JP2003113850A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 センサのための電力供給用ハーネスを外部に
接続する必要がなく、ワイヤレス化を図れる転がり軸受
を提供する。 【解決手段】 この転がり軸受では、シール部7のゴム
シール14の周方向の所定位置に形成された開口16に
熱起電素子としてのペルチェ素子15が嵌合,固定され
ている。このペルチェ素子15の内側面15Aは芯金1
3に固定されており、外側面15Bは軸方向外側を向い
ている。このペルチェ素子15は、内側面15Aと外側
面15Bとの温度差に応じて起電力を発生し、その起電
力を出力線18に出力する。この出力線18は、コンデ
ンサ20に接続され、このコンデンサ20は電気配線2
9で振動センサ21に接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、たとえば、振
動,音,温度等を検出するセンサを有する転がり軸受に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、軸受の温度や軸受から発生する振
動などを検出するセンサを備え、このセンサが出力する
信号でもって、軸受の異常等を検知できるようにした転
がり軸受がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このセンサ
のための電力供給用ハーネスを外部に接続する必要があ
ることから、ワイヤレス化の障害となっていた。
【0004】そこで、この発明の目的は、センサのため
の電力供給用ハーネスを外部に接続する必要がなく、ワ
イヤレス化を図れる転がり軸受を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明の転がり軸受は、転動体と、この転
動体が転動する軌道面を有する回転輪および固定輪と、
センサとを備え、転がり軸受の内部と外部との温度差に
応じて起電力を発生し、上記センサに電力を供給する熱
起電素子を備えたことを特徴としている。
【0006】この請求項1の発明の転がり軸受では、転
がり軸受の内部と外部との温度差に応じて起電力を発生
する熱起電素子が、センサに電力を供給する発電機構と
なるから、センサのための電力供給用ハーネスを外部に
接続する必要がなく、センサが出力する信号を無線送信
する回路を設けることで、ワイヤレス化を図れる。
【0007】また、請求項2の発明は、請求項1に記載
の転がり軸受において、上記熱起電素子が温度センサを
兼ねていて、上記熱起電素子が出力する起電力を上記温
度差を表す信号としたことを特徴としている。
【0008】この請求項2の発明の転がり軸受では、上
記熱起電素子が出力する起電力を上記温度差を表す信号
としたから、上記熱起電素子が温度センサを兼ねること
ができる。
【0009】また、請求項3の発明は、請求項1または
2に記載の転がり軸受において、上記センサが出力する
信号を無線送信する送信回路を有し、上記熱起電素子は
上記送信回路に電力を供給することを特徴としている。
【0010】この請求項3の発明の転がり軸受では、上
記センサが出力する信号は、上記熱起電素子によって電
力が供給される送信回路から無線送信されるから、ワイ
ヤレス化を促進できる。
【0011】また、請求項4の発明の転がり軸受は、転
動体と、この転動体が転動する軌道面を有する回転輪お
よび固定輪と、センサとを備え、転がり軸受の内部と外
部との温度差に応じて発生する起電力を温度差を表す信
号とするとともに、上記温度差を表す信号を無線送信す
る送信回路に電力を供給する熱起電素子を備えたことを
特徴としている。
【0012】この請求項4の転がり軸受では、上記熱起
電素子が、温度差を表す信号を出力する温度センサとし
ての役割と、上記送信回路に電力を供給する電力源とし
ての役割とを兼ねることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。
【0014】図1に、この発明の転がり軸受の実施形態
の断面を示す。この実施形態の転がり軸受は、回転輪と
しての内輪1と、固定輪としての外輪2と、内輪1の軌
道面1Aと外輪2の軌道面2Aとの間に周方向に所定間
隔を隔てて複数配列された玉3と、この玉3を保持する
保持器5とを備えている。
【0015】上記内輪1と外輪2との間には、軸方向の
両端にシール部6,7が配置されている。このシール部
6は、芯金11とゴムシール12からなり、その基部6
Aは、外輪2の内周面の軸方向の一端に形成された環状
溝8に固定され、先端部6Bは内輪1の外周面に摺接し
ている。また、シール部7は、芯金13とゴムシール1
4からなり、その基部7Aは、外輪2の内周面の軸方向
の他端に形成された環状溝10に固定され、先端部7B
は内輪1の外周面に摺接している。シール部6と7の間
には、潤滑剤として例えばグリースが封入されている。
【0016】また、シール部7は、ゴムシール14の周
方向の所定位置に形成されたゴムシール14の開口16
に楔形状の断熱部材28,29が嵌合されている。熱起
電素子としてのペルチェ素子15は、この断熱部材28
と29に挟まれ、あるいは囲まれた状態で、その内側面
15Aが芯金13に、例えば接着により固定されてい
る。
【0017】このペルチェ素子15の外側面15Bは軸
方向外側を向いている。このペルチェ素子15は、内側
面15Aと外側面15Bとの温度差に応じて起電力を発
生し、その起電力を出力線18に出力する。この出力線
18は、コンデンサ20に接続され、このコンデンサ2
0は電気配線30で振動センサ21に接続されている。
【0018】このコンデンサ20と振動センサ21は、
取り付け板22の径方向部23の内側面23Aに固定さ
れている。この内側面23Aは上記玉3に向いている。
また、この取り付け板22の軸方向部24は、外輪2の
軸方向の端面2Cに固定されている。また、この取り付
け板22の径方向部23の外側面23Bには、カバー部
25が固定され、このカバー部25の底部25Aは内輪
1の軸方向の端面1Cに対して所定の隙間を隔ててお
り、軸方向に延在している。
【0019】図3に示すように、このカバー部25は、
上記コンデンサ20および振動センサ21を周方向の両
側から覆う覆い部25C,25Dを有している。
【0020】また、上記出力線18は、信号線19に接
続されており、ペルチェ素子15から信号線19に出力
された電圧は温度信号として外部に取り出される。
【0021】なお、この信号線19を、図1に一点鎖線
で示す信号無線送信部26に接続して、上記温度信号を
無線送信するようにすれば、外部に接続される電力供給
用ハーネスだけでなく、信号線もなくすることができ、
ワイヤレス化を実現できる。
【0022】この実施形態の転がり軸受によれば、熱起
電素子としてのペルチェ素子15が、その内側面15A
の温度と外側面15Bの温度との温度差に応じて、起電
力を発生する。この温度差と起電力との関係の一例を、
図2に示す。この実施形態によれば、シール部7にペル
チェ素子15を配置したことで、シール部7の外側の温
度と内側の温度(特に、潤滑剤の温度)を感知し易くな
り、発電効率の向上を図れるとともに温度差検出精度の
向上を図れる。
【0023】この実施形態では、このペルチェ素子15
が、出力線18からコンデンサ20に電力を供給し、こ
のコンデンサ20から振動センサ21に電力を供給する
から、振動センサ21のための電力供給用ハーネスを外
部に接続する必要がなく、ワイヤレス化を図れる。な
お、この振動センサ21は、外輪2から取り付け板22
を経由して伝達される振動を検出して、この振動を表す
信号を出力する。この信号は、図示しない信号線から外
部へ伝送される。もしくは、上記信号は上記信号無線送
信部26から無線信号として外部へ伝送される。
【0024】また、この実施形態では、上記ペルチェ素
子15が温度センサを兼ねていて、上記ペルチェ素子1
5が出力する起電力を上記温度差を表す信号として、信
号線19から外部に伝送する。したがって、上記ペルチ
ェ素子15が温度センサを兼ねることができる。
【0025】また、上述したように、信号無線送信部2
6を取り付け板22に固定し、この信号送信部26に信
号線19を接続して、この信号無線送信部26から上記
温度差を表す信号を外部に無線送信するようにすれば、
ワイヤレス化を実現できる。
【0026】また、図3に示すように、上記実施形態で
は、シール部7の開口16を周方向に複数個形成して、
この複数個の開口16に複数個のペルチェ素子15を配
置して配線9でもって直列接続している。これにより、
出力電圧を増加させることができる。なお、この実施形
態では、カバー部25が1つのペルチェ素子15を覆う
ようにしたが、このカバー部25を周方向の全周に渡っ
て延長させ、すべてのペルチェ素子を覆うようにしても
よい。もっとも、図3に示すように、カバー部25で図
1に示した1つのペルチェ素子15だけを覆い、他のペ
ルチェ素子15の外側面15Bは、外気に露出して触れ
させた方が空冷効果により冷えるから、外側面15Bと
内側面15Aとの温度差を増すことができ、感度の向上
を図れる。
【0027】また、この実施形態では、シール部7にペ
ルチェ素子15を嵌め込んで一体化したが、固定輪とし
ての外輪2の外周面2Bにペルチェ素子15を固定して
もよい。この場合、外周面2Bにペルチェ素子15の内
側面15Aを固定する。また、図1に破線で示すよう
に、外輪2の外周面2Bに凹部27を形成し、この凹部
27にペルチェ素子15を配置して、この凹部27の底
面27Aに、ペルチェ素子15の内側面15Aを固定し
てもよい。この場合、ペルチェ素子15の内側面15A
を軌道面2Aに接近させることができ、外側面15Bを
空冷できるから、軌道面2Aの温度を感知し易くなると
ともに、検出する温度差を増大でき、出力電圧を大きく
できるから、出力電力の増大と温度差検知感度の向上を
図れる。
【0028】また、上記実施形態では、内輪1を回転輪
とし、外輪2を固定輪としたが、内輪1を固定輪とし外
輪2を回転輪としてもよい。この場合には、ペルチェ素
子15を内輪1に固定すればよい。また、上記実施形態
では、熱起電素子としてペルチェ素子を用いたが、軸受
の内部と外部の温度差に応じて起電力を発生する素子で
あれば、この発明の熱起電素子として採用できる。ま
た、上記実施形態では、振動センサ21を備えたが、熱
起電素子から電力を供給するセンサとしては、内輪と外
輪の相対回転を検出する回転センサや、軸受から発生す
る超音波を検出する超音波センサや温度センサであって
もよい。
【0029】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1の発
明の転がり軸受は、センサに電力を供給する発電機構と
なるから、センサのための電力供給用ハーネスを外部に
接続する必要がなく、センサが出力する信号を無線送信
する回路を設けることで、ワイヤレス化を図れる。
【0030】また、請求項2の発明の転がり軸受では、
上記熱起電素子が出力する起電力を上記温度差を表す信
号としたから、上記熱起電素子が温度センサを兼ねるこ
とができる。
【0031】また、請求項3の発明の転がり軸受では、
上記センサが出力する信号は、上記熱起電素子によって
電力が供給される送信回路から無線送信されるから、ワ
イヤレス化を促進できる。
【0032】また、請求項4の発明の転がり軸受では、
上記熱起電素子が、温度差を表す信号を出力する温度セ
ンサとしての役割と、上記送信回路に電力を供給する電
力源としての役割とを兼ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の転がり軸受の実施形態の断面図で
ある。
【図2】 上記実施形態が備えるペルチェ素子の特性の
一例を示す図である。
【図3】 上記実施形態を軸方向に見た様子を示す部分
側面図です。
【符号の説明】
1…内輪、1A…軌道面、2…外輪、2A…軌道面、3
…玉、5…保持器、6,7…シール部、15…ベルチェ
素子、16…開口、18…出力線、19…信号線、20
…コンデンサ、21…振動センサ、22…取り付け板、
25…カバー部、26…信号無線送信部。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転動体と、この転動体が転動する軌道面
    を有する回転輪および固定輪と、センサとを備え、 転がり軸受の内部と外部との温度差に応じて起電力を発
    生し、上記センサに電力を供給する熱起電素子を備えた
    ことを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の転がり軸受において、 上記熱起電素子が温度センサを兼ねていて、上記熱起電
    素子が出力する起電力を上記温度差を表す信号としたこ
    とを特徴とする転がり軸受。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の転がり軸受に
    おいて、 上記センサが出力する信号を無線送信する送信回路を有
    し、上記熱起電素子は上記送信回路に電力を供給するこ
    とを特徴とする転がり軸受。
  4. 【請求項4】 転動体と、この転動体が転動する軌道面
    を有する回転輪および固定輪と、センサとを備え、 転がり軸受の内部と外部との温度差に応じて発生する起
    電力を温度差を表す信号とするとともに、上記温度差を
    表す信号を無線送信する送信回路に電力を供給する熱起
    電素子を備えたことを特徴とする転がり軸受。
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