JP2003124207A - 被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品 - Google Patents

被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品

Info

Publication number
JP2003124207A
JP2003124207A JP2001314988A JP2001314988A JP2003124207A JP 2003124207 A JP2003124207 A JP 2003124207A JP 2001314988 A JP2001314988 A JP 2001314988A JP 2001314988 A JP2001314988 A JP 2001314988A JP 2003124207 A JP2003124207 A JP 2003124207A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
film
coating film
forming
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001314988A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Enomoto
和宏 榎本
Koichi Abe
浩一 阿部
Shigeru Nobe
茂 野部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2001314988A priority Critical patent/JP2003124207A/ja
Publication of JP2003124207A publication Critical patent/JP2003124207A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Formation Of Insulating Films (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度範囲が350〜500℃、かつ加熱時間
が10分以内と短時間で完全硬化可能で熱処理工程の短
縮可能な低比誘電率の被膜を提供する。 【解決手段】 温度範囲が350〜500℃、加熱時間
が10分以内の条件下で被膜を加熱処理した場合に、そ
の被膜の比誘電率が3.0以下になる(a)シロキサン
骨格を有する縮重合反応物、(b)250〜500℃の
温度範囲で全て分解もしくは揮発する有機ポリマー及び
(c)有機ポリマー分解促進剤を含有する被膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は比較的低温、かつ短
時間加熱処理により提供可能な低比誘電率の絶縁性の被
膜、その被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被
膜を有する電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】LSIの高集積化による配線の微細化に
ともない、配線間容量の増大による信号遅延時間の増大
が問題となっており、電子部品の絶縁材料は、耐熱性、
機械特性等の他、低比誘電率と熱処理工程の短縮が求め
られている。その理由は、一般に配線の信号の伝搬速度
(v)と、配線材料が接する絶縁材料の比誘電率(ε)
とは、v=k/√ε(kは定数)で示される関係があ
り、信号の伝搬速度を高速化するためには使用する周波
数領域を高くし、また、そのときの絶縁材料の比誘電率
を低くする必要があるからである。従来から、比誘電率
4.2程度のCVD法によるSiO膜が層間絶縁材料
として用いられてきたが、デバイスの配線間容量を低減
し、LSIの動作速度を向上するため、より低誘電率な
材料が求められている。現在実用化されている低誘電率
材料としては、比誘電率3.5程度のSiOF膜(CV
D法)があげられる。比誘電率2.5〜3.0の絶縁材
料としては、有機SOG(Spin On Glass)、有機ポリ
マー等が、さらに比誘電率2.5以下の絶縁材料として
は膜中に空隙を有するポーラス材が有力と考えられてお
り、LSIの層間絶縁被膜に適用するための検討が盛ん
に行われている。特開平10-283843号公報、特開平11-32
2992号公報、特開平11-310411号公報などでは、有機S
OG系の材料で金属アルコキシシランの加水分解縮重合
物と加熱することにより揮発もしくは分解するポリマー
を含有する組成物から低誘電性に優れた被膜材料を形成
することが提案されている。しかしながら、これらの被
膜を形成する際の加熱処理時間はいずれも30分以上と
長い。一方で層間絶縁膜材料の製造において、配線材料
の変更に伴い長時間の加熱で配線材料の劣化などが伴う
恐れがあるため、加熱処理時間の短縮が要求されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、温度
範囲が350〜500℃、かつ加熱時間が10分以内と
短時間で完全硬化可能で熱処理工程の短縮可能な低比誘
電率の被膜を提供することにある。本発明の他の目的
は、上記の被膜を形成するための被膜形成用塗布液を提
供することにある。本発明の他の目的は、上記の被膜形
成用塗布液を用いた被膜の製造方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、上記の被膜を有する電子部品
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、温度範囲が3
50〜500℃、加熱時間が10分以内の条件下で被膜
を加熱処理した場合に、その被膜の比誘電率が3.0以
下になる被膜に関する。本発明は、また、加熱処理を行
う前後の応力差が±10MPa以内である上記の被膜に
関する。本発明は、また、被膜がケイ素1原子当たり炭
素元素を0〜3原子含有するシリカ系被膜である上記の
被膜に関する。本発明は、また、被膜の膜厚が0.01
μm〜40μmである上記の被膜に関する。本発明は、
また、被膜が直径0.1〜100nmの空孔を有する上
記の被膜に関する。本発明は、また、(a)シロキサン
骨格を有する縮重合反応物、(b)250〜500℃の
温度範囲で全て分解もしくは揮発する有機ポリマー及び
(c)有機ポリマー分解促進剤を含有することを特徴と
する被膜形成用塗布液に関する。本発明は、また、25
0〜500℃の温度範囲で全て分解もしくは揮発する有
機ポリマーがポリアルキレンオキサイド構造を有する化
合物又はアクリレート系重合体である上記の被膜形成用
塗布液に関する。本発明は、また、有機ポリマー分解促
進剤が硝酸、過酸化水素又はリンゴ酸である上記の被膜
形成用塗布液に関する。本発明は、また、上記の被膜形
成用塗布液を基板上に塗布し、酸素濃度が10容量%以
下の条件で加熱処理して被膜を形成することを特徴とす
る被膜の製造方法に関する。本発明は、また、上記の被
膜形成用塗布液を基板上に塗布して被膜を形成し、形成
された被膜に含有されている溶媒を除去した後、温度範
囲が350〜500℃、加熱時間が10分以内の条件下
で被膜を加熱処理することを特徴とする被膜の製造方法
に関する。本発明は、また、上記の被膜を有する電子部
品に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、加熱温度が350〜500℃、加熱時間が1
0分以内の加熱処理条件で完全硬化可能で、かつ被膜中
に含有されている有機ポリマー成分を完全に分解、もし
くは揮発することにより低誘電性に優れた被膜を得るも
のである。ここで加熱温度は、石英チューブ炉、ホット
プレート、ラピッドサーマルアニールなどの加熱処理装
置で処理する温度を指す。350〜500℃の温度範囲
における加熱処理時間が10分以内であることが必須で
ある。また加熱終了後は、350℃より低くする必要が
あり、場合によっては急冷の必要がある。そのため、ホ
ットプレート、ラピッドサーマルアニールなどの枚葉式
の装置の方が好ましい。350〜500℃の温度範囲に
保たれる時間が長いと配線材料の劣化や配線材料の溶融
によるボイドの発生などが発生するため、好ましくな
い。また、本発明においては、加熱温度、加熱時間の短
縮を目指すため、被膜の加熱処理前後の応力変化が±1
0MPa以内であることが好ましい。応力差が大きいと
加熱処理に伴う膜収縮などの変化が大きいことを示して
おり、加熱温度、加熱時間の短縮を目指した材料設計と
はいえない。応力とはシリコンウエハー上に塗布した場
合、ウエハーのそりから計算されるものであり、加熱処
理前後において応力の変化が小さいことは、加熱処理前
後のウエハーのそりが変化ないことを示しており、か
つ、加熱処理前に被膜形成組成物の構造が定まっている
ことを示している。応力値(MPa)は下記式より求め
られる。 σ=[Ebδ/3(1−ν)ld]×1/10 E:シリコンウエハーのヤング率(dyn/cm) b:ウエハーの厚さ(μm) ν:シリコンウエハーのポアソン比 以上定数 l:表面粗さ計の走査距離(mm) d:被膜の厚さ(μm) δ:シリコンウエハーのそり(μm) 装置:テンコール社製FLX−2320
【0006】また、本発明の被膜は、半導体プロセス適
応性を考慮した場合、被膜中にケイ素元素を含むことが
好ましい。被膜中に含有するケイ素元素1原子あたり炭
素元素を0〜3原子、好ましくは0.2〜2原子含有す
ることが好ましいる。ここで示す、炭素元素/ケイ素元
素の元素比については、光電子分光法で測定される炭素
/ケイ素元素の組成比を用いることが有効である。炭素
元素の比率が高いと半導体プロセス適応性、特に積層膜
である、SiO、SiNなどの被膜との接着性の保持
の点で好ましくない。
【0007】また、本発明の被膜は、半導体素子に使用
することを目的としているため、膜厚について制約され
る。0.01μm〜40μmであることが好ましく、好
0.1μm〜2.0μmであることがより好ましい。膜
厚が厚いと応力によるクラックの発生が起こる傾向があ
り、また膜厚が薄いと上下隣接配線間のリーク特性が悪
くなる傾向がある。また、本発明の被膜は、低誘電性を
保持するため、適宜空孔を有することが好ましい。0.
1〜100nmの空孔であることが好ましく、10nm
以下であることがより好ましい。空孔の大きさが大きく
なると吸湿水の増加、左右隣接配線間のリーク特性の悪
化や強度の低下を生じる傾向がある。空孔の直径はBE
T法により測定できる。本発明の被膜を得るためには、
好ましくは、(a)シロキサン骨格を有する縮重合反応
物、(b)250〜500℃の温度範囲で全て分解もし
くは揮発する有機ポリマー及び(c)有機ポリマー分解
促進剤を含有する被膜形成用塗布液が用いられる。シロ
キサン骨格を有する縮重合反応物を形成するモノマーと
しては、アルコキシシラン系、クロロシラン系、イソシ
アネート系のモノマーを用いる。半導体プロセス適応性
を考慮した場合、不純物イオンの発生がないアルコキシ
シラン系のモノマーを用いることが好ましい。シロキサ
ン骨格を有する縮重合反応物としては、アルコキシシラ
ンの加水分解縮合物が好ましく用いられる。
【0008】かかるアルコキシシラン類には、具体的に
はテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テト
ラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキ
シシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−se
c−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラ
ン、テトラフェノキシシラン等のテトラアルコキシシラ
ン及びテトラアリールオキシラン、メチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−
プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシ
ラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−
iso−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブト
キシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルト
リ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロ
ポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチ
ルトリ−iso−ブトキシシラン、エチルトリ−ter
t−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n
−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエト
キシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラ
ン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n
−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルト
リ−iso−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−te
rt−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシ
ラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−
プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−
n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso
−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブト
キシシラン、iso−プロピルトリ−iso−ブトキシ
シラン、iso−プロピルトリ−tert−ブトキシシ
ラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブ
チルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラ
ン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチ
ルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−
n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−iso−ブトキ
シシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラ
ン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチル
トリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラ
ン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、se
c−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−
ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ
−iso−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−te
rt−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシ
シラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルト
リエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシ
ラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t
−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−
iso−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−
ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルト
リ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブ
トキシシラン、フェニルトリ−iso−ブトキシシラ
ン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニ
ルトリフェノキシシラン等のモノオルガノトリアルコキ
シシラン及びモノオルガノトリアリールオキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−
iso−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシ
シラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチ
ルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキ
シシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエト
キシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエ
チルジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジ−n−
ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラ
ン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチル
ジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラ
ン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロ
ピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−
iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−
ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキ
シシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシ
ラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジ−is
o−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピル
ジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−プロ
ポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−iso−プロ
ポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−ブトキシ
シラン、ジ−iso−プロピルジ−sec−ブトキシシ
ラン、ジ−iso−プロピルジ−tert−ブトキシシ
ラン、ジ−iso−プロピルジフェノキシシラン、ジ−
n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキ
シシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、
ジ−n−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n
−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−
sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert
−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラ
ン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec
−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n
−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−iso−
プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキ
シシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシ
ラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラ
ン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−te
rt−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチル
ジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロ
ポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−iso−プロ
ポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシ
シラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシ
ラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシ
ラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフ
ェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル
ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブ
トキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラ
ン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェ
ニルジフェノキシシラン等のジオルガノジアルコキシシ
ラン及びジオルガノジアリールオキシシラン等が挙げら
れ、これらは1種又は2種以上が用いられる。これらの
アルコキシシラン又はアリールオキシシランをモノマー
として使用するが、使用の割合は全使用モノマーの1モ
ル%以上100モル%以下であることが好ましい。より
好ましくは、60モル%以上100モル%以下である。
【0009】また、上記アルコキシシラン又はアリール
オキシシランを使用する場合、適宜加水分解縮合を必要
とする。加水分解縮合反応を促進する触媒として、蟻
酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ブタ
ン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン
酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバ
シン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール
酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ
安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、スルホ
ン酸、酒石酸等の有機酸及び塩酸、リン酸、硝酸、ホウ
酸、硫酸、フッ酸等の無機酸が用いられる。この触媒
は、原料となるアルコキシシラン又はアリールオキシシ
ランの量に応じて適当量で用いられるが、好ましくはア
ルコキシシラン又はアリールオキシシラン1モルに対し
て0.001〜1モルの範囲が好ましい。所定量より多
い場合ゲル化を促進する傾向があり、また所定量より少
ない場合、重合反応が進行しない傾向がある。
【0010】また、水の量も適宜決められる。あまり少
ない場合や多すぎる場合には成膜性が悪くなったり、保
存安定性の低下等の問題があるので、水の量はアルコキ
シシラン100モル%に対して50〜800モル%の範
囲とすることが好ましい。
【0011】また、本発明の被膜形成用塗布液における
シロキサン骨格を有する縮重合反応物は、250〜50
0℃の温度範囲で全て分解もしくは揮発する有機ポリマ
ーとの相溶性、溶剤への溶解性、機械特性、成形性等の
点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)により測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用
して換算した値の重量平均分子量が、500〜20,0
00であることが好ましく、1,000〜10,000
であることがより好ましい。
【0012】また、本発明の被膜形成用塗布液において
は、空孔を形成するために、250〜500℃の温度範
囲で全て分解もしくは揮発する有機ポリマーを含有する
ことを必須とする。熱分解温度が低いと被膜成分の硬化
が進行していない時に有機ポリマーが揮発してしまうた
め、空孔を形成出来なくなるため好ましくない。また、
熱分解温度が高すぎると加熱処理終了後にも有機ポリマ
ーが残存してしまい、所望の誘電特性を達成できないた
め好ましくない。
【0013】250〜500℃の温度範囲で完全に分解
する有機ポリマーとしては、具体的にはポリアルキレン
オキサイド構造を有する化合物、(メタ)アクリレート
系重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアン
ハイドライドなどを挙げることが出来る。
【0014】ここで、ポリアルキレンオキサイド構造と
してはポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオ
キサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポ
リブチレンオキサイド構造などが挙げられる。具体的に
は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノ
リン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸
化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合
物、ポリオキシエチレンモノオレイルエーテルなどのポ
リオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪
酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型
化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチ
レングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリ
ド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの
エーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
【0015】また、(メタ)アクリレート系重合体を構
成するアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルと
しては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸ア
ルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステ
ル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステルなどを挙
げることが出来る。アクリル酸アルキルエステルとして
は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n
−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチ
ル、アクリル酸ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル
エステル、メタクリル酸アルキルエステルとしては、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸
ペンチル、メタクリル酸ヘキシルなどの炭素数1〜6の
アルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエス
テルとしては、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸
エトキシエチル、メタクリル酸アルコキシアルキルエス
テルとしては、メタクリル酸メトキシメチル、メタクリ
ル酸エトキシエチルなどを挙げることが出来る。また、
ポリエステルとしては、ヒドロキシカルボン酸の重縮合
物、ラクトンの開環重合物、脂肪族ポリオールと脂肪族
ポリカルボン酸との重縮合物などを挙げることが出来
る。また、ポリカーボネートとしては、ポリエチレンカ
ーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリトリメ
チレンカーボネート、ポリテトラメチレンカーボネー
ト、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチ
レンカーボネートなどの炭酸とアルキレングリコールの
重縮合物を挙げることが出来る。また、ポリアンハイド
ライドとしては、ポリマロニルオキシド、ポリアジポイ
ルオキシド、ポリピメイルオキシド、ポリスベロイルオ
キシド、ポリアゼライルオキシド、ポリセバコイルオキ
シドなどのジカルボン酸の重縮合物などを挙げることが
出来る。
【0016】また、これらの有機ポリマーの分子量はシ
ロキサン骨格を有する縮重合反応物との相溶性、溶剤へ
の溶解性、機械特性、成形性等の点から、アルキレンオ
キサイド構造を有する化合物又はアクリレート系重合体
を使用することが好ましい。また、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポ
リスチレンの検量線を使用して換算した値の重量平均分
子量が、300〜200,000であることが好まし
く、500〜20,000であることがより好ましい。
また、これらの有機ポリマーの使用量は、塗布液中に含
有される被膜形成成分(塗布から水、有機溶媒を除いた
成分)に対して好ましくは1〜100重量%、より好ま
しくは5〜70重量%である。少なすぎると比誘電率を
下げる効果がなく、多すぎると機械的強度を著しく低下
する。
【0017】また、本発明の被膜形成用塗布液には、有
機ポリマーの揮発、又は分解を完全に行うため、有機ポ
リマー分解促進剤を含有させる。有機ポリマー分解促進
剤としては、有機ポリマーの燃焼を補助する酸素を含有
したものが好ましく、1分子中に30重量%以上の酸素
元素を含有する分子を使用することが好ましい。酸素元
素含有量が少ないと有機ポリマー分解の際に、有機ポリ
マーの不完全燃焼を生じるため、好ましくない。具体的
には、硝酸、硫酸、過酸化水素、過塩素酸、塩素酸など
の無機酸、マレイン酸、リンゴ酸、酢酸、蟻酸、炭酸、
フマル酸、コハク酸、オキサロ酢酸などの有機酸、硝酸
アンモニウム、硫酸アンモニウムなどの塩、ホルムアミ
ド、ホルムアルデヒドなどが好ましい。有機ポリマー分
解促進剤の配合量は、シロキサン骨格を有する縮重合反
応物1.0gに対して0.001〜0.2gであること
が好ましい。
【0018】本発明におけるシリカ系被膜形成用塗布液
には溶媒として有機溶媒を使用することが好ましい。有
機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタ
ノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペ
ンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノー
ル、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メ
トキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペン
タノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノー
ル、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エ
チルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニル
アルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアル
コール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラ
デシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、
シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベン
ジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピ
レングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチ
レングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレ
ングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコー
ル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n
−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル
−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メ
チル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジ−i−
ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノ
ン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオ
ン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセ
トフェノン等のケトン系溶媒、エチルエーテル、i−プ
ロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエ
ーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシ
ド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−
メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサ
ン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジ
エチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシ
ルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテ
ル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
ジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブ
チルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエー
テル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコ
ールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレング
リコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2
−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロ
ピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−
ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢
酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−
エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジ
ル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、
酢酸ノニル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクト
ン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチ
ルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエー
テル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、
酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプ
ロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコ
ール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチ
ル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミ
ル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸
メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル
等のエステル系、フェノール等種々の有機溶媒が挙げら
れ、これらは1種又は2種以上が用いられる。有機溶媒
の使用量は、上記の反応で得られるシロキサン骨格を有
する縮重合反応物の量が被膜形成用塗布液中5〜25重
量%となる量とされることが好ましい。シロキサン骨格
を有する縮重合反応物の量が多すぎると安定性及び成膜
性の点で好ましくない傾向があり、少なすぎると所望の
膜厚を得ることが困難となる傾向がある。
【0019】本発明において被膜形成用塗布液を基板上
に塗布する場合、成膜性、膜均一性を考慮して好ましく
はスピンコート法が用いられる。スピンコート法を用い
た被膜の形成方法として、始めに被膜形成用塗布液を基
板上に500〜5000回転/分、好ましくは、100
0〜3000回転/分でスピン塗布する。スピン塗布に
おける回転数が小さ過ぎる場合、膜均一性が悪化し、大
きすぎる場合、成膜性が悪化する傾向がある。
【0020】次いで50〜350℃、好ましくは100
〜250℃でホットプレートにて有機溶媒の乾燥を行
う。乾燥温度が低すぎる場合、溶媒の乾燥が十分に行わ
れないため好ましくなく、乾燥温度が高すぎる場合、シ
ロキサン骨格形成前にポーラス形成用熱分解揮発有機ポ
リマー重合物が熱分解揮発してしまうため、所望の誘電
特性が得られない傾向がある。
【0021】最後に350〜500℃、10分以内、好
ましくは1〜5分の処理条件で最終加熱処理反応を行
う。この段階で、被膜が完全に硬化し、かつ空孔を形成
する有機ポリマーが全て揮発もしくは分解することが好
ましい。また、この際の加熱処理場の雰囲気としては、
酸素濃度が10容量%以下であることが好ましい。酸素
濃度が多いと配線材料の信頼性低下につながるため好ま
しくない。
【0022】本発明において、電子部品とは、半導体素
子等の半導体装置、多層配線板等における絶縁被膜を指
す。半導体装置においては、表面保護膜、バッファーコ
ート膜、層間絶縁膜等として使用することができる。
【0023】本発明における半導体素子とは、ダイオー
ド、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリス
タ、サイリスタなどの個別半導体、DRAM(ダイナミ
ック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM(ス
タティック・ランダム・アクセス・メモリー)、EPR
OM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリ
ー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オン
リー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル・イ
レイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモ
リー)、フラッシュメモリーなどの記憶素子、マイクロ
プロセッサー、DSP、ASICなどの理論回路素子、
MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)
に代表される化合物半導体などの集積回路素子、混成集
積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結
合素子などの光電変換素子などを意味する。
【0024】本発明の被膜は多層配線板、例えばMCM
などの高密度配線板の層間絶縁膜として適用することに
より、上記と同じく信号伝搬遅延時間の低減などの高性
能化と同時に高信頼性を達成できる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。 被膜形成用塗布液製造例1 テトラメトキシシラン76.1gとメチルトリメトキシ
シラン60.1g、ポリオキシエチレンモノオレイルエ
ーテル(エチレンオキサイド連結数7)40.0gをイ
ソプロパノール356.7gに溶解させた溶液中に、マ
レイン酸4.06gを溶解させた水63.0gを攪拌下
で30分かけて滴下した。滴下終了後5時間反応させ、
ケイ素/炭素比率=1/0.5のポリシロキサン(重量
平均分子量=2,200)溶液を得た。
【0026】被膜形成用塗布液製造例2 テトラメトキシシラン60.9gとメチルトリメトキシ
シラン72.1g、ポリメチルメタクリレート(重量平
均分子量=10,000)40.0gをプロピレングリ
コールモノメチルアセテート356.7gに溶解させた
溶液中に、硝酸2.14gを溶解させた水61.2gを
攪拌下で30分かけて滴下した。滴下終了後5時間反応
させ、ケイ素/炭素比率=1/0.6のポリシロキサン
(重量平均分子量=2,000)溶液を得た。
【0027】被膜形成用塗布液製造例3 テトラメトキシシラン76.1gとメチルトリメトキシ
シラン60.1gをn−ブタノール396.7gに溶解
させた溶液中に、リン酸4.06gを溶解させた水6
3.0gを攪拌下で30分かけて滴下した。滴下終了後
5時間反応させ、ケイ素/炭素比率=1/0.5のポリ
シロキサン(重量平均分子量=2,600)溶液を得
た。
【0028】実施例1 製造例1に従って製造されたポリシロキサン溶液100
gに硝酸0.2gを添加した後、素早くスピンコート塗
布を行った。回転数を2000rpmとして回転時間を
30秒とした。回転塗布後、150℃/1分+250℃
/1分かけて溶媒除去後、被膜の応力を測定したとこ
ろ、25MPaであった。その後、O濃度が1%前後
にコントロールされているホットプレートを400℃に
加熱し、5分間かけて被膜を最終硬化した。その被膜の
膜厚は0.5μm、応力は27MPa、空孔の直径(B
ET法により測定し、計算した平均値、QUANTA
CHROME社製ガス吸着量測定装置AUTOSORB
−1を使用)は1.1nmであった。この被膜上にアル
ミニウム被膜を0.1μmの厚さにスパッタ法で形成
し、この試料の比誘電率をLFインピーダンスメータに
て周波数1kHz〜100kHzで測定したところ、
2.5であった。また、FT−IRによりポリシロキサ
ンの未硬化状態を示すSi−OHの吸収である3400
cm−1の吸収が観測されず、またポーラス形成材によ
るC−H結合の吸収である2900cm−1付近の吸収
も完全に観測されなかった。さらに昇温脱離ガス測定装
置により有機成分残存についてCH(M/z=15)
の脱ガス挙動を調べたところ室温〜500℃付近におい
て観測されず、ポーラス形成材の有機ポリマーは全て揮
発もしくは熱分解していることが示された。
【0029】実施例2 製造例2に従って製造されたポリシロキサン溶液100
gに過酸化水素水0.3gを添加した後、素早くスピン
コート塗布を行った。回転数を2000rpmとして回
転時間を30秒とした。回転塗布後、150℃/1分+
250℃/1分かけて溶媒除去後、被膜の応力を測定し
たところ、20MPaであった。その後、O濃度が1
00ppm前後にコントロールされているホットプレー
トを450℃に加熱し、2分間かけて被膜を最終硬化し
た。その被膜の膜厚は0.5μm、応力は23MPa、
空孔の大きさ(平均値)は1.0nmであった。この被
膜上にアルミニウム被膜を0.1μmの厚さにスパッタ
法で形成し、この試料の比誘電率をLFインピーダンス
メータにて周波数1kHz〜100kHzで測定したと
ころ、2.3であった。また、FT−IRにより340
0cm−1の吸収が観測されず、またポーラス形成材起
因のC=Oの吸収である1700cm−1付近の吸収も
完全に観測されなかった。さらに昇温脱離ガス測定装置
により有機成分残存についてCH(M/z=15)の
脱ガス挙動を調べたところ室温〜500℃付近で観測さ
れなかった。
【0030】実施例3 製造例1に従って製造されたポリシロキサン溶液100
gにリンゴ酸0.2gを添加した後、素早くスピンコー
ト塗布を行った。回転数を2000rpmとして回転時
間を30秒とした。回転塗布後、150℃/1分かけて
溶媒除去後、被膜の応力を測定したところ、24MPa
であった。その後、O濃度が100ppm前後にコン
トロールされているホットプレートを400℃に加熱
し、5分間かけて被膜を最終硬化した。その被膜の膜厚
は0.5μm、応力は27MPa、空孔の大きさ(平均
値)は1.0nmであった。この被膜上にアルミニウム
被膜を0.1μmの厚さにスパッタ法で形成し、この試
料の比誘電率をLFインピーダンスメータにて周波数1
kHz〜100kHzで測定したところ、2.5であっ
た。また、FT−IRにより3400cm−1の吸収が
観測されず、またポーラス形成材起因の2900cm
−1付近の吸収も完全に観測されなかった。さらに昇温
脱離ガス測定装置により有機成分残存についてCH
(M/z=15)の脱ガス挙動を調べたところ室温〜
500℃付近において観測されず、ポーラス形成材の有
機ポリマーは全て揮発もしくは熱分解していることが示
された。
【0031】比較例1 製造例1に従って製造されたポリシロキサン溶液をスピ
ンコート塗布した。回転数を2000rpmとして回転
時間を30秒とした。回転塗布後、150℃/1分+2
50℃/1分かけて溶媒除去後、被膜の応力を測定した
ところ、10MPaであった。その後、O濃度が10
0ppm前後にコントロールされているホットプレート
を400℃に加熱し、5分間かけて被膜を最終硬化し
た。その被膜の膜厚は0.4μm、応力は27MPaで
あった。この被膜上にアルミニウム被膜を0.1μmの
厚さにスパッタ法で形成し、この試料の比誘電率をLF
インピーダンスメータにて周波数1kHz〜100kH
zで測定したところ、4.0であった。また、FT−I
Rにより3400cm−1の吸収が観測された。またポ
ーラス形成材起因の2900cm−1付近の吸収も観測
された。さらに昇温脱離ガス測定装置により有機成分残
存についてCH(M/z=15)の脱ガス挙動を調べ
たところ室温〜500℃付近において観測され、ポーラ
ス形成材の有機ポリマーは全て揮発もしくは熱分解して
いないことが示された。さらに上記被膜を石英チューブ
炉で400℃、30分間焼成し、比誘電率を測定したと
ころ、2.5まで低下した。また、FT−IRにより3
400cm−1の吸収が消失した。また、2900cm
−1付近の吸収も消失し、30分の熱処理を行うことに
より完全硬化が認められた。
【0032】比較例2 製造例2に従って製造されたポリシロキサン溶液をスピ
ンコート塗布した。回転数を2000rpmとして回転
時間を30秒とした。回転塗布後、150℃/1分+2
50℃/1分かけて溶媒除去後、被膜の応力を測定した
ところ、6MPaであった。その後、O濃度が100
ppm前後にコントロールされているホットプレートを
450℃に加熱し、2分間かけて被膜を最終硬化した。
その被膜の膜厚は0.4μm、応力は23MPaであっ
た。この被膜上にアルミニウム被膜を0.1μmの厚さ
にスパッタ法で形成し、この試料の比誘電率をLFイン
ピーダンスメータにて周波数1kHz〜100kHzで
測定したところ、5.0であった。また、FT−IRに
より3400cm−1の吸収が観測された。またポーラ
ス形成材起因の1700cm−1付近の吸収が観測され
た。さらに昇温脱離ガス測定装置により有機成分残存に
ついてCH(M/z=15)の脱ガス挙動を調べたと
ころ室温〜500℃付近で観測された。さらに上記被膜
を石英チューブ炉で400℃、30分間焼成し、比誘電
率を測定したところ、2.4まで低下した。また、FT
−IRにより3400cm−1の吸収が消失した。ま
た、1700cm−1付近の吸収も消失し、30分の熱
処理を行うことにより完全硬化が認められた。
【0033】比較例3 製造例3に従って製造されたポリシロキサン溶液をスピ
ンコート塗布した。回転数を2000rpmとして回転
時間を30秒とした。回転塗布後、150℃/1分+2
50℃/1分かけて溶媒除去後、被膜の応力を測定した
ところ、5MPaであった。その後、O濃度が100
ppm前後にコントロールされているホットプレートを
400℃に加熱し、5分間かけて被膜を最終硬化した。
その被膜の膜厚は0.4μm、応力は60MPaであっ
た。この被膜上にアルミニウム被膜を0.1μmの厚さ
にスパッタ法で形成し、この試料の比誘電率をLFイン
ピーダンスメータにて周波数1kHz〜100kHzで
測定したところ、3.6であった。また、FT−IRに
より3400cm−1の吸収が観測された。さらに上記
被膜を石英チューブ炉で400℃、30分間焼成し、比
誘電率を測定したところ、3.0まで低下した。また、
FT−IRにより3400cm−1の吸収が消失し、3
0分の熱処理を行うことにより完全硬化が認められた。
【0034】
【発明の効果】本発明により、熱処理工程短縮が可能な
被膜を提供し、低比誘電率特性、半導体プロセス適応性
を考慮した被膜を提供することが可能である。本発明の
電子部品は、信号伝搬遅延時間の低減などの高性能化と
同時に高信頼性を達成できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 171/02 C09D 171/02 183/04 183/04 H01L 21/316 H01L 21/316 G (72)発明者 野部 茂 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社山崎事業所内 Fターム(参考) 4D075 BB21Z BB56Z BB92Z BB93Z BB95Z CA23 DC21 EA05 EB22 EB43 4J038 CG082 CG142 DD002 DE002 DF022 DL031 HA156 HA336 JA39 KA04 PB09 5F058 AA10 AC03 AF04 AG01 AH02 BA20 BC05 BF46 BH01 BJ02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度範囲が350〜500℃、加熱時間
    が10分以内の条件下で被膜を加熱処理した場合に、そ
    の被膜の比誘電率が3.0以下になる被膜。
  2. 【請求項2】 加熱処理を行う前後の応力差が±10M
    Pa以内である請求項1記載の被膜。
  3. 【請求項3】 被膜がケイ素1原子当たり炭素元素を0
    〜3原子含有するシリカ系被膜である請求項1又は2記
    載の被膜。
  4. 【請求項4】 被膜の膜厚が0.01μm〜40μmで
    ある請求項1、2又は3記載の被膜。
  5. 【請求項5】 被膜が直径0.1〜100nmの空孔を
    有する請求項1〜4何れか記載の被膜。
  6. 【請求項6】 (a)シロキサン骨格を有する縮重合反
    応物、(b)250〜500℃の温度範囲で全て分解も
    しくは揮発する有機ポリマー及び(c)有機ポリマー分
    解促進剤を含有することを特徴とする被膜形成用塗布
    液。
  7. 【請求項7】 250〜500℃の温度範囲で全て分解
    もしくは揮発する有機ポリマーがポリアルキレンオキサ
    イド構造を有する化合物又はアクリレート系重合体であ
    る請求項6記載の被膜形成用塗布液。
  8. 【請求項8】 有機ポリマー分解促進剤が硝酸、過酸化
    水素又はリンゴ酸である請求項6又は7記載の被膜形成
    用塗布液。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8何れか記載の被膜形成用塗
    布液を基板上に塗布し、酸素濃度が10容量%以下の条
    件で加熱処理して被膜を形成することを特徴とする被膜
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項6記載の被膜形成用塗布液を基
    板上に塗布して被膜を形成し、形成された被膜に含有さ
    れている溶媒を除去した後、温度範囲が350〜500
    ℃、加熱時間が10分以内の条件下で被膜を加熱処理す
    ることを特徴とする被膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜5何れか記載の被膜を有す
    る電子部品。
JP2001314988A 2001-10-12 2001-10-12 被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品 Pending JP2003124207A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001314988A JP2003124207A (ja) 2001-10-12 2001-10-12 被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001314988A JP2003124207A (ja) 2001-10-12 2001-10-12 被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品

Related Child Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006262191A Division JP2007031279A (ja) 2006-09-27 2006-09-27 被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品
JP2006347258A Division JP4466643B2 (ja) 2006-12-25 2006-12-25 被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003124207A true JP2003124207A (ja) 2003-04-25

Family

ID=19133220

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001314988A Pending JP2003124207A (ja) 2001-10-12 2001-10-12 被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003124207A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006043438A1 (ja) * 2004-10-20 2006-04-27 Catalysts & Chemicals Industries Co., Ltd. 低誘電率非晶質シリカ系被膜形成用塗布液、その調製方法およびこれより得られる低誘電率非晶質シリカ系被膜
JPWO2005124846A1 (ja) * 2004-06-21 2008-04-17 日立化成工業株式会社 有機シロキサン膜、それを用いた半導体装置、及び、平面表示装置、並びに、原料液
JP2008527757A (ja) * 2005-01-13 2008-07-24 インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション 制御された二軸応力を有する超低誘電率膜および該作製方法
JP2009505811A (ja) * 2005-08-19 2009-02-12 ローディア・シミ 低誘電率シリコーン被覆、調製方法および集積回路へのこれらの適用

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2005124846A1 (ja) * 2004-06-21 2008-04-17 日立化成工業株式会社 有機シロキサン膜、それを用いた半導体装置、及び、平面表示装置、並びに、原料液
WO2006043438A1 (ja) * 2004-10-20 2006-04-27 Catalysts & Chemicals Industries Co., Ltd. 低誘電率非晶質シリカ系被膜形成用塗布液、その調製方法およびこれより得られる低誘電率非晶質シリカ系被膜
JP2006117763A (ja) * 2004-10-20 2006-05-11 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 低誘電率非晶質シリカ系被膜形成用塗布液、その調製方法およびこれより得られる低誘電率非晶質シリカ系被膜
JP2008527757A (ja) * 2005-01-13 2008-07-24 インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション 制御された二軸応力を有する超低誘電率膜および該作製方法
JP2009505811A (ja) * 2005-08-19 2009-02-12 ローディア・シミ 低誘電率シリコーン被覆、調製方法および集積回路へのこれらの適用
KR101270189B1 (ko) * 2005-08-19 2013-06-04 로디아 쉬미 저유전율의 실리콘 코팅제, 제조 방법 및 집적회로에 대한 사용방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4169088B2 (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその製造方法、並びに電子部品
US8466229B2 (en) Composition for forming silica-based film, method of forming silica-based film, and electronic component provided with silica-based film
JP2004277501A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法、並びにシリカ系被膜を備える電子部品
US7687590B2 (en) Composition for forming silica based coating film, silica based coating film and method for preparation thereof, and electronic parts
JP2003064307A (ja) シリカ系被膜、シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
US7682701B2 (en) Composition for forming silica based coating film, silica based coating film and method for preparation thereof, and electronic parts
JP3966026B2 (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその製造方法、並びに電子部品
JP2003064306A (ja) シリカ系被膜、シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP3702842B2 (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2003253204A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2006045352A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法並びにシリカ系被膜を備える電子部品
JP2003124207A (ja) 被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品
JP2003253206A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP4466643B2 (ja) 被膜、被膜形成用塗布液、被膜の製造方法及びその被膜を有する電子部品
JP2005146282A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法、並びにシリカ系被膜を備える電子部品
JP2005072615A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2008050610A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその製造方法、並びに電子部品
JP2005042118A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2005136429A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法、並びにシリカ系被膜を備える電子部品
JP2005048190A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法、並びにシリカ系被膜を備える電子部品
JP2007291167A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2005105284A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2004277502A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法並びにシリカ系被膜を備える電子部品
JP2005105281A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法、並びにシリカ系被膜を備える電子部品
JP2005105283A (ja) シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法、並びにシリカ系被膜を備える電子部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040917

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060714

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060801

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061024

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070130