JP2003098309A - 光学部品 - Google Patents

光学部品

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JP2003098309A
JP2003098309A JP2001290991A JP2001290991A JP2003098309A JP 2003098309 A JP2003098309 A JP 2003098309A JP 2001290991 A JP2001290991 A JP 2001290991A JP 2001290991 A JP2001290991 A JP 2001290991A JP 2003098309 A JP2003098309 A JP 2003098309A
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Atsushi Fujinawa
淳 藤縄
Junji Nakada
純司 中田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プラスチック基板に、多層反射防止膜を形成し
てなる光学部品であって、多層反射防止膜の密着力が高
く、高い光反射防止性に加え、良好な耐久性を有する光
学部品を提供する。 【解決手段】アクリル系樹脂材料製の基板と、基板の表
面に形成される酸化硅素膜と、酸化硅素膜の上に形成さ
れる、低屈折率材料からなる層および高屈折率材料から
なる層を、交互に少なくとも一層ずつ形成してなる多層
反射防止膜とを有し、かつ、酸化硅素膜は真空蒸着によ
る成膜中に酸素を導入することにより、所定の弾性を付
与してなるものであることにより、前記課題を解決す
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ等の光学部
品の技術分野に属し、詳しくは、密着力の強い多層反射
防止膜を有する、耐久性に優れた光学部品に関する。 【0002】 【従来の技術】レンズ等の光学部品の材料としては、従
来より、ガラスが利用されている。一方で、軽量で低コ
スト、さらには生産性に優れることから、近年では、ポ
リメチルメタアクリレート(PMMA)等からなる、プ
ラスチック製の光学部品も汎用されている。これらの光
学部品に広く要求される特性のひとつに、光反射防止性
が高いこと(低光反射性)があり、光学部品の表面に
は、(光)反射防止膜が形成される場合が多い。 【0003】光学部品の表面に形成される反射防止膜と
しては、フッ化マグネシウム(MgF2 )等の低屈折率
材料を用いて成膜される単層の膜が汎用されているが、
より光反射防止性が高い反射防止膜として、低屈折率材
料からなる層と高屈折率材料からなる層とを、交互に、
少なくとも一層ずつ形成してなる、多層反射防止膜(マ
ルチコート反射防止膜)が知られている。ところが、多
層反射防止膜を有するプラスチック製の光学部品は、基
板(すなわちプラスチック製の光学部品)と多層反射防
止膜との密着性が低く、すなわち、耐久性が不十分であ
るという問題点がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】多層反射防止膜は、一
般的に、真空蒸着等の気相成膜法で形成される。気相成
膜法では、基板加熱を行わなくても、基板の温度は上昇
し、基板が膨張する。特に、多層反射防止膜では、生産
性等を考慮して複数層の成膜を連続的に行い、かつ、高
屈折材料の成膜は高めのエネルギで行うのが通常である
ため、基板温度は高くなり、基板は、少なからず膨張す
る。従って、多層反射防止膜の成膜を終了した基板を大
気中に取り出すと、基板は急激に冷却されて、収縮す
る。 【0005】ところが、プラスチック製の基板、特に、
PMMAを代表とするアクリル系材料からなる基板と、
基板に成膜された多層反射防止膜とでは、熱膨張係数が
異なり、基板に成膜された多層反射防止膜の熱膨張係数
は、基板よりも小さい。そのため、成膜を終了して大気
中に取り出された際に、基板の収縮による変形に、多層
反射防止膜が追随することができず、多層反射防止膜が
ダメージを受け、かつ、大きな歪みを持ってしまう。そ
の結果、多層反射防止膜の密着力が低下し、しかも、密
着力は経時と共に、漸次、低下してしまい、これによ
り、多層反射防止膜を有する光学部品の耐久性が大幅に
低下してしまう。 【0006】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、軽量、低コスト、生産性等に優れ
たプラスチックを基板とし、多層反射防止膜を形成して
なる光学部品であって、多層反射防止膜の密着力が高
く、多層反射防止膜による高い光反射防止性に加え、良
好な耐久性を有する光学部品を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の光学部品は、アクリル系樹脂材料製の基板
と、この基板の表面に形成される酸化硅素膜と、この酸
化硅素膜の上に形成される、低屈折率材料からなる層お
よび高屈折率材料からなる層を、交互に少なくとも一層
ずつ形成してなる多層反射防止膜とを有し、かつ、前記
酸化硅素膜は、真空蒸着による成膜中に酸素を導入する
ことにより、所定の弾性を付与してなるものであること
を特徴とする光学部品を提供する。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の光学部品につい
て、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説
明する。 【0009】図1に、本発明の光学部品の一例の概念図
を示す。本発明の光学部品10は、基板となる光学部品
12(以下、基板12とする)と、この基板12の表面
に形成される酸化硅素膜14と、酸化硅素膜14の上に
形成される多層反射防止膜16(以下、反射防止膜16
とする)とから構成される。なお、図示例において、反
射防止膜16は、高屈折率材料からなる高屈折率層18
(18aおよび18b)と、低屈折率材料からなる低屈
折率層20(20aおよび20b)とを、交互に2層ず
つ積層してなる、4層構成を有する。 【0010】本発明において、基板12は、アクリル系
の樹脂材料で形成されるものであり、特に、PMMA
(ポリメチルメタアクリレート)製の物が好適に利用さ
れる。本発明において、基板12(すなわち、本発明の
光学部品10)には、これ以外に一切の限定はなく、公
知の光学部品が、各種利用可能である。具体的には、各
種のレンズ、各種のフィルタ、各種のスクリーン、高分
子フィルム、光学基板等が例示される。 【0011】本発明の光学部品10において、基板12
の表面には、酸化硅素膜14が形成される。光学部品1
0において、酸化硅素膜14は、基板12と反射防止膜
16との密着力を向上するための密着層として作用する
膜で、本発明においては、一酸化硅素(SiO)を成膜
材料(蒸発源)とする真空蒸着で成膜される膜である。
また、本発明においては、この酸化硅素膜14は、成膜
中に、成膜系内に酸素を導入することにより、膜に所定
の弾性を付与してなるものである。なお、この点以外
は、酸化硅素膜14の成膜は、通常の真空蒸着と同様に
行えばよい。 【0012】前述のように、プラスチック製の基板、特
にPMMA等のアクリル系材料からなる基板に多層反射
防止膜を形成した際には、主として両者の熱膨張係数の
違いにより、成膜終了後に大気開放した際の冷却による
基板の大きな収縮/変形に、多層反射防止膜が追随する
ことができず、多層反射防止膜がダメージを受け、か
つ、歪みを持ってしまう。その結果、多層反射防止膜の
密着力が低下し、かつ、この密着力は、経時と共にさら
に低下するため、多層反射防止膜を有する光学部品は、
耐久性という点で要求される特性を満たしていない。 【0013】これに対し、本発明の光学部品10は、密
着層として作用する酸化硅素膜14を有することによ
り、反射防止膜16と基板12との十分な密着力を確保
して、高い耐久性を有する光学部品10を実現してい
る。 【0014】SiOを成膜材料として真空蒸着によって
形成された酸化硅素膜は、プラスチック、特に、PMM
Aとの密着性に優れる。また、この酸化硅素膜は、基本
的に硬度が低い上に、真空蒸着による成膜中に、系内に
酸素を導入することにより、膜をポーラス(多孔性)に
でき、酸素の導入量に応じて、柔軟性を有する所望の弾
性を付与することができる。しかも、成膜中の酸素導入
により、酸化硅素膜14の応力(薄膜の内部応力)も低
減することができる。 【0015】従って、このような酸化硅素膜14を有す
ることにより、反射防止膜16の成膜の際の膨張、およ
び、成膜後の冷却による収縮という、基板12の大きな
変形を、弾性を有する酸化硅素膜14で吸収して、この
変形による反射防止膜16のダメージおよび歪みを防ぐ
事ができる。また、酸化硅素膜14の応力を低減できる
ため、膜自身が基本的に有する歪みも少ない。そのた
め、本発明によれば、PMMA等を基板として、(多
層)反射防止膜16を形成した光学部品10において、
成膜における基板12の変形による反射防止膜16のダ
メージや歪みに起因する密着力の低下を防止して、密着
力が高い反射防止膜16を有する、耐久性に優れた光学
部品10を実現できる。 【0016】図2に、基板12の表面に、成膜材料とし
てSiOを用いた厚さ400nmの酸化硅素膜を密着層
として形成し、その上に、反射防止膜16を形成してな
る、図1に示される例と同様の構成を有する光学部品に
おいて、酸化硅素膜の成膜中における酸素導入量を各種
変更した際における、反射防止膜16の密着力(図2
(A))、および、酸化硅素膜の応力(図2(B))を
示す。なお、反射防止膜16は、厚さ20nmの高屈折
率層18a、厚さ30nmの低屈折率層20a、厚さ1
00nmの高屈折層18b、および厚さ90nmの低屈
折層20bの4層からなるもので、高屈折率層18は成
膜材料としてZrO2とTiO2 との混合物(オプトロ
ン社製 OH−5)を用い、低屈折率層22は成膜材料
としてSiO2 を用いて、それぞれ行った。 【0017】成膜は、通常の真空蒸着装置に酸素の導入
手段を付加した装置で、真空蒸着によって行った。ま
た、酸化硅素膜の成膜は、成膜系内(真空チャンバ内)
を8×10-4Paまで排気した後に、系内に酸素を導入
することによって系内の圧力を調整し、この酸素導入に
よって調整した圧力を成膜圧力として行った。すなわ
ち、成膜圧力が高い程、酸素の導入量が多い。図2の各
光学部品においては、この酸素導入量以外は、各膜
(層)の成膜は、全く同様に行った。なお、図2におい
て、SiO成膜時圧力=0は、全く酸素を導入しなかっ
た例である。 【0018】反射防止膜16の密着力の評価は、セロハ
ンテープテストで行い、1回のセロハンテープテストで
膜剥離を生じた場合を密着力1、2〜3回のセロハンテ
ープテストで膜剥離を生じた場合を密着力2、4回のセ
ロハンテープテストでも膜剥離を生じなかった場合を密
着力3と評価し、また、密着力3のサンプルと密着力2
のサンプルが混在した場合を密着力2.5、密着力2の
サンプルと密着力1のサンプルが混在した場合を密着力
1.5と評価した。 【0019】酸化硅素膜の(内部)応力は、ポリイミド
製の(フィルム)基板の表面に,上記光学部品と全く同
じ条件で厚さ400nmの酸化硅素膜を成膜して、基板
の反り量を測定し、下記式によって算出した。下記式に
おいて、k1は酸化硅素膜の単位膜厚当たりの応力[N
/m2]、k2は基板の厚さ[m]、k3は基板の長さ
[m]、k4は基板のヤング率[Pa]、k5は基板の
ポアゾン比、k6は基板の反り量[m]、k7は酸化硅
素膜の厚さ[m]、である。 k1=[k4×(k2)2×k6]/[3×(1−k5)
×k7×(k3)2] 【0020】図2に示されるように、SiOを成膜材料
とする酸化硅素膜14は、成膜中における酸素の導入量
が多い程、反射防止膜16の密着性が高く、また、応力
の絶対値も0に近づく。すなわち、酸化硅素膜の成膜中
に酸素を導入し、かつ、その導入量を調整することによ
り、酸化硅素膜14をポーラスにして所定の弾性を付与
して、目的とする反射防止膜16の密着性を実現するこ
とができる。 【0021】本発明の光学部品は、プラスチック製の基
板12に反射防止膜16を形成してなる光学部品におい
て、基板12と反射防止膜16との間に、基板12と良
好な密着性を有し、かつ、所定の弾性を付与してなる柔
軟な密着層を有することにより、密着力の高い反射防止
膜16を有する、耐久性に優れた光学部品を実現したも
のであり、具体的には、基板12としてPMMA等のア
クリル系樹脂材料の基板を用い、密着層として酸化硅素
膜14を用いている。 【0022】ここで、現状では、真空蒸着で形成した膜
の弾性を直接的に測る事は非常に困難であり、従って、
弾性を直接的に規定することは困難である。そのため、
本発明において、密着層すなわち酸化硅素膜14におけ
る所定の弾性とは、ポーラスであることに起因する各種
の特性を利用して間接的に定義すればよい。例えば、図
2(B)に示される例において、酸化硅素膜14の応力
が所定の範囲(例えば、応力の絶対値が0以上0.5未
満)に入る場合に、この酸化硅素膜14は所定の弾性を
有すると定義してもよい。また、図2(A)に示される
例において、反射防止膜16の密着力が所定値以上(例
えば、2.5以上)の場合に、この酸化硅素膜14は所
定の弾性を有すると定義してもよい。さらに、上記両条
件を共に満たす場合に、この酸化硅素膜14は所定の弾
性を有すると定義してもよい。 【0023】本発明の光学部品10において、酸化硅素
膜14の膜厚には特に限定は無い。しかしながら、酸化
硅素膜14の膜厚が薄過ぎると、基板12の変形を吸収
する効果を十分に得られずに、目的とする反射防止膜1
6の密着力を得ることができず、逆に、厚過ぎると、光
学部品10の光学特性、生産性、基板温度上昇の増加に
よるダメージ等の点で、不利になる。従って、酸化硅素
膜14の厚さは、以上の点を考慮して、目的とする耐久
性、光学特性、生産性等に応じて、適宜決定すれがよい
が、本発明者らの検討によれば、100nm〜800n
m、特に、350nm〜600nmが好ましい。 【0024】本発明の光学部品10において、このよう
な密着層として作用する酸化硅素膜14の上には、(多
層)反射防止膜16が形成される。図示例において、反
射防止膜16は、高屈折率材料からなる高屈折率層18
(18aおよび18b)と、低屈折率材料からなる低屈
折率層20(20aおよび20b)とを、交互に2層ず
つ積層してなる、4層構成を有する。 【0025】なお、本発明において、反射防止膜16
は、これに限定はされず、高屈折率層18と低屈折率層
20とを、交互に、少なくとも1層ずつ形成してなる、
公知の多層(マルチコート)の反射防止膜が各種利用可
能である。従って、その層構成には、特に限定はなく、
例えば、高屈折率層18と低屈折率層20とを1層ずつ
有する反射防止膜であってもよく、3層以上ずつの高屈
折率層18と低屈折率層20とを有する反射防止膜でも
よい。 【0026】また、高屈折率層18および低屈折率層2
0の形成材料にも、限定はなく、各種の多層反射防止膜
に利用されるものが、全て利用可能である。例えば、高
屈折率層18としては、ZrO2 を成膜材料とする層、
TiO2 を成膜材料とする層、前記OH−5のようなZ
rO2 とTiO2 の混合材料を成膜材料とする層、Y 2
3 を成膜材料とする層、CeO2 を成膜材料とする
層、Ta2 5 を成膜材料とする層、等が例示される。
また、低屈折率層20としては、SiO2 を成膜材料と
する層、MgF2 を成膜材料とする層、CaF2 を成膜
材料とする層、等が例示される。同様に、反射防止膜を
構成する各層の厚さにも特に限定はなく、形成材料、層
構成、要求される光学特性等に応じて、適宜、決定すれ
ばよい。 【0027】このような、本発明の光学部品10におい
て、酸化硅素膜14および反射防止膜16の成膜は、前
述のように酸化硅素膜14の成膜を酸素の導入を伴う真
空蒸着で行う以外は、公知の各種の成膜方法で行えばよ
い。従って、生産性を考慮すれば、反射防止膜16の成
膜も通常の真空蒸着で行えばよい。また、成膜は、抵抗
加熱を利用しても、電子ビーム加熱を利用してもよい
が、酸化硅素膜14の成膜は、抵抗加熱を利用して、比
較的低速の成膜速度で、緩やかに行うのが好ましい。ま
た、加熱エネルギは、400A以下とするのが好まし
い。これにより、酸化硅素膜14に、より好適な柔軟性
を有する弾性を付与でき、さらに、比較的、厚膜である
酸化硅素膜14の成膜における基板の温度上昇も低減で
きる。 【0028】ところで、真空蒸着による成膜では、成膜
材料の特性等に起因して、成膜中に成膜材料が突沸す
る、いわゆるスプラッシュ等が生じる場合があり、これ
に起因して、膜の性状の悪化等が発生し、得率が低下す
る。このような不都合を防止するため、突沸し易い成膜
材料を利用する場合には、成膜に先立ち、ハース内の成
膜材料を一度溶融する、いわゆる溶かし込みが行われ
る。特に、高屈折率層18の成膜材料は、溶かし込みが
必要な場合が多い。通常、溶かし込みは、成膜に先立っ
て行われるが、本発明者らの検討によれば、成膜材料の
溶かし込みを行うと、基板12に材料が付着してしま
い、これが密着層すなわち酸化硅素膜14の密着性低下
の一因となっている。従って、本発明の光学部品10を
製造する際には、酸化硅素膜14を成膜した後に、成膜
材料の溶かし込みを行うのが好ましい。 【0029】以上、本発明の光学部品について詳細に説
明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の
要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行
ってもよいのは、もちろんである。 【0030】 【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。 【0031】[実施例]図3に模式的に示されるよう
な、市販されている真空蒸着装置50(以下、蒸着装置
50とする)に酸素導入手段を付加した装置を用いて、
図1に示される光学部品10を作成した。なお、この蒸
着装置50は、蒸発材料の加熱手段として、電子ビーム
による加熱を行う電子銃蒸発源28と、抵抗加熱による
加熱を行う抵抗加熱蒸発源30とを有する。 【0032】まず、蒸着装置50(真空チャンバ22)
内の回転ドーム24に、PMMA(三菱レイヨン社製、
VH001)製のレンズを基板12としてセットした。
なお、この回転ドーム24は、回転手段26によって所
定速度で回転される。次いで、酸化硅素膜14の成膜材
料として、SiOを抵抗加熱蒸発源30の所定位置(ハ
ース)にセットした。さらに、高屈折率層18の成膜材
料としてOH−5(ZrO2 とTiO2 の混合物 オプ
トロン社製)を、低屈折率層20の成膜材料としてSi
2 を、それぞれ、電子銃蒸発源28の所定位置(ハー
ス)にセットした。 【0033】真空チャンバ22(以下、チャンバ22と
する)を閉塞した後、排気を行い、チャンバ22内の圧
力が8×10-4Paとなった時点で、チャンバ内に酸素
を導入して圧力を0.05Paに調整し、次いで、シャ
ッタ32を開放して、抵抗加熱蒸発源30の抵抗加熱手
段を駆動して、SiOを充填したハースを加熱し、0.
05Paの成膜圧力で、厚さ約400nmの酸化硅素膜
14を成膜した。なお、抵抗加熱蒸発源30における抵
抗加熱手段は、6kWの抵抗加熱電極を有するものであ
り、350Aの電力を供給して、SiOを抵抗加熱し
て、成膜を行った。 【0034】酸化硅素膜14の成膜後、シャッタ32を
閉塞して、チャンバ22内の圧力が1×10-3Paとな
った時点で、電子銃蒸発源28において、250mAの
出力で電子銃を駆動して、OH−5を収容するハースに
電子ビームを照射、スキャニングして、OH−5の溶か
し込みを行った。溶かし込み終了後、溶かし込みによっ
て上昇したチャンバ22内の圧力が1×10-3Paとな
った時点で、シャッタ32を開放し、電子銃蒸発源28
において、電子銃の出力230mAでハース内のOH−
5に電子ビームを照射して、酸化硅素膜14の上に、厚
さ約20nmの高屈折率層18aを成膜した。なお、成
膜圧力は、8×10-3Paとした。 【0035】高屈折率層18の成膜終了後、成膜で上昇
したチャンバ22内の圧力が1×10-3Paとなった時
点で、電子銃蒸発源28において、ハースを切り換え、
電子銃の出力85mAでハース内のSiO2 に電子ビー
ムを照射して、高屈折率層18aの上に、厚さ約30n
mの低屈折率層20aを成膜した。なお、成膜圧力は、
1×10-3Paとした。 【0036】低屈折率層20aの成膜終了後、成膜で上
昇したチャンバ22内の圧力が1×10-3Paとなった
時点で、電子銃蒸発源28において、ハースを切り換
え、電子銃の出力230mAでハース内のOH−5に電
子ビームを照射して、低屈折率層20aの上に、厚さ約
100nmの高屈折率層18bを成膜した。なお、成膜
圧力は、8×10-3Paとした。 【0037】高屈折率層20の成膜終了後、成膜によっ
て上昇したチャンバ22内の圧力が1×10-3Paとな
った時点で、電子銃蒸発源28において、ハースを切り
換え、電子銃の出力85mAでハース内のSiO2 に電
子ビームを照射して、高屈折率層18bの上に、厚さ約
90nmの低屈折率層20bを成膜し、反射防止膜16
を有する本発明の光学部品10を作製した。なお、低屈
折率層20bの成膜圧力は、先と同様に、1×10-3
aとした。 【0038】酸化硅素膜14の成膜開始から反射防止膜
16(低屈折率層20b)の成膜終了まで、基板12の
温度は室温〜80℃の範囲であった。なお、酸素を導入
したのは、酸化硅素膜14の成膜時のみである。各膜厚
は、光学シュミレーションソフトウエアによる設計値を
用いて、希望の光学特性を得られるように設定したもの
である。また、各膜(層)の膜厚は、予め行った成膜の
シュミレーションに基づいて、成膜時間で制御した。 【0039】[比較例]酸化硅素膜14の成膜時に酸素
を導入しない以外は、前記実施例1と全く同様にして、
光学部品を作製した。なお、酸化硅素膜14の成膜圧力
は、1×10-3Paに制御した。 【0040】このようにして得られた実施例の光学部品
10、および、比較例の光学部品について、反射防止膜
16の密着性を検査した。なお、光学的な特性は、両者
共に十分なものであった。密着試験は、作製した1バッ
チ(600個)の光学部品から30個を無作為に選択
し、その表面にセロハンテープ(ニチバン社製 No.
405)を強く貼り、膜面に対して垂直方向にテープを
瞬時に引き剥がした際の膜剥離を、目視で確認すること
で行った。 【0041】全ての光学部品において膜剥離が全く認め
れられなかったサンプルを○、一部が膜剥離した光学部
品が1つでも発生したサンプルを△、ほぼ完全に膜剥離
した光学部品が1つでも発生したサンプルを×と評価し
た。なお、同じ試験を10回繰り返した後でも、全ての
光学部品で全く膜剥離が認められなかったサンプルは、
特に、◎と評価した。その結果、本発明の光学部品10
の評価は◎、比較例の光学部品の評価は×であった。し
かも、比較例の光学部品では、30個のサンプル全てに
おいて、膜が全面剥離した。以上の結果より、本発明の
効果は明らかである。 【0042】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、基板に、高屈折率層と低屈折率層とを交互に形
成してなる多層反射防止膜を形成した光学部品におい
て、多層反射防止膜の密着力が高く、従って、耐久性に
優れた光学部品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の光学部品の一例の概念図である。 【図2】 (A)および(B)は、本発明の光学部品を
説明するためのグラフである。 【図3】 真空蒸着装置の一例の概念図である。 【符号の説明】 10 光学部品 12 基板 14 酸化硅素膜 16 (多層)反射防止膜 18 高屈折率層 20 低屈折率層 22 (真空)チャンバ 24 回転ドーム 26 回転手段 28 電子銃蒸発源 30 抵抗加熱蒸発源 32 シャッタ 50 真空蒸着装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA03 AA07 BB14 CC03 DD03 4F100 AA20B AA21 AA27 AK25A AR00C AR00D BA04 BA07 BA08C BA08D BA26 EH66B EH662 GB51 JK07B JL00 JL11 JN06C JN06D JN18C JN18D YY00A 4K029 AA11 BA46 BB02 BC08 BD00 CA02 EA05

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】アクリル系樹脂材料製の基板と、この基板
    の表面に形成される酸化硅素膜と、この酸化硅素膜の上
    に形成される、低屈折率材料からなる層および高屈折率
    材料からなる層を、交互に少なくとも一層ずつ形成して
    なる多層反射防止膜とを有し、かつ、前記酸化硅素膜
    は、真空蒸着による成膜中に酸素を導入することによ
    り、所定の弾性を付与してなるものであることを特徴と
    する光学部品。
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