JP2003099982A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP2003099982A
JP2003099982A JP2001294490A JP2001294490A JP2003099982A JP 2003099982 A JP2003099982 A JP 2003099982A JP 2001294490 A JP2001294490 A JP 2001294490A JP 2001294490 A JP2001294490 A JP 2001294490A JP 2003099982 A JP2003099982 A JP 2003099982A
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JP2001294490A
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Naoki Hayashida
直樹 林田
Hideki Hirata
秀樹 平田
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TDK Corp
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光記録媒体表面、特に光透過層若しくはハー
ドコート層表面の摩擦特性(摩擦力及び/又は摩擦係
数)の持続性が高い光記録媒体を提供する。 【解決手段】 基板11と、基板11上に設けられた記
録層13と、記録層13上に設けられたハードコート層
15とを備え、ハードコート層15を介して記録層13
にレーザ光を照射することによりデータの記録/再生が
行われる光記録媒体であって、ハードコート層15の表
面の100回の摺動に対する摩擦係数の増加率が0.0
3以下である。これにより、ユーザが光記録媒体表面に
付着した塵埃や汚れを不織布やティッシュペーパー紙等
で頻繁に払拭したり、水や洗剤水溶液を含んだウェスに
より頻繁に払拭した場合であっても、低い摩擦係数が効
果的に持続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光記録媒体に関
し、さらに詳細には、光入射面表面の傷の発生が効果的
に防止された光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量のデジタルデータを記録す
るための記録媒体として、CDやDVDに代表される光
記録媒体が広く用いられている。一般に、再生専用の光
記録媒体は光入射面側から、光透過層(光透過性基
板)、反射層、保護層の順に各層が積層され、書き込み
可能な光記録媒体は光入射面側から、光透過層(光透過
性基板)、記録層、反射層、保護層の順に各層が積層さ
れてなる。再生専用の光記録媒体においては反射層が情
報記録層となり、書き込み可能な光記録媒体においては
記録層が情報記録層となる。いずれのタイプの光記録媒
体においても、データの読み出しに際しては、光透過層
側から再生用レーザが照射されてその反射光が検出され
る。また、書き込み可能な光記録媒体におけるデータの
書き込みに際しては、光透過層側から記録用レーザが照
射され、その熱エネルギー及び/又は光エネルギーによ
って記録層の化学的状態乃至は物理的状態が記録すべき
データに基づいて変化させられる。
【0003】ここで、光記録媒体に照射されるレーザ
は、反射層若しくは記録層において所定の径をもつビー
ムスポットが形成されるように光学系によって集光され
る。このため、光透過層の表面に傷が存在するとビーム
スポットが正しく形成されず、読み出しエラーや書き込
みエラーが生じることがある。このような傷の発生を防
止する方法としては、従来より、光透過層の表面に硬度
の高いハードコート層を設ける方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、記録
/再生レーザ光を集束するための対物レンズの開口数
(NA)を0.7以上、例えば、0.85程度まで大き
くするとともに、記録/再生レーザ光の波長λを400
nm程度まで短くすることによってレーザ光の集光スポ
ット径を小さくし、これにより大容量のデジタルデータ
を記録する試みがなされている。このように高NA化す
ると、光記録媒体の反りや傾きの許容度、すなわちチル
トマージンが小さくなるため、十分なチルトマージンを
確保するためには、光透過層(光透過性基板)の厚さを
薄くする必要がある。例えば、NA=0.85、λ=4
00nm程度に設定した場合、十分なチルトマージンを
確保するためには、光透過層の厚さを100μm程度ま
で薄くすることが要求される。
【0005】また、高NA化を図ると、対物レンズと光
記録媒体の表面との作動距離(ワーキング・ディスタン
ス)が小さくなり、例えば、NA=0.85程度に設定
した場合、ワーキング・ディスタンスは100μm程度
と従来に比べて著しく狭くなる。
【0006】しかしながら、ワーキング・ディスタンス
が非常に狭くなると、光記録媒体の回転中に、光記録媒
体の表面と対物レンズやこれを支持する支持体とが接触
を起こす可能性が非常に高くなり、光記録媒体の回転中
にこのような接触が発生すると、光記録媒体の光透過層
の表面には致命的な傷が生じるおそれがある。このよう
な接触による傷の発生は、上述したハードコート層を設
けることによってある程度抑制することができるが、光
透過層を100μm程度まで薄膜化した場合、光透過層
表面における記録/再生レーザ光の集光径も著しく小さ
くなるため、従来の光記録媒体では読み取りエラーや書
き込みエラーとならないようなサイズの傷や汚れであっ
ても、容易に読み取りエラーや書き込みエラーとなって
しまう。このため、ハードコート層の硬度を高めるだけ
では、回転中の接触によって生じる傷を低減するには不
十分である。
【0007】本発明者らは、回転中の接触によって生じ
る光記録媒体表面の傷を効果的に低減するためには、ハ
ードコート層の硬度を高めるのみならず、ハードコート
層表面の摩擦係数を低減させることが有効であるとの結
論に達した。
【0008】ところが、ユーザが光記録媒体表面に付着
した塵埃や汚れを不織布やティッシュペーパー紙等で頻
繁に払拭したり、水や洗剤水溶液を含んだウェスにより
頻繁に払拭した場合、ハードコート層表面の摩擦係数
は、これに応じて高くなる傾向にあることが本発明者ら
の実験により確かめられた。したがって、初期状態にお
いてハードコート層表面の摩擦係数が十分に低くても、
ユーザによるこのような払拭作業が行われる度にハード
コート層表面の摩擦係数が極端に増大する場合、ユーザ
が頻繁に払拭作業を行った後に、上述した対物レンズや
これを支持する支持体との接触が発生すると、光記録媒
体の光入射面の表面にはやはり致命的な傷が生じるおそ
れがある。
【0009】このような問題を解決するためには、ハー
ドコート層表面の摩擦係数を低減させるのみならず、そ
の持続性を高めることが有効である。
【0010】したがって、本発明の目的は、光記録媒体
表面、特に光透過層若しくはハードコート層表面の摩擦
特性(摩擦力及び/又は摩擦係数)の持続性が高い光記
録媒体を提供することである。
【0011】また、本発明の他の目的は、物理的な接触
を伴わずにデータの記録/再生を行うタイプの光記録媒
体であって、光入射面の摩擦特性の持続性が高い光記録
媒体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の通り、本発明は、
光記録媒体の回転中における対物レンズやこれを支持す
る支持体との接触によって生じる光記録媒体表面の傷を
効果的に低減するためには、光記録媒体表面の摩擦係数
を低減させ、接触時のダメージを緩和するのみならず、
摩擦係数の持続性を十分に高く保つことが有効であると
の着想に基づき、かかる摩擦係数の持続性、すなわち摩
擦係数の増加率が所定値以下に抑制された光記録媒体を
提供するものである。
【0013】本発明のかかる目的は、基板と、前記基板
上に設けられた情報記録層と、前記情報記録層上に設け
られた透光性基体とを備え、前記透光性基体を介して前
記情報記録層にレーザ光を照射することによりデータの
記録/再生が行われる光記録媒体であって、前記透光性
基体の表面の100回の摺動に対する摩擦係数の増加率
が0.03以下であることを特徴とする光記録媒体によ
って達成される。
【0014】本発明によれば、透光性基体の表面の摩擦
係数の増加率が0.03以下に抑えられていることか
ら、ユーザが光記録媒体表面に付着した塵埃や汚れを不
織布やティッシュペーパー紙等で頻繁に払拭したり、水
や洗剤水溶液を含んだウェスにより頻繁に払拭した場合
であっても、低い摩擦係数が効果的に持続される。この
ため、本発明によれば、長期間に亘って光記録媒体の光
入射面に傷がつきにくく、信頼性の高い光記録媒体を提
供することが可能となる。
【0015】本発明の好ましい実施態様においては、前
記増加率が0.01以下である。
【0016】本発明の好ましい実施態様によれば、増加
率が0.01以下であることから、低い摩擦係数がより
効果的に持続される。
【0017】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記増加率が0.007以下である。
【0018】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、増加率が0.007以下であることから、低い摩擦
係数がよりいっそう効果的に持続される。
【0019】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記増加率が0.002以下である。
【0020】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、増加率が0.002以下であることから、低い摩擦
係数が極めて効果的に持続される。
【0021】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記増加率が、摺動回数が1000回未満の領域に
おける値である。
【0022】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記増加率が、摺動回数が1000回以上の領域に
おける値である。
【0023】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記透光性基体が、光透過層及びその表面に設けら
れたハードコート層からなる。
【0024】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記光透過層の厚みが5〜300μmである。
【0025】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記ハードコート層が潤滑剤を含有している。
【0026】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記潤滑剤が、シリコーン系潤滑剤、フッ素系潤滑
剤または脂肪酸エステル系潤滑剤である。
【0027】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記潤滑剤の含有量が0.1〜5.0質量%であ
る。
【0028】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記摩擦係数が、80度の温度、5%以下の相対湿
度の環境下に100〜1000時間保存した後における
値である。
【0029】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記増加率が、前記透光性基体の前記表面に測定用
部材を平面的に接触させて、前記測定用部材に生じる引
っ張り力を検出することにより測定された値である。
【0030】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記増加率が、前記光記録媒体を50〜3000r
pmの回転数で回転させながら、前記透光性基体の表面
にセルロースを主成分とする自己接着型の長繊維不織布
の薄膜を介して5〜50g/cmの平面的な荷重を印
加して測定された値である。
【0031】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記増加率が、光記録媒体の回転数を100〜15
00rpmに設定して測定された値である。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
【0033】図1は、本実施態様にかかる光記録媒体1
0の構造を概略的に示す断面図である。
【0034】図1に示されるように、本実施態様にかか
る光記録媒体10は、厚さが約1.1mmの基板11
と、厚さが70〜130nmの反射層12と、厚さが1
00〜250nmの記録層13と、厚さが5〜300μ
mの光透過層14と、厚さが0.5〜10μmのハード
コート層15によって構成される。また、光記録媒体1
0の中央部分には孔16が設けられている。基板11は
ポリカーボネートからなり、反射層12は銀を主成分と
する合金からなる。また、記録層13は、実際にデータ
が記録される相変化膜の上下を誘電体膜で挟んだ多層構
造を有する。さらに、光透過層14及びハードコート層
15は紫外線硬化性樹脂や、ポリカーボネートやポリオ
レフィン等の樹脂性シートからなる。このような構造を
有する光記録媒体10からのデータの読み出しに際して
は、ハードコート層15側から読み出し用レーザが照射
されてその反射光量差が検出される。また、光記録媒体
10へのデータの書き込みに際しては、ハードコート層
15側から書き込み用レーザが照射され、これにより記
録層13の状態(相変化膜の結晶構造)を変化させる。
本明細書においては、光透過層14とハードコート層1
5の両方若しくは一方を「透光性基体」と呼ぶことがあ
る。
【0035】ここで、ハードコート層15の表面を不織
布やティッシュペーパー等で摺動した場合に、100回
の摺動に対して増加するハードコート層15の表面の摩
擦係数を「増加率」と定義した場合、本実施態様にかか
る光記録媒体10においては、かかる増加率が0.03
以下であり、好ましくは0.01以下であり、さらに好
ましくは0.007以下であり、特に好ましくは0.0
02以下である。ハードコート層15の表面の摩擦係数
の増加率としてこのような値を得るためには、ハードコ
ート層15に潤滑剤を含有させることが有効である。潤
滑剤としては、シリコーン系潤滑剤やフッ素系潤滑剤、
脂肪酸エステル系潤滑剤を選択することが好ましく、そ
の含有量としては、0.1〜5.0質量%程度とするこ
とが好ましい。これは、潤滑剤の含有量が0.1質量%
未満であると十分な潤滑効果を得ることができず、ま
た、5.0質量%を超える潤滑剤を含有させてもそれ以
上の潤滑効果が得られないばかりか、逆にべたつきの原
因となるからである。また、本実施態様にかかる光記録
媒体10においては、高温環境下に長時間保存した後、
具体的には、温度が60〜90度、相対湿度が30%以
下、好ましくは5%以下の環境下に100〜1000時
間保存した後においても、ハードコート層15の表面の
摩擦係数が上記値を有していることが好ましい。また、
高温・高湿環境下に長時間保存した後においても、ハー
ドコート層15の表面の摩擦係数が上記値を有している
ことがさらに好ましい。
【0036】次に、ハードコート層15の表面の摩擦係
数及びその増加率を測定する方法について説明する。
【0037】図2は、ハードコート層15の表面の摩擦
係数及びその増加率を測定する方法を説明するための図
である。
【0038】図2に示されるように、ハードコート層1
5の表面の摩擦係数及びその増加率の測定においては、
本実施態様にかかる光記録媒体10を回転させる回転機
構1と、測定用部材としての測定用薄膜片2と、測定用
薄膜片2を測定対象となる光記録媒体の表面に押し付け
る重り3と、測定用薄膜片2に生じている引っ張り力を
検出するトランスデューサ4とが用いられる。
【0039】測定用薄膜片2は、回転する光記録媒体の
表面(ここではハードコート層15の表面)との間で生
じる摩擦力を引っ張り力に変換するために用いられ、特
に限定されるものではないが、各光記録媒体の表面の特
性の違いを有効に判断できることから、その材料として
は、繊維集合体であることが好ましく、特に有機物を主
成分とし、紡績・圧着によって形成される繊維集合体、
例えば、セルロースを主成分とする自己接着型の長繊維
不織布を用いることが好ましい。
【0040】重り3は、底面が平坦な円柱形状であり、
その底面部分には、測定用薄膜片2への荷重が平面的に
均等となるように緩衝材5が設けられている。特に限定
されるものではないが、緩衝材の材料としてはポリウレ
タン、シリコーンゴム等を用いることが好ましい。ま
た、重り3の底面積としては0.5mm〜900mm
であることが好ましく、測定用薄膜片2への荷重とし
ては0.5g/cm〜50g/cmであることが好
ましい。
【0041】摩擦特性測定に際しては、まず、本実施態
様にかかる光記録媒体10をハードコート層15が上と
なるようにして測定装置の回転テーブル(図示せず)上
に載置し、次いで、光記録媒体10の表面に測定用薄膜
片2及び重り3を載置する。この状態において回転機構
1を動作させ、光記録媒体10を50〜3000rp
m、好ましくは100〜1500rpmで回転させる。
図2には、かかる状態が示されている。
【0042】このとき、光記録媒体10の表面と重り3
によって荷重がかけられた測定用薄膜片2との間に生じ
る摩擦力によって、測定用薄膜片2は光記録媒体10の
回転方向に引っ張られる。かかる引っ張り力は、トラン
スデューサ4によって電気信号に変換され、これによっ
て光記録媒体10の表面の摩擦特性、すなわち、摩擦力
及び/又は摩擦係数を特定することが可能となる。
【0043】このような方法による光記録媒体10の表
面の摩擦特性の測定は、磁界変調型の光記録媒体である
MD(ミニディスク)の光ピックアップ側でない磁界変
調ヘッド側の表面の摩擦特性を測定するための装置を用
いた場合と比べて、正確であり、且つ、再現性がよいと
いう特徴を有している。ここで、MD(ミニディスク)
の表面の摩擦特性を測定するための装置は、磁界変調ヘ
ッドが接触する側の面の摩擦力及び/又は摩擦係数を測
定するために用いられる装置であり、このような装置を
用いた測定に関しては、ミニディスクシステム規格書
(RainbowBook)付属書の第20頁に記載さ
れている。かかる測定装置は、物理的な接触を行わずに
データの記録/再生が行われるタイプの光記録媒体の光
入射面表面の摩擦力及び/又は摩擦係数の測定には適し
ていない。
【0044】本実施態様にかかる光記録媒体10におい
ては、以上説明した方法を用いて測定されたハードコー
ト層15の表面の摩擦係数及びその増加率が、上述の通
り0.03以下に設定されている。このため、ユーザが
ハードコート層15の表面に付着した塵埃や汚れを不織
布やティッシュペーパー紙等で頻繁に払拭したり、水や
洗剤水溶液を含んだウェスにより頻繁に払拭した場合で
あっても、ハードコート層15の表面の摩擦係数の増加
が小さく抑えられる。したがって、光記録媒体10に対
するデータの記録/再生において、NA=0.85程度
の高NAレンズを用い、対物レンズと光記録媒体10の
表面(ハードコート層15)との作動距離(ワーキング
・ディスタンス)を約100μm程度に設定した場合
に、ユーザが頻繁に払拭作業を行った後、光記録媒体1
0の回転中における光記録媒体10の表面(ハードコー
ト層15)と対物レンズやこれを支持する支持体との接
触が発生した場合であっても、これに起因する傷の発生
が抑制されることから、信頼性を大幅に高めることが可
能となる。
【0045】特に、ハードコート層15の表面の摩擦係
数の増加率を0.01以下に設定すれば、ハードコート
層15の表面の摩擦係数の増加がより小さく抑えられる
ことから、ユーザがより頻繁に払拭作業を行ったり、ユ
ーザが水や洗剤水溶液を含んだウェスによって払拭作業
を行った場合であっても、かかる傷の発生を効果的に抑
制することができる。さらに、ハードコート層15の表
面の摩擦係数の増加率を0.007以下に設定すれば、
ハードコート層15の表面の摩擦係数の増加がよりいっ
そう小さく抑えられることから、ユーザがよりいっそう
頻繁に払拭作業を行ったり、ユーザがメタノールやエタ
ノール等の低分子量アルコールを含んだウェスによって
払拭作業を行った場合であっても、かかる傷の発生を効
果的に抑制することができる。さらに、ハードコート層
15の表面の摩擦係数の増加率を0.002以下に設定
すれば、ハードコート層15の表面の摩擦係数の増加が
極めて小さく抑えられることから、ユーザが極めて頻繁
に払拭作業を行ったり、ユーザが各種溶剤を含んだウェ
スによって払拭作業を行った場合であっても、かかる傷
の発生を効果的に抑制することができる。
【0046】
【実施例】実施例1 それぞれ異なるハードコート層が形成された15枚の光
記録媒体(サンプル#1〜サンプル#15)表面の摩擦
係数を、上述した摩擦特性測定方法を用いて測定した。
【0047】かかる測定においては、測定用薄膜片2と
して、長さ及び幅がそれぞれ100mm及び25mmの
不織布(旭化成(株)製、ベンコットリントフリーCT
−8)を用いた。ここで、測定用薄膜片2の長さとは、
引っ張り力の働く方向であり、図2においては左右方向
である。また、重り3としては、直径が20mmであり
重さが31gのものを用いた。重り3は、その中心が光
記録媒体の中心から40mmの距離に位置するように載
置した。このような条件の下、回転機構1による光記録
媒体の回転数を670rpmに設定して、各光記録媒体
について摩擦係数の測定を行った。
【0048】ここで、測定対象である15枚の光記録媒
体(サンプル#1〜サンプル#15)としては、ハード
コート層15がいずれも紫外線硬化性樹脂(日本化薬
(株)製、HOD−3200)からなり、紫外線硬化性
樹脂中に添加した潤滑剤の種類及び添加量が互いに異な
る光記録媒体を用意した。各サンプルのハードコート層
15に含まれる潤滑剤の種類及び添加量を表1に示す。
また、いずれのサンプルにおいても、ハードコート層の
厚みは3.5μmとした。
【0049】
【表1】 図3は、サンプル#1〜サンプル#5の摩擦係数の測定
結果を示すグラフであり、図4は、サンプル#6〜サン
プル#10の摩擦係数の測定結果を示すグラフであり、
図5は、サンプル#11〜サンプル#15の摩擦係数の
測定結果を示すグラフである。図3乃至図5において、
縦軸は摩擦係数を示し、横軸は光記録媒体の累積回転数
を示す。
【0050】図3乃至図5に示すように、各サンプルと
も、累積回転数が増えるにしたがい摩擦係数が増加して
いることが分かる。これは、ハードコート層15に含ま
れる潤滑剤が測定用薄膜片2によって払拭されたためで
ある。また、図3からは、ハードコート層15に含まれ
る潤滑剤の量が多いほど、摩擦係数の増加率が低いとい
う傾向が読みとれる。
【0051】また、図3乃至図5を参照すれば、いずれ
のサンプルについても、累積回転数が1000回未満の
領域において増加率が高く、累積回転数が1000回以
上の領域において増加率が低くなっている。これは、累
積回転数が1000回以上の領域において、より安定的
な測定が行われているためであると考えられる。したが
って、安定的な増加率の評価は、累積回転数が1000
回以上の領域において行うことが好ましく、累積回転数
が1000回〜8000回の領域において行うことがさ
らに好ましく、累積回転数が2000回〜6000回の
領域において行うことが特に好ましい。但し、このこと
は、測定の初期(累積回転数=1000回未満)におい
て得られる増加率がデータとして有効でないことを意味
するものではなく、初期増加率として有効な評価の対象
とすることができる。
【0052】次に、各サンプルについて、累積回転数が
2000回の時点における摩擦係数と、累積回転数が6
000回の時点における摩擦係数と、これらの間におけ
る摩擦係数の増加率(安定領域における増加率)を表2
に示す。
【0053】
【表2】 上述の通り、「増加率」とは、100回の摺動に対して
増加するハードコート層15の表面の摩擦係数によって
定義されるので、例えば、サンプル#1においては、
(1.11(累積回転数が6000回の時点における摩
擦係数)−0.94(累積回転数が2000回の時点に
おける摩擦係数))/(6000−2000)×100
によって与えられる。表2に示すように、安定領域にお
いては、いずれのサンプルにおいても摩擦係数の増加率
が0.007以下と非常に小さい値が得られた。特に、
潤滑剤の含有量が1.0重量%以上であるサンプル#
3、#4、#5、#8、#9、#10、#13、#1
4、#15については、摩擦係数の増加率が0.002
以下と非常に小さい値が得られた。
【0054】次に、各サンプルについて、初期状態(累
積回転数=100回以下)における摩擦係数と、累積回
転数が1000回の時点における摩擦係数と、これらの
間における摩擦係数の増加率(初期増加率)を表3に示
す。
【0055】
【表3】 表3に示すように、いずれのサンプルにおいても摩擦係
数の初期増加率が0.03以下と非常に小さい値が得ら
れた。特に、潤滑剤の含有量が3.0重量%であるサン
プル#4及び潤滑剤の含有量が5.0重量%であるサン
プル#5、#15については、摩擦係数の初期増加率が
0.01以下と非常に小さい値が得られた。
【0056】実施例2 次に、それぞれ上記サンプル#1、#3、#5、#6、
#8、#10、#11、#13、#15と同じ9枚のサ
ンプルを用意し、これらを温度80度、相対湿度5%以
下の環境下に200時間保存した。その後、上記実施例
1と同じ方法で、各サンプルの表面の摩擦係数の測定を
行った。
【0057】図6は、#1、#3、#5、#6、#8、
#10、#11、#13、#15の摩擦係数の測定結果
を示すグラフである。図6において、縦軸は摩擦係数を
示し、横軸は光記録媒体の累積回転数を示す。図6を参
照すれば、温度80度、相対湿度5%以下の環境下に2
00時間保存した後においても、各サンプルとも、実施
例1において得られた特性とほぼ同じ特性が得られてい
ることが分かる。
【0058】各サンプルについて、上記環境下に保存
後、累積回転数が2000回の時点における摩擦係数
と、累積回転数が6000回の時点における摩擦係数
と、これらの間における摩擦係数の増加率(安定領域に
おける増加率)を表4に示す。
【0059】
【表4】 さらに、各サンプルについて、上記環境下に保存後、初
期状態(累積回転数=100回以下)における摩擦係数
と、累積回転数が1000回の時点における摩擦係数
と、これらの間における摩擦係数の増加率(初期増加
率)を表5に示す。
【0060】
【表5】 表4及び表5に示すように、各サンプルとも、上記環境
下に保存したことによる摩擦係数の増加率の劣化は実質
的に現れなかった。
【0061】以上説明したように、本実施態様にかかる
光記録媒体10においては、光入射面となるハードコー
ト層15の摩擦係数の増加率が低く抑えられていること
から、ユーザがハードコート層15の表面に付着した塵
埃や汚れを不織布やティッシュペーパー紙等で頻繁に払
拭したり、水や洗剤水溶液を含んだウェスにより頻繁に
払拭した場合であっても、ハードコート層15の表面の
摩擦係数の増加が小さく抑えられる。したがって、光記
録媒体10に対するデータの記録/再生において、NA
=0.85程度の高NAレンズを用い、対物レンズと光
記録媒体10の表面(ハードコート層15)との作動距
離(ワーキング・ディスタンス)を約100μm程度に
設定した場合に、ユーザが頻繁に払拭作業を行った後、
光記録媒体10の回転中における光記録媒体10の表面
(ハードコート層15)と対物レンズやこれを支持する
支持体との接触が発生した場合であっても、これに起因
する傷の発生が抑制されることから、信頼性を大幅に高
めることが可能となる。
【0062】本発明は、以上の実施態様に限定されるこ
となく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種
々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含
されるものであることはいうまでもない。
【0063】例えば、上記実施態様にかかる光記録媒体
10の構造は、本発明の適用が好適な光記録媒体の一例
であり、本発明の適用対象となる光記録媒体の構造がこ
れに限定されるものではない。したがって、本発明にか
かる光記録媒体が再生専用の光記録媒体であっても構わ
ない。さらに、本発明にかかる光記録媒体が、光磁気記
録媒体のような磁界変調型の光記録媒体であっても良
く、この場合には、磁気ヘッドが接する側ではなく、記
録再生光の入射面の摩擦係数の増加率が0.03以下に
設定される。
【0064】但し、光入射面の表面の摩擦係数の増加率
を低減したことによる傷の発生を抑制する効果は、対物
レンズやこれを支持する支持体との接触が生じた際に顕
著に現れることから、本発明は、光透過層14が5〜3
00μm程度に薄膜化された光記録媒体に対して特に好
適である。
【0065】また、上記実施態様にかかる光記録媒体1
0の摩擦係数の測定においては、底面が平坦である重り
3を用いることによって、光記録媒体の表面と測定用薄
膜片2とを平面的に均等な荷重をかけて接触させている
が、これらを平面的に均等な荷重をかけて接触させられ
る限り、どのような方法で測定用薄膜片2に荷重をかけ
ても構わない。また、測定用薄膜片の代わりに有効な測
定を行うのに十分な重さを有する測定用部材を用い、重
り3を用いることなく、測定用部材の自重によって光記
録媒体10の表面との摩擦を得ても構わない。
【0066】さらに、上記実施態様にかかる光記録媒体
10の摩擦係数の測定においては、円柱形状である重り
3を用いているが、重り3の形状としては、底面が平坦
である限り円柱形状であることは必須でない。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、光記録媒体の光入射面側の表面の摩擦係数の増加率
が抑制されていることから、ユーザが光記録媒体表面に
付着した塵埃や汚れを不織布やティッシュペーパー紙等
で頻繁に払拭したり、水や洗剤水溶液を含んだウェスに
より頻繁に払拭した場合であっても、十分に低い摩擦係
数が持続される。このため、本発明によれば、長期間に
亘って光記録媒体の光入射面に傷がつきにくく、信頼性
の高い光記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体
10の構造を概略的に示す断面図である。
【図2】ハードコート層15の表面の摩擦係数を測定す
る方法を説明するための図である。
【図3】サンプル#1〜サンプル#5の摩擦係数の測定
結果を示すグラフである。
【図4】サンプル#6〜サンプル#10の摩擦係数の測
定結果を示すグラフである。
【図5】サンプル#11〜サンプル#15の摩擦係数の
測定結果を示すグラフである。
【図6】保存試験後におけるサンプル#1、#3、#
5、#6、#8、#10、#11、#13、#15の摩
擦係数の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 回転機構 2 測定用薄膜片 3 重り 4 トランスデューサ 5 緩衝材 10 光記録媒体 11 基板 12 反射層 13 記録層 14 光透過層 15 ハードコート層 16 孔

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、前記基板上に設けられた情報記
    録層と、前記情報記録層上に設けられた透光性基体とを
    備え、前記透光性基体を介して前記情報記録層にレーザ
    光を照射することによりデータの記録及び/又は再生が
    行われる光記録媒体であって、前記透光性基体の表面の
    100回の摺動に対する摩擦係数の増加率が0.03以
    下であることを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記増加率が0.01以下であることを
    特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記増加率が0.007以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記増加率が0.002以下であること
    を特徴とする請求項3に記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記増加率が、摺動回数が1000回未
    満の領域における値であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の光記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記増加率が、摺動回数が1000回以
    上の領域における値であることを特徴とする請求項3ま
    たは4に記載の光記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記透光性基体が、光透過層及びその表
    面に設けられたハードコート層からなることを特徴とす
    る請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記光透過層の厚みが5〜300μmで
    あることを特徴とする請求項7に記載の光記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記ハードコート層が潤滑剤を含有して
    いることを特徴とする請求項7または8に記載の光記録
    媒体。
  10. 【請求項10】 前記潤滑剤が、シリコーン系潤滑剤、
    フッ素系潤滑剤または脂肪酸エステル系潤滑剤であるこ
    とを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記潤滑剤の含有量が0.1〜5.0
    質量%であることを特徴とする請求項9または10に記
    載の光記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記摩擦係数が、80度の温度、5%
    以下の相対湿度の環境下に100〜1000時間保存し
    た後における値であることを特徴とする請求項1乃至1
    1のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  13. 【請求項13】 前記増加率が、前記透光性基体の前記
    表面に測定用部材を平面的に接触させて、前記測定用部
    材に生じる引っ張り力を検出することにより測定された
    値であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか
    1項に記載の光記録媒体。
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