JP2003123600A - 真空バルブ - Google Patents

真空バルブ

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JP2003123600A
JP2003123600A JP2001318887A JP2001318887A JP2003123600A JP 2003123600 A JP2003123600 A JP 2003123600A JP 2001318887 A JP2001318887 A JP 2001318887A JP 2001318887 A JP2001318887 A JP 2001318887A JP 2003123600 A JP2003123600 A JP 2003123600A
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cup
electrode
shaped electrode
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JP2001318887A
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Yoshimi Nitta
工美 仁田
Yoshimitsu Niwa
芳充 丹羽
Kosuke Sasage
浩資 捧
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、真空バルブに係わり、特にシンプ
ルな電極構造で、安定して優れた遮断性能を有する真空
バルブに関するものである。 【解決手段】 真空容器の内部に互いに接離自在に一対
の電極15を対向配設し、この電極15は対向する接点
1と、この接点1の裏面に接合され傾斜するスリット4
を複数個設けた円筒部および底部平板部とから形成され
る凹状のカップ型電極2を備えている。カップ型電極2
の前記底部平板部に電極軸5を固着している。この電極
軸5に挿通され、電極軸5と同軸の円筒形の補強部材6
を、前記カップ型電極2の底部平板部と電極軸5に接合
して、開閉時の衝撃によるスリット4のつぶれを防止す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空バルブに係わ
り、特にシンプルな電極構造で、安定して優れた遮断性
能を有する真空バルブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図10は、従来の代表的な真空バルブの
構成例を示す断面図である。図において、真空バルブ1
1は絶縁円筒13の両端を固定フランジ12Aおよび可
動フランジ12Bにより閉止して構成される真空容器内
に、接離自在な固定電極14および可動電極15を配置
して構成される。
【0003】ここで、固定電極14は、固定通電軸16
の先端に固着されており、真空容器の外部とは固定通電
軸16により電気的に接続される。また、可動電極15
は、可動通電軸17の先端に固着されており、真空容器
の外部とは可動通電軸17により電気的に接続される。
【0004】さらに、可動通電軸17は、ベローズ18
を介して可動フランジ12Bに連結されており、真空容
器内の真空を維持した状態で、図示しない操作機構部に
より電極の接離を可能にしている。なお、電極周囲であ
って絶縁円筒13の内面には、アークシールド19が取
り付けられている。
【0005】真空バルブの遮断性能を向上させるために
は、電極間に発生するアークによる電極の局部過熱を抑
える必要がある。電極の局部過熱による異常な金属蒸気
の発生を抑えることによって、遮断性能を向上させるこ
とができる。
【0006】このための電極構造としては、電流遮断時
に電極間に発生するアークに磁界により力を加えるもの
がある。磁界の印加方法の一つとして、電極間に発生す
るアークと直交する磁界を印加する方法がある。この磁
界によってアークが電極上を周方向に回転し、接点の局
部過熱を抑えて、損傷を低下させることができる。
【0007】図11は、かかる方法を採用した真空バル
ブの電極構造の一例を示す図である。この図では一対の
電極10A、10Bが開極状態にあり、接点1A、1B
間にはアーク3が発生している。接点1Aと固定軸5A
及び接点1Bと可動軸5Bの間にはカップ型電極2A、
2Bが設けられている。
【0008】カップ型電極2A、2Bの断面は凹型にな
っており、中心部に穴を持つ接点1A、1Bがカップ型
電極2A、2Bの対向部側に取り付けられており、反対
側には通電軸である固定通電軸5A、可動通電軸5Bが
取り付けられている。
【0009】また、カップ型電極2A、2Bにはスリッ
ト4が複数本設けられており、これら一対の電極10
A、10Bでスリット4の方向が逆向きに配されてい
る。電流遮断時にカップ型電極2A、2Bに設けたスリ
ット4で区分された部分に流れる電流により、接点1
A、1B問に生じるアーク3に対して、直交する半径方
向の磁界が発生する。この磁界と接点1A、1B間を流
れるアーク電流の相互作用により円周方向の電磁力が働
き、アーク3が駆動される。
【0010】従って、アーク3の特定個所での停滞が無
くなり、局所的な過熱が抑制され、接点1A、1Bの過
剰な溶融や蒸発が抑えられる。このため、交流電流の零
点では接点1A、1Bから発生する金属粒子や荷電粒子
等よりも拡散と吸着によって消滅する金属粒子や荷電粒
子等の方が多くなり消弧する。その後、一対の接点1
A、1B間に発生する再起電圧に対して、絶縁耐圧が上
廻り、遮断が完了する。
【0011】この様な電極構造を用いれば、接点1A、
1Bに生じる局部過熱を抑制し、遮断性能の優れた真空
バルブが得られる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、真空遮
断器開閉時の機械的な衝撃が大きくなると互いに当接す
る真空バルブ内の電極が変形することがある。この変形
により、図11に示したカップ型電極2A、2Bに設け
られた磁界を発生するためのスリット4が潰れることに
なる。スリット4が潰れることにより電流がスリット4
にまたがって流れれば、電流遮断時に電極から発生する
ことが期待される磁界が弱くなる。
【0013】そして電極から発生する磁界が弱れば、ア
ーク3を駆動できず接点上の一部分に停滞して局部過熱
が起こり、金属蒸気を多量に放出し、電流零点での極間
の絶縁耐圧が低下して、遮断失敗を引き起こしてしまう
こととなる。
【0014】本発明の目的は、シンプルな電極構造で、
機械的な開閉衝撃による電極の変形を防ぎ、安定して優
れた遮断性能を有する真空バルブを提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項1の発明による真空バルブによれば、真空容
器の内部に互いに接離自在に一対の電極を対向配設し、
この電極は対向する接点と、この接点の裏面に接合され
傾斜するスリットを複数個設けた円筒部および底部平板
部とから形成される凹状のカップ型電極とを備え、この
カップ型電極の前記底部平板部に電極軸を固着して成
り、この電極軸と同軸で円筒形の補強部材を前記カップ
型電極の底部平板部と電極軸に接合したことを特徴とす
る。
【0016】請求項4の発明による真空バルブによれ
ば、真空容器の内部に互いに接離自在に一対の電極を対
向配設し、この電極は対向する環状の接点と、この接点
の裏面に接合され傾斜するスリットを複数個設けた円筒
部および底部平板部とから形成される凹状のカップ型電
極とを備え、このカップ型電極の前記底部平板部に電極
軸を固着して成り、前記カップ型電極の円筒部の凹部内
にリング状の補強部材を収納配置し、この補強部材には
カップ型電極の円筒部に設けられたスリットに対応する
箇所の一部分に切り欠きを設けたことを特徴とする。
【0017】請求項5の発明による真空バルブによれ
ば、真空容器の内部に互いに接離自在に一対の電極を対
向配設し、この電極は対向する接点と、この接点の裏面
に接合され傾斜するスリットを複数個設けた円筒部およ
び底部平板部とから形成される凹状のカップ型電極とを
備え、このカップ型電極の前記底部平板部に電極軸を固
着して成り、前記カップ型電極の円筒部の凹部内にリン
グ状の補強部材を嵌合配置し、この補強部材の外周面の
両端を除く外周に前記凹部内面との間に空隙を形成した
ことを特徴とする。
【0018】請求項6の発明による真空バルブによれ
ば、真空容器の内部に互いに接離自在に一対の電極を対
向配設し、この電極は対向する環状の接点と、この接点
の裏面に接合され傾斜するスリットを複数個設けた円筒
部および底部平板部とから形成される凹状のカップ型電
極とを備え、このカップ型電極の前記底部平板部に電極
軸を固着して成り、前記カップ型電極円筒部の凹部内底
面平板部にはこの底面平板部を貫通する複数の穴を円周
上に等配に設け、この穴内に一端を前記接点の裏面に他
端を電極軸に接合した補強部材を配置したことを特徴と
する真空バルブ。
【0019】請求項8の発明による真空バルブによれ
ば、真空容器の内部に互いに接離自在に一対の電極を対
向配設し、この電極は対向する接点と、この接点の裏面
に接合され傾斜するスリットを複数個設けた円筒部およ
び底部平板部とから形成される凹状のカップ型電極とを
備え、このカップ型電極の前記底部平板部に電極軸を固
着して成り、前記カップ型電極に設けられたスリットに
は絶縁物からなる補強部材を挿入したことを特徴とす
る。
【0020】このような真空バルブによれば、磁界とア
ーク電流によりアークに円周方向の電磁力が働き、アー
クが駆動されアークは特定個所で停滞することが無く回
転し、局所的に接点が過熱されることが抑制でき、接点
の損傷を防ぐことが可能となり、シンプルな電極構造で
ありながら、多数回遮断を行っても、安定した遮断性能
を保つことができる真空バルブを提供できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図1(a)(b)を参照して説明する。図1(a)お
よび(b)は、真空バルブの電極構成を示す平面図およ
び側面図であり、一対の電極のうちの一方例えば可動電
極15側を示したものである。可動電極15は、環状に
形成した接点1およびこの接点1の対向する電極との反
対側面即ち裏面に設けた断面形状が凹状のカップ型電極
2と、軸5(可動軸)とから構成されている。
【0022】カップ型電極2はその開口側を接点1の裏
面に接合している。そしてカップ型電極2は図1(b)
で明らかなように、その上面から下面にわたり一方向に
傾斜させたスリット4を複数本(実施の形態では4本)
等間隔に設けて区分している。カップ型電極2の底面に
は、軸5の周囲に軸5と同軸に設けた円筒形の補強6を
接合している。
【0023】尚、図1に示した可動電極に対向して固定
電極が配置されるが、この固定電極はそのカップ型電極
に設けるスリットの傾斜方向が逆向きに形成される点を
除き可動電極と同様の構成である。そして以後の実施の
形態についても同様である。
【0024】図1に示したようにカップ型電極2の底面
即ち接点1の取り付け面と反対側の面で、且つ軸5の周
囲に同軸に補強部材6を接合することにより、カップ型
電極2の軸方向の機械的変形を抑制する構造となってい
る。
【0025】このようにカップ型電極2の底面に補強部
材6を装着することにより、真空遮断器開閉時の機械的
な衝撃によって起こるカップ型電極2の外径端部での軸
方向の変形を抑制できる。従ってカップ型電極2の外径
端部での変形が抑制されることで、カップ型電極2に設
けられたスリット4のつぶれが抑えられ、スリット4で
区分された部分に流れる電流によって生じるアークに直
交する半径方向の磁界を維持することができる。
【0026】この磁界とアーク電流によりアークに円周
方向の電磁力が働き、アークが駆動されアークは特定個
所で停滞することが無く回転し、局所的に接点が過熱さ
れることが抑制でき、接点の損傷を防ぐことが可能とな
る。
【0027】このように、シンプルな電極構造でありな
がら、多数回遮断を行っても、安定した遮断性能を保つ
ことができる真空バルブを提供できる。
【0028】図2は本発明の第2の実施の形態を示す図
で、図2(a)および(b)は、真空バルブの可動電極
構成例を示す側面図および電極を軸側から見た場合の平
面図である。図1の実施の形態と同一部分には同符号を
記した図2においては、カップ型電極2と軸5に接合し
た補強部材61の形状が異なっている。
【0029】即ち、カップ型電極2の底部まで切り込ん
だ夫々のスリット4に対応する補強部材61の外周面
に、軸方向の切り欠き7を設けている。
【0030】このような補強部材61を設けることによ
り、電流遮断時の電極間に発生する金属蒸気を電界スト
レスの高い接点間よりも速やかに切り欠き7から電極後
方に放出することができる。
【0031】従って、真空遮断器開閉時の機械的な衝撃
によって起こるカップ型電極2の外径端部での軸方向の
変形を抑制できるとともに、シンプルな電極構造で、多
数回遮断を行っても、安定した遮断性能を保つことがで
き、可動、固定両接点間に発生する金属蒸気を速やかに
電極後方に放出することができるため、良好な遮断性能
を得ることができる。
【0032】図3を用いて本発明の第3の実施の形態を
説明する。図3(a)および(b)は、真空バルブの可
動電極構成例を示す側面図および電極を軸側から見た場
合の平面図である。図3においては、カップ型電極2の
底面と軸5に接合した補強部材62の外径寸法が、カッ
プ型電極2の外側底部平板部に切り込まれた全てのスリ
ット4に接する円の径と同じかそれよりも小さい外形寸
法の円筒形状に構成されている。他の構成は本発明にお
ける第1の実施の形態と同様である。
【0033】このような補強部材62の構成とすること
により、先に説明した図2のような切り欠きの加工が不
要となり、シンプルな電極構造で、多数回遮断を行って
も、安定した遮断性能を保つことができるとともに、電
流遮断時の接点1間に発生する金属蒸気を速やかに電極
後方に放出することができるため、良好な遮断性能を得
ることができる真空バルブを提供できる。
【0034】図4を用いて本発明の第4の実施の形態を
説明する。図4(a)、(b)および(c)は、真空バ
ルブの電極構成例を示す平面図、側面図及び補強部材6
3を示す斜視図である。この実施の形態においては、カ
ップ型電極2の底面に接合した補強部材に替えて補強部
材をカップ型電極2の凹部内に収納させた点が異なる。
【0035】即ち図4において、断面形状が凹状のカッ
プ型電極2の凹部内に、筒状の補強部材63を収納配置
している。そしてこの補強部材63には、カップ型電極
2に設けられた夫々のスリット4に対応する箇所の一部
分を切り欠いて形成した切り欠き部71を設けている。
尚、補強部材63の材料としては、高抵抗、高強度の部
材例えばステンレス材が適している。
【0036】このように、カップ型電極2の凹部内に筒
状の補強部材63を設け、この補強部材63のカップ型
電極2に設けられたスリット4に対応する箇所の一部分
に切り欠き部71を設けたことにより、電極の変形を抑
制し、電流遮断に必要なアークに直交する半径方向の磁
界を維持することができる。
【0037】この磁界によりアークが回転駆動され、電
極の局部過熱を抑制して、損傷を低減させることがで
き、また電流遮断時の接点1間に発生する金属蒸気を、
補強部材63に設けた切り欠き71から速やかに接点間
よりも電界ストレスが低い空間である電極後方に放出す
ることができる。
【0038】従って、シンプルで軽量な電極構造であ
り、多数回遮断を行っても良好な遮断性能を持つ真空バ
ルブを提供できる。
【0039】図5は本発明の第5の実施の形態を示すも
ので、図5(a)(b)および(c)は、真空バルブの
可動電極構成例を示す平面図、側面図および図5(a)
の断面AOBでの断面図である。この実施の形態におい
ては断面形状が凹状のカップ型電極2の凹部内に、筒状
の補強部材64を嵌合配置している。そしてこの補強部
材64は、その外周面の両端を除き外周を削り込んだ形
状となっており、カップ型電極2の凹部内面との間に空
隙8を形成している。
【0040】このように、カップ型電極2の凹部内に筒
状の補強部材64を設けることで、開閉衝撃時にカップ
型電極に加わる機械的な衝撃によるスリット4のつぶれ
を抑えるとともに、補強部材64の外周を削り込んだこ
とで、電極凹部でのスリットに区分された部分の電流の
流れが補強を設けたことによって妨げられることが無く
なる。
【0041】加えて、例えば補強部材64として高抵抗
のステンレス材を用い、補強部材64の外周面を削りこ
むことにより、補強部材64の抵抗をスリット4に沿っ
て流れる電流ル一トの抵抗よりさらに大きできるので、
アークを介して接点1に流れ込む電流を、ほとんどスリ
ット4に沿ったルートを流すことができ、アークに直交
する半径方向の磁界を供給できる。
【0042】従って、シンプルな電極構造で、多数回遮
断を行っても安定した遮断性能を保つことができるとと
もに、電流遮断時の接点間に発生するアークを駆動させ
る磁界を安定して供給できるため、良好な遮断性能を持
つ真空バルブを提供できる。
【0043】図6を用いて本発明の第6の実施の形態を
説明する。図6(a)、(b)及び(c)は、ステンレ
ス材でなる補強部材65が4個で構成される場合の真空
バルブの可動電極構成例を示す平面図、側面図及び断面
C−Dより下側を見た断面図また、(d)は、補強部材
65の一つを示す斜視図である。
【0044】即ち、凹状のカップ型電極2の底面平板部
を貫通する穴9を凹部内に円周上に等配で4個設け、そ
の穴9内に補強部材65を配置する。補強部材65は一
端を軸5に接合し、他端は接点1の裏面に接合する。
【0045】機械的な衝撃を受ける接点1を補強部材6
5により直接支持することにより、カップ型電極2に作
用する応力が緩和されるため、開閉動作時にカップ型電
極2に加わる機械的な衝撃によるスリット4のつぶれを
抑制し、スリット4で区分された部分に流れる電流によ
って生じるアークに直交する半径方向の磁界を維持する
ことができ、この磁界とアーク電流による電磁力によっ
てアークの回転が行われるため、接点1の局部過熱を抑
制して、損傷を低減させることができる。
【0046】再起電圧発生時には電流遮断時の接点1間
に発生する金属蒸気は、カップ型電極2の凹部内に連通
するスリット4から接点1間に比べて電界ストレスの低
い空間である電極後方に放出される。
【0047】このように、シンプルな電極構造で多数回
遮断が行われても安定した遮断性能を維持でき、電流遮
断時の接点1間に発生する金属蒸気を速やかに電極後方
に放出することができるので、電流遮断時に接点1間で
の絶縁破壊を抑制することができる良好な遮断性能を持
つ真空バルブを提供することができる。
【0048】図7を用いて本発明の第7の実施の形態を
説明する。図7(a)、(b)は、真空バルブの固定電
極構成例を示す平面図および断面図である。凹状のカッ
プ型電極2の底面平板部に、この平面部を貫通する穴9
を凹部内の円周上に等配で設ける。そしてこの穴9に挿
通される補強部材66の一端を接点1の裏側に接合し、
他端を軸方向の位置が、接点1の内径よりも内側になる
位置に、即ち、軸5の中心方向に向かうように傾斜させ
て軸5の端面に接合する。
【0049】カップ型電極2において、接点1は補強部
材66を介して軸5で支持され、更に補強部材65の軸
方向の位置が、一端が接点1の内径よりも内側で他端が
穴9を通って軸5の端面に接合したことにより、電流遮
断時の接点1間に発生する金属蒸気を、補強部材66が
軸5に対して斜めに設けられたことにより生じる空間部
からスリット4を介して接点1間に比べて電界ストレス
の低い電極後方に放出することができる。
【0050】このようにシンプルな電極構造で、多数回
遮断を行っても安定した遮断性能を維持できるととも
に、電流遮断時の接点1間に発生する金属蒸気を速やか
に電界ストレスが低い空間である電極外部に放出するこ
とができる良好な遮断性能を持つ真空バルブを得ること
ができる。
【0051】更に、図8を用いて本発明の第8の実施の
形態を説明する。図8(a)および(b)は、真空バル
ブの固定電極構成例を示す平面図および側面図である。
この実施の形態においては、凹状のカップ型電極2の円
筒部分に設けた各スリット4内に、絶縁物からなる補強
部材67を挿入している。
【0052】カップ型電極2に設けられたスリット4内
に絶縁物からなる補強部材67を挿入したことにより、
開閉時の衝撃などによる機械的変形によるカップ型電極
2の円筒部に設けられたスリット4のつぶれが無くな
る。このため、スリット4で区分された部分に流れる電
流によって生じる電流遮断に必要なアークに直交する半
径方向の磁界を維持することができ、この磁界により電
流遮断時にアークが接点1上を回転するため、接点1の
局部過熱が抑制され、損傷を低減させることができる。
【0053】尚、図9に示す構成とすることもできる。
即ち、図8の補強部材を分割した補強部材68としたも
のである。
【0054】この実施の形態によっても図8と同様、ア
ークが接点1間を回転するため、接点1の局部過熱が抑
制され、損傷を低減させることができ、シンプルな電極
構造で、多数回遮断を行っても安定した遮断性能を保つ
ことができる真空バルブを提供できる。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、スリットを有する凹状
のカップ型電極に、スリットのつぶれを防止する補強部
材を設けたので、電極の開閉衝撃などによる機械的変形
を抑え、アークが接点上で停滞することなく回転させる
ことができるので、電極の局部過熱を抑制して損傷を低
減させることができ、シンプルな電極構造で、多数回遮
断を行っても、安定した遮断性能を保つことができる真
空バルブが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す平面図(a)
および側面図(b)。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す側面図(a)
および電極裏側から見た平面図(b)。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示す側面図(a)
および電極裏側から見た平面図(b)。
【図4】本発明の第4の実施の形態を示す平面図
(a)、側面図(b)および補強部材の斜視図(c)。
【図5】本発明の第5の実施の形態を示す平面図
(a)、側面図(b)および線AOBでの断面図
(c)。
【図6】本発明の第6の実施の形態を示す平面図
(a)、側面図(b)、(b)の線C−Dでの断面図
(c)および補強部材の斜視図(d)。
【図7】本発明の第7の実施の形態を示す平面図(a)
および線A−Bの断面図(b)。
【図8】本発明の第の8実施の形態を示す平面図(a)
および側面図(b)。
【図9】本発明の第9の実施の形態を示す平面図(a)
および側面図(b)。
【図10】従来の真空バルブを説明するための、真空バ
ルブの断面図。
【図11】従来の真空バルブを説明するための、凹状カ
ップ型電極の側面図。
【符号の説明】
1、1A、1B・・・接点 2、2A、2B・・・カップ型電極 3・・・アーク 4・・・スリット 5A、5B・・・軸 6、61、62、63、64、65、66、67、68
・・・補強部材 7・・・切り欠き 8・・・空隙 9・・・穴 10A、10B・・・電極 11・・・真空バルブ 12A・・・固定フランジ 12B・・・可動フランジ 13・・・絶縁円筒 14・・・固定電極 15・・・可動電極 16・・・固定通電軸 17・・・可動通電軸 18・・・ベローズ 19・・・アークシールド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 捧 浩資 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 Fターム(参考) 5G026 CA02 CB05 DA07 DB02 5G027 AA03 AA14 BA02 BB09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空容器の内部に互いに接離自在に一対の
    電極を対向配設し、この電極は対向する接点と、この接
    点の裏面に接合され傾斜するスリットを複数個設けた円
    筒部および底部平板部とから形成される凹状のカップ型
    電極とを備え、このカップ型電極の前記底部平板部に電
    極軸を固着して成り、この電極軸と同軸で円筒形の補強
    部材を前記カップ型電極の底部平板部と電極軸に接合し
    たことを特徴とする真空バルブ。
  2. 【請求項2】カップ型電極の底部まで切り込んだスリッ
    トに対応する補強部材の外周面に軸方向の切り欠きを連
    通して設けたことを特徴とする請求項1に記載の真空バ
    ルブ。
  3. 【請求項3】補強部材の外径が、カップ型電極の底部平
    板部に切り込まれた全てのスリットに内接する円の径と
    同じかそれよりも小さい円筒形状であることを特徴とす
    る請求項1に記載の真空バルブ。
  4. 【請求項4】真空容器の内部に互いに接離自在に一対の
    電極を対向配設し、この電極は対向する環状の接点と、
    この接点の裏面に接合され傾斜するスリットを複数個設
    けた円筒部および底部平板部とから形成される凹状のカ
    ップ型電極とを備え、このカップ型電極の前記底部平板
    部に電極軸を固着して成り、前記カップ型電極の円筒部
    の凹部内にリング状の補強部材を収納配置し、この補強
    部材にはカップ型電極の円筒部に設けられたスリットに
    対応する箇所の一部分に切り欠きを設けたことを特徴と
    する真空バルブ。
  5. 【請求項5】真空容器の内部に互いに接離自在に一対の
    電極を対向配設し、この電極は対向する接点と、この接
    点の裏面に接合され傾斜するスリットを複数個設けた円
    筒部および底部平板部とから形成される凹状のカップ型
    電極とを備え、このカップ型電極の前記底部平板部に電
    極軸を固着して成り、前記カップ型電極の円筒部の凹部
    内にリング状の補強部材を嵌合配置し、この補強部材の
    外周面の両端を除く外周に前記凹部内面との間に空隙を
    形成したことを特徴とする真空バルブ。
  6. 【請求項6】真空容器の内部に互いに接離自在に一対の
    電極を対向配設し、この電極は対向する環状の接点と、
    この接点の裏面に接合され傾斜するスリットを複数個設
    けた円筒部および底部平板部とから形成される凹状のカ
    ップ型電極とを備え、このカップ型電極の前記底部平板
    部に電極軸を固着して成り、前記カップ型電極円筒部の
    凹部内底面平板部にはこの底面平板部を貫通する複数の
    穴を円周上に等配に設け、この穴内に一端を前記接点の
    裏面に他端を電極軸に接合した補強部材を配置したこと
    を特徴とする真空バルブ。
  7. 【請求項7】カップ型電極凹部内の穴に設けた補強部材
    の一端は接点裏側に接合され、他端の電極軸への接合位
    置が、接点の内径よりも内側であることを特徴とする請
    求項6に記載の真空バルブ。
  8. 【請求項8】真空容器の内部に互いに接離自在に一対の
    電極を対向配設し、この電極は対向する接点と、この接
    点の裏面に接合され傾斜するスリットを複数個設けた円
    筒部および底部平板部とから形成される凹状のカップ型
    電極とを備え、このカップ型電極の前記底部平板部に電
    極軸を固着して成り、前記カップ型電極に設けられたス
    リットには絶縁物からなる補強部材を挿入したことを特
    徴とする真空バルブ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009032481A (ja) * 2007-07-26 2009-02-12 Toshiba Corp 真空バルブ
JP5281171B2 (ja) * 2010-01-18 2013-09-04 三菱電機株式会社 真空バルブ
JP2021114386A (ja) * 2020-01-17 2021-08-05 株式会社東芝 真空バルブ

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