JP2003121780A - ビーム整形素子、半導体レーザユニットおよび光ピックアップ装置ならびに半導体レーザユニットの調整方法 - Google Patents

ビーム整形素子、半導体レーザユニットおよび光ピックアップ装置ならびに半導体レーザユニットの調整方法

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JP2003121780A
JP2003121780A JP2001322432A JP2001322432A JP2003121780A JP 2003121780 A JP2003121780 A JP 2003121780A JP 2001322432 A JP2001322432 A JP 2001322432A JP 2001322432 A JP2001322432 A JP 2001322432A JP 2003121780 A JP2003121780 A JP 2003121780A
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JP
Japan
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shaping element
beam shaping
semiconductor laser
incident
laser beam
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JP2001322432A
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English (en)
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Tazuko Kitazawa
田鶴子 北澤
Takeshi Yamaguchi
毅 山口
Tetsuo Iwaki
哲男 岩木
Kazuya Kitamura
和也 北村
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビームの断面形状を整形し、その整形のため
の調整が容易なビーム整形素子を提供する 【解決手段】 ビーム整形素子1は、厚み方向両側の面
2,3が、幅方向Yに向かうにつれて相互に近接するよ
うに傾斜し、幅方向Yに沿って延びる回折格子4,5が
形成される。回折格子4,5によって、ビーム整形素子
を厚み方向に透過するビームのビーム径を幅方向Yと長
手方向Zとに対して、異なる割合で変形させることがで
き、ビーム径を整形することができる。またビーム整形
素子1を幅方向Yに移動させることによって、ビームが
ビーム整形素子を透過する距離を変化させることがで
き、幅方向Yに対してビーム径が変形する変形量を調整
することができる。これによってビーム径の特性にばら
つきがある場合においても、入射光軸に垂直な面内でビ
ーム整形素子を移動させるだけで、容易にビーム径を調
整することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビームの断面形状
を調整するビーム整形素子ならびにビーム整形素子を有
する半導体レーザユニットおよび光ピックアップ装置に
関し、また半導体レーザユニットの調整方法に関する。
なおレーザビームは、電磁波であり、特にその波長が、
数ナノミリから数百マイクロミリの範囲内のものを少な
くとも含む。
【0002】
【従来の技術】光ピックアップ装置は、光ディスクなど
の情報記録媒体にビームを照射し、反射した反射光か
ら、情報記録媒体に記録される情報を読み取る。情報記
録媒体は、記憶容量をより大きくするために信号記録部
分の高密度化が望まれる。すなわち信号記録部として形
成されるピットおよびトラック間隔の縮小化が望まれ
る。これにともなって光ピックアップ装置は、記録媒体
表面上に集光するビームのスポット径の縮小化が望まれ
る。
【0003】従来の技術の光ピックアップ装置は、半導
体レーザビームを出射する半導体レーザ素子を有する。
半導体レーザ素子は、半導体レーザ素子の出射点から発
散するレーザビームを出射する。半導体レーザ素子から
出射されるレーザビームは、出射点から進行するにつれ
てビーム径が拡がり、半導体レーザ素子のPN接合面に
垂直な方向に拡がる角度と、半導体レーザ素子のPN接
号面に平行な方向に広がる角度が異なる。たとえばレー
ザビームは、PN接合面に平行な方向に広がる角度に対
して、垂直な方向に広がる角度は、2〜3倍大きく出射
される。
【0004】したがってレーザビームが集光されて情報
記録媒体上に形成されるスポット径の形状は、楕円形状
となる。スポット径の形状が楕円形上であると、スポッ
ト径が円形である場合に比べて、情報記録媒体上に集光
されるビームの照射効率が低下する。さらに半導体レー
ザ素子のPN接合面に垂直な方向とPN接合面に平行な
方向とで焦点距離がずれてしまう。
【0005】図27は、従来の技術の整形プリズム60
を示す断面図である。上述の問題を解決するために、従
来の技術の光ピックアップ装置は、整形プリズム60を
有する。従来の技術の光ピックアップ装置は、コリメー
タレンズと対物レンズとの光路間に、整形プリズム60
が配置される。整形プリズム60は、断面形状が3角形
に形成される。コリメータレンズによって平行光束に形
成されたビーム61は、整形プリズム60を前記断面に
沿って透過する。ビーム幅寸法62を有するビーム61
は、整形プリズム60を透過することによってビーム幅
寸法が拡大され、拡大されたビーム幅寸法63を有す
る。このように整形プリズム60は、ビームのビーム径
を一方向に対して拡大する。このように従来の技術の光
ピックアップ装置は、整形プリズム60を有することに
よって、整形プリズム60を透過するビームのビーム径
を整形する。
【0006】しかしこのような整形プリズム60を有す
る従来の技術の光ピックアップ装置は、整形プリズム6
0を透過したビームの光軸の向きが大きく変わるという
問題があり、光軸の向きを修正するためにさらにもう1
つの整形プリズム60を設ける必要がある。また整形プ
リズム60自体の大きさを小さくするには限界があり、
光ピックアップ装置を小型化することができないという
問題がある。
【0007】図28は、従来の技術のビーム整形素子7
0を示す断面図である。他の従来の技術の光ピックアッ
プ装置は、ビーム整形素子70を有する。ビーム整形素
子70は、厚み方向両側の面に回折格子71,72が形
成される。ビーム整形素子70を厚み方向一方側から厚
み方向他方側に透過するビームは、回折格子71,72
によって、その放射角が変化させられる。このように他
の従来の技術の光ピックアップ装置は、ビームを整形素
子70に透過させることによって、入射時のビームの放
射角をビームの非点収差に応じて変更させて、ビーム径
の形状を整形する。
【0008】図29は、従来の技術のビーム整形素子7
0を示す平面図である。ビーム整形素子70は、ビーム
整形素子70の中心を囲む略楕円形状のホログラムパタ
ーンとなる格子73が複数形成される。格子間隔は、ビ
ーム整形素子70の中心から遠ざかるとともにその間隔
が小さくなる。このようなビーム整形素子70を有する
他の従来の技術の光ピックアップ装置として、再公表特
許WO98/50913号に開示される光ピックアップ
装置がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図28に示す従来の技
術のビーム整形素子70では、ビーム整形素子70の中
央を中心とする略楕円形状のホログラムパターンが形成
されるので、ビーム径を所定の形状に変形させるため
に、ビームの入射光軸をビーム整形素子70の中心部に
配置する必要がある。したがってビーム整形素子70を
略楕円形状の複数の格子が形成される面に沿って延びる
1つの方向74および前記1つの方向74に直交する他
の方向75の2方向に移動させて、ビームの入射光軸が
ビーム整形装置70の中央部に合うように調整する必要
がある。またレーザビームの中心波長および非点隔差の
個体間誤差などの特性に応じて、ビーム整形素子70の
収差を補正するためには、ビーム整形素子70をビーム
光軸が延びる方向に移動させて調整する必要がある。
【0010】したがって整形素子70を有する光ビック
アップ装置は、整形素子70をビーム光軸に対して垂直
な面に移動させるための調整用冶具の他にビーム光軸に
延びる方向に移動させるための調整用冶具を必要とす
る。また整形素子70を所定の位置に調整するために3
方向の調整が必要となるので、調整時間および調整コス
トがかかるという問題がある。
【0011】したがって本発明の目的は、ビームの断面
形状を整形し、その整形のための調整が容易なビーム整
形素子、半導体レーザユニットおよび光ピックアップ装
置を提供することである。
【0012】また本発明の他の目的は、ビーム断面形状
を整形する半導体レーザユニットの調整方法を提供する
ことである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、厚み方向両側
の面が、予め定める第1方向に向かうにつれて相互に近
接するように傾斜し、第1方向に沿って延びる回折格子
が形成されることを特徴とするビーム整形素子である。
【0014】本発明に従えば、厚み方向両側の面が、第
1方向に向かうにつれて相互に近接するように傾斜し、
第1方向に沿って延びる回折格子が形成される。ビーム
がビーム整形素子内を厚み方向一方側から他方側に向け
て透過する場合、ビーム整形素子に形成される回折格子
によって、格子が並ぶ第2方向に対してビーム径が変形
する変形量を変化させることができる。またビーム整形
素子は、第1方向に沿って回折格子が形成されるので、
第1方向に対してビーム径が変形する変形量を一定にす
ることができる。このようにビーム整形素子を通過した
ビームのビーム径の、第1方向および第2方向に対して
変形する割合を変化させることができる。
【0015】また第1方向に向かうにつれてビーム整形
素子の厚み方向両側の面が傾斜しているので、ビーム整
形素子を第1方向に移動させることによって、ビームが
ビーム整形素子内を透過する距離を変化させることがで
きる。これによって第2方向に対してビーム径が変形す
る変形量を調整することができる。また第1方向に沿っ
て、回折格子が形成されるので、第1方向にビーム整形
素子を移動させても、第1方向に対してビーム径が変形
することがない。
【0016】このようにビーム整形素子を第1方向に移
動させることによって、第1方向に対するビーム径の変
形量を変えることなく、第2方向に対してビーム径が変
形する変形量を調整することができ、ビーム整形素子に
よって変形されるビーム径を容易に調整することができ
る。
【0017】また本発明は、前記回折格子は、厚み方向
両側の面によってそれぞれ形成されることを特徴とす
る。
【0018】本発明に従えば、回折格子が厚み方向両側
の面によってそれぞれ形成される。したがって厚み方向
両側の2つの回折格子を利用することによって、第2方
向に対するビーム径の変形量を予め定められる変形量に
容易に設計することができる。たとえば第2方向に対す
るビーム径の変形量が予め設定されている場合、選択す
ることができる回折格子の形状パターンを組み合わせる
ことによって1つの回折格子では、得ることの困難な、
ビーム径変形可能な変形量を得ることができる。
【0019】また本発明は、前記回折格子は、中央部か
ら両側に向かうにつれて格子間隔が小さくなることを特
徴とする。
【0020】本発明に従えば、ビーム整形素子の中央部
から両側に向かうにつれて格子間隔が小さくなるので、
中央部に入射されるビームを、中央部を含む第1方向に
延びる軸線に対称に、発散または集光することができ
る。このようにビーム整形素子の中央部にビームの入射
光軸を一致させることによって、整形されたビームを中
央部から放射または集光させることができる。
【0021】また本発明は、厚み方向一方側の面からビ
ームを入射させた場合、厚み方向一方側の面によって形
成される回折格子は、ビームを格子が並ぶ方向に発散さ
せ、厚み方向他方側の面によって形成される回折格子
は、格子が並ぶ方向にビームを集光させることを特徴と
する。
【0022】本発明に従えば、厚み方向一方側の面から
入射されたビームは、厚み方向一方側の面によって形成
される回折格子によって格子が並ぶ方向に発散され、発
散されたビームが厚み方向他方側の面によって形成され
る回折格子によって、格子が並ぶ方向に集光される。厚
み方向一方側の面によって形成される回折格子が、格子
が並ぶ方向にビームを発散させるので、格子が並ぶ方向
に広がったビームが、厚み方向他方側の面に達する。し
たがって厚み方向他方側に形成される回折格子は、格子
が並ぶ方向に広がったビームを集光させるために厚み方
向一方側の回折格子よりも格子が並ぶ方向に拡大して形
成される。
【0023】入射側の面となる厚み方向一方側の面でビ
ームを集光させ、出射側の面となる厚み方向他方側の面
でビームを発散させてもよいが、この場合入射側の面で
ビームを集光させるためには、PN接合面に対して垂直
な方向にビームを集光させなければならず、垂直方向の
ビーム径が大きいために、入射側の面の回折格子に対す
るNAが大きくなる。これによって回折格子の周辺部の
ピッチ、すなわちピッチ間隔がより狭くなり、ビーム整
形素子の製造が困難になる。したがって入射側の面でビ
ームを発散させ、出射側の面で発散したビームを集光す
ることによって、入射側の回折格子のピッチを広くする
ことができ、容易にビーム整形素子を製造することがで
きる。
【0024】また本発明は、厚み方向両側の面は、第1
方向に向かうにつれて多段的に近接するように傾斜する
ことを特徴とする。
【0025】本発明に従えば、厚み方向両側の面は、第
1方向に向かうにつれて多段的に近接するように傾斜す
るので、連続的に傾斜する場合に比べて、容易に加工す
ることができ、上述のビーム整形素子を好適に実現する
ことができる。
【0026】また本発明は、入射されるビームの非点隔
差に応じて、ビームの形状を整形する非点収差を有する
ことを特徴とする。
【0027】本発明に従えば、入射されるビームの非点
隔差に応じて、ビームの形状を整形する非点収差を有す
るので、ビームの形状を所定の形状に確実に整形するこ
とができる。たとえば楕円形状に形成されるビーム径を
有するビームが厚み方向一方側からビーム整形素子に入
射した場合に、ビーム整形素子の非点収差によって、ビ
ームを整形し、厚み方向他方側の面から放射されるビー
ムのビーム径を略円形に整形することができる。
【0028】また本発明は、レーザビームを出射する半
導体レーザ素子と、レーザビームが入射される入射面お
よび入射されたレーザビームが放射される放射面が、レ
ーザビームの入射光軸に垂直な第1方向に向かうにつれ
て相互に近接するように傾斜し、第1方向に沿って延び
る回折格子が形成されるビーム整形素子とを含むことを
特徴とする半導体レーザユニットである。
【0029】本発明に従えば、ビーム整形素子が、入射
面が、第1方向に向かうにつれて相互に近接するように
傾斜し、第1方向に沿って延びる回折格子が形成され
る。入射面から入射したレーザビームは、回折格子によ
って格子が並ぶ第2方向に対してビーム径が変形され
る。またビーム整形素子は、第1方向に沿って回折格子
が形成されるので、ビーム径が第1方向に対して変形す
る変形量を、一定に保持することができる。このように
第1方向および第2方向に対して、ビーム径が変形する
割合を変化させることができる。
【0030】また第1方向に向かうにつれてビーム整形
素子の入射面および放射面が傾斜しているので、ビーム
整形素子を第1方向に移動させることによって、レーザ
ビームがビーム整形素子内を透過する距離を変化させる
ことができる。これによって第2方向に対してビーム径
が変形する変形量を調整することができる。また第1方
向に沿って、回折格子が形成されるので、第1方向にビ
ーム整形素子を移動させても、第1方向に対してビーム
径が変形することがない。
【0031】このように半導体レーザユニットは、ビー
ム整形素子を第1方向に移動させることによって、第1
方向に対するビーム径の変形量を変えることなく、第2
方向に対するビーム径の変形量を調整することができ、
ビーム径を容易に整形することができる。
【0032】したがって半導体レーザの個体差によるビ
ーム径のばらつきを容易に調整することができ、半導体
レーザユニットから均一なビーム径を有するレーザビー
ムを放射することができる。またビーム入射光軸方向に
ビーム整形素子を移動させる必要がなく、光軸方向に移
動させる冶具を備える必要がない。また収差の発生およ
びビーム整形素子の移動によるビームの変形に対する悪
影響は、入射面と放射面との傾斜角を適切に決定するこ
とによって、その影響を抑えることができる。
【0033】また本発明は、レーザビームを出射する半
導体レーザ素子と、レーザビームが入射される入射面
が、第1方向に向かうにつれてレーザビームの入射光軸
に沿う方向に傾斜し、入射光軸に垂直な第1方向に沿っ
て延びる回折格子が形成されるビーム整形素子とを含む
ことを特徴とする半導体レーザユニットである。
【0034】本発明に従えば、入射面から入射したレー
ザビームは、ビーム整形素子に形成される回折格子によ
って、格子が並ぶ方向にビーム径が変形される。回折格
子は、第1方向に沿って延びる。したがって第1方向に
交差する第2方向に格子が並んで形成され、回折格子
は、入射したビームのビーム径を、第2方向に対して変
形させることができる。これによって第1方向と第2方
向とで、ビーム径が変形する割合を変化させることがで
きる。
【0035】またレーザビームの入射光軸に沿う方向に
傾斜する傾斜角を保持した状態で、ビーム整形素子が第
1方向に移動することによって、半導体レーザ素子のレ
ーザビーム出射点からビーム整形素子の入射面までの距
離を変化させることができる。これによって第1方向に
対するビーム径の変形量を一定に保持した状態で、第2
方向に対してビーム径が変形する変形量を調整すること
ができる。また回折格子を用いることによって、ビーム
整形素子の入射面および放射面を球面に形成する必要が
なく、容易に製造することができるとともに入射面およ
び放射面が球面に形成されることによる各収差を防止す
ることができる。
【0036】また本発明は、レーザビームを出射する半
導体レーザ素子と、レーザビームが半導体レーザ素子か
ら直進して入射される入射面および入射されたレーザビ
ームが放射される放射面が、相互に平行な仮想平面に沿
うように形成され、レーザビームの入射光軸に垂直な第
1方向に沿って延びる回折格子が形成されるビーム整形
素子と、ビーム整形素子を、入射面を第1方向に向かう
につれて入射光軸に沿う方向に傾斜させ、第1方向と第
1方向および入射光軸に垂直な第2方向とに、半導体レ
ーザ素子に対するビーム整形素子の位置を調整可能に保
持する調整部材とを含むことを特徴とする半導体レーザ
ユニットである。
【0037】本発明に従えば、調整部材によってビーム
整形素子が入射光軸に沿う方向に傾斜され、第1方向お
よび第2方向とに、半導体レーザ素子に対するビーム整
形素子の位置を調整可能に保持する。これによってビー
ム整形素子の位置調整を容易に行うことができる。位置
調整することによって、半導体レーザの個体差によるビ
ーム径のばらつきを容易に調整することができ、半導体
レーザユニットから均一なビーム径を有するレーザビー
ムを放射させることができる。またビーム入射光軸方向
にビーム整形素子を移動させる必要がなく、光軸方向に
移動させる冶具を備える必要がない。さらに収差の発生
およびビーム整形素子の移動によるビームの変形に対す
る悪影響は、入射面と放射面との傾斜角を適切に決定す
ることによって、その影響を抑えることができる。
【0038】また本発明は、前記調整部材は、レーザビ
ームの導波路が形成され、導波路の第1方向両側に、入
射光軸および第1方向を含む平面で切断した切断面の形
状が三角形状または台形形状であるビーム整形素子の保
持部が形成されることを特徴とする。
【0039】本発明に従えば、調整部材は、レーザビー
ムの導波路が形成されることによって半導体レーザ素子
からのレーザビームをビーム整形素子に導くことがで
き、また入射光軸および第1方向を含む平面で切断した
切断面の形状が三角形状または台形形状に形成されるこ
とによって、ビーム整形素子が入射光軸に沿う方向に傾
斜して保持することを好適に実施することができる。
【0040】また本発明は、前記調整部材とビーム整形
素子とが一体的に形成されることを特徴とする。
【0041】本発明に従えば、前記調整部材とビーム整
形素子とが一体的に形成される。調整部材を移動させる
ことによって、ビーム整形素子を同時に移動させること
ができ、ビーム整形素子に作業者が直接触れることを防
止することができる。これによってビーム整形素子が損
傷することを防止し、半導体レーザユニットの調整を容
易に行うことができる。またビーム整形素子と半導体レ
ーザとの間に接着剤などの樹脂材が混入することがない
ので、製造される半導体レーザユニットの信頼性を向上
させることができる。
【0042】また本発明は、ビーム整形素子は、入射面
および放射面によって回折格子がそれぞれ形成され、入
射面によって形成される回折格子はレーザビームを格子
が並ぶ方向に発散させ、放射面によって形成される回折
格子は格子が並ぶ方向にレーザビームを集光させること
を特徴とする。
【0043】本発明に従えば、入射面から入射されたレ
ーザビームは、入射面によって形成される回折格子によ
って格子が並ぶ方向に発散され、発散されたレーザビー
ムが放射面によって形成される回折格子によって、格子
が並ぶ方向に集光される。入射面によって形成される回
折格子が、格子が並ぶ方向にレーザビームを発散させる
ので、格子が並ぶ方向に広がったレーザビームが放射面
に達する。したがって放射面によって形成される回折格
子は、格子が並ぶ方向に広がったビームを集光させるた
めに少なくとも入射面によって形成される回折格子より
も格子が並ぶ方向に拡大して形成される。
【0044】また、入射面でビームを集光させ、出射面
でビームを発散させてもよいが、この場合入射面でビー
ムを集光させるためには、PN接合面に対して垂直な方
向にビームを集光させなければならず、垂直方向のビー
ム径が大きいために入射面の回折格子に対するNAが大
きくなる。これによって回折格子の周辺部のピッチすな
わちピッチ間隔がより狭くなり、ビーム整形素子の製造
が困難になる。したがって入射面でビームを発散させ、
出射面で発散したビームを集光することによって入射側
の回折格子のピッチを広くすることができ、容易にビー
ム整形素子を製造することができる。
【0045】また本発明は、前記調整部材は、半導体レ
ーザ素子から放射されるレーザビームの非点隔差に応じ
て、第1および第2方向に、ビーム整形素子の位置を調
整可能であることを特徴とする。
【0046】本発明に従えば、入射されるビームの非点
隔差に応じて、ビームの形状を整形する収差を有するの
で、ビームの形状を所定の形状に整形することができ
る。たとえば楕円形状に形成されるビーム径を有するビ
ームが厚み方向一方側からビーム整形素子に入射した場
合に、ビーム整形素子の非点収差によって、ビームを整
形し、厚み方向他方側の面から放射されるビームのビー
ム径を略円形に整形することができる。
【0047】また本発明は、請求項7〜13のいずれか
に記載の半導体レーザユニットと、ビーム整形素子から
放射されたレーザビームを平行光束とするコリメータレ
ンズと、平行光束となったレーザビームを集光し、対象
物に照射する対物レンズとを有することを特徴とする光
ピックアップ装置である。
【0048】本発明に従えば、上述に記載の半導体レー
ザユニットを有することによって、ビーム整形素子内を
透過するビームに対して、ビーム整形素子を第1方向に
移動させることによって、第1方向に対する変形を規制
した状態で、第2方向に対してビーム径が変形する変形
量を調整することができる。
【0049】また本発明は、請求項7〜13のいずれか
に記載の半導体レーザユニットの調整方法であって、ビ
ーム整形素子を入射光軸に垂直な面に沿って移動させ、
レーザビームの非点隔差に応じた非点収差位置に移動さ
せることを特徴とする半導体レーザユニットの調整方法
である。
【0050】本発明に従えば、上述のビーム整形素子を
用いて、ビーム整形素子を入射光軸に垂直な面すなわ
ち、第1方向および第2方向に移動させてビームの非点
隔差に応じた非点収差位置に移動させて調整する。ビー
ム整形素子は、第1方向に沿って回折格子が形成される
ので、ビーム整形素子を第1方向に移動させた場合でも
ビーム径が第1方向に変形することを防止することがで
きる。
【0051】またビーム整形素子は、第1方向に移動さ
せることによって、格子が並ぶ方向となる第2方向に対
してビーム径の変化量を調節することができ、半導体レ
ーザの個体差に対応して、ビーム径を変形させることが
できる。したがって第1方向にビーム整形素子を移動さ
せることによって、第1方向と第2方向とに対してビー
ム径が変形する割合を変化させることができる。ビーム
整形素子を第2方向に移動させることによって、所定の
場所にビーム入射光軸をあわせて、ビームのビーム整形
素子に対する光軸合せを好適に実現することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
ビーム整形素子1を示す斜視図である。ビーム整形素子
1は、透光性を有する板状体に形成される。ビーム整形
素子1は、平行に並び、対向する2つの側面6,7を有
し、2つの側面6,7は、同一形状であり、略台形形状
に形成される。ビーム整形素子1は、2つの側面6,7
の対応する縁辺同士を結ぶ厚み方向両側の面2,3と、
幅方向両側の面8,9がそれぞれ形成される。ビーム整
形素子1は、このような2つの側面6,7と、両側面の
縁辺を結ぶ4つの面によって規定される略台形短柱状に
形成される。
【0053】2つの側面6,7に対して、垂直な方向を
長手方向Xとし、一方の側面6に形成される斜辺縁辺6
cに対向する縁辺6dに沿って延びる方向を幅方向Yと
し、側面6に沿って延びるとともに、斜辺縁辺6cに対
向する縁辺6dに略垂直に延びる方向を厚み方向Zとす
る。なお長手方向X、幅方向Yおよび厚み方向Zは、と
もに直交する。
【0054】ビーム整形素子1の厚み方向Z一方側の面
3は、側面6,7の斜辺縁辺6c,7cと対向する縁辺
6d,7dを結び、厚み方向Z他方側の面2は、各側面
6,7の斜辺縁辺6c,7cを結ぶ。すなわち厚み方向
両側の面2,3は、幅方向Y一方側に向かうにつれて、
相互に近接するように傾斜する。またビーム整形素子1
の幅方向Y一方側の面8は、各側面6,7の平行に延び
る2つの縁辺のうちの一方側の縁辺6a,7aをそれぞ
れ結び、幅方向Y他方側の面9は、各側面6,7の平行
に延びる2つの縁辺のうちの他方側の縁辺6b,7bを
それぞれ結ぶ。
【0055】厚み方向両側の面2,3には、回折格子
4,5がそれぞれ形成される。回折格子4,5は、幅方
向Yに沿って延びる複数の格子4a,5aが形成され
る。複数の格子4a,5aは、ビーム整形素子1の長手
方向X中央部から長手方向両側に向かうにつれて、格子
間隔が小さくなり、長手方向X中央部を幅方向Yに延び
る対称軸に対して、長手方向Xに対称に形成される。回
折格子4,5によって厚み方向両側の面2,3にホログ
ラムパターンが形成される。回折格子4,5は、ブレー
ズ(Blaze)化されており、特定の波長の光を特定の回
折次数に集めて、光の進行方向を変更する。各格子4
a,5aは、鋸歯状のプリズムとして並べられ、所定の
波長を有する入射光が曲げられる方向と、たとえば一次
の回折光の方向とが一致するように形成される。
【0056】図2は、ビーム整形素子1の長手方向Xに
垂直な切断面線で切断した切断面10を示す断面図であ
る。この切断面10は、台形に形成される。切断面10
は、厚み方向Zに延びる平行な2つの底辺14,15
と、前記平行な2つの辺14,15にともに直交する直
交辺13と、前記直交辺13に対して傾斜し、幅方向Y
に向かうにつれて直交辺13に近接する斜辺12とによ
って規制される台形領域に形成される。
【0057】直交辺13に平行に延びる第1仮想線と、
斜辺12に平行に延びる第2仮想線とが交差する傾斜角
θは、予め所定の角度に設定される。またビーム整形素
子1の幅方向Y中央部の厚さ寸法L1も、予め所定の厚
さ寸法に設定される。前記傾斜角θおよび厚さ寸法L1
は、ビーム整形素子を厚み方向に透過するビームに対す
る収差が十分小さく、ビームの非点隔差を良好に整形す
ることができる角度および寸法に決定される。たとえば
傾斜角θを1.5度、ビーム整形素子1の幅方向Y中央
部の厚さ寸法L1を2mmに選ぶことによって、好適に
ビーム径の整形を行うことができる。
【0058】図3は、ビーム整形素子1の幅方向Yに垂
直な切断面線で切断した切断面20を示す断面図であ
り、図4は、厚み方向一方側の面2を示す側面図であ
る。厚み方向一方側の面3によって形成される回折格子
5は、複数の格子5aを有し、各格子5aは、ビーム整
形素子1の長手方向X寸法中央部から両側に向かうにつ
れて厚み方向外方に突出し、突出した状態から厚み方向
内方に陥没する。厚み方向他方側の面2によって形成さ
れる回折格子4は、複数の回折格子4aを有し、各格子
4aは、ビーム整形素子1の長手方向X寸法両側から中
央部に向かうにつれて厚み方向外方に突出し、突出した
状態から厚み方向内方に陥没する。厚み方向両側の回折
格子4,5の格子間隔は、図4に示すように長手方向X
中央部から両側に向かうにつれてその格子間隔が小さく
なる。
【0059】レーザビームがビーム整形素子内を厚み方
向Zに透過する場合、ビーム整形素子1に形成される回
折格子4,5によってレーザビームは複数の回折光に分
光される。分光された各回折光は、それぞれ異なった角
度で出射する。このような回折格子4,5の形状を調整
することによって、レーザビームを各回折光のうち1つ
の回折光成分、たとえば1次回折光成分に集中させて、
レーザビームの出射光軸を入射光軸に対して屈折させる
ことができる。本発明のビーム整形素子1に形成される
回折格子4,5は、ビーム整形素子1の厚み方向Zに透
過するレーザビームの放射角を発散または集光させる形
状に形成される。
【0060】図5は、本発明の実施の一形態の光ピック
アップ装置30の主要な構成を示す断面図である。光ピ
ックアップ装置30は、半導体レーザ素子31と、ビー
ム整形素子1と、コリメータレンズ32と、対物レンズ
33と、ビームスプリッタ34と、集光レンズ35と、
ディテクタ36とを含んで構成される。
【0061】半導体レーザ素子31は、波長のそろった
レーザビームを出射する発光源となる。半導体レーザ素
子31から出射するレーザビームは、レーザビームが進
行するにつれて拡散する。換言するとレーザビームが進
行するにつれてビーム径が拡大する。
【0062】ビーム整形素子1は、図1に示す構成を有
し、レーザビームを入射面となる厚み方向一方側の面3
から出射面となる厚み方向他方側の面2に透過させる。
コリメータレンズ32は、入射したレーザビームを平行
光束にして出射する。コリメータレンズ32によって平
行光束に整形されたレーザビームは、ビームスプリッタ
34を透過する。ビームスプリッタ34を通過したレー
ザビームは、対物レンズ33を透過することによって集
光される。集光されたレーザビームは、対象物の照射部
分、たとえば光ディスク37のトラック部分に集光され
る。
【0063】レーザビームは、照射部分から反射し、反
射したレーザビームが対物レンズ33を透過して平行光
束となる。対物レンズ33を通過した反射レーザビーム
は、ビームスプリッタ34に入射する。ビームスプリッ
タ34に設けられる偏光膜によって、レーザビームの光
軸は90度曲げられる。ビームスプリッタ34は、半導
体レーザ素子31から出射されたレーザビームを透過
し、光ディスク37から反射した反射レーザビームの光
軸を90度曲げることによって、半導体レーザ素子31
から出射されたレーザビームと光ディスク37から反射
した反射レーザビームとを分離する光学素子として機能
している。
【0064】ビームスプリッタ34によって光軸が曲げ
られた反射レーザビームは、集光レンズ35によって集
光され、ディテクタ36に照射される。ディタクタ36
は、光検出器であり、反射レーザビーム光の光の強弱を
検出する。対象物の照射部分の状態によって、反射レー
ザビームの特性が変わり、この反射レーザビームをディ
テクタが受光することによって、光ピックアップ装置3
0は、情報記録媒体である光ディスク37の記録情報を
読み取ることができる。
【0065】ビーム整形素子1は、半導体レーザ素子3
1と、コリメータレンズ32との光路間に設けられる。
たとえばビーム整形素子1の厚み方向Zは、半導体レー
ザ素子31のPN接合面と略平行な方向に配置される。
またビーム整形素子1の幅方向Yは、半導体レーザ素子
31のPN接合面と略垂直な方向に配置される。ビーム
整形素子1は、半導体レーザ素子31から出射するレー
ザビームの非点隔差を補正する。半導体レーザ素子31
から出射するレーザビームは、そのビーム径が楕円形状
に形成されて出射される。ビーム整形素子1は、レーザ
ビームを透過させることによって、ビーム径を短軸方向
に拡大し、略円形に整形する。ビーム整形素子1によっ
て、ビーム形を略円形に形成することによって、光ディ
スク37に照射されるレーザビームのスポット径の面積
を非常に小さくすることができる。これによって光ディ
スクに記録することができる情報量を多くすることがで
きるとともに、光ディスクに記録される高密度情報を再
生および光ディスクに高密度情報を記録することができ
る。
【0066】本発明の光ピックアップ装置において、レ
ーザビームが進行するにつれて、ビーム径が変化する変
化量を変える方向を整形方向と呼び、ビーム径が変化す
る変化量を変えない方向を非整形方向と呼ぶ。たとえば
楕円形に出射されるビーム径の短軸方向を整形方向と
し、ビーム径の長軸方向を非整形方向とする。ビーム整
形素子は、長手方向Xを整形方向に沿い、幅方向Yを非
整形方向に沿った状態で、光ピックアップ装置の一部を
構成する。
【0067】図6は、ビーム整形素子1の幅方向Yに垂
直な切断面線で切断し、ビーム整形素子1を透過するレ
ーザビームを示す断面図である。図7は、ビーム整形素
子1の長手方向Xに垂直な切断面線で切断し、ビーム整
形素子1を透過するレーザビームを示す断面図である。
なお図6および図7では、厚み方向両側の面2,3によ
って形成される各回折格子4,5を省略して示す。ビー
ム整形素子1は、幅方向Yに対してビーム径を変化させ
ずに、長手方向Xに対してビーム径を変形させる。
【0068】半導体レーザ素子31の出射点から放射す
るレーザビームは、PN接合面に平行な方向に整形方向
放射角a1を有して拡散し、PN接合面に垂直な方向に
非整形方向放射角a3を有して拡散する。それぞれの放
射角a1,a3は、ビーム径の周縁部と出射点とを結ぶ
周縁線H,Vと、出射点から延びる光軸の中心線sとの
成す角度である。レーザビームは、整形方向放射角a1
が非整形方向放射角a3より小さい。
【0069】出射点から出射したレーザビームは、ビー
ム整形素子1の入射面となる厚み方向一方側の面3に入
射する。ビーム整形素子1の長手方向Xに格子が並んで
形成され、レーザビームは、ビーム整形素子1の長手方
向Xに対して変形する。したがって図6に示すように、
ビーム整形素子1に入射したレーザビームは、図示しな
い回折格子4,5によって、整形方向放射角a1が拡大
される。これによって出射するレーザビームは、拡大さ
れた整形方向放射角a2を有する。
【0070】またビーム整形素子1の幅方向Yに沿って
格子が形成されるので、レーザビームは、ビーム整形素
子1の幅方向Yに対して変形しない。したがって図7に
示すように、ビーム整形素子1に入射したレーザビーム
は、幅方向Yには回折格子4,5の影響を受けず、非整
形方向放射角a3の変化が生じない。これによって出射
するレーザビームの非整形方向放射角a4は、入射時の
非整形方向放射角a3とほぼ同じ角度となる。
【0071】上述のように、レーザビームは、厚み方向
一方側の面3によって形成される回折格子5を透過する
ことによって、非整形方向放射角a3が変化せずに、整
形方向放射角a1が広げられる。これによってレーザビ
ームは、厚み方向他方側の面2に達したときに、長手方
向Xのビーム径寸法L4と幅方向Yのビーム径寸法L5
とがほぼ同じ寸法に整形される。さらに厚み方向他方側
の面2によって形成される回折格子4によって、整形方
向放射角a2が狭められる。これによって厚み方向他方
側の面2から出射されるレーザビームは、ビーム整形素
子1の長手方向Xおよび幅方向Yに対して、ほぼ同じ径
および同じ放射角とすることができる。
【0072】長手方向Xのレーザビーム径L4および整
形方向放射角a2を変化させることによって、レーザビ
ームの整形方向の出射点O1に対して、図5に2点鎖線
で示すように見かけの出射点Pを生じさせ、見かけの出
射点Pと出射点O1とをずらすことができる。このよう
に整形方向出射点O1と見かけの出射点Pとの変化分Δ
Lを生じさせることによって、整形方向の見かけの出射
点Pと非整形方向出射点O2とのずれをなくし、レーザ
ビームの非点隔差を補正することができる。
【0073】図8は、ビーム整形素子1を幅方向Yに移
動させ、レーザビームがビーム整形素子1を透過する距
離を増加させた場合の、ビーム整形素子1の幅方向Yに
垂直な切断面線で切断し、ビーム整形素子1を透過する
レーザビームを示す断面図である。
【0074】ビーム整形素子を幅方向Yに移動させるこ
とによって、レーザビームがビーム整形素子1を透過す
る厚み方向Zの距離を増加させることができる。これに
よって、図6に示す厚み方向Zの距離が短い場合に比べ
て、厚み方向他方側の面2に達したときの整形方向のビ
ーム径をより大きくすることができる。これによって整
形方向の出射点O1と、見かけの出射点Pとの変化分Δ
Lを、図6に示す厚み方向Zの距離が短い場合に比べ
て、小さくすることができる。レーザビームが透過する
ビーム整形素子1を幅方向Yに移動させることによっ
て、ビーム径の変化する変化量を調整することができ
る。
【0075】また図5に示すように、光ピックアップ装
置30は、半導体レーザ素子31を収容するパッケージ
38を有する。パッケージ38は、ビーム入射光軸と垂
直な基準面39が形成される。この基準面39に沿うよ
うにビーム整形素子1を移動させることによって、ビー
ム入射光軸と垂直に保持して、ビーム入射光軸に垂直な
方向に位置調整することができる。これによってビーム
入射光軸と、ビーム整形素子1との長手方向Xおよび幅
方向Yの位置調整を容易に行うことができる。またビー
ム整形素子1を幅方向Yに移動させることによって、レ
ーザビームがビーム整形素子を透過する距離を変化させ
ることができ、整形方向の出射点O1と見かけの出射点
Pとの変化分ΔLを変化させて、ビーム進行方向の位置
調整を同時に行うことができる。
【0076】位置調整は、まずビーム整形素子1と半導
体レーザ素子31から出射されるレーザビームの入射光
軸とを合わせるために、ビーム整形素子1を整形方向す
なわちビーム整形素子1の長手方向Xに移動させる。ビ
ーム整形素子1は、幅方向Yに沿って各回折格子4,5
が形成されるので、ビーム整形素子1の位置調整には、
ビーム整形素子1を幅方向Yに移動させる必要がなく、
ビーム入射光軸とビーム整形素子1とを合わせることが
できる。
【0077】次にビームの非点隔差を補正するために、
ビーム整形素子1を非整形方向すなわちビーム整形素子
1の幅方向Yに移動させる。ビーム整形素子1は、厚み
方向両側の面2,3が傾斜して形成されるので、幅方向
Yに移動させることによってビームが透過する厚み方向
の距離を変更させることができる。これによって見かけ
の出射点Pの位置を変化させることができ、非点隔差を
補正することができる。このようにビーム整形素子1を
ビーム入射光軸に垂直な面に沿う方向に移動させるだけ
で、ビーム径の整形を行うことができるので、ビーム進
行方向、すなわちビーム整形素子1の厚み方向Zに移動
させる必要がなく、ビーム進行方向に移動させるための
冶具を備える必要がない。
【0078】以上のように、ビーム整形素子1を、光軸
が合うように整形方向に位置調整し、ビームの非点隔差
を補正するように非整形方向に位置調整することによっ
て、半導体レーザ素子31の個体ごとの誤差も含めた非
点隔差を補正することができる。またビーム入射光軸方
向に位置調整する必要がないので、パッケージ38の基
準面39とビーム整形素子1とのビーム入射光軸方向の
位置関係を調節するスペーサなどを備える必要がなく、
調整に要する時間の短縮が可能で、製造コストを低下さ
せることができる。
【0079】また半導体レーザ素子4ごとにレーザビー
ムの中心波長が異なる場合には、屈折率が変化して、ビ
ーム整形素子1から出射するレーザビームの整形方向放
射角a2の変化量が変化するが、上述のようにビーム整
形素子1をビーム整形素子1の幅方向Yに変化させるこ
とによって、ビームが透過する厚み方向距離を変化させ
ることによって、ビーム径を良好に整形することができ
る。またパッケージ38の製造誤差、たとえば半導体レ
ーザ素子31の出射点O1から基準面39までの距離で
ある高さ位置のばらつきについても同様に補正すること
ができる。
【0080】また本発明のビーム整形素子1と半導体レ
ーザ素子31とパッケージ38との位置を調整し、非点
隔差を補正したものを1つの半導体レーザユニットとし
て設けることによって、光ピックアップ装置30の他の
構成要素と半導体レーザユニットとの光軸を合わせるだ
けで、光ピックアップ装置30を組み立てることがで
き、光ピックアップ装置30の製造を容易に行うことが
できる。
【0081】またユニット化せずに、本発明のビーム整
形素子1を光ピックアップ装置30に用いる場合にも、
上述のように位置を調整することによって、半導体レー
ザ素子31の個体差に対応することができ、ビーム光軸
方向にビーム整形素子1を移動させる必要がない。また
ビーム整形素子1の少なくとも幅方向一方側の面8に直
交する厚み方向面を入射面とすることによって、少なく
とも幅方向一方側の面を基準面39に直行させることが
でき、厚み方向他方側の面2を有効に利用することがで
きる。また本実施の形態では、側面の形状が台形とした
が、対向する2つの縁辺が傾斜していればよく、3角形
状およびその他の多角形状であってもよい。
【0082】たとえば本発明の実施例の半導体レーザ素
子31から出射されるレーザビームの波長は410nm
である。またレーザビーム半値全角は、半導体レーザ素
子31の接合面に対して垂直方向の拡がり角が10度で
あり、接合面に対して平行方向の拡がり角が26度であ
る。したがってレーザビームのビーム径は、楕円形状に
形成される。レーザビームはビーム整形素子1によっ
て、ビーム径が整形された後、開口数(Numerical Aper
ture:略称 NA)が0.15のコリメータレンズを透
過し、平行光束に形成される。平行光束に形成されたレ
ーザビームは、開口数(NA)が0.85の対物レンズ
を透過し、カバーガラス厚が0.1mmの光ディスク3
7のトラック上に集光される。ビーム整形素子1によっ
て、楕円形状のビーム径を略円形状のビーム形状に整形
することができ、略円形に整形されたビームは、対物レ
ンズによって十分に集光することができ、ビーム光量の
利用効率を向上することができる。
【0083】ビーム整形素子の基板材は、たとえば硝材
としてSchott社製BK7(登録商標)が用いられ、整形
比を2.0とするとき、幅方向Y中央部での厚み方向Z
寸法は2mmとする。ここで整形比は、図6におけるa
2/a1であり、たとえば整形比が2倍であるとビーム
整形素子1から出射するレーザビームの整形方向放射角
a2が入射時のビームの整形方向放射角a1の2倍に変
形させる。ビーム整形素子1の厚み方向両側の面2,3
によって形成される各回折格子4,5は、図3に示すよ
うに長手方向X中央部を原点とし、長手方向両側に向か
うにつれて、X方向寸法が増加および減少するとすると
すると、厚み方向一方側の面3によって形成される回折
格子5の格子間隔は、入射するレーザビームの一次回折
光に対して、次式で表される光路差を与える格子間隔寸
法L2に決定される。
【0084】
【数1】
【0085】また厚み方向他方側の面2によって形成さ
れる回折格子4の格子間隔は、入射するレーザビームの
一次回折光に対して、次式で表される光路差を与える格
子間隔寸法L3に決定される。
【0086】
【数2】
【0087】上述の(1)、(2)式を満足する具体的
な格子間隔L2、L3の一例を、表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】ビーム整形素子1は、入射面側の回折格子
5で負のパワーを有し、放射面側の回折格子4で正のパ
ワーを有する。すなわち入射面側の回折格子5は、レー
ザビームの放射角を拡大し、放射面側の回折格子4は、
レーザビームの放射角を縮小する。
【0090】ビーム整形素子1の厚み方向一方側の面3
に沿って延びる面と厚み方向他方側の面2に沿って延び
る面とによって形成される傾斜角θによって、ビーム整
形素子1を厚み方向に通過するレーザビームには、幅方
向Yに光軸がずれる収差が生じる。したがって傾斜角θ
によって生じる収差が光ピックアップ装置の読み書きに
影響を与える角度より小さい角度に決定される。また傾
斜角θが小さすぎると、非点隔差、半導体レーザ素子3
1ごとに異なるレーザビームの中心周波数、パッケージ
の製造誤差などを補正するために調整するビーム整形素
子1の移動量が大きくなってビーム整形素子1自体が大
きくなり、十分な小型化ができない。小型化可能な傾斜
角θ以上に形成される。このように傾斜角θの値は、所
定の範囲内に選択される。
【0091】図9は、コリメータレンズ32の開口数
(NA)を変化させたときの傾斜角θとレーザビームの
収差との関係を示すグラフであり、図10は、傾斜角θ
を変化させたときのコリメータレンズ32の開口数(N
A)とレーザビームの収差との関係を示すグラフであ
る。レーザビームの収差の発生量は、コリメータレンズ
32の開口数(NA)にも依存する。傾斜角θが大きく
なるにつれて、レーザビームの収差がほぼ線形に増加す
る。またコリメータの開口数(NA)が大きい場合に
は、レーザビームの収差が小さくなる。光ピックアップ
装置30を構成する各光学素子で収差が発生することを
考慮に入れると、たとえば1つの光学素子で許容される
収差は、レーザの波長をλとすると、0.02λ[rm
s](Root MeanSquare)程度である。したがってコリメ
ータレンズ32で発生する収差が0.02λ[rms]以
下となるようにビーム整形素子1の傾斜角θおよびコリ
メータレンズの開口数(NA)が決定される。たとえば
図9に示すように、コリメータレンズ32の開口数(N
A)が0.15の場合は、傾斜角θは2度以下に決定さ
れる。
【0092】図11は、パッケージ38の高さが中心値
より+50μmであった場合の、傾斜角θの変化による
ビーム整形素子1の整形方向に移動する補正距離を示す
グラフである。傾斜角θが大きくなるにつれて、パッケ
ージ38の高さを補正するためにビーム整形素子1が移
動する移動量が減少する。パッケージ38の大きさが5
mmである場合には、その補正距離は、約5mm以下に
決定される。したがって傾斜角θは、0.8度以上に決
定される。
【0093】上述のような条件を満たすコリメータレン
ズの開口数(NA)とビーム整形素子1の傾斜角θの組
み合わせを表2に示す。表2において、○は上述の条件
を満たし、×は上述の条件を満たさない場合を示す。
【0094】
【表2】
【0095】図12は、レーザビームの中心波長が変化
した場合に、ビーム整形素子1を用いて光ディスク上の
収差が小さくなるように、ビーム整形素子1の位置調整
によってビーム径を調整した時のディスク上での収差を
示すグラフである。図12に示すように、レーザビーム
の中心波長が410±10μmの範囲において、ビーム
整形素子1の位置を調整することによって、傾斜角θが
1度の場合には、ディスク上の収差は、ほぼ一定で約
0.011[rms]となり、傾斜角θが1.5度の場合
には、ディスク上の収差は、ほぼ一定で約0.016
[rms]となる。したがってレーザビームの中心波長が
変動しても、ビーム整形素子1によって、光ディスク上
の収差をほぼ一定に補正することができる。
【0096】図13は、レーザビームごとに非点隔差が
変化した場合に、ビーム整形素子を用いてディスク上の
収差が小さくなるように、ビーム径を調整した時のディ
スク上での収差を示すグラフである。図13に示すよう
に、非点隔差が2±2μmの範囲において、傾斜角θが
1度の場合には、ディスク上の収差は、ほぼ一定で約
0.011λ[rms]となり、傾斜角θが1.5度の場
合には、ディスク上の収差は、ほぼ一定で約0.016
λ[rms]となる。したがってレーザビームの非点隔差
が変動しても、ビーム整形素子1によって、光ディスク
上の収差をほぼ一定に補正することができる。
【0097】図14は、パッケージ38の高さ位置が変
化した場合に、ビーム整形素子を用いてディスク上の収
差が小さくなるように、ビーム径を調整した時のディス
ク上での収差を示すグラフである。図14に示すよう
に、パッケージの高さが中心値から±50μmの範囲に
おいて、傾斜角θが1度の場合には、ディスク上の収差
は、ほぼ一定で約0.011λ[rms]となり、傾斜角
θが1.5度の場合には、ディスク上の収差は、ほぼ一
定で約0.016λ[rms]となる。したがってパッケ
ージの高さ位置が変化しても、ビーム整形素子1によっ
て、光ディスク上の収差をほぼ一定に補正することがで
きる。
【0098】図11〜図14に示すように、コリメータ
レンズ32の開口数(NA)を0.15、ビーム整形素
子1の整形比を2.0、ビーム整形素子の硝材をBK7
としたときには、ビーム整形素子1の傾斜角θを1度以
上でかつ2.5度未満とすれば、ビーム整形素子1が大
きくなりすぎず、またビーム整形素子1によって発生す
る収差の影響を小さくすることができる。本実施例で
は、半導体レーザユニットの誤差を考慮に入れて、傾斜
角θを1.5度とし、ビームの整形を好適に行うことが
できる。
【0099】図15は、本発明の他の実施の形態のビー
ム整形素子101を示す斜視図である。図15に示すビ
ーム整形素子101は、透光性を有する略板状に形成さ
れ、厚み方向両側の面は、第1方向に向かうにつれて多
段的に近接するように傾斜して形成される。ビーム整形
素子101は、平行に並び、対向する2つの側面10
6,107を有し、2つの側面106,107は、同一
形状に階段状に形成される。各側面106,107は、
直線に形成される1つの縁辺106d,107dと前記
縁辺106d,107dに沿って一方側に向かうにつれ
て、前記縁辺106d,107dから多段的に近接する
階段状縁辺106c,107cを有する。
【0100】ビーム整形素子101は、2つの側面10
6,107の対応する縁辺同士を結ぶ厚み方向両側の面
102,103と、幅方向両側の面108,109がそ
れぞれ形成される。ビーム整形素子101は、このよう
な2つの側面106,107と、側面106,107の
縁辺を結ぶ4つの面によって規定される短柱状に形成さ
れる。
【0101】2つの側面106,107に対して、垂直
な方向を長手方向Xとし、側面106,107の階段状
縁辺106c,107cが一方側に向かうにつれて、対
向する縁辺106d,107dから多段的に近接する方
向を厚み方向Zとし、側面106,107の沿って延び
るとともに、長手方向Xと厚み方向Zとにともに直交す
る方向を幅方向Yとする。
【0102】ビーム整形素子1の厚み方向Z一方側の面
103は、多段的に離反する側の縁辺106c,107
cと対向する縁辺106d,107dを結ぶ。厚み方向
Z他方側の面2は、各側面106,107の階段状縁辺
106c、107cを結び、幅方向Yに向かうにつれて
階段状に多段的に形成される。すなわち厚み方向一方側
の面102が幅方向Y一方側に向かうにつれて、厚み方
向他方側の面103に近接するように他段状に傾斜す
る。
【0103】厚み方向両側の面102,103には、回
折格子104,105がそれぞれ形成される。回折格子
104,105は、幅方向Yに沿って延びる複数の格子
104a,105aが形成される。複数の格子104
a,105aは、ビーム整形素子1の長手方向X中央部
から長手方向両側に向かうにつれて、格子間隔が小さく
なり、長手方向X中央部を幅方向Xに延びる対称軸に対
して、長手方向Xに対称に形成される。具体的には、回
折格子104,105によって厚み方向両側の面10
2,103にホログラムパターンが形成される。回折格
子104,105は、ブレーズ(Blaze)化されてお
り、特定の波長の光を特定の回折次数に集めて、光の進
行方向を変更する。鋸歯状のプリズムとして並べられ、
所定の波長を有する入射光が曲げられる方向と、たとえ
ば一次の回折光の方向とが一致するように形成される。
厚み方向他方側の面102によって形成される回折格子
104は、厚み方向他方側の面102に形成される段ご
とに形成され、各段ごとの回折格子部分の形状は、同じ
形状に形成される。
【0104】このような本発明の他の実施の形態のビー
ム整形素子101は、厚み方向他方側の面102が多段
に形成される構成のほかは、図1に示すビーム整形素子
1と同様の構成であり、同様の部分については、説明を
省略する。光ピックアップ装置30は、図1に示すビー
ム整形素子1に換えて、本発明の他の実施の形態のビー
ム整形素子101を有する構成であってもよい。本発明
の他の実施の形態のビーム整形素子101は、幅方向Y
に多段的に傾斜して形成されるので、図1に示すビーム
整形素子1と同様に、幅方向Yに移動させて調整するこ
とによって、レーザビームの非点隔差、波長変化および
パッケージの高さ位置の誤差などを補正することがで
き、図1に示すビーム整形素子1と同様の効果を得るこ
とができる。またビーム整形素子1の厚みが連続的に変
化せずに、多段的に変化するので、製造を容易に行うこ
とができる。
【0105】厚み方向他方側の面102は、仮想平面に
沿って形成され、所定の幅寸法dを有する複数の分割面
102a,102b,102cが形成される。隣り合う
分割面102a,102b,102cは、ビーム整形素
子1の厚み方向に所定の段差hを有する。分割面102
a,102b,102cの分割面の幅寸法dが狭すぎる
と、照射されるビームが2つの分割面にまたがり、良好
な非点隔差の補正ができない場合がある。また幅寸法d
が広すぎると、好適なビーム径に補正することができな
い。また前記段差hは、一つの分割面での補正範囲が限
られるので、段差の高さの上限値が定まり、段差hが小
さすぎると、ビーム径を補正するためにビーム整形素子
101を移動させる移動量が多くなる。
【0106】本発明の実施例では、半導体レーザ素子3
1からの入射するビーム径は、275μmであるので、
分割面の幅寸法dは、275μmよりも大きく形成され
る。また図5に示す実施例と同様の条件で、コリメータ
レンズ32の開口数(NA)を0.15とし、ビーム整
形素子101の厚みと、パッケージ38の高さが中心値
から50μm変化したときの収差の関係を表3に示す。
ここで収差は、レーザビームの波長λに実行値rmsを
掛けた値で表される。
【0107】
【表3】
【0108】表3に示すように、パッケージ高さが中心
値の±5μm以下の場合でも、収差を0.02λ以下に
することができる段差hは14μm未満であればよく、
なおパッケージ高さが中心値の±50μmであった場合
には、ビーム整形素子の厚さは±70μm必要である。
ビーム整形素子101が大きくならないためにビーム整
形素子101の移動距離を5mm以内とすると、5mm
以内に±70μmすなわち、140μmの厚さの変化を
持たせればよく、段差hのステップをnとすると次式を
満たせばよく、 nh>140μm …(3) nd<5mm …(4) 上式から d/h<35 …(5) となる。したがってコリメータレンズ32の開口数(N
A)を0.15としたときには、分割面の幅寸法dは、
275μmより大きく、段差hが14μmより小さく分
割面の幅寸法dを段差hで除算した値が、35よりも小
さく選択される。このように段差hと分割面の幅寸法d
とを選択することによって、ビームが2つの分割面にま
たがることなく、ビーム整形素子101が大きくなりす
ぎず、またビーム整形素子101で発生する収差の影響
を少なくすることができる。
【0109】図16は、本発明の実施のさらに他の形態
の光ピックアップ装置230の主要な構成を示す断面図
である。光ピックアップ装置230は、図5に示す本発
明のピックアップ装置30とほぼ同様の構成を示し同様
の構成については、同様の参照符号を付し、説明を省略
する。光ピックアップ装置230は、ビーム整形素子2
01および調整部材270を含んで構成される。ビーム
整形素子201は、図1に示すビーム整形素子1とほぼ
同様の形状を示す。光ピックアップ装置230を構成す
るビーム整形素子201は、図1に示すビーム整形素子
1と異なる構成として、厚み方向両側の面が予め定めら
れる仮想平面にほぼ平行に形成される。したがって厚み
方向両側に形成される回折格子も互いに平行に、幅方向
Yに沿って形成される。
【0110】光ピックアップ装置230において、レー
ザビームの進行方向に垂直な断面におけるビーム径を整
形する方向を整形方向とし、ビーム径を整形しない方向
を非整形方向とする。たとえば楕円形に放射されるビー
ム径の短軸が延びる方向が整形方向となり、ビーム径の
長軸が延びる方向が非整形方向となる。整形方向は、ビ
ーム整形素子201が配置された状態でビーム整形素子
201の長手方向Xに平行に延び、非整形方向は、ビー
ム整形素子201が配置された状態でビーム整形素子2
01の幅方向Yに平行に延びる。
【0111】また調整部材270は、ビーム整形素子2
01の厚み方向一方側の面203をビーム整形素子20
1の幅方向Yに向かうにつれてビーム入射光軸に沿う方
向に傾斜させ、ビーム整形素子201の幅方向Yと長手
方向Xとに、半導体レーザ素子31に対するビーム整形
素子201の位置を調整可能に保持する。また調整部材
270とビーム整形素子201とは、一体的に形成され
る。
【0112】図17は、ビーム整形素子201の長手方
向Xに垂直な切断面線で切断した光ピックアップ装置2
30の一部を示す断面図である。半導体レーザ素子31
を収容するパッケージ38は、ビーム入射光軸sと垂直
な基準面39が形成される。また基準面39部分をレー
ザビームが挿通するためのパッケージ導波路272が形
成される。調整部材270は、基準面39に当接し、調
整部材270をレーザビームが挿通するための調整部材
導波路271が形成される。調整部材270は、導波路
271の非整形方向両側に、ビーム入射光軸および非整
形方向を含む平面で切断した切断面の形状が3角形形状
または台形形状であるビーム整形素子201の第1保持
部272が形成される。各第1保持部272には、ビー
ム入射光軸に対して、非整形方向一方側に向かうにつれ
て傾斜する斜面273が形成される。各第1保持部27
2の斜面273は、ビーム入射光軸sに対して傾斜する
1つの仮想平面に接するようにそれぞれ傾斜して形成さ
れる。
【0113】前記斜面273は、ビーム整形素子201
の厚み方向一方側の面203が当接する。ビーム整形素
子201は、第1保持部272の斜面273に当接する
ことによって、その幅方向Yがビーム入射光軸sに対し
て傾斜するように形成される。また第1保持部272の
斜面273に対向する面274が、パッケージの基準面
39と当接する。
【0114】図18は、ビーム整形素子201の幅方向
Yに垂直な切断面線で切断した光ピックアップ装置23
0の一部を示す断面図である。調整部材270は、導波
路271の整形方向両側に、ビーム入射光軸および非整
形方向を含む平面で切断した切断面の形状が3角形形状
または台形形状であるビーム整形素子201の第2保持
部272が形成される。各第2保持部275には、ビー
ム入射光軸sに対して、非整形方向一方側に向かうにつ
れて傾斜する斜面276が形成される。各第2保持部2
75の斜面276は、ビーム入射光軸sに対して傾斜す
る1つの仮想平面に接するようにそれぞれ傾斜して形成
される。
【0115】このように第1および第2保持部材27
2,275の各斜面273,276とビーム整形素子2
01の厚み方向一方側の面が当接することによって、ビ
ーム整形素子201が、パッケージ38に保持される。
調整部材270は、整形方向および非整形方向に、ビー
ム整形素子201の位置を調整可能であり、半導体レー
ザ素子31から放射されるレーザビームの非点隔差に応
じて、ビーム整形素子201の位置を調整可能に形成さ
れる。
【0116】図19は、ビーム整形素子201の幅方向
Yに垂直な切断面線で切断し、ビーム整形素子1を透過
するレーザビームを示す断面図である。図20は、ビー
ム整形素子201の長手方向Xに垂直な切断面線で切断
し、ビーム整形素子201を透過するレーザビームを示
す断面図である。なお図19および図20では、厚み方
向両側の面202,203によって形成される各回折格
子を省略して示す。ビーム整形素子201は、幅方向Y
に対してビーム径を変化させずに、長手方向Xに対して
ビーム径を変形させる。
【0117】半導体レーザ素子31の出射点から放射す
るレーザビームは、PN接合面に平行な方向に整形方向
放射角a1を有して拡散し、PN接合面に垂直な方向に
非整形方向放射角a3を有して拡散する。それぞれの放
射角a1,a3は、ビーム径の周縁部と出射点とを結ぶ
周縁線H,Vと、出射点Oから延びる光軸の中心線Sと
の成す角度である。
【0118】出射点から出射したレーザビームは、ビー
ム整形素子201の入射面となる厚み方向一方側の面2
03に入射する。ビーム整形素子201の長手方向Xに
は、格子が並んで形成され、レーザビームは、ビーム整
形素子201の長手方向Xに対して変形する。したがっ
て図19に示すように、ビーム整形素子201に入射し
たレーザビームは、図示しない回折格子によって、整形
方向放射角a1が拡大される。これによって出射するレ
ーザビームは、拡大された整形方向放射角a2を有す
る。
【0119】またビーム整形素子201の幅方向Yに沿
って格子が形成され、幅方向Yに格子が並んで形成され
ないので、レーザビームは、ビーム整形素子201の幅
方向Yに対して変形しない。したがって図20に示すよ
うに、ビーム整形素子201に入射したレーザビーム
は、幅方向Yには回折格子の影響を受けず、非整形方向
放射角a3の変化が生じない。これによって出射するレ
ーザビームの非整形方向放射角a4は、入射時の非整形
方向放射角a3とほぼ同じ角度となる。
【0120】上述のように、レーザビームは、厚み方向
一方側の面203によって形成される回折格子を透過す
ることによって、非整形方向放射角a3が変化せずに、
整形方向放射角a1が広げられる。これによってレーザ
ビームは、厚み方向他方側の面202に達したときに、
長手方向Xのビーム径寸法L4と幅方向Yのビーム径寸
法L5とがほぼ同じ寸法に整形される。さらに厚み方向
他方側の面202によって形成される回折格子によっ
て、整形方向放射角が狭められる。これによって厚み方
向他方側の面202から出射されるレーザビームは、ビ
ーム整形素子1の長手方向Xおよび幅方向Yに対して、
ほぼ同じ径および同じ放射角とすることができる。
【0121】厚み方向Xのレーザビーム径および整形方
向放射角を変化させることによって、レーザビームの整
形方向の出射点O1に対して、整形後の見かけの出射点
Pを、図19に2点鎖線で示すようにずらすことができ
る。このように整形方向出射点O1と見かけの出射点P
との変化分ΔLを生じさせることによって、整形方向の
見かけの出射点Pと非整形方向出射点O2とのずれをな
くし、レーザビームの非点隔差を補正することができ
る。
【0122】図21は、ビーム整形素子201を幅方向
Yに移動させ、レーザビームがビーム整形素子201に
達するまでの距離を増加させた場合の、ビーム整形素子
1の幅方向Yに垂直な切断面線で切断し、ビーム整形素
子1を透過するレーザビームを示す断面図である。ビー
ム整形素子201は、ビーム入射光軸sに対して、非整
形方向に所定の角度φに傾斜して配置される。したがっ
てレーザビームがビーム整形素子201に達するまでの
距離を変化させることができる。ビーム整形素子201
を移動させて、レーザビームがビーム整形素子201に
達する距離を増加させることによって、図19に示す場
合に比べて、厚み方向他方側の面202に達したときの
整形方向のビーム径をより大きくすることができる。こ
れによって整形方向の出射点O1と、見かけの出射点P
との変化分ΔLを、図19に示す厚み方向Zの距離が短
い場合に比べて、小さくすることができる。したがって
レーザビームが透過するビーム整形素子201を幅方向
Yに移動させることによって、ビーム径の変化量を調整
することができる。
【0123】ビーム整形素子201は、調整部材270
の第1および第2の保持部材272,275の各斜面2
73,276に当接して一体的に固定されており、ビー
ム整形素子201を調整部材270とともに、ビーム入
射光軸に垂直な方向に位置調整することができる。調整
部材の斜面273,276に対向する面をパッケージ3
8の基準面に沿わせて移動させることによって、ビーム
入射光軸と、ビーム整形素子201との長手方向Xの位
置調整を容易に行うことができる。
【0124】またビーム整形素子201を幅方向Yに移
動させることによって、レーザビームがビーム整形素子
201に達するまでの距離を変化させることができ、整
形方向の出射点O1と見かけの出射点Pとの変化分ΔL
を変化させて、ビーム進行方向の位置調整を同時に行う
ことができる。
【0125】位置調整は、まずビーム整形素子201と
半導体レーザ素子31から出射されるレーザビームの入
射光軸とを合わせるために、ビーム整形素子201を整
形方向すなわちビーム整形素子1の長手方向Xに移動さ
せる。ビーム整形素子201は、幅方向Yに沿って各回
折格子4,5が形成されるので、ビーム整形素子201
の位置調整には、ビーム整形素子201を幅方向Yに移
動させる必要がなく、ビーム入射光軸とビーム整形素子
1とを合わせることができる。
【0126】次にビームの非点隔差を補正するために、
ビーム整形素子201を非整形方向すなわちビーム整形
素子201の幅方向Yに移動させる。ビーム整形素子2
01は、入射面となる厚み方向一方側の面203がビー
ム入射光軸sに対して、非整形方向に傾斜して形成され
るので、幅方向Yに移動させることによってビームがビ
ーム整形素子の入射面に達するまでの距離を変更させる
ことができる。これによって見かけの出射点Pの位置を
変化させることができ、非点隔差を補正することができ
る。このようにビーム整形素子201をビーム入射光軸
に垂直な面に沿う方向すなわち、整形方向および非整形
方向に移動させるだけで、ビーム径の整形を行うことが
できるので、ビーム進行方向、すなわちビーム整形素子
1の厚み方向Zに移動させる必要がなく、ビーム進行方
向に移動させるための冶具を備える必要がない。またパ
ッケージ38と調整部材270とを固定する場合にも、
固定用の冶具を設ける必要がなく、隙間が生じないの
で、接着剤による経時変化による劣化の影響を受けにく
い。
【0127】以上のように、ビーム整形素子201を、
ビーム光軸と合うように整形方向に位置調整し、ビーム
の非点隔差を補正するように非整形方向に位置調整する
ことによって、半導体レーザ素子31の個体ごとの誤差
も含めた非点隔差を補正することができる。また半導体
レーザ素子4ごとにレーザビームの中心波長が異なるで
あっても、上述のようにビーム整形素子1をビーム整形
素子1の幅方向Yに変化させることによって、レーザビ
ームがビーム整形素子201に達するまでの距離を変化
させることによって、ビーム径を良好に整形することが
できる。またパッケージ38の製造誤差、たとえば半導
体レーザ素子31の出射点Oから基準面39までの距離
である高さ位置のばらつきについても同様に補正するこ
とができる。
【0128】また本発明のビーム整形素子201と半導
体レーザ素子31とパッケージ38との位置を調整し、
非点隔差を補正したものを1つの半導体レーザユニット
として設けることによって、光ピックアップ装置230
の他の構成要素と半導体レーザユニットとの光軸を合わ
せるだけで、光ピックアップ装置230を組み立てるこ
とができ、光ピックアップ装置230の製造を容易に行
うことができる。
【0129】またユニット化せずに、本発明のビーム整
形素子201を光ピックアップ装置230に用いる場合
にも、上述のように位置を調整することによって、半導
体レーザ素子31の個体差に対応することができ、ビー
ム光軸方向にビーム整形素子1を移動させる必要がな
い。またビーム整形素子は、厚み方向にほぼ平行とした
が、ビーム入射面に対して傾斜して配置されればよく、
たとえば厚み方向に互いの面が近接する略くさび形状に
形成されてもよい。またビーム整形素子は、厚み方向両
側の面が平行に形成されることによって、より容易にか
つ精度を向上して製造することができる。
【0130】実施例として、ビーム整形素子201の回
折格子の断面形状は、図1に示すビーム整形素子1とほ
ぼ同様に形成される。異なる点は、ビーム整形素子20
1には、厚み方向両側の面がほぼ平行に傾斜され、傾斜
角θを有しない構成である。ビーム整形素子201は、
調整部材270によって、ビーム入射光軸に垂直な面に
対して、所定の傾斜が形成される勾配角φを有して配置
される。ビーム整形素子201を透過するレーザビーム
は、勾配角φに応じて収差が発生する。したがって勾配
角φによって生じる収差が光ピックアップ装置の読み書
きに影響を与える角度より小さい角度に決定される。ま
た勾配角φが小さすぎると、非点隔差、半導体レーザ素
子31ごとに異なるレーザビームの中心周波数、パッケ
ージの製造誤差などを補正するために調整するビーム整
形素子201の移動量が大きくなってビーム整形素子2
01およびそのユニット自体が大きくなり、十分な小型
化ができない。小型化可能な勾配角φ以上に形成され
る。このように勾配角φの値は、所定の範囲内に選択さ
れる。
【0131】図22は、コリメータレンズ32の開口数
(NA)を変化させたときの勾配角φとレーザビームの
収差との関係を示すグラフである。レーザビームの収差
の発生量は、コリメータレンズ32の開口数(NA)に
も依存する。勾配角φが大きくなるにつれて、レーザビ
ームの収差がほぼ線形に増加する。またコリメータの開
口数(NA)が大きい場合には、レーザビームの収差が
小さくなる。光ピックアップ装置230を構成する各光
学素子で収差が発生することを考慮に入れると、たとえ
ば1つの光学素子で許容される収差は、レーザの波長を
λとすると、0.02λ[rms](Root Mean Square)
程度である。したがってコリメータレンズ32で発生す
る収差が0.02λ[rms]以下となるようにビーム整
形素子201が傾斜する勾配角φおよびコリメータレン
ズの開口数(NA)が決定される。たとえば図22に示
すように、コリメータレンズ32の開口数(NA)が
0.15の場合は、勾配角φθは2度以下に決定され
る。
【0132】図23は、パッケージ38の高さが中心値
より+50μmであった場合の、勾配角φの変化による
ビーム整形素子201の整形方向に移動する補正距離を
示すグラフである。勾配角φが大きくなるにつれて、パ
ッケージ38の高さを補正するためにビーム整形素子2
01が移動する移動量が低下する。パッケージ38の大
きさが5mmである場合には、その補正距離は、約5m
m以下に決定される。したがって勾配角φは、図23よ
り約0.6度以上に決定される。
【0133】上述のような条件を満たすコリメータレン
ズの開口数(NA)とビーム整形素子1の勾配角φの組
み合わせを表4に示す。表4において、○は上述の条件
を満たし、×は上述の条件を満たさない場合を示す。
【0134】
【表4】
【0135】図24は、レーザビームの中心波長が変化
した場合に、ビーム整形素子を用いてディスク上の収差
が小さくなるように、ビーム径を調整した時のディスク
上での収差を示すグラフである。図24に示すように、
レーザビームの中心波長が410±10μmの範囲にお
いて、ビーム整形素子1の位置を調整することによっ
て、勾配角φが1度の場合には、ディスク上の収差は、
ほぼ一定で約0.008λ[rms]となり、勾配角φが
2度の場合には、ディスク上の収差は、ほぼ一定で約
0.016λ[rms]となる。したがってレーザビーム
の中心波長が変動しても、ビーム整形素子201によっ
て、光ディスク上の収差をほぼ一定に補正することがで
きる。
【0136】図25は、レーザビームごとに非点隔差が
変化した場合に、ビーム整形素子を用いてディスク上の
収差が小さくなるように、ビーム径を調整した時のディ
スク上での収差を示すグラフである。図25に示すよう
に、非点隔差が2±2μmの範囲において、勾配角φが
1度の場合には、ディスク上の収差は、ほぼ一定で約
0.008λ[rms]となり、勾配角φが2度の場合に
は、ディスク上の収差は、ほぼ一定で約0.016λ
[rms]となる。したがってレーザビームの非点隔差が
変動しても、ビーム整形素子201によって、光ディス
ク上の収差をほぼ一定に補正することができる。
【0137】図24および図25に示すように、コリメ
ータレンズ32の開口数(NA)を0.15、ビーム整
形素子201の整形比を2.0、ビーム整形素子の硝材
をBK7としたときには、ビーム整形素子201の勾配
角φを0.6度以上でかつ2.5度未満とすれば、ビー
ム整形素子201が大きくなりすぎず、またビーム整形
素子201によって発生する収差の影響を小さくするこ
とができる。本実施例では、勾配角φを1.5度とす
る。
【0138】上述の構成は、本発明の一例示に過ぎず、
発明の範囲内で構成を変えることができる。たとえば厚
み方向両側に形成される回折格子は、入射面側の回折格
子が整形方向放射角を縮小し、放射面側の回折格子が整
形方向放射角を拡大する構成であってもよい。また半導
体レーザ素子とビーム整形素子とは、ユニット化されて
いてもよく、またユニット化されていなくてもよい。ま
た光ピックアップ装置は、半導体レーザ素子に換えて、
半導体レーザ素子素子以外の光源であってもよい。
【0139】図26は、ビーム整形素子1の回折格子
4,5の製造工程を示す断面図であり、図26(1)〜
図26(3)の順に工程が進む。たとえばビーム整形素
子1の回折格子4,5は、多重マスクを用いたフォトエ
ッチングによってバイナリ型の回折格子が形成される。
回折格子4,5の製造工程は、たとえば硝材50を準備
する準備工程と、第1のマスク51による第1エッチン
グ工程と、第2のマスク52による第2エッチング工程
とを有する。
【0140】図26(1)に示すように、板状の硝材5
0が準備されることによって準備工程が完了し、第1エ
ッチング工程に進む。第1エッチング工程では、第1の
マスク51によって硝材50の厚み方向一方側が部分的
にエッチングされて、硝材50が部分的に除去されて、
凹部53と凸部54が形成される。エッチングが完了す
ると第2エッチング工程に進む。
【0141】第2エッチング工程では、第1のマスクよ
りも細かい第2のマスク52によって、エッチングが行
われる。エッチングによって凹部53および凸部54の
一部53a,54aが除去される。第2エッチング工程
では、第1エッチング工程よりも硝材50の厚み方向に
浅く除去されることによって、形成される厚み方向一方
側の部分は、4段の階段状に形成される。このようにフ
ォトエッチングによって階段状のマルチレベル回折格子
が形成される。本設計では、このような製造方法を用い
て、レーザビームの一次回折光の回折効率を最大となる
ように設計を行い、格子間隔が大きい部分には、回折効
率を優先して厚み方向に8段にするとともに、格子間隔
が小さい部分には、製造を容易に行うために、厚み方向
に4段とする。またこのような回折格子の溝の段数は、
上記記載に限定するものでなく、格子間隔および加工精
度によって4段、8段および16段などの他の段数に決
定してもよい。このように厚み方向両側の面に回折格子
を形成して、ビーム整形素子1を形成する。
【0142】回折格子の製造方法についても他の方法で
もよく、たとえばプラスチック金型による射出成形によ
って回折格子を製造してもよい。ビーム整形素子の金型
に溶かしたプラスチック材料を流し込み、温度を下げて
成形する。この方法では、1つの金型を製作することに
よって、ビーム整形素子を大量かつ容易に製造すること
ができ、生産性を向上することができる。金型は、前述
のフォトエッチングによる多段形状のマルチレベル回折
格子でもよく、また機械加工、たとえばバイトによって
形成してもよい。バイトによって回折格子形状を作成す
ることよって、鋸は状のブレーズ形状に形成することが
できるので、より回折効率の高い回折格子を製造するこ
とができる。
【0143】またエッチングによってブレーズ形状を作
成し、この形状を金属のスタンパに転写し、スタンパに
紫外線硬化樹脂を形状付与し、紫外線硬化させる、いわ
ゆるPhoto-Polymer法によってブレーズ化した回折格子
を形成してもよい。また電子ビームによってフォトレジ
ストを高精度に露光し、エッチングすることによって、
ほぼ無段階調のブレーズ型回折格子および多段形状のマ
ルチレベル型ともに作成可能である。
【0144】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ビーム整
形素子に回折格子が形成されることによって、ビーム径
を第1方向と第2方向とに対して、異なる割合で変形さ
せることができ、容易に整形することができる。たとえ
ば長軸と短軸とを有する楕円形状のビーム径に対して、
長軸と短軸の変形量を調整して、ビーム径を略円形状に
容易に整形することができる。
【0145】またビーム整形素子内を厚み方向に通過す
るビームに対して、ビーム整形素子を第1方向に相対的
に移動させることによって、第1方向に対する変形量を
変えることなく、第2方向に対してビーム径が変形する
変形量を調整することができる。これによってビーム源
の特性によってビーム径の形状および波長にばらつきが
ある場合においても、ビーム入射光軸方向にビーム径を
移動させることなく、第1方向にビーム整形素子を移動
させるだけで、容易にビーム径を調整することができ
る。
【0146】また本発明によれば、回折格子が厚み方向
両側の面によってそれぞれ形成されるので、第2方向に
対するビーム径の変形量を予め定められる変形量に容易
に設計することができる。たとえば厚み方向一方側から
他方側に透過するビームに対して、厚み方向一方側の回
折格子によって、厚み方向他方側の面に形成されるビー
ム径を設定し、厚み方向他方側の回折格子によって、ビ
ーム整形素子から放射されるレーザビームの放射角を設
定することができる。このように2つの回折格子を用い
ることによって、回折格子の設計を容易に行うことがで
きる。
【0147】また本発明によれば、ビーム整形素子の中
央部から放射するビームのビーム径を、ビーム整形素子
の中央部を含む第1方向に延びる軸線に対称に、ビーム
径を拡大または縮小させることができ、ビームの整形を
容易に行うことができる。
【0148】また本発明によれば、厚み方向一方側の面
から入射されたビームは、厚み方向一方側の面によって
形成される回折格子によって格子が並ぶ方向に発散さ
れ、発散されたビームが厚み方向他方側の面によって形
成される回折格子によって、格子が並ぶ方向に集光され
る。これによって厚み方向一方側の面によって形成され
る回折格子のピッチを広くすることができ、ビーム成形
素子を容易に製造することができる。
【0149】また本発明によれば、厚み方向両側の面
は、第1方向に向かうにつれて多段的に近接するように
傾斜するので、厚み方向両側の面の傾斜形状を容易に加
工することができ、上述のビーム整形素子を好適に実現
することができる。
【0150】また本発明によれば、入射されるビームの
非点隔差に応じて、ビームの形状を整形する非点収差を
有するので、ビームのビーム径を所定の形状に確実に整
形することができる。たとえば楕円形状に形成されるビ
ーム径を有するビームが厚み方向一方側からビーム整形
素子に入射した場合に、ビーム整形素子の非点収差によ
って、ビームを整形し、厚み方向他方側の面から放射さ
れるビームのビーム径を略円形に整形することができ
る。
【0151】また本発明によれば、半導体レーザユニッ
トが有するビーム整形素子が、入射面が放射面に対し
て、第1方向に向かうにつれて相互に近接するように傾
斜する。これによって、レーザビームのビーム径を第1
方向と第2方向とで異なる割合で、変形させることがで
き、容易にビーム径を整形することができる。たとえば
長軸と短軸とを有する楕円形状のビーム径に対して、長
軸と短軸の変形量を調整して、ビーム径を略円形状に容
易に整形することができる。
【0152】またビーム整形素子内を透過するビームに
対して、ビーム整形素子を第1方向に相対的に移動させ
ることによって、第1方向に対する変形量を一定に保持
した状態で、第2方向に対してビーム径が変形する変形
量を調整することができる。これによってビーム源の特
性によってビーム径の形状が均一でない場合において
も、第1方向にビーム整形素子を移動させるだけで、容
易にビーム径を調整することができる。同様にビーム源
の特性によって、レーザビームの波長が均一でない場合
においても、第1方向にビーム整形素子を移動させるだ
けで、容易にビーム径を調整することができる。また半
導体レーザユニットは、ビーム入射光軸方向にビーム整
形素子を移動させる必要がなく、光軸方向に移動させる
冶具を備える必要がない。さらに収差の発生およびビー
ム整形素子の移動によるビームの変形に対する悪影響
は、入射面と放射面との傾斜角を適切に決定することに
よって、その影響を抑えることができる。
【0153】また本発明によれば、半導体レーザユニッ
トが有するビーム整形素子が、入射面が第1方向に向か
うにつれてレーザビームの入射光軸に沿う方向に傾斜す
るので、レーザビームのビーム径を第1方向と第2方向
とで異なる割合で、変形させることができ、容易に整形
することができる。
【0154】またビーム整形素子内を厚み方向に通過す
るビームに対して、ビーム整形素子を第1方向に相対的
に移動させることによって、第1方向に対する変形量を
保持した状態で、第2方向に対してビーム径が変形する
変形量を調整することができる。
【0155】したがって半導体レーザの個体差によるビ
ーム径のばらつきを容易に調整することができ、半導体
レーザユニットから均一なビーム径を有するレーザビー
ムを放射することができる。またビーム入射光軸方向に
ビーム整形素子を移動させる必要がなく、光軸方向に移
動させる冶具を備える必要がない。さらに収差の発生お
よびビーム整形素子の移動によるビームの変形に対する
悪影響は、入射面と放射面との傾斜角を適切に決定する
ことによって、その影響を抑えることができる。
【0156】また本発明によれば、調整部材によってビ
ーム整形素子が入射光軸に沿う方向に傾斜され、第1方
向および第2方向に、半導体レーザ素子に対するビーム
整形素子の位置を調整可能に保持することによって、ビ
ーム整形素子と半導体レーザとの位置を容易に調整する
ことができる。これによって半導体レーザの個体差によ
るビーム径のばらつきを容易に調整することができ、半
導体レーザユニットから均一なビーム径を有するレーザ
ビームを放射することができる。またビーム入射光軸方
向にビーム整形素子を移動させる必要がなく、光軸方向
に移動させる冶具を備える必要がない。さらに収差の発
生およびビーム整形素子の移動によるビームの変形に対
する悪影響は、入射面と放射面との傾斜角を適切に決定
することによって、その影響を抑えることができる。
【0157】また本発明によれば、調整部材は、レーザ
ビームの導波路が形成されることによって半導体レーザ
素子からのレーザビームをビーム整形素子に導くことが
でき、また入射光軸および第1方向を含む平面で切断し
た切断面の形状が三角形状または台形形状に形成される
ことによって、ビーム整形素子が入射光軸に沿う方向に
傾斜して保持することを好適に実施することができる。
【0158】また本発明によれば、前記調整部材とビー
ム整形素子とが一体的に形成される。調整部材を移動さ
せることによって、ビーム整形素子を同時に移動させる
ことができ、ビーム整形素子に作業者が直接触れること
を防止することができる。これによってビーム整形素子
が損傷することを防止し、半導体レーザユニットの調整
を容易に行うことができる。またビーム整形素子と半導
体レーザとの間に接着剤などの樹脂材が混入することが
ないので、製造される半導体レーザユニットの信頼性を
向上させることができる。
【0159】また本発明によれば、半導体レーザユニッ
トが有するビーム整形素子は、入射面によって入射され
たレーザビームを、入射面によって形成される回折格子
によって格子が並ぶ方向に発散し、発散されたビームを
放射面によって形成される回折格子によって、格子が並
ぶ方向に集光する。これによって入射面によって形成さ
れる回折格子の格子間隔を広げることができ、容易に製
造することができる。
【0160】また本発明によれば、半導体レーザユニッ
トが有するビーム整形素子が、入射されるビームの非点
隔差に応じて、ビームの形状を整形する収差を有する。
これによってビームの形状を所定の形状に整形すること
ができる。たとえば楕円形状に形成されるビーム径を有
するビームが厚み方向一方側からビーム整形素子に入射
した場合に、ビーム整形素子の非点収差によって、ビー
ムを整形し、厚み方向他方側の面から放射されるビーム
のビーム径を略円形に整形することができる。
【0161】また本発明によれば、上述に記載の半導体
レーザユニットを光ピックアップ装置が有するので、ビ
ーム入射光軸に平行な方向にビーム整形素子を移動させ
る必要がなく、半導体レーザユニットの調整を容易に行
うことができる。
【0162】本発明によれば、上述のビーム整形素子を
用いて、ビーム整形素子を入射光軸に垂直な面すなわ
ち、第1方向および第2方向に移動させてビームの非点
隔差に応じた非点収差値に移動させて調整する。ビーム
整形素子は、第1方向に沿って回折格子が形成されるの
で、ビーム整形素子を第1方向に移動させた場合でもビ
ーム径を第1方向に変形することを規制することができ
る。
【0163】またビーム整形素子は、第1方向に移動さ
せることによって、格子が並ぶ方向となる第2方向に対
してビーム径の変化量を調節することができ、半導体レ
ーザの個体差に対応して、ビーム径を変形させることが
できる。したがって第1方向にビーム整形素子を移動さ
せることによって、第1方向と第2方向とに対してビー
ム径が変形する割合を変化させることができる。ビーム
整形素子を第2方向に移動させることによって、所定の
場所にビーム入射光軸をあわせて、ビームのビーム整形
素子に対する光軸合せを好適に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のビーム整形素子1を示
す斜視図である。
【図2】ビーム整形素子1の長手方向Xに垂直な切断面
線で切断した切断面10を示す断面図である。
【図3】ビーム整形素子1の幅方向Yに垂直な切断面線
で切断した切断面20を示す断面図である。
【図4】厚み方向一方側の面2を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の一形態の光ピックアップ装置3
0の主要な構成を示す断面図である。
【図6】ビーム整形素子1の幅方向Yに垂直な切断面線
で切断し、ビーム整形素子1を透過するレーザビームを
示す断面図である。
【図7】ビーム整形素子1の長手方向Xに垂直な切断面
線で切断し、ビーム整形素子1を透過するレーザビーム
を示す断面図である。
【図8】ビーム整形素子1を幅方向Yに移動させ、レー
ザビームがビーム整形素子1を透過する距離を増加させ
た場合の、ビーム整形素子1の幅方向Yに垂直な切断面
線で切断し、ビーム整形素子1を透過するレーザビーム
を示す断面図である。
【図9】コリメータレンズ32の開口数(NA)を変化
させたときの傾斜角θとレーザビームの収差との関係を
示すグラフである。
【図10】傾斜角θを変化させたときのコリメータレン
ズ32の開口数(NA)とレーザビームの収差との関係
を示すグラフである。
【図11】パッケージ38の高さが中心値より+50μ
mであった場合の、傾斜角θの変化によるビーム整形素
子1の整形方向に移動する補正距離を示すグラフであ
る。
【図12】レーザビームの中心波長が変化した場合に、
ビーム整形素子1を用いて光ディスク上の収差が小さく
なるように、ビーム整形素子の位置調整によってビーム
径を調整した時のディスク上での収差を示すグラフであ
る。
【図13】レーザビームごとに非点隔差が変化した場合
に、ビーム整形素子を用いてディスク上の収差が小さく
なるように、ビーム径を調整した時のディスク上での収
差を示すグラフである。
【図14】パッケージ38の高さ位置が変化した場合
に、ビーム整形素子を用いてディスク上の収差が小さく
なるように、ビーム径を調整した時のディスク上での収
差を示すグラフである。
【図15】本発明の他の実施の形態のビーム整形素子1
01を示す斜視図である。
【図16】本発明の実施のさらに他の形態の光ピックア
ップ装置230の主要な構成を示す断面図である。
【図17】ビーム整形素子201の長手方向Xに垂直な
切断面線で切断した光ピックアップ装置230の一部を
示す断面図である。
【図18】ビーム整形素子201の幅方向Yに垂直な切
断面線で切断した光ピックアップ装置230の一部を示
す断面図である。
【図19】ビーム整形素子201の幅方向Yに垂直な切
断面線で切断し、ビーム整形素子1を透過するレーザビ
ームを示す断面図である。
【図20】図20は、ビーム整形素子201の長手方向
Xに垂直な切断面線で切断し、ビーム整形素子201を
透過するレーザビームを示す断面図である。
【図21】ビーム整形素子201を幅方向Yに移動さ
せ、レーザビームがビーム整形素子201に達するまで
の距離を増加させた場合の、ビーム整形素子1の幅方向
Yに垂直な切断面線で切断し、ビーム整形素子1を透過
するレーザビームを示す断面図である。
【図22】コリメータレンズ32の開口数(NA)を変
化させたときの勾配角φとレーザビームの収差との関係
を示すグラフである。
【図23】パッケージ38の高さが中心値より+50μ
mであった場合の、勾配角φの変化によるビーム整形素
子201の整形方向に移動する補正距離を示すグラフで
ある。
【図24】レーザビームの中心波長が変化した場合に、
ビーム整形素子を用いてディスク上の収差が小さくなる
ように、ビーム径を調整した時のディスク上での収差を
示すグラフである。
【図25】レーザビームごとに非点隔差が変化した場合
に、ビーム整形素子を用いてディスク上の収差が小さく
なるように、ビーム径を調整した時のディスク上での収
差を示すグラフである。
【図26】図26は、ビーム整形素子1の回折格子4,
5の製造工程を示す断面図である。
【図27】従来の技術の整形プリズム60を示す断面図
である。
【図28】従来の技術のビーム整形素子70を示す断面
図である。
【図29】従来の技術のビーム整形素子70を示す平面
図である。
【符号の説明】
1,101,201 ビーム整形素子 2 厚み方向他側の面 3 厚み方向一方側の面 4 厚み方向他方側の回折格子 4a 格子 5 厚み方向一方側の回折格子 5a 格子 30,230 光ピックアップ装置 31 半導体レーザ素子 32 コリメータレンズ 33 対物レンズ 34 ビームスプリッタ 35 集光レンズ 36 ディテクタ 37 光ディスク X 長手方向 Y 幅方向 Z 厚み方向
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01S 5/022 G02B 27/00 E (72)発明者 岩木 哲男 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 北村 和也 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H049 AA03 AA04 AA14 AA37 AA39 AA45 AA48 AA57 AA65 AA68 5D117 AA02 CC07 HH01 KK03 5D119 AA11 AA22 AA38 BA01 EB03 JA06 5D789 AA11 AA22 AA38 BA01 EB03 JA06 5F073 AB27 BA04 EA18

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚み方向両側の面が、予め定める第1方
    向に向かうにつれて相互に近接するように傾斜し、第1
    方向に沿って延びる回折格子が形成されることを特徴と
    するビーム整形素子。
  2. 【請求項2】 前記回折格子は、厚み方向両側の面によ
    ってそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1記載
    のビーム整形素子。
  3. 【請求項3】 前記回折格子は、中央部から両側に向か
    うにつれて格子間隔が小さくなることを特徴とする請求
    項2記載のビーム整形素子。
  4. 【請求項4】 厚み方向一方側の面からビームを入射さ
    せた場合、厚み方向一方側の面によって形成される回折
    格子は、ビームを格子が並ぶ方向に発散させ、厚み方向
    他方側の面によって形成される回折格子は、格子が並ぶ
    方向にビームを集光させることを特徴とする請求項2ま
    たは3記載のビーム整形素子。
  5. 【請求項5】 厚み方向両側の面は、第1方向に向かう
    につれて多段的に近接するように傾斜することを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載のビーム整形素子。
  6. 【請求項6】 入射されるビームの非点隔差に応じて、
    ビームの形状を整形する非点収差を有することを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載のビーム整形素子。
  7. 【請求項7】 レーザビームを出射する半導体レーザ素
    子と、 レーザビームが入射される入射面および入射されたレー
    ザビームが放射される放射面が、レーザビームの入射光
    軸に垂直な第1方向に向かうにつれて相互に近接するよ
    うに傾斜し、第1方向に沿って延びる回折格子が形成さ
    れるビーム整形素子とを含むことを特徴とする半導体レ
    ーザユニット。
  8. 【請求項8】 レーザビームを出射する半導体レーザ素
    子と、 レーザビームが入射される入射面が、第1方向に向かう
    につれてレーザビームの入射光軸に沿う方向に傾斜し、
    入射光軸に垂直な第1方向に沿って延びる回折格子が形
    成されるビーム整形素子とを含むことを特徴とする半導
    体レーザユニット。
  9. 【請求項9】 レーザビームを出射する半導体レーザ素
    子と、 レーザビームが半導体レーザ素子から直進して入射され
    る入射面および入射されたレーザビームが放射される放
    射面が、相互に平行な仮想平面に沿うように形成され、
    レーザビームの入射光軸に垂直な第1方向に沿って延び
    る回折格子が形成されるビーム整形素子と、 ビーム整形素子を、入射面を第1方向に向かうにつれて
    入射光軸に沿う方向に傾斜させ、第1方向と第1方向お
    よび入射光軸に垂直な第2方向とに、半導体レーザ素子
    に対するビーム整形素子の位置を調整可能に保持する調
    整部材とを含むことを特徴とする半導体レーザユニッ
    ト。
  10. 【請求項10】 前記調整部材は、レーザビームの導波
    路が形成され、導波路の第1方向両側に、入射光軸およ
    び第1方向を含む平面で切断した切断面の形状が三角形
    状または台形形状であるビーム整形素子の保持部が形成
    されることを特徴とする請求項9記載の半導体レーザユ
    ニット。
  11. 【請求項11】 前記調整部材とビーム整形素子とが一
    体的に形成されることを特徴とする請求項9または10
    記載の半導体レーザユニット。
  12. 【請求項12】 ビーム整形素子は、入射面および放射
    面によって回折格子がそれぞれ形成され、入射面によっ
    て形成される回折格子はレーザビームを格子が並ぶ方向
    に発散させ、放射面によって形成される回折格子は格子
    が並ぶ方向にレーザビームを集光させることを特徴とす
    る請求項9〜11のいずれかに記載の半導体レーザユニ
    ット。
  13. 【請求項13】 前記調整部材は、半導体レーザ素子か
    ら放射されるレーザビームの非点隔差に応じて、第1お
    よび第2方向に、ビーム整形素子の位置を調整可能であ
    ることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の
    半導体レーザユニット。
  14. 【請求項14】 請求項7〜13のいずれかに記載の半
    導体レーザユニットと、 ビーム整形素子から放射されたレーザビームを平行光束
    とするコリメータレンズと、 平行光束となったレーザビームを集光し、対象物に照射
    する対物レンズとを有することを特徴とする光ピックア
    ップ装置。
  15. 【請求項15】 請求項7〜13のいずれかに記載の半
    導体レーザユニットの調整方法であって、 ビーム整形素子を入射光軸に垂直な面に沿って移動さ
    せ、レーザビームの非点隔差に応じた非点収差位置に移
    動させることを特徴とする半導体レーザユニットの調整
    方法。
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