JP2003111737A

JP2003111737A - 血圧決定装置

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Publication number: JP2003111737A
Application number: JP2001311535A
Authority: JP
Inventors: Hideo Nishibayashi; 秀郎西林
Original assignee: Nippon Colin Co Ltd
Current assignee: Nippon Colin Co Ltd
Priority date: 2001-10-09
Filing date: 2001-10-09
Publication date: 2003-04-15
Anticipated expiration: 2021-10-09
Also published as: EP1302155A3; US20030069507A1; EP1302155A2; US6589186B2; JP3530891B2

Abstract

(57)【要約】【目的】患者にそれほど痛みを与えることなく、最高
血圧値を決定できる血圧決定装置を提供する。【解決手段】カフ圧Pcを徐速昇圧させる過程で検出さ
れるカフ脈波CWに基づいて平均血圧値BP(MEAN)を決定
し、平均血圧値BP(MEAN)を決定した時点で、最低血圧値
BP(DIA)よりも低い脈波検出圧力PMまでカフ圧Pcを降圧
させ、その脈波検出圧力PMでカフ脈波CWを検出し、その
カフ脈波CWの最低脈波値Imin、面積重心脈波値Ig、最高
脈波値Imaxを決定する。そして、最低脈波値Imin、面積
重心脈波値Ig、最高脈波値Imaxが、最低血圧値BP(DI
A)、平均血圧値BP(MEAN)、最高血圧値BP(SYS)にそれぞ
れ対応することに基づいて、式１から最高血圧値BP(SY
S)を決定する。（式１） (Imax-Imin):(Ig-Imin)={BP(SYS)-BP(DIA)}:
{BP(MEAN)-BP(DIA)}

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カフを用いて血圧
値を決定する形式の血圧決定装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】生体の所定部位にカフを装着し、そのカ
フの圧迫圧力を徐速変化させて生体の血圧値を決定する
形式の血圧決定装置が広く用いられている。上記血圧決
定装置には、マイクロホン法により血圧を決定する形
式、オシロメトリック法により血圧を決定する形式、超
音波ドップラー法により血圧を決定する形式など、種々
の形式の装置がある。また、上記カフの圧迫圧力の徐速
変化は、徐速降圧である場合が多いが、徐速昇圧の場合
もある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来のカフを用いて血
圧を測定する形式の血圧決定装置では、カフの圧迫圧力
を、一旦、最高血圧よりも高い圧力まで昇圧させてカフ
下の動脈を完全に閉塞させなければ、最高血圧を決定す
ることはできない。そのため、血圧測定は痛みを伴って
いた。特に、足首にカフを装着して血圧を測定する場合
には、足首における最高血圧値が高いことから、患者の
受ける痛みが大きかった。

【０００４】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、患者にそれほど痛み
を与えることなく、最高血圧値を決定できる血圧決定装
置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明は、生体の所定部位に装着されるカフを備
え、そのカフの圧迫圧力を徐速変化させてその生体の血
圧値を決定する形式の血圧決定装置であって、(a)前記
カフの圧迫圧力を、前記カフが装着されている部位の最
高血圧値よりも低く且つ平均血圧値よりも高い圧力と、
その部位の最低血圧値よりも低い圧力との間で徐速変化
させるためのカフ圧制御手段と、(b)そのカフ圧制御手
段により前記カフの圧迫圧力が徐速変化させられる過程
で前記生体から検出される心拍同期信号に基づいて、前
記生体の最低血圧値および平均血圧値を決定する血圧値
決定手段と、(c)前記カフ内の圧力振動であるカフ脈波
を検出するカフ脈波検出装置と、(d)前記カフ圧制御手
段により前記カフの圧迫圧力が、そのカフが装着されて
いる部位の平均血圧値よりも低い圧力に制御されている
状態で、前記カフ脈波検出装置により検出されるカフ脈
波について、最低脈波値、面積重心脈波値、最高脈波値
を決定する脈波値決定手段と、(e)最低脈波値、面積重
心脈波値、最高脈波値が、最低血圧値、平均血圧値、最
高血圧値にそれぞれ対応することに基づいて、前記血圧
値決定手段により決定された最低血圧値、平均血圧値、
および前記脈波値決定手段により決定された最低脈波
値、面積重心脈波値、最高脈波値から、前記カフが装着
されている部位における最高血圧値を決定する最高血圧
値決定手段とを含むことを特徴とする。

【０００６】

【発明の効果】この発明によれば、カフ圧制御手段によ
り制御されるカフの圧迫圧力は、そのカフが圧迫されて
いる部位の最高血圧値よりも低く且つ平均血圧値よりも
高い圧力と、その部位の最低血圧値よりも低い圧力との
間で徐速変化させられる。そして、血圧値決定手段によ
り、そのカフの圧迫圧力の徐速変化過程で検出される心
拍同期信号に基づいて最低血圧値および平均血圧値が決
定され、また、脈波値決定手段により、カフ圧制御手段
によってカフの圧迫圧力が平均血圧値よりも低い圧力に
制御されている状態でカフ脈波検出装置により検出され
るカフ脈波の最低脈波値、面積重心脈波値、最高脈波値
が決定される。そして、最高血圧値決定手段では、その
最低脈波値、面積重心脈波値、最高脈波値と、前記最低
血圧値、平均血圧値とから、最高血圧値が決定されるの
で、カフの圧迫圧力を最高血圧値よりも高い圧力まで昇
圧しなくても最高血圧値が決定できる。従って、患者に
それほど痛みを与えることなく最高血圧値が決定でき
る。

【０００７】ここで、好ましくは、前記カフ圧制御手段
は、前記カフの圧迫圧力を、最低血圧値以下に設定され
た徐速昇圧開始圧から予め設定された速度で徐速昇圧さ
せ、前記血圧値決定手段により平均血圧値が決定された
ことに基づいて、その徐速昇圧を終了させる。このよう
にすれば、血圧値決定手段により実際に測定された平均
血圧値に基づいて徐速昇圧が終了させられることから、
カフの圧迫圧力の最高値を最も低くできるので、患者の
受ける痛みが少なくなる。

【０００８】また、好ましくは、前記血圧決定装置は、
前記カフの圧迫圧力を前記最高血圧値決定手段により決
定された最高血圧値よりも所定値高い昇圧目標圧力まで
昇圧させた後、その圧迫圧力を所定の速度で徐速降圧さ
せ、その徐速降圧過程で検出される心拍同期信号に基づ
いて、そのカフが装着されている部位の最高血圧値を再
決定する血圧値再決定手段をさらに含む。このようにす
れば、カフの圧迫圧力を最高血圧値よりも高い圧力まで
昇圧させ、カフ下の動脈を一旦完全に閉塞させて最高血
圧値を決定するので、精度のよい最高血圧値が決定で
き、且つ、昇圧目標圧力が最高血圧値決定手段により決
定された最高血圧値に基づいて決定されるので、一般的
な最高血圧値よりも十分に高い値に予め設定された従来
の昇圧目標圧力に比べて昇圧目標圧力が低くなるので、
血圧測定の際の痛みが少なくなる。

【０００９】

【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の好適な実施
の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図１
は、本発明が適用された血圧決定装置１０の装置構成を
示す図である。カフ１２は、一般的な足首用のカフであ
り、ゴム製袋を布製帯状袋内に有し、たとえば右足の足
首１４に巻回される。カフ１２には、圧力センサ１６、
圧力制御弁１８、および空気ポンプ２０が配管２２を介
してそれぞれ接続されている。圧力制御弁１８は、図示
しない電動バルブの開度が制御されることにより空気ポ
ンプ２０から供給される空気の圧力を任意の圧力に減圧
してカフ１２に供給する圧力供給状態、その電動バルブ
の開度が制御されることによりカフ１２内を任意の速度
で徐々に排圧する徐速排圧状態、およびカフ１２内を急
速に排圧する急速排圧状態の３つの状態に切り換えられ
るように構成されている。

【００１０】圧力センサ１６は、カフ１２内の圧力P_Kを
検出してその圧力P_Kを表す圧力信号SPを静圧弁別回路２
４および脈波弁別回路２６にそれぞれ供給する。静圧弁
別回路２４はローパスフィルタを備えており、圧力信号
SPに含まれる定常的な圧力すなわちカフ１２の圧迫圧力
（以下、この圧力をカフ圧Pcという）を表すカフ圧信号
SCを弁別してそのカフ圧信号SCをＡ／Ｄ変換器２８を介
して電子制御装置３０へ供給する。脈波弁別回路２６は
バンドパスフィルタを備えており、圧力信号SPの振動成
分であるカフ脈波信号SMを弁別してそのカフ脈波信号SM
をＡ／Ｄ変換器３２を介して電子制御装置３０へ供給す
る。このカフ脈波信号SMは、足首１４において発生しカ
フ１２に伝達された圧脈波すなわちカフ脈波CWを表し、
カフ脈波CWは心拍同期信号である。また、カフ脈波信号
SMを弁別する脈波弁別回路２６は、カフ脈波検出装置と
して機能する。

【００１１】上記電子制御装置３０は、ＣＰＵ３４，Ｒ
ＯＭ３６，ＲＡＭ３８，および図示しないＩ／Ｏポート
等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されてい
る。ＣＰＵ３４は、ＲＯＭ３６に予め記憶されたプログ
ラムに従ってＲＡＭ３８の記憶機能を利用しつつ信号処
理を実行することにより、Ｉ／Ｏポートから駆動信号を
出力して図示しない駆動回路を介して圧力制御弁１８お
よび空気ポンプ２０を制御する。ＣＰＵ３４は、その圧
力制御弁１８および空気ポンプ２０を制御することによ
り、カフ１２内の圧力を制御する。また、ＣＰＵ３４
は、電子制御装置３０に供給される信号に基づいて演算
処理を実行することにより血圧値BPを決定し、その決定
した血圧値BPを表示器４０に表示する。

【００１２】第１測定開始ボタン４２は、押圧操作され
ると、カフ圧Pcを最高血圧値BP(SYS)まで昇圧しないで
血圧値を決定する第１血圧測定作動を開始させるための
第１測定開始信号SS1を、電子制御装置３０へ供給す
る。第２測定開始ボタン４４は、押圧操作されると、カ
フ圧Pcを最高血圧値BP(SYS)以上に昇圧して血圧値を決
定する第２血圧測定作動を開始させるための第２測定開
始信号SS2を、電子制御装置３０へ供給する。

【００１３】図２は、電子制御装置３０の制御機能の要
部を示す機能ブロック線図である。カフ圧制御手段５０
は、前記第１測定開始ボタン４２から第１測定開始信号
SS1が供給されると、静圧弁別回路２４から供給される
カフ圧信号SCに基づいてカフ圧Pcを判断しつつ、圧力制
御弁１８および空気ポンプ２０を制御することにより、
カフ圧Pcを、カフ１２が装着されている部位すなわち足
首１４における一般的な最低血圧値よりも十分に低い予
め設定された徐速昇圧開始圧力PT1（たとえば40mmHg）
まで急速に昇圧し、その後、予め定められた徐速昇圧速
度（たとえば３mmHg/sec）で直線的にカフ圧Pcを昇圧さ
せる。そして、後述する最低血圧値決定手段５４により
最低血圧値BP(DIA)が決定され、さらに平均血圧値決定
手段５６により平均血圧値BP(MEAN)が決定された場合に
は、その最低血圧値BP(DIA)または平均血圧値BP(MEAN)
よりも所定値αだけ低い圧力に脈波検出圧力PMを決定
し、直ちに、カフ圧Pcをその決定した脈波検出圧力PMま
で降圧させ、その脈波検出圧力PMを維持する。そして、
後述する脈波値決定手段５８により、カフ脈波CWの脈波
値I（すなわちカフ脈波CWの大きさ）が決定された後
に、カフ圧Pcを大気圧まで降圧させる。図３に、カフ圧
制御手段５０によるカフ圧Pcの制御のタイムチャートを
示す。

【００１４】なお、脈波検出圧力PMは、カフ脈波CWの形
状がカフ１２下を流れる動脈波の形状と略一致するよう
な圧力であり、カフ圧Pcが平均血圧値BP(MEAN)よりも高
いと、カフ脈波CWの形状が歪んでしまい、カフ脈波CWの
形状がカフ１２下を流れる動脈波の形状を反映しなくな
るため、脈波検出圧力PMは平均血圧値BP(MEAN)よりも低
い圧力とされる。また、より適切にカフ脈波CWの形状を
カフ１２下を流れる動脈波の形状に一致させるために
は、脈波検出圧力PMを最低血圧値BP(DIA)以下にするこ
とが好ましい。ただし、脈波検出圧力PMが低すぎるとカ
フ脈波信号SMが微弱になってしまうことから、脈波検出
圧力PMが十分な大きさのカフ脈波信号SMを得ることがで
きる圧力となるように、前記所定値αは比較的小さい値
に設定される。

【００１５】血圧値決定手段５２は、最低血圧値決定手
段５４と平均血圧値決定手段５６とからなる。最低血圧
値決定手段５４は、カフ圧制御手段５０によりカフ圧Pc
が徐速昇圧させられている過程で逐次検出されるカフ脈
波CWに基づいて、よく知られたオシロメトリックアルゴ
リズムを用いて最低血圧値BP(DIA)を決定する。上記オ
シロメトリックアルゴリズムでは、たとえば、各カフ脈
波CWの振幅Aの包絡線を作成し、さらに、その包絡線の
微分波形を求め、その微分波形の変曲点が検出された時
点のカフ圧Pcを最低血圧値BP(DIA)に決定する。なお、
振幅Aとは、一拍分のカフ脈波CWにおける脈波値の最大
値と最小値との差をいう。

【００１６】平均血圧値決定手段５６も、カフ圧制御手
段５０によりカフ圧Pcが徐速昇圧させられている過程で
逐次検出されるカフ脈波CWに基づいて、よく知られたオ
シロメトリックアルゴリズムを用いて平均血圧値BP(MEA
N)を決定する。上記オシロメトリックアルゴリズムで
は、たとえば、各カフ脈波CWの振幅Aの包絡線を作成
し、その包絡線のピーク、すなわち、最大振幅を示すカ
フ脈波CWが検出された時点のカフ圧Pcを平均血圧値BP(M
EAN)に決定する。また、血圧値決定手段５２は、決定し
た最低血圧値BP(DIA)、平均血圧値BP(MEAN)を表示器４
０に表示する。

【００１７】脈波値決定手段５８は、カフ圧制御手段５
０によりカフ圧Pcが前記脈波検出圧力PMに維持されてい
る状態で、脈波弁別回路２６から供給されるカフ脈波信
号SMすなわちカフ脈波CWについて、最低脈波値Imin、面
積重心脈波値Ig、最高脈波値Imaxをそれぞれ決定する。
図４に示すように、上記最低脈波値Iminには、一拍分の
カフ脈波CWにおける大きさIの最低値を用いることがで
き、最高脈波値Imaxには、一拍分のカフ脈波CWにおける
大きさIの最高値を用いることができ、面積重心脈波値I
gには、一拍分のカフ脈波CWの大きさIの平均値すなわち
一拍分のカフ脈波CWの大きさIを積分して、その積分値
をそのときの脈拍周期Tで割ることによって求められる
脈波値Iを用いることができる。また、それらに代え
て、上記のようにして決定した最低脈波値Imin、面積重
心脈波値Ig、最高脈波値Imaxを所定拍数分平均して用い
てもよく、また、最低脈波値Imin、最高脈波値Imaxに
は、所定拍数或いは所定時間におけるカフ脈波CWの大き
さIの最低値、最高値を用いてもよい。

【００１８】最高血圧値決定手段６０は、前記血圧値決
定手段５２により決定された最低血圧値BP(DIA)、平均
血圧値BP(MEAN)、および上記脈波値決定手段５８により
決定された最低脈波値Imin、面積重心脈波値Ig、最高脈
波値Imaxに基づいて、カフ１２が装着されている部位の
最高血圧値BP(SYS)を決定する。すなわち、圧脈波であ
るカフ脈波CWでは、最低脈波値Iminが最低血圧値BP(DI
A)に対応し、面積重心脈波値Igが平均血圧値BP(MEAN)に
対応することから、血圧値決定手段５２により決定され
た最低血圧値BP(DIA)、平均血圧値BP(MEAN)、および脈
波値決定手段５８により決定された最低脈波値Imin、面
積重心脈波値Igから、図５に示すカフ脈波CWの大きさI
と血圧値BPとの関係Ｌが求まるので、その関係Ｌと最高
脈波値Imaxとから最高血圧値BP(SYS)を決定することが
できるのである。なお、上記関係Ｌは必ずしも求める必
要はなく、式１に示す比例式や、式１を変形した式２、
或いは式１と同等の比例式によって最高血圧値BP(SYS)
を求めてもよい。（式１） (Imax-Imin):(Ig-Imin)={BP(SYS)-BP(DIA)}:
{BP(MEAN)-BP(DIA)} （式２） BP(SYS)={(Imax-Imin)×BP(MEAN)-(Imax-Ig)
×BP(DIA)}/(Ig-Imin) また、最高血圧値決定手段６０は、決定した最高血圧値
BP(SYS)を表示器４０に表示する。

【００１９】血圧値再決定手段６２は、前記第２測定開
始ボタン４４から第２測定開始信号SS2が供給されるこ
とにより実行される。なお、第２測定開始ボタン４４
は、通常は、前記第１測定開始ボタン４２が操作され、
最高血圧値決定手段６０により決定された最高血圧値BP
(SYS)に基づいて再測定が必要であると判断された場合
に、従来の血圧測定方法で最高血圧値BP(SYS)を確認し
ようとする場合に操作される。

【００２０】従って、通常は、第２測定開始信号SS2が
供給された時点では、最高血圧値決定手段６０により最
高血圧値BP(SYS)が決定されている。そのため、血圧値
再決定手段６２は、第２測定開始信号SS2が供給される
と、まず、最高血圧値決定手段６０により決定された最
高血圧値BP(SYS)を用い、その最高血圧値BP(SYS)よりも
所定値βだけ高い値に昇圧目標圧力PT2を設定する。こ
こで、上記所定値βは、上記昇圧目標圧力PT2を真の最
高血圧値BP(SYS)よりも高い範囲で可及的に低くするた
めに、予め実験に基づいて決定された値であり、前記最
高血圧値決定手段６０により決定される最高血圧値BP(S
YS)の測定誤差よりも少し大きい値に設定される。な
お、最高血圧値決定手段６０により最高血圧値BP(SYS)
が決定されていない場合には、予め記憶された一定値
（たとえば240mmHg）を昇圧目標値PT2に設定する。そし
て、圧力制御弁１８および空気ポンプ２０を制御して、
カフ圧Pcをその昇圧目標圧力PT2まで急速昇圧させ、続
いて、カフ圧Pcを予め定められた徐速降圧速度（たとえ
ば３mmHg/sec）で徐速降圧させる。そして、その徐速降
圧過程で逐次検出されるカフ脈波SMの振幅に基づいて、
良く知られたオシロメトリックアルゴリズムにより最高
血圧値BP(SYS)を再決定する。なお、さらに、この徐速
降圧過程で平均血圧値BP(MEAN)および最低血圧値BP(DI
A)も再決定してもよい。そして、血圧値BPが決定できた
場合には、カフ圧Pcを大気圧まで降圧させるとともに、
決定した最高血圧値BP(SYS)等を表示器４０に表示す
る。

【００２１】図６は、図２に示した電子制御装置３０の
制御機能のうち、前記第１血圧測定作動の要部をフロー
チャートにして具体的に示した図である。このフローチ
ャートは、第１測定開始ボタン４２が押圧操作されるこ
とにより実行される。

【００２２】まず、ステップ（以下、ステップを省略す
る）Ｓ１乃至Ｓ３を実行する。Ｓ１では、圧力制御弁１
８および空気ポンプ２０を制御することにより、カフ圧
Pcの急速昇圧を開始させ、続くＳ２では、カフ圧Pcが40
mmHgに設定された徐速昇圧開始圧PT1となったか否かを
判断する。この判断が否定されるうちは、Ｓ２の判断を
繰り返し実行する。カフ圧Pcが徐速昇圧開始圧PT1以上
となってＳ２の判断が肯定されると（図３のt₁時点）、
続くＳ３において、圧力制御弁１８を制御することによ
り、カフ圧Pcの昇圧速度を３mmHg/secの徐速昇圧速度に
切り替える。このカフ圧Pcの徐速昇圧が継続されている
間に、次のＳ４乃至Ｓ９が実行される。

【００２３】続いてＳ４乃至Ｓ５の繰り返しループを実
行する。Ｓ４では、静圧弁別回路２４から供給されるカ
フ圧信号SCおよび脈波弁別回路３４から供給されるカフ
脈波信号SMを逐次読み込み、Ｓ５では、Ｓ４で読み込ん
だカフ圧信号SCおよびカフ脈波信号SMに基づいて一拍毎
のカフ脈波CWの振幅Aを決定し、さらにその振幅Aの微分
波形を逐次決定し、その微分波形において変曲点が検出
されたか否かを判断する。Ｓ５の判断が否定されるうち
は、前記Ｓ４を再び実行するが、Ｓ５の判断が肯定され
ると、続くＳ６では、その変曲点が検出された時点のカ
フ圧Pcを最低血圧値BP(DIA)に決定し（図３のt₂時
点）、その最低血圧値BP(DIA)を表示器４０に表示す
る。上記Ｓ５乃至Ｓ６が最低血圧値決定手段５４に相当
する。

【００２４】続いてＳ７乃至Ｓ８の繰り返しループを実
行する。Ｓ７では、前記Ｓ４と同様に、静圧弁別回路２
４から供給されるカフ圧信号SCおよび脈波弁別回路３４
から供給されるカフ脈波信号SMを逐次読み込む。Ｓ８で
は、Ｓ７で読み込んだカフ圧信号SCおよびカフ脈波信号
SMに基づいて、一拍毎のカフ脈波CWの振幅Aを決定し、
さらにその振幅Aの包絡線を作成して、その包絡線のピ
ークすなわち最大振幅Aが検出されたか否かを判断す
る。Ｓ８の判断が否定されるうちは、前記Ｓ７を再び実
行するが、Ｓ８の判断が肯定されると、続くＳ９では、
その最大振幅が検出された時点のカフ圧Pcを平均血圧値
BP(MEAN)に決定し（図３のt₃時点）、その平均血圧値BP
(MEAN)を表示器４０に表示する。上記Ｓ８乃至Ｓ９が平
均血圧値決定手段５６に相当する。

【００２５】平均血圧値BP(MEAN)が決定されると、続く
Ｓ１０では、前記Ｓ６で決定した最低血圧値BP(DIA)か
ら10mmHgに設定されたαを引くことにより、脈波検出圧
力PMを決定し、カフ圧Pcを直ちにその脈波検出圧力PMま
で降圧させ、その脈波検出圧力を維持する（図３のt₄時
点）。従って、カフ圧Pcの最高値は、最高血圧値BP(SY
S)よりも十分に低く、平均血圧値BP(MEAN)を僅かに超え
る圧力となる。そして、続くＳ１１において、カフ脈波
信号SMすなわちカフ脈波CWを一拍分読み込んだ後、Ｓ１
２で、カフ圧Pcを大気圧まで排圧させる。なお、図６で
は、Ｓ１乃至Ｓ３、Ｓ１０、Ｓ１２がカフ圧制御手段５
０に相当する。

【００２６】続いて、脈波値決定手段５８に相当するＳ
１３では、前記Ｓ１１で読み込んだカフ脈波CWの最低脈
波値Imin、面積重心脈波値Ig、および最高脈波値Imaxを
決定する。そして、最高血圧値決定手段６０に相当する
Ｓ１４では、上記Ｓ１３で決定した最低脈波値Imin、面
積重心脈波値Ig、最高脈波値Imax、前記Ｓ６で決定した
最低血圧値BP(DIA)、および前記Ｓ９で決定した平均血
圧値BP(MEAN)を、前記式２に代入することにより、最高
血圧値BP(SYS)を決定し、その決定した最高血圧値BP(SY
S)を表示器４０に表示する。

【００２７】上述の図６に示したフローチャートに基づ
く実施形態によれば、Ｓ３、Ｓ１０（カフ圧制御手段５
０）で制御されるカフ圧Pcは、そのカフ１２が圧迫され
ている部位の最低血圧値BP(DIA)よりも低い徐速昇圧開
始圧PT1から平均血圧値BP(MEAN)を僅かに超える圧力ま
で徐速昇圧させられる。そして、Ｓ５、Ｓ６、Ｓ８、Ｓ
９（血圧値決定手段５２）で、カフ圧Pcの徐速変化過程
で検出されるカフ脈波CWの振幅Aの変化に基づいて最低
血圧値BP(DIA)および平均血圧値BP(MEAN)が決定され、
また、Ｓ１３（脈波値決定手段５８）において、Ｓ１０
（カフ圧制御手段５０）でカフ圧Pcが最低血圧値BP(DI
A)よりも低い脈波検出圧PMに制御されている状態で、脈
波弁別回路２６により弁別されるカフ脈波CWの最低脈波
値Imin、面積重心脈波値Ig、最高脈波値Imaxが決定され
る。そして、Ｓ１４（最高血圧値決定手段６０）におい
て、その最低脈波値Imin、面積重心脈波値Ig、最高脈波
値Imaxと、前記最低血圧値BP(DIA)、平均血圧値BP(MEA
N)とから、最高血圧値BP(SYS)が決定されるので、カフ
圧Pcを最高血圧値BP(SYS)よりも高い圧力まで昇圧しな
くても最高血圧値BP(SYS)が決定できる。従って、患者
にそれほど痛みを与えることなく最高血圧値BP(SYS)が
決定できる。

【００２８】また、上述の図６に示したフローチャート
に基づく実施形態によれば、Ｓ１０（カフ圧制御手段５
０）では、Ｓ９（平均血圧値決定手段５６）において実
際に決定された平均血圧値BP(MEAN)に基づいて徐速昇圧
が終了させられることから、カフ圧Pcの最高値を最も低
くできるので、患者の受ける痛みが少なくなる。

【００２９】また、前述の実施形態では、最高血圧値決
定手段６０により決定された最高血圧値BP(SYS)に基づ
いて再測定が必要であると判断され、より正確な最高血
圧値BP(SYS)を得たいと考える場合には、第２測定開始
ボタン４４を押圧操作すれば、血圧値再決定手段６２に
より、カフ圧Pcを最高血圧値BP(SYS)よりも高い圧力ま
で昇圧させ、カフ１２下の動脈を一旦完全に閉塞させて
最高血圧値BP(SYS)を決定するので、精度のよい最高血
圧値BP(SYS)が決定でき、且つ、昇圧目標圧力PT2が最高
血圧値決定手段６０により決定された最高血圧値BP(SY
S)に基づいて決定されるので、一般的な最高血圧値BP(S
YS)よりも十分に高い値に予め設定された従来の昇圧目
標圧力に比べて昇圧目標圧力が低くなるので、血圧測定
の際の痛みが少なくなる。

【００３０】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明は他の態様においても適用される。

【００３１】たとえば、前述の実施形態では、カフ１２
は足首１４に装着されていたが、大腿部や上腕等、足首
以外の部位に装着されるものであってもよい。

【００３２】また、前述のカフ圧制御手段５０によるカ
フ圧Pcの徐速変化は、予め記憶された徐速昇圧開始圧PT
1から平均血圧値決定手段５６により平均血圧値BP(MEA
N)が決定されるまでの徐速昇圧であったが、徐速降圧で
あってもよい。カフ圧制御手段５０によるカフ圧Pcの徐
速変化が徐速降圧である場合には、カフ圧制御手段５０
は、カフ１２が装着される部位における一般的な平均血
圧値BP(MEAN)よりも高く、且つ、その部位の一般的な最
高血圧値BP(SYS)よりも低い値に予め設定された昇圧目
標圧力まで急速にカフ圧を昇圧させ、その昇圧目標圧力
からカフ圧Pcを徐速降圧させる。

【００３３】また、前述のカフ圧制御手段５０は、ま
ず、予め記憶された徐速昇圧開始圧PT1まで急速昇圧さ
せた後に、徐速昇圧を開始していたが、最初から徐速昇
圧を開始してもよい。

【００３４】また、前述の脈波値決定手段５８は、カフ
圧制御手段５０によりカフ圧Pcが最低血圧値BP(DIA)ま
たは平均血圧値BP(MEAN)よりも低い脈波検出圧力に維持
されている状態で検出されるカフ脈波CWに基づいて、最
低脈波値Imin等を決定していたが、カフ圧Pcの徐速昇圧
過程で検出されるカフ脈波CWに基づいて最低脈波値Imin
等を決定してもよい。なお、カフ圧Pcの徐速昇圧過程で
は時間の経過とともにカフ圧Pcが直線的に昇圧させられ
るので、昇圧中のカフ脈波CWにはカフ圧Pcの昇圧分が含
まれる。そのため、予め設定されているカフ圧Pcの徐速
昇圧速度に基づいて、カフ脈波CWを補正してカフ圧Pcの
徐速昇圧分の影響を除去した後に、最低脈波値Imin等を
決定する。また、カフ圧制御手段５０による徐速昇圧
を、図７に示すように、予め設定された圧力P1ずつ階段
状に昇圧し、圧力P1だけ昇圧させる毎に、カフ圧Pcを一
拍分以上の所定時間保持するような徐速昇圧として、カ
フ圧Pcが保持されている間にカフ脈波CWを検出し、その
カフ脈波CWに基づいて最低脈波値Imin等を決定してもよ
い。この場合には、カフ脈波CWが検出されている間はカ
フ圧Pcが変化しないので、カフ脈波CWを補正する必要は
ない。

【００３５】また、カフ１２内にマイクロホンが設けら
れ、前記最低血圧値決定手段５４では、そのマイクロホ
ンによって検出されるコロトコフ音を心拍同期信号とし
て用いて最低血圧値BP(DIA)が決定されてもよい。

【００３６】また、前述の血圧決定装置１０には、血圧
値再決定手段６２が設けられていたが、用途によって
は、最高血圧値決定手段６０により決定される最高血圧
値BP(SYS)の精度（信頼性）で十分な場合も考えられる
ので、血圧値再決定手段６２が設けられていなくてもよ
い。

【００３７】また、図６に示したフローチャートでは、
カフ脈波CWの振幅Aを微分した微分波形において変曲点
が検出されたことに基づいて、最低血圧値BP(DIA)を決
定していたが（Ｓ６）、カフ脈波CWの最大振幅が検出さ
れたことに基づいて平均血圧値BP(MEAN)を決定すると同
時に、それまでに得られたカフ脈波CWの脈波列から最低
血圧値BP(DIA)を決定してもよい。

【００３８】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、
本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加
えた態様で実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用された血圧決定装置の装置構成を
示す図である。

【図２】図１の電子制御装置の制御機能の要部を示す機
能ブロック線図である。

【図３】図２のカフ圧制御手段によるカフ圧Pcの制御の
タイムチャートを示す。

【図４】図１の脈波弁別回路により弁別されるカフ脈波
CWの一例を示す図である。

【図５】カフ脈波CWの大きさIと血圧値BPとの関係Ｌを
示す図である。

【図６】図２に示した電子制御装置の制御機能のうち、
第１血圧測定作動の要部をフローチャートにして具体的
に示した図である。

【図７】図２のカフ圧制御手段によるカフ圧Pcの制御の
タイムチャートであって、図３とは別の制御パターンを
示す図である。

【符号の説明】

１０：血圧決定装置１２：カフ２６：脈波弁別回路（カフ脈波検出装置）５０：カフ圧制御手段５２：血圧値決定手段５８：脈波値決定手段６０：最高血圧値決定手段６２：血圧値再決定手段

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】生体の所定部位に装着されるカフを備
え、該カフの圧迫圧力を徐速変化させて該生体の血圧値
を決定する形式の血圧決定装置であって、前記カフの圧迫圧力を、前記カフが装着されている部位
の最高血圧値よりも低く且つ平均血圧値よりも高い圧力
と、該部位の最低血圧値よりも低い圧力との間で徐速変
化させるためのカフ圧制御手段と、該カフ圧制御手段により前記カフの圧迫圧力が徐速変化
させられる過程で前記生体から検出される心拍同期信号
に基づいて、前記生体の最低血圧値および平均血圧値を
決定する血圧値決定手段と、前記カフ内の圧力振動であるカフ脈波を検出するカフ脈
波検出装置と、前記カフ圧制御手段により前記カフの圧迫圧力が、該カ
フが装着されている部位の平均血圧値よりも低い圧力に
制御されている状態で、前記カフ脈波検出装置により検
出されるカフ脈波について、最低脈波値、面積重心脈波
値、最高脈波値を決定する脈波値決定手段と、最低脈波値、面積重心脈波値、最高脈波値が、最低血圧
値、平均血圧値、最高血圧値にそれぞれ対応することに
基づいて、前記血圧値決定手段により決定された最低血
圧値、平均血圧値、および前記脈波値決定手段により決
定された最低脈波値、面積重心脈波値、最高脈波値か
ら、前記カフが装着されている部位における最高血圧値
を決定する最高血圧値決定手段とを含むことを特徴とす
る血圧決定装置。
【請求項２】前記カフ圧制御手段は、前記カフの圧迫
圧力を、最低血圧値以下に設定された徐速昇圧開始圧か
ら予め設定された速度で徐速昇圧させ、前記平均血圧値
決定手段により平均血圧値が決定されたことに基づい
て、該徐速昇圧を終了させることを特徴とする請求項１
に記載の血圧決定装置。
【請求項３】前記カフの圧迫圧力を前記最高血圧値決
定手段により決定された最高血圧値よりも所定値高い昇
圧目標圧力まで昇圧させた後、該圧迫圧力を所定の速度
で徐速降圧させ、該徐速降圧過程で検出される心拍同期
信号に基づいて、該カフが装着されている部位の最高血
圧値を再決定する血圧値再決定手段をさらに含むことを
特徴とする請求項１または２に記載の血圧決定装置。