JP2003113400A - 樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組成物、洗浄方法及び該洗浄剤組成物の再生方法 - Google Patents

樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組成物、洗浄方法及び該洗浄剤組成物の再生方法

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JP2003113400A
JP2003113400A JP2001306501A JP2001306501A JP2003113400A JP 2003113400 A JP2003113400 A JP 2003113400A JP 2001306501 A JP2001306501 A JP 2001306501A JP 2001306501 A JP2001306501 A JP 2001306501A JP 2003113400 A JP2003113400 A JP 2003113400A
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resin
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Kiyomi Miyake
紀代美 三宅
Masahiro Oya
真広 大矢
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SANSAI KAKO CO Ltd
SANSAI KAKO KK
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SANSAI KAKO CO Ltd
SANSAI KAKO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】引火性がなく、人体や環境への悪影響を低減
し、汚れ成分に対する優れた洗浄性を示す樹脂レンズ成
形用ガラスモールド用の洗浄剤組成物を提供する。 【解決手段】 (a)ベンジルアルコール55〜83重量
%、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35〜1
0重量%及び(c)水10〜50重量%を含む洗浄剤組成
物、又は (a)ベンジルアルコール55〜83重量%、
(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35〜10重
量%、(c)水10〜50重量%及び(d) モノ(C2〜C4アル
カノール)アミン、ジ(C2〜C3アルカノール)アミン、ト
リ(C2〜C3アルカノール)アミン、シクロヘキシルアミ
ン、シクロヘキシルアミンC2-C3アルキレンオキシド付
加物及びエチレンジアミンC2-C3アルキレンオキシド付
加物から選ばれた少なくとも1種5〜20重量%を含む
洗浄剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は洗浄剤組成物に関す
るものであり、さらに詳しくは樹脂レンズ成形用ガラス
モールド洗浄剤組成物に残る樹脂の重合体や未重合体、
樹脂レンズ成形に起因する触媒などの汚垢、油、油脂、
接着剤、粘着剤、潤滑剤、剥離剤、離型剤等の脱脂や除
去に関して優れた洗浄性を持つ樹脂レンズ成形用ガラス
モールド洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂レンズ成形用のモールドの洗
浄に関しては、メチレンクロライドやトリクロロエタン
に代表される塩素系溶剤が使用されてきた。樹脂レンズ
に使われる樹脂は主にアクリル樹脂、ポリカーボネー
ト、チオエステル樹脂、チオウレタン樹脂、メタクリル
樹脂、スチロール樹脂、SAN樹脂、ジアリルグリコー
ルカーボネート樹脂等であり、塩素系溶剤は洗浄困難な
樹脂重合物や未重合物の汚れの溶解力に富み比較的低温
度で蒸留再生できるという特徴を有していた。また塩素
系溶剤は引火性を持たないため安全に作業ができるとい
う利点も有している。 しかしながら、塩素系溶剤は、
人体への影響や環境への影響等に対する問題があること
から、その製造が法的に規制されるようになった。
【0003】そこで、これら塩素系溶剤の代替として、
パラフィン系炭化水素溶剤やリモネンに代表されるよう
な天然溶剤による洗浄、または、アルカリ金属水酸化物
水溶液などのアルカリ水溶液による洗浄が主流となっ
た。これらは極性の高い溶剤の樹脂に対する溶解力を利
用したり、アルカリ金属水酸化物の水溶液によって樹脂
や未重合の樹脂を分解し除去する方法である。
【0004】しかしながら、パラフィン系炭化水素溶剤
やリモネン等の天然溶剤は、引火性を有するために安全
に利用できないという欠点があり、また、アルカリ金属
水酸化物水溶液などのアルカリ水溶液は、高濃度で加熱
の状態を必要とするため、ガラス製のモールドはエッチ
ングを起こし寿命が短くなる。また、アルカリ金属水酸
化物は、呼吸器系障害を起こす等人体に対して危険度が
高く、また、濯ぎが不充分であると無機質のアルカリ金
属水酸化物が残留するという欠点がある。また、無機質
のアルカリ金属水酸化物水溶液は、蒸留再生が不可能で
あり、塩素系溶剤の代替洗浄というには、工業的には不
充分であった。
【0005】そのため、近年は、強アルカリで水に可溶
で濯ぎ性がよい有機アルカリである水酸化テトラメチル
アンモニウム(tetramethylammonium hydroxide;以下
「TMAH」という場合がある)が使用されるようになって
きている。例えば、特開昭60−106896号におい
ては、ハロゲン化炭化水素、界面活性剤及び第四級アン
モニウムハイドロキサイドを含有する洗浄剤組成物が記
載されている。しかし、この洗浄剤組成物もハロゲン化
炭化水素を使用しているので、前記人体への影響や環境
への影響等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、引火
性を解消し、人体や環境への悪影響が低減され、樹脂レ
ンズ成形用ガラスモールドに残る樹脂の重合体及び未重
合体、樹脂レンズ成形に起因する触媒などの汚垢、油、
油脂、接着剤、粘着剤、潤滑剤、剥離剤、離型剤等の脱
脂や除去に関して優れた洗浄性を持つ樹脂レンズ成形用
ガラスモールド洗浄剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、次の知見を得た。
【0008】(a)ベンジルアルコール、(b)水酸化テト
ラメチルアンモニウム及び(c)水を特定割合で含有する
洗浄剤組成物は、引火性を有さず、人体や環境への悪影
響を低減し、樹脂レンズ成形用モールドの洗浄性が極め
て高い。
【0009】また、上記(a)ベンジルアルコール、
(b)水酸化テトラメチルアンモニウム及び(c)水を特定割
合で含有する洗浄剤組成物に、(d)アルカノールアミ
ン、シクロヘキシルアミン等のアミン系化合物を更に添
加すると、引火性を有さず、人体や環境への悪影響を低
減し、樹脂レンズ成形用モールドの洗浄性が極めて高い
ことに加えて、上記(a)成分、(b)成分及び(c)成分が均
一に分散するので使用が更に容易になる。
【0010】更に、上記(a)成分、(b)成分及び(c)成
分を含む洗浄剤組成物、及び、上記(a)成分、(b)成分及
び(c)成分に更に(d)成分を添加してなる洗浄剤組成物
は、いずれも、洗浄により経時的に樹脂等の汚染物質が
蓄積してきても、蒸留という簡単な操作で再生でき、再
使用できる。従って、洗浄処理に使用された後の洗浄剤
組成物全体が廃液とならず、蒸留再生後に残る汚れ成分
を廃液処理に供すればよいので、廃液の量が大幅に低減
でき、廃棄物の削減等をも含めた洗浄作業の顕著なコス
トダウンが可能である。
【0011】本発明は、上記知見に基づき、更に検討を
重ねて完成されたものであって、次の樹脂レンズ成形用
ガラスモールド洗浄剤組成物、該洗浄剤組成物の再生方
法、及び樹脂レンズ成形用モールドの洗浄方法を提供す
るものである。
【0012】項1 (a)ベンジルアルコール55〜83
重量%、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35
〜10重量%及び(c)水10〜50重量%を含むことを
特徴とする樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組成
物。
【0013】項2 (a)ベンジルアルコール60〜80
重量%、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35
〜5重量%、及び(c)水10〜40重量%を含むことを
特徴とする樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組成
物。
【0014】項3 (a)ベンジルアルコール55〜83
重量%、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35
〜10重量%、(c)水10〜50重量%及び(d) モノ(C2
〜C4アルカノール)アミン、ジ(C2〜C3アルカノール)ア
ミン、トリ(C2〜C3アルカノール)アミン、シクロヘキシ
ルアミン、シクロヘキシルアミンC2-C3アルキレンオキ
シド付加物(アルキレンオキシド付加モル数=1〜2)
及びエチレンジアミンC2-C3アルキレンオキシド付加物
(アルキレンオキシド付加モル数=1〜4)からなる群
から選ばれた少なくとも1種5〜20重量%を含むこと
を特徴とする樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組
成物。
【0015】項4 (d)成分が、イソプロパノールアミ
ン及びシクロヘキシルアミンからなる群から選ばれる少
なくとも1種である請求項3に記載の樹脂レンズ成形用
ガラスモールド洗浄剤組成物。
【0016】項5 (a)ベンジルアルコール65〜77
重量%、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35
〜2重量%、(c)水10〜30重量%及び(d)モノ(C2〜C
4アルカノール)アミン、ジ(C2〜C3アルカノール)アミ
ン、トリ(C2〜C3アルカノール)アミン及びシクロヘキシ
ルアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種7〜2
0重量%を含むことを特徴とする樹脂レンズ成形用ガラ
スモールド洗浄剤組成物。
【0017】項6 洗浄により樹脂レンズ成形用モール
ドから除去された汚れ成分で汚染された請求項1〜5の
いずれかに記載の樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄
剤組成物の再生方法であって、該洗浄剤組成物を蒸留
し、留出物を凝縮させることを特徴とする再生方法。
【0018】項7 洗浄槽において請求項1〜5のいず
れかに記載の樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組
成物を用いて樹脂レンズ成形用モールドを洗浄し、洗浄
剤組成物を蒸留により再生し、再生された洗浄剤組成物
を洗浄槽にリサイクルすることを特徴とする樹脂レンズ
成形用ガラスモールドの洗浄方法。
【0019】
【発明の実施の形態】樹脂レンズ成形用ガラスモールド 本発明の洗浄剤組成物は、樹脂レンズ成形用ガラスモー
ルドを洗浄するのに特に適している。該ガラスモールド
としては、特に限定されることなく広い範囲のものが、
本発明の洗浄剤組成物で洗浄できる。
【0020】樹脂レンズ製法は、鋳造のほかに、ダイキ
ャスト、射出成形等の方法があり、主にレンズに使われ
るアクリル樹脂、ポリカーボネート、チオエステル樹
脂、チオウレタン樹脂、メタクリル樹脂、スチロール樹
脂、SAN樹脂、ジアリルグリコールカーボネート樹脂
等などの原料となるモノマーを重合させて高屈折率の透
明度の高いレンズが製造されている。
【0021】レンズ成形用のガラスモールドに付着する
汚れは、これら樹脂や樹脂の未重合物、重合反応時の触
媒や樹脂レンズ成形に起因する触媒などの汚垢、油、油
脂、接着剤、粘着剤、潤滑剤、剥離剤、離型剤等であ
り、樹脂や樹脂の未重合物がこれらの汚れ成分の中でも
洗浄が困難とされている。
【0022】本発明の洗浄剤組成物 本発明の樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組成物
は、前記のように、(a)ベンジルアルコール55〜83
重量%、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35
〜10重量%及び(c)水10〜50重量%を含むことを
特徴とする。以下、この洗浄剤組成物を「第一洗浄剤組
成物」という。
【0023】本発明の第一洗浄剤組成物は、前記アクリ
ル樹脂、ポリカーボネート、チオエステル樹脂、チオウ
レタン樹脂、メタクリル樹脂、スチロール樹脂、SAN
樹脂、ジアリルグリコールカーボネート樹脂等の重合物
や未重合物等の分解洗浄に効果的であり、引火性がな
く、さらに蒸留再生が可能であるという利点を有する。
【0024】本発明の第一洗浄剤組成物を構成する(a)
ベンジルアルコールのみを使用しても、樹脂レンズ成形
モールドに汚れとして付着した樹脂の除去が不十分であ
り、しかも引火性があるという問題点がある。また、
(b)水酸化テトラメチルアンモニウムと(c)水とを使用し
て得られるアルカリ水溶液を用いると、樹脂レンズ成形
ガラスモールドの汚れを除去するのに加熱状態を要し、
ガラスモールドが損傷しやすくなるという問題点があ
る。本発明においては、上記(a)、(b)及び(c)を特定割
合で組み合わせて使用することにより、各成分の問題点
が解消され、各成分の利点が効果的に発揮される。
【0025】上記(a)ベンジルアルコールは、汚れのな
かでも特に洗浄を困難とする樹脂レンズの成分であるア
クリル樹脂、ポリカーボネート、チオエステル樹脂、チ
オウレタン樹脂、メタクリル樹脂、スチロール樹脂、S
AN樹脂、ジアリルグリコールカーボネート樹脂等の重
合物や未重合物を溶解して成形モールド表面から剥離す
る機能を有すると思われる。
【0026】汚れすべてを溶解するわけではなくガラス
モールドから剥離できればよい程度であることから、ベ
ンジルアルコールの含有量は、洗浄剤組成物重量の55
〜83重量%程度とするのがよく、60〜80重量%程
度、特に65〜77重量%程度とするのが好ましい。ベ
ンジルアルコールの使用量をこの範囲内とすることによ
り、樹脂の重合物などの汚れ成分を充分に溶解し、かつ
10重量%以上の水を加えることで、ベンジルアルコー
ルの持つ引火性を抑えることができるので、有利であ
る。
【0027】上記(b)成分である水酸化テトラメチルア
ンモニウムは、高重合したアクリル樹脂、ポリカーボネ
ート、チオエステル樹脂、チオウレタン樹脂、メタクリ
ル樹脂、スチロール樹脂、SAN樹脂、ジアリルグリコ
ールカーボネート樹脂等の溶解性を高めるために、重合
物を分解させる機能を有するものと思われる。その含有
量は、本発明の洗浄剤組成物重量の0.35〜10重量
%程度であり、0.35〜5重量%程度、特に0.35
〜2重量%程度とするのが好ましい。水酸化テトラメチ
ルアンモニウムの使用量をこの範囲内とすることによ
り、樹脂の重合物などの汚れ成分を効率よく分解し、か
つモールドの素材であるガラスを腐食しないアルカリ濃
度を保つことができるので、有利である。
【0028】さらに、(c)成分として水を使用している
ので、本発明洗浄剤組成物は、引火性を有しないという
利点がある。水の含有量は、本発明の洗浄剤組成物重量
の10重量%以上であれば水の蒸気圧により引火点がな
くなるが、洗浄性等の観点から、10〜50重量%程度
とするのがよく、10〜40重量%程度、特に10〜3
0重量%程度とするのが好ましい。水の使用量をこの範
囲内とすることにより、洗浄剤の引火性を無くすると共
に洗浄力を損なうことがないので、有利である。
【0029】本発明の上記(a)、(b)及び(c)成分を含有
する第一洗浄剤組成物は、この分野で使用されている混
合方法、例えば、多段翼かき混ぜ等の機械的撹拌方法等
により、回分式又は連続式の通常の混合方法により製造
できる。
【0030】本発明の第一洗浄剤組成物は、蒸留再生が
できるという特異な利点がある。即ち、レンズ成形用モ
ールドを洗浄し、汚れ成分が蓄積した本発明洗浄剤組成
物は、蒸留することにより、汚れ成分を分離でき、蒸留
により得られる留出物(即ち、蒸留再生後の洗浄剤組成
物)は、蒸留再生前の洗浄剤組成物と実質上同様の組成
を有する。
【0031】このように、本発明の洗浄剤組成物は、蒸
留により何度も再生できるので、廃棄物削減など含めた
洗浄コストを大幅に低減することができ、工業的に多大
のメリットがある。
【0032】尚、 (a)のベンジルアルコールと(c)水と
は均一に相溶しないので、本発明の第一洗浄剤組成物は
静置しておくと、相分離した状態となり、使用の際の計
量等の点で若干取り扱いが不便となる場合がある。しか
し、洗浄を行う場合は、加温、撹拌、超音波照射等を単
独で又は組み合わせて行いつつ洗浄することにより、相
分離が解消され、大きな問題とはならない。
【0033】第二洗浄剤組成物 上記本発明の第一洗浄剤組成物は、上記のように相分離
した状態となるので、この点を解消すべく、本発明者は
検討を重ねた。
【0034】その過程で、界面活性剤を用いることによ
り、上記(a)、(b)及び(c)成分を均一分散させることを
着想した。しかしながら、通常の界面活性剤を用いる
と、上記(a)、(b)及び(c)成分の均一分散は可能である
が、その反面、蒸留再生ができなくなるという問題があ
った。即ち、界面活性剤を含めた各成分が共沸しないた
め、再生された組成物は当初の成分比とは大きく異なる
組成を有しており、組成が変われば洗浄工程を変更して
も洗浄性を向上できないという問題があった。
【0035】本発明者は、更に検討を重ねた結果、上記
(a)、(b)及び(c)成分からなる第一洗浄剤組成物に、(d)
成分として特定のアミン系化合物を添加してなる組成物
(以下「第二洗浄剤組成物」という)が、均一分散及び
蒸留再生の双方を達成でき、しかも洗浄性が高く、引火
性もないことを見出した。
【0036】本発明の第二洗浄剤組成物で使用する(d)
アミン系化合物は、モノ(C2〜C4アルカノール)アミン、
ジ(C2〜C3アルカノール)アミン、トリ(C2〜C3アルカノ
ール)アミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキシル
アミンC2-C3アルキレンオキシド付加物(アルキレンオ
キシド付加モル数=1〜2)及びエチレンジアミンC2-C
3アルキレンオキシド付加物(アルキレンオキシド付加
モル数=1〜4)からなる群から選ばれた少なくとも1
種である。
【0037】上記モノ(C2〜C4アルカノール)アミン、ジ
(C2〜C3アルカノール)アミン、トリ(C2〜C3アルカノー
ル)アミンの中でも、特に、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプ
ロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロ
パノール等を例示できる。
【0038】シクロヘキシルアミンC2-C3アルキレンオ
キシド付加物としては、シクロヘキシルアミンにエチレ
ンオキシド又はプロピレンオキシド(特にエチレンオキ
シド)が1〜2モル程度、特に2モル程度付加した化合
物が例示される。エチレンジアミンC2-C3アルキレンオ
キシド付加物としては、エチレンジアミンにエチレンオ
キシド又はプロピレンオキシド(特にプロピレンオキシ
ド)が1〜4モル程度、特に4モル程度付加した化合物
が例示される。
【0039】上記(d)成分のうちでも、モノ(C2〜C4アル
カノール)アミン、ジ(C2〜C3アルカノール)アミン、ト
リ(C2〜C3アルカノール)アミン及びシクロヘキシルアミ
ン等が好ましく、特にモノエタノールアミン、モノイソ
プロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジエタノ
ールアミン等が好ましい。
【0040】(d)成分は、前記(a)、(b)及び(c)成分を相
溶化させると共に各成分と共沸して蒸留再生を可能とす
るものであり、また、樹脂レンズ成形用モールドに付着
している重合物の分解を補助するものと思われる。
【0041】(d)成分の含有量は、基本的には、(a)ベン
ジルアルコールと(b)水酸化テトラメチルアンモニウム
及び(c)水を均一分散させるのに有効な量であればよ
い。一般には、(a)〜(d)成分を含有する本発明洗浄剤組
成物の全重量に対して、(a)成分55〜83重量%、(b)
成分0.35〜10重量%、(c)成分10〜50重量
%、(d)成分を5〜20重量%程度の割合とする。
【0042】また、(a)〜(d)成分を含有する本発明洗浄
剤組成物の全重量に対して、(a)成分60〜80重量
%、(b)成分0.35〜5重量%、(c)水10〜40重量
%、(d)成分を7〜20重量%程度の割合とするのが好
ましい。更に、(a)〜(d)成分を含有する本発明洗浄剤組
成物の全重量に対して、(a)成分65〜77重量%、(b)
成分0.35〜2重量%、(c)水10〜30重量%、(d)
成分を7〜20重量%(特に7〜15重量%)程度の割
合とするのがより好ましい。
【0043】各成分の配合は、前記(a)、(b)及び(c)成
分を含有する洗浄剤組成物と上記(d)成分とを、この分
野で使用されている混合方法、例えば、多段翼かき混ぜ
等の機械的撹拌方法等により、回分式又は連続式の通常
の混合方法で混合すればよい。こうして、前記(a)〜(c)
成分並びに(d)成分が均一に分散した洗浄剤組成物が得
られる。
【0044】再生方法 既述のように、上記本発明の第一洗浄剤組成物及び第二
洗浄剤組成物は、いずれも、洗浄を行って樹脂レンズ成
形用モールドから除去された汚れ成分で汚染されても、
蒸留により再生でき、再使用できるという利点を有す
る。
【0045】上記本発明の第一洗浄剤組成物及び第二洗
浄剤組成物を再生するための蒸留を行うには、蒸留塔を
用いて行えばよい。蒸留塔としては、現在使用されてい
る各種の蒸留塔がいずれも使用でき、例えば、段塔、充
填塔等が使用できる。
【0046】蒸留の際の条件としては、常圧でも減圧で
も良いが、一般には減圧としておくのが好ましい。一般
には、操作圧力:3000〜10000Pa程度、好ま
しくは6000〜7000Paで、トップ温度30〜1
10℃程度、好ましくは34〜101℃程度の条件下で
減圧蒸留再生するのが有利である。この蒸留操作によ
り、当該洗浄剤組成物を構成する各成分は共沸し蒸発す
るが、アクリル樹脂、ポリカーボネート、チオエステル
樹脂、チオウレタン樹脂、メタクリル樹脂、スチロール
樹脂、SAN樹脂、ジアリルグリコールカーボネート樹
脂等の重合物や未重合物、樹脂レンズ成形に起因する触
媒などの汚垢、油、油脂、接着剤、粘着剤、潤滑剤、剥
離剤、離型剤等の汚れ成分はほとんど蒸発せずに残り、
蒸発した洗浄液は冷却されることで汚れ成分を含まない
洗浄液に再生される。
【0047】蒸留により気化した留出物は、常法に従
い、冷却器などを用いて凝縮させる。こうして得られる
凝縮物は、通常は、当初の洗浄剤組成物と類似の組成を
有しているので、そのまま洗浄工程にリサイクルするこ
とが出来る。
【0048】特に、本発明では、蒸留再生の結果、後述
する実施例に記載のように、(1)蒸留後に得られる留出
物重量の、蒸留前の洗浄剤組成物の重量に対する比率
(再生率)が85%以上であること、(2)蒸留再生後の
成分[即ち、第一洗浄剤組成物の場合の成分(a)〜(c)又
は第二洗浄剤組成物の場合の成分(a)〜(d)]が蒸留再生
後も含まれていること、(3)蒸留再生前の洗浄剤組成物
が成分(a)〜(c)を含有する第一洗浄剤組成物である場合
は、成分(a)及び(c)のそれぞれの含有量が、蒸留再生後
も、蒸留再生前の±5%の変動範囲内にあり、且つ、成
分(b)の含有量が、蒸留再生後も、蒸留再生前の含有量
の±10%の変動範囲内にあること。また、蒸留再生前
の洗浄剤組成物が成分(a)〜(d)を含有する第二洗浄剤組
成物である場合は、成分(a)、(c)、(d)のそれぞれの含
有量が、蒸留再生後も、蒸留再生前の±5%の変動範囲
内にあり、且つ、成分(b)の含有量が、蒸留再生後も、
蒸留再生前の含有量の±10%の変動範囲内にあること
という要件を充足するのが好ましい。
【0049】また、洗浄再生を繰り返し、凝縮物の組成
が、当初の洗浄剤組成物の組成から乖離して来た場合
は、不足成分を添加することにより、当初の洗浄剤組成
物の組成に近づけることも可能である。
【0050】本発明の第一洗浄剤組成物及び第二洗浄剤
組成物を用いて洗浄処理を行っている間及びこれら洗浄
剤組成物の蒸留再生の間に、一般には、水の含有量が減
少する傾向がある。従って、一般には、蒸留再生後に、
必要であれば、凝縮物に単に水を添加するという簡単な
操作により、当初の組成を実質的に維持し、又は、本発
明洗浄剤組成物の組成を優れた効果が発揮される範囲内
に維持することができる。
【0051】洗浄方法 上記本発明の第一洗浄剤組成物又は第二洗浄剤組成物に
よる洗浄方法としては、これら本発明洗浄剤とアクリル
樹脂、ポリカーボネート、チオエステル樹脂、チオウレ
タン樹脂、メタクリル樹脂、スチロール樹脂、SAN樹
脂、ジアリルグリコールカーボネート樹脂等の重合物や
未重合物等の汚れ成分で汚染されたレンズ成形モールド
とを接触させればよい。
【0052】接触させる際の温度及び時間としては、広
い範囲から選択できるが、一般には、汚れ成分を構成す
る上記重合物や未重合物の分解を促進することを考慮し
て、50℃〜80℃程度、特に60〜70℃程度の温度
で、1〜10分程度、特に1〜3分程度の時間をかけて
被洗浄物と接触させるのが望ましい。
【0053】接触温度が50℃以上であると、アクリル
樹脂、ポリカーボネート、チオエステル樹脂、チオウレ
タン樹脂、メタクリル樹脂、スチロール樹脂、SAN樹
脂、ジアリルグリコールカーボネート樹脂等の重合物や
未重合物の分解のための時間が少なくて済み、工業的に
実用性が高い。また、接触温度が80℃以下であると、
被洗浄物の洗浄槽投入時などにその系が開となるとき、
水が水蒸気として系外に漏出し難いので、組成が変化し
難い。ただし水蒸気漏出により組成が変化し濃度が濃く
なったときは水道水、イオン交換水、蒸留水等の水を追
加することにより、もとの濃度に調整することも可能で
ある。
【0054】また、接触時の圧力も広い範囲から選択で
き、通常は常圧でよいが、減圧又は加圧のいずれでもよ
い。
【0055】また、接触方法は浸漬が最良とされるが、
シャワーやスプレー法による洗浄でも構わない。また、
本発明洗浄剤組成物を用いて、超音波洗浄を行ってもよ
い。超音波洗浄の条件は、この分野で採用されている条
件がいずれも使用可能である。本発明の第一洗浄剤組成
物は元来は相分離する傾向があるが、超音波洗浄をする
場合は、超音波の作用により均一に混合するので、何ら
問題なく使用できる。
【0056】洗浄後は、成形用モールドを、水道水、イ
オン交換水、蒸留水、アルコール(特にメタノール、エ
タノール、イソプロパノール等)等を用いて濯ぎを行う
ことにより本洗浄剤組成物を容易に除去できる。
【0057】特に好ましい本発明の実施形態によると、
本発明の洗浄方法は、洗浄と再生とを同時に行いなが
ら、樹脂レンズ用モールドを洗浄することができる。即
ち、この実施形態にかかる洗浄方法は、洗浄槽において
上記本発明の洗浄剤組成物を用いて樹脂レンズ成形用モ
ールドを洗浄し、洗浄剤組成物を蒸留により再生し、再
生された洗浄剤組成物を洗浄槽にリサイクルすることを
特徴とする。以下、本発明洗浄方法を、添付図面を参照
しつつ説明する。
【0058】本発明に従い、洗浄剤組成物を再生しなが
ら洗浄を行うには、例えば、図1に示すような方法を採
用すればよい。図1において、まず、樹脂レンズの成形
工程で樹脂等が付着して汚れた樹脂レンズ成形用ガラス
モールドを、洗浄槽1で本発明の洗浄剤組成物を用いて
洗浄する。洗浄槽1において洗浄されたガラスモールド
は、必要に応じて洗浄槽2において、本発明洗浄剤組成
物を用いて更に洗浄してもよい。更に必要であれば、洗
浄槽2とリンス槽3との間に、更に洗浄槽(図示せず)
を一又は複数設けて、同様に本発明洗浄剤組成物を用い
て洗浄してもよい。一般に、洗浄槽の数が多いほど、洗
浄が良好となる。必要であれば、各洗浄槽に少なくとも
1個の超音波発生装置13を設けて、超音波洗浄を行っ
てもよい。なお、図1において、太い白抜きの矢印は被
洗浄物である樹脂レンズ成形用ガラスモールドの移動を
示している。
【0059】洗浄槽1(及び洗浄槽2並びに必要に応じ
て更に設けられた洗浄槽)において本発明洗浄剤組成物
を用いて洗浄されたガラスモールドは、リンス槽3にお
いて温水、蒸留水、アルコール等を用いて、ガラスモー
ルドから剥離した樹脂、洗浄剤組成物等を除去する。リ
ンス槽3に加えてリンス槽4(及び必要に応じて更なる
リンス槽)を設けて、更にすすぎを行ってもよい。こう
して、洗浄が完了し、洗浄されたガラスモールドは、成
形工程に戻される。
【0060】一方、洗浄に使用する新鮮な洗浄剤組成物
は、配管14を通して洗浄槽2に(洗浄槽2とリンス槽
3との間に更に洗浄槽を設ける場合は、最も上流側の洗
浄槽、即ち、リンス槽3に最も近い洗浄槽に)に供給さ
れ、次いで、各洗浄槽相互を連結する配管(図示せず)
を通して、ガラスモールドの移動方向と対向するよう
に、下流側の洗浄槽1へと供給されて行く。図1におい
て、洗浄剤組成物の流れは、太線の矢印で示している。
【0061】最も下流の洗浄槽1に到達し、汚れ成分を
最も多く含有する本発明洗浄剤組成物は、洗浄槽1から
バッチ式又は連続式に抜き出し、配管5を通して蒸留塔
6に供給される。蒸留塔6において、加熱媒体で塔底を
加熱し、洗浄剤組成物の蒸留再生を行う。通常、蒸留
は、蒸留塔6内を減圧ポンプ8で減圧にして行うのが有
利である。蒸留塔6の塔底に残る汚れ成分を含有する残
渣は、塔底から排出され、廃液として処理される。蒸留
塔6から留出する洗浄剤組成物の蒸気は、冷却装置7で
冷却、凝縮されて再生され、配管9を経て、貯液槽10
に移送される。必要に応じて、貯液槽10において、配
管11から水を供給して濃度調整をすることもでき、さ
らには本発明洗浄剤組成物の各成分を添加して組成を調
整することもできる。
【0062】こうして再生された本発明洗浄剤組成物は
配管12を経由して、洗浄槽2に(洗浄槽2とリンス槽
3との間に洗浄槽が設けられる場合はリンス槽3に最も
近い洗浄槽に)にリサイクルされる。
【0063】また、本発明の別の実施形態によると、図
2に示すような装置を用いて洗浄を行うのが便利であ
る。該装置は、基本的には、洗浄槽20、蒸留槽30及
び冷却槽40を備えている。この図2に示す装置で樹脂
レンズ成形用ガラスモールドを洗浄するには、例えば、
次のようにして行なう。
【0064】まず、洗浄槽20で本発明洗浄剤組成物を
用いて樹脂レンズ成形用ガラスモールドを洗浄する。洗
浄方法は浸漬法、シャワー法などが採用できる。また、
図2に示すように、洗浄槽20は、超音波発生装置22
を一個又は複数個備えた超音波洗浄装置であってもよ
く、樹脂レンズ成形用モールドを洗浄剤組成物に浸漬し
た状態で超音波洗浄することもできる。洗浄後のガラス
モールドは、洗浄槽20から取り出し、リンスして成形
工程に戻される。
【0065】次いで、洗浄剤組成物をポンプ24で蒸留
槽30に送液し、洗浄処理後の洗浄剤組成物を蒸留再生
する。例えば、蒸留槽30において、洗浄処理後の洗浄
剤組成物を前記再生条件の下で蒸留し、得られる留出物
を冷却槽40に送り、液化する方法が採用できる。蒸留
槽30内の上部に、冷却装置31を設けて、該冷却装置
31で留出物を冷却し、得られる再生洗浄剤組成物を配
管38を通して冷却槽40に送るようにしてもよい。ま
た、蒸留槽30において減圧下で蒸留する場合には、ト
ラップ32を経由して真空ポンプ34で減圧にする。蒸
留再生後に残る汚れ成分を含有する残渣は、配管36か
ら排出され廃水処理される。
【0066】こうして蒸留再生された洗浄剤組成物は、
冷却槽40から配管42を通して洗浄槽20にリサイク
ルされる。その際に、必要であれば、バルブ46から水
を補給してもよい。
【0067】更に必要であれば、洗浄剤組成物の貯蔵槽
50を設けて、配管52から新規に調製した新鮮な洗浄
剤組成物を貯液することもできる。必要であれば、貯蔵
槽50には、配管44を通して冷却槽40で液化した再
生洗浄剤組成物を送液することもできる。このように貯
蔵槽50を設ける場合は、冷却槽40内の再生洗浄剤組
成物と貯蔵槽50内の洗浄剤組成物と適宜混合すること
により、洗浄剤組成物の組成を調整し、組成調整された
洗浄剤組成物を洗浄槽20に送液することができるの
で、有利である。
【0068】更に、必要であれば、冷却槽40及び/又
は貯蔵槽50に、本発明洗浄剤組成物の構成成分や水を
供給するための配管(図示せず)を設けて、該配管から
構成成分を補給して、組成の調整をしてもよい。
【0069】上述のように、本発明では、例えば、図1
及び図2に示すような装置を用いて、蒸留再生しながら
樹脂レンズ成形用モールドの洗浄ができ、その結果、洗
浄剤組成物の使用量が節約でき、汚れ成分を含有する蒸
留残渣の量も少なくできるので、廃液処理を含めた洗浄
操作のコストダウンの面で、特に有利である。
【0070】
【実施例】以下に実施例及び比較例を掲げて、本発明を
より一層詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
【0071】尚、実施例及び比較例において、洗浄剤組
成物の試験は次のように行った。
【0072】洗浄性 大きさ:直径約80mmのチオウレタン樹脂製のレンズ
を1/4に切断した樹脂レンズを試験片として秤量し、
その重量をMoとする。ウォーターバスにて洗浄剤組成
物100mlを温度60℃に加熱し、試験片を10分間浸漬
する。次いで、試験片を流水にて15秒間リンス(濯
ぎ)を行い、水分をウェスにて拭き取り、常温デシケー
ター中で10分間乾燥させて秤量し、その重量をM1
する。下式に従い、試験前後の試験片の重量減を、試験
前の試験片重量Moと比較し、重量減少率を算出する: 重量減少率 = 100 ×(Mo−M1)/Mo 重量減少率が大きい程、成形モールドに汚れ成分として
付着した樹脂の洗浄性が高い。試験片の重量減少率が
4.0%以上である場合を合格とした。
【0073】蒸留再生 蒸留再生に関しては、図3に示すような蒸留装置によ
り、トップ温度:34.0〜101.0℃、加熱温度:55.0〜17
1.0℃(ボトム温度)、操作圧力:6665Paの条件下
で、洗浄剤組成物を蒸留した場合の再生率を求めた。
【0074】蒸留前の試料(洗浄剤組成物)の重さをW
aとし、蒸留後に採取した試料Gの重さをWgとする。
Wgは、試験前に測定した減圧用フラスコFの重さ(Wf
0)を試験後のフラスコFの重さ(Wf1)から引いたもので
ある(Wg=Wf1 − Wf0)。これにより次式(1)に従
い再生率Rを求める: 実再生率 R(%)= 100 × (Wa−Wg)/Wa ……(1) 下記の要件(1)〜(3)の全てが満たされるものを、蒸留再
生合格とした。
【0075】(1)上記実験条件で、再生率Rが85%以
上であること。
【0076】(2)蒸留再生前の成分が蒸留再生後も含ま
れていること(即ち、蒸留再生前の洗浄剤組成物が成分
(a)〜(c)を含有する第一洗浄剤組成物である場合は、蒸
留再生後の洗浄剤組成物が成分(a)〜(c)を含有するこ
と、或いは、蒸留再生前の洗浄剤組成物が成分(a)〜(d)
を含有する第二洗浄剤組成物である場合は、蒸留再生後
の洗浄剤組成物が成分(a)〜(d)を含有すること)。
【0077】(3)蒸留再生前の洗浄剤組成物が成分(a)〜
(c)を含有する第一洗浄剤組成物である場合は、成分
(a)、(c)のそれぞれの含有量が、蒸留再生後も、蒸留再
生前の±5%の変動範囲内にあり、且つ成分(b)の含有
量が、蒸留再生後も、蒸留再生前の±10%の変動範囲
内にあること。或いは、蒸留再生前の洗浄剤組成物が成
分(a)〜(d)を含有する第二洗浄剤組成物である場合は、
成分(a)、(c)、(d)のそれぞれの含有量が、蒸留再生後
も、蒸留再生前の含有量の±5%の変動範囲内にあり、
且つ、成分(b)の含有量が、蒸留再生後も、蒸留再生前
の含有量の±10%の変動範囲内にあること。
【0078】上記要件(3)に関してより具体的に述べる
と、例えば、蒸留再生前の成分(a)の含有量が60重量
%である場合、蒸留再生後の成分(a)の含有量が、57
〜63重量%(60±(60×5%))である場合に、
上記要件を充足する。他の成分(c)、(d)について
も、同様である。また、蒸留再生前の成分(b)の含有量
が例えば1重量%である場合、蒸留再生後の成分(b)の
含有量が、0.9〜1.1重量%(1±(1×10
%))である場合に、上記要件(3)を充足する。
【0079】また、上記要件(3)に関して、各成分の量
はガスクロマトグラフィーにより確認する。ガスクロマ
トグラフィーの条件は、ガスクロマトグラフィー装置
(ジーエルサイエンス社製「GC390B」、カラムCP-WAX
(充填剤:WCOT Fusel Silica、ジーエルサイエンス社
製)を使用)、カラム温度80℃から200℃の昇温に
より測定した(昇温速度は35℃/分)。但し、80℃
で1分、200℃で2分の定温作業を行う。インジェク
ション温度は250℃、検出器温度は250℃であり、
キャリアガスはヘリウムを20ml/分で注入した。成分
(a)、(c)及び(d)の量は、ピークの面積を内部標準物質
を用いて算出し定量した。
【0080】成分(b)に関しては、洗浄剤組成物を0.2N
の塩酸水溶液にて中和滴定して、そのアルカリ度を算出
し、成分(d)の量を差し引いて求めた。アルカリ度は、
次の計算式により求めた: アルカリ度(%)=(0.2×f×(A/1000)×M×100)/B [式中、Aは中和滴定に要した0.2N HCl量(ml)を示
し、Bは滴定に使用した試料の質量(g)を示し、fはフ
ァクターを示し、Mは成分(d)の分子量を示す。]引火性 引火性の試験に関しては、クリーブランド開放式引火点
試験方法(JIS K2265)に従って測定し、引火
したものを引火性有りとした。引火性試験において、液
温が沸点に達しても引火しなかった場合に、引火性なし
と判断する。引火性がない洗浄剤組成物を合格とした。
【0081】実施例1〜5 表1に記載の成分を表1に記載の割合で混合し、本発明
の洗浄剤組成物を得た。得られた本発明洗浄剤組成物の
洗浄性、蒸留再生可能性、引火性について試験し、その
結果を表1に示す。尚、表1において、「TMAH」は、水
酸化テトラメチルアンモニウムを指す。
【0082】なお、(a)〜(c)成分のみを含有する本発明
洗浄剤組成物は、均一分散していないが、使用上の不便
はない。例えば、洗浄槽への投入は攪拌下に行えばよ
く、洗浄槽内での洗浄は撹拌及び/又は超音波照射によ
り、均一分散する。また、本発明洗浄剤組成物は、不均
一系でも均一系でも蒸留再生が可能である。
【0083】比較例1〜7 表1に記載の成分を表1に記載の割合で混合し、比較洗
浄剤組成物を得た。得られた比較洗浄剤組成物の洗浄
性、蒸留再生可能性、引火性について試験し、その結果
を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】表1から次の事項が明らかである:比較例
1のように、ベンジルアルコールのみによる洗浄では、
洗浄性も良く蒸留再生も可能であるが、引火性があるこ
とがわかる。比較例2のように、TMAHと水のみによる洗
浄では、洗浄性が乏しいことがわかる。比較例3のよう
に、従来の洗浄剤である水酸化カリウムの水溶液は、洗
浄性はよいが、蒸留再生はできないことが判る(蒸留の
結果、得られた留出物は、蒸留前に含まれていた成分で
ある水酸化カリウムを含有しない水であったので、蒸留
再生可能性について否(不合格)とした)。
【0086】比較例4及び比較例6のように、界面活性
剤を使用した場合は、蒸留再生が不可能であることがわ
かる。即ち、蒸留後の結果、得られた留出物は、比較例
4の場合、蒸留前に含まれていた成分であるp-トルエン
スルホン酸ナトリウムを含有しないものであり、比較例
6の場合蒸留前に含まれていた成分であるトリエチレン
グリコールを含有しないものであったので、蒸留再生可
能性について否(不合格)とした。
【0087】比較例5のように、水を含まず、ベンジル
アルコールとモノエタノールアミンを含有する組成物で
は、洗浄性は優れているが、引火性を有することが判
る。比較例7のように、TMAHの使用量が、洗浄剤組成物
の0.35重量%未満であると、洗浄性が劣ることが判
る。
【0088】これら比較例に比べて、本発明の第一洗浄
剤組成物(実施例3)及び第二洗浄剤組成物(実施例1
及び2)は、洗浄性が高く、蒸留再生が良好に行え、し
かも、引火性がないことが判る。
【0089】
【発明の効果】本発明の第一洗浄剤組成物及び第二洗浄
剤組成物は、ハロゲン化炭化水素等の成分を使用してい
ないため、人体や環境に対する悪影響が低減されてい
る。本発明の第一洗浄剤組成物及び第二洗浄剤組成物
は、洗浄性が高く、引火性がない。
【0090】本発明の第一洗浄剤組成物及び第二洗浄剤
組成物は、いずれも、洗浄により経時的に樹脂等の汚染
物質が蓄積してきても、蒸留という簡単な操作で再生で
き再使用できる。従って、本発明の洗浄剤組成物を使用
する洗浄方法は、洗浄剤組成物の使用量が節約でき、廃
棄物削減やコストダウンに多大の寄与がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗浄剤組成物を用いる洗浄方法を実施
するための装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の洗浄剤組成物を用いる洗浄方法を実施
するための装置の他の例を示す模式図である。
【図3】実施例及び比較例において、蒸留再生による再
生率を測定するための装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1,2 洗浄槽 3,4 リンス槽 6 蒸留塔 7 冷却装置 8 減圧ポンプ 10 貯液槽 13 超音波発生装置 20 洗浄槽 22 超音波発生装置 24 ポンプ 30 蒸留槽 31 冷却装置 40 冷却槽 50 貯蔵槽 A 再生前の洗浄剤組成物 B 蒸留フラスコ C アダプター D リービッヒ冷却管 E 減圧用アダプター F 減圧用フラスコ(なす型フラスコ) G 再生された洗浄剤組成物 H オイルバス I マノメータ J トラップ K キャピラリー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C11D 7/50 C11D 7/50 17/00 17/00 // B29L 11:00 B29L 11:00 Fターム(参考) 3B201 AA46 BB01 BB21 BB82 BB83 BB90 BB95 CC01 CD11 CD22 4F202 AH74 AJ06 AM13 CA01 CA11 CB01 CS02 CS04 4H003 DA12 DB03 EA21 EB13 EB14 EB19 EB22 EB36 ED02 ED28 FA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ベンジルアルコール55〜83重量
    %、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35〜1
    0重量%及び(c)水10〜50重量%を含むことを特徴
    とする樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組成物。
  2. 【請求項2】 (a)ベンジルアルコール60〜80重量
    %、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35〜5
    重量%、及び(c)水10〜40重量%を含むことを特徴
    とする樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組成物。
  3. 【請求項3】 (a)ベンジルアルコール55〜83重量
    %、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35〜1
    0重量%、(c)水10〜50重量%及び(d) モノ(C2〜C4
    アルカノール)アミン、ジ(C2〜C3アルカノール)アミ
    ン、トリ(C2〜C3アルカノール)アミン、シクロヘキシル
    アミン、シクロヘキシルアミンC2-C3アルキレンオキシ
    ド付加物(アルキレンオキシド付加モル数=1〜2)及
    びエチレンジアミンC2-C3アルキレンオキシド付加物
    (アルキレンオキシド付加モル数=1〜4)からなる群
    から選ばれた少なくとも1種5〜20重量%を含むこと
    を特徴とする樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組
    成物。
  4. 【請求項4】 (d)成分が、モノイソプロパノールアミ
    ン及びシクロヘキシルアミンからなる群から選ばれる少
    なくとも1種である請求項3に記載の樹脂レンズ成形用
    ガラスモールド洗浄剤組成物。
  5. 【請求項5】 (a)ベンジルアルコール65〜77重量
    %、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム0.35〜2
    重量%、(c)水10〜30重量%及び(d)モノ(C2〜C4ア
    ルカノール)アミン、ジ(C2〜C3アルカノール)アミン、
    トリ(C2〜C3アルカノール)アミン及びシクロヘキシルア
    ミンからなる群から選ばれた少なくとも1種7〜20重
    量%を含むことを特徴とする樹脂レンズ成形用ガラスモ
    ールド洗浄剤組成物。
  6. 【請求項6】 洗浄により樹脂レンズ成形用モールドか
    ら除去された汚れ成分で汚染された請求項1〜5のいず
    れかに記載の樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組
    成物の再生方法であって、該洗浄剤組成物を蒸留し、留
    出物を凝縮させることを特徴とする再生方法。
  7. 【請求項7】 洗浄槽において請求項1〜5のいずれか
    に記載の樹脂レンズ成形用ガラスモールド洗浄剤組成物
    を用いて樹脂レンズ成形用モールドを洗浄し、洗浄剤組
    成物を蒸留により再生し、再生された洗浄剤組成物を洗
    浄槽にリサイクルすることを特徴とする樹脂レンズ成形
    用ガラスモールドの洗浄方法。
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