JP2003119650A - 快適性に優れたポリエステル編み地 - Google Patents
快適性に優れたポリエステル編み地Info
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Abstract
保ちつつ、ギラツキ感、ベテベタ感、透明性を改善し、
適度の通気性と吸汗性能も併せ持つ、快適性に優れたポ
リエステル編み地を提供すること。 【解決手段】主としてポリエステル系偏平断面フィラメ
ント糸よりなる編み地であって、偏平度が3以上で単糸
繊度(dpf)及びカバーファクター(CF)が次式を
満足するポリエステル編み地。 0.343≦(dpf)3 ≦2.0×(偏平度) (式1) 0.035≦CF≦0.05 (式2) ここで(dpf)は構成繊維の単糸繊度(デシテック
ス)を示し、カバーファクターCF=8.25×10-5
×(C×W×D)0.5である。
Description
し、透け感、ギラツキ感のない特に快適性の優れ、肌着
に適したポリエステル系偏平断面マルチフィラメント編
み地に関する。
用、服装資材用等の織物は、通常の丸断面を用いたもの
に比べ独特の光沢感を有し、特異な風合いを付与するこ
とができるため、各用途で珍重されている。一方、原料
としてポリエチレテレフタレ−トを主成分とするポリエ
ステル系繊維は、そのイ−ジ−ケアー性やドライ感など
から、衣料用途に好んで用いられてきた。
の持つ光沢感や透明感、力学的異方性によってもたらさ
れるソフト感などを付与せんとして数多くのポリエステ
ル偏平断面糸が提案されている。例えば、特公昭42−
5250号公報、特開昭62−104918号公報には
光沢感や玉虫効果などの光学的審美感を表現する偏平断
面糸が提案されている。しかし、これらの偏平断面糸を
織物にした場合、偏平断面糸特有のベタベタ感やギラツ
キ感が発現し、衣料用織物としては不快なため、極めて
特殊な用途にしか展開できなかった。一方、特開昭53
−94623号公報および特開昭55−158330号
公報には艶消し剤を添加することによりベタベタ感やギ
ラツキ感、透明感を改善する技術が提案されているが、
得られた繊維は光沢のない粉っぽい風合いで、用途に限
られたものにしかならないばかりか、紡糸、延伸の操業
性を損なう欠点がある。これらを補う技術として、特開
平2−221411号公報では艶消し剤の量と偏平度の
組み合わせで改良する技術が提案されているが、基本的
な欠点要件は改善できず、満足なものではない。他方、
これらの問題を撚糸で改善する技術が特開昭56−15
9324号公報等に提案されているが、特開平2−19
510号公報に記載されている如く、偏平断面糸に施撚
すると偏平断面糸特有の撚り形態をとり、芯に偏平断面
繊維が積層構造をとり、その回りを他の偏平断面繊維が
偏平面で糸表面を覆う構造になるため、ベタベタ感やギ
ラツキ感の改善効果が少ない。また糸が緻密な繊維構造
となるため、用途が限られてしまう。また、一般に肌着
用の用途では公定水分率の点より蒸れ感の観点からポリ
エステルは嫌われ、ナイロン糸が用いられている。
きなかった、偏平断面糸特有のしなやかでソフトな風合
いを保ちつつ、ギラツキ感、ベテベタ感、透明性を改善
し、適度の通気性と吸汗性能も併せ持つ、快適性に優れ
たポリエステル編み地を提供することを目的とする。
からなる。 1.主としてポリエステル系偏平断面フィラメント糸よ
りなる編み地であって、偏平度が3以上で単糸繊度(d
pf)及びカバーファクター(CF)が次式を満足する
ことを特徴とする快適性に優れたポリエステル編み地。 0.343≦(dpf)3 ≦2.0×(偏平度) (式1) 0.035≦CF≦0.05 (式2) ここで(dpf)は構成繊維の単糸繊度(デシテック
ス)を示し、カバーファクターCF=8.25×10-5
×(C×W×D)0.5である。 2.偏平度が3〜7であることを特徴とする上記第1記
載の快適性に優れたポリエステル編み地。またこのフィ
ラメント糸のト−タル繊度は30〜150デシテックス
であり、構成編み組織がシングルニットであることがよ
り好ましい。
糸繊度のポリエステルフィラメント糸よりなり、特定の
編み密度とした編み地であることにある。偏平断面フィ
ラメント糸を編み地としてル−プを形成するとき、その
力学的異方性より必ず、偏平面が重なりあった状態で、
曲げ剛性の低い方に曲げられるため、ル−プ面に対し、
偏平面がおおむね直立する形態を取る。結果として編み
地表面には偏平断面糸の側面が覆うことになり、この構
造を安定に保つために、カバーファクターCFは0.035
以上とする必要がある。この構造が安定に保たれた編み
地は偏平面が繊維間で重なり合い、表面からほとんど見
えないことから、偏平断面糸特有のギラツキ感、ベテベ
タ感、透明性を改善することが出来、より細い繊維様の
触感、外観を得ることができる。またこの事は、ループ
を形成する繊維の外力に対応した曲がり易さにも繋が
り、ソフトな伸縮追従性と触感効果にも偏平断面糸特有
の効果として発揮される。カバーファクターCFが0.O5
を越えると編み地中の繊維の拘束力が働き、ソフト感
が阻害される。またこの繊維構造は繊維間の偏平面間に
形成されるスリット状の空隙は毛細管現象による吸水性
能も付与され、吸汗性能として快適性をも生み出す。偏
平繊維間に適度の空隙を付与する意味からもカバーファ
クターCFが0.05 以下とする必要がある。この事から
断面形状は第一図に示すような、卵型(図1a)やフィ
ルムスリット型(図1b)でも良いが、フィルムスリッ
ト型が好ましい。更には吸水した水分の移行性を高める
ため、偏平面に繊維軸方向に細溝や微細孔を設けること
は、より好ましい。
示する)は1つのル−プが占める編み地面積(S)に対
するループ糸の表面積(s)の比(s/S)で示され
る。Sは単位面積内のル−プ数の逆数であり、(1/
(C×W))で表現できる。ここでCは1インチ当たり
のコ−ス密度を、Wは1インチ当たりのウェール密度を
表す。ループ糸の表面積(s)はル−プ長(l )と見掛
け糸径(d)の積で表す。糸径(d)はル−プ形成糸の
ト−タル繊度(D)に比例し、ル−プ長(l )の2乗値
は単位面積内のル−プ数(C×W)に反比例するから、
CFはK2(C×W×D)0.5で表すことができる。こ
こでK2 は上記l と(C×W)の反比例常数及びdとD
の比例常数よりもとめK2 =8.25×10-5となる。
ちなみに、ここで言うト−タル繊度(D)はデシテック
スで表示される。編み地は必要により、部分的にメッシ
ュ組織部分を併用することも可能であるが、ここで言う
編み地密度はメッシュ組織部分を含まない部分の密度を
もって定義する。ト−タル繊度は30〜150デシテッ
クス以下であることが好ましい。
糸繊度と偏平度が重要である。偏平度は力学的異方性を
高める意味から高い方が好ましいが安定な生産性を保つ
意味で10限界であり、着用時の断面形状の保持性能か
ら7以下がこのましく、偏平断面の力学的異方性を保持
する意味から3以上が必要であり、偏平度は3以上、7
以下が最も好ましい。単糸繊度はソフトな風合いを発揮
する上で重要であるが、曲げモジュラスは偏平度とも関
連する。曲げモジュラスは次式(3)より求められる。 M=E・I (式3) ここでMは曲げモジュラスであり、Eは素材のヤング
率、Iは断面二次モ−メントを示し、断面形状を長辺を
a,短辺をbの長方形の場合、Iは(1/12・a ・b2)で
示され、偏平度=a/b,dpfはa×bに比例するこ
とを考慮すると曲げモジュラスを一定に保つ、偏平度と
dpfの関係を求めると(dpfmax )3 =K1 ×(偏
平度)が求まる。この関係に種々の試作結果より得られ
た風合い限界である偏平率とdpf値を5個求め、その
時のK1 の平均値として(K1 =2.0 )を求めた。
この式に偏平度の最も好ましい値の3から7を代入する
と1.5から2.4デシテックスとなるが、よりソフト
な風合いを得るにはより細い繊度が適している。しかし
ながら、繊度が0.7デシテックス未満になると紡糸や
延伸時の操業性が著しく悪くなることや偏平糸のサラリ
とした触感効果や吸汗性能が損なわれることから、繊度
は0.7デシテックスが下限であり、繊度(dpf)と
偏平度の間には(1)式を満たす必要がある。
性重合体としては、主たる成分がポリエチレンテレフタ
レートからなる、公知の重合方法で得られるポリマーで
あるが、本発明の目的を損なわない範囲で他の第3成分
を共重合しても良い。具体的にはエチレンテレフタレー
トを主たる繰り返し単位とし、シュウ酸、セバシン酸、
フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸類、ジエチ
レングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコ
ール類、ビスフェノールAまたはビスフェノールAのエ
チレンオキサイド付加物などのフェノール類、ヒドロキ
シ安息香酸などのオキシカルボン酸等があげられるが、
これに限られるものではない。また5−ソジュームスル
ホイソフタレ−トなどの金属スルホネ−ト基等を導入し
ても良い。また複数種の成分の共重合も可能である。必
要により艶消し剤、微細孔形成剤、顔料等も添加するこ
とも可能である。特に編み地の仕上げ時に親水加工剤で
処理することはより好ましい。
範囲を特に限定するものではない。なお、本発明で用い
る特性値である触感、光沢感、吸汗性は、次の測定方法
に従って測定した。 A.触感、光沢感 両官能量とも実施例−1と同じ、ト−タルデニール、同
じ単糸繊度で同じ編み密度で仕上げした丸編み地を「普
通」として「極めて劣る」「劣る」「普通」「良い」
「極めて良い」の5段階で評価した。 B.吸汗性 JIS L 1907に記載される滴下法で布帛表面に
滴下した水滴の消失時間を測定した。
−ル中の固有粘度が0.63であり、艶消し剤として酸
化チタンを0.3重量%含有するポリエチレンテレフタ
レ−トチップを用い、スリット幅が0.07mm,スリ
ット長が0.84mmのスリット型オリフィスを48孔
有する紡糸口金より、紡糸温度277℃で押し出し、第
一ロ−ラーで2800m/min.で巻き取り、引き続
いて100℃の第二ロ−ラー及び150℃の第三ロ−ラ
ーで巻き取り、偏平率が5.2の66デシテックス(以
下dTと表示する)48フィラメント(以下Fと表示す
る)の延伸糸を得た。この糸を用い、28ゲ−ジ(以下
Gと表示する)のシンカ−台丸編み機で天竺組織の編み
地を得た。この編み地を常法で精練、プレセット、染
色、ファイナルセットして、編み密度が65C/in,4
8W/inを得た。この編み地の触感、光沢、吸汗性の評
価結果を第一表に示した。この編み地より作成したTシ
ャツを着て、テニスをして着用感を評価したところ、肌
触りがソフトで発汗時にも肌離れ性に優れた快適な着心
地を示した。
以外は実施例−1と全く同法で、偏平率が5.0の50
dT48Fの延伸糸を得た。この糸をフロント糸とバッ
ク糸双方にもちいて32Gのトリコット機でデンビ−組
織の経編み地を得。実施例−1と全く同法で仕上げ加工
をして、編み密度が62C/in,58W/inを得た。こ
の編み地でサッカーユニホームのアンダ−シャツとして
着用、評価したところ、蒸れ感の少ない、快適な着心地
との評価を得た。この編み地の触感、光沢、吸汗性の評
価結果を第一表に示した。
及び緯糸とし、平織り組織で製織し、実施例−1と同法
で仕上げ加工して経糸密度が110本/in、緯糸密度が
98本/inの織物を得た。この布帛の触感、光沢、吸汗
性の評価結果を第一表に示したが触感はプラスチック様
のヌメリ感があり、布表面もギラギラした光沢となり、
衣料用として使えそうにもない布帛でしかなかった。同
布帛でテニスパンツとして着用したが、肌にまとわりつ
き、不快と判定された。
m、スリット長は4.0mmのオリフィスを持つ紡糸口
金とした以外は実施例−1と同法で、偏平率が2.2の
66dT−48Fの延伸糸を得、実施例−1と同法で編
成、仕上げ加工して実施例−1と同一の編み組織、編み
密度の編み地を得た。この編み地の触感、光沢、吸汗性
の評価結果を第一表に示したが比較対象とした丸断面糸
のそれと大差ない結果となり、特徴がなかった。
密度を粗とした以外は実施例−1と同法で仕上げ編み地
を得た。この編み地の編み密度は35C/in 38W/
inであった。この編み地の触感、光沢、吸汗性の評価結
果を第一表に示したが触感はややぬめり、光沢のややギ
ラツク方向となりたらついた風合いとなり、実用性に欠
けた結果となった。
密度を粗とした以外は実施例−1と同法で仕上げ編み地
を得た。この編み地の編み密度は90C/in 70W/
inであった。この編み地の触感、光沢、吸汗性の評価結
果を第一表に示したが触感はぬめり感はないものの、ソ
フト感に欠けていた。また吸汗性が著しく低下してお
り、目的に反する編み地であった。
断面糸特有のしなやかでソフトな風合いを保ちつつ、ギ
ラツキ感、ベテベタ感、透明性を改善し、適度の通気性
と吸汗性能も併せ持つ、快適性に優れたポリエステル編
み地である。
モデル図。
Claims (2)
- 【請求項1】主としてポリエステル系偏平断面フィラメ
ント糸よりなる編み地であって、偏平度が3以上で単糸
繊度(dpf)及びカバーファクター(CF)が次式を
満足することを特徴とする快適性に優れたポリエステル
編み地。 0.343≦(dpf)3 ≦2.0×(偏平度) (式1) 0.035≦CF≦0.05 (式2) ここで(dpf)は構成繊維の単糸繊度(デシテック
ス)を示し、カバーファクターCF=8.25×10-5
×(C×W×D)0.5である。 - 【請求項2】偏平度が3〜7であることを特徴とする請
求項1記載の快適性に優れたポリエステル編み地。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001317151A JP3874165B2 (ja) | 2001-10-15 | 2001-10-15 | 快適性に優れたポリエステル編み地 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001317151A JP3874165B2 (ja) | 2001-10-15 | 2001-10-15 | 快適性に優れたポリエステル編み地 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2003119650A true JP2003119650A (ja) | 2003-04-23 |
JP3874165B2 JP3874165B2 (ja) | 2007-01-31 |
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ID=19135069
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001317151A Expired - Lifetime JP3874165B2 (ja) | 2001-10-15 | 2001-10-15 | 快適性に優れたポリエステル編み地 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3874165B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009174067A (ja) * | 2008-01-22 | 2009-08-06 | Kuraray Co Ltd | 快適性編物 |
JP2013049929A (ja) * | 2011-08-31 | 2013-03-14 | Toyobo Specialties Trading Co Ltd | 発汗時に快適な衣料用編物 |
-
2001
- 2001-10-15 JP JP2001317151A patent/JP3874165B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009174067A (ja) * | 2008-01-22 | 2009-08-06 | Kuraray Co Ltd | 快適性編物 |
JP2013049929A (ja) * | 2011-08-31 | 2013-03-14 | Toyobo Specialties Trading Co Ltd | 発汗時に快適な衣料用編物 |
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---|---|
JP3874165B2 (ja) | 2007-01-31 |
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