JP2003096933A - 内装用板材 - Google Patents

内装用板材

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JP2003096933A
JP2003096933A JP2001331709A JP2001331709A JP2003096933A JP 2003096933 A JP2003096933 A JP 2003096933A JP 2001331709 A JP2001331709 A JP 2001331709A JP 2001331709 A JP2001331709 A JP 2001331709A JP 2003096933 A JP2003096933 A JP 2003096933A
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Hironobu Miura
広宣 三浦
Shoei Miura
将栄 三浦
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 建物内の天井や壁面に容易に張設施工でき、
且建物空間内に揮散する揮散有機化合物や環境ホルモン
物質、臭気ガス等の吸着分解消去と調湿により安全で快
適且衛生的建物空間を創出しえる内装用板材の提供。 【構成】 適宜素材からなる基板の一側面に平均粒径3
0μm以下で比表面積が少なくとも70m/g以上並
びに塩基置換容量(meq/100g)が200mg以
上で且吸水率が50%以上の人工ゼオライト粉体と該人
工ゼオライト粉体に粘土若しくはセメントからなる固着
材が5乃至20%容量割合及びセルロース誘導体からな
る接着剤が15乃至35%容量割合で配合されたうえ、
適宜割合の水で分散混練された塗着混練材で適宜厚さに
塗着層が塗着形成されてなる構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内装用板材に係るもの
で、更に詳しくは施工が簡便で且建物空間に揮散拡散す
る揮散有機化合物や環境ホルモン或いは臭気ガスを吸着
分解し且調湿による結露の防止と菌類や衛生害虫の蝟集
を防止し、安全で快適並びに衛生的建物空間を創出しえ
る内装用板材に関する。
【0002】
【従来技術】現在建物に使用されている内装材は、その
使用目的に合せて極めて多種に亘る板材や塗材、壁紙、
クロス張り材等が使用されているが、これら内装材のう
ち多くの素材を組合せて新たな性能を具備させ、或いは
意匠薄膜等を表面に貼合させて美装性を高めるととも
に、コスト的安価さの実現のうえから合成樹脂素材によ
る所謂新建材が開発され且合成樹脂接着剤による接着工
法の開発とも相俟って、新建材は膨大量の使用がなされ
るに至っている。更には天井面の如く実用使用に際して
荷重付加の少ない部分には軽量性と安価さの実現のた
め、硫酸カルシウム素材からなる石膏ボードが専ら使用
されている実情にある。
【0003】他方において近年における建物構造は、特
に都市部においては土地の有効利用の面から事務所や店
舗建物はもとより住居建物においても鉄骨鉄筋コンクリ
ートからなる重構造高層化が図られており、更には戸建
住宅においても耐火耐震性に加え防犯性の面からプレハ
ブ工法やプレカット工法が積極的に採用されている。そ
して重構造高層化建物やプレハブ、プレカット工法の建
物は構造精度の向上とともにアルミサッシや鉄扉等の密
閉性の高い建具金物の採用とが相俟って建物空間の密閉
性が著しく高まっており且重大なことはかかる密閉性の
著しく高い建物空間の内装材として合成樹脂素材に可塑
剤や有機溶剤を多用して形成された新建材が使用され、
或いは可塑剤、有機溶剤、有機顔料等を用いた内装材が
使用され、更にはこれら新建材や内装材も、合成樹脂素
材や有機溶剤からなる合成接着剤を用いて施工されてい
る事実にある。
【0004】これがため新築建物はもとより建物内の改
修や補修がなされた場合にはこれら新建材や内装材及び
施工のための接着剤等より揮散有機化合物や環境ホルモ
ン物質が揮散拡散し、高齢者や幼児或いは体力の弱い成
人等に原因不明の発症が惹起される所謂シックハウス症
候群が誘発され重要な社会問題としてその対策が提起さ
れているものの未だ有効な対処手段がなく、関係業界で
も漸くこれら誘発物質の削減や代替品の開発に着手しは
じめた状況にある。
【0005】加えて重要なことは建物空間の密閉性の高
まりは建物空間内が年間を通して温暖化するため、外気
温との温度差が大きくなるため壁面部に結露が発生し易
くなり、且該結露の発生に伴い黴菌の繁殖が増長される
とともにダニ等の衛生害虫の蝟集も招来され建物空間内
が極めて非衛生的環境となり、且これら黴菌や衛生害虫
の死骸がアレルゲンとなりアトピー性皮膚炎等アトピー
性過敏症が誘発される結果となっている。而も居住用建
物においては生活に係る食物残滓等の臭気や生活者の
汗、体液、落下皮膚等によるタンパク変性臭とが複合さ
れた所謂生活臭気が内装材や家具、調度品等にまで付着
浸透し不快な環境となる。更に留意すべきは蚊、ダニ、
ゴキブリ或いは黴等の防虫防黴のために防虫剤や防黴剤
を使用した場合、密閉性の高い建物空間内ではこれら化
学薬剤ガスが異常濃度で且長時間に亘って滞留しシック
ハウス症候群以上の危険に晒されていることにある。
【0006】発明者等はかかる現状の問題に鑑み研究を
重ねた結果、古くから天然ゼオライト(沸石)がガス吸
着性や塩基置換性、分子ふるい作用、或いは触媒作用を
保持することが知られているものの天然ゼオライトは産
出地層の条件如何では物理化学的性能が異り、且これら
物性化学的作用も小さなため天然ゼオライトにおいては
その殆どが土壌改良材の一部として使用されているに過
ぎない。然るに近年においては、鋳造廃砂を初め製紙廃
水スラッジ或いは石炭灰の如き酸化珪素や酸化アルミニ
ウムを主成分とする産業廃棄物を原料として、アルカリ
前処理と高温高圧条件のもとに高性能の物理化学特性を
保持する人工ゼオライトの生成が可能となり、特にこの
人工ゼオライトは微粒な粉体で且膨大数の微細吸着吸湿
孔所謂比表面積を極めて大きく形成しえるため、揮散有
機化合物や環境ホルモン物質或いは臭気ガス等を積極的
に吸着しえるとともに、ナトリウム、カリウム、マグネ
シウム或いは鉄イオンを有する大きな塩基置換容量(m
eq/100g)を保持するため、吸着された揮散有機
化合物や環境ホルモン物質或いは臭気ガスを分解消去し
え且吸着量の飽和も阻止されること、並びに多湿時の吸
湿と乾燥時における放湿がなしえ、更には塗膜形成に際
して粘土若しくはセメントを適宜量配合することで塗膜
層が補強され、且セルロース誘導体からなる接着剤を用
いることで吸着性や吸放湿性が阻害されず広範な被着材
に塗膜形成がなしえることを究明し本発明に至った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】即ち本発明は建物内の
天井面や壁面に容易に張設施工しえ、且建物空間内に揮
散拡散する揮散有機化合物や環境ホルモン物質或いは臭
気ガス等の吸着と分解消去、並びに調湿により安全で快
適且衛生的建物空間を創出しえる内装用板材を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明が用いた技術的手段は耐水ベニヤ板やハード
ボード、パーティクルボード、木毛セメント板、スレー
ト板、合成樹脂板、或いは織物地等からなる基板の一側
面に、その平均粒径が30μm以下で比表面積が少なく
とも70m/g以上及び塩基置換容量(meq/10
0g)が200mg以上で而も吸水率が少なくとも50
%以上の人工ゼオライト粉体と、該人工ゼオライト粉体
に対し粘土若しくはセメントからなる固着材が5乃至2
0%容量割合、及びセルロース誘導体からなる接着剤が
15乃至35%容量割合で配合されたうえ適宜容量割合
の水で分散混練した塗着混練材により適宜厚さに塗着層
が塗着形成されてなる構成に存するものであり、更に塗
着層に美装性を付与せしむるうえから、その平均粒径が
300μm以下の雲母、合成マイカ、バーミキュライト
若しくはパーライトからなる意匠粉体が該塗着層に実質
的に10乃至25%容量割合で配合されてなる構成、或
いは該塗着層に無機顔料が実質的に2乃至7%容量割合
で配合されてなる構成に存する。
【0009】
【作用】本発明はかかる如き構成よりなるため以下のよ
うな作用を有する。即ち塗着層を形成する主要素材が人
工ゼオライト粉体からなり、且該人工ゼオライト粉体が
平均粒径で30μm以下の著しく微粒状のものが使用さ
れるため、揮散有機化合物や環境ホルモン物質或いは臭
気ガス等との接触表面積率が極めて大きく、且その比表
面積が少なくとも70m/g以上に亘るため極めて膨
大数の微細吸着吸湿孔を有することから積極的に且効率
良く吸着されるとともに、吸着された揮散有機化合物や
環境ホルモン物質或いは臭気ガスは塩基置換容量(me
q/100g)が200mg以上の強い塩基置換作用に
より変性若しくは分解消去され且吸着容量が飽和するこ
とも防止される。更に膨大数の微細吸着吸湿孔と且少な
くとも50%以上の吸水率を保持するため、多湿時には
多量の湿気が吸湿され而もこの吸湿水分が膨大数の微細
吸着吸湿孔内に保水され、且乾燥に伴い放湿される所謂
調湿作用が働くため結露の発生が著しく抑制され且黴菌
類の繁殖も抑制される。そして塗膜層の形成に際しては
人工ゼオライト粉体に対して粘土若しくはセメントから
なる固着材が5乃至20%容量割合並びにセルロース誘
導体からなる接着剤が15乃至35%容量割合で配合さ
れたうえ適宜容量割合の水で分散混練された塗着混練材
を適宜厚さに塗着して塗着層が形成されるもので、粘土
が配合された場合にはその乾燥固化性により、若しくは
セメントが配合された場合にはポゾラン作用により塗膜
層が強固に形成され、而もセルロース誘導体からなる接
着剤を使用するため、塗膜層に透気性や透湿性とともに
強靭性が付与され、而も広範な素材からなる基板と強固
な塗着がなしえる。
【0010】
【実施例】以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明
すれば、図1は本発明に使用する基板1の説明図であっ
て、該基板1は張設施工を容易になしうるうえから軽量
且強靭なうえ塗着層2の塗着性に優れるものが望まれる
もので、具体的素材としては耐水ベニヤ板を初めハード
ボード、パーティクルボード、木毛セメント板、スレー
ト板、硬質繊維板、合成樹脂板、剛性を有する織物地や
板紙等が挙げられる。加えて望ましくは塗着層2の塗着
性を向上させるうえから該基板1の表面1Aにはエンボ
ス加工やV溝或いは角溝等を均質に施したものが好都合
である。更に本発明においては調湿性を発揮させるうえ
から、ハードボードやパーティクルボード或いは合成樹
脂板等透気性や透湿性の小さな基板1全体に亘って適宜
孔径及び数の通気孔1Bを形成させることが望まれ且該
基板1の厚さは使用場所、使用条件によっても異るが概
ね2乃至12mm程度のものが一般的に使用される。
【0011】かくして選択された基板1の一側面には図
2に示すように適宜厚さの塗着層2が塗着形成されるも
ので、この塗着層2は建物空間に揮散拡散する揮散有機
化合物や環境ホルモン物質或いは臭気ガス等を吸着し分
解消去させ、更には多湿時の吸湿と乾燥時の放湿による
調湿をなさしめるものであって、該塗着層2の厚さは適
宜に決定されるが、通常は基板1の厚さの1/2乃至2
倍程度に形成される。この塗着層2を形成する主要素材
には人工ゼオライト粉体2Aが使用されるもので、該人
工ゼオライト粉体2Aは酸化珪素並び並びに酸化アルミ
ニウムを主成分とする素材からはアルカリ前処理及び高
温高圧条件で容易に生成しえるもので、特に産業廃棄物
とされる石炭灰を初め製紙廃水スラッジ、鋳造廃砂、土
木工事汚水の濾過砂泥等の再利用が可能となり安価且多
量の供給が期待される。加えて人工ゼオライト粉体2A
の選択に際して考慮すべきは、人工ゼオライト粉体2A
の生成にはアルカリ前処理として通常水酸化ナトリウム
が使用されることからナトリウムイオンを持つナトリウ
ム型人工ゼオライトであるが、該ナトリウム型人工ゼオ
ライトは、調湿目的やアミン系臭気の分解消去には極め
て有効であるが、家畜類の臭気や活性汚泥の臭気の分解
消去にはカルシウムイオンを持つカルシウム型や鉄イオ
ンを持つ鉄型がより効果的であり、更に揮散有機化合物
や環境ホルモン物質の分解消去にはカルシウムやマグネ
シウムイオン或いはカリウムイオンを持つ人工ゼオライ
トが極めて有効であることから、主な使用目的に合せて
適合するイオンに交換させた人工ゼオライトの選択が望
まれる。
【0012】塗着層2を形成する主な素材である人工ゼ
オライト粉体2Aは、図3に示す如く建物空間に揮散拡
散され且塗着層2と接触する揮散有機化合物や環境ホル
モン物質、各種臭気ガス或いは湿気等を積極的に吸着吸
湿せしめるため成可く接触表面積率の大きなものが好適
であることから、その平均粒径としては30μm以下好
ましくは5乃至10μm程度のものが使用され、更にこ
れら揮散拡散された揮散有機化合物や環境ホルモン物
質、各種臭気ガス或いは湿気等を効率良く吸着吸湿させ
るためには十分に大きな吸着吸湿容量が望まれるため、
その比表面積が少なくとも70m/g以上望ましくは
100乃至120m/g以上の人工ゼオライト粉体が
選択される。
【0013】更に該人工ゼオライト粉体2Aに要請され
ることは吸着した揮散有機化合物や環境ホルモン物質或
いは各種臭気ガスを単に吸着させるのみでは、その比表
面積に係る膨大数の微細吸着吸湿孔20Aの吸着容量が
飽和し吸着性が短時に滅失され、却って吸着された揮散
有機化合物や環境ホルモン物質各種臭気ガスの再揮散や
複合臭気の発生等が招来される危険がある。そこで吸着
された揮散有機化合物や環境ホルモン物質或いは各種臭
気ガスを、その高い塩基置換性により分解消去せしめて
消臭と吸着の飽和を防止するうえから、その塩基置換容
量(meq/100g)が少なくとも200mg以上好
ましくは240乃至300mg以上の人工ゼオライト粉
体2Aが選択され、且塗着層2の形成に際して使用する
塗着混練材20形成のため、固着材2Bや接着剤2C或
いは意匠粉体2D、無機顔料2Eを配合し且適宜容量割
合の水で十分に分散混練させるうえから、その吸水率が
少なくとも50%以上のものが使用される。
【0014】そして塗着形成される塗着層2には吸着性
と吸湿性を保持させることは当然のこと塗着層2の保形
性並びに実用使用に際しての耐久性を保持せしむるうえ
から、人工ゼオライト粉体2Aに対し粘土若しくはセメ
ントからなる固着材2Bが5乃至20%容量割合で配合
される。この固着材2Bに粘土若しくはセメントが使用
される所以は、人工ゼオライト粉体2Aとの混合性が良
好なことに加え、加水により分散混練された塗着混練材
20による塗着層2の形成に際して、粘土においては吸
水粘性による分散混練性を高めること及び乾燥に伴う固
化性が発揮され塗着層2の保形性が良好となることにあ
り、更にセメントにおいては加水によるポゾラン作用が
発揮されて塗着層2が強固に保形されることによる。そ
して粘土の具体的なものとしてはカオリン、ベントナイ
ト、ボールクレー、タルク、セリサイト等が挙げられ、
セメントとしてはポルトランドセメントや白セメント等
が挙げられるものであるが、留意すべきことはセメント
の使用においては塗着層2の屈曲脆化所謂亀裂発生の危
険があるため、せいぜい人工ゼオライト粉体2Aに対し
て10%容量割合以下に留めることが望まれる。
【0015】人工ゼオライト粉体2Aに所要の配合割合
で固着材2Bが配合されたうえは、更に該人工ゼオライ
ト粉体2Aに対して15乃至35%容量割合のセルロー
ス誘導体からなる接着剤2Cが配合されるのものであっ
て、該接着剤2Cは人工ゼオライト粉体2Aや固着材2
B等と加水により分散混練させるうえから、好ましくは
乾燥粉末状のものが使用される。更に接着剤2Cにセル
ロース誘導体が選択される所以は塗着形成に際して透気
性や透湿性が保持されるため接着剤2Cで包着された人
工ゼオライト粉体2Aの吸着吸湿に係る膨大数の微細吸
着吸湿孔20Aの吸着性や吸湿性が阻害されぬこと、及
び広範囲の配合材や基板1との強固な接着がなしえるこ
とによる。セルロース誘導体からなる接着剤2Cの具体
的なものとしてはメチルセルロース、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、アセチルセルロース等が挙げられ
る。
【0016】ところで本発明は建物空間内に揮散拡散す
る揮散有機化合物や環境ホルモン物質、各種臭気ガス或
いは湿気等を吸着分解消去し若しくは多湿時の吸湿と乾
燥時の放湿所謂調湿を実現するものであるが、建物空間
内の内装用板材として使用されるうえからは当然に美装
性も要求される。これがため図4に示す如く、塗着形成
される塗着層2に実質的に10乃至25%容量割合で雲
母、合成マイカ、バーミキュライト若しくはパーライト
からなる意匠粉体2Dを配合させることが提案されるも
ので、かかる意匠粉体2Dは単独でも或いは数種類を適
宜割合に配合させても差支えない。そして肝要なことは
塗着層2の主な形成素材である人工ゼオライト粉体2A
はその平均粒径が30μm以下で且通常においてはその
粒径が5乃至10μm程度のものが使用され、更に固着
材2Bとして使用される粘土の粒径は略0.2乃至2μ
m程度であり、且セメントの粒径としても略10乃至2
0μm程度のものであるから、塗着層2の均質な塗着形
成及び塗着層表面の良好な仕上りを図るうえからは、分
散混練に際して最密充填密度に近い粒度分布に構成され
ることが望まれるため、該意匠粉体2Dの粒径としては
最大でも300μm以下好ましくは50乃至100μm
程度のものの使用が望ましい。
【0017】更に塗着層2の主な素材である人工ゼオラ
イト粉体2Aは乾燥時においては概ね灰白色を呈するも
のであるから、塗着層2の色調も略同様の色調のものと
なる。しかしながら建物空間はその建物空間の利用目的
に合せて多様な色調が要請されるため、かかる対処とし
て塗着層2に対して実質的に2乃至7%容量割合の無機
顔料2Eを配合させることが提案される。かかる場合の
無機顔料2Eとしては酸化チタン、リトポン、バライ
ト、べんがら、亜鉛黄、群青、紺青、カーボンブラック
等が挙げられる。そしてかかる無機顔料2Eの配合割合
が過少であると十分に色感が創出しえぬ結果となるため
少なくとも2%容量割合以上が望まれるが、あまり過剰
に配合されると人工ゼオライト粉体2Aや粘土若しくは
セメント等の固着材2Bの自然感が喪失される結果とな
るため、最大でも7%容量割合以下に制限すべきであ
る。
【0018】而して適宜に選択された基板1に塗着層2
を塗着形成し本発明3を作成するには多様な手段が提案
されるが、大別して一つはハンドメイドによる手段であ
り、いま一つは機械装置を用いる手段であって、いづれ
の場合においても塗着層2形成のための塗着混練材20
を予め形成することで、該塗着混練材20は人工ゼオラ
イト粉体2A、固着材2B、セルロース誘導体からなる
接着剤2C、及び必要により配合される意匠粉体2Dや
無機顔料2Eを所要の配合割合で配合のうえ、この配合
された全体量に対して略35乃至45%容量割合の水を
加えて十分に分散混練を図ることで形成される。この場
合にハンドメイドによる塗着鏝で塗着形成させる場合
や、使用する基板1が吸水性の小さい素材からなる場合
には、加水割合を少なめにして、やや高粘度の塗着混練
材20を用いることが好都合である。
【0019】図5は機械装置による塗着形成の例示図で
あって、一方側の供給ベルトコンベア40により選択さ
れた基板1を連続的に移送させるとともに、中央上方に
設けたホッパー41内に給入された塗着混練材20を、
その下方のスロットオリフィス42より所要の塗着厚さ
を以って基板1上に吐出させ且調整ロール43で塗着層
を整えながら塗着層を塗着させたうえ、供出ベルトコン
ベア44で乾燥ドラム45内に移送させ乾燥をなすもの
で、当然に塗着混練材20は可成り高粘度であるから、
該塗着混練材20が所要の厚さでスロットオリフィス4
2より吐出させるようホッパー41には適宜の加圧手段
が設けられ、更に基板1を連接させずに適宜の間隔を以
って連続的に移送させ塗着させる場合には、スロットオ
リフィス42の下方に塗着混練材収納槽46を設けて基
板1相互の間隔部分で切落する塗着混練材20を回収し
再利用させることも考慮される。
【0020】以下に本発明内装用板材の吸着分解性及び
調湿性試験結果を述べれば、試験に用いた内装用板材は
基板に厚さ3mmの耐水ベニヤ板を用い、この基板の一
側面に平均粒径9.4μmで比表面積110m/g、
塩基置換容量(meq/100g)200mg及び吸水
率50%以上のナトリウム型人工ゼオライト粉体に対
し、固着材として平均粒径1.3μmのタルクを15%
容量割合及び接着剤として粉末状のヒドロキシプロピル
メチルセルロース35%容量割合で配合し、この配合全
体量に対して35%容量割合の水を加えて十分に分散混
練させて塗着混練材となしたるうえ、該塗着混練材を厚
さ2mm平均塗着目付1100g/mで塗着し乾燥さ
せたものを試料とした。吸着分解性及び調湿性試験には
減圧型デシケーター(内容積20L)を用い、この減圧
デシケーター内に100cmに切断した試料2枚と、
対照として塗着層が未形成の耐水ベニヤ板材を100c
に切断したもの2枚を用いて行った。吸着分解性の
試験方法は揮散有機化合物としてホルムアルデヒドガ
ス、環境ホルモン物質としてフタル酸ジオクチルガス及
び臭気ガスとしてアンモニアガスを用い、それぞれを所
定濃度でデシケーター内に充填し3時間及び6時間接触
させたうえ、試料及び対照の残留濃度をガスクロマトグ
ラフで測定した結果は表1の通りであって、人工ゼオラ
イト粉体による吸着分解並びに消臭効果が極めて優れて
いることが判断される。更に調湿性の試験方法は、減圧
デシケーター内に同様の試料を収置のうえ湿度95%の
条件としたうえ、経過時間とともに減圧デシケーター内
の湿度低下を自動湿度計で測定し、而して内部湿度を2
5%の乾燥条件に除湿し時間経過とともに湿度上昇を測
定して調湿性を判断したもので結果は表2の通りであ
る。
【0021】
【発明の効果】本発明は以上述べたように、適宜の素材
からなり且その一側面にはエンボス加工やV溝、角溝等
が施され、且透気性や透湿性に劣る素材からなる場合に
は全体に亘って適宜孔径及び数の通気孔が形成された基
板が用いられるとともに、該基板の一側面には平均粒径
が30μm以下で比表面積が少なくとも70m/g以
上並びに塩基置換容量(meq/100g)が200m
g以上で且吸水率が50%以上の人工ゼオライト粒体
と、該人工ゼオライト粉体に対し粘土若しくはセメント
からなる固着材が5乃至20%容量割合及びセルロース
誘導体からなる接着剤が15乃至35%容量割合で配合
されたうえ、加水により分散混練された塗着混練材で所
要の厚さに塗着層が塗着形成されるものであるから、塗
着層の保形性並びに強靭性が著しく優れるとともに基板
と強固な塗着がなされる。そして塗着層の塗着形成にセ
ルロース誘導体からなる接着剤が使用されるため塗着層
が透気性並びに透湿性を保持するとともに、人工ゼオラ
イト粉体が大きな接触表面積率と且膨大量の吸着吸湿容
量を有するため、建物空間内に揮散拡散する揮散有機化
合物並びに環境ホルモン物質或いは臭気ガス等が積極的
且効率良く吸着され、而も高い塩基置換性により分散消
去されるため再揮散や溶出の危険がなく安全性が高ま
り、而も消臭化とともに吸着容量の飽和が阻止され長期
に亘って吸着性が保持される。加えて建物空間内に拡散
する多量の湿気も積極的且効率的に吸湿されるととも
に、この吸湿水分が微細吸着吸湿孔内に保水されるため
建物空間内の乾燥化に伴って放湿されることから、建物
空間内の湿度が比較的安定に保持され且結露の発生も防
止されるため、黴菌の繁殖が著しく抑制されダニ等衛生
害虫の蝟集も抑制され衛生的建物空間が実現される。そ
して塗着層の主な素材が膨大数に昇る微細吸着吸湿孔を
有する人工ゼオライト粉体が用いられるための断熱性や
遮音性が極めて高く、而も固着材や意匠粉体も無機質素
材のため耐火性に優れるばかりか、全体が軽量で且基板
の補強性とも相俟って張設施工性が極めて簡便になしえ
る等、多くの特長を具備した内装用板材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板の説明図である。
【図2】本発明の断面説明図である。
【図3】人工ゼオライト粉体の拡大説明図である。
【図4】塗着層の拡大説明図である。
【図5】本発明の製造方法の例示図である。
【符号の説明】
1 基板 1A 基板表面 1B 通気孔 2 塗着層 2A 人工ゼオライト粉体 2B 固着材 2C セルロース誘導体からなる接着剤 2D 意匠粉体 2E 無機顔料 20 塗着混練材 20A 微細吸着吸湿孔 3 本発明
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DB03 DB05 DH00 DH12 DH13 FA03 FA14 GA27 GA42 HA01 HA02 HC02 HC04 HC07 HC12 HD11 JA01 JA06 JA12 JA13 LA04 2E110 AA64 AB04 AB23 BA02 BB22 GA33X GB18W GB42X GB62X GB63X

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 適宜素材からなる基板の一側面に、その
    平均粒径が30μm以下で比表面積が少なくとも70m
    /g以上並びに塩基置換容量(meq/100g)が
    200mg以上で且吸水率が少なくとも50%以上の人
    工ゼオライト粉体と、該人工ゼオライト粉体に対して粘
    土若しくはセメントからなる固着材が5乃至20%容量
    割合、及びセルロース誘導体からなる接着剤が15乃至
    35%容量割合で配合したうえ適宜容量割合の水で分散
    混練した塗着混練材により、適宜厚さに塗着層が塗着形
    成されてなることを特徴とする内装用板材。
  2. 【請求項2】 その平均粒径が300μm以下の雲母、
    合成マイカ、バーミキュライト若しくはパーライトから
    なる意匠粉体が、塗着層に実質的に10乃至25%容量
    割合で配合されてなる請求項1記載の内装用板材。
  3. 【請求項3】 塗着層に実質的に無機顔料が2乃至7%
    容量割合で配合されてなる請求項1若しくは請求項2記
    載の内装用板材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1977814A2 (de) * 2007-04-02 2008-10-08 Udo Geipel Lochplattenanordnung zur Luftreinhaltung
EP1977814A3 (de) * 2007-04-02 2011-03-16 Udo Geipel Lochplattenanordnung zur Luftreinhaltung

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