JP2003104874A - 放出制御型薬物投与デバイス - Google Patents

放出制御型薬物投与デバイス

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JP2003104874A
JP2003104874A JP2001302034A JP2001302034A JP2003104874A JP 2003104874 A JP2003104874 A JP 2003104874A JP 2001302034 A JP2001302034 A JP 2001302034A JP 2001302034 A JP2001302034 A JP 2001302034A JP 2003104874 A JP2003104874 A JP 2003104874A
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JP2001302034A
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English (en)
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Susumu Miura
晋 三浦
Kenji Tominaga
健治 冨永
Kiyoshi Nakahara
潔 仲原
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Yutoku Pharmaceutical Industries Co Ltd
Original Assignee
Yutoku Pharmaceutical Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経皮適用剤の連続投与による薬物耐性発現を
回避し、患者に与える負担が少なく、コンプライアンス
の問題を改善し、皮膚刺激を低減する、臨床上有用な薬
物投与デバイスを提供すること。 【解決手段】 少なくとも、以下の(a)〜(e)の構
成を有する薬物投与デバイスであって、投与部位に貼付
後、直後の薬物の放出と、貼付一定時間経過後の遅延し
た薬物の放出を可能とすることにより生体内での2つの
血中濃度ピークを得ることのできる放出制御型薬物投与
デバイス。 (a)薬物不透過性の支持体、(b)支持体に接して設
けられ、拡散によって薬物を放出する放出面を有する薬
物保存層、(c)薬物保存層から皮膚への薬物の放出を
一定時間遅らせるための実質的に薬物を含まない遅延
層、(d)薬物保存層と遅延層との中間に設けられた、
両層を投与部位への貼付時までの間隔離し、貼付時に患
者自身で除去可能な分離膜、(e)遅延層の外側に設け
られた薬物不透過性の剥離ライナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薬物放出の時間が制
御された放出制御型薬物投与デバイスに関し、更に詳細
には、皮膚表面に接着ないしは付着せしめ、その接着ま
たは付着面から薬物を皮膚内に吸収させる経皮適用剤等
の薬物投与デバイスであって、その薬物放出時間を任意
に変更しうる放出制御型薬物投与デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】薬物を反復投与したときに、同一用量で
は投与初期と同等の効果が得られなくなり、同等効果を
得るために多量の薬物投与が必要となる場合がある。こ
のような現象を、薬物に対する耐性という。したがっ
て、耐性の発現が問題となる薬物を治療に使用する場合
は、一定期間薬物を投与しないもしくは有効血中濃度以
下である状態すなわち休薬期間を設定し、耐性を回避す
ることが重要である。
【0003】近年、経皮吸収製剤において、薬剤耐性の
発現が問題視されている。テープ剤等の経皮吸収製剤
は、剤型の特徴として、製剤中の薬物を一定の吸収速度
で持続的に投与できる利点を有する反面、薬物を長時間
投与あるいは連続投与した場合に耐性が発現する問題が
あった。
【0004】例えば、錠剤、カプセル剤などの経口剤や
注射剤などは、薬物投与直後〜3時間程度で吸収され、
比較的速やかに代謝・排泄されるため、投与間隔を長く
することで容易に休薬期間を設定することができる。し
かしながら、前記の経皮吸収製剤の場合、耐性が発現し
ないための適切な投与スケジュールを設定する必要があ
る。
【0005】有機硝酸エステル類、例えば狭心症治療等
に使用されているニトログリセリン、硝酸イソソルビド
などは耐性が発現しやすいことが一般的に知られてお
り、特に貼付剤や軟膏剤は持続時間が長く、吸収された
薬物が10時間以上有効血中濃度を維持した場合に耐性
が発現することが確認されている。
【0006】現在医療用医薬品として使用されているニ
トログリセリンまたは硝酸イソソルビド含有貼付剤は、
1日1回(24時間)投与するもの(以下1日1回型製
剤とする)と、1日2回、12時間ごとに貼付するもの
(以下1日2回型製剤とする)とがある。
【0007】このうち、1日1回型製剤の場合、薬物が
最大で24時間持続的に投与されるため、投与量のコン
トロール、耐性を回避するための適切な処置、あるいは
投与期間及び休薬期間などの投与スケジュールの設定等
が必要となっていた。
【0008】一方、1日2回型製剤の場合は、製剤を貼
り替えるときに薬物量が有効血中濃度以下のレベルまで
減少する、すなわち休薬されるため、1日1回型製剤と
比較して耐性の問題は少ない。しかしながら、1日2
回、製剤を12時間ごとに貼り替えなければならず、患
者は日常活動が制限されるとともに投与時間の遵守が必
要となり、コンプライアンス(服薬遵守)の問題があっ
た。また、貼付を繰り返すことで皮膚刺激が生じるた
め、投与ごとに貼付部位を変えることが必要であり、患
者に対する負担は1日1回型製剤と比較して大きかっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決しようと
する課題は、上記したような1日1回型製剤の連続投与
による薬物耐性発現を回避し、1日2回型製剤よりも患
者に与える負担が少なく、コンプライアンスの問題を改
善し、さらに貼り替えによる皮膚刺激を低減する、臨床
上有用な薬物投与デバイスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、経皮適用剤
等の薬物投与デバイスにおいて、薬物保存層の他、薬物
の拡散を制御するための遅延層を設け、これらを適切に
配置することにより、上記課題を解決することができる
ことを見出し、本発明に至った。
【0011】すなわち本発明は、少なくとも、以下の
(a)〜(e)の構成を有する薬物投与デバイスであっ
て、投与部位に貼付後、直後の薬物の放出と、貼付一定
時間経過後の遅延した薬物の放出を可能とすることによ
り生体内での2つの血中濃度ピークを得ることのできる
放出制御型薬物投与デバイスを提供するものである。 (a)薬物不透過性の支持体、(b)支持体に接して設
けられ、拡散によって薬物を放出する放出面を有する薬
物保存層、(c)薬物保存層から皮膚への薬物の放出を
一定時間遅らせるための実質的に薬物を含まない遅延
層、(d)薬物保存層と遅延層との中間に設けられた、
両層を投与部位への貼付時までの間隔離し、貼付時に患
者自身で除去可能な分離膜、(e)遅延層の外側に設け
られた薬物不透過性の剥離ライナー。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の放出制御型薬物投与デバ
イスは、少なくとも以下の(a)〜(e)の構成を有す
るものである。 (a)薬物不透過性の支持体、(b)支持体に接して設
けられ、拡散によって薬物を放出する放出面を有する薬
物保存層、(c)薬物保存層から皮膚への薬物の放出を
一定時間遅らせるための実質的に薬物を含まない遅延
層、(d)薬物保存層と遅延層との中間に設けられた、
両層を投与部位への貼付時までの間隔離し、貼付時に患
者自身で除去可能な分離膜、(e)遅延層の外側に設け
られた薬物不透過性の剥離ライナー。
【0013】このうち、本発明に用いられる支持体
(a)は、柔軟で薬物を透過しないものであれば特に限
定されるものではない。具体的には、例えばポリオレフ
ィン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリテトラ
フルオロエチレンなどのフィルムや織布、不織布のよう
なシート、あるいはこれらの積層体などが挙げられる。
【0014】また、本発明に用いられる薬物保存層
(b)は、製造時から使用時までの間薬物を安定に保つ
ものであれば特に限定されるものではないが、高分子化
合物中に薬物が包含された、いわゆる薬物含有ポリマー
が好ましい。この薬物保存層(b)の、より好ましい形
態は、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤又はシリコーン
系粘着剤を基剤として含有するものである。このような
粘着剤を使用した場合、さらに好ましくはマトリックス
型の粘着剤とすることにより、保存層自体に粘着性を持
たせることが可能であり、構造的にシンプルに設計で
き、製造コスト面においても有利である。
【0015】上記の薬物保存層を形成する粘着剤として
は、例えばシリコーンゴム、ポリイソブチレンゴム、ブ
チルゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレン
−スチレンブロック共重合体、天然ゴム、エチレン−酢
酸ビニルコポリマーなどが挙げられ、これらから選ばれ
た少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0016】更に、本発明に用いられる遅延層(c)
は、分離膜を除去することにより、薬物保存層と接触
し、薬物保存層から放出される薬物が皮膚へ移行するま
での時間を制御するものであれば特に限定されるもので
はない。具体的には、シリコーンゴム、ポリイソブチレ
ンゴム、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体、天然ゴムある
いはエチレン−酢酸ビニルコポリマーなどの粘着剤、ま
た、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレ
フィン、ポリアミド、ポリエステル、エチレンエタクリ
レートコポリマー、テトラメチレンテレフタレート/ポ
リテトラメチレンエーテルグリコールテレフタレートの
ブロックコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、
エチレン−ビニルメチルアセタートコポリマー、ポリイ
ソプレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−プロピレ
ンコポリマーなどのポリマー膜などが挙げられる。好ま
しくは、ゴム系ポリマーの方が遅延層に粘着性を持たせ
ることが可能であり、構造的にシンプルに設計できるた
め、製造コスト面においても有利である。また、必要に
応じて皮膚への粘着力を生じさせるための粘着層を別に
形成することもできる。
【0017】前記薬物保存層と遅延層の厚さの割合は、
使用する薬剤や、薬物保存層、遅延層の基剤等あるい
は、設定する休薬期間により相違するが、1:0.5〜
50程度である。
【0018】一方、本発明に用いられる分離膜(d)
は、製造時から使用時にこれを除去するまでの間、薬物
保存層中の薬物を遅延層に移行させず、かつ分離膜自体
が薬物を取り込まないような材質のものであれば特に限
定されるものではない。具体的には、例えば、離型剤処
理を施したポリエステル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリテトラフルオロエチレン、セロファン、処理紙
などを用いることが出来る。
【0019】また、剥離ライナー(e)も、遅延層ある
いは当該層上に別に設けられた粘着層を保護し、使用時
にきれいに剥離できるものであれば特に制約されず、上
記分離膜と同じ素材を使用することができる。
【0020】本発明の、放出制御型薬物投与デバイス
は、上記した構成を有するものであるが、投与部位に貼
付後、直後の薬物の放出と、貼付一定時間経過後の遅延
した薬物の放出を可能とするものであり、この結果、生
体内での2つの血中濃度ピークを得ることのできるもの
である。
【0021】すなわち、いわゆる貼付直後(投与初期)
と貼付一定時間経過後(投与後期)に、薬物を放出する
ことにより、生体内での薬物血中濃度のピークを2つ持
ち、その間が休薬期間となるような薬物投与デバイスと
することが可能となるのである。
【0022】このような直後の薬物の放出と、貼付一定
時間経過後の遅延した薬物の放出の二度にわたる放出
は、薬物保存層のうち所定の面積が遅延層を介さずに直
接皮膚へ接する構造とするか、遅延層と剥離ライナ−の
間に別の薬物保存層を設けることにより可能となる。
【0023】具体的な、薬物保存層のうち所定の面積が
遅延層を介さずに直接皮膚へ接する構造の例としては、
遅延層に適当な面積の1つまたは複数の穴をあけ、その
穴の部分で薬物保存層が直接皮膚と触れるようにした
り、逆に、遅延層の面積を薬物保存層より小さくし、遅
延層で被覆できない薬物保存層が直接皮膚に触れる構造
が挙げられる。
【0024】一方、遅延層と剥離ライナ−の間に別の薬
物保存層(b')を設ける構造の例としては、1つまた
は複数の島状の薬物保存層を遅延層中に埋め込む構造が
挙げられる。
【0025】本発明の放出制御型薬物投与デバイスにお
いては、薬物保存層(薬物含有ポリマー)中の薬物は、
使用前は薬物の拡散を制御する遅延層とは全く接触せ
ず、貼付時に初めて接触し、遅延層中に一定時間存在し
た後、皮膚に移行することが重要である。このために、
薬物保存層と遅延層の間に分離膜を設けることが重要で
ある。すなわち、遅延層は、遅いとはいえ薬物を拡散さ
せることができるから、保存時に薬物保存層と遅延層と
を接触させておくなら、最終的に薬物保存層と遅延層の
薬物濃度が平衡となり、本発明の効果が得られなくな
る。
【0026】本発明では、使用する直前に分離膜を除去
し、皮膚に貼付ないしは付着させる。このとき薬物は、
支持体側の薬物保存層が遅延層に接触する部分では遅延
層へ、支持体側にある薬物保存層の皮膚に接触する部分
もしくは遅延層と剥離ライナーの間に設けた薬物保存層
中からは直接皮膚へ移動する。この薬物移動が、投与直
後の薬物の放出であり、生体内での最初の血中濃度ピー
クを与える。
【0027】一定時間後、薬物保存層中の薬物のほとん
どは遅延層又は皮膚へ吸収され、その後薬物保存層中の
薬物がなくなると血中濃度は減少する。この状態が、休
薬期間に該当する。
【0028】それからさらに一定時間後に、遅延層に移
行していた薬物の放出が開始され、薬物が皮膚へ移動を
始める。この薬物移動が貼付一定時間経過後の薬物の放
出であり、生体内で再度の血中濃度ピークを与える。
【0029】このような機構により、一度の貼付であっ
ても休薬期間に該当する期間を設け、薬物を投与するこ
とが可能となるのである。
【0030】本発明の放出制御型薬物投与デバイスに
は、種々の薬物の投与に用いることができ、特に限定さ
れるものではないが、例えば、有機硝酸エステル類、ニ
コチン、食欲抑制剤、β−遮断薬、抗喘息薬又は抗パー
キンソン病薬等の投与に有利に使用することができ、特
にニトログリセリン、硝酸イソソルビド及び二硝酸イソ
ソルビドなどの有機硝酸エステル類やニコチンなどに有
利に使用される。
【0031】なお、本発明の放出制御型薬物投与デバイ
スにおいては、薬物の放出速度をコントロールするため
に、必要に応じて上記の薬物保存層あるいは遅延層に公
知の吸収促進剤を含ませることができる。具体的には、
例えば、エタノール、グリセリン、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、オレイルアルコールなど
のアルコール類、ジメチルアセトアミド等のアミド類、
オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸
等の高級脂肪酸類、メントール、リモネン等のテルペン
類、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸プロピル等
の高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤等
を吸収促進剤として使用することができる。
【0032】次に、本発明の放出制御型薬物投与デバイ
スの製造方法の一例を具体的に説明する。
【0033】まず、薬物を粘着剤に溶解し、溶剤蒸発後
の厚みが所定の厚みになるようポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上に展延し、溶剤を蒸発させ、支持体を圧
着することにより薬物保存層を得る。一方、ポリマー及
び粘着付与剤を加熱融解し、所定の厚みになるようポリ
エチレンテレフタレートフィルム上に展延して遅延層を
得る。
【0034】得られた薬物保存層に分離膜を圧着し、さ
らに遅延層を圧着することにより、本発明の放出制御型
薬物投与デバイスを得る。
【0035】なお、貼付直後(投与初期)と貼付一定時
間経過後(投与後期)に、薬物を放出し、生体内での薬
物血中濃度のピークを2つ持たせるためには、前記のよ
うに遅延層の形状を工夫したり、遅延層の剥離ライナー
側にも別の薬物保存層を圧着することが必要であること
はいうまでもない。
【0036】以上述べたように、本発明の放出制御型薬
物投与デバイスが得られるが、本発明の薬物投与デバイ
スの製造方法は上記方法に限られるものではない。
【0037】次に、本発明の放出制御型薬物投与デバイ
スの実施態様を示す図面により、その使用方法について
説明する。
【0038】図1は、本発明の放出制御型薬物投与デバ
イスの製造後(保存ないし販売時)の状態を示す断面図
を、図2は、分離膜を除去する状態の断面図を、図3
は、貼付前の状態の断面図を示す。これらの図におい
て、1は支持体、2は薬物保存層(薬物含有ポリマ
ー)、3は遅延層、4は分離膜、5は剥離ライナーを示
す。
【0039】本発明の放出制御型薬物投与デバイスの製
造後の状態は、図1に示すとおりであり、薬物保存層2
と遅延層3は、分離膜4で分離されているから、薬物保
存層2に含まれる薬物は、遅延層3に移動することはな
く、保持されている。
【0040】この薬物投与デバイスを使用するに先立っ
て、図2に示すように、分離膜4を取り去ることが必要
である。この分離膜4は、どのような形状であっても良
いが、本図に示すようにその断面形状がW型のものを使
用し、この真ん中の部分を引いて引き抜くことにより、
分離膜4を引き抜く際に薬物保存層2と遅延層3とを引
き寄せる力が生じるため、より確実に両層を結合させる
ことができる。
【0041】上記のように、分離膜を引き抜いた結果、
図3に示す如く薬物保存層2と遅延層3とが結合し、薬
物保存層2中の薬物の移動が開始する。この後、剥離ラ
イナー5を剥離すれば、皮膚中に薬物の放出が開始す
る。
【0042】また、本発明の放出制御型薬物投与デバイ
スの別の態様を図4ないし図6に示す。このうち、図4
は、本発明の放出制御型薬物投与デバイスの製造後(保
存ないし販売時)の状態を示す断面図を、図5は、分離
膜を除去する状態の断面図を、図6は、粘着前の状態の
断面図を示す。これらの図において、1は支持体、2及
び6は薬物保存層(薬物含有ポリマー)、3は遅延層、
4は分離膜、5は剥離ライナーを示す。
【0043】この放出制御型薬物投与デバイスの製造後
の状態は、図4に示すとおりである。この薬物投与デバ
イスにおいては、別の薬物保存層6が遅延層3と剥離ラ
イナー5の間に設けられているから、貼付後直ぐにこの
薬物保存層6から薬物が放出され、皮膚から吸収され
る。一方、薬物保存層2と遅延層3は、分離膜4で分離
されているが、これを引き抜けば、図6に示す如く薬物
保存層2と遅延層3とが結合し、薬物保存層2中の薬物
の移動が開始する。そして、この薬物保存層2に含まれ
る薬物は、まず遅延層3に移動し、その後相当な時間が
経過してから薬物保存層6を経て放出され、皮膚に吸収
される。
【0044】なお、この投与デバイスを使用するに先立
って、図5に示すように、分離膜4を取り去ることが必
要であるが、この分離膜4の断面形状がW型のものが好
ましいことは、前で説明した通りである。
【0045】かくして得られる本発明の放出制御型薬物
投与デバイスは、前記のような薬物保存層と遅延層を組
み合わせにより、1回の貼付により2つの血中濃度ピー
クとその間に休薬期間を得ることが可能となった。従っ
て、1日1回貼付による耐性発現を予防し、1日2回貼
付を目的とする製剤よりも、患者に与える負担及びコン
プライアンスの問題を改善し、さらに貼り替えによる皮
膚刺激を低減する、臨床上有用な薬物投与デバイスと成
り得るものである。
【0046】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明の放出制御型薬
物投与デバイスを更に詳細に説明するが、本発明はこれ
らの実施例等になんら制約されるものではない。
【0047】実 施 例 1 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0048】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(100μm) 1.ニコチン 20部 2.アクリル樹脂系溶剤型感圧接着剤 *1 80部 B.遅延層(800μm) 1.エチレン酢酸ビニルコポリマー *2 70部 2.脂環族飽和炭化水素樹脂 *3 30部 *1 : ニッセツPE−300(日本カーバイド社製) *2 : エバテートR5011(住友化学工業社製) *3 : アルコンP−100(荒川化学工業社製)
【0049】( 製 法 )まず、ニコチン及びアクリル
樹脂系溶剤型感圧接着剤をトルエンに溶解させ、溶剤蒸
発後の厚みが100μmになるようポリエチレンテレフ
タレートフィルム上に展延し、トルエン及び酢酸エチル
を蒸発させた後、支持体(ポリプロピレン不織布)を貼
り合わせて薬物保存層を得た。次に、エチレン−酢酸ビ
ニルコポリマー及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱混合
し、厚みが800μmになるようポリエチレンテレフタ
レートフィルム上に延展して遅延層を得た。それから、
薬物保存層のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥
がし、分離膜(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
を圧着した後、遅延層を薬物保存層の95%の面積を覆
うように圧着し、本発明の放出制御型薬物投与デバイス
を得た。なお、分離膜が遅延層を十分に覆うように調整
した。
【0050】実 施 例 2 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0051】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(50μm) 1.ニコチン 20部 2.アクリル樹脂系溶剤型感圧接着剤 *1 80部 B.遅延層(600μm) 1.スチレン−イソプレン 70部 −スチレンブロック共重合体 *4 2.脂環族飽和炭化水素樹脂 *3 30部 *1 : 上と同じ *3 : 上と同じ *4 : クレイトンD−1107(シェルジャパン社製)
【0052】( 製 法 )まず、ニコチン、アクリル樹
脂系溶剤型感圧接着剤をトルエンに溶解させ、溶剤蒸発
後の厚みが50μmになるようポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上に展延し、トルエン及び酢酸エチルを蒸
発させた後、支持体(ポリプロピレン不織布)を貼り合
わせて薬物保存層を得た。次に、スチレン−イソプレン
−スチレンブロック共重合体及び脂環族飽和炭化水素樹
脂を加熱混合し、厚みが600μmになるようポリエチ
レンテレフタレートフィルム上に展延して遅延層を得
た。それから、薬物保存層のポリエチレンテレフタレー
トフィルムを剥がし、分離膜(ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム)を圧着した後、遅延層を薬物保存層の9
0%の面積を覆うように圧着し、本発明の放出制御型薬
物投与デバイスを得た。なお、分離膜が遅延層を十分に
覆うように調整した。
【0053】実 施 例 3 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0054】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(100μm) 1.ニコチン 10部 2.スチレン−イソプレン 45部 −スチレンブロック共重合体 *5 3.ロジンエステル *6 45部 B.遅延層(400μm) 1.スチレン−イソプレン 70部 −スチレンブロック共重合体 *5 2.ロジンエステル *6 30部 *5 : クレイトンD−1112(シェルジャパン社製) *6 : エステルガムH(荒川化学工業社製)
【0055】( 製 法 )まず、ニコチン、スチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体及びロジンエス
テルをトルエンに溶解させ、溶剤蒸発後の厚みが100
μmになるようポリエチレンテレフタレートフィルム上
に展延し、トルエンを蒸発させた後、支持体(ポリプロ
ピレン不織布)を貼り合わせて薬物保存層を得た。次
に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
及びロジンエステルを加熱混合し、厚みが400μmに
なるようポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延
して遅延層を得た。それから、薬物保存層のポリエチレ
ンテレフタレートフィルムを剥がし、分離膜(ポリエチ
レンテレフタレートフィルム)を圧着した後、遅延層を
薬物保存層の85%の面積を覆うように圧着し、本発明
の放出制御型薬物投与デバイスを得た。なお、分離膜が
遅延層を十分に覆うように調整した。
【0056】実 施 例 4 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0057】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(50μm) 1.ニトログリセリン 4部 2.スチレン−イソプレン 48部 −スチレンブロック共重合体 *5 3.ロジンエステル *6 48部 B.遅延層(600μm) 1.スチレン−イソプレン 70部 −スチレンブロック共重合体 *5 2.脂環族飽和炭化水素樹脂 *6 30部 *5 : 上と同じ *6 : 上と同じ
【0058】( 製 法 )まず、ニトログリセリン、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及びロ
ジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤蒸発後の厚み
が50μmになるようポリエチレンテレフタレートフィ
ルム上に展延し、トルエンを蒸発させた後、支持体(ポ
リプロピレン不織布)を貼り合わせて薬物保存層を得
た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共
重合体及びロジンエステルを加熱混合し、厚みが600
μmになるようポリエチレンテレフタレートフィルム上
に展延して遅延層を得た。それから、薬物保存層のポリ
エチレンテレフタレートフィルムを剥がし、分離膜(ポ
リエチレンテレフタレートフィルム)を圧着した後、遅
延層を薬物保存層の90%の面積を覆うように圧着し、
本発明の放出制御型薬物投与デバイスを得た。なお、分
離膜が遅延層を十分に覆うように調整した。
【0059】実 施 例 5 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0060】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(100μm) 1.ニトログリセリン 8部 2.スチレン−イソプレン 46部 −スチレンブロック共重合体 *5 3.ロジンエステル *6 46部 B.遅延層(800μm) 1.スチレン−イソプレン 70部 −スチレンブロック共重合体 *5 2.脂環族飽和炭化水素樹脂 *3 30部 *3 : 上と同じ *5 : 上と同じ *6 : 上と同じ
【0061】( 製 法 )まず、ニトログリセリン、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及びロ
ジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤蒸発後の厚み
が100μmになるようポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に展延し、トルエンを蒸発させた後、支持体
(ポリプロピレン不織布)を貼り合わせて薬物保存層を
得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体及び脂環族飽和炭化水素を加熱混合し、厚みが
800μmになるようポリエチレンテレフタレートフィ
ルム上に展延して遅延層を得た。それから、薬物保存層
のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、分離
膜(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を圧着した
後、遅延層を薬物保存層の85%の面積を覆うように圧
着し、本発明の放出制御型薬物投与デバイスを得た。な
お、分離膜が遅延層を十分に覆うように調整した。
【0062】実 施 例 6 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0063】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(100μm) 1.ニトログリセリン 8部 2.スチレン−イソプレン 46部 −スチレンブロック共重合体 *4 3.ロジンエステル *6 46部 B.遅延層(800μm) 1.スチレン−イソプレン 70部 −スチレンブロック共重合体 *4 2.脂環族飽和炭化水素樹脂 *3 30部 *3 : 上と同じ *4 : 上と同じ *6 : 上と同じ
【0064】( 製 法 )まず、ニトログリセリン、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及びロ
ジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤蒸発後の厚み
が100μmになるようポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に展延し、トルエンを蒸発させた後、支持体
(ポリプロピレン不織布)を貼り合わせて薬物保存層を
得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱混合し、厚
みが800μmになるようポリエチレンテレフタレート
フィルム上に展延して遅延層を得た。それから、薬物保
存層のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、
分離膜(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を圧着
した後、遅延層を薬物保存層の80%の面積を覆うよう
に圧着し、本発明の放出制御型薬物投与デバイスを得
た。なお、分離膜が遅延層を十分に覆うように調整し
た。
【0065】実 施 例 7 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0066】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(100μm) 1.ニトログリセリン 8部 2.スチレン−イソプレン 46部 −スチレンブロック共重合体 *4 3.ロジンエステル *7 46部 B.遅延層(800μm) 1.スチレン−イソプレン 70部 −スチレンブロック共重合体 *4 2.脂環族飽和炭化水素樹脂 *3 30部 *3 : 上と同じ *4 : 上と同じ *7 : エステルガムKE−311(荒川化学工業社製)
【0067】( 製 法 )まず、ニトログリセリン、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及びロ
ジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤蒸発後の厚み
が100μmになるようポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に展延し、トルエンを蒸発させた後、支持体
(ポリプロピレン不織布)を貼り合わせて薬物保存層を
得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱混合し、厚
みが800μmになるようポリエチレンテレフタレート
フィルム上に展延して遅延層を得た。それから、薬物保
存層のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、
分離膜(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を圧着
した後、遅延層を薬物保存層の70%の面積を覆うよう
に圧着し、本発明の放出制御型薬物投与デバイスを得
た。なお、分離膜が遅延層を十分に覆うように調整し
た。
【0068】実 施 例 8 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0069】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(100μm) 1.硝酸イソソルビド 20部 2.スチレン−イソプレン 40部 −スチレンブロック共重合体 *5 3.ロジンエステル *7 40部 B.遅延層(400μm) 1.スチレン−イソプレン 50部 −スチレンブロック共重合体 *5 2.ロジンエステル *7 30部 3.ミリスチン酸イソプロピル 20部 *5 : 上と同じ *7 : 上と同じ
【0070】( 製 法 )まず、硝酸イソソルビド、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及びロ
ジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤蒸発後の厚み
が100μmになるようポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に展延し、トルエンを蒸発させた後、支持体
(ポリプロピレン不織布)を貼り合わせて薬物保存層を
得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体、ロジンエステル及びミリスチン酸イソプロピ
ルを加熱混合し、厚みが400μmになるようポリエチ
レンテレフタレートフィルム上に展延して遅延層を得
た。それから、薬物保存層のポリエチレンテレフタレー
トフィルムを剥がし、分離膜(ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム)を圧着した後、遅延層を薬物保存層の9
0%の面積を覆うように圧着し、本発明の放出制御型薬
物投与デバイスを得た。なお、分離膜が遅延層を十分に
覆うように調整した。
【0071】実 施 例 9 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0072】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(100μm) 1.硝酸イソソルビド 10部 2.スチレン−イソプレン 45部 −スチレンブロック共重合体 *8 3.ロジンエステル *7 45部 B.遅延層(400μm) 1.スチレン−イソプレン 50部 −スチレンブロック共重合体 *8 2.ロジンエステル *7 30部 3.ミリスチン酸イソプロピル 20部 *7 : 上と同じ *8 : クインタック3421(シェルジャパン社製)
【0073】( 製 法 )まず、硝酸イソソルビド、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及びロ
ジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤蒸発後の厚み
が100μmになるようポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に展延し、トルエンを蒸発させた後、支持体
(ポリプロピレン不織布)を貼り合わせて薬物保存層を
得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体、ロジンエステル及びミリスチン酸イソプロピ
ルを加熱混合し、厚みが400μmになるようポリエチ
レンテレフタレートフィルム上に展延して遅延層を得
た。それから、薬物保存層のポリエチレンテレフタレー
トフィルムを剥がし、分離膜(ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム)を圧着した後、遅延層を薬物保存層の8
0%の面積を覆うように圧着し、本発明の放出制御型薬
物投与デバイスを得た。なお、分離膜が遅延層を十分に
覆うように調整した。
【0074】実 施 例 10 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0075】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層(100μm) 1.硝酸イソソルビド 10部 2.スチレン−イソプレン 45部 −スチレンブロック共重合体 *8 3.脂環族飽和炭化水素樹脂 *9 45部 B.遅延層(600μm) 1.スチレン−イソプレン 50部 −スチレンブロック共重合体 *8 2.脂環族飽和炭化水素樹脂 *9 30部 3.ミリスチン酸イソプロピル 20部 *8 : 上と同じ *9 : アルコンP−90(荒川化学工業社製)
【0076】( 製 法 )まず、硝酸イソソルビド、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及び脂
環族飽和炭化水素樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤蒸発
後の厚みが100μmになるようポリエチレンテレフタ
レートフィルム上に展延し、トルエンを蒸発させた後、
支持体(ポリプロピレン不織布)を貼り合わせて薬物保
存層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブ
ロック共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂及びミリスチ
ン酸イソプロピルを加熱混合し、厚みが600μmにな
るようポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し
て遅延層を得た。それから、薬物保存層のポリエチレン
テレフタレートフィルムを剥がし、分離膜(ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム)を圧着した後、遅延層を薬
物保存層の70%の面積を覆うように圧着し、本発明の
放出制御型薬物投与デバイスを得た。なお、分離膜が遅
延層を十分に覆うように調整した。
【0077】実 施 例 11 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0078】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層1(100μm) 1.ニコチン 20部 2.アクリル樹脂系溶剤型感圧接着剤 *1 80部 B.遅延層(600μm) 1.スチレン−イソプレン 70部 −スチレンブロック共重合体 *4 2.ロジンエステル *6 30部 C.薬物保存層2(20μm) 1.ニコチン 20部 2.アクリル樹脂系溶剤型感圧接着剤 *1 80部 *1 : 上と同じ *4 : 上と同じ *6 : 上と同じ
【0079】( 製 法 )まず、ニコチン及びアクリル
樹脂系溶剤型感圧接着剤をトルエンに溶解させ、溶剤蒸
発後の厚みが100μmになるようポリエチレンテレフ
タレートフィルム上に展延し、トルエン及び酢酸エチル
を蒸発させた後、支持体(ポリプロピレン不織布)を貼
り合わせて薬物保存層1を得た。次に、ニコチン及びア
クリル樹脂系溶剤型感圧接着剤をトルエンに溶解させ、
溶剤蒸発後の厚みが20μmになるようポリエチレンテ
レフタレートフィルム上に展延し、トルエン及び酢酸エ
チルを蒸発させ薬物保存層2を得た。更に、スチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体及びロジンエス
テルを加熱混合し、厚みが600μmになるようポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に展延して遅延層を得
た。
【0080】得られた遅延層に薬物保存層2を貼り合わ
せた。次に薬物保存層1のポリエチレンテレフタレート
フィルムを剥がし、分離膜(ポリエチレンテレフタレー
トフィルム)が薬物保存層1を十分に覆うように圧着し
た。さらに薬物保存層2と遅延層を貼り合わせたものの
遅延層側を所定の面積になるように圧着し、その分離膜
側に遅延層を圧着し、さらにその遅延層側に薬物保存層
を圧着し、本発明の放出制御型薬物投与デバイスを得
た。
【0081】実 施 例 12 以下の処方及び製法を用いて、本発明の放出制御型薬物
投与デバイスを得た。
【0082】 ( 処 方 ) < 成 分 > < 重量部 > A.薬物保存層1(100μm) 1.ニトログリセリン 4部 2.スチレン−イソプレン −スチレンブロック共重合体 *5 48部 3.脂環族飽和炭化水素樹脂 *3 48部 B.遅延層(600μm) 1.スチレン−イソプレン 70部 −スチレンブロック共重合体 *4 2.脂環族飽和炭化水素樹脂 *3 30部 C.薬物保存層2(20μm) 1.ニトログリセリン 4部 2.アクリル樹脂系溶剤型感圧接着剤 *1 96部 *1 : 上と同じ *3 : 上と同じ *4 : 上と同じ *5 : 上と同じ
【0083】( 製 法 )まず、ニトログリセリン、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及び脂
環族飽和炭化水素樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤蒸発
後の厚みが100μmになるようポリエチレンテレフタ
レートフィルム上に展延し、トルエンを蒸発させた後、
支持体(ポリプロピレン不織布)を貼り合わせて薬物保
存層1を得た。次に、ニトログリセリン及びアクリル樹
脂系溶剤型感圧接着剤をトルエンに溶解させ、溶剤蒸発
後の厚みが20μmになるようポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上に展延し、トルエン及び酢酸エチルを蒸
発させ薬物保存層2を得た。更にに、スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体及びロジンエステルを
加熱混合し、厚みが600μmになるようポリエチレン
テレフタレートフィルム上に展延して遅延層を得た。
【0084】得られた遅延層に薬物保存層2を貼り合わ
せた。次に薬物保存層1のポリエチレンテレフタレート
フィルムを剥がし、分離膜(ポリエチレンテレフタレー
トフィルム)が薬物保存層1を十分に覆うように圧着し
た。さらに薬物保存層2と遅延層を貼り合わせたものの
遅延層側を所定の面積になるように圧着し、その分離膜
側に遅延層を圧着し、さらにその遅延層側に薬物保存層
を圧着し、本発明の放出制御型薬物投与デバイスを得
た。
【0085】試 験 例 1 ラット経皮吸収試験:本発明の放出制御型薬物投与デバ
イスを用い、ラットで経皮吸収試験を行った。まず、S
D系雄性ラット(150〜200g;7週齢)の側腹部
を除毛後、実施例1で得た放出制御型薬物投与デバイス
を貼付し、粘着包帯及び粘着テープで支持固定する。2
4時間後まで経時的に眼窩静脈より採血し、血漿中のニ
コチン濃度を測定した。その結果を図7に示す。
【0086】図1から明らかなように、実施例1の放出
制御型薬物投与デバイスは、貼付4時間後まで速やかに
血中濃度が上昇した後、一旦低下し、再び貼付16時間
後で上昇した。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、薬物保存層の薬物は、
直接皮膚に放出される部分と、一旦遅延層に移行した
後、一定時間経過後皮膚に放出される部分に分けられ
る。そのため、まず、最初に皮膚に放出された薬物が血
中へ移行し、血中濃度が上昇する。その後、一定時間が
経過すると、薬物保存層中の薬物の枯渇により血中濃度
が低下するが、更に、遅延層中を拡散していた薬物が所
定の時間を経て皮膚に放出され、血中へ移行するため、
再び、血中濃度が上昇する。以上のことから、1回の貼
付により、2つの血中濃度ピークとその間に休薬期間が
得られ、1日の血中濃度に変化を持たせることが可能と
なり、耐性を回避することができる。
【0088】従って、本発明の放出制御型薬物投与デバ
イスは、長時間連続投与により耐性を発現する薬剤、例
えばニトログリセリン、硝酸イソソルビドなどの有機硝
酸エステル類などの貼付剤として有利に使用される経皮
適用剤、例えばパッチ剤、テープ剤、絆創膏、パップ剤
等として有利に利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の放出制御型薬物投与デバイスの製造
後の状態を示す断面図である。
【図2】 本発明の放出制御型薬物投与デバイスの分離
膜を除去している(引き抜く)状態を示す断面図であ
る。
【図3】 本発明の放出制御型薬物投与デバイスの分離
膜を除去した後、薬物保存層と遅延層とが結合させた状
態を示す断面図である。
【図4】 本発明の別の形態における放出制御型薬物投
与デバイスの製造後の状態を示す断面図である。
【図5】 本発明の別の形態における放出制御型薬物投
与デバイスのの分離膜を除去している(引き抜く)状態
を示す断面図である。
【図6】 本発明の別の形態における放出制御型薬物投
与デバイスの分離膜を除去した後、薬物保存層と遅延層
とが結合した状態を示す断面図である。
【図7】 実施例1の放出制御型薬物投与デバイスを用
いたラット経皮吸収試験における、ニコチン血中濃度の
経時変化を示した図である。
【符号の説明】
1 … … 支持体 2 … … 薬物保存層 3 … … 遅延層 4 … … 分離膜 5 … … 剥離ライナー 6 … … 薬物保存層 以 上
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 11/06 A61P 25/02 105 25/02 105 25/16 25/16 25/26 25/26 A61L 15/03 (72)発明者 仲原 潔 佐賀県鹿島市大字納富分2596番地1 祐徳 薬品工業株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA72 AA74 AA76 BB31 CC01 CC12 CC13 CC15 CC16 EE04 EE09 EE27 FF68 4C081 AA03 AA12 BB06 CA08 CA27 CB05 CE02 DA02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、以下の(a)〜(e)の構
    成を有する薬物投与デバイスであって、投与部位に貼付
    後、直後の薬物の放出と、貼付一定時間経過後の遅延し
    た薬物の放出を可能とすることにより生体内での2つの
    血中濃度ピークを得ることのできる放出制御型薬物投与
    デバイス。 (a)薬物不透過性の支持体、 (b)支持体に接して設けられ、拡散によって薬物を放
    出する放出面を有する薬物保存層、 (c)薬物保存層から皮膚への薬物の放出を一定時間遅
    らせるための実質的に薬物を含まない遅延層、 (d)薬物保存層と遅延層との中間に設けられた、両層
    を投与部位への貼付時までの間隔離し、貼付時に患者自
    身で除去可能な分離膜、 (e)遅延層の外側に設けられた薬物不透過性の剥離ラ
    イナー。
  2. 【請求項2】 直後の薬物の放出と、貼付一定時間経過
    後の遅延した薬物の放出を、薬物保存層のうち所定の面
    積が遅延層を介さずに直接皮膚へ接する構造とするか、
    遅延層と剥離ライナ−の間に別の薬物保存層を設けるこ
    とにより可能とする請求項第1項記載の放出制御型薬物
    投与デバイス。
  3. 【請求項3】 前記分離膜がW型構造をとるものである
    請求項第1項または第2項記載の放出制御型薬物投与デ
    バイス。
  4. 【請求項4】 前記薬物保存層がゴム系粘着剤、アクリ
    ル系粘着剤及びシリコーン系粘着剤から選ばれた粘着剤
    の少なくとも一種を含有するものである請求項第1項な
    いし第3項の何れかの項記載の放出制御型薬物投与デバ
    イス。
  5. 【請求項5】 前記遅延層がゴム系粘着剤、アクリル系
    粘着剤またはシリコーン系粘着剤から選ばれた少なくと
    も一種の粘着剤を含有するものである請求項第1項ない
    し第4項の何れかの項記載の放出制御型薬物投与デバイ
    ス。
  6. 【請求項6】 前記薬物が有機硝酸エステル類、ニコチ
    ン、食欲抑制剤、β−遮断薬、抗喘息薬、又は抗パーキ
    ンソン病薬のいずれかである請求項第1項ないし第5項
    の何れかの項記載の放出制御型薬物投与デバイス。
  7. 【請求項7】 前記有機硝酸エステル類がニトログリセ
    リン、硝酸イソソルビド及び二硝酸イソソルビドから選
    ばれた少なくとも一種である請求項第6項記載の放出制
    御型薬物投与デバイス。
  8. 【請求項8】 パッチ剤、テープ剤、絆創膏またはパッ
    プ剤の何れかである請求項第1項から第7項記載の放出
    制御型薬物投与デバイス。
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