JP2003113093A - 免疫細胞活性物質、その製造方法、ならびに医薬品および化粧料 - Google Patents

免疫細胞活性物質、その製造方法、ならびに医薬品および化粧料

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JP2003113093A
JP2003113093A JP2001304001A JP2001304001A JP2003113093A JP 2003113093 A JP2003113093 A JP 2003113093A JP 2001304001 A JP2001304001 A JP 2001304001A JP 2001304001 A JP2001304001 A JP 2001304001A JP 2003113093 A JP2003113093 A JP 2003113093A
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Takeshi Kaku
来 健 賀
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明は、海洋水から分離した海洋水溶
存物と極性溶媒との接触により該海洋水溶存物から該極
性溶媒相に移行する極性溶媒可溶性成分に含有される免
疫細胞活性物質である。この免疫細胞活性物質は、海洋
水に溶存していた物質を海洋水から分離する工程、該分
離された海洋水溶存物を極性溶媒と接触させて該海洋水
溶存物中に含有される極性溶媒溶解性物質を極性溶媒相
に移行させる工程、該極性溶媒相と極性溶媒に不溶であ
る成分とを分離する工程、および、該分離された極性溶
媒相から極性溶媒を除去して極性溶媒可溶性成分に含有
される好酸球活性物質を得る工程を含むことを特徴とす
る免疫細胞活性物質を高い濃度で得る方法により得るこ
とができる。この免疫細胞活性物質、特に好酸球活性物
質は、アトピー性皮膚炎などに有効である。 【効果】 本発明によれば、新規な免疫細胞活性物質が
提供される。この免疫細胞活性物質は海洋水から得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は海洋水中に含有される免疫
細胞活性物質、海洋水中から免疫細胞活性物質を高濃度
で得る方法、ならびに、この免疫細胞活性物質を含有す
る医薬品および化粧料に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】アトピーなどのアレルギーは、遺
伝による体質が大きな役割を果たしている過敏症の一種
である。このようなアレルギー症状を引き起こす抗原
は、血液中にあると考えられており、この抗原と抗体と
の複合体が、組織からヒスタミンあるいはヒスタミン様
物質を遊離させる結果、特異的な症状が引き起こされる
ものと考えられている。例えば、アトピー性皮膚炎で
は、末梢血好酸球が増大し、組織所見においても好酸球
の浸潤がみられることが多い。このことからも、好酸球
がアトピー性皮膚炎においては中心的な役割を担う細胞
の一つであると考えられる。
【0003】こうした背景のもとに、好酸球の活性物質
について種々の研究がなされており、海洋水によって好
酸球の活性が高くなることが既に知られているが、この
ような海洋水の好酸球活性に関するメカニズムについて
は、いまだ正確には解明されていない。目下のところ、
好酸球活性は、海洋水中に含まれるミネラル分に由来す
るものとの考え方が大勢を占めており、海洋水を濃縮、
脱塩、分離した分離物がアレルギー性の薬剤等に用いら
れていた。
【0004】このような状況下、本発明者は、上記のよ
うな海洋水を濃縮、脱塩、分離して得られる物質につい
て調べていたところ、当該無機塩の赤外線吸収スペクト
ルが、硫酸カルシウムの赤外線吸収スペクトルと非常に
近似したピークを有していることを見出した。しかしな
がら、硫酸カルシウムには、アレルギーに関与した薬効
が実質的にはないことが知られている。したがって、従
来用いられていた硫酸カルシウムを非常に多く含む海洋
水分離物より、薬効を示す成分を分離することができれ
ば、より高い薬効を有する抗アレルギー性薬剤、特にア
トピー性皮膚炎などの環境変化等に伴い増加してきてい
る皮膚疾患に対して非常に有用性の高い薬剤を提供する
ことが可能になる。
【0005】
【発明の目的】本発明は海洋水からアトピー性皮膚炎な
どに有効な免疫細胞活性、たとえば好酸球活性の高い成
分を高い濃度で含有する分離物を提供することを目的と
している。さらに詳しくは、本発明は、海洋水からアレ
ルギー症状を緩和する成分を高濃度で含有する分離物を
効率よく得る方法およびこの方法により得られた免疫細
胞活性物質、たとえば好酸球活性物質を高い濃度で含有
する成分を提供することを目的としている。
【0006】また、本発明は、上記免疫細胞活性物質を
高濃度で含有する医薬品および化粧料を提供することを
目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明は、海洋水から分離した海洋水溶
存物と極性溶媒との接触により該海洋水溶存物から該極
性溶媒相に移行する極性溶媒可溶性成分に含有される免
疫細胞活性物質にある。上記免疫細胞活性物質には、好
酸球活性物質が包含される。
【0008】また本発明は、海洋水に溶存していた物質
を海洋水から分離する工程、該分離された海洋水溶存物
を極性溶媒と接触させて該海洋水溶存物中に含まれる極
性溶媒溶解性物質を極性溶媒相に移行させる工程、該極
性溶媒相と極性溶媒に不溶である成分とを分離する工
程、および、該分離された極性溶媒相から極性溶媒を除
去して極性溶媒可溶性成分に含有される免疫細胞活性物
質を得る工程を含むことを特徴とする免疫細胞活性物質
を高い濃度で得る方法にある。
【0009】さらに、本発明は、海洋水から分離した海
洋水溶存物と極性溶媒との接触により該海洋水溶存物か
ら該極性溶媒相に移行する極性溶媒可溶性成分に含有さ
れる免疫細胞活性物質を含有することを特徴とする医薬
品および化粧料にある。本発明において、上記極性溶媒
が、誘電率が2.0〜200の範囲内、好ましくは20
〜81.0の範囲内にある極性溶媒であることが望まし
く、上記海洋水としては、たとえば水面下200m以内
の海中から採取された表層水(温暖層より下の海水は含
まない)を用いることができ、さらに、海洋水から分離
した海洋水溶存物が、海洋水を最初に用いた容量の1/
5〜1/1000に濃縮し、さらに脱塩することにより
得られる濃縮海洋水からの析出物であることが好まし
い。
【0010】なお、本発明の方法において、分離された
海洋水溶存物を誘電率の異なる複数の極性溶媒に順次接
触させて、該海洋水溶存物中に含有される極性溶媒可溶
成分を順次極性溶媒層に移行させて分離することが好ま
しい。上記のように操作することにより、濃縮して脱塩
した海洋水からの分離物(主として硫酸カルシウム)か
ら、効率よく極性溶媒に可溶な成分を分離することがで
きる。ここで極性溶媒に抽出された成分は、主として有
機物質であると思われ、このようにして分離した成分
は、より高い免疫細胞活性物質、たとえば好酸球活性を
示す。
【0011】
【発明の具体的な説明】本発明の免疫細胞活性物質は、
白血球、すなわち、マクロファージなどの単球、NK細
胞、T細胞、K細胞、B細胞などのリンパ球、好酸球、好
中球、好塩基球などの顆粒球等を活性化し得る物質であ
る。次に、好酸球活性物質を例に採って、本発明の免疫
細胞活性物質、海洋水からこの免疫細胞活性物質を高い
含有率で得る方法、およびこの免疫細胞活性物質を含有
する医薬品および化粧料について、図1に例示した工程
図に沿って具体的に説明する。
【0012】図1に示すように、本発明の免疫細胞活性
物質は、海洋水を原料として得られる。ここで、海洋水
としては、通常は、温暖層を形成する海洋水を用いる。
すなわち、本発明で使用される海洋水とは、温暖層を形
成する海水であって、この温暖層は、通常の場合、たと
えば水面下200m程度までの表層水である。このよう
な表層水は、河川の水の流れ込む陸地付近を離れたある
程度外海で収集されたものであって、かつ、海面から通
常は100m以上の深度のもの、特に水面下100m〜
200mのものを用いることが好ましい。このように陸
地付近を離れたところで収集した海水を用いるのは、河
川から流れ込む淡水によって海水が希釈されるのを防止
するためであることは勿論、河川から流れ込む淡水は、
生活汚水、産業排水、長年にわたって蓄積された土壌汚
染物などの溶出物が混入している虞を完全に否定するこ
とはできないからである。また、採水深度を設定するの
は、海水表面からの水分の蒸散による影響、雨などによ
る真水の影響等を受けにくいようにするためである。し
たがって、こうした汚染物質の比較的少ない外海などで
採取した表層水を用いることが好ましく、また、上記の
ような深度の範囲内で海水を採取することで、雨水、水
分の蒸散等による影響も低減できる。
【0013】以下、本発明の免疫細胞活性物質を図1に
示す工程図に示された製造方法に沿ってさらに詳細に説
明する。本発明において、免疫細胞活性物質を得るため
に使用する海洋水は、採取の際に混入することもある浮
遊物を除去するために、図1に示すように、通常は濾過
した後に使用する。この濾過には、目開きが通常0.1〜
0.5μm程度のフィルター(A)を使用する。このフィル
ター(A)を用いた濾過により、海洋水中に含有される
こともある海水懸濁物(主として浮遊物)と、海洋水
(濾液)とを分離する。
【0014】本発明では、上記のようにして濾液として
得られた海洋水を使用し、ここで分離された海水懸濁物
は本発明では廃棄する。次いで、この濾液として得られ
た海洋水を、最初に使用した海洋水に対して容量比で、
通常は1/5〜1/1000、好ましくは1/10〜1
/100の量になるように濃縮する。この濃縮は、0.
1〜100Torr、好ましくは1〜20Torrの減圧下に、
通常は0〜100℃、好ましくは10〜40℃の温度で
行われる。図1においては、20Torr以下の減圧条件で
40℃以下の温度で海洋水を1/10にまで蒸留濃縮し
た態様が示されている。このように減圧下に低温で海洋
水を濃縮することにより、この海洋水中に含有される有
機化合物が熱などの濃縮操作によって分解あるいは反応
することを防止することができる。また、この際、蒸留
濃縮によらず、モザイク荷電膜等を用いて、海洋水を加
熱せずに無機塩類を濃縮してもよい。
【0015】こうして海洋水を濃縮することにより、こ
の海洋水中に溶存していた成分の一部が析出する。この
ようにして析出した成分をフィルター(B)で分離す
る。このフィルター(B)としては、通常は目開きが
0.1〜5μm、好ましくは0.2〜0.5μm程度のフ
ィルター、例えばメンブランフィルターなどを使用する
ことができる。
【0016】上記フィルター(B)により分離された固
形物(析出残渣部(1))は、後の工程で使用する。一
方、フィルター(B)を用いた濾過により得られた濾液
は、濃縮と脱塩とをそれぞれ少なくとも1回、好ましく
は2回以上、特に好ましくは5〜10回繰り返し行い、
脱塩濃縮する。濃縮および脱塩は、状況に応じて適宜行
い、その順序は問わない。
【0017】濃縮は、最終的な液の量が、濃縮前の濾液
の量に対して容量比で通常は1/5〜1/1000、好
ましくは1/10〜1/100になるように濃縮する。
この濃縮は、通常は0.1〜100Torr、好ましくは1
〜20Torrの減圧下に、通常は0〜100℃、好ましく
は10〜40℃の温度で行われる。図1においは、20
Torr以下の減圧条件で40℃以下の温度で蒸留濃縮した
態様が示されている。また、脱塩は、例えばモザイク荷
電膜や半透膜などの脱塩装置を用いて行う。このように
減圧下に低温で海洋水を濃縮することにより、この海洋
水中に含有される有機化合物が熱などの濃縮操作によっ
て分解あるいは反応することを防止することができ、ま
た、モザイク荷電膜等を用いて、海洋水を加熱せずに無
機塩類を濃縮することができる。そして、最終的には、
フィルター(B)による濾過により得られた濾液中に含
まれる塩素系塩類の70重量%以上、好ましくは90重
量%以上が除去される。
【0018】上記の濃縮と脱塩とをそれぞれ少なくとも
1回、好ましくは2回以上、特に好ましくは5回〜10
回繰り返し行うことにより析出した固形分(析出残渣部
(2))を、フィルター(C)を用いて濾過する。ここ
でフィルター(C)としては、通常は、目開き0.1〜
5μm、好ましくは0.1〜0.5μmのフィルター、例
えばメンブランフィルターなどを使用することができ
る。
【0019】本発明では、この濾別された固形分(析出
部残渣(2))を使用する。したがって、上記濾過によ
って得られた濾液は、免疫細胞活性試験確認の結果、有
効なたとえば好酸球活性などの免疫細胞活性を示さなけ
れば本発明では廃棄される。上記のようにして得られた
固形分(析出部残渣(2))は、前の工程で濾取された
固形物(析出部残渣(1))と混合され、本発明の免疫
細胞活性物質を得るために使用される。通常の場合、最
初に例えば20リットルの海洋水を使用した場合、前記
の固形物(析出部残渣(1))とこの固形分(析出部残
渣(2))との混合物(海洋水から分離した海洋水可溶
成分)の合計は、5〜50g程度、好適には10〜40
g程度であり、この段階で得られる海洋水可溶成分の量
は、最初に使用した海洋水の重量に対して、通常0.0
25〜0.25重量%、好ましくは0.05〜0.2重
量%になる。
【0020】この海洋水から分離した海洋水可溶成分に
ついて、赤外線吸収スペクトルを測定すると、硫酸カル
シウムに比較的類似した特性を示す。リファレンスとし
て硫酸カルシウム(特級試薬)について赤外線吸収スペ
クトルを測定し、両スペクトルを比較すると、両者のス
ペクトルは、非常に近似しているものの、海洋水から分
離した海洋水可溶成分の赤外線吸収スペクトルでは、特
級試薬の硫酸カルシウムには見られないピークが見られ
る。このことから、この海洋水から分離した海洋水可溶
成分中には、比較的多量の硫酸カルシウムが含まれてい
るが、特級試薬の硫酸カルシウムのスペクトルには表れ
ない赤外線吸収スペクトルのピークを有する成分も混在
しているものと考えられる。ところで、硫酸カルシウム
は、一般にアレルギーに対する実質的薬効を有しないこ
とが知られており、したがって、この硫酸カルシウムに
は見られないピークを有する成分が、免疫細胞活性、具
体的には好酸球活性を有する物質であると考えられる。
【0021】そこで、本発明では、上記のようにして得
られた海洋水から分離した海洋水可溶成分を硫酸カルシ
ウムから分離すべく、極性溶媒を用いてこれらの成分を
抽出分離する。ここで用いられる極性溶媒としては、誘
電率が2〜200、好ましくは20〜81.0の範囲の
ものを使用する。これらの極性溶媒の誘電率は、単独の
極性溶媒の値であってもよいし、複数の極性溶媒を混合
して用いた場合の複合的な値であってもよい。
【0022】このような極性溶媒の例としては、クロロ
ホルム(誘電率:4.806)、四塩化炭素(誘電率:
2.24)などの塩素系・ハロゲン系有機溶媒、メタノ
ール(誘電率:32.65)、エタノール(誘電率:2
4.30)、n-ブタノール(誘電率:17.1)などの
アルコール系溶媒、アセトン(誘電率:20.74)等
のケトン類溶媒、ジエチルエーテル(誘電率:4.33
5)等のエーテル系溶媒、酢酸エチル(誘電率:6.0
2)等のエステル系溶媒、酢酸(誘電率:6.15)等
の有機酸系及びその誘導体の溶媒、シクロヘキサン(誘
電率:2.023)等の炭化水素類溶媒、ベンゼン(誘
電率:2.284)、トルエン(誘電率:2.38)等
のベンゼン環系溶媒、ピリジン(誘電率:12.3)等
の有機塩類溶媒、およびアセトニトリル(誘電率:3
7.5)等のシアン化物系溶媒等並びに水(誘電率:8
0.1)を挙げることができる。これらの極性溶媒は、
単独であるいは組み合わせて使用することができる。ま
た、本発明で使用する極性溶媒は、抽出操作後に留去さ
れることから、同一の溶解特性を有するのであれば、沸
点の低い溶媒を使用することが好ましく、上記のような
極性溶媒のうち、有機極性溶媒としては、沸点が通常は
80℃以下、好ましくは60℃以下の有機極性溶媒を使
用することが好ましい。
【0023】本発明において、上記のような極性溶媒を
用いた抽出工程では、異なる溶解特性を有する極性を用
いて多段で行うこともできる。例えば、図1において
は、海洋水から分離した海洋水可溶成分をクロロホルム
で抽出した後、その残渣をメタノールで抽出し、さらに
このメタノール抽出残渣を80%エタノールで抽出し、
さらにこの80%エタノール抽出残渣を熱水で抽出した
例が示されている。
【0024】上記海洋水から分離した海洋水可溶成分1
0gに対して通常10〜100ml、好ましくは20〜5
0mlの量の極性溶媒を一回の抽出で使用し、一種類の抽
出溶媒を用いた抽出操作を通常は1〜6回、好ましくは
1〜5回行う。そして、例えば極性の高い溶媒から順次
極性の低い溶媒を使用して抽出することにより、使用す
る溶媒の極性に対応した極性を有する海洋水可溶成分を
分画して抽出することも可能である。なお、抽出溶媒の
使用量が多すぎると、抽出後の溶媒の除去に長時間を要
するようになると共に、海洋水から分離した海洋水溶存
成分の主成分である硫酸カルシウムの抽出液への移行量
が多くなる。
【0025】この抽出に際しては、抽出の対象となる成
分を含有した海洋水から分離した海洋水可溶成分と、抽
出溶媒とを接触させ、両者の混合物を超音波攪拌、機械
攪拌などして抽出対象となる成分を極性溶媒に移行させ
る。両者の接触条件は、溶媒および抽出対象成分によっ
て適宜設定することができるが、使用する溶媒の沸点以
下の温度で、通常は1分〜24時間、好ましくは10分
〜10時間程度接触させる。次いで、この混合物を濾過
等することにより、使用した抽出溶媒に可溶な成分と不
溶な成分を分離する。すなわち、可溶成分は濾液中に含
まれており、不溶成分は固形分として残留するため容易
に分離することができる。この分離操作には、濾過の
他、遠心分離、デカンテーションなどの固液分離方法を
採用することができる。例えば濾過操作で抽出溶媒と、
溶媒抽出された後の固形分とを分離する場合、目開き
0.01〜2μm程度のメンブランフィルターなどを使
用することができる。
【0026】例えば上記のようにしてメンブランフィル
ターなどを用いて分離された濾液から抽出溶媒を除去す
ることにより、海洋水から分離した海洋水可溶成分か
ら、免疫細胞活性物質、具体的には好酸球活性を有する
物質を分離することができる。この抽出溶媒を除去する
際には、抽出物が熱分解しないように、できるだけ低温
で抽出溶媒を除去することが好ましい。上記例示したよ
うな抽出溶媒は、比較的沸点が低いことから、減圧除去
等のように抽出物をできるだけ加熱しない方法で除去す
ることが可能である。
【0027】上記のようにして極性溶媒を用いて抽出処
理した後の残渣(溶媒抽出された後の固形分)を充分乾
燥させ、この残渣について測定した赤外線吸収スペクト
ルと、この抽出操作を行う前の海洋水から分離した海洋
水可溶成分について測定した赤外線吸収スペクトルとを
比較すると、抽出前の海洋水可溶成分の赤外線吸収スペ
クトルに存在していた硫酸カルシウムと異なる特徴的な
ピークは、抽出後の当該残渣の赤外線吸収スペクトルで
はほとんど消失する。したがって、これらの特徴的ピー
クを有する物質は、上記抽出操作によって、極性溶媒相
に移行して分離されたものと考えられ、そして、上記極
性溶媒を用いた抽出操作からの残渣は、そのほとんどが
硫酸カルシウムであると考えられる。
【0028】そこで、上記極性溶媒を用いた抽出操作に
よって分離された成分について好酸球活性を調べた。抽
出成分の好酸球活性は、使用した極性溶媒によって異な
るが、例えば、クロロホルム、メタノール、エタノール
を用いて、この順序で抽出操作を行う場合、クロロホル
ム抽出物、メタノール抽出物、およびエタノール抽出物
のすべてにおいて、コントロール(PBS:リン酸バッフ
ァー生理食塩液)よりも高い好酸球活性を示す。
【0029】なお、上記のような有機極性溶媒を用いて
抽出した後、熱水(通常は80〜100℃以下)で抽出
した熱水抽出物、および、この熱水抽出残渣の10重量
%NaOH抽出液を塩酸で中和して透析したNaOH抽出部も、
有機極性溶媒抽出物よりは低いものの、コントロール
(PBS)より高い好酸球活性を示す。このような好酸球
活性を示す成分は、本来は、海洋水に溶解していた成分
であり、海洋水を濃縮することにより析出した成分を極
性溶媒と接触させて極性溶媒によって溶出した物質であ
り、多種多様な成分を含有しており、これらを特定する
ことは極めて困難である。しかしながら、元来、海洋水
に溶解していたこと、極性溶媒、特に有機極性溶媒によ
って抽出可能な物質であることなどからして、極性基を
有する有機化合物の混合物である可能性が高い。
【0030】これらの好酸球活性を示す抽出物の化合物
名、構造、組成などの詳細は解明されていないが、上記
のような分離操作によって抽出分離される物質であるか
ら分子量がそれほど大きくない有機化合物などであろう
と推定される。そして、これらの有機化合物が複合的に
作用すると共に、豊富に溶存しているミネラル分などが
相互に作用して優れた好酸球活性が発現すると考えられ
る。
【0031】前述のように、アトピー性皮膚炎のような
アレルギー反応においては、局所に遊走した好酸球がヒ
スタミラーゼ、アリルスルファターゼB、ホスホリパー
ゼD2を放出する。放出されたこれらの物質は炎症をメ
ディエート(mediate)するヒスタミン、異種蛋白等の異
物に対する異常過敏反応のエオジン好性細胞走化性因子
(eosinophil chemotactic factor of anaphylaxis)お
よび血小板活性化因子(platelet activating factor(P
AF))を代謝してアレルギー反応の修復に働くことが知
られている。さらに、最近では好酸球は上記のような組
織の修復作用以上に組織の障害性に働くと考えるように
なってきてもいる。好酸球が組織障害に関与する上で役
割を果たすのが好酸球の特殊顆粒内に存在する4種類の
塩基性タンパク質(major basic protein(MBP), eosino
phil peroxidase(EPO), eosinophilcationic protein(E
CP), eosinophil-derived neurotoxin(EDN))と好酸球
が産生するスーパーオキサイド(O2 -)由来の各種活性
酵素分子種である。これらの4種類の塩基性タンパク質
は、活性化された好酸球から脱顆粒によって組織に放出
され、組織障害に関与すると考えられている。特にMB
Pは好塩基性球を、EPOは肥満細胞を活性化しヒスタ
ミンを遊離させアレルギー反応を増長させていると考え
られている。
【0032】また、スーパーオキサイド(O2 -)は、好
酸球がIgE複合体、PAF、オプソニン化ザイモザン(O
Z)、phorbol myristate acetate などの種々の刺激に
よってNADPHオキシダーゼと呼ばれる細胞膜結合性酵素
系が活性化することによって産生する。このNADPHオキ
シターゼは、急激なhexose monophosphate shunt 活性
の増大で生成されるNADPHを酸化し、それによって酸素
が1電子還元されたO2 -を生成する。このO2 -からは酵
素的あるいは非酵素的反応により、H2O2、HO-1O2など
の反応性の高い各種活性酸素分子種が生ずる。これらの
活性酸素分子種は、殺菌などの重要な生体防御を担って
いる。したがって、好酸球の有するスーパーオキサイド
(O2 -)の産生を促進させる能力によって、アトピー性
皮膚炎などのアレルギー反応の原因要素の抑制に非常に
有用に作用する。
【0033】そして、上記海洋水中に溶解している成分
から上述のようにして極性溶媒を用いて抽出分離した成
分を用い、好酸球によって生成するスーパーオキサイド
(O 2 -)から派生する過酸化水素量、すなわち、好酸球
の過酸化水素産生能力を測定したところ、いずれの極性
溶媒を用いて抽出分離した物質もコントロール(PBS)
よりも効率よく好酸球を活性化させることができる。
【0034】本発明において、好酸球の活性化度は例え
ば以下に記載する方法により測定することができる。ま
ず、例えば、好酸球に選択的な増殖分化因子であるIL-
5を恒常的に産生するトランスジェニックマウス(C3H/H
eN-TgN(IL-5)Imeg)の15〜20週令の個体から、脾臓
好酸球および脊髄好酸球を調製する。すなわち、脾臓お
よび脊髄をCa 2+フリーのKrebs-Ringer-phosphate buffe
r solution(KRP)(pH値7.4)中でホモジナイズし、細胞懸
濁液をPercoll不連続密度勾配遠心法等の方法で分離す
ることにより、好酸球を得ることができる。脾臓は通常
は75%、脊髄は通常は80%をそれぞれ好酸球画分と
して使用することができる。なお、ここで使用されるマ
ウスは、メタロチオネインプロモーター支配下にIL-5
産生量を高める目的で実験の5日前に硫酸カドミウム2
0μgの腹腔内投与を行ったものであることが望まし
い。
【0035】また、上記の他に、例えば、好酸球に選択
的な増殖分化因子であるIL-5を恒常的に産生するトラ
ンスジェニックマウス(C3H/HeN-TgN(IL-5)Imeg)の末梢
血から分離した好酸球も好ましく用いられる。海洋水中
に含有されている本発明の好酸球活性成分による好酸球
のスーパーオキサイド(O2 -)の産生向上力は、好酸球
により産生される過酸化水素により還元されたシトクロ
ムc(Cyt. c)の量を測定することにより算定できる。
【0036】この測定は、Nakagawa. A., Shibata. K.,
Takeshige. K., et al: Exp.Cell.Res.101:224-234(19
76)に記載の方法で行うことができる。すなわち、例え
ば、20μモルのシトクロムc(Cyt. c)、10mモル
のグルコース、1mMのCaCl2を含み、37℃に保持され
たKRPに上記由来の好酸球(5×105 cells/ml)を懸濁
し、Cyt. cの還元に伴う550nmの吸光度の増大(A
550-5 40)を経時的に測定する。なお、O2 -の生成量
は、Cyt. cの分子吸光度21.0mM-1・cm-1から求め
ることができる。また、この測定には、反応液を攪拌し
ながら吸光度を測定できる装置(例えば、(株)島津製
作所製、二波長分光光度計(UV-300))を使用すること
が望ましい。
【0037】また、好酸球の活性化度は更に以下に記載
する方法により測定することができる。すなわち、例え
ば、好酸球が産生するスーパーオキサイド(O2 -)から
派生した過酸化水素(H22)の量を測定することによ
り算定できる。この過酸化水素(H22)の量は好酸球
の過酸化水素産生能を示すものであり、活性化指標とし
て好酸球の活性化度を表すことができる。この測定は、
Irene, A.M.Vint, John,C. Foreman, et al: Eur. J. I
mmunol. 24:1961-1965,1994に記載の方法で行うことが
できる。
【0038】すなわち、好酸球が海洋水の活性成分によ
り活性化され産生するスーパーオキサイド(O2 -)から
派生した過酸化水素(H22)の量の測定は、2',7'-di
chlorodihydrofluorescein diacetate(DCFH-DA)による
蛍光を、フローサイトメーターを用いて解析することに
より測定することができる。具体的には、5×105cel
ls/mlの好酸球を2.5μモルDCFH-DAを含むPhosphate-
buffer saline glucose(5mモルglucose)(PBSg)0.5
ml中で37℃、15分間インキュベートし、その後、
刺激物を添加して37℃で、30分間インキュベートを
行い、最後にPBSgで数度細胞を洗浄した後、フローサ
イトメーターで解析測定することができる。
【0039】なお、上記の測定方法は、好酸球の活性化
度を測定する方法の例であり、本発明の好酸球活性物質
の活性化度の測定方法は上記の方法に限定されるもので
はない。本発明の好酸球活性物質は、優れた好酸球活性
を有するので、医薬品および化粧料に好適に使用するこ
とができる。
【0040】本発明の好酸球活性物質を含有する医薬品
および化粧料は、アレルギー疾患、特にアトピー性皮膚
炎に使用される薬剤・化粧料の成分として有用性が高
い。すなわち、本発明の好酸球活性物質は、局所に遊走
した好酸球を活性化してアレルギー反応におけるヒスタ
ミン、異種蛋白等の異物に対する異常過敏反応のエオジ
ン好性細胞走化性因子(eosinophil chemotactic facto
r of anaphylaxis)および血小板活性化因子 (platele
t activating factor(PAF))を代謝させるヒスタミラー
ゼ、アリルスルファターゼB、ホスポリパーゼD2を放出
する。さらに、好酸球が細胞膜結合性酵素系を活性化す
ることによるスーパーオキサイド(O 2 -)の生成により
生体防御反応を向上させることができる。
【0041】本発明の好酸球活性物質は、基材に溶解も
しくは分散させた外用薬として使用することもできる。
このように外用薬として使用する場合、外用薬中におけ
る好酸球活性物質の量は、通常は0.00001〜1
0.0重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%で
ある。この場合の外用薬の基材としては、ワセリン、セ
レシン、パラフィン、スクワラン、ワックス類、オゾケ
ライド等通常の外用薬の基材として使用されているもの
を用いることができる。また、剤形としては、エマルジ
ョン状、油状、ワックス状、ローション状などに応用さ
れることができる。
【0042】また、本発明の好酸球活性物質を水溶液と
することにより注射液として使用することもできる。こ
の場合における好酸球活性物質の濃度は、通常は0.0
00001〜10.0重量%、好ましくは0.0001
〜0.1重量%の範囲内に設定する。注射液として使用
する場合、pH調整剤、酸化防止剤など注射液の安定性
等を確保するために配合する成分を配合することができ
る。
【0043】さらに、本発明の好酸球活性物質は、粉
剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップなどの内服薬
として使用することもできる。本発明の好酸球活性物質
を使用する内服薬、注射薬として使用する場合、使用量
は症状、使用者の状態などを考慮して適宜設定すること
ができるが、体重1kgあたりの使用量は、一般には、
0.0001〜10000mg、好ましくは0.1〜10
0mgの範囲内に設定することができる。
【0044】上記に、本発明の好酸球活性物質を含む医
薬品および化粧料について具体例をあげて説明したが、
本発明の効果を達成し得る限り、本発明の医薬品および
化粧料の剤型、使用方法、投与方法等は、限定されない
ことはいうまでもない。また、上記以外にも、本発明の
効果を達成し得る限り、本発明の医薬品および化粧料に
は、医薬品および化粧料の成分として通常使用される成
分を配合することができる。
【0045】なお、本発明の免疫細胞活性物質によれ
ば、好酸球以外の他の白血球、すなわち、マクロファー
ジなどの単球、NK細胞、T細胞、K細胞、B細胞などのリ
ンパ球、好中球、好塩基球などの顆粒球等についても同
等の効果が得られ、医薬品および化粧料の成分として好
適に用いられる。
【0046】
【発明の効果】本発明の免疫細胞活性物質(好酸球活性
物質を含む)は、海洋水(主として表層水)中に溶存し
ている成分であり、海洋水から析出させた後、極性物質
により抽出可能な物質である。この物質は、極性溶媒に
より抽出可能であり、それほど分子量の大きくはない有
機化合物あるいはこうした有機化合物を主成分とする複
合体であると考えられる。この物質は、たとえば、好酸
球を活性化させることができ、好酸球が活性化して産生
したスーパーオキサイドなどの作用により非常に優れた
生体防御機能を有する。また、この物質は、炎症をメデ
ィエートするヒスタミンなどを代謝させてアレルギー反
応の修復に働くヒスタミラーゼなどを放出する。
【0047】さらに、免疫細胞活性物質、たとえば、好
酸球活性物質は、海洋水中に溶存していた成分を濃縮お
よび脱塩することにより一旦析出させ、この析出物を極
性溶媒を用いて抽出した後、抽出溶媒である極性溶媒を
除去することにより得られる成分であり、これらの抽出
成分を好酸球に作用させることにより、好酸球からスー
パーオキサイド(O2 -)が生成し、このスーパーオキサ
イド(O2 -)から酵素的反応あるいは非酵素的反応によ
り反応性の高い各種活性酸素種を生成させることができ
る。そして、これらの活性酸素種に殺菌作用などの重要
な生体防御を発現させることができる。
【0048】そして、本発明の免疫細胞活性物質、たと
えば好酸球活性物質の有する上記のような機能が複合的
に作用するため、本発明の免疫細胞活性物質、たとえば
好酸球活性物質は、喘息や花粉症、皮膚炎などのアレル
ギー疾患の治療成分として、特にアトピー性皮膚炎など
のアレルギー疾患の治療成分として有用性が高い。ま
た、本発明の免疫細胞活性物質は、海洋水中に溶存して
いる成分を析出した後、極性溶媒を用いて抽出すること
により得ることができ、これらの操作は分離操作であっ
てこれらの操作中においては、化合物の反応は本質的に
は進行しないので、最初から海洋水中に含有されていて
免疫細胞(例:好酸球)に活性を向上させることのでき
る成分を選択的に得ることができる。しかも、使用する
抽出溶媒のそれほど沸点が高くないので、例えば減圧に
することにより抽出溶媒(極性溶媒)を容易に除去する
ことができる。
【0049】さらに、本発明の免疫細胞活性物質(例:
好酸球活性物質)は、水に対する親和性がよく、しかも
有機極性溶媒によって抽出することができるほど有機化
合物に対する親和性もよいので、外用薬、内服薬、注射
液など種々の形態で利用することができる。しかも、本
発明の好酸球活性物質は、通常の好酸球活性物質と比較
して、副作用が著しく少なく、極めて安全性が高く、特
にアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の治療薬とし
て非常に有用性が高い。
【0050】
【実施例】本発明について実施例を示してさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。
【0051】
【実施例1】[好酸球活性物質の調製]水深100mの
温暖層から採取した海洋水20リットルを目開き0.4
5μmのメンブランフィルターを用いて濾過し浮遊物を
除去した。こうして濾過された海洋水を減圧蒸留装置に
入れ、減圧度20Torrの圧力条件で、蒸留温度を40℃
以下の温度に設定して、海洋水の量が約2リットル(元
の海洋水の1/10の量)になるまで減圧蒸留した。
【0052】こうして減圧蒸留することにより、海洋水
に溶存していた成分が析出したので、この析出物(1)
を目開き0.45μmのメンブランフィルターで濾取し
た。一方、上記のようにして濾過することにより得られ
た濾液をモザイク荷電膜(商品名:MC−55Bモザイ
ク荷電膜、東ソー(株)製)を用いて温度10℃の条件
で脱塩操作を行い、さらにこの脱塩された液を減圧蒸留
装置に入れて、20Torrの減圧下に、40℃の温度を超
えないように温度を管理して、液の容量が100mlにな
るまで減圧下に水分を蒸留除去した。
【0053】上記のモザイク荷電膜を用いた脱塩および
減圧蒸留を繰り返して、5mlになるまで濃縮した。こう
して脱塩および減圧蒸留を繰り返すことにより析出した
析出物(2)を濾取した。上記の析出物の一部を分取
し、この析出物を50mlのクロロホルム(誘電率:4.
86)に入れ、この分散液の温度を50℃以下に保持し
て30分間超音波攪拌を行った。次いで、目開き0.4
5μmのメンブランフィルターを用いて上記分散液を濾
過して、濾液と固形物とを分離した。
【0054】上記のようにして分離された固形物につい
て上記と同様の操作を更に2回行い、150mlのクロロ
ホルム濾液を得た。このクロロホルム濾液を20Torrの
減圧下に40℃に加熱してクロロホルムを除去してクロ
ロホルム抽出物を得た。次いで、上記クロロホルム抽出
によりメンブランフィルターで分離された固形物のメタ
ノール抽出を行った。すなわち、上記のクロロホルム抽
出において、抽出溶媒をメタノール(誘電率:32.6
5)に代えた以外は同様にしてメタノール抽出を行い、
150mlのメタノール濾液を得た。このメタノール濾液
を上記クロロホルムの場合と同様にしてメタノールを除
去してメタノール抽出物を得た。
【0055】さらに、上記メタノール抽出によりメンブ
ランフィルターで分離された固形物を用いて80%エタ
ノール(エタノール:80容量%、水:20容量%、誘
電率値:35.46)抽出を行った。すなわち、上記の
クロロホルム抽出において、抽出溶媒を80%エタノー
ルに代えた以外は同様にして80%エタノール抽出を行
い150mlの80%エタノール濾液を得た。
【0056】この80%エタノール濾液を上記クロロホ
ルムの場合と同様にしてエタノール及び水を除去して8
0%エタノール抽出物を得た。一方、上記のようにして
80%エタノール抽出を行った後、メンブランフィルタ
ー上の固形分(残渣)について赤外線吸収スペクトルを
測定した。この赤外線吸収スペクトルと、これとは別
に、市販の硫酸カルシウムの特級試薬(和光純薬(株)
製)について測定した赤外線吸収スペクトルとを比較し
たところ、両赤外吸収スペクトルは、非常に近似してお
り、当該残渣は、そのほとんどが硫酸カルシウムである
と考えられる。
【0057】また、当該残渣の赤外吸収スペクトルと上
記の析出物(1)と(2)との混合物について測定した
赤外線吸収スペクトルとを比較したところ、両者は、ほ
とんど近似しているが、析出物(1)と(2)との混合
物の赤外線吸収スペクトルには、当該残渣にみられない
ピークが存在していた。したがって、この析出物(1)
と(2)との混合物中にのみ見られるピークは、上記の
クロロホルム、メタノール、80%エタノール抽出によ
って得られた抽出物に起因するものであると推定され
る。
【0058】上記のようにして80%エタノール抽出を
行った後、メンブランフィルター上の固形分を95℃の
熱水50mlに投入して30分間超音波攪拌を行い、次い
で、目開き0.45μmのメンブランフィルターを用い
て濾過した。上記操作をさらに2回繰り返して150ml
の濾液を得た。この濾液から水を減圧蒸留して除去し、
熱水抽出物を得た。
【0059】一方、上記熱水抽出した後、メンブランフ
ィルター上の固形分を10%水酸化ナトリウム水溶液5
0mlに投入して室温でしばらく攪拌し、次いで、目開き
0.45μmのメンブランフィルターを用いて濾過し、
固形分を得た。他方、上記10%水酸化ナトリウム水溶
液抽出液(濾液)を塩酸で中和した後、透析することに
よりNaOH抽出物を得た。 [海洋水から抽出された好酸球活性物質の活性化度]海
洋水中に含有されている本発明の好酸球活性物質の好酸
球を活性化する活性化度は、好酸球が産生するスーパー
オキサイド(O2 -)から派生した過酸化水素(H22
の量を指標にして測定した。好酸球が海洋水の活性成分
により活性化されて産生するスーパーオキサイド
(O2 -)から派生した過酸化水素(H22)の量の測定
は、具体的には、2',7'-dichlorodihydrofluorescein d
iacetate (DCFH-DA)による蛍光を、フローサイトメータ
ーを用いて解析することにより行った。
【0060】5×105cells/mlの好酸球を、2.5μ
モルDCFH-DAを含むPhosphate-buffersaline glucose(5m
モルglucose)(PBSg)0.5ml中で、37℃で、15
分間インキュベートし、その後、刺激物(PMA50ng/
ml)を添加し、37℃で、30分間インキュベートを行
った。PBSgで2度細胞を洗浄した後、フローサイトメ
ーターで解析・測定した。
【0061】本実験において使用した好酸球は、好酸球
に選択的な増殖分化因子であるIL-5を恒常的に産生す
るトランスジェニックマウス(C3H/HeN-TgN(IL-5)Imeg)
の末梢血から分離した好酸球を用いた。末梢血を終濃度
0.22%のクエン酸を含むCa++フリーのKrebs Ring
erリン酸緩衝液(KRP)(0.9%NaCl、6mモ
ルKCl、1mモルMgCl2、10mモルNa−リン
酸緩衝液(pH7.4))中に採取し、赤血球、単球を
除去する目的で、Percoll不連続密度勾配遠心法を行っ
た。Percoll原液に対して、10倍濃度のKRPを1/
10量添加したものを100%Percoll定義細胞混濁の
下に60、70、80%Percollを重層し、350g、
室温、20分間遠心した後、70、80%層を回収し
た。回収した細胞集団を分離用緩衝液(5mモルEDT
A、0.5%BSA、10mモルNa−K−リン酸緩衝
液(pH7.2))に更に懸濁(1×107cells/50
μl)し、抗Thy1.2抗体結合磁気ビーズ(1×1
7beads/25μl)と抗B220抗体結合磁気ビーズ
(1×107beads/25μl)に添加し、4℃で20分
間反応させた後、永久磁石を用いネガティブセレクショ
ンで採取された細胞集団を好酸球集団として実験に供し
た。なお、分離後の細胞集団の純度はフローサイトメー
ター(BECTON DICKINSON社製のFAC
Scan)で解析した。
【0062】測定物質は、液体成分はサンプル/1.8
%NaClと精製水で調整し、等張に調整したものを終
濃度100μg/mlで添加した。固形成分は生理食塩
水に懸濁し、終濃度100μg/mlで添加した。クロ
ロホルム抽出物、メタノール抽出物、80%エタノール
抽出物について、好酸球活性を調べたところ、いずれの
抽出物についても、コントロール(PBS)より高い好酸
球活性を示した。
【0063】また、有機極性溶媒を用いて抽出した後、
熱水で抽出した熱水抽出物、および、この熱水抽出残渣
の10重量%NaOH抽出液を塩酸で中和して透析したNaOH
抽出部も、コントロール(PBS)より僅か高い好酸球活
性を示したが、極性溶媒抽出物より低い好酸球活性を示
した。以上の結果から、本発明で得られた海洋水に含ま
れる極性溶媒可溶物は好酸球に対する好酸球活性を有す
ることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の免疫細胞活性物質を得る方法
の例を示す工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/04 A61P 37/04 37/08 37/08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海洋水から分離した海洋水溶存物と極性
    溶媒との接触により該海洋水溶存物から該極性溶媒相に
    移行する極性溶媒可溶性成分に含有される免疫細胞活性
    物質。
  2. 【請求項2】 上記免疫細胞活性物質が好酸球活性物質
    であることを特徴とする請求項第1項記載の免疫細胞活
    性物質。
  3. 【請求項3】 上記極性溶媒の誘電率が2.0〜200
    の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項または第
    2項記載の免疫細胞活性物質。
  4. 【請求項4】 上記海洋水が、水面下200m以内の海
    中から採取された海水であることを特徴とする請求項第
    1項または第2項記載の免疫細胞活性物質。
  5. 【請求項5】 上記海洋水溶存物が、海洋水を最初の容
    量の1/5〜1/1000に濃縮し、さらに脱塩するこ
    とにより得られる海洋水からの析出物であることを特徴
    とする請求項第1項または第2項記載の免疫細胞活性物
    質。
  6. 【請求項6】 海洋水に溶存していた物質を海洋水から
    分離する工程、該分離された海洋水溶存物と極性溶媒と
    を接触させて該海洋水溶存物中に含まれる極性溶媒溶解
    性物質を極性溶媒相に移行させる工程、該極性溶媒相と
    極性溶媒に不溶である成分とを分離する工程、および、
    該分離された極性溶媒相から極性溶媒を除去して極性溶
    媒可溶性成分に含有される免疫細胞活性物質を得る工程
    を含むことを特徴とする免疫細胞活性物質を高濃度で得
    る方法。
  7. 【請求項7】 上記免疫細胞活性物質が好酸球活性物質
    であることを特徴とする請求項6記載の免疫細胞活性物
    質を高濃度で得る方法。
  8. 【請求項8】 上記極性溶媒の誘電率が2.0〜200
    の範囲内にあることを特徴とする請求項第6項または第
    7項記載の免疫細胞活性物質を高濃度で得る方法。
  9. 【請求項9】 上記海洋水が、水面下200m以内の海
    中から採取された海水であることを特徴とする請求項第
    6項または第7項記載の免疫細胞活性物質を高濃度で得
    る方法。
  10. 【請求項10】 上記海洋水溶存物が、海洋水を最初の
    容量の1/5〜1/1000に濃縮し、該濃縮された海
    洋水を脱塩する工程を経て海洋水に溶存していた物質を
    分離することにより得られることを特徴とする請求項第
    6項または第7項記載の免疫細胞活性物質を高濃度で得
    る方法。
  11. 【請求項11】 上記分離された海洋水溶存物を誘電率
    の異なる複数の極性溶媒に順次接触させて、該海洋水溶
    存物中に含有される極性溶媒可溶成分を順次極性溶媒層
    に移行させることを特徴とする請求項第6項または第7
    項記載の免疫細胞活性物質を高濃度で得る方法。
  12. 【請求項12】 海洋水から分離した海洋水溶存物と極
    性溶媒との接触により該海洋水溶存物から該極性溶媒相
    に移行する極性溶媒可溶性成分に含有される免疫細胞活
    性物質を含有することを特徴とする医薬品。
  13. 【請求項13】 海洋水から分離した海洋水溶存物と極
    性溶媒との接触により該海洋水溶存物から該極性溶媒相
    に移行する極性溶媒可溶性成分に含有される免疫細胞活
    性物質を含有することを特徴とする化粧料。
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