JP2003097686A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP2003097686A JP2001297933A JP2001297933A JP2003097686A JP 2003097686 A JP2003097686 A JP 2003097686A JP 2001297933 A JP2001297933 A JP 2001297933A JP 2001297933 A JP2001297933 A JP 2001297933A JP 2003097686 A JP2003097686 A JP 2003097686A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体伝動装置の出力側回転数を係合開始時の
出力側回転数から目標出力側回転数まで目標時間で漸減
させる出力油圧をエンジンの出力トルクと無関係に所定
時間間隔で算出して油圧サーボ装置に出力させる。 【解決手段】 回転変化待機制御の開始条件が成立する
と、クラッチが引きずり状態からすべり状態に移行直後
の係合トルクをクラッチに生じさせる待機制御油圧を油
圧サーボ装置に出力させ、出力側回転数が所定値減少し
てクラッチが係合を開始した時点の出力側回転数を係合
開始時出力側回転数として記憶し、出力側回転数を係合
開始時出力側回転数から目標出力側回転数まで制御目標
時間で漸減させるために必要なクラッチの係合必要トル
クを求め、クラッチが係合必要トルクを生ずるために油
圧サーボ装置が発生すべき必要油圧を所定時間間隔で算
出し、該必要油圧を油圧サーボ装置に出力させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機の制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動変速機においては、エンジンの出力
回転をトルクコンバータなどの流体伝動装置を介して変
速装置に伝達し、走行レンジが選択されたときに係合さ
れるクラッチを係脱することによりニュートラルレンジ
(以下、Nレンジという。)と走行レンジ(以下、Dレ
ンジという。)とのレンジ切替えが行なわれている。そ
して、エンジンを始動してNレンジからDレンジに切り
換えたとき、又は信号等で停車したときなど、走行レン
ジが選択された状態で車両が停止しているときは、燃費
を向上させるとともに車両に振動が発生するのを防止す
るために、前記クラッチを解放させる所謂ニュートラル
制御が行われている。
【0003】従来、ニュートラル制御からクラッチの係
合を行なう場合、エンジン回転数又はスロットルペダル
開度に応じた油圧を油圧サーボ装置に発生させてクラッ
チの油圧駆動部に供給し、クラッチの係合に伴って係合
ショックが発生することを防止していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】エンジンのスロットル
開度における出力トルクに応じてサーボ装置に発生させ
る出力油圧を決めていたので、スロットル開度と出力ト
ルクとの関係が異なる他機種に展開する場合、機種毎に
出力油圧を設定する必要があり、設定時間を要しコスト
高となる不具合があった。また、Nレンジにてスロット
ルペダルを踏んでエンジン回転数を高くした状態(Nレ
ーシング)からスロットル開度を0状態にしてクラッチ
の係合制御を行なうと、エンジン回転数が高いので、出
力トルクが低いアイドル状態であるにも拘わらず、油圧
サーボ装置が高い油圧を発生し、クラッチの係合トルク
が大きくなり過ぎる不具合があった。
【0005】本発明は、係る従来の不具合を解消するた
めになされたもので、流体伝動装置の出力側回転数を係
合開始時の出力側回転数から目標出力側回転数まで目標
時間で漸減させる出力油圧をエンジンの出力トルクと無
関係に所定時間間隔で算出して油圧サーボ装置に出力さ
せることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、エンジンの
回転を変速装置に伝達する流体伝動装置と、走行レンジ
が選択されたときに係合され停車状態で開放されるクラ
ッチと、出力油圧を給排して前記クラッチを係脱させる
油圧サーボ装置と、前記流体伝動装置の入力側回転数を
検出する入力側回転数検出装置と、前記流体伝動装置の
出力側回転数を検出する出力側回転数検出装置とを備え
た自動変速機の制御装置において、該制御装置は、回転
変化待機制御の開始条件が成立すると、前記クラッチが
引きずり状態からすべり状態に移行直後の係合トルクを
前記クラッチに発生させる待機制御油圧を前記油圧サー
ボ装置に出力させ、前記クラッチが係合を開始して前記
出力側回転数が所定値減少したことを前記出力側回転数
検出装置が検出した係合開始時点の出力側回転数を係合
開始時出力側回転数として記憶し、前記出力側回転数を
係合開始時出力側回転数から目標出力側回転数までFF制
御目標時間で漸減させるために必要な前記クラッチの係
合必要トルクを求め、該係合必要トルクを生ずるために
前記油圧サーボ装置が発生すべき必要油圧を所定時間間
隔で算出し、該必要油圧をFF制御油圧として前記油圧サ
ーボ装置に出力させることである。
【0007】請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請
求項1に記載の自動変速機の制御装置にして、該制御装
置は、前記出力側回転数を前記係合開始時出力側回転数
から前記目標出力側回転数まで前記FF制御目標時間に遅
れ時間を加算したFB制御目標時間で漸減させるためのFB
制御目標出力側回転数を所定時間間隔で算出し、該FB制
御目標出力側回転数と現時点での出力側回転数との差に
係数を乗じてFB制御油圧を算出し、前記FF制御油圧にFB
制御油圧を加算した和と、前記FF制御油圧との中の大き
い方を出力油圧として前記油圧サーボ装置に前記所定時
間間隔で出力させることである。
【0008】請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請
求項2に記載の自動変速機の制御装置にして、該制御装
置は、現時点での入力側回転数に対する前記流体伝動装
置のストールトルクに基づいて総ガード油圧を算出し、
係合開始時点から現時点までの経過時間と最大目標時間
との比を前記総ガード油圧に乗じたガード油圧を所定時
間間隔で算出し、該ガード油圧と、前記FF制御油圧にFB
制御油圧を加算した和と、前記FF制御油圧との中で最大
のものを出力油圧として前記油圧サーボ装置に前記所定
時間間隔で出力させることである。
【0009】請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請
求項1乃至3のいずれかに記載の自動変速機の制御装置
にして、該制御装置は、前記係合開始時の入力側回転数
と係合開始時点から現時点までの間に入力側回転数検出
装置により検出された最低入力側回転数との中の小さい
方を基礎入力側回転数として記憶し、現時点での入力側
回転数と基礎入力側回転数との差がプラスになるエンジ
ン吹き状態では差が大きいほど高い1以上の安全率を設
定し、前記必要油圧に該安全率を乗じたFF制御油圧を前
記油圧サーボ装置に出力させることである。
【0010】請求項5に係る発明の構成上の特徴は、エ
ンジンの回転を変速装置に伝達する流体伝動装置と、走
行レンジが選択されたときに係合され停車状態で開放さ
れるクラッチと、出力油圧を給排して前記クラッチを係
脱させる油圧サーボ装置と、前記流体伝動装置の入力側
回転数を検出する入力側回転数検出装置と、前記流体伝
動装置の出力側回転数を検出する出力側回転数検出装置
とを備えた自動変速機の制御装置において、該制御装置
は、回転変化待機制御開始条件が成立した時点の出力側
回転数を開始時出力側回転数として記憶し、前記出力側
回転数を開始時出力側回転数から係合検出出力側回転数
まで減少させるために必要な前記クラッチの係合必要ト
ルクを求め、前記クラッチが該係合必要トルクを生ずる
ために前記油圧サーボ装置が発生すべき必要油圧を算出
し、該必要油圧を係合検出油圧として前記油圧サーボ装
置に所定時間間隔で出力させることである。
【0011】請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請
求項5記載の自動変速機の制御装置にして、該制御装置
は、前記開始時入力側回転数と、回転変化待機制御開始
条件が成立した時点から現時点までの間に入力側回転数
検出装置により検出された最低入力側回転数との中の小
さい方を基礎入力側回転数として記憶し、現時点での入
力側回転数と基礎入力側回転数との差がプラスになるエ
ンジン吹き状態では該差が大きいほど高い1以上の安全
率を設定し、前記必要油圧に該安全率を乗じた係合検出
油圧を前記油圧サーボ装置に出力させることである。
【0012】
【発明の作用・効果】上記のように構成した請求項1に
係る発明においては、回転変化待機制御の開始条件が成
立すると、クラッチが引きずり状態からすべり状態に移
行直後の係合トルクをクラッチに生じさせる待機制御油
圧を油圧サーボ装置に出力させ、流体伝動装置の出力側
回転数が所定値減少してクラッチが係合を開始した時点
の出力側回転数を係合開始時出力側回転数として記憶
し、出力側回転数を係合開始時出力側回転数から目標出
力側回転数までFF制御目標時間で漸減させるために必要
なクラッチの係合必要トルクを求め、クラッチが係合必
要トルクを生ずるために油圧サーボ装置が発生すべき油
圧を所定時間間隔で算出し、該必要油圧をFF制御油圧と
して油圧サーボ装置に出力させるようにしたので、油圧
サーボ装置に発生させる油圧をエンジンの出力トルクと
無関係に設定することができ、出力側回転数が目標時間
で目標出力側回転数まで漸減するようにサーボ装置に出
力油圧を発生させるだけでクラッチをスムーズに係合さ
せることができ、スロットル開度と出力トルクとの関係
が異なる多機種エンジンに対しても容易に展開すること
ができる。
【0013】上記のように構成した請求項2に係る発明
においては、クラッチが係合を開始した時点の係合開始
時出力側回転数から目標出力側回転数まで流体伝動装置
の出力側回転数をFF制御目標時間に遅れ時間を加算した
FB制御目標時間で漸減させるためのFB制御目標出力側回
転数を所定時間間隔で算出し、該FB制御目標出力側回転
数と現時点での出力側回転数との差に係数を乗じてFB制
御油圧を算出し、FF制御油圧にFB制御油圧を加算した和
と、FF制御油圧との中の大きい方を出力油圧として油圧
サーボ装置に所定時間間隔で出力させるようにしたの
で、請求項1に記載の効果に加え、出力側回転数が目標
出力側回転数まで目標時間で漸減するように応答性よく
制御することができ、クラッチをスムーズに係合させる
ことができる。
【0014】上記のように構成した請求項3に係る発明
においては、現時点での入力側回転数に対する流体伝動
装置のストールトルクに基づいて総ガード油圧を算出
し、係合開始時点から現時点までの経過時間と最大目標
時間との比を総ガード油圧に乗じたガード油圧を所定時
間間隔で算出し、該ガード油圧と、FF制御油圧にFB制御
油圧を加算した和と、FF制御油圧との中で最大のものを
出力油圧として油圧サーボ装置に所定時間間隔で出力さ
せるようにしたので、請求項1又は2に記載の発明の効
果に加え、最大目標時間までに漸次発生される流体伝動
装置のストールトルクに相当する係合トルクの現時点ま
での増加分をクラッチに発生させることができ、クラッ
チを確実にスムーズに係合させることができる。
【0015】上記のように構成した請求項4に係る発明
においては、クラッチが係合を開始した時点の流体伝動
装置の入力側回転数と係合開始時点から現時点までの間
に入力側回転数検出装置により検出された最低入力側回
転数との中の小さい方を基礎入力側回転数として記憶
し、現時点での入力側回転数と基礎入力側回転数との差
がプラスになるエンジン吹き状態では、この差が大きい
ほど高い1以上の安全率を設定し、算出された油圧サー
ボ装置の必要油圧に該安全率を乗じたFF制御油圧を前記
油圧サーボ装置に出力させるようにしたので、エンジン
が現実に吹けているときのみクラッチの係合力を高めて
流体伝動装置の出力側回転数を目標出力側回転数に制御
することができる。
【0016】上記のように構成した請求項5に係る発明
においては、回転変化待機制御開始条件が成立した時点
の流体伝動装置の出力側回転数を開始時出力側回転数と
して記憶し、出力側回転数を開始時出力側回転数から係
合検出出力側回転数まで減少させるために必要なクラッ
チの係合必要トルクを求め、クラッチが該係合必要トル
クを生ずるために油圧サーボ装置が発生すべき必要油圧
を算出し、該必要油圧を係合検出油圧として油圧サーボ
装置に所定時間間隔で出力させるようにしたので、油圧
サーボ装置に発生させる油圧をエンジンの出力トルクと
無関係に設定することができ、出力側回転数が係合検出
出力側回転数まで減少するようにサーボ装置に出力油圧
を発生させるだけで、クラッチの係合開始を確実に検出
することができ、スロットル開度と出力トルクとの関係
が異なる多機種エンジンに対しても容易に展開すること
ができる。
【0017】上記のように構成した請求項6に係る発明
においては、回転変化待機制御の開始条件成立時の流体
伝動装置の入力側回転数と条件成立時点から現時点まで
の間に入力側回転数検出装置により検出された最低入力
側回転数との中の小さい方を基礎入力側回転数として記
憶し、現時点での入力側回転数と基礎入力側回転数との
差がプラスになるエンジン吹き状態では、この差が大き
いほど高い1以上の安全率を設定し、算出された油圧サ
ーボ装置の必要油圧に該安全率を乗じた係合検出油圧を
前記油圧サーボ装置に出力させるようにしたので、エン
ジンが現実に吹けているときのみクラッチの係合力を高
めて出力側回転数を係合検出出力側回転数まで減少さる
ことができる。
【0018】
【実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施形態
を説明する。図1は本発明に係る自動変速機の制御装置
により制御される自動変速機10の一例を示すスケルト
ン図で、自動変速機10は、図略のエンジンがエンジン
回転側に連結される流体伝動装置としてのトルクコンバ
ータ11及びトルクコンバータ11の回転が入力回転側
に伝達される前進6速、後進1速の変速機構12から構
成されている。トルクコンバータ11は、ポンプインペ
ラ13、タービンランナ14、ステータ15、ステータ
15を変速機構12のケース16に一方向の回転のみ許
容して支承するワンウェイクラッチ17、ワンウェイク
ラッチのインナレースをケース16に固定するステータ
シャフト18を備えている。19はポンプインペラ13
とタービンランナ14とを直結するロックアップクラッ
チである。
【0019】変速機構12の主要部である変速プラネタ
リギヤGは、ダブルピニオン型で、大径及び小径サンギ
ヤS2,S3、大径サンギヤS2に直接噛合するととも
に小径サンギヤS3にピニオンP3を介して噛合するロ
ングピニオンP2、ロングピニオンP2及びピニオンP
3を支持するキャリヤC2(C3)及びロングピニオン
P2と噛合するリングギヤR2(R3)から構成されて
いる。大径サンギヤS2は第1ブレーキB-1に連結さ
れ、キャリヤC2(C3)は第2クラッチC-2を介して
入力軸20に連結されるとともに、ケース16に支持さ
れたワンウェイクラッチF−1及びブレーキB-2に並列
に連結されている。
【0020】変速機構12の減速プラネタリギヤG1
は、シングルピニオン型で、入力要素としてのリングギ
ヤR1が入力軸20に連結され、出力要素としてのキャ
リヤC1が第1クラッチC-1を介して小径サンギヤS3
に連結されるとともに、第3クラッチC-3を介して大径
サンギヤS2に連結され、サンギヤS1がケース16に
固定されて反力を受けるようになっている。
【0021】自動変速機10の各クラッチ、ブレーキ及
びワンウェイクラッチの係合、解放と各変速段との関係
は図2の係合表に示すようになる。係合表における○印
は係合、無印は解放、△印はエンジンブレーキ時のみの
係合を示す。図3は各クラッチ、ブレーキ及びワンウエ
ェイクラッチの係合により達成される変速段と、そのと
きのプラネタリギヤG,G1の各要素の回転数比との関
係を示す速度線図である。
【0022】図2,3から明らかなように、第1速(1
st)は、クラッチ(C-1)の係合とワンウェイクラッ
チF−1の自動係合により達成される。入力軸20の回
転が減速プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤ
C1の回転がクラッチC-1により変速プラネタリギヤG
の小径サンギヤS3に入力され、ワンウェイクラッチF
−1により逆転を阻止されたキャリヤC2(C3)が反
力を受け、リングギヤR2(R3)が最大減速比で減速
回転されて出力軸21に出力する。
【0023】第2速(2nd)は、クラッチC-1とブレ
ーキB-1の係合により達成される。入力軸20の回転が
減速プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤC1
の回転がクラッチC-1経由で変速プラネタリギヤGの小
径サンギヤS3に入力され、ブレーキB-1の係合により
回転を阻止された大径サンギヤS2が反力を受け、リン
グギヤR2(R3)が第2速に減速回転されて出力軸2
1に出力する。このときの減速比は、図3に示すよう
に、第1速(1st)より小さくなる。
【0024】第3速(3rd)は、クラッチC-1とクラ
ッチC-3との係合により達成される。入力軸20の回転
が減速プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤC
1の回転がクラッチC-1及びC-3により小径サンギヤS3
と大径サンギヤS2に同時に入力されて変速プラネタリ
ギヤGが直結状態となり、リングギヤR2(R3)がキ
ャリヤC1と同一回転数で回転されて出力軸21に出力
する。
【0025】第4速(4th)は、クラッチC-1とクラ
ッチC-2との係合により達成される。入力軸20の回転
がクラッチC-2により変速プラネタリギヤGのキャリヤ
C2(C3)に直接入力され、入力軸20の回転が減速
プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤC1の回
転がクラッチC-1により変速プラネタリギヤGのサンギ
ヤS3に入力され、リングギヤR2(R3)が入力軸2
0とキャリヤC1との中間の回転数に減速されて出力軸
21に出力する。
【0026】第5速(5th)は、クラッチC-2とクラ
ッチC-3との係合により達成される。入力軸20の回転
がクラッチC-2により変速プラネタリギヤGのキャリヤ
C2(C3)に直接入力され、入力軸20の回転が減速
プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤC1の回
転が変速プラネタリギヤGのクラッチC-3によりサンギ
ヤS2に入力され、リングギヤR2(R3)が第5速に
増速回転されて出力軸21に出力する。
【0027】第6速(6th)は、クラッチC-2とブレ
ーキB-1との係合により達成される。入力軸20の回転
がクラッチC-2により変速プラネタリギヤGのキャリヤ
C2(C3)に直接入力され、ブレーキB-1の係合によ
り回転を阻止されたサンギヤS2が反力を受け、リング
ギヤR2(R3)が第6速に増速回転されて出力軸21
に出力する。
【0028】後進(R)は、クラッチC-3とブレーキB-2
との係合により達成される。入力軸20の回転が減速プ
ラネタリG1により減速されたキャリヤC1の回転がク
ラッチC-3経由で変速プラネタリギヤGのサンギヤS2
に入力され、ブレーキB-2の係合により回転を阻止され
たキャリヤC2(C3)が反力を受け、リングギヤR2
(R3)が逆転されて出力軸21に出力する。
【0029】上記自動変速機10においては、クラッチ
C-1が、走行レンジが選択されたとき係合されてエンジ
ンに連結された流体伝動装置であるトルクコンバータ1
1の回転を出力軸21を介して駆動輪に伝達するクラッ
チであり、走行レンジが選択された状態で車両が停止し
て出力軸21の回転が阻止された場合、ニュートラル制
御を行なうために解放されるようになっている。走行レ
ンジが選択された状態でブレーキの制動力により車両が
停止して第1速が成立され、ニュートラル制御されてク
ラッチC-1が解放された状態になると第1速から第2速
が選択されるため発進時にブレーキが離された場合、登
り坂で車両に後退方向の力が作用してもブレーキB1が
出力軸21の逆転を阻止するので、車両は後退すること
がなく、クラッチC-1が係合し始めて駆動力を伝達する
と車両は円滑に発進する。なお、エンジンブレーキが必
要な時にはブレーキB-2が係合され、キャリヤC2(C
3)が正回転を阻止されて、出力軸21からの回転がサ
ンギヤS3、クラッチC-1、減速プラネタリG1、トル
クコンバータ11を経由してエンジンに伝達され、エン
ジンブレーキがかかる。
【0030】次に、クラッチC-1の油圧駆動部に給排さ
れる出力油圧を出力する油圧サーボ装置26を図4に基
づいて説明する。25は運転者がシフトレバーを操作し
てニュートラルN、走行レンジD、後進レンジRに手動
で切り替えるマニュアルバルブで、ポートPLにオイル
ポンプからのライン圧が供給されている。マニュアルバ
ルブ25が走行レンジにシフトされたときポートPLと
連通されるポートDには、クラッチC-1の油圧駆動部に
供給される出力油圧を出力する油圧サーボ装置26の増
幅弁27の入力ポート28及び切替弁29のライン圧ポ
ート30が夫々接続されている。31はオイルポンプか
らのライン圧が減圧弁を介して供給されるソレノイドモ
ジュレータバルブで、所定圧に制御した出力油圧を油圧
サーボ装置26のリニアソレノイド調圧弁32の入力ポ
ート33及び切替弁29のポート34に供給する。リニ
アソレノイド調圧弁32は、リニアソレノイド35が後
述する制御装置から供給される制御信号である制御電流
に応じて作動して弁体36を圧縮バネ37のバネ力とバ
ランスするまで移動し、入力ポート33から流入する所
定圧に制御された油圧を絞って制御装置からの制御電流
の増大につれて減少する制御油圧を出力ポート38に生
成する。リニアソレノイド調圧弁32の出力ポート38
は、増幅弁27の制御ポート39に接続されるととも
に、切替弁29の切替ポート40に接続されている。増
幅弁27は、弁体40が制御ポート39から供給されて
弁体40の大径端面に作用するリニアソレノイド調圧弁
32の制御油圧による軸力が弁体40の小径端面に作用
する圧縮バネ41のバネ力とフィードバック油圧による
軸力とが釣り合う位置に移動され、入力ポート28に供
給されたライン圧を制御電流の増大につれて減少するリ
ニアソレノイド調圧弁32の制御油圧によって出力油圧
Pcを出力し、出力ポート42から切替弁29の入力ポー
ト43に供給する。切替弁29は、弁体45が図示右半
分位置にシフトされると、入力ポート43を出力ポート
44に連通し、増幅弁27からの出力油圧Pcをクラッチ
C-1の油圧駆動部に供給し、弁体45が図示左半分位置
にシフトされると、ライン圧ポート30を出力ポート4
4に連通し、マニュアルバルブ25のポートDからのラ
イン圧をクラッチC-1の油圧駆動部に供給し、クラッチC
-1をライン圧によって係合状態に維持する。
【0031】自動変速機の制御装置を図5に示すブロッ
ク図に基づいて説明する。CPUを内蔵した制御装置50
は、エンジンの回転が伝達されるトルクコンバータ11
の入力側回転数Neを検出する入力側回転数センサ51、
クラッチC-1の入力側となるトルクコンバータ11の出
力側回転数Niを検出する出力側回転数センサ52、アク
セルの踏み込み量Ssを検出するスロットル開度センサ5
3、ブレーキの踏み込み有無信号Bsを送出するフットブ
レーキセンサ54、出力軸20の回転数Nvを検出する
車速センサ55、マニュアルバルブ25が走行レンジD
にシフトされているか否かを示す信号Drを送出するレン
ジ位置センサ56及びブレーキ油圧Bpを検出するブレー
キ油圧センサ57から各検出信号が入力され、これら検
出信号に基づいて制御プログラムを実行し、制御信号で
ある制御電流を油圧サーボ装置26のリニアソレノイド
調圧弁32に出力するようになっている。
【0032】次に、本発明に係る自動変速機の制御装置
の作動を図6に示すガレージ制御プログラムのフロー図
に基づいて説明する。フートブレーキを踏んで、自動変
速機10のマニュアルバルブ25をNレンジにシフト
し、エンジンを始動する。次に、マニュアルバルブ25
がNレンジからDレンジに切り替えられると制御装置5
0は、タイマをスタートさせ(ステップ61)、図7の
タイムチャートに示すように、サーボ装置26にクラッ
チC-1を係合状態に維持する係合油圧Pl(ライン圧力)
を発生させてクラッチC-1の油圧駆動部に供給した後
に、サーボ装置26の出力油圧PcをクラッチC-1のピス
トンの無効ストロークをつめるファーストフィル制御を
行ない(ステップ62)、タイマが所定時間ts経過した
か否かチェックする(ステップ63)。所定時間tsが経
過して回転変化待機制御開始条件が成立すると、その時
点の入力側回転数Ne及び出力側回転数Niが数値制御50
のメモリに開始時入力側回転数Nes、開始時出力側回転
数Nisとして記憶され(ステップ64)、回転変化待機
制御が行われる(ステップ65)。
【0033】回転変化待機制御65は、図8に示すよう
に、開始時入力側回転数Nesと、回転変化待機制御開始
条件が成立した時点から現時点までの間に入力側回転数
検出装置51により検出された最低入力側回転数Nelと
の中の小さい方を基礎入力側回転数Nebとして、式Neb=M
in(Nes,Nel)から求めてメモリに記憶し、現在の入力側
回転数Neと基礎入力側回転数との差dNeを、式dNe=Ne−
Nebから求める(ステップ651)。エンジンが吹き状
態のとき差dNeはプラスとなる。
【0034】出力側回転数Niを開始時出力側回転数Nis
から係合検出出力側回転数Nidまで減少させるために油
圧サーボ装置26が発生すべき基本待機油圧Pa、係合検
出油圧Pbが算出される(ステップ652,653)。基
本待機油圧Paは、クラッチC-1のピストンストローク圧
に学習値を加算した油圧Pabと補正油圧Pasとの和、Pa=P
ab+Pasである(ステップ652)。油圧Pabは、式Pab=
Ts/X+Y+αから算出される。ここにおいて、Xはク
ラッチC-1の油圧駆動部のピストンの面積にクラッチ板
の有効半径、枚数及び摩擦係数の積を掛けた積であり、
Yはクラッチ板が接触してクラッチC-1がスリップを開
始する位置までピストンを移動させるために必要なスト
ローク圧であり、αは学習値である。補正油圧Pasは、
入力側回転数Neが高くなるほどクラッチC-1はすべり易
いので、図9のマップに示すように、入力側回転数Neが
高くなるほど高くチューニングにより設定されている。
【0035】出力側回転数Niを開始時出力側回転数Nis
から係合検出出力側回転数Nidまで減少させるためにク
ラッチC-1が発生しなければならない係合必要トルクT
c、該係合必要トルクTcをクラッチC-1が発生するために
サーボ装置26が発生しなければならない必要油圧Pbn
が求められる(ステップ653)。クラッチC-1が係合
を開始した時点の車速を想定して変速機構12の出力軸
21の回転数Nvを仮定し、そのときの出力側回転数が該
出力軸21の回転数Nvに車両の発進時に選択される変速
機構12の第1速の減速比rgを乗じて求められる。そし
て、係合開始時の出力側回転数の目標回転数として係合
検出出力側回転数Nidが、式Nid=Nis−(Nis−Nv×rg)
×Ccから算出される。ここにおいて、Ccは調整するため
の係数である。出力側回転数Niが係合検出出力側回転数
Nidであるときのトルクコンバータ11の伝達トルクが
係合必要トルクTcとして求められる。係合開始時の速度
比rが、r=係合検出出力側回転数Nid/現時点の入力
側回転数Neにより算出され、この速度比rに対するトル
クコンバータ11のトルク比t及び容量係数Cが、速度
比rに対するトルク比tと容量係数Cの関係を示す図1
0のマップから求められる。係合必要トルクTcは、トル
ク比tと、容量係数Cと、入力側回転数Neの2乗との
積、Tc=C×t×Ne2となる。クラッチC-1が係合必要ト
ルクTcを生ずるために油圧サーボ装置26に発生させる
べき必要油圧Pbnが、前述の油圧Pabを算出した式と同様
の式Pbn=Tc/X+Yから算出される。現時点での入力
側回転数Neと基礎入力側回転数Nebとの差がプラスにな
るエンジン吹き状態では、この差が大きいほど高い1以
上の安全率を設定した図11に示すマップから現時点で
の差に応じた安全率jが求められ、この安全率jを必要
油圧Pbnに乗じた係合検出油圧Pbが所定時間間隔で算出
される。
【0036】基本待機油圧Paと、係合検出油圧Pbとの中
の大きい方が出力油圧Pcとして、式Pc=Max(Pa,Pb)
で求められ(ステップ654)、制御装置50は、出力
油圧Pcに対応する制御電流を油圧サーボ装置50のリニ
アソレノイド35に供給し、制御電流に応じた制御油圧
がリニアソレノイド調圧弁32の出力ポート38に生成
され、増幅弁27は制御油圧に応じた出力油圧Pcを切替
弁29に所定時間間隔で出力する。
【0037】基本待機油圧Pa又は係合検出油圧Pbが油圧
駆動部に供給されてクラッチC-1が係合トルクを発生
し、出力側回転数Niが所定値dNiだけ減少してクラッチC
-1が係合を開始したと判断されると(ステップ66)、
制御装置50は、係合開始時点からの経過時間tABを計
時するタイマをスタートし、係合開始時点の油圧サーボ
装置26の出力油圧Pc、入力側回転数Ne、出力側回転数
Niを、係合開始時油圧Pcs、係合開始時入力側回転数Ne
c、係合開始時出力側回転数Nicとしてメモリに記憶し
(ステップ67)、スイープAB制御を行う(ステップ6
8)。
【0038】スイープAB制御68は、図12に示すよう
に、係合開始時入力側回転数Necと、係合開始時から現
時点までの間に入力側回転数検出センサ51により検出
された最低入力側回転数Nemとの中の小さい方を基礎入
力側回転数Nefとして、式Nef=Min(Nec,Nem)から求め
てメモリに記憶し、現時点の入力側回転数Neと基礎入力
側回転数Nefとの差dNeを、式dNe=Ne−Nefから求める
(ステップ681)。前述と同様にエンジンが吹き状態
のとき差dNeはプラスとなる。
【0039】油圧サーボ装置26の出力油圧Pcを係合開
始時の係合開始時油圧Pcsから所定勾配で増加させる基
本スイープ油圧Pa1が、式Pa1=Pcs+ΣdPsから求められ
る(ステップ682)。dPsは所定時間間隔毎の出力油
圧Pcの増分である。
【0040】出力側回転数Niを係合開始時出力側回転数
Nicから目標出力側回転数NitまでFF制御目標時間ttfで
漸減させるためにクラッチC-1が発生しなければならな
いFF制御トルクTcf、該FF制御トルクTcfをクラッチC-1
に生ずるためにサーボ装置26が発生しなければならな
いFF制御油圧Pa21が所定時間間隔で求められる。係合開
始時からFF制御目標時間ttfが経過した時の車速を想定
し、その車速における変速機構12の出力軸21の回転
数Nfを仮定し、そのときの出力側回転数が目標出力側回
転数Nitとして該出力軸21の回転数Nfに車両の発進時
に選択される変速機構12の第1速の減速比rgを乗じて
もとめられる。そして、出力側回転数Niを係合開始時出
力側回転数Nicから目標出力側回転数NitまでFF制御目標
時間ttfで直線的に漸減させるとして所定時間間隔毎のF
F制御目標出力側回転数Nifが、式Nif=Nic−(Nic−Nf
×rg)×tAB/ttfから算出される。出力側回転数NiがFF
制御目標出力側回転数Nifであるときのトルクコンバー
タ11の伝達トルクがFF制御トルクTcfとして求められ
る。所定時間間隔毎に速度比rが、FF制御目標出力側回
転数Nifを現時点での入力側回転数Neで除して、式r=N
if/Neで算出され、この速度比rに対するトルクコンバ
ータ11のトルク比t及び容量係数Cが図10のマップ
から求められる。FF制御トルクTcfは、トルク比tと、
容量係数Cと、入力側回転数Neの2乗との積にクラッチC
-1のトルクの分担比uを乗じて、式Tcf=C×t×Ne2×
uから求められる。クラッチC-1がFF制御トルクTcfを
生ずるために油圧サーボ装置26に発生させるべき必要
油圧Panが、前述の必要油圧Pbnを算出した式と同様の式
Pan=Tcf/X+Yから算出される。現時点での入力側回
転数Neと基礎入力側回転数Nefとの差がプラスになるエ
ンジン吹き状態ではこの差が大きいほど高い1以上の安
全率を設定した図11に示すマップから現時点での差に
応じた安全率kが求められ、この安全率kを必要油圧Pa
nに乗じたFF制御油圧Pa21が所定時間間隔で算出され
る。
【0041】出力側回転数Niを係合開始時出力側回転数
Nicから目標出力側回転数NitまでFF制御目標時間ttfに
遅れ時間を加算したFB制御目標時間ttbで直線的に漸減
させるとして所定時間間隔毎のFB制御目標出力側回転数
Nibが、式Nib=Nic−(Nic−Nf×rg)×tAB/ttbから算
出される。現時点の出力側回転数NiからFB制御目標出力
側回転数Nibを減算した差に係数Sbを乗じてFB制御油圧
が、式Pa22=(Ni−Nib)×Sbにより所定時間間隔で算
出される。FF制御油圧Pa21にFB制御油圧Pa22を加算した
和が係合必要油圧Pa2として、式Pa2=Pa21+Pa22から求
められる(ステップ683)。
【0042】ガード油圧が現時点の入力側回転数Neに基
づいて算出される(ステップ684)。入力側回転数Ne
に対し出力側回転数Niがゼロである場合にトルクコンバ
ータ11に発生するストールトルクTcsは、図10のマ
ップから求められる速度比rが0のときのストールトル
ク比tsと、ストールトルク容量係数Csと、入力側回転数
Neの2乗との積、Tcs=ts×Cs×Ne2となる。該ストール
トルクTcsをクラッチC-1が生ずるためにサーボ装置26
が発生しなければならないストールトルク油圧Pstが、
式Pst=Tcs/X+Yで算出され、ストールトルク油圧Ps
tに係数Ssを掛けて総ガード油圧Pgtが、式Pgt=Pst×Ss
で算出される。車速が大きくなるとクラッチC-1はすべ
り易いので、係数Ssは、図13のマップに示すように、
1以上で車速の増加につれて増大して総ガード油圧Pgt
を大きくし、クラッチC-1の係合力が大きくなるように
している。総ガード油圧Pgtに係合開始時からの経過時
間tAB と最大目標時間ttmとの比が乗算されて、経過時間
tAB におけるガード油圧Pa3が、式Pa3=Pcs(係合開始
時油圧)+(Pgt−Pcs)×tAB/ttmから求められる。
【0043】基本スイープ油圧Pa1と、係合必要油圧Pa2
と、ガード油圧Pa3との中で最大のものが、式Max(P
a1,Pa2,Pa3)で出力油圧Pcとして所定時間間隔で求め
られ(ステップ685)、制御装置50は、出力油圧Pc
に対応する制御電流を油圧サーボ装置50のリニアソレ
ノイド35に供給し、制御電流に応じた制御油圧がリニ
アソレノイド調圧弁32の出力ポート38に生成され、
増幅弁27は制御油圧に応じた出力油圧Pcを切替弁29
に所定時間間隔で出力する。
【0044】油圧サーボ装置26の出力圧力Pcが総ガー
ド油圧Pgtを超えた時点から安定時間taが経過したか否
かチェックされ(ステップ69)、経過するとスイープ
BE制御が行われる(ステップ70)。スイープBE制御で
は、出力圧力Pcを総ガード油圧Pgtから最大制御油圧Pcm
まで漸増するように単位油圧dPcづつ所定時間間隔で増
圧され、出力油圧Pcが最大制御油圧Pcmになったことが
判定されると(ステップ71)、タイマに一定時間teを
セットして(ステップ72)、終了制御が行われる(ス
テップ73)。終了制御では、油圧サーボ装置26は最
大制御油圧Pcmを所定時間間隔で出力し、一定時間teが
経過したことが判定されると(ステップ74)、制御装
置50はガレージ制御を終了し、リニアソレノイド調圧
弁32のリニアソレノイド35への制御電流の供給を停
止する。これにより、弁体36は圧縮バネ37により開
放位置に移動し、出力ポート38に発生する制御油圧が
ソレノイドモジュレータバルブ31から供給される所定
圧に上昇して切替弁29の弁体45が図示左位置にシフ
トされ、クラッチC-1はマニュアルバルブ25からのラ
イン圧が供給されて通常の係合状態となる。
【0045】図14に示すように、回転変化待機制御6
5及びスイープAB制御68において、スロットルがオン
されて入力側回転数Neが増加し、入力側回転数Neと基礎
入力側回転数との差がプラスになってエンジン吹き状態
となった場合、トルクコンバータ11からクラッチC-1
に伝達される伝達トルクが高くなる。この高トルク時に
出力側回転数Niを目標として設定した出力側回転数に保
持するためにはクラッチC-1の係合トルクを伝達トルク
に応じて大きくしなければならない。
【0046】本発明においては、回転変化待機制御65
又はスイープAB制御68の開始条件が成立した時点の入
力側回転数Neと、開始条件成立時点から現時点までの間
に入力側回転数センサ51により検出された最低入力側
回転数との中の小さい方を基礎入力側回転数として記憶
し、現時点での入力側回転数Neと基礎入力側回転数との
差がプラスになるエンジン吹き状態では差が大きいほど
高い1以上の安全率を設定し、目標の出力側回転数を得
るために算出した油圧サーボ装置の必要油圧に該安全率
を乗じた出力油圧を油圧サーボ装置26に出力させてい
るので、出力側回転数Niを目標値に確実に制御すること
ができる。
【0047】図15に示すように、停車中にスロットル
をオンにしたレーシング状態からスロットルをオフにし
てガレージ制御を行うと、回転変化待機制御又はスイー
プAB制御の開始条件が成立した時点の入力側回転数Neは
一時的には高いが、エンジンはアイドル状態で伝達トル
クは低いので、エンジンの回転数ごとに安全率を設定す
ると安全率が高くなり過ぎて、クラッチC-1の係合トル
クが大きくなり出力側回転数が減少し過ぎる。本発明に
おいては、現時点での入力側回転数Neと基礎入力側回転
数との差がプラスのときをエンジン吹き状態とし、開始
条件成立時の入力側回転数の方が現在の回転数Neより一
時的に高い上述の場合は、エンジン吹き状態とせず、1
又は1より僅かに小さい安全率を必要油圧に乗じた出力
油圧をサーボ装置26に出力させているので、出力側回
転数を目標値に制御することができる。伝達トルクが低
いアイドル状態では、クラッチには油圧によるひきずり
トルクなどが発生するので、安全率を1より小さく設定
しても出力側回転数を目標値に確実に制御することがで
きる。図16に示すように、その後にスロットルを再び
オンにして入力側回転数Neが高くなった場合は、現在の
入力側回転数Neと開始条件成立時点から現時点までの間
の最低入力側回転数との差がプラスの吹き状態となり、
この差に応じた1より大きい安全率を必要油圧に乗じた
出力油圧を油圧サーボ装置26に出力させて、出力側回
転数Niを目標値に確実に制御することができる。
【0048】上記実施形態では、ガレージ制御に本発明
を適用しているが、自動車が信号等で停車しクラッチが
開放されたニュートラル制御状態からブレーキの解除に
伴ってクラッチの係合を行うアプライ制御に本発明を適
用してもよい。この場合、ブレーキ油圧センサ57によ
り検出されたブレーキ油圧Bpが所定圧以下に減圧しブレ
ーキが解除されると回転変化待機制御開始条件が成立
し、回転変化待機制御65が開始される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る自動変速機の制御装置により制
御される自動変速機のスケルトン図である。
【図2】 自動変速機の各変速段におけるクラッチ、ブ
レーキの係合表である。
【図3】 自動変速機の各速度段におけるプラネタリギ
ヤの各要素の回転数比を示す速度線図である。
【図4】 クラッチC-1を係脱する油圧サーボ装置を示
す図である。
【図5】 自動変速機の制御装置を示すブロック図であ
る。
【図6】 ガレージ制御プログラムのフロー図である。
【図7】 ガレージ制御のタイムチャートである。
【図8】 回転変化待機制御のフロー図である。
【図9】 エンジン回転数に対する補正油圧を示すマッ
プである。
【図10】速度比とトルク比、容量係数を示す図であ
る。
【図11】吹きに対する安全率を示すマップである。
【図12】スイープAB制御のフロー図である。
【図13】総ガード油圧を求めるための係数と車速との
関係を示すマップである。
【図14】アイドル状態からアクセルをオンした吹き状
態を示す図である。
【図15】レーシング状態からアクセルをオフにした状
態を示す図である。
【図16】レーシング状態からアクセルをオフし、再び
オンにした状態を示す図である。
【符号の説明】
10・・・自動変速機、11・・・トルクコンバータ
(流体伝動装置)、12・・・変速機構、20・・・入
力軸、21・・・出力軸、25・・・マニュアルバル
ブ、26・・・油圧サーボ装置、27・・・増幅弁、2
9・・・切替弁、32・・・リニアソレノイド調圧弁、
35・・・リニアソレノイド、50・・・制御装置、5
1・・・入力側回転数センサ、52・・・出力側回転数
センサ、53・・・スロットル開度センサ、54・・・
フットブレーキセンサ、56・・・レンジ位置センサ、
57・・・ブレーキ油圧センサ、C-1・・・クラッチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J552 MA02 MA12 NA01 NB01 PA02 PA65 SA07 SA54 VA07W VA32W VA37W VA52W VA62Z VA80Z VB01Z VC03Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの回転を変速装置に伝達する流
    体伝動装置と、走行レンジが選択されたときに係合され
    停車状態で開放されるクラッチと、出力油圧を給排して
    前記クラッチを係脱させる油圧サーボ装置と、前記流体
    伝動装置の入力側回転数を検出する入力側回転数検出装
    置と、前記流体伝動装置の出力側回転数を検出する出力
    側回転数検出装置とを備えた自動変速機の制御装置にお
    いて、該制御装置は、回転変化待機制御の開始条件が成
    立すると、前記クラッチが引きずり状態からすべり状態
    に移行直後の係合トルクを前記クラッチに発生させる待
    機制御油圧を前記油圧サーボ装置に出力させ、前記クラ
    ッチが係合を開始して前記出力側回転数が所定値減少し
    たことを前記出力側回転数検出装置が検出した係合開始
    時点の出力側回転数を係合開始時出力側回転数として記
    憶し、前記出力側回転数を係合開始時出力側回転数から
    目標出力側回転数までFF制御目標時間で漸減させるため
    に必要な前記クラッチの係合必要トルクを求め、該係合
    必要トルクを生ずるために前記油圧サーボ装置が発生す
    べき必要油圧を所定時間間隔で算出し、該必要油圧をFF
    制御油圧として前記油圧サーボ装置に出力させることを
    特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の自動変速機の制御装置
    にして、該制御装置は、前記出力側回転数を前記係合開
    始時出力側回転数から前記目標出力側回転数まで前記FF
    制御目標時間に遅れ時間を加算したFB制御目標時間で漸
    減させるためのFB制御目標出力側回転数を所定時間間隔
    で算出し、該FB制御目標出力側回転数と現時点での出力
    側回転数との差に係数を乗じてFB制御油圧を算出し、前
    記FF制御油圧にFB制御油圧を加算した和と、前記FF制御
    油圧との中の大きい方を出力油圧として前記油圧サーボ
    装置に前記所定時間間隔で出力させることを特徴とする
    自動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の自動変速機の制御装置
    にして、該制御装置は、現時点での入力側回転数に対す
    る前記流体伝動装置のストールトルクに基づいて総ガー
    ド油圧を算出し、係合開始時点から現時点までの経過時
    間と最大目標時間との比を前記総ガード油圧に乗じたガ
    ード油圧を所定時間間隔で算出し、該ガード油圧と、前
    記FF制御油圧にFB制御油圧を加算した和と、前記FF制御
    油圧との中で最大のものを出力油圧として前記油圧サー
    ボ装置に前記所定時間間隔で出力させることを特徴とす
    る自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の自動
    変速機の制御装置にして、該制御装置は、前記係合開始
    時の入力側回転数と係合開始時点から現時点までの間に
    入力側回転数検出装置により検出された最低入力側回転
    数との中の小さい方を基礎入力側回転数として記憶し、
    現時点での入力側回転数と基礎入力側回転数との差がプ
    ラスになるエンジン吹き状態では差が大きいほど高い1
    以上の安全率を設定し、前記必要油圧に該安全率を乗じ
    たFF制御油圧を前記油圧サーボ装置に出力させることを
    特徴とする自動変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】 エンジンの回転を変速装置に伝達する流
    体伝動装置と、走行レンジが選択されたときに係合され
    停車状態で開放されるクラッチと、出力油圧を給排して
    前記クラッチを係脱させる油圧サーボ装置と、前記流体
    伝動装置の入力側回転数を検出する入力側回転数検出装
    置と、前記流体伝動装置の出力側回転数を検出する出力
    側回転数検出装置とを備えた自動変速機の制御装置にお
    いて、該制御装置は、回転変化待機制御開始条件が成立
    した時点の出力側回転数を開始時出力側回転数として記
    憶し、前記出力側回転数を開始時出力側回転数から係合
    検出出力側回転数まで減少させるために必要な前記クラ
    ッチの係合必要トルクを求め、前記クラッチが該係合必
    要トルクを生ずるために前記油圧サーボ装置が発生すべ
    き必要油圧を算出し、該必要油圧を係合検出油圧として
    前記油圧サーボ装置に所定時間間隔で出力させることを
    特徴とする自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の自動変速機の制御装置に
    して、該制御装置は、前記開始時入力側回転数と、回転
    変化待機制御開始条件が成立した時点から現時点までの
    間に入力側回転数検出装置により検出された最低入力側
    回転数との中の小さい方を基礎入力側回転数として記憶
    し、現時点での入力側回転数と基礎入力側回転数との差
    がプラスになるエンジン吹き状態では該差が大きいほど
    高い1以上の安全率を設定し、前記必要油圧に該安全率
    を乗じた係合検出油圧を前記油圧サーボ装置に出力させ
    ることを特徴とする自動変速機の制御装置。
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