JP2003124496A - 半導体受光素子 - Google Patents

半導体受光素子

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JP2003124496A JP2001316652A JP2001316652A JP2003124496A JP 2003124496 A JP2003124496 A JP 2003124496A JP 2001316652 A JP2001316652 A JP 2001316652A JP 2001316652 A JP2001316652 A JP 2001316652A JP 2003124496 A JP2003124496 A JP 2003124496A
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豊三 西田
Kazushi Mori
和思 森
Atsushi Tajiri
敦志 田尻
Yasuhiro Ueda
康博 上田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、小型化および光信号の応答
速度の向上が可能な半導体受光素子を提供する。 【解決手段】 p基板1上にi層2が形成され、i層2
上にn層3が形成され、n層3の表面にn+ 層4a,4
b,4c,4dが所定間隔をおいて形成されており、受
光部に相当するn+ 層4a,4b,4c,4d間のp+
分離層5は浅く形成され、p+ 分離層5の最下部はp基
板1に達することなくi層2内部に位置し、p基板1と
+ 層4a,4b,4c,4dとの間に逆バイアス電圧
を印加することにより、i層2の内部は空乏化してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ピックアップ装
置等に使用される複数の受光部で構成された半導体受光
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】フォトダイオード、フォトダイオードI
C(集積回路)等の半導体受光素子は、例えば光ピック
アップ装置に用いられている。光ピックアップ装置にお
いて、半導体受光素子は光検出部として用いられてお
り、光検出部の出力信号に基づいて光学記録媒体上の情
報の再生、焦点誤差の検出およびトラッキング誤差の検
出が行われる。
【0003】上記の光検出部として、6個の受光部を有
する半導体受光素子がよく使用されている。6個の受光
部を有する半導体受光素子においては、中央部に4個の
受光部が設けられ、両側にそれぞれ1個の受光部が設け
られている。この他、8個の受光部で構成された半導体
受光素子が使用される場合もある。例えば特開平10−
241190号に開示された半導体受光素子において
は、中央部に6個の受光部が設けられ、両側にそれぞれ
1個の受光部が設けられている。
【0004】代表的な光ピックアップ装置としては、光
源、集光レンズ、3分割用回折素子、ホログラム光学素
子および半導体受光素子を備えたものが挙げられる。
【0005】光源は光束を光学記録媒体に向かって出射
する。光源より出射された光束は、3分割用回折素子お
よびホログラム光学素子を透過し、集光レンズにより光
学記録媒体へ集光される。そして、光束は光学記録媒体
により反射され、再び集光レンズに入射する。集光レン
ズを透過した光束はホログラム光学素子により回折さ
れ、半導体受光素子へ入射する。半導体受光素子は、入
射した光束に基づき各種情報を検出する。
【0006】ここで、光束は3分割用回折格子により3
本の光束に分割されている。これはトラッキング誤差の
検出を行うための一手法であり、3ビーム法と呼ばれて
いる。3ビーム法においては、光源から出射された光束
は、主に情報の再生および焦点誤差の検出を目的とした
1本の主光束と、トラッキング誤差の検出を目的とした
2本の副光束とに分割される。
【0007】図6(a)は、従来の半導体受光素子の構
造を示す平面図である。図6(a)に示すように、半導
体受光素子500においては、正方形の4個の受光部7
a,7b,7c,7dが中央部に形成され、この両側に
受光部8a,8bが形成されている。中央部の4個の受
光部7a,7b,7c,7dには比較的強い主光束BS
が入射し、これらの受光部7a,7b,7c,7dの出
力信号に基づき焦点誤差の検出および情報の再生が行わ
れる。一方、両側の受光部8a,8bには、比較的弱い
副光束BFが入射し、これらの受光部8a,8bの出力
信号に基づきトラッキング誤差の検出が行われる。
【0008】図6(b)は、図6(a)中の半導体受光
素子のJA−JA線断面を示している。図6(b)に示
すように、本実施の形態に係る半導体受光素子500に
おいては、p基板11上にi層(真性半導体層)12が
形成され、i層12上にn層13が形成され、n層13
の表面に複数のn+ 層14が所定間隔をおいて形成され
ている。さらに、複数のn+ 層14間においては、n層
13の表面からi層12の内部にかけてp+ 分離層15
が形成されている。
【0009】p+ 分離層15は深く形成され、p+ 分離
層15の最下部はp基板11に達している。p基板11
と複数のn+ 層14との間に逆バイアス電圧を印加する
ことにより、i層12の内部は空乏化している。
【0010】p+ 分離層15は、半導体受光素子500
を電気的に6個の受光部7a,7b,7c,7d,8
a,8bに分離する。ここで、図6(b)の複数のn+
層14は、図6(a)の受光部8a,7c,7d,8b
に相当する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上に
示した半導体受光素子500は、その構造上種々の課題
を有する。以下に、図7に基づき従来の半導体受光素子
500についての課題を説明する。図7は、従来の半導
体受光素子の中央部に光束が入射した場合の半導体受光
素子内部のキャリアの挙動を示す模式的断面図である。
【0012】図7に示す半導体受光素子500において
は、p+ 分離層15が素子表面からi層12を通してp
基板11にまで達している。半導体受光素子500の製
造過程においては、このような深いp+ 分離層15はp
基板11上よりi層12およびn層13とともに成長さ
せて形成される。このため、p+ 分離層15は、p基板
11上でi層12およびn層13とともに成長する過程
で横方向に拡散し、幅を持って形成される。
【0013】半導体受光素子の応答速度を高速化するた
めには、受光部の面積を小さくして浮遊容量を減らすこ
とが必要とされるが、半導体受光素子500においては
上記に示す理由によりp+ 分離層15の幅を縮小するこ
とが困難である。そのため、半導体受光素子500その
ものの受光面(全パターン)を比例して縮小することが
できない。したがって、従来の半導体受光素子500に
おいては、小型化が困難である。
【0014】次に、p+ 分離層15上に光束が入射した
場合の半導体受光素子500内部におけるキャリアの挙
動について説明する。
【0015】半導体受光素子500においては、受光時
に4つの受光部7a,7b,7c,7dのほぼ中央部に
光束が入射する。その場合、必ず4つの受光部7a,7
b,7c,7d間のp+ 分離層15にも光束が入射す
る。
【0016】図7において、中央部のp+ 分離層15の
表面に光束Lが入射する場合、p+分離層15内で発生
するキャリア(電子)は、p+ 分離層15内を空乏化し
たi層12まで拡散により移動した後、加速されてn層
13およびn+ 層14に向かって移動する。なお、この
場合、p+ 分離層15内での拡散によるキャリアの移動
速度が遅いため、応答速度が低下する。このように、従
来の半導体受光素子500においては、中央部の受光部
7a,7b,7c,7dの応答速度が遅くなる。
【0017】さらに、図6(a)において、半導体受光
素子500全体を縮小できた場合、中央部における受光
部7a,7b,7c,7dとその両側の受光部8a,8
bとが非常に近接する。そして、中央部の受光部7a,
7b,7c,7dに強い主光束が入射するので、主光束
により発生したキャリアがp+ 分離層15を通して、両
側の受光部8a,8bに移動する。
【0018】これにより、中央部の受光部7a,7b,
7c,7dから両側の受光部8a,8bに漏れ電流(ク
ロストーク)が発生する。両側の受光部8a,8bに入
射する副光束の強度は微弱であるため、両側の受光部8
a,8bに接続された増幅器の利得は大きく設定されて
いる。そのため、漏れ電流は受光部8a,8bの出力信
号に大きな影響を与える。
【0019】本発明の目的は、小型化および光信号の応
答速度の向上が可能な半導体受光素子を提供することで
ある。
【0020】本発明の他の目的は、小型化および光信号
の応答速度の向上が可能であるとともに、クロストーク
の抑制が可能な半導体受光素子を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
に係る半導体受光素子は、第1導電型の基板上に真性半
導体層を介して第1導電型とは逆の第2導電型の複数の
受光部が形成され、複数の受光部は第1導電型の分離層
により分離され、分離層は、表面から深さ方向において
基板に達することなく真性半導体層内まで延びるもので
ある。
【0022】本発明に係る半導体受光素子においては、
第1導電型とは逆の第2導電型の複数の受光部が、表面
から深さ方向において基板に達することなく真性半導体
層内まで延びる第1導電型の分離層により電気的に分離
される。
【0023】そのため、分離層に光束が入射した場合、
キャリアが分離層の下方の真性半導体層内で発生する。
真性半導体層内で発生したキャリアは真性半導体層内を
第2導電型の受光部に向かって加速されて移動するの
で、キャリアの移動速度の低下が生じない。したがっ
て、応答速度が向上する。
【0024】また、分離層の深さが浅いので、基板上に
真性半導体層および受光部を形成した後に、キャリアの
埋め込みにより分離層を形成することができる。それに
より、分離層の幅を小さくすることができ、半導体受光
素子全体を縮小することができる。その結果、半導体受
光素子の小型化が可能となる。また、半導体受光素子全
体を縮小して受光部の面積を小さくすることにより浮遊
容量を減らすことができるので、受光部の応答速度をさ
らに向上させることができる。
【0025】分離層は、共通の光束を受ける受光部間に
位置する第1の分離層を含んでもよい。
【0026】この場合、共通の光束を受ける受光部間が
浅い第1の分離層により電気的に分離される。これによ
り、受光部間の第1の分離層に光束が入射しても応答速
度が低下しない。また、浅い第1の分離層を真性半導体
層および受光部の形成後にキャリアの埋め込みにより形
成することができるので、半導体受光素子全体を縮小し
て受光部の面積を小さくすることも容易となる。
【0027】分離層は、異なる光束を受ける受光部間に
位置する第2の分離層を含んでもよい。
【0028】この場合、異なる光束を受ける受光部間が
浅い第2の分離層により分離される。これにより、受光
部間の第2の分離層の下方でキャリアが発生しても応答
速度が低下しない。また、浅い第2の分離層を真性半導
体層および受光部の形成後にキャリアの埋め込みにより
形成することができるので、半導体受光素子全体を縮小
して受光部の面積を小さくすることも容易となる。
【0029】第2の分離層と基板との間における真性半
導体層内に、第2導電型の埋め込み層が設けられてもよ
い。
【0030】これにより、分離層間で一の受光部の下方
の領域に発生するキャリアの一部が隣接する他の受光部
の下方の領域へ漏れ出る前に第2導電型の埋め込み層に
吸収されるので、異なる光束を受ける受光部間でのクロ
ストークの発生が防止される。
【0031】第2の分離層は、異なる強度を有する光束
を受ける受光部間に位置してもよい。
【0032】この場合、大きな強度の光束を受ける受光
部の下方の領域に発生するキャリアが、小さな強度の光
束を受ける受光部の下方の領域に漏れ出ることが防止さ
れる。それにより、大きな強度の光束が小さな強度の光
束を受ける受光部の出力信号に影響を与えることが防止
される。
【0033】複数の受光部からなる集合領域を周囲の領
域から分離する第3の分離層がさらに設けられ、第3の
分離層は、表面から真性半導体層を通して基板に達する
ように深さ方向に延びてもよい。
【0034】この場合、深い第3の分離層により複数の
受光部からなる集合領域が周囲の領域から分離される。
これにより、深い第3の分離層により周囲の領域との間
で確実な電気的分離を行うことが可能となる。その結
果、半導体集積回路への組み込みが可能となる。
【0035】基板、真性半導体層および受光部は、フォ
トダイオードを構成してもよい。この場合、小型化およ
び光信号の応答速度の向上が可能なフォトダイオードが
実現する。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明に係る半導体受光素子は、
例えば光ピックアップ装置に用いられる。光ピックアッ
プ装置において、半導体受光素子は光検出部として用い
られており、光検出部の出力信号に基づいて光学記録媒
体上の情報の再生、焦点誤差の検出およびトラッキング
誤差の検出が行われる。
【0037】まず、光ピックアップ装置の構造および動
作を図1に基づき説明する。図1は、光ピックアップ装
置の概略図である。図1に示す光ピックアップ装置80
0は、ホログラムユニット850および集光レンズ80
7により構成される。
【0038】この光ピックアップ装置800は、非点収
差法によるフォーカスサーボおよび3ビーム法によるト
ラッキングサーボの制御機構を有するものである。
【0039】ホログラムユニット850において、ステ
ム803上に放熱ブロック804が配置され、放熱ブロ
ック804の側面にサブマウント802が取り付けら
れ、サブマウント802上に半導体レーザ素子801が
取り付けられている。放熱ブロック804の上面に本実
施の形態に係る半導体受光素子100が配置されてお
り、放熱ブロック804を取り囲むようにキャップ80
8が設けられている。
【0040】キャップ808の上面の開口部には、ホロ
グラム光学素子806が配置されている。ホログラム光
学素子806の下面には3分割用回折格子805が設け
られ、ホログラム光学素子806の上面のホログラム面
810にはホログラムパターンが形成されている。
【0041】図1において、半導体レーザ素子801は
光束を光ディスク888に向かって出射する。半導体レ
ーザ素子801より出射された光束は、3分割用回折格
子805およびホログラム光学素子806を透過する。
ここで、光束は3分割用回折格子805により、3本の
光束(図1においては1本の光束として図示)に分割さ
れる。これはトラッキング誤差の検出を行うための一手
法であり、3ビーム法と呼ばれている。
【0042】このように3ビーム法においては、半導体
レーザ素子801より出射された光束は、主に情報の再
生および焦点誤差の検出を目的とした1本の主光束と、
トラッキング誤差の検出を目的とした2本の副光束とに
分割される。
【0043】ホログラム光学素子806を透過した3本
の光束は、集光レンズ807によって光ディスク888
上にそれぞれ集光される。この集光レンズ807は、ト
ラッキング動作およびフォーカス動作のため、アクチュ
エータ809により所定の方向に移動可能に支持されて
いる。
【0044】光ディスク888は3本の光束を反射す
る。光ディスク888からの3本の帰還光束(反射光
束)は、ホログラム面810におけるホログラムパター
ンにより回折され、半導体受光素子100に入射する。
以上のように用いられる半導体受光素子100の構造お
よび動作を図1〜図5に基づき説明する。
【0045】(第1の実施の形態)図2(a)は、第1
の実施の形態に係る半導体受光素子の構造を示す平面図
である。図2(a)に示すように、半導体受光素子10
0においては、正方形の4個の受光部b,c,e,fが
中央部に形成され、この両側に受光部a,dが形成され
ている。中央部の4個の受光部b,c,e,fには、比
較的強い主光束BSが入射し、これらの受光部a,b,
c,dの出力信号に基づき焦点誤差の検出および情報の
再生が行われる。一方、両側の受光部a,dには、比較
的弱い副光束BFが入射し、これらの受光部a,dの出
力信号に基づきトラッキング誤差の検出が行われる。
【0046】図2(b)は、図2(a)中の半導体受光
素子のA−A線断面を示している。図2(b)に示すよ
うに、本実施の形態に係る半導体受光素子100におい
ては、p基板1上にi層(真性半導体層)2が形成さ
れ、i層2上にn層3が形成され、n層3の表面にn+
層4a,4b,4c,4dが所定間隔をおいて形成され
ている。さらに、n+ 層4a,4b,4c,4d間にお
いて、n層3の表面からi層2の内部にかけてp+ 分離
層5が形成されている。
【0047】p+ 分離層5は浅く形成され、p+ 分離層
5の最下部はp基板1に達することなくi層2内部に位
置する。p基板1とn+ 層4a,4b,4c,4dとの
間に逆バイアス電圧を印加することにより、i層2の内
部は空乏化している。
【0048】半導体受光素子100の製造工程において
は、p基板1上にi層2およびn層3を気相成長法など
により成長させる。この場合に、i層2およびn層3の
結晶成長の後工程でn層3にキャリアを埋め込むことに
よりp+ 分離層5を形成する。それにより、p+ 分離層
5の横方向への拡散を少なくし、幅を縮小することがで
き、半導体受光素子100の小型化が容易となる。
【0049】図3は、第1の実施の形態に係る半導体受
光素子の構造および光束がp+ 分離層上に入射した場合
のキャリアの挙動を示す模式的断面図である。
【0050】図3に示すように、半導体受光素子100
のn+ 層4b,4c間のp+ 分離層5上に光束Lが入射
した場合に、p+ 分離層5の下部のi層2で発生するキ
ャリア(電子)は、i層2が空乏化されているため、加
速されてn層3およびn+ 層4a,4b,4c,4dへ
向かって移動する。この場合、キャリアは拡散すること
なく直線的に移動する。このため、光検出の応答速度が
向上する。
【0051】(第2の実施の形態)図4は、第2の実施
の形態に係る半導体受光素子の構造および光束がn+
上に入射した場合のキャリアの挙動を示す模式的断面図
である。
【0052】本実施の形態に係る半導体受光素子200
は、図2(a)に示した第1の実施の形態に係る半導体
受光素子100と同一の平面構造を有し、中央部に4個
の受光部b,c,e,fが形成され、この両側に受光部
a,dが形成されている。ここで、各受光部a〜fに入
射する光束は第1の実施の形態と同様である。本実施の
形態では、以下に説明するように半導体受光素子200
にn+ 埋め込み層6が含まれている。
【0053】本実施の形態に係る半導体受光素子200
は、第1の実施の形態に係る半導体受光素子100と同
様、前述の光ピックアップ装置に用いられる。
【0054】図4の半導体受光素子200においては、
p基板1上にi層2が形成され、i層2上にn層3が形
成され、n層3の表面にn+ 層4a,4b,4c,4d
が所定間隔をおいて形成されている。さらに、n+ 層4
a,4b,4c,4d間においてn層3の表面からi層
2の内部にかけてp+ 分離層5が形成されている。
【0055】ここで、n+ 層4a,4b間およびn+
4c,4d間の領域において、i層2の内部におけるp
+ 分離層5とp基板1との間に位置するように、n+
め込み層6が形成されている。なお、i層2の内部は半
導体受光素子100と同様に空乏化されている。
【0056】次に、光束Lが図2(a)の中央部の受光
部b,cに相当するn+ 層4b,4cにまたがって入射
した場合のキャリアの挙動について説明する。
【0057】半導体受光素子200に対し光束Lがn+
層4b,4cにまたがって入射した場合、n+ 層4b,
4c間に形成されているp+ 分離層5下部のi層2で発
生するキャリアは、i層2が空乏化されているため、加
速されてn層3およびn+ 層4b,4cへ向かって移動
する。この場合、キャリアは拡散することなく直線的に
移動する。このため、光検出の応答速度が向上する。
【0058】ここで、中央部の受光部b,c,e,fと
これに隣接した受光部a,dとの間のp+ 分離層5の周
辺で発生するキャリアの挙動を次に示す。
【0059】n+ 層4a,4b間およびn+ 層4c,4
d間に形成されているp+ 分離層5周辺のi層2で発生
するキャリアは加速されてn+ 埋め込み層6に向かって
移動する。これにより、中央部の受光部b,cであるn
+ 層4b,4cとこれに隣接した受光部であるn+ 層4
a,4dとの間が電気的に分離される。その結果、受光
部n+ 層4b,4cに入射した光束に基づき発生したキ
ャリアがn+ 層4a,4dに向かって移動することによ
るクロストークを低減することが可能となる。
【0060】以上より、本実施の形態に係る半導体受光
素子においては、浅いp+ 分離層5により光検出の応答
速度が向上するとともに半導体受光素子全体が小型化で
きる。また、n+ 埋め込み層6によりクロストークが抑
制される。その結果、p+ 分離層5の幅を狭めることが
可能となり、さらなる小型化が図られる。
【0061】(第3の実施の形態)図5(a)は、第3
の実施の形態に係る半導体受光素子の構造を示す平面図
である。図5(b)は、図5(a)中の半導体受光素子
のB−B線断面を示している。
【0062】図5(a)に示すように、本実施の形態に
係る半導体受光素子300は、図2(a)に示した第1
の実施の形態に係る半導体受光素子100と同一の平面
構造を有し、中央部に4個の受光部b,c,e,fが形
成され、この両側に受光部a,dが形成されている。た
だし、本実施の形態においては、各受光部a,b,c,
d,e,f間が、浅い分離層領域S1により分離され、
これらの受光部a,b,c,d,e,fを含む集合領域
が、深い分離層領域S2により周囲の領域と分離されて
いる。
【0063】浅い分離層領域S1は、中央部の受光部
b,c,e,f間、中央部の受光部b,eと一方側の受
光部aとの間および中央部の受光部c,fと他方側の受
光部dとの間に形成されている。そして、深い分離層領
域S2は、中央部およびその両側の受光部a〜fの集合
領域の外側を取り囲むように形成されている。本実施の
形態に係る半導体受光素子300は、第1の実施の形態
に係る半導体受光素子100と同様、上述の光ピックア
ップ装置に用いられる。
【0064】図5(b)に示すように、本実施の形態に
係る半導体受光素子300においては、p基板1上にi
層2が形成され、i層2上にn層3が形成され、n層3
の表面にn+ 層4a,4b,4c,4dが所定間隔をお
いて形成されている。ここで、n+ 層4a,4b,4
c,4d間の位置には浅いp+ 分離層9が形成されてお
り、n+ 層4a,4dとその外側とを隔てる位置には深
いp+ 分離層10が形成されている。
【0065】浅いp+ 分離層9は、第1の実施の形態に
係る半導体受光素子100のp+ 分離層5と同様に、n
+ 層4a,4b,4c,4d間においてn層3の表面か
らi層2の内部にかけて浅く形成され、最下部はp基板
1に達することなくi層2内部に位置する。また、深い
+ 分離層10は、n+ 層4a,4dとその外側とを隔
てる位置において、n層3の表面からi層2を通してp
基板1に達するように形成されている。
【0066】ここで、n+ 層4a,4b間およびn+
4c,4d間の領域において、i層2の内部における浅
いp+ 分離層9とp基板1との間に位置するように、n
+ 埋め込み層6が形成されている。なお、i層2の内部
は半導体受光素子100と同様に空乏化されている。
【0067】上記に示す構成においては、半導体受光素
子300の受光部a,b,c,d間の浅い分離層領域S
1に光束が入射した場合のキャリアの挙動は、第2の実
施の形態に係る半導体受光素子200のキャリアの挙動
と同様である。
【0068】一方、半導体受光素子300においては、
深い分離層領域S2により受光部a,b,c,d,e,
fを含む集合領域とその集合領域を取り囲む周囲の領域
との間で確実に電気的な分離が行われるため、この半導
体受光素子300を例えばフォトダイオード集積回路と
して他の素子または回路と複合化することができる。な
お、当該半導体受光素子が他の素子に影響を与えない場
合は、すべての分離層領域を、浅いp+ 分離層9で形成
してもよい。
【0069】以上の説明において、上面図における受光
部は断面図におけるn+ 層と同一であり、また上面図に
おける浅い分離層領域は浅いp+ 分離層と同一であり、
深い分離層領域は深いp+ 分離層と同一である。
【0070】上記、第1〜第3の実施の形態において、
p型が第1の導電型に相当し、n型が第2の導電型に相
当するが、第1の導電型がn型であって、第2の導電型
がp型であってもよい。
【0071】また、上述の実施の形態においては、半導
体受光素子が6個の受光部を有するが、これに限らず受
光部の個数はいくらであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ピックアップ装置の概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体受光素子の構造
を示す平面図および断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体受光素子の構造
および光束がp+ 分離層上に入射した場合のキャリアの
挙動を示す模式的断面図である。
【図4】第2の実施の形態に係る半導体受光素子の構造
および光束がn+ 層上に入射した場合のキャリアの挙動
を示す模式的断面図である。
【図5】第3の実施の形態に係る半導体受光素子の構造
を示す平面図および断面図である。
【図6】従来における半導体受光素子の構造を示す平面
図および断面図である。
【図7】従来の半導体受光素子の中央部に光束が入射し
た場合の半導体受光素子内部のキャリアの挙動を示す模
式的断面図である。
【符号の説明】
1 p基板 2 i層 3 n層 5 p+ 分離層 6 n+ 埋め込み層 9 浅いp+ 分離層 10 深いp+ 分離層 100,200,300 半導体受光素子 a,b,c,d,e,f 受光部 4a,4b,4c,4d n+ 層 S1 浅い分離層領域 S2 深い分離層領域 BF 比較的弱い副光束 BS 比較的強い主光束 L 光束 800 光ピックアップ装置 801 半導体レーザ素子 802 サブマウント 803 ステム 804 放熱ブロック 805 3分割用回折格子 806 ホログラム光学素子 807 集光レンズ 808 キャップ 810 ホログラム面 809 アクチュエータ 850 ホログラムユニット 888 光ディスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 和思 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 田尻 敦志 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 上田 康博 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5F049 MA04 NA03 NA19 QA15 RA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の基板上に真性半導体層を介
    して前記第1導電型とは逆の第2導電型の複数の受光部
    が形成され、前記複数の受光部は第1導電型の分離層に
    より分離され、 前記分離層は、表面から深さ方向において前記基板に達
    することなく前記真性半導体層内まで延びることを特徴
    とした半導体受光素子。
  2. 【請求項2】 前記分離層は、共通の光束を受ける受光
    部間に位置する第1の分離層を含むことを特徴とした請
    求項1記載の半導体受光素子。
  3. 【請求項3】 前記分離層は、異なる光束を受ける受光
    部間に位置する第2の分離層を含むことを特徴とした請
    求項1または2いずれかに記載の半導体受光素子。
  4. 【請求項4】 前記第2の分離層と前記基板との間にお
    ける前記真性半導体層内に、第2導電型の埋め込み層が
    設けられたことを特徴とした請求項3記載の半導体受光
    素子。
  5. 【請求項5】 前記第2の分離層は、異なる強度を有す
    る光束を受ける受光部間に位置することを特徴とした請
    求項3または4いずれかに記載の半導体受光素子。
  6. 【請求項6】 前記複数の受光部からなる集合領域を周
    囲の領域から分離する第3の分離層がさらに設けられ、
    前記第3の分離層は、表面から前記真性半導体層を通し
    て前記基板に達するように深さ方向に延びることを特徴
    とした請求項1〜5いずれかに記載の半導体受光素子。
  7. 【請求項7】 前記基板、前記真性半導体層および前記
    受光部は、フォトダイオードを構成することを特徴とし
    た請求項1〜6いずれかに記載の半導体受光素子。
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