JP2003123533A - 銅導体ペースト組成物、その製造方法及びそれを用いてなる電子部品 - Google Patents

銅導体ペースト組成物、その製造方法及びそれを用いてなる電子部品

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JP2003123533A JP2001312190A JP2001312190A JP2003123533A JP 2003123533 A JP2003123533 A JP 2003123533A JP 2001312190 A JP2001312190 A JP 2001312190A JP 2001312190 A JP2001312190 A JP 2001312190A JP 2003123533 A JP2003123533 A JP 2003123533A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミック基板や、積層セラミックコンデン
サーに導体パターンあるいは端子電極を形成するのに、
不活性雰囲気下での焼成法が採用でき、酸素のドープ、
微調節を不要とした銅導体ペースト組成物、その製造方
法及びそれを用いてなる電子部品の提供。 【解決手段】 Cu粉末(A)と、ガラス粉末(B)
と、樹脂および溶剤からなる有機ビヒクル(C)を含む
銅導体ペースト組成物において、SnO、SnO、I
、VまたはZnOから選ばれる少なくと
も一種の酸化物微粉末(D)を、不活性雰囲気下におけ
る焼成の際に有機ビヒクル(C)中の樹脂がCu粉末
(A)上にカーボンとして残留せずに消失するのに十分
な量だけ、脱カーボン剤として配合することを特徴とす
る銅導体ペースト組成物によって提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅導体ペースト組
成物、その製造方法及びそれを用いてなる電子部品に関
し、さらに詳しくは、セラミック基板や、積層セラミッ
クコンデンサーに導体パターンあるいは端子電極を形成
するのに、不活性雰囲気での焼成法が採用でき、酸素の
ドープ、微調節を不要とした銅導体ペースト組成物、そ
の製造方法及びそれを用いてなる電子部品に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、電子部品における導体パターンま
たはセラミックコンデンサーに外部電極を形成するに
は、導体ペーストの導体成分として、金、銀、パラジウ
ムまたはその混合物が用いられてきた。しかし、これら
の金属は、貴金属のため価格が高く、また需給状況など
によって価格変動を受け、製品のコストアップにつなが
っていた。
【0003】そこで、安価で、導電性の優れた卑金属の
ひとつとして、導体成分にCuを用いた導体ペーストが
一部で使用されており、今後、さらに貴金属からCuへ
の置き換えが進むものと予想されている。
【0004】銅導体ペーストは、導電成分であるCu粉
末、基板等への接着材となるガラス粉末(フリット)、
および有機ビヒクルから構成されており、通常、有機ビ
ヒクルにCu粉末、ガラスフリットを配合し、ロールミ
ルで混練して希釈溶剤を加え、適度なレオロジー性を付
与して製造されている。有機ビヒクルは、エチルセルロ
ース、アクリル樹脂等の有機樹脂を溶剤に溶解したもの
であり、レオロジー性を付与するために樹脂は必須な成
分になっている。
【0005】銅導体ペーストを用いてCu電極を形成す
るには、スクリーン印刷法により電極回路を印刷、また
はディッピング塗布によりチップコンデンサーの端子電
極を塗布し、乾燥させて溶剤成分を消失させ、不活性雰
囲気、一般には窒素雰囲気下に電気炉で、900℃程度
で焼成し、有機樹脂の燃焼、Cuの焼結を連続して行な
う。このようにCuを電極として用いる場合、空気中で
焼成するとCuが酸化してしまうため、窒素中で焼成せ
ねばならない。
【0006】しかしながら、純窒素雰囲気では、酸素分
圧が低いため、銅導体ペーストに含有されている有機樹
脂は完全燃焼されず、カーボンが残留してしまう。この
残留カーボンによって、Cu粒子の表面がコーティング
されるため、Cuの焼結が阻害され、焼結性が悪化し、
ポーラスな膜となってしまう。これでは、電極としての
強度を保てず、また次工程でメッキ膜を施す際に、酸性
溶液であるメッキ液が電極内部に侵入し、基板との接着
成分であるガラスを侵してしまう。
【0007】そこで、一般に、樹脂の燃焼に必要な量の
酸素を窒素ガスに混合する方法、すなわちバーンアウト
ゾーンである100〜600℃の温度範囲に、酸素を1
00ppm程度ドープし、樹脂の燃焼を促進させる方法
が採られている。しかしながら、この方法では、焼成物
の投入量によって、酸素濃度を微妙に調節しなければな
らないという不便があり、ドープした酸素によってCu
の酸化が起こり、メッキ性が悪化し、特性にばらつきが
生じてしまう等の問題があった。
【0008】特開平11−3617号公報には、Au微
粉末、ペースト調整用樹脂、ビヒクルを含有するととも
に、これに酸素を放出する性質を有する酸化物を配合し
た厚膜金ペーストが開示され、酸素を放出する性質を有
する酸化物として、酸化銀、過酸化カルシウム、酸化セ
シウム、酸化鉛、酸化ルビジウム、過酸化亜鉛などを例
示して、このペーストを用いれば、窒素雰囲気下でも焼
成が可能としている。しかしながら、卑金属であるCu
粉末を含む銅導体ペーストへの適用可能性については言
及していない。
【0009】こうした状況にあって、基板などに導体パ
ターンや電極を形成する際、酸素をドープせず、実質的
に不活性ガスのみの存在下で焼成できる銅導体ペースト
組成物の出現が切望されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、セラ
ミック基板や、積層セラミックコンデンサーに導体パタ
ーンあるいは端子電極を形成するのに、不活性雰囲気で
の焼成法が採用でき、酸素のドープ、微調節を不要とし
た銅導体ペースト組成物、その製造方法及びそれを用い
てなる電子部品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記した従
来技術の課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、Cu粉
末、ガラス粉末、および有機ビヒクルからなる銅導体ペ
ースト組成物において、酸素をドープせずに、純窒素雰
囲気、低酸素分圧下で焼成するには、残留カーボンを化
学的に分解して樹脂を完全燃焼させる方法が有効であ
り、そのためには、脱カーボン剤として、銅導体ペース
トにSnO、SnO、In、V 、または
ZnOを十分な量、含有させれば前記課題を解決しうる
銅導体ペースト組成物が得られることを見出して、本発
明を完成するに至った。
【0012】本発明の第1の発明によれば、Cu粉末
(A)と、ガラス粉末(B)と、樹脂および溶剤からな
る有機ビヒクル(C)を含む銅導体ペースト組成物にお
いて、SnO、SnO、In、Vまたは
ZnOから選ばれる少なくとも一種の酸化物微粉末
(D)を、不活性雰囲気下における焼成の際に有機ビヒ
クル(C)中の樹脂がCu粉末(A)上にカーボンとし
て残留せずに消失するのに十分な量だけ、脱カーボン剤
として配合することを特徴とする銅導体ペースト組成物
が提供される。
【0013】本発明の第2の発明によれば、第1の発明
において、酸化物微粉末(D)が、平均粒径0.1〜
1.5μmであることを特徴とする銅導体ペースト組成
物が提供される。
【0014】本発明の第3の発明によれば、第1の発明
において、酸化物微粉末(D)の含有量が、酸化物微粉
末(D)を用いないで不活性雰囲気下で焼成したときに
Cu粉末(A)上に残留すると推定されるカーボン量に
対して、反応当量基準で1.5〜10倍であることを特
徴とする銅導体ペースト組成物が提供される。
【0015】本発明の第4の発明によれば、第1〜3の
いずれかの銅導体ペースト組成物を製造する方法であっ
て、SnO、SnO、In、VまたはZ
nOの群から選ばれる少なくとも一種の酸化物微粉末
(D)を脱カーボン剤として選定した後、それを酸化物
微粉末(D)を用いないで不活性雰囲気下で焼成したと
きにCu粉末(A)上に残留すると推定されるカーボン
量に対して、反応当量基準で1.5〜10倍に相当する
量だけ、Cu粉末(A)およびガラス粉末(B)に配合
し、次いで、得られた配合物に樹脂および溶剤からなる
有機ビヒクル(C)を混練することを特徴とする銅導体
ペースト組成物の製造方法が提供される。
【0016】本発明の第5の発明によれば、第1〜3の
いずれかの発明の銅導体ペースト組成物を用いてなる電
子部品が提供される。
【0017】1.銅導体ペースト組成物 本発明の銅導体ペースト組成物は、導電成分であるCu
粉末(A)と、ガラス粉末(B)と、樹脂および溶剤を
含む有機ビヒクル(C)に、酸化物微粉末(D)を脱カ
ーボン剤として残留カーボンを消失させるに十分な量だ
け含有してなる組成物である。
【0018】A Cu粉末 本発明に使用するCu粉末は、特に限定されないが、平
均粒径0.5〜30μmの球状粉末が望ましい。0.5
μm以下では、粉末の比表面積が大きいため、ペースト
組成物を所望の粘度に調節するためには多量の溶剤を必
要とし、また、Cu粉末の酸化劣化が著しい。一方、粒
径が30μmより大きいと、Cuの焼結性が悪化する傾
向があり好ましくない。ただ、Cuの粒径の選択は、焼
成温度とのかねあいによって決定する。
【0019】Cu粉末の含有量は、ペースト組成物全体
に対して、60〜80重量%、好ましくは65〜75重
量%とする。Cu粉末が60重量%未満では、導電性が
不十分であり、80重量%を超えるとペーストの流動性
が低下するので好ましくない。
【0020】なお、本発明の目的を損なわない範囲内
で、Cuの他に、Agなどの金属を少量含有させてもよ
い。Agなどの金属は、Cuに対して、10重量%以
下、好ましくは5重量%以下にする。
【0021】B ガラス粉末 ガラス粉末は、基板などにぬれ性を与える酸化物であれ
ば、その種類は特に限定されないが、一般に銅導体ペー
スト組成物に用いられているホウケイ酸ガラス、ホウ酸
鉛ガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラスが使用できる。これら
は、酸化珪素、酸化鉛、酸化ホウ素、酸化亜鉛などを主
成分としており、酸化アルミニウム、酸化カルシウムな
どが含まれている。この他、酸化マグネシウム、酸化バ
リウム、酸化ストロンチウム、酸化カドミウム、酸化ス
ズ、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、あるいは酸化マ
ンガンなどが含有されていてもよい。
【0022】電子回路、電子部品では、焼成が600〜
900℃で行われることから、ガラス粉末の軟化点は、
500〜800℃でなければならない。ガラス粉末は、
ボールミル等で、平均粒径を1.5〜2.0μm程度に
調整する。このようなガラス粉末であれば、Cu焼成体
にするとき、その内部に均一にガラスが分布し、より均
一にCuが焼結される。
【0023】ガラス粉末は、ペースト組成物全体に対し
て、1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%配合す
る。ガラス粉末が1重量%未満では、セラミック基板と
の接着強度が低下するという問題があり、15重量%を
超えるとガラスが電極膜上に浸みだし、めっき付け性悪
化の問題が生じる。但し、ガラスの最適配合量は、ペー
スト焼成後のCu焼成膜の緻密性によって変わるため、
すなわち、ポーラスな焼成膜なら添加量を増やせるが、
緻密な膜の場合は膜内部に溶融したガラスが納まる容積
が小さくなってガラス浮きし易くなるため、Cu粉末の
粒径の選択、焼成温度のかねあいによって決定する。
【0024】C 有機ビヒクル 本発明において、有機ビヒクルは、金属粉末、ガラス粉
末などの粉末を分散させる媒体であり、電子部品の回路
基板などへ銅導体ペースト組成物を塗布(印刷)、乾
燥、焼成したとき、回路基板などから析出した酸化物
(スラグ)を分離させる機能をもつ。通常は樹脂、溶剤
を成分とし、必要により添加剤が配合されている。
【0025】樹脂としては、エチルセルロース等のセル
ロース系樹脂、t−ブチルメタクリレート等のアクリル
系樹脂、それらの混合物などが一般的であり、その他に
銅導体ペーストに用いられている樹脂であれば制限なく
使用できる。これら樹脂は、酸素雰囲気下では300〜
400℃において大半は燃焼するが、純窒素雰囲気下で
は、少量の残留カーボンを生じる。樹脂は、その種類に
もよるが、通常、ペースト組成物全体に対して、1〜1
0重量%、好ましくは1.5〜8重量%配合される。
【0026】これらの樹脂は、ターピネオール、ブチル
カルビトールアセテート等、樹脂の溶解性に優れた溶剤
で加熱溶解し、有機ビヒクルとする。
【0027】D 酸化物微粉末 本発明において、酸化物微粉末は、銅導体ペースト中で
脱カーボン剤として機能し、重要な役割を担う成分であ
る。
【0028】すなわち、酸化物微粉末は、銅導体ペース
トに含有する樹脂を不活性雰囲気下で焼成したとき、C
u粉末の周囲に残留するカーボンを、C+MxOy→C
O↑+x/yM なる反応によって除去できる金属酸化
物でなければならず、しかもCuとともに焼結するもの
でなければならない。このような観点から、酸化物微粉
末は、SnO、SnO、In、V、Zn
Oの単体またはそれらの混合物に限定される。
【0029】脱カーボン剤として添加する酸化物微粉末
は、いずれも平均粒径が1μm前後、すなわち0.1〜
1.5μmであることが望ましい。1.5μmよりも大
きすぎると成分が偏析しカーボンが残留してしまうこと
があり、0.1μmより小さすぎると、比表面積が大き
くなり吸油量が増え、ペーストの粘性が大きく変化(増
粘)してしまうので好ましくない。
【0030】次に、銅導体ペースト組成物中に含有させ
た酸化物微粉末が、純窒素雰囲気下での焼成において、
脱カーボン剤として作用するメカニズムを説明する。銅
導体ペーストをセラミック基板、または積層チップコン
デンサにスクリーン印刷、またはディップ塗布し、12
0℃で10分間乾燥したのち、純窒素雰囲気下、ベルト
炉を用いてピーク温度900℃で10分間焼成する場
合、昇温過程の300〜400℃において樹脂が分解す
る。しかし、酸素量が不十分なため完全には燃焼せず、
Cu粉末の周りにカーボンとして残留する。さらに温度
が上がり、500〜600℃になると、このカーボンは
ZnOと以下の反応をする。 C + ZnO → Zn + CO↑ この結果、カーボンはCOガスとなり消失する。
【0031】その後、600〜900℃において、ガラ
ス粉末が軟化し、Cuの焼結が起こる。副生したZnは
Cuと反応し合金化(Cu−Zn)し、融点降下効果に
より焼結性が向上する。
【0032】ZnOを例にとって説明したが、SnO、
SnO、In、またはVを添加しても、
同様の反応によりカーボンを消失させる効果がある。な
お、Vを除き、融点降下効果による焼結促進効果
が発揮されることも同様である。
【0033】2.銅導体ペースト組成物の製造方法 本発明の銅導体ペースト組成物を製造するには、脱カー
ボン剤となる酸化物微粉末を選定し、脱カーボン剤を用
いないで不活性雰囲気下で焼成したときに、Cu粉末上
に残留するカーボン量を推定し、このカーボン量に対し
て、反応当量基準で特定量をCu粉末、ガラス粉末に配
合し、有機ビヒクルと混練する。
【0034】脱カーボン剤となる酸化物微粉末は、前記
のとおり、残留カーボンを消失する効果のあるSnO、
SnO、In、V、ZnOから選定し、
これらの2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】有機ビヒクルに含有される樹脂が、不活性
雰囲気下で焼成される際に残留するカーボン量を、樹脂
(粉末)の種類毎に求める簡便な方法として、TG−D
TAを用いることができる。純窒素気流中等の低酸素濃
度雰囲気下で昇温し、その残さの重量を測定すること
で、各樹脂の残留カーボン量が求められる。そして、銅
導体ペースト中の樹脂含有量から生成カーボン量が計算
できる。
【0036】先に求めた生成カーボン量から酸化物微粉
末の反応当量を算出し、酸化物微粉末の最低添加量を決
める。理論的には、反応当量に相当する量のみでよいわ
けであるが、実際には、カーボンを完全に消失させるた
め反応当量の1.5倍を最低添加量とする。しかしなが
ら、反応当量の10倍を超えても、その脱カーボン効果
が改善されるわけではなく、逆に未反応の酸化物として
残り、Cuの焼結を阻害するため好ましくない。
【0037】従って、酸化物微粉末は、反応当量の1.
5〜10倍とする。特に、SnO、SnO、In
、またはVの場合、1.5〜3倍が好ましく、
ZnOでは、1.5〜5倍が好適である。
【0038】最後に、酸化物微粉末をCu粉末、ガラス
粉末に添加し、有機ビヒクルと混練する。SnO、Sn
、In、V、ZnOのいずれか一種ま
たは数種を、Cu粉末、ガラス粉末に添加した後、有機
ビヒクルとミキサーで混合し、ロールミルにより混練、
分散せしめることで、本発明の銅導体ペースト組成物が
調製される。
【0039】3.電子部品 本発明の電子部品は、上記の銅導体ペースト組成物を電
子回路基板、素体などの必要個所に所定の厚さで塗布、
若しくは印刷し、100〜130℃程度で5〜15分間
乾燥し、窒素などの不活性雰囲気下、600〜900℃
で焼成することにより、配線、電極などの部材を形成し
た電子部品とすることができる。
【0040】例えば、前記の銅導体ペースト組成物をア
ルミナなどの基板に、、スクリーン印刷機で導体パター
ンを印刷し、110〜130℃のオーブンに入れ、5〜
15分間乾燥させる。乾燥膜厚が40〜50μm程度に
なった基板を、窒素置換が可能なベルト炉などで、窒素
雰囲気下において、ピーク温度900℃で5〜15分間
焼成すれば、Cu膜厚が25〜35μmの導体パターン
をもつ基板が得られる。
【0041】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明す
るが、本発明は、これによって何ら限定されるものでは
ない。
【0042】1)樹脂の残留カーボン量の測定 本発明で使用する銅導体ペースト組成物の樹脂が、不活
性雰囲気で焼成したとき、どの程度のカーボン量を残留
させるか把握するため、TG/DTAを用いて樹脂2種
類の残留カーボン量を測定した。測定温度範囲は、室温
から1000℃まで、N/H混合ガス(H=2
%)気流中の不活性雰囲気下で測定した。2種類の樹脂
とも、測定温度が300℃付近から分解が起こり、TG
曲線によると約450℃以降は、ほぼ一定となり変化が
無くなった。900℃での残さ重量を読みとり、これを
樹脂の残留カーボン量とした。この残留カーボン量をも
とに、C+MxOy→CO↑+x/yM なる反応から
求められるMxOy(酸化物微粉末)の、樹脂100部
に対する反応当量を求めた。結果を表1に示す。なお、
ここに記載した以外の樹脂に対しても同様の方法で求め
られる。2種類以上の樹脂を混合して使用する際には、
各樹脂の含有比率で残留カーボン量を計算してよい。
【0043】
【表1】
【0044】2)銅導体ペースト組成物の作成 表2に示したCu粉末、ガラス粉末、有機ビヒクル(樹
脂A、樹脂B、溶剤)を原料として、これに酸化物微粉
末を配合、混練して銅導体ペースト組成物を作成した。
脱カーボン剤となる酸化物微粉末として、SnO、Sn
、In、V 、ZnOを添加した。酸化
物微粉末は試薬を用い、平均粒径が1μm前後のものは
そのまま使用し、3μm以上の粗粒を含む酸化物に関し
ては、ボールミル等により粉砕し、分級して粗粒子を取
り除き、1μm前後の平均粒径に整粒してから使用し
た。まず、樹脂と溶剤の一部を混合し、70℃に加熱撹
拌して、有機ビヒクルを作成した。次に、この有機ビヒ
クルと、Cu粉末、ガラス粉末、酸化物微粉末を所定量
はかり取り、ミキサーで予備混練した。次に、これら組
成物を3本ロールミルで混練し、各成分を十分に混練、
分散させ、残りの溶剤を添加して希釈し、銅導体ペース
ト組成物を作成した。
【0045】
【表2】
【0046】3)焼成 得られた銅導体ペースト組成物を、Al基板に、
2mm×2mmパッドを含む導体パターンとなるようス
クリーン印刷機で印刷した。20分間室温にてレベリン
クさせ、120℃のオーブンで10分間乾燥させた。乾
燥膜厚は45μm程度であった。この試験基板を、窒素
置換可能なベルト炉(DENKO製)で、窒素雰囲気
中、ピーク温度900℃において10分間、in−ou
tが60分間の焼成プロファイルで焼成した。焼成後の
Cu膜厚は、約30μmであった。なお、焼成雰囲気は
窒素のみとし、バーンアウトゾーンへの酸素ドープは行
わなかった。酸素計で炉内の酸素濃度を測定したとこ
ろ、バーンアウトゾーン、本焼成ゾーンとも5ppm未
満であった。
【0047】4)評価 各銅導体ペースト組成物を上記方法にて焼成したのち、
焼成膜をSEM観察して、Cuの焼結状態を観察した。
また、Cu焼結性を定量的に評価する方法として、焼結
膜の引っ張り強度試験を行った。焼成して得られた96
%Al基板上の2mm×2mmの銅導体パッドに
Niメッキを施し、これにスズメッキ銅線をはんだ付け
した。引っ張り強度試験器を用い、80mm/minの
速度で基板に対して垂直に引っ張り、基板から導体パッ
ドが剥離するときの強度を測定した。
【0048】(実施例1〜12)Cu粉末70.0〜7
4.0重量%、ガラス粉末3.0重量%を用意して、こ
れに脱カーボン剤として酸化物微粉末を添加し、樹脂
A:0〜2重量%、樹脂B:0〜6.5重量%、溶剤1
6.1〜23.7重量%からなる有機ビヒクルを混合し
た。酸化物微粉末の添加量は、樹脂100部に対する酸
化物量の反応当量(表1)を基準にして、SnO:1.
5モル、SnO:1.5モル、In:1.5モ
ル、V:1.5モル、ZnO:1.5〜10.0
モルとした。これら組成物を混練して、表3に示した本
発明の銅導体ペースト組成物を作成した。Cu焼成膜の
焼結状態、引っ張り強度を測定して、表3に結果を併記
した。
【0049】
【表3】
【0050】(比較例1〜5)脱カーボン剤を用いず
に、実施例1〜12と同様にして、比較用の銅導体ペー
スト組成物を作成した。Cu焼成膜の焼結状態、引っ張
り強度を測定して、表3に結果を示した。また、脱カー
ボン剤として、ZnO、SnOをそれぞれ1.0モル
または12.0モル添加した以外は、上記の実施例1〜
12と同様にして、比較用の銅導体ペースト組成物を作
成した。なお、酸化物微粉末の添加量を変えたことによ
り、有機ビヒクルの成分である溶剤の含有量は、15.
3〜20.1重量%に変化した。Cu焼成膜の焼結状
態、引っ張り強度を測定して、表3に結果を示した。い
ずれの焼成膜も表面が、すす状にうっすらと黒化してお
り、Cuの焼結状態が著しく劣っていた。
【0051】このように、本発明の銅導体ペースト組成
物を用いた実施例1〜12は、いずれも低酸素分圧の純
窒素雰囲気下で焼成した場合、Cuの焼結状態は良好
で、引っ張り強度も40N/4mm以上の値が得られ
ている。このように、銅導体ペーストに酸化物微粉末を
配合することにより、樹脂が不完全燃焼してもカーボン
を残留させず、Cu電極の焼結を促進させることが可能
となったといえる。
【0052】一方、比較例1、2、4のように、本発明
の酸化物微粉末を添加しないか、またはその添加量が少
ないと、Cuの焼結状態が著しく劣る。これら焼成膜の
表面は、すす状にうっすらと黒化していたことから、樹
脂の不完全燃焼により生じたカーボンが消失せず、Cu
の焼結を阻害したものと考えられる。比較例3、5のよ
うに、酸化物微粉末の添加量が多すぎると、Cu焼成膜
の焼結状態は良好であるが、引っ張り強度を低下させる
ことが分かる。
【0053】
【発明の効果】本発明の銅導体ペースト組成物は、十分
な量のSnO、SnO、In、Vなど酸
化物微粉末を脱カーボン剤として含有させたので、純窒
素雰囲気下、低酸素分圧で焼成が可能である。そのた
め、樹脂が完全燃焼する量の酸素をバーンアウトゾーン
にドープする必要がなく、煩雑な酸素濃度の微調節が不
要になるという効果を奏し、その工業的価値は極めて大
きい。
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Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu粉末(A)と、ガラス粉末(B)
    と、樹脂および溶剤からなる有機ビヒクル(C)を含む
    銅導体ペースト組成物において、 SnO、SnO、In、VまたはZnO
    から選ばれる少なくとも一種の酸化物微粉末(D)を、
    不活性雰囲気下における焼成の際に有機ビヒクル(C)
    中の樹脂がCu粉末(A)上にカーボンとして残留せず
    に消失するのに十分な量だけ、脱カーボン剤として配合
    することを特徴とする銅導体ペースト組成物。
  2. 【請求項2】 酸化物微粉末(D)が、平均粒径0.1
    〜1.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の
    銅導体ペースト組成物。
  3. 【請求項3】 酸化物微粉末(D)の含有量が、酸化物
    微粉末(D)を用いないで不活性雰囲気下で焼成したと
    きにCu粉末(A)上に残留すると推定されるカーボン
    量に対して、反応当量基準で1.5〜10倍であること
    を特徴とする請求項1に記載の銅導体ペースト組成物。
  4. 【請求項4】 SnO、SnO、In、V
    またはZnOから選ばれる少なくとも一種の酸化物微
    粉末(D)を脱カーボン剤として選定した後、それを酸
    化物微粉末(D)を用いないで不活性雰囲気下で焼成し
    たときにCu粉末(A)上に残留すると推定されるカー
    ボン量に対して、反応当量基準で1.5〜10倍に相当
    する量だけ、Cu粉末(A)およびガラス粉末(B)に
    配合し、次いで、得られた配合物に樹脂および溶剤から
    なる有機ビヒクル(C)を混練することを特徴とする請
    求項1〜3に記載の銅導体ペースト組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の銅導体
    ペースト組成物を用いてなる電子部品。
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