JP2003096957A - カーテンウォール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 方立を一本物で構成することができず、しか
も方立の中間部を躯体によって支えることができない場
合でも、風圧や地震の揺れ等によって方立が部分的に大
きく変形することのないカーテンウォールの提供。 【解決手段】 パネル取付部５を有する方立材１ａ，１
ｂ，１ｃを上下に連結して形成した方立１と、方立間に
設けたパネル取付部２８を有する無目２と、方立の長手
方向に間隔をおいて設けた束材３と、両端部を躯体２７
に固定し、中間部を束材３に固定した弦材４とを備え、
方立材はパネル取付部５の室内側に中空部６を有し、方
立材同士の連結部において、中空部６の室内側の壁とパ
ネル取付部５の見込み方向の壁に、２枚ずつの連結プレ
ート８ａと８ｂ，１１ａと１１ｂを両側から挟むように
渡し、各２枚の連結プレートを、同一のボルト・ナット
を用いて上下の方立材に締結固定したことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、カーテンウォール
に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】方立式カーテンウォールは、躯体開口部
に方立（縦材）と無目（横材）とからなる格子状のパネ
ル支持枠を設置し、支持枠にガラスパネル等を取り付け
て壁面を構成したものである。複数階に跨がるカーテン
ウォールにおいては、方立３５を一本物で構成すること
ができず、図７に示すように建物の一階分に相当する長
さに分割した方立材３１ａ，３１ｂ，３１ｃを連結して
いる。分割された各方立材は、その上部が金具３２を介
して各階の床３３に連結され、方立材に加わる軸力を一
本毎に躯体に持たせている。よって方立材同士の連結箇
所３４においては、上下の方立材の間で軸力を伝達する
必要がないから、方立材同士の連結は図８に示すよう
に、一方の方立材３１ｂの端部に突出して設けたジョイ
ント部材３６を、他方の方立材３１ａの端部に差し込む
だけの簡単な構造となっており、剪断力によって上下方
立材の芯が互いに食い違うことのみを規制している。 【０００３】しかし、カーテンウォールの室内側に吹き
抜け部を設ける場合などには、各方立材に掛かる軸力を
途中の階の躯体に持たせることができない。そういう場
合には、実開平４−１３７１１５号等に開示されている
ように、方立をトラス構造の部材により補強したりして
いる。この場合でも、方立は適当な長さに分割した方立
材を連結して構成されるが、方立材同士の連結が上記の
ような簡単な構造でなされていると、一方の方立材に作
用する曲げや捩り等の力が他方の方立材に伝達されず、
強度的には互いに縁が切れたような状態となり、強い風
や地震の揺れ等による外力を受けた時に、その連結部分
において過大な変形が生ずる恐れがあった。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】本発明は以上に述べた
ような実情に鑑み、方立を一本物で構成することができ
ず、しかも方立の中間部を躯体によって支えることがで
きない場合でも、風圧や地震の揺れ等によって方立が部
分的に大きく変形することのないカーテンウォールの提
供を目的とする。 【０００５】 【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
めに本発明のカーテンウォールは、パネル取付部を有す
る方立材を上下に連結して形成した方立と、方立間に設
けたパネル取付部を有する無目と、方立の長手方向に間
隔をおいて設けた束材と、両端部を躯体に固定し、中間
部を束材に固定した弦材とを備え、方立材はパネル取付
部の室内側に中空部を有し、方立材同士の連結部におい
て、中空部の室内側面には、上下の方立材に跨がって当
接する室内側連結プレートが設けてあり、中空部内の室
内側には、上下の方立材に跨がって当接する中空部内連
結プレートが設けてあり、室内側連結プレートと中空部
内連結プレートを同一のボルト及びナットで上下の方立
材に締結固定してあるとともに、パネル取付部の室内側
の右側面には、上下の方立材に跨がって当接する右側面
連結プレートが設けてあり、パネル取付部の室内側の左
側面には、上下の方立材に跨がって当接する左側面連結
プレートが設けてあり、右側面連結プレートと左側面連
結プレートを同一のボルト及びナットで上下の方立材に
締結固定してあることを特徴とする。 【０００６】以上のように構成した本発明のカーテンウ
ォールによれば、複数の方立材を連結して形成した方立
が一本物と同等の強度を有することとなり、しかも方立
が束材と弦材とから成る張弦構造により補強されている
ので、風圧や地震等による力が方立の全長に分散され、
方立に部分的な大きな変形が生ずることを防止できる。 【０００７】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本発明のカーテンウォールは図５
に示すように、方立１を建物躯体の左右方向に間隔を置
いて複数立設し、隣接する方立１，１間に無目２を架設
して多数の方形枠部１４を形成し、方形枠部内にガラス
等のパネル１５を嵌め入れて構成してある。このカーテ
ンウォールは、吹抜けになった建物の複数階（例えば三
階分）を一体でカバーするもので、一本一本の方立１
は、通常のように中間部を建物の躯体により支える代わ
りに、室内側に設けた束材３と弦材４とから成る張弦構
造により補強されている。方立１の上端部と下端部は、
連結金具１６，１７により躯体２７に連結されている。 【０００８】各方立１は、図３に示すように３本の方立
材１ａ，１ｂ，１ｃを上下に連結して形成されている。
方立材はアルミ合金の押出し形材であって、図１に示す
ように、室外側に断面Ｔ字形のパネル取付部５を有し、
室内側に四角柱形の中空部６を有する。パネル１５は、
パネル取付部５の室外側壁１９とパネル取付部の室内側
に嵌め入れた押縁２０との間で、パッキン２１を介して
外周縁部を挟持する形で支持されている。無目２もパネ
ル取付部２８を有し、そこでパネル１５の上下縁部を挟
持している。 【０００９】方立材１ａ，１ｂ，１ｃ同士の連結は、図
１と図２に示すように、中空部６とパネル取付部５の２
箇所を、各２枚ずつの連結プレート８ａと８ｂ，１１ａ
と１１ｂで繋ぎ止めることにより頑丈になされている。
より詳しく述べると、中空部６の室内側面７には、上下
の方立材に跨がって当接する室内側連結プレート８ａが
設けてあり、中空部内の室内側の面２９には、上下の方
立材に跨がって当接する中空部内連結プレート８ｂが設
けてあり、室内側連結プレート８ａと中空部内連結プレ
ート８ｂは、同一のボルト９及びナット１０を用いて、
上下の方立材１ａ，１ｂに締結固定してある。さらにパ
ネル取付部の室内側の右側面２２には、上下の方立材に
跨がって当接する右側面連結プレート１１ａが設けてあ
り、パネル取付部の室内側の左側面３０には、上下の方
立材に跨がって当接する左側面連結プレート１１ｂが設
けてあり、右側面連結プレート１１ａと左側面連結プレ
ート１１ｂは、同一のボルト１２及びナット１３を用い
て、上下の方立材１ａ，１ｂに締結固定してある。 【００１０】ボルト９，１２には高力ボルトを使用する
ことで、各連結プレート８ａ，８ｂ，１１ａ，１１ｂが
方立材１ａ，１ｂ，１ｃに高圧力で密着しており、さら
に各連結プレートの当接面にショットブラスト加工を施
して粗面に形成してあるので、各連結プレート８ａ，８
ｂ，１１ａ，１１ｂは方立材１ａ，１ｂ，１ｃに強力に
摩擦接合され、ずれることがない。また、中空部内連結
プレート８ｂには、締結用のナット１０を空回りしない
状態で収容するナット収容部２３を設けてあるので、ボ
ルト９の締め付け時にナット１０をスパナ等で保持して
いる必要がなく、方立材の連結を容易に行える。 【００１１】上記の連結構造によれば、上下の方立材の
間で、軸力や剪断力のみならず、曲げや捩りの力も自然
に伝達される。これは、中空部６を連結している連結プ
レート８ａ，８ｂと、パネル取付部５を連結している連
結プレート１１ａ，１１ｂが互いに交差する向きにあ
り、且つ両者の間にいくらか距離があることによる。こ
れらのことによって方立材同士の連結部における変形が
抑えられ、方立１は繋ぎ目が無いのと同じように機能す
る。 【００１２】方立１の室内側面７には、図３と図４に示
すように、上下に等間隔を置いて、束材３を連結するた
めのブラケット２４を取り付けてある。ブラケット２４
の固定には、中空部内連結プレート８ｂをボルト・ナッ
トで締結するための裏当て金具として使用している。ブ
ラケット２４には、金属のパイプで形成した束材３を、
ピン２５で上下方向に回動自在に連結してある。束材３
には、弦材４の中継部材２６を挿通して設けてあり、上
下に隣接する束材の中継部材２６，２６を、それぞれ弦
材４を架設して繋いである。最上部と最下部の弦材４
は、先端がそれぞれ躯体２７にピン接合してある。弦材
４は、全体としては左右対称な２本の弓形に形成され、
緊張した状態で方立１の撓みや震動を防いでいる。 【００１３】図６は、このカーテンウォールが風圧を受
けた場合に、方立がどのように変形するかを解析した結
果を示している。風圧によって方立に作用する荷重は、
図６（イ）に示すように、方立の全長に亘る室内側に向
けての等分布荷重ｗとみることができ、これによって方
立１に掛かる曲げモーメントＭは、図６（ロ）に示すよ
うに束材３同士の間で略均等に分散される形となる。こ
の時に方立１には、図６（ハ）に示すように、全長に亘
って均等に撓みが生じ、その撓み量は束材３と弦材４の
作用によって小さく抑えられる。 【００１４】 【発明の効果】本発明のカーテンウォールは、方立を構
成する方立材を、中空部の室内側とパネル取付部の２箇
所で強力に連結したことにより、方立材同士の連結部に
おける変形が防止され、方立が一体的な強度を有するも
のとなっている。しかも方立は、束材と弦材とからなる
張弦構造によって全長に亘って補強されているので、方
立を支持する躯体の上下のスパンが長い時でも、風圧や
地震等による方立の変形が小さく抑えられる。

【図面の簡単な説明】 【図１】図２におけるＸ−Ｘ断面図である。 【図２】図３におけるＡ部詳細図である。 【図３】本発明のカーテンウォールの概略側面図であ
る。 【図４】図３におけるＢ部詳細図である。 【図５】本発明のカーテンウォールの一部正面図であ
る。 【図６】（イ）（ロ）（ハ）カーテンウォールが風圧を
受けた場合に、方立に作用する荷重、曲げモーメント、
方立の変形を示す図である。 【図７】従来のカーテンウォールの構造を示す概略側面
図である。 【図８】従来の方立材同士の連結構造を示す図である。 【符号の説明】 １ 方立 １ａ，１ｂ，１ｃ 方立材 ２ 無目 ３ 束材 ４ 弦材 ５ パネル取付部 ６ 中空部 ７ 室内側面 ８ａ 室内側連結プレート ８ｂ 中空部内連結プレート １１ａ 右側面連結プレート １１ｂ 左側面連結プレート ９，１２ ボルト １０，１３ ナット ２２ 右側面 ３０ 左側面 ２８ パネル取付部（無目）

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 パネル取付部を有する方立材を上下に連
   結して形成した方立と、方立間に設けたパネル取付部を
   有する無目と、方立の長手方向に間隔をおいて設けた束
   材と、両端部を躯体に固定し、中間部を束材に固定した
   弦材とを備え、方立材はパネル取付部の室内側に中空部
   を有し、方立材同士の連結部において、中空部の室内側
   面には、上下の方立材に跨がって当接する室内側連結プ
   レートが設けてあり、中空部内の室内側には、上下の方
   立材に跨がって当接する中空部内連結プレートが設けて
   あり、室内側連結プレートと中空部内連結プレートを同
   一のボルト及びナットで上下の方立材に締結固定してあ
   るとともに、パネル取付部の室内側の右側面には、上下
   の方立材に跨がって当接する右側面連結プレートが設け
   てあり、パネル取付部の室内側の左側面には、上下の方
   立材に跨がって当接する左側面連結プレートが設けてあ
   り、右側面連結プレートと左側面連結プレートを同一の
   ボルト及びナットで上下の方立材に締結固定してあるこ
   とを特徴とするカーテンウォール。