JP2003111836A - 人工心肺回路システム - Google Patents

人工心肺回路システム

Info

Publication number
JP2003111836A
JP2003111836A JP2002185572A JP2002185572A JP2003111836A JP 2003111836 A JP2003111836 A JP 2003111836A JP 2002185572 A JP2002185572 A JP 2002185572A JP 2002185572 A JP2002185572 A JP 2002185572A JP 2003111836 A JP2003111836 A JP 2003111836A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
blood
fiber membrane
gas
polymer material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002185572A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4162931B2 (ja
Inventor
Akira Mochizuki
明 望月
Kenichi Shimura
賢一 志村
Takakimi Anzai
崇王 安齊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP2002185572A priority Critical patent/JP4162931B2/ja
Publication of JP2003111836A publication Critical patent/JP2003111836A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4162931B2 publication Critical patent/JP4162931B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】熱安定性が高く血液適合性に優れた人工心肺回
路システムの提供。 【解決手段】一方の面が血液と接触する血液接触部を構
成し、他方の面が気体と接触する気体接触部を構成する
ガス交換用多孔質中空糸膜と、該中空糸膜を収納するハ
ウジングとからなる中空糸膜型人工肺を備える人工心肺
回路システムであって、少なくとも前記中空糸膜型人工
肺の血液接触部の一部が下記一般式(1)で表される繰
り返し単位を主構造成分とし、65℃での粘度が5,0
00ポイズ(500Pa・s)以上の高分子材料で被覆
されていることを特徴とする人工心肺回路システム。 (式中、R1 は水素またはメチル基であり、R2 は炭素
数1〜4のアルキレン基であり、R3 は炭素数1〜4の
アルキル基である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体適合性に優れ
た人工心肺回路システム関する。さらに詳しくは血液適
合性に優れるポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレ
ート系の高分子材料で被覆された血液接触部を有する人
工心肺回路システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高分子材料を用いた医療用具が多
方面に開発され使用されている。例えば、人工腎臓、人
工肺膜、血漿分離膜、カテーテル、人工血管、人工関
節、人工皮膚などである。人工高分子は生体内に入ると
生体にとっては異物となるため種々の生体防御反応を惹
起させ、生体にとって好ましくないことが起きる。この
ため生体反応を起こさない、即ち生体適合性または血液
適合性に優れる材料の開発が期待されているのが現状で
ある。血液適合性、とりわけ血小板適合性については親
水相および疎水相のミクロ相分離構造をもつ材料が優れ
ることが知られている。しかし、このためには特定のサ
イズの相分離を発現させる必要があり、この構造をコン
トロールする条件が狭い範囲に限定されるため、用途に
制限がある。また、ポリエチレングリコール等のヒドロ
ゲルを材料表面に形成させることによっても血小板適合
性が発現できることが知られているが、短時間の適合性
に留まり、長期にわたる適合性発現は難しい。一方、ポ
リプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の疎水性
材料表面には血小板は顕著に粘着し、活性化が起きるこ
とが知られている。
【0003】一方、血液適合性における補体系に対する
適合性は、補体活性がセルロースやエチレン−ビニルア
ルコール共重合体において顕著であり、これらの高分子
材料中に存在する水酸基が活性化原因であることが知ら
れている。逆に疎水性材料のポリプロピレン等は補体活
性が少ないことが知られている(人工臓器16(2)、
1045−1050、(1987))。血小板適合性、
抗補体活性、表面の調整のしやすさ等をバランスよく有
する材料としてポリアルコキシアルキル(メタ)アクリ
レートが特開平4−152952号公報に開示されてい
る。しかし、本材料はガラス転移温度が0℃以下にある
非晶性の高分子材料であり、室温では固い飴状であり流
動は殆どしない状態にあるが、温度が加わると当然、流
動性を発現する。このため本材料を被覆した医療用具
は、本材料の流動特性が大きな問題となる。即ち、被覆
溶媒を蒸発させるために加温したり、ガス滅菌時の加温
等、熱のかかる製造プロセスを経る際に大きく影響を受
けることがある。また、例えば輸送過程において、夏季
の自動車内に放置された場合も高温環境に曝されること
になり、品質性能の安定化に大きな問題となる可能性が
ある。具体的には、ポリアルコキシアルキルメタクリレ
ートを中空糸膜型人工肺に適用した場合、上述のような
ことで温度が加わった場合、該高分子材料の流動性が高
くなり、その微細孔内に浸入し、ガス交換性能が低下す
るという恐れが生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高温度でも、
ある粘度以上を有するアルコキシアルキル(メタ)アク
リレートで血液接触部を被覆することにより、安定性の
高い生体適合性を有する人工心肺回路システムを提供す
ることを目的とする。具体的には65℃での融体粘度
が、5, 000ポイズ(500Pa・s)以上であるポ
リアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを使用する
ことで本目的を達成することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、一方の面が血
液と接触する血液接触部を構成し、他方の面が気体と接
触する気体接触部を構成する複数のガス交換用多孔質中
空糸膜と、該中空糸膜を収納するハウジングとからなる
中空糸膜型人工肺を備える人工心肺回路システムであっ
て、少なくとも前記中空糸膜型人工肺の血液接触部の一
部が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を主構造
成分とし、65℃での粘度が5, 000ポイズ(500
Pa・s)以上の高分子材料で被覆されていることを特
徴とする人工心肺回路システムである。
【化2】 (式中、R1 は水素またはメチル基であり、R2 は炭素
数1〜4のアルキレン基であり、R3 は炭素数1〜4の
アルキル基である。)
【0006】前記高分子材料が、ポリメトキシエチルア
クリレート(R1 が水素であり、R 2 がエチレン基であ
り、R3 がメチル基)である前記記載の人工心肺回路シ
ステムである。
【0007】前記高分子材料の65℃での粘度が7,8
00ポイズ(780Pa・s)以上である前記記載の人
工心肺回路システムである。
【0008】前記高分子材料の被覆量が0.02〜0.
5g/m2 である前記記載の人工心肺回路システムであ
る。
【0009】本発明の人工心肺回路システムは、開心術
などの際に、生体肺に代わり、血液中の二酸化炭素を除
去し、血液中に酸素を添加するための体外血液循環回路
システムであり、人工心肺回路システムを構成する部品
として、中空糸膜型人工肺の他に、動脈フィルター、バ
ブルトラップ、リザーバー、カーディオプレギア、遠心
ポンプ、カニューレ、およびこれらを連結するチューブ
はコネクターなどを有していてもよい。本発明における
中空糸膜型人工肺は、具体的には複数の多孔質中空糸膜
である多孔質膜を介して血液接触部側に血液流入口と血
液流出口とを備えた血液流路が形成され、気体接触部側
にガス流入口とガス流出口とを備えた気体流路が形成さ
れている。中空糸膜型人工肺はガス交換能を高めるた
め、数10オングストロームから0. 1μmの孔径を有
する微細孔が無数に開いたポリプロピレン等の疎水性材
料から出来ている中空糸を多数本用い(特開平7−31
3854号公報記載)、ガスは中空糸の内側を層流で流
れ、血液は外筒と中空糸の隙間を流れるようになってい
る。中空糸膜は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、
ポリテトラフルオロエチレン等の合成高分子材料を用い
ることができる。本発明の人工心肺回路システムは、中
空糸膜型人工肺の血液接触部の少なくとも一部が特定の
高分子材料で被覆されており、中空糸膜型人工肺以外の
構成部品の血液接触部も、特定の高分子材料で被覆され
ていることが好ましい。
【0010】以下、本発明における中空糸膜型人工肺に
ついて好適な1例を図1を用いて詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されない。図1は、本発明の一実施
態様である中空糸膜型人工肺の組み立て状態を示してあ
る。この中空糸膜型人工肺50は、筒状体のハウジング
51と、このハウジング51内全体に広がってガス交換
膜となる中空糸膜52が収納されている。多孔質中空糸
膜52は、内部に空洞を有する円柱状で外表面と内表面
を有し、その側面には、多数の微細孔を有している。こ
れにより中空糸膜52は、その膜壁に中空糸膜の内部と
外部を連通するガス流路を形成する多数の微細孔を有し
ている。中空糸膜52の両端部は、それぞれの開口が閉
塞されない状態で隔壁53,54によりハウジング51
に液密に固着されている。そして、この隔壁53,54
により、ハウジング51内部は、中空糸膜外表面とハウ
ジング51の内壁と隔壁53,54により形成される第
1の物質移動室である血液流路56と、中空糸膜(中空
糸)内部に形成される第2の物質移動室である気体流路
55とに区画される。
【0011】ハウジング51には、その一方の端部付近
には酸素を含むガスのガス流入口60が、他端付近に
は、そのガス流出口65が設けられている。従って、図
1の膜型人工肺50では、血液と気体との間でガス交換
が行われる中空糸膜52は、微細孔を有する膜壁であ
り、その一方の面の血液と接触する血液接触部が、中空
糸膜52の外表面で構成され、他方の面の気体接触部は
中空糸膜52の内表面で構成される。
【0012】本発明に用いられる中空糸膜人工肺は、中
空糸膜52を介して血液接触部側に血液流入口57と血
液流出口58とを備えた血液流路56が形成され、気体
接触部側にガス流入口60とガス流出口65とを備えた
気体流路55が形成されている。さらに、隔壁53の外
側には、ガス流入口60と環状凸部61を有する流路形
成部材63がネジリング64により固定されており、ま
た隔壁54の外側には、ガス流出口65と環状凸部66
を有する流路形成部材67がネジリング68により固定
されている。そして、流路形成部材63,67の凸部7
0,71は、隔壁53,54に当接しており、この凸部
70,71の外側周縁には、ネジリング64,68のそ
れぞれに設けられた少なくとも2つの孔75,76,7
7,78の一方よりシール剤が充填され、流路形成部材
63,67を隔壁53,54に液密に固着している。本
発明において、以上で説明した中空糸膜型人工肺では、
中空糸膜52の血液接触部の少なくとも1部、すなわち
中空糸膜の少なくとも血液と接触する面、好ましくは中
空糸膜の外表面の少なくとも1部が以下で説明する特定
の高分子材料で被覆されている。
【0013】中空糸膜の血液接触部の全体が、被覆され
てもよいし、その一部であってもよい。被覆量は血液接
触部で平均0. 02〜0. 5g/m2 とするのが好まし
く、0. 05〜0. 2g/m2 とするのがより好まし
い。この範囲であると、血液適合性と熱安定性の優れた
人工心肺回路システムが得られる。
【0014】本発明では、一般式(1)で表される繰り
返し単位、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートを
構成単位とする合成高分子材料で中空糸膜の血液接触部
を被覆する。
【化3】 式中、R3 O−は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、ブトキシ基等の炭素数が1〜4のアルコキシ基で
あり、−R2 −は、メチレン基、エチレン基、プロピレ
ン基、ブチレン基等の炭素数が1〜4のアルキレン基で
あり、R1 は水素またはメチル基である。これらの組み
合わせの中でも特にR3 O−がメトキシ基、−R2 −が
エチレン基、R1 が水素であるメトキシエチルアクリレ
ートであることが、生体適合性、経済性の点から望まし
い。
【0015】前記高分子材料の粘度は、65℃で5, 0
00ポイズ(500Pa・s)以上であり、好ましくは
7,800ポイズ(780Pa・s)以上、より好まし
くは15, 000ポイズ(1, 500Pa・s)〜2
0, 000ポイズ(2, 000Pa・s)である。この
範囲であると人工肺に求められる熱安定性が得られるこ
と、即ち、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートの
自己流動に伴う、多孔質膜の微細孔の閉塞が防げる効果
を有する。
【0016】一般にアルコキシアルキル(メタ)アクリ
レート系の高分子材料はガラス転移温度が室温以下であ
るため、室温では飴状であり、分子量に依存した流動性
を示す。人工肺膜などの多孔体に被覆した後、溶媒溜去
や滅菌工程、あるいは流通過程において60〜70℃程
度の温度がかかることがある。このため、被覆されたポ
リマーは粘度が低下し流動性が増す。このとき粘度が下
がり過ぎると、毛細管現象により、微細孔内に該高分子
材料が吸収されてしまうことが起きる。このことは微細
孔の閉塞を意味し、ガス交換性能が低下するという可能
性を示している。ガス交換性能の低下は15%程度であ
れば、臨床上、大きな問題にならないが、それ以上に膜
性能が低下すると問題が考えられる。ガス交換性能の測
定は、具体的には例えば、実施例1に記載のガスフラッ
クス法により行うことができる。
【0017】粘度は分子量分布に大きく影響されるた
め、望ましい分子量を一概に規定することは出来ない
が、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で
割った比(Mw/Mn)が1〜1. 5程度の分子量分布
の範囲が狭いポリマーの場合、好ましくはMwが40,
000以上、より好ましくは60,000程度以上が一
つの目安となる。一方、重量平均分子量(Mw)と数平
均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.0〜3.0
であるように、分子量分布の範囲が広い場合は、Mwは
20万前後以上が目安となる。本発明における粘度とは
回転粘度計に基づく粘度であり、本検討では東京計器社
製E型粘度計 Visconic EHD型、回転円錐版はコーン
型、直径15. 4mmのものを用い、回転数は0. 5r
pm、温度65℃にて測定した。
【0018】本発明に使用されるポリアルコキシアルキ
ル(メタ)アクリレートは公知の重合/精製方法によっ
て得られる。即ち過酸化物やアゾ化合物等を開始剤とし
たラジカル重合やガンマ線等の放射線を用いた放射線ラ
ジカル重合、有機金属化合物等を開始剤としたアニオン
重合によって合成することが出来る。なかでもリビング
アニオン重合によって得られる単分散の高分子化合物が
最も簡単に血液適合性を有する高分子材料を作ることが
出来る。ラジカル重合で合成した場合、重量平均分子量
(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った比(Mw/M
n)が大きく、したがって、分子量分布の範囲が広いた
め、低分子領域の可塑化効果が働き、高粘度化するため
には平均分子量を極めて大きくとるか、分別沈殿により
低分子量領域の高分子材料を除去する必要がある。この
高重合化のためには、モノマー、重合溶媒の精製を高度
に行う必要があり、分別沈殿には多量の有機溶剤/有機
非溶媒が必要になるので、何れもコストアップが避けら
れない。これらのことから、本発明のための血液適合性
アルコキシアルキル(メタ)アクリレート系材料におい
ては合成の容易さ、精製工程の容易さから、アニオン重
合法によって合成された高分子材料の使用が好ましい。
本発明に用いる高分子材料は重量平均分子量(Mw)を
数平均分子量(Mn)で割った比(Mw/Mn)が1.
0〜1.5の範囲にあることが好ましい。より好ましく
は、1.0〜1.2である。
【0019】本発明に用いる血液適合性材料は上記式
(1)で表される繰り返し単位のみの単独重合体として
通常使用されるが、得られる重合体の物性を改良するた
めに他のモノマー単位との共重合体、または混合物とす
ることも可能である。他のモノマーとしては、スチレ
ン、ブタジエン、イソプレン等の不飽和炭化水素、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エ
ステル類などのアクリレート系モノマー、アクリルアミ
ド、N, N- ジメチルアクリルアミド、モルフォリンア
クリルアミドなどのアクリルアミド系モノマーなどが挙
げられる。また、共重合様式としてはランダム重合、ブ
ロック共重合、グラフト共重合など何れでも構わない。
尚、これらの他のモノマーの使用量は、本発明に用いる
式(1)の繰り返し単位を主要構成成分とする高分子材
料の血液適合性および熱安定性を損なわない範囲で用い
ることができ、具体的には重合体全体の40mol%以
下、より好ましくは10mol%以下、さらに好ましく
は5mol%以下で使用することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、本発明においては、実際の中空糸膜型人工肺が受け
るであろう熱履歴をすべて再現することは不可能なの
で、その代替実験として、60℃の空気オーブン中に、
図1に例示した中空糸膜モジュールを1時間置き、その
前後でのガス流量測定から、ガスフラックスの比を求め
ることで評価し、熱処理後のガスフラックスが未熱処理
に比べて85%以上であるものを合格として評価した。
なお、以下に示す実施例1〜5の人工肺モジュールを体
外循環回路中に組み込み37℃の血液温度で1L/mi
nで4時間灌流させた。このとき、血液中の血小板の変
化率は240分後でも15%以下であった。血小板の変
化率の測定法は、特開平11−114056号に記載さ
れる。 (実施例1)メトキシエチルアクリレート10gをトル
エン90mlに溶解し、ここにアゾビスイソブチロニト
リル(AIBN)をモノマーに対し0. 3〜0. 7wt
%相当量を添加し、窒素雰囲気下70℃に一夜間加熱す
ることでラジカル重合法によりポリメトキシエチルアク
リレート(以下、PMEAと略すことがある)の合成を
行った。該ポリマーをヘキサン/ジエチルエーテル混合
溶液にて再沈殿することでPMEAを得た。また、こう
して得られたPMEAの粘度を東京計器社製E型粘度計
Visconic EHD型、回転円錐版はコーン型、直径15.
4mmのものを用い、回転数は0. 5rpm、温度65
℃にて測定し表1に示した。また得られたPMEAを図
1に例示した中空糸膜の外表面に被覆した。即ち、PM
EAを水・メタノール・エタノールの混合溶媒比6:
1:3に溶解し、濃度0. 5wt%の高分子溶液を調整
した。この溶液を内径195μm、外径295μm、空
孔率35%の多孔質ポリプロピレン中空糸膜からなる膜
面積1. 8m2 の人工肺モジュールの血液流通側に流
し、人工肺の血液接触部全体にPMEAを被覆した。溶
媒を溜去後、人工肺モジュールのガスフラックスをN2
ガスを流して測定し、次いで該人工肺モジュールを60
℃の空気オーブン中に1時間置き、熱処理を行った後、
同様にガスフラックスを測定した。ガスフラックス維持
率(%)の測定結果を表1に示す。尚、血液接触部のP
MEA被覆量は、メタノールを用いた溶媒抽出法で測定
した結果、平均0. 17g/m2 であった。
【0021】(実施例2)メトキシエチルアクリレート
10gをトルエン90mlに溶解し、マイナス60℃ま
で冷却する。ここに、重合触媒であるブチルリチウムを
添加し、窒素雰囲気下にて10時間攪拌し重合を行っ
た。重合反応の活性末端を失活させるためにメタノール
を添加し、重合反応を終了した。その後、該トルエン溶
液を希塩酸で洗浄し触媒由来金属を除去し、蒸留水にて
洗浄後、ヘキサン中にて再沈殿することで、アニオン重
合法によりPMEAを得た。得られたPMEAの粘度、
ガスフラックス維持率(%)、および血液接触部のPM
EA被覆量を実施例1と同様に測定し表1に示した。
【0022】(実施例3〜5)ラジカル重合、またはア
ニオン重合の重合条件(重合開始剤、重合時間、反応温
度、反応溶媒)を変えて各種PMEAを得た。得られた
PMEAの粘度、ガスフラックス維持率(%)、および
血液接触部のPMEA被覆量を実施例1,2と同様に測
定し表1に示した。
【0023】(比較例1,2)実施例1と同様のラジカ
ル重合で、ただし重合開始剤、重合時間、反応温度、反
応溶媒を変えて重合を行い、それぞれ粘度が4,200
ポイズ(420Pa・s)、および2,300ポイズ
(230Pa・s)のPMEAを得た。得られたPME
Aの粘度、およびガスフラックス維持率(%)を実施例
と同様に測定し表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】従来、人工心肺回路の血液接触部を血液
適合性材料で被覆した場合、微細孔内に被覆液が入り、
微細孔の塞栓によるガス交換速度の低下という問題を引
き起こすことがあった。本発明の人工心肺回路システム
は、特定粘度の血液適合性に優れるポリアルコキシ(メ
タ)アクリレート系の高分子材料を血液接触部に被覆し
ているので、製造工程や製造後に高温環境に曝されて
も、均一な被覆状態を保つことができるので、生体適合
性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明における中空糸膜型人工肺の
一例を示す部分断面正面図である。
【符号の説明】
50 中空糸膜型人工肺 51 ハウジング 52 中空糸膜 53,54 隔壁 55 気体流路 56 血液流路 57 血液流入口 58 血液流出口 60 ガス流入口 61,66 環状凸部 63,67 流路形成部材 64,68 ネジリング 65 ガス流出口 70,71 凸部 75,76,77,78 孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安齊 崇王 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 Fターム(参考) 4C077 AA02 AA03 BB06 KK01 KK04 LL05 LL13 LL23 NN10 PP08 PP10 PP15 4C081 AB32 AB35 AC15 AC16 BA15 BB04 CA021 CA081 CA082 CA131 CA281 DA03 DA04 DB07 DC03 EA06 4D006 GA35 HA02 MA01 MA10 MB20 MC23 MC37 NA01 PB64 PC48

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の面が血液と接触する血液接触部を構
    成し、他方の面が気体と接触する気体接触部を構成する
    複数のガス交換用多孔質中空糸膜と、該中空糸膜を収納
    するハウジングとからなる中空糸膜型人工肺を備える人
    工心肺回路システムであって、少なくとも前記中空糸膜
    型人工肺の血液接触部の一部が下記一般式(1)で表さ
    れる繰り返し単位を主構造成分とし、65℃での粘度が
    5, 000ポイズ(500Pa・s)以上の高分子材料
    で被覆されていることを特徴とする人工心肺回路システ
    ム。 【化1】 (式中、R1 は水素またはメチル基であり、R2 は炭素
    数1〜4のアルキレン基であり、R3 は炭素数1〜4の
    アルキル基である。)
  2. 【請求項2】前記高分子材料が、ポリメトキシエチルア
    クリレート(R1 が水素であり、R 2 がエチレン基であ
    り、R3 がメチル基)である請求項1に記載の人工心肺
    回路システム。
  3. 【請求項3】前記高分子材料の65℃での粘度が7,8
    00ポイズ(780Pa・s)以上である請求項1また
    は2に記載の人工心肺回路システム。
  4. 【請求項4】前記高分子材料の被覆量が0.02〜0.
    5g/m2 である請求項1ないし3のいずれかに記載の
    人工心肺回路システム。
JP2002185572A 2001-06-28 2002-06-26 人工心肺回路システム Expired - Fee Related JP4162931B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002185572A JP4162931B2 (ja) 2001-06-28 2002-06-26 人工心肺回路システム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001195980 2001-06-28
JP2001-195980 2001-06-28
JP2002185572A JP4162931B2 (ja) 2001-06-28 2002-06-26 人工心肺回路システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003111836A true JP2003111836A (ja) 2003-04-15
JP4162931B2 JP4162931B2 (ja) 2008-10-08

Family

ID=26617717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002185572A Expired - Fee Related JP4162931B2 (ja) 2001-06-28 2002-06-26 人工心肺回路システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4162931B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004094047A1 (ja) * 2003-04-23 2004-11-04 Asahi Medical Co., Ltd. 中空糸膜型流体処理器
JP2008534062A (ja) * 2005-03-24 2008-08-28 アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド 非汚染性メタクリレート又はアクリレートポリマーから形成された埋め込み型デバイス
WO2008133224A1 (ja) 2007-04-23 2008-11-06 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha 中空糸膜型人工肺
EP2453942A4 (en) * 2009-07-15 2013-01-09 Univ Denmark Tech Dtu POLYMERIC COATING COMPRISING 2-METHOXYETHYL ACRYLATE PATTERNS, SYNTHESIZED BY RADICAL POLYMERIZATION BY ATOMIC TRANSFER STARCHED FROM SURFACE
WO2015098764A1 (ja) * 2013-12-27 2015-07-02 テルモ株式会社 抗血栓性医療材料、および該医療材料を利用した医療用具
WO2015098763A1 (ja) * 2013-12-27 2015-07-02 テルモ株式会社 医療用具
US9381279B2 (en) 2005-03-24 2016-07-05 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Implantable devices formed on non-fouling methacrylate or acrylate polymers
CN110636874A (zh) * 2017-05-17 2019-12-31 旭化成医疗株式会社 血液处理用磷吸附剂、血液处理系统及血液处理方法

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8496826B2 (en) 2003-04-23 2013-07-30 Asahi Kasei Medical Co., Ltd. Body fluid treating device of hollow fiber membrane type
JPWO2004094047A1 (ja) * 2003-04-23 2006-07-13 旭化成メディカル株式会社 中空糸膜型流体処理器
CN100421771C (zh) * 2003-04-23 2008-10-01 旭化成可乐丽医疗株式会社 空心纤维膜型流体处理装置
WO2004094047A1 (ja) * 2003-04-23 2004-11-04 Asahi Medical Co., Ltd. 中空糸膜型流体処理器
JP4678776B2 (ja) * 2003-04-23 2011-04-27 旭化成クラレメディカル株式会社 中空糸膜型流体処理器
KR101052372B1 (ko) 2003-04-23 2011-07-28 아사히 카세이 쿠라레 메디칼 가부시키가이샤 중공사막형 유체 처리기
JP2008534062A (ja) * 2005-03-24 2008-08-28 アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド 非汚染性メタクリレート又はアクリレートポリマーから形成された埋め込み型デバイス
US9381279B2 (en) 2005-03-24 2016-07-05 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Implantable devices formed on non-fouling methacrylate or acrylate polymers
WO2008133224A1 (ja) 2007-04-23 2008-11-06 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha 中空糸膜型人工肺
US8142717B2 (en) 2007-04-23 2012-03-27 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Oxygenator of a hollow fiber membrane type
EP2453942A4 (en) * 2009-07-15 2013-01-09 Univ Denmark Tech Dtu POLYMERIC COATING COMPRISING 2-METHOXYETHYL ACRYLATE PATTERNS, SYNTHESIZED BY RADICAL POLYMERIZATION BY ATOMIC TRANSFER STARCHED FROM SURFACE
WO2015098764A1 (ja) * 2013-12-27 2015-07-02 テルモ株式会社 抗血栓性医療材料、および該医療材料を利用した医療用具
WO2015098763A1 (ja) * 2013-12-27 2015-07-02 テルモ株式会社 医療用具
JPWO2015098764A1 (ja) * 2013-12-27 2017-03-23 テルモ株式会社 抗血栓性医療材料、および該医療材料を利用した医療用具
JPWO2015098763A1 (ja) * 2013-12-27 2017-03-23 テルモ株式会社 医療用具
US10022478B2 (en) 2013-12-27 2018-07-17 Terumo Kabushiki Kaisha Medical device
CN110636874A (zh) * 2017-05-17 2019-12-31 旭化成医疗株式会社 血液处理用磷吸附剂、血液处理系统及血液处理方法
CN110636874B (zh) * 2017-05-17 2022-04-15 旭化成医疗株式会社 血液处理用磷吸附剂、血液处理系统及血液处理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4162931B2 (ja) 2008-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU605278B2 (en) Membrane type artificial lung and production thereof
US4402940A (en) Method for treating blood plasma employing a hollow fiber membrane
EP1270029B1 (en) Artificial cardiopulmonary circuit system
EP1189685B1 (en) Charged membrane
WO2016158388A1 (ja) 共重合体並びにそれを用いた医療デバイス、医療用分離膜モジュール、および血液浄化器
EP0066408B1 (en) Porous membrane
CN104902941A (zh) 血液净化柱
JP2006198611A (ja) 分離膜の製造方法およびその分離膜を用いた分離膜モジュールの製造方法
TW201811380A (zh) 醫療用材料、醫療用分離膜、及血液淨化器
JP2003111836A (ja) 人工心肺回路システム
JPH11114056A (ja) 中空糸膜外部血液灌流型人工肺
WO2021177095A1 (ja) 人工肺およびその製造方法
EP1658126B1 (en) Surface treatment of the membrane and associated product
JP7242167B2 (ja) 血液処理装置
JP2006142035A (ja) 中空糸膜外部血液灌流型人工肺
JP7424873B2 (ja) 人工肺およびその製造方法
JPH05161836A (ja) 生体適合性に優れた透過膜
EP0092587B1 (en) Polymethyl methacrylate hollow yarn ultra-filtration membrane and process for its production
JP2003290638A (ja) ポリスルホン系半透膜およびそれを用いた人工腎臓
JPS6264372A (ja) 膜型人工肺
JP2006124714A (ja) 耐汚染性材料および耐汚染性半透膜
WO2022185962A1 (ja) 人工肺の製造方法
JPH1080477A (ja) 血液処理用モジュール
JP2020093086A (ja) 分離膜デバイスおよびその製造方法
JPH0116504B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050616

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080708

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080723

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110801

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120801

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130801

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees