応さ
せる方法があり(特開昭2001−128697号公
報)、この方法も本発明のDNAプローブ固定化に利用
できる。これらに加え、UDD微粒子表面の−CHO基
も、プローブとなるDNAあるいはmRNA断片の固定
化に利用できる。アルデヒド基は上記アミノ基導入プロ
ーブDNAとシッフ塩基を形成することで、上記DNA
チップ基板上にDNAプローブを固定化できる。さら
に、UDD微粒子表面のOH基も極めて活性に富み、例
えばプローブDNAの5’末端のリン酸基とリン酸エス
テルを形成することより、DNAチップ基板上にDNA
プローブを固定化できる。これらのDNAあるいはmR
NAのDNAチップ基板への固定化に際しては、UDD
微粒子の特定の官能基のみが反応するように、アシル基
等の適当な保護基により保護していてもよい。
【0157】このようにして得られたDNAチップは、
蛍光色素等で標識された検体cDNAとのハイブリダイ
ズに供される。ハイブリダイズされなかった検体cDN
Aは洗浄により除去され、ハイブリダイズされたものの
位置及び強度をスキャナーで読みとり、画像処理するこ
とにより、DNAプローブに対応した機能等を読みと
る。以上、DNAあるいはRNAを固定化せしめたDN
Aチップ基板を例にとり説明したが、本発明のDNAチ
ップ基板は特にこれらを固定化するものに限らず、例え
ば、生理活性物質と受容体の関係を明らかにするため
に、あるいは遺伝子におけるタンパク質あるいはペプチ
ドの結合部位を明らかにするため生理活性物質、あるい
は受容体、タンパク質の固定化等にも用いることができ
る。
【0158】〔ウイルス捕捉用担体及びウイルスワクチ
ン〕本発明のUDD微粒子は、上記したようにその表面
に多数の官能基、特にカルボキシル基が多量に存在する
ことに加え、ナノオーダーの極めて粒径の小さな粒子で
あり、また高い親水性を有するとともに、中性〜酸性領
域において分散性が非常に良好で、かつ生体にとって無
害であるため、ウイルス、例えばエイズウィルス(HI
V)捕捉用担体及びワクチンの担体として極めて好まし
い性質を有する。
【0159】以下、本発明のUDD微粒子を用いたウイ
ルス捕捉用担体及びウイルスワクチンについてエイズウ
イルスをターゲットにする場合を例にとり具体的に説明
する。本発明のUDD微粒子を用いてエイズウィルス捕
捉用担体を得るには、まず、本発明の表面に多量に存在
するカルボキシル基とマンノース結合性レクチンである
コンカナバリンAのアミノ基とを反応させ、コンカナバ
リンAが本発明のUDD微粒子に固定されたウィルス捕
捉用担体を得る。一方、エイズウィルスの表面に存在す
る糖タンパク質gp120の糖鎖はマンノースを構成糖
としており、上記コンカナバリンAが本発明のUDD微
粒子に固定された担体は、エイズウイルスを非常に効率
よく捕捉する。
【0160】また、本発明のUDD微粒子を用いてエイ
ズウィルスワクチンを製造するには、継代培養、加熱、
薬剤処理等により弱毒化ないし不活性化されたエイズウ
ィルス粒子、あるいは上記糖蛋白の少なくとも一部を含
むエイズウィルスの一部構成タンパクを含む懸濁液を調
整し、これに上記コンカナバリンAを本発明のUDD微
粒子に固定化したウイルス捕捉用担体添加し混合させ
る。これにより、エイズウィルス粒子あるいはその一部
構成タンパクは上記ウイルス捕捉用担体に捕捉される。
一方、本発明のUDD微粒子は中性〜酸性領域において
分散性が非常に良好であるが、pHが8を越えると、凝
集し沈殿しやすいので、上記エイズウイルスウイルスを
補足した担体を含む懸濁液のpHを8を越えるように調
整し、遠心分離等の手段により沈殿物を回収することに
より、簡単にエイズワクチンを得ることができる。ま
た、このpH調整による沈殿手段を用いて、血液濾過に
よるエイズ治療も行うことができる。本発明のUDD微
粒子は極めて微細で、かつ血液等の弱酸性化ではほとん
ど凝集しないので、例えばコンカナバリンA等のエイズ
ウイルスを認識し結合可能なタンパク質を固定化したウ
イルス捕捉用担体を作成し、これをエイズウィルスの保
菌者に静注等により直接血液中に投与することが可能で
ある。血液は体外に取り出しpHが8を越えるように調
整し、エイズウイルスを捕捉した担体を沈殿させ濾過等
により分離する。分離した残りの血液はpHを弱酸性に
戻した後、生体に還流する。これにより生体に感染した
エイズウィルスを低減することが可能になる。
【0161】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが本発明は特に
これに限定されるものではない。 [実施例1] (DNAチップ用基板の作成)40mm×40mmのス
ライドガラスを、2重量%アミノプロピルエトキシシラ
ンのエタノール溶液に15分間浸漬した後取り出して乾
燥し、シランカップリング剤を表面に結合したスライド
ガラス支持体を得た。一方、上記試験1のサンプルNo.
5のUDD微粒子の10%水性懸濁液を調整し、カルボ
ジイミドを添加後、上記スライドガラスを該懸濁液中に
1時間浸漬して、シランカップリング剤のアミノ基とU
DD微粒子のカルボキシル基とを反応せしめた。反応後
取り出して表面にUDD微粒子層を有するDNAチップ
基板を得た。
【0162】以下の塩基配列を有するオリゴヌクレオチ
ドをDNA合成機を用いて合成した。 GCATCTCATTGACCATCATATTAT
【0163】このオリゴヌクレオチドの合成の最終工程
において、アミノリンクII(アプライドバイオシステ
ム社製を用いて、上記オリゴヌクレオチドの5’末端に
NH2(CH2)6を導入してアミノ化した。このアミ
ノ化オリゴヌクレオチドを、PDC(p−フェニレンジ
イソチオシアネート)を用いて常法により、上記DNA
チップのUDD微粒子層に固定化した。
【0164】[実施例2] (ウイルス捕捉用担体の作成)上記試験1のサンプルN
o.5のUDD微粒子とコンカナバリンAを、カルボジイ
ミドを含有する50mMのKHPO、10mMのH
EPES溶液中で反応せしめ、コンカナバリンのアミノ
基とUDD微粒子のカルボキシル基を結合させることに
より、コンカナバリンがUDD微粒子に固定化されたウ
イルス捕捉用担体を得た。一方、HIV−1粒子の浮遊
液を調整し、この浮遊液に、上記ウイル捕捉用担体の懸
濁液を加え混合した後、水酸化ナトリウムを加えpHを
8.5に調整した。生じた沈殿を遠心分離し、上澄み中
のエイズウィルスのgp120の量とウイルス感染価を
測定した。pg120の量はコントロールが約2500
(pg/ml)であるのに対して、本発明のウィルス捕
捉用担体を使用した場合は100(pg/ml)以下で
あり、ウイルス感染価はコントロールが約10×10
(CCID50/ml)であるのに対して、本発明のウイル
ス捕捉用担体を使用した場合は約2(CCID50/ml)
であった。本発明のウィルス捕捉用担体は、極めて高い
エイズウイルス捕捉能を示した。
【0165】(エイズウィルスを捕捉した担体によるI
gA誘導)上記サンプルNo.5のUDD微粒子とコンカ
ナバリンAを用いて上記と同様に作成した、ウィルス捕
捉用担体を使用して、加熱により不活化したHIV−1
を捕捉した。これを免疫源として、マウス(BALB/c♀8
週齢)に免役し、その後30日後に追加免役した。一回
当たりの投与抗原量は約10ng(gp120換算量)
で、これは、約2×10個このウイルス粒子に相当す
る量である。また投与経路は経膣であり、初回投与後1
0日目毎に膣洗浄液を採取し、IgA抗体の量をELI
SAを測定した。本発明のウイルス捕捉用担体にエイズ
ウィルス捕捉したものを免疫源として用いた場合のみI
gA抗体の高い誘導がみられた。エイズウィルス単独あ
るいはウィルス捕捉用担体のみの投与ではIgA抗体の
誘導はほとんど認められなかった。この結果は、IgA
が粘膜組織で機能する抗体であることから、ウィルスの
進入経路においてバリアを設けられることを示唆する。
【0166】
【発明の効果】以上、詳細かつ具体的な説明から明らか
なように、本発明において使用するUDD微粒子は、ナ
ノオーダの粒径を有し、極めて大きい被表面積を有する
とともに、その表面に、極めて多種、多数の官能基、す
なわちカルボキシル基、アミノ基、水酸基、スルフォニ
ル基等を有すること、また、特にマイナス荷電性官能基
が数多く存在することに起因して、分散性が非常に良好
で、水性懸濁液中で極めて安定しており凝集しにくいこ
と、さらに、親水性が極めて良好で、生体親和性にも優
れ、生体毒性がなく、安全である。したがって、このダ
イヤモンド微粒子を用いれば、極めて有用な物質あるい
はウィルスを固定化するための担体であり、特にこれを
使用したDNAチップ用基板は極めて簡便な手段DNA
プローブ等を固定化することが可能であり、また、これ
を用いたウィルス補足用担体は極めて効率的にウィルス
を捕捉することが可能であり、さらに、このウィルス補
足用担体にウィルスを捕捉せしめることにより、極めて
有用なワクチンを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のUDD粉末の製造方法及びUDD水性
懸濁液の製造方法の1例を説明する概念図である。
【図2】本発明のUDD粉末の生成過程を説明する図で
ある。
【図3】本発明のUDDの酸化程度と元素組成との関係
を示す図である。
【図4】本発明のUDDのPHと活性度との関係を示す
図である。
【図5】本発明のUDD粉末サンプルのX線回析チャー
トである。
【図6】本発明のUDD粉末1サンプルの詳細なX線回
析チャートである。
【図7】本発明のUDD粉末の他の1サンプルの詳細な
X線回析チャートである。
【図8】本発明のUDD粉末サンプルのIR測定チャー
トである。
【図9】本発明のUDD粉末サンプルのIR測定チャー
トである。
【図10】本発明の更に別のUDD粉末サンプルのIR
測定チャートである。
【図11】本発明のUDD粒子の拡大模型図である。
【図12】本発明のUDD粉末サンプルの粒度分布測定
結果を示すグラフである。
【図13】本発明の別のUDD粉末サンプルの粒度分布
測定結果を示すグラフである。
【図14】本発明の更に別のUDD粉末サンプルの粒度
分布測定結果を示すグラフである。
【図15】本発明の更に別のUDD粉末サンプルの粒度
分布測定結果を示すグラフである。
【図16】本発明の更に別のUDD粉末サンプルの粒度
分布測定結果を示すグラフである。
【図17】爆射法による粗ダイヤモンドの不完全酸化処
理粉末サンプルの粒度分布測定結果を示すグラフであ
る。
【図18】従来のUDD粉末サンプルの粒度分布測定結
果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 31/06 C01B 31/06 B 4C085 C12M 1/00 C12M 1/00 A 4G146 1/34 1/34 F C12N 15/09 G01N 31/22 121P G01N 31/22 121 33/53 M 33/53 37/00 102 37/00 102 C12N 15/00 F (72)発明者 渡辺 順次 神奈川県茅ヶ崎市今宿749−85 (72)発明者 曽根 正人 東京都小金井市本町3−11−8ケイ・ア イ・サンヒル201 Fターム(参考) 2G042 BD19 CB03 FB05 HA02 4B024 AA11 CA01 CA09 CA11 HA14 4B029 AA07 AA21 AA23 BB13 BB20 CC03 FA01 FA15 4B033 NA11 NA45 NB23 NB62 NC04 NC12 ND03 ND05 ND12 4C076 AA29 BB30 CC06 CC35 EE59A FF02 FF68 4C085 AA03 BA69 CC08 CC32 EE01 4G146 AA04 AB08 AB10 AC02A AC10A AC10B AD35 BC11 CB12 CB37

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 爆薬の爆射による爆射式でダイヤモンド
    −非ダイヤモンド混合物(初期BD)を製造し、該ダイ
    ヤモンド−非ダイヤモンド混合物を酸化処理し、生成し
    た懸濁液からダイヤモンドを含有する相を分離する方法
    において、前記酸化処理の後に、それ自身揮発性の又は
    その分解反応生成物が揮発性の塩基性材料を加えて、硝
    酸との間で分解反応を生起させて中和することにより得
    られたものであるダイヤモンド微粒子からなり、その表
    面に官能基を有する物質またはウィルス固定化用担体。
  2. 【請求項2】 以下(i)〜(iv)で規定される粉体
    特性を有するダイヤモンド微粒子からなり、その表面に
    官能基を有する物質またはウィルス固定化用担体。 (i)72〜89.5%の全炭素、0.8〜1.5%の
    水素、1.5〜2.5%の窒素、10.5〜25.0%
    の酸素の元素組成比を有し、(ii)粒径1000nm以上の粒
    子が存在せず、粒径30nm以下の粒子が存在せず、数平
    均粒径(φn)が150〜650nmの狭分散形であり、(i
    ii)Cu、K α線を線源とするX線回析スペクトル(X
    D)におけるブラッグ(Bragg)角(2θ±2°)が4
    3.9°に最も強いピークを有し、73.5°、95°
    に特徴的な強いピークを有し、17°に強く偏在したハ
    ローがあり、26.5°にピークが実質的になく、(iv)
    比表面積が1.50×10/kg以上で、実質的に
    全ての表面炭素原子がヘテロ原子と結合しており、0.
    5×10−3/kg以上の全吸収空間を有する。
  3. 【請求項3】 前記固定化される物質が、DNAまたは
    RNAであることを特徴とする請求項1または2に記載
    の担体。
  4. 【請求項4】 前記固定化される物質が、タンパク質ま
    たはペプチドであることを特徴とする請求項1または2
    に記載の担体。
  5. 【請求項5】 前記タンパク質が、レクチンであること
    を特徴とする請求項4に記載の担体。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載の担体を少なく
    とも支持体表面に有するDNAチップ基板。
  7. 【請求項7】 請求項1または2に記載の担体からなる
    ことを特徴とするウイルス捕捉用担体。
  8. 【請求項8】 請求項1または2に記載の担体にレクチ
    ンが結合してなることを特徴とするウィルス補足用担
    体。
  9. 【請求項9】 前記ウィルスがレトロウィルスであるこ
    とを特徴とする請求項8に記載のウィルス補足用担体。
  10. 【請求項10】 前記レトロウィルスがエイズウィルス
    であることを特徴とする請求項9に記載のウィルス補足
    用担体。
  11. 【請求項11】 前記エイズウイルスまたはその部分構
    成蛋白を請求項8または9に記載のウィルス補足用担体
    に結合せしめたワクチン。
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