JP2003098310A - 光学部品 - Google Patents

光学部品

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JP2003098310A
JP2003098310A JP2001291271A JP2001291271A JP2003098310A JP 2003098310 A JP2003098310 A JP 2003098310A JP 2001291271 A JP2001291271 A JP 2001291271A JP 2001291271 A JP2001291271 A JP 2001291271A JP 2003098310 A JP2003098310 A JP 2003098310A
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Atsushi Fujinawa
淳 藤縄
Junji Nakada
純司 中田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プラスチックを基板とし、真空蒸着によって多
層反射防止膜などの複数の膜を形成してなる光学部品で
あって、膜の密着力が高く、良好な耐久性を有する光学
部品を提供する。 【解決手段】樹脂材料製の基板と、真空成膜によって形
成される複数の膜を有し、かつ、隣り合わせる膜の内部
応力の方向が、互いに異なることにより、前記課題を解
決する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ等の光学部
品の技術分野に属し、詳しくは、密着力の強い多層反射
防止膜等を有する、耐久性に優れる光学部品に関する。 【0002】 【従来の技術】レンズ等の光学部品の材料としては、従
来より、ガラスが利用されている。一方で、軽量で低コ
スト、さらには生産性に優れることから、近年では、ポ
リメチルメタアクリレート(PMMA)等からなる、プ
ラスチック製の光学部品も汎用されている。これらの光
学部品に広く要求される特性のひとつに、光反射防止性
が高いこと(低光反射性)があり、光学部品の表面に
は、(光)反射防止膜が形成される場合が多い。 【0003】光学部品の表面に形成される反射防止膜と
しては、フッ化マグネシウム(MgF2 )等の低屈折率
材料を用いて成膜される単層の膜が汎用されているが、
より光反射防止性が高い反射防止膜として、低屈折率材
料からなる層と高屈折率材料からなる層とを、交互に、
少なくとも一層ずつ形成してなる、多層反射防止膜(マ
ルチコート反射防止膜)が知られている。ところが、多
層反射防止膜を有するプラスチック製の光学部品は、基
板(すなわちプラスチック製の光学部品)と多層反射防
止膜との密着性が低く、すなわち、耐久性が不十分であ
るという問題点がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】多層反射防止膜は、一
般的に、真空蒸着等の気相成膜法で形成される。気相成
膜法では、基板加熱を行わなくても、基板の温度は上昇
し、基板が膨張する。特に、多層反射防止膜では、生産
性等を考慮して複数層の成膜を連続的に行い、かつ、高
屈折材料の成膜は高めのエネルギで行うのが通常である
ため、基板温度は高くなり、基板は、少なからず膨張す
る。従って、多層反射防止膜の成膜を終了した基板を大
気中に取り出すと、基板は急激に冷却されて、収縮す
る。 【0005】ところが、プラスチック製の基板、特に、
PMMAを代表とするアクリル系材料からなる基板と、
基板に成膜された多層反射防止膜とでは、熱膨張係数が
異なり、基板に成膜された多層反射防止膜の熱膨張係数
は、基板よりも小さい。そのため、成膜を終了して大気
中に取り出された際に、基板の収縮による変形に、多層
反射防止膜が追随することができず、多層反射防止膜が
ダメージを受け、かつ、大きな歪みを持ってしまう。そ
の結果、多層反射防止膜の密着力が低下し、しかも、密
着力は経時と共に、漸次、低下してしまい、これによ
り、多層反射防止膜を有する光学部品の耐久性が大幅に
低下してしまう。 【0006】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、軽量、低コスト、生産性等に優れ
たプラスチックを基板とし、真空蒸着によって多層反射
防止膜などの複数の膜を形成してなる光学部品であっ
て、膜の密着力が高く、良好な耐久性を有する光学部品
を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の光学部品は、樹脂材料製の基板と、真空成
膜によって形成される複数の膜を有し、かつ、隣り合わ
せる膜の内部応力の方向が、互いに異なることを特徴と
する光学部品を提供する。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の光学部品につい
て、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説
明する。 【0009】図1に、本発明の光学部品の一例の概念図
を示す。本発明の光学部品10は、基板となる光学部品
12(以下、基板12とする)と、この基板12の表面
に形成される酸化硅素膜14と、酸化硅素膜14の上に
形成される多層反射防止膜16(以下、反射防止膜16
とする)とから構成される。なお、図示例において、反
射防止膜16は、高屈折率材料からなる高屈折率層18
(18aおよび18b)と、低屈折率材料からなる低屈
折率層20(20aおよび20b)とを、交互に2層ず
つ積層してなる、4層構成を有する。 【0010】本発明において、基板12(すなわち、本
発明の光学部品10)には特に限定はなく、公知の光学
部品が、各種利用可能である。具体的には、各種のレン
ズ、各種のフィルタ、各種のスクリーン、高分子フィル
ム、基板等が例示される。また、基板12の形成材料に
も特に限定はなく、光学部品に利用されるプラスチック
(樹脂材料)が、全て利用可能である。具体的には、P
MMA(ポリメチルメタアクリレート)、PC(ポリカ
ーボネート)、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル,ポリ
スチレン等が好適に例示される。なお、高分子フィルム
は、上記材料以外にも、ポリエステルフィルム、ポリエ
ーテルイミドフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリ
エーテルサルフィンフィルム等も好適である。中でも、
後述する酸化硅素膜14による密着力の向上効果等の点
で、アクリル系材料、特に、PMMA製の基板12が好
適である。 【0011】図示例の光学部品10は、このような基板
12の上に密着層として作用する酸化硅素膜14を有
し、その上に、高屈折率層18a、低屈折率層20a、
高屈折率層18bおよび低屈折率層20bの4層からな
る反射防止膜16を有する。ここで、本発明にかかる光
学部品10においては、これらの各層(膜)は、互いに
隣合わせるもの同士で、異なる方向の応力を有する。図
示例においては、これを実現する一例として、酸化硅素
膜14はSiOを成膜材料とし、高屈折率層18はZr
2 とTiO2 の混合物(オプトロン社製 OH−5)
を成膜材料とし、さらに低屈折率層20はSiO2 を成
膜材料ととして、それぞれ真空蒸着によって成膜された
ものである。 【0012】前述のように、プラスチック製の基板、特
にPMMA等のアクリル系材料からなる基板に多層反射
防止膜を形成した際には、主として両者の熱膨張係数の
違いにより、成膜終了後に大気開放した際の冷却による
基板の大きな収縮/変形に、多層反射防止膜が追随する
ことができず、多層反射防止膜がダメージを受け、か
つ、歪みを持ってしまう。このような問題は、真空蒸着
による成膜を行うプラスチック製の光学部品では、不可
避的に生じるが、多層反射防止膜では、複数層の成膜を
連続で行うので、より顕著になる。その結果、膜の密着
力が低下し、かつ、この密着力は、経時と共にさらに低
下するため、特に、多層反射防止膜を有する光学部品
は、耐久性という点で要求される特性を満たしていな
い。 【0013】この問題点を解決するために、本発明者ら
は、鋭意検討を重ねた結果、反射防止膜の密着力を低下
させている原因の一つとして、各層が有する応力が相乗
して、密着力を低下させていることを見いだした。真空
蒸着のような気相成膜法で成膜された薄膜には、成膜に
よる材料の構造変化等に起因して、薄膜内部に応力を有
する(いわゆる、薄膜の内部応力)。この応力は、成膜
された基板を曲げる力となって生じるが、膜の中心が基
板から離れるように曲がる(基板を内側にして曲が
る)、いわゆる圧縮応力と、膜の端部が基板から離れる
方向に曲がる(基板を外側にして曲がる)、いわゆる引
っ張り応力との、異なる方向に力を発生する2種の応力
がある。 【0014】このような応力は、当然、膜が剥がれよう
とする力となり、密着力低下の一因となるが、多層反射
防止膜を有する光学部品において、各層の応力の方向が
一致してしまうと、膜が剥がれようとする方向が各層で
一致してしまうため、それぞれの相乗効果によって、密
着力が大幅に低下してしまい、その結果、多層反射防止
膜の密着力が弱い、耐久性の不十分な光学部品となって
しまう。これに対し、隣り合わせる層(膜)の応力の方
向が互いに異なる本発明の光学部品10では、隣り合わ
せる層同士で応力を相殺するので、基板に成膜される膜
全体で見れば、膜の応力をほぼ無くすことができ、膜の
応力に起因する反射防止膜16の密着力の低下を大幅に
低減して、耐久性に優れる光学部品10を得ることがで
きる。 【0015】このような膜の応力は、一例として、基板
に薄膜を成膜し、その反り量を測定することにより、下
記式で算出することができる。なお、下記式において、
k1は膜の単位膜厚当たりの応力[N/m2]、k2は基
板の厚さ[m]、k3は基板の長さ[m]、k4は基板
のヤング率[Pa]、k5は基板のポアゾン比、k6は
基板の反り量[m]、k7は膜の厚さ[m]である。 k1=[k4×(k2)2×k6]/[3×(1−k5)
×k7×(k3)2] このk1がプラスであれば引っ張り応力を有する膜であ
り、逆に、k1がマイナスであれば圧縮応力を有する膜
である。 【0016】図2に、基板としてポリイミド製のフィル
ムを用い、成膜材料として、OH−5、SiO2 および
MgF2 を用いて、真空蒸着で成膜した膜の応力を示
す。図2に示されるように、OH−5およびMgF2
成膜材料として成膜された膜は引っ張り応力を有し、S
iO2 を成膜材料として成膜された膜は圧縮応力を有す
る。また、後述する成膜中の酸素導入の有無に関わら
ず、SiOを成膜材料として真空蒸着で成膜された膜
も、圧縮応力を有する。従って、酸化硅素膜14の成膜
材料としてSiOを、反射防止膜16の高屈折率層18
の成膜材料としてOH−5を、低屈折率層20の成膜材
料としてSiO 2 を用いる、上記構成を有する図示例の
光学部品10は、各層の応力を好適に相殺して、これに
起因する反射防止膜16の密着力低下を大幅に低減し
た、耐久性に優れたものであることが分かる。 【0017】前述のように、図示例の光学部品10にお
いて、基板12の表面には、酸化硅素膜14が形成され
る。酸化硅素膜14は、好ましい態様として設けられ
る、基板12と反射防止膜16との密着力を向上するた
めの密着層として作用する膜で、前述のように、SiO
(一酸化硅素)を成膜材料とする真空蒸着で成膜される
膜である。また、図示例においては、好ましい態様とし
て、この酸化硅素膜14は、成膜中に、成膜系内に酸素
を導入することにより、膜に柔軟性を有する弾性を付与
してなるものである。なお、この点以外は、酸化硅素膜
14の成膜は、通常の真空蒸着と同様でよい。 【0018】SiOを成膜材料として真空蒸着で形成さ
れた酸化硅素膜14は、プラスチック、特に、PMMA
との密着性に優れる。また、この酸化硅素膜14は、成
膜中に、系内に酸素を導入することにより、膜をポーラ
ス(多孔性)にでき、酸素の導入量に応じて、柔軟性を
有する弾性を付与することができ、しかも、成膜中の酸
素導入により、応力(薄膜の内部応力)も低減すること
ができる。従って、このような酸化硅素膜14を有する
ことにより、真空蒸着による反射防止膜16の成膜にお
ける基板12の変形(膨張/収縮)を吸収して、この変
形による反射防止膜16のダメージおよび歪みを防ぎ、
これ起因する反射防止膜16の密着力の低下を防止し
て、耐久性に優れた光学部品10を実現できる。 【0019】光学部品10において、酸化硅素膜14の
膜厚には特に限定は無い。しかしながら、この膜厚が薄
過ぎると、基板12の変形を吸収する効果を十分に得る
ことができないため、目的とする反射防止膜16の密着
性向上効果を得ることができず、逆に厚過ぎると、光学
部品10の光学特性、生産性、基板温度上昇の増加によ
るダメージ等の点で、不利になる。従って、酸化硅素膜
14の厚さは、以上の点を考慮して、目的とする耐久
性、光学特性、生産性等に応じて、適宜決定すれがよい
が、本発明者らの検討によれば、100nm〜800n
m、特に、350nm〜600nmが好ましい。 【0020】光学部品10において、このような密着層
として作用する、圧縮応力を有する酸化硅素膜14の上
には、(多層)反射防止膜16が形成される。前述のよ
うに、反射防止膜16は、高屈折率材料であるOH−5
からなる高屈折率層18(18aおよび18b)と、低
屈折率材料であるSiO2 からなる低屈折率層20(2
0aおよび20b)とを、交互に2層ずつ積層してな
る、4層構成を有するもので、図2に示されるように、
高屈折率層18は引っ張り応力を有し、低屈折率層20
は圧縮応力を有する。従って、図示例の光学部品10
は、隣合わせる層の応力の方向が異なり、応力が互いに
相殺され、すなわち、膜の応力に起因する反射防止膜1
6の密着力低下の無い、耐久性に優れたものである。 【0021】なお、反射防止膜16は、これに限定はさ
れず、隣り合わせる層の応力の方向さえ異なっていれ
ば、高屈折率層18と低屈折率層20とを、交互に、少
なくとも1層ずつ形成してなる、公知の多層(マルチコ
ート)の反射防止膜が各種利用可能である。例えば、高
屈折率層18と低屈折率層20とを1層ずつ有する反射
防止膜であってもよく、3層以上ずつの高屈折率層18
と低屈折率層20を有する反射防止膜でもよい。 【0022】従って、高屈折率層18および低屈折率層
20の形成材料にも、限定はなく、各種の多層反射防止
膜に利用されるものが、全て利用可能である。例えば、
高屈折率層18としては、ZrO2 を成膜材料とする
層、TiO2 を成膜材料とする層、Y2 3 を成膜材料
とする層、CeO2 を成膜材料とする層、Ta2 5
成膜材料とする層、等が例示される。また、低屈折率層
20としては、MgF2を成膜材料とする層、CaF2
を成膜材料とする層、等が例示される。これらは、予
め、応力の方向、あるいはさらにその大きさを測定して
おき、隣合わせる層の応力の方向が異なり、より好まし
くは、互いの応力を好適に相殺できる応力を有するもの
を、適宜、選択すればよい。 【0023】また、反射防止膜16を構成する各層の厚
さにも特に限定はなく、形成材料、層構成、要求される
光学特性等に応じて、適宜、決定すればよい。なお、膜
の応力は、膜が厚くなれば大きくなる。従って、光学特
性を満足できるものであれば、各層(酸化硅素膜14も
含む)の膜厚は、互いの応力の相殺を考慮して設定して
もよい。 【0024】なお、本発明は、このような多層反射防止
膜を有する光学部品に限定はされず、プラスチック製の
基板で、かつ、複数の膜を有するものであれば、単層の
反射防止膜を有するものでもよく、また、反射防止膜を
有さなくてもよく、各種の構成の光学部品が利用可能で
あり、さらに、密着層も、必ずしも必要ではない。 【0025】本発明の光学部品10は、基本的に、通常
の真空蒸着で作製できる。すなわち、図示例の光学部品
10において、酸化硅素膜14および反射防止膜16の
成膜は、前述のように酸化硅素膜14の成膜を酸素の導
入を伴う真空蒸着で行う以外は、公知の真空蒸着で行え
ばよい。また、成膜は、抵抗加熱を利用しても、電子ビ
ーム加熱を利用してもよいが、酸化硅素膜14の成膜
は、抵抗加熱を利用して、比較的低速の成膜速度で、緩
やかに行うのが好ましい。また、この際の加熱エネルギ
は、400A以下とするのが好ましい。これにより、酸
化硅素膜14に、より好適な柔軟性を有する弾性を付与
でき、さらに、比較的、厚膜である酸化硅素膜14の成
膜における基板の温度上昇も低減できる。 【0026】ところで、真空蒸着による成膜では、成膜
材料の特性等に起因して、成膜中に成膜材料が突沸す
る、いわゆるスプラッシュ等が生じる場合があり、これ
に起因して、膜の性状の悪化等が発生し、得率が低下す
る。このような不都合を防止するため、突沸し易い成膜
材料を利用する場合には、成膜に先立ち、ハース内の成
膜材料を一度溶融する、いわゆる溶かし込みが行われ
る。特に、高屈折率層18の成膜材料は、溶かし込みが
必要な場合が多い。通常、溶かし込みは、成膜に先立っ
て行われるが、本発明者らの検討によれば、成膜材料の
溶かし込みを行うと、基板12に材料が付着してしま
い、これが密着層すなわち酸化硅素膜14の密着性低下
の一因となっている。従って、本発明の光学部品10を
製造する際には、酸化硅素膜14を成膜した後に、成膜
材料の溶かし込みを行うのが好ましい。 【0027】以上、本発明の光学部品について詳細に説
明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の
要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行
ってもよいのは、もちろんである。例えば、以上の例
は、成膜を真空蒸着で行っているが、本発明は、真空成
膜によって膜を形成する光学部品全てに利用可能であ
り、例えば、スパッタリングやCVD(Chemical Vapor
Deposition)で成膜を行って作成した光学部品であって
もよい。 【0028】 【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。 【0029】[実施例]図3に模式的に示されるよう
な、市販されている真空蒸着装置50(以下、蒸着装置
50とする)に酸素導入手段を付加した装置を用いて、
図1に示される光学部品10を作成した。なお、この蒸
着装置50は、蒸発材料の加熱手段として、電子ビーム
による加熱を行う電子銃蒸発源28と、抵抗加熱による
加熱を行う抵抗加熱蒸発源30とを有する。 【0030】まず、蒸着装置50(真空チャンバ22)
内の回転ドーム24に、PMMA(三菱レイヨン社製、
VH001)製のレンズを基板12としてセットした。
なお、この回転ドーム24は、回転手段26によって所
定速度で回転される。次いで、酸化硅素膜14の成膜材
料として、SiOを抵抗加熱蒸発源30の所定位置(ハ
ース)にセットした。さらに、高屈折率層18の成膜材
料としてOH−5(ZrO2 とTiO2 の混合物 オプ
トロン社製)を、低屈折率層20の成膜材料としてSi
2 を、それぞれ、電子銃蒸発源28の所定位置(ハー
ス)にセットした。 【0031】真空チャンバ22(以下、チャンバ22と
する)を閉塞した後、排気を行い、チャンバ22内の圧
力が8×10-4Paとなった時点で、チャンバ内に酸素
を導入して圧力を0.05Paに調整し、次いで、シャ
ッタ32を開放して、抵抗加熱蒸発源30の抵抗加熱手
段を駆動して、SiOを充填したハースを加熱し、0.
05Paの成膜圧力で、厚さ約400nmの酸化硅素膜
14を成膜した。なお、抵抗加熱蒸発源30における抵
抗加熱手段は、6kWの抵抗加熱電極を有するものであ
り、350Aの電力を供給して、SiOを抵抗加熱し
て、成膜を行った。 【0032】酸化硅素膜14の成膜後、シャッタ32を
閉塞して、チャンバ22内の圧力が1×10-3Paとな
った時点で、電子銃蒸発源28において、250mAの
出力で電子銃を駆動して、OH−5を収容するハースに
電子ビームを照射、スキャニングして、OH−5の溶か
し込みを行った。溶かし込み終了後、溶かし込みによっ
て上昇したチャンバ22内の圧力が1×10-3Paとな
った時点で、シャッタ32を開放し、電子銃蒸発源28
において、電子銃の出力230mAでハース内のOH−
5に電子ビームを照射して、酸化硅素膜14の上に、厚
さ約20nmの高屈折率層18aを成膜した。なお、成
膜圧力は、8×10-3Paとした。 【0033】高屈折率層18の成膜終了後、成膜で上昇
したチャンバ22内の圧力が1×10-3Paとなった時
点で、電子銃蒸発源28において、ハースを切り換え、
電子銃の出力85mAでハース内のSiO2 に電子ビー
ムを照射して、高屈折率層18aの上に、厚さ約30n
mの低屈折率層20aを成膜した。なお、成膜圧力は、
1×10-3Paとした。 【0034】低屈折率層20aの成膜終了後、成膜で上
昇したチャンバ22内の圧力が1×10-3Paとなった
時点で、電子銃蒸発源28において、ハースを切り換
え、電子銃の出力230mAでハース内のOH−5に電
子ビームを照射して、低屈折率層20aの上に、厚さ約
100nmの高屈折率層18bを成膜した。なお、成膜
圧力は、8×10-3Paとした。 【0035】高屈折率層20の成膜終了後、成膜によっ
て上昇したチャンバ22内の圧力が1×10-3Paとな
った時点で、電子銃蒸発源28において、ハースを切り
換え、電子銃の出力85mAでハース内のSiO2 に電
子ビームを照射して、高屈折率層18bの上に、厚さ約
90nmの低屈折率層20bを成膜し、反射防止膜16
を有する本発明の光学部品10を作製した。なお、低屈
折率層20bの成膜圧力は、先と同様に、1×10-3
aとした。 【0036】酸化硅素膜14の成膜開始から反射防止膜
16(低屈折率層20b)の成膜終了まで、基板12の
温度は室温〜80℃の範囲であった。なお、酸素を導入
したのは、酸化硅素膜14の成膜時のみである。各膜厚
は、光学シュミレーションソフトウエアによる設計値を
用いて、希望の光学特性を得られるように設定したもの
である。また、各膜(層)の膜厚は、予め行った成膜の
シュミレーションに基づいて、成膜時間で制御した。 【0037】[比較例]低屈折率層を形成する成膜材料
として、MgF2 を用いた以外は、全く同様にして光学
部品を作成した。なお、MgF2 の溶かし込みは、8×
10-4Paの真空度で電子銃の出力9mAの条件で行
い、MgF2 の成膜は、8×10-4Paの成膜圧力で電
子銃の出力5.5mAの条件で行った。低屈折率層の膜
厚は実施例と同じである。 【0038】このようにして得られた実施例の光学部品
10、および、比較例の光学部品について、反射防止膜
16の密着性を検査した。なお、光学的な特性は、両者
共に良好であった。密着試験は、作製した1バッチ(6
00個)の光学部品から30個を無作為に選択し、その
表面にセロハンテープ(ニチバン社製 No.405)
を強く貼り、膜面に対して垂直方向にテープを瞬時に引
き剥がした際の膜剥離を、目視で確認することで行っ
た。 【0039】全ての光学部品において膜剥離が全く認め
れられなかったサンプルを○、一部が膜剥離した光学部
品が1つでも発生したサンプルを△、ほぼ完全に膜剥離
した光学部品が1つでも発生したサンプルを×と評価し
た。なお、同じ試験を10回繰り返した後でも、全ての
光学部品で全く膜剥離が認められなかったサンプルは、
特に、◎と評価した。その結果、本発明の光学部品10
の評価は◎、比較例の光学部品の評価は×であった。し
かも、比較例の光学部品では、30個のサンプル全てに
おいて、膜が全面剥離した。以上の結果より、本発明の
効果は明らかである。 【0040】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、基板に、真空蒸着によって多層反射防止膜等を
形成した光学部品において、基板表面に形成される膜
(層)の密着力が高く、従って、耐久性に優れた光学部
品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の光学部品の一例の概念図である。 【図2】 各種の真空蒸着膜の応力を示すグラフであ
る。 【図3】 真空蒸着装置の一例の概念図である。 【符号の説明】 10 光学部品 12 基板 14 酸化硅素膜 16 (多層)反射防止膜 18 高屈折率層 20 低屈折率層 22 (真空)チャンバ 24 回転ドーム 26 回転手段 28 電子銃蒸発源 30 抵抗加熱蒸発源 32 シャッタ 50 真空蒸着装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA07 AA15 BB13 BB14 BB24 CC03 CC06 CC42 DD03 EE00 4K029 AA11 AA21 BA46 BA50 BB02 BC00 BC07 BD00 CA01 DB14

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】樹脂材料製の基板と、真空成膜によって形
    成される複数の膜を有し、 かつ、隣り合わせる膜の内部応力の方向が、互いに異な
    ることを特徴とする光学部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007505369A (ja) * 2003-05-23 2007-03-08 オプティマ インコーポレイテッド 超低残留反射及び低応力レンズコーティング

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