JP2003096404A - 熱硬化性粉体塗料の製造方法 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料の製造方法

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JP2003096404A
JP2003096404A JP2001291212A JP2001291212A JP2003096404A JP 2003096404 A JP2003096404 A JP 2003096404A JP 2001291212 A JP2001291212 A JP 2001291212A JP 2001291212 A JP2001291212 A JP 2001291212A JP 2003096404 A JP2003096404 A JP 2003096404A
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curing
resin
curing agent
group
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Tetsuro Agawa
哲朗 阿河
Koichi Yamaguchi
浩一 山口
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用原料の選択幅を広げ、従来取り扱いが困
難であった常温液状又は半固形状の硬化剤を用いても、
均一な粒径分布及び高度な平均円形度を有し、塗装作業
性にも優れ、かつ外観に優れた塗膜が得られる熱硬化粉
体塗料を製造する方法を提供すること。 【解決手段】 硬化反応性基を有するガラス転移点50
℃以上の主剤樹脂(A)、該主剤樹脂(A)の硬化反応
性基と反応しうる常温液状及び/又は半固形状硬化剤
(B)、有機溶剤(C)とを含んでなる粉体塗料原料溶
液を、主剤樹脂(A)と硬化剤(B)とが実質的に硬化
反応を起こさない温度で、噴霧乾燥させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉体塗料組成物に
関する。さらに詳細には、本発明は、硬化反応性基を有
する常温固形の主剤樹脂(A)と、常温液状及び/又は
半固形状硬化剤(B)と、有機溶剤(C)とを必須の構
成成分として含んでなる粉体塗料原料溶液を、主剤樹脂
(A)と硬化剤(B)とが実質的に硬化反応を起こさな
い温度で、噴霧乾燥させる熱硬化性粉体塗料の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料は、塗装時に有機溶剤を大気中
に揮散することのない、環境調和型塗料として金属塗装
全般に広く使用されている。通常、熱硬化性粉体塗料
は、常温固形の主剤樹脂及び、常温固形の硬化剤及び各
種添加剤を乾式混合後、溶融混練、冷却、再度粉砕、分
級を経て製造される。ところで、所望の粉体塗料を得る
ために、分子量、ガラス転移温度、反応性等に関して適
切な特性を備えた原料を選択しようとした場合、硬化剤
として常温では固形ではなく液状のものの方が、より優
れた品質が得られることも多い。
【0003】しかしながら、従来の製造方法では常温液
状又は半固形状の硬化剤や液状のレベリング剤を用いる
場合には、乾式混合工程で液状又は半固形状の硬化剤と
主剤樹脂の混合が不十分になり、塗膜外観の低下やヘコ
ミ、ピンホールなどの問題を発生しやすい問題点を抱え
ている。このためシリカなどのフィラーにあらかじめ液
状、または半固形状硬化剤を担持させて固形状として用
いることが試みられているが、不必要なフィラーを添加
するため塗膜外観が低下することや溶融混練時の溶融粘
度が主剤樹脂と大きく離れているため、溶融混練時に主
剤樹脂との混合が不十分になり、塗膜外観、機械的な物
性が低下しやすい問題点を抱えている。
【0004】したがって、熱硬化性粉体塗料の製造に使
用し得る原料の選択の余地が狭くなり、粉体塗料の設計
上の大きな問題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述し
たような従来技術における種々の問題点ないしは欠点な
どを解決し、常温固形の主剤樹脂と常温液状又は半固形
状の硬化剤が十分混合された熱硬化性粉体塗料を容易に
製造する方法について、鋭意、研究を開始した。
【0006】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、使用原料の選択幅を広げ、従来取り扱いが困難で
あった常温液状又は半固形状の硬化剤を用いても、均一
な粒径分布及び高度な平均円形度を有し、塗装作業性に
も優れ、かつ外観に優れた塗膜が得られる熱硬化粉体塗
料を製造する方法、及び該製造方法によって得られる熱
硬化性粉体塗料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
課題を解決するべく、鋭意、研究を重ねた結果、硬化反
応性基を有するガラス転移点50℃以上の主剤樹脂
(A)と常温液状及び/又は半固形状の硬化剤(B)と
を、有機溶剤(C)に溶解させてなる粉体塗料原料溶液
を、主剤樹脂(A)と液状及び/又は半固形状の硬化剤
(B)とが実質的に硬化反応を起こさない温度で噴霧乾
燥させることにより、均一な粒径分布及び平均円形度に
優れた熱硬化性粉体塗料が得られること、等を見い出
し、ここに本発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち、本発明は、硬化反応性基を有す
るガラス転移点50℃以上の主剤樹脂(A)、該主剤樹
脂(A)の硬化反応性基と反応しうる常温液状及び/又
は半固形状硬化剤(B)、有機溶剤(C)とを必須の構
成成分として含んでなる粉体塗料原料溶液を、主剤樹脂
(A)と硬化剤(B)とが実質的に硬化反応を起こさな
い温度で、噴霧乾燥させることを特徴とする熱硬化性粉
体塗料の製造方法、を提供するものである。
【0009】また、本発明は上記の製造方法によって得
られる、平均粒径が5〜50μmで平均円形度が0.9
〜1である熱硬化性粉体塗料を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の詳細を具体的に
述べることにする。本発明の製造方法は、硬化反応性基
を有するガラス転移点50℃以上の主剤樹脂(A)、該
主剤樹脂(A)の硬化反応性基と反応しうる常温液状及
び/又は半固形状硬化剤(B)を、有機溶剤(C)に溶
解させ、さらに必要に応じて、顔料、他の樹脂類、硬化
触媒、添加剤等を該有機溶剤(C)に溶解あるいは分散
させた粉体塗料原料溶液を、主剤樹脂(A)と硬化剤
(B)とが実質的に硬化反応を起こさない温度で、噴霧
乾燥させることを特徴とするものである。
【0011】まず、本発明の熱硬化性粉体塗料において
用いられる粉体塗料原料溶液の必須の構成成分であるう
ちの、硬化反応性基を有する常温固形の主剤樹脂(A)
について述べることにする。
【0012】当該主剤樹脂(A)としては、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂など通常粉体塗料
で用いられている樹脂がいずれも使用できるが、なかで
もアクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。また、
当該主剤樹脂(A)としては、貯蔵時の保存安定性や塗
膜外観のバランスに優れる粉体塗料が得られることか
ら、ガラス転移点が50℃以上、特に60〜80℃の範
囲内にあるものが好ましい。主剤樹脂(A)及び硬化剤
(B)のガラス転移点はDSC(示差熱熱量分析)を用
いて最初の変曲点の温度として求めることができる。
【0013】主剤樹脂(A)がアクリル樹脂の場合、当
該主剤アクリル樹脂を調製するには、公知慣用の方法が
適用できるが、硬化反応性基含有ビニル単量体を、さら
に必要に応じて他の共重合可能なビニル単量体類をも用
いて、これらの各単量体類を有機溶剤中で重合せしめる
という方法が、最も簡便であるので推奨される。その際
に使用する重合開始剤や溶剤としては、公知慣用のもの
がそのまま使用できる。
【0014】アクリル樹脂の硬化反応性基としては、エ
ポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ
基、酸無水基、(ブロック)イソシアネート基などが挙
げられるが、製造が容易いなことから、エポキシ基、カ
ルボキシル基および水酸基からなる群から選ばれる少な
くとも1つであることが望ましい。
【0015】硬化反応性基を有するビニル単量体類とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ま
ず、硬化反応性基がエポキシ基の場合には、例えばグリ
シジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル
(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、ア
リルグリシジルエーテルの如き、各種のエポキシ基含有
単量体類;(2−オキソ−1,3−オキソラン)メチル
(メタ)アクリレートの如き、(2−オキソ−1,3−
オキソラン)基含有ビニル単量体類;3,4−エポキシ
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキ
シシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4
−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート
の如き、各種の脂環式エポキシ基含有ビニル単量体など
がある。
【0016】硬化反応性基がカルボキシル基の場合に
は、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸の如き、各種のカルボキシル
基含有単量体類;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエ
チル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノイソブチル、
フマル酸モノtert−ブチル、フマル酸モノヘキシ
ル、フマル酸モノオクチル、フマル酸モノ2−エチルヘ
キシル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチ
ル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノイソブチ
ル、マレイン酸モノtert−ブチル、マレイン酸モノ
ヘキシル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ2
−エチルヘキシルの如き、各種のα,β−不飽和ジカル
ボン酸と、炭素数が1〜18なる1価アルコールとのモ
ノエステル類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ
エチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノイソブ
チル、イタコン酸モノヘキシル、イタコン酸モノオクチ
ル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシルの如き、イタコ
ン酸モノアルキルエステルなどがある。
【0017】硬化反応性基が水酸基の場合には、例えば
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
トの如き、各種の水酸基含有(メタ)アクリレート類;
上掲したような各種の(メタ)アクリレートと、ε−カ
プロラクトンの付加反応生成物;
【0018】2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3
−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ
プロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニル
エーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、5−
ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘ
キシルビニルエーテルの如き、各種の水酸基含有ビニル
エーテル類;上掲したような各種のビニルエーテルと、
ε−カプロラクトンとの付加反応生成物;
【0019】2−ヒドロキシエチル(メタ)アリルエー
テル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテ
ル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、
4−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロピル(メタ)アリルエーテル、5−
ヒドロキシペンチル(メタ)アリルエーテル、6−ヒド
ロキシヘキシル(メタ)アリルエーテルの如き、各種の
水酸基含有アリルエーテル;上掲したような各種のアリ
ルエーテルと、ε−カプロラクトンとの付加反応生成物
などがある。
【0020】さらに、他の共重合可能なビニル単量体類
をも、必要に応じて、使用できるが、かかる他の共重合
可能な単量体類として特に代表的なもののみを例示する
にとどめれば、例えばメチルアクリレート、エチルアク
リレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリ
レートの如き、各種のアクリル酸エステル類;メチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert
−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、ベンジルメタクリレートの如き、各種のメタクリル
酸エステル類;
【0021】エチレン、プロピレン、ブテン−1の如
き、各種のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリ
デンの如き、フルオロオレフィンを除く各種のハロゲン
化オレフィン類(ハロ・オレフィン類);スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き、各種の芳香
族ビニル単量体;
【0022】フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フ
マル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、マレイン酸ジメ
チル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレ
イン酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジ
エチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチルの
如き、各種の不飽和ジカルボン酸と、炭素数が1〜18
なる1価アルコールとのジエステル類;
【0023】N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリル
アミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミド、N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミドの如き、各種のアミノ基含有アミド系不飽和単量
体類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ
エチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き、各種
のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;
【0024】tert−ブチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、tert−ブチルアミノプロピル(メタ)
アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレー
ト、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピペリ
ジニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアミ
ノ基含有単量体類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、
無水シトラコン酸、無水(メタ)アクリル酸、無水テト
ラヒドロフタル酸の如き、各種の酸無水基含有単量体
類;
【0025】ジエチル−2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルフォスフェート、ジブチル−2−(メタ)アク
リロイルオキシブチルフォスフェート、ジオクチル−2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、
ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフ
ォスフェートの如き、各種の燐酸エステル基含有単量体
類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルメチルジメトキシシランの如き、各種の加水分
解性シリル基含有単量体;
【0026】酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビ
ニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸
ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、炭素原
子数9なる分岐状(分枝状)脂肪族カルボン酸ビニル、
炭素原子数10なる分岐状脂肪族カルボン酸ビニル、炭
素原子数11なる分岐脂肪族カルボン酸ビニル、ステア
リン酸ビニルの如き、各種の脂肪族カルボン酸ビニル
類;
【0027】シクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチル
シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、p
−tert−ブチル安息香酸ビニルの如き、環状構造を
有するカルボン酸の、各種のビニルエステル類などがあ
る。
【0028】以上に例示したような、種々の硬化反応性
基含有ビニル単量体の使用量は、使用するビニル単量体
総量の10〜70重量%なる範囲内が好ましい。硬化反
応性基含有ビニル単量体の使用量が上記した範囲内であ
れば、機械的物性及び柔軟性に優れるような塗膜を得る
ことができる。
【0029】当該主剤アクリル樹脂(A)の数平均分子
量としては、1,000〜20,000の範囲内にある
ことが好ましく、なかでも1,500〜15,000な
る範囲内にあることがより好ましい。
【0030】当該主剤樹脂(A)として用いるポリエス
テル樹脂を得るための調製方法については、特に制限は
なく、公知慣用の種々の方法が利用できるが、多価アル
コールと多塩基酸を縮合せしめる方法により製造するこ
とができる。硬化反応性基としては、調製の容易さか
ら、カルボキシル基及び/又は水酸基が好ましく採用さ
れる。
【0031】主剤樹脂(A)として用いるポリエステル
樹脂の原料として使用し得る多価アルコールならびに多
塩基酸もまた、公知慣用の種々の化合物が使用でき、こ
れら多価アルコールと多塩基酸の使用量を調節すること
により、カルボキシル基及び/または水酸基を有するポ
リエステル樹脂を得ることができる。
【0032】まず、上記した多価アルコールとして特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、トリエチレングリコール、ビス−ヒドロキシエチル
テレフタレート、シクロヘキサンジメタノール、オクタ
ンジオール、ジエチルプロパンジオール、ブチルエチル
プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオ
ール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水添
ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオ
キサイド付加物、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリ
スヒドロキシエチルイソシアヌレート、ヒドロキシピバ
リルヒドロキシピバレートなどがある。
【0033】他方の、上記した多塩基酸として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、テレフタル酸、
イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸あるいはそれらの無水物;コ
ハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸あるい
はそれらの無水物;マレイン酸、イタコン酸あるいはそ
れらの無水物;フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチ
ルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチ
ルヘキサヒドロフタル酸あるいはそれらの無水物;シク
ロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸などがある。
【0034】さらに、ポリエステル樹脂の原料として
は、ジメタノールプロピオン酸、ヒドロキシピバレート
の如き、一分子中にカルボキシル基と水酸基とを併せ有
する化合物;「カージュラ E10」(オランダ国シェ
ル社製の、分岐脂肪族カルボン酸のグリシジルエステル
の商品名)などのモノエポキシ化合物;メタノール、プ
ロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールの如き、
種々の1価アルコール;安息香酸、p−tert−ブチ
ル安息香酸の如き、種々の1価の塩基酸;ひまし油脂肪
酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸の如き、種々の脂肪酸
類なども使用することができる。
【0035】以上に掲げたような、種々の多価アルコー
ル、多塩基酸、その他の原料等を用いて得られる、ポリ
エステル樹脂としては、就中、酸価と水酸基価との合計
が10〜250(mgKOH/g;以下同様)なる範囲
内で、しかも、数平均分子量が500〜10,000な
る範囲内であるような形のものの使用が望ましい。
【0036】当該ポリエステル樹脂の構造は、上述した
ような樹脂の諸特性値の範囲内であれば、特に制限され
るものではなく、分岐構造のものでも、線状構造のもの
でもよい。
【0037】当該主剤樹脂(A)として用いことのでき
るエポキシ樹脂としては、特に限定はないが、例えばビ
スフェノール−Aのポリグリシジルエーテルの如きエポ
キシ樹脂が好適に使用できる。
【0038】次に、硬化剤(B)について述べる。本発
明で用いられるところの常温液状及びまたは半固形状の
硬化剤(B)は、主剤樹脂(A)の硬化反応性基の種類
に応じて、適宜選択して使用することができる。常温液
状または半固形状とは25℃で粉末化できない状態を意
味し、粘度としては塗膜の平滑性を考慮すると100℃
で100Pa.s以下のものが好ましい。
【0039】かかる硬化剤(B)としては、主剤樹脂
(A)の硬化反応性基がエポキシ基の場合、特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、ダイマー酸の如き
一分子中に複数のカルボシル基を有する液状化合物、カ
ルボキシル基含有の液状又は半固形状のポリエステル樹
脂やアクリル樹脂が挙げられる。
【0040】また、主剤樹脂(A)の硬化反応性基がカ
ルボキシル基の場合、硬化剤(B)として特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、ビスフェノールAの
ポリグリシジルエーテルの如き、種々のエポキシ樹脂;
グリシジル基含有アクリル樹脂の如き、エポキシ基含有
アクリル樹脂;1,6−ヘキサンジオール、トリメチロ
ールプロパンの如き、種々の多価アルコールのポリグリ
シジルエーテル類;、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘ
キサヒドロフタル酸の如き、種々の多価カルボン酸のポ
リグリシジルエステル類;脂環族エポキシ樹脂などがあ
る。
【0041】主剤樹脂(A)の硬化反応性基が水酸基の
場合、硬化剤(B)として特に代表的なものとしては、
ポリブロックイソシアネート化合物や、アミノプラスト
等が好適である。
【0042】ポリブロックポリイソシアネート化合物と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネートの如き、各種の脂肪族ジイソシア
ネート類;キシリレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネートの如き、各種の環状脂肪族ジイソシアネ
ート類;トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェ
ニルメタンジイソシアネートの如き、各種の芳香族ジイ
ソシアネート類などの有機ジイソシアネート、あるいは
此等の有機ジイソシアネートと、多価アルコール、低分
子量ポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)また
は水などとの付加物を活性水素化合物でブロックしたも
のなどがあるし、
【0043】さらには、上掲したような有機ジイソシア
ネート同志の重合体(イソシアヌレート型ポリイソシア
ネート化合物をも含む。)や、イソシアネート・ビウレ
ット体などのような各種のポリイソシアネート化合物を
公知慣用のブロック化剤で以てブロック化せしめて得ら
れる形のものや、下記構造式
【0044】
【化1】
【0045】で示されるウレトジオン結合を構造単位と
して有する、いわゆるセルフ・ブロックポリイソシアネ
ート化合物等が挙げられる。
【0046】一方、アミノプラストとしては、例えばメ
ラミン、尿素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、
ステログアナミン、スピログアナミンの如き、種々のア
ミノ基含有化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザールの如き、
種々のアルデヒド系化合物成分とを、公知慣用の種々の
方法により反応せしめることによって得られる形の縮合
物、あるいは此等の縮合物を、アルコール類で以てエー
テル化せしめることによって得られる形の化合物などが
ある。
【0047】かかるアミノプラストとして特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、ヘキサメトキシメチ
ロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メチロールメ
ラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミ
ン、メチルエーテル化メチロールメラミン、n−ブチル
エーテル化メチロールメラミン、イソブチルエーテル化
メチロールメラミン、あるいはそれらの縮合物;ヘキサ
ブトキシグリコールウリルの如き、種々の双環状化合
物;脂肪族二塩基酸と、ジエタノールアミンなどのよう
な種々のアルカノールアミンとの縮合反応によって得ら
れるという形の種々の酸アミド類;N−メチロールアク
リルアミドのブチルエーテルなどのような重合性単量体
を単独で、あるいは他の共重合可能なる単量体類と共重
合反応せしめて得られるような、種々の高分子化合物な
どがある。
【0048】尚、上記ヘキサメトキシメチロールメラミ
ンは「サイメル 300、301もしくは303」(三
井サイアナミッド社製品)として;メチルブチル混合エ
ーテル化メチロールメラミンは「サイメル 238、2
32もしくは266」(三井サイアナミッド社製品)と
して;n−ブチルエーテル化メチロールメラミンは「ス
ーパーベッカミン L−164」(大日本インキ化学工
業(株)社製品)として市販されている。;
【0049】上記硬化剤(B)は、単独でも2種以上を
組み合わせて使用してもよい。また、常温固形の各種硬
化剤を併用してもよい。主剤樹脂(A)の硬化反応性基
と硬化剤の配合量は、塗料の貯蔵安定性と当量関係を考
慮して(B)/(A)=1/99〜30/70(重量
比)、が好ましく、より好ましくは5/95〜15/8
5である。
【0050】本発明で用いられる粉体塗料原料溶液は、
噴霧する際の温度以下、好ましくは噴霧する際の温度よ
り低い温度、例えば常温において、主剤樹脂(A)と硬
化剤(B)が有機溶剤(C)に完全に溶解した状態にあ
ることが好ましい。
【0051】主剤樹脂(A)と硬化剤(B)が有機溶剤
(C)に完全に溶解している場合には、従来の製造方法
で行われているような溶融混練による混合に比べ、主剤
樹脂と硬化剤がより均一に混合されるため、得られた粉
体塗料から形成される塗膜の、塗膜外観をはじめとする
各種塗膜物性が格段に向上する。
【0052】さらに、必要に応じて、顔料、他の樹脂
類、硬化触媒、添加剤等を粉体塗料原料溶液に加えて溶
解あるいは分散し、塗料化してもよい。
【0053】顔料類として特に代表的なもののみを例示
するにとどめれば、公知慣用の酸化チタンなど種々の無
機顔料、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナク
リドン系の如き、公知慣用の種々の有機顔料、硫酸バリ
ウム、炭酸カルシウムなどの公知慣用の種々の体質顔
料、さらには、アルミ・フレーク、マイカ・フレークの
如き、公知慣用の種々の光輝性(メタリック調)顔料な
どがある。
【0054】他の樹脂類として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、アクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、あるいは塩素化ポリエ
チレン、塩素化ポリプロピレン、石油樹脂、エポキシ樹
脂、塩化ゴムの如き、各種の樹脂類であって、かつ主剤
樹脂(A)及び硬化剤(B)以外の樹脂が挙げられる。
【0055】硬化触媒としては、主剤樹脂(A)と硬化
剤(B)の組み合わせに応じて公知慣用のものがそのま
ま使用できる。
【0056】添加剤類としては、流動調整剤類、色別れ
防止剤類、酸化防止剤類、紫外線吸収剤類、光安定剤
類、シランカップリング剤類等、公知慣用の添加剤類等
がある。
【0057】更に、必要に応じて、ニトロセルロース、
セルロースアセテートブチレートの如き、各種の繊維素
誘導体類等を使用してもよい。
【0058】次の本発明で用いられる溶剤(C)につい
て述べる。溶剤(C)は、主剤樹脂(A)及び/又は硬
化剤(B)を溶解する溶剤が使用でき、また1種でも、
2種以上の溶剤の併用してもよく、なかでも主剤樹脂
(A)及び硬化剤(B)を溶解する溶剤が好ましい。主
剤樹脂(A)が、溶液重合で得られた樹脂のような場合
には、主剤樹脂(A)の重合の際に用いた溶剤をそのま
ま、溶剤(C)の一部にあるいは全部に使用することも
できる。
【0059】粉体塗料原料溶液は、主剤樹脂(A)及び
硬化剤(B)の両方を溶解するような少なくとも1種の
溶剤を使用することによって、あるいは主剤樹脂(A)
を溶解するような溶剤と硬化剤(B)を溶解するような
溶剤を組み合わせて用いることによって、調製される。
さらには、主剤樹脂(A)と硬化剤(B)の両方を溶解
するような溶剤に、主剤樹脂(A)または硬化剤(B)
のどちらか一方のみを実質的に溶解するような溶剤を併
用することによって調製してもよい。
【0060】かかる溶剤(C)として代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、メタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタ
ノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、n−ヘ
キサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノー
ル、シクロヘキサノールの如き、アルキルアルコール
類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セリンの如き、多価アルコール類;
【0061】メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブ
チルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエ
ーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチ
レングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテ
ル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピ
レングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコー
ルジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピル
エーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、メ
チルカルビトール、エチルカルビトール、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテ
ル、ジエチレングリコールジブチルエーテルの如き、グ
リコールエーテル類;
【0062】ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベ
ンゼンの如き芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘ
キサン、n−オクタンの如き、脂肪族炭化水素類;シク
ロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、
エチルシクロヘキサンの如き、脂環族炭化水素類;ミネ
ラルスピリットの如き、混合炭化水素類;
【0063】ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチル
エーテルの如き、エーテル類;アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケト
ン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロ
ンの如き、ケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n
−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢
酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢
酸アミルの如き、エステル類;
【0064】N−メチルピロリドン、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネート等
がある。
【0065】溶剤(C)は、1種でも、2種以上の混合
溶剤でもよいが、噴霧乾燥時に溶剤の除去が十分に行わ
れるという観点からは、溶剤(C)のうちの少なくとも
65重量%以上が、より好ましくは70重量%以上が、
常圧における沸点が100℃以下の溶剤で占められてい
ることが望ましい。
【0066】本発明の製造方法は、上述してきた、硬化
反応性基を有するガラス転移点50℃以上の主剤樹脂
(A)、該主剤樹脂(A)の硬化反応性基と反応しうる
常温液状及び/又は半固形状硬化剤(B)を、有機溶剤
(C)に溶解させ、さらに必要に応じて、顔料、他の樹
脂類、硬化触媒、添加剤等を該有機溶剤(C)に溶解あ
るいは分散させた粉体塗料原料溶液を、主剤樹脂(A)
と硬化剤(B)とが実質的に硬化反応を起こさない温度
で、噴霧乾燥させることを特徴とするものである。
【0067】次に、噴霧乾燥装置について述べる。噴霧
乾燥に用いる装置は、噴霧された粉体塗料原料溶液から
有機溶剤を除去することのできるものであればよいが、
通常は噴霧された粉体塗料原料溶液を熱源ガスと接触さ
せて有機溶剤を揮発させる噴霧乾燥装置を使用するが、
有機溶剤を揮発させることから、装置は防爆仕様である
ことが望ましい。また、噴霧された粉体塗料原料溶液を
乾燥させるために使用される熱源ガス中の溶剤の蒸気含
有量を低く保つという観点からは、溶剤回収装置を備え
ることが望ましい。
【0068】粉体塗料原料溶液と熱源ガスの接触方式は
特に限定されず、通常用いられているような、並流式、
向流式、並流・向流混合式のようないずれの方式でもよ
い。
【0069】粉体塗料原料溶液の噴霧方式についても、
回転円盤式、二流体ノズル式、圧力ノズル式など、公知
慣用のものがいずれも使用できる。噴霧する際の、粒子
径をコントロールするための因子としては、回転円盤式
においては、円盤の回転速度、二流体ノズル式において
は、ノズルからの吐出速度、原料溶液と混合して使用さ
れる圧縮空気と原料溶液の混合比、圧力ノズル式におい
ては、吐出圧力等があるが、これらの値については、目
標とする粒子径に応じて適宜決定すればよい。
【0070】原料溶液の供給速度、熱源ガスの流量につ
いても、目標とする粒子径にあわせて、適宜決定すれば
良いが、噴霧乾燥中に原料溶液の供給速度や熱源ガスの
流量が変化すると、得られる粒子の粒子径、粒子径分布
や不揮発分の値も変化するため、噴霧乾燥中は一定に保
つことが望ましい。
【0071】通常、噴霧乾燥により得られた粒子を含む
熱源ガスは、引き続き、サイクロンに代表される分級装
置へ導かれ、粒子の捕集・分級が行われる。
【0072】熱源ガスとしては、不活性ガスが望まし
い。なかでもコスト等の点からは窒素ガスの使用が望ま
しい。熱源ガスの温度は、粉体塗料原料溶液の主剤樹脂
(A)と硬化剤(B)が実質的に硬化反応を起こさない
ような温度、すなわち、一部硬化反応が起こったとして
も得られる粉体塗料の塗料としての性能が実質的に損な
われることのないような温度範囲で、適宜決定すればよ
い。熱源ガスの温度の下限については特に制限はない
が、効率よく溶剤を蒸発させるためには、40℃以上、
より好ましくは50℃以上とすることが望ましい。通常
は、熱源ガスの温度は40〜130℃の範囲で適宜決定
される。例えば、主剤樹脂(A)がカルボキシル基含有
アクリル樹脂で硬化剤(B)がエポキシ基含有化合物の
ような場合には40℃〜100℃、主剤樹脂(A)が水
酸基含有樹脂で硬化剤(B)がポリブロックイソシアネ
ート化合物やアミノプラストの場合には40〜130℃
である。熱源ガスの流量及び粉体塗料原料溶液の供給速
度は、得られる粒子の不揮発分が99重量%以上となる
ような条件下で、目的とする粒子径に合わせて適宜調整
すれば良い。装置内の圧力は、常圧でも、減圧あるいは
加圧でも特に制限されない。
【0073】また、噴霧乾燥を行う際の粉体塗料原料溶
液の不揮発分濃度は、噴霧乾燥装置の仕様、噴霧乾燥す
る条件に応じて適宜決定すればよい。
【0074】さらに溶剤の蒸発をより効率的に行わせる
ために、粉体塗料原料溶液を、噴霧乾燥する前に予備加
熱しても良い。その際に予備加熱する温度は、粉体塗料
原料溶液のゲル化を防止するため、70℃以下であるこ
とが望ましく、また予備加熱後できるだけ速やかに噴霧
乾燥することが望ましい。
【0075】かくして得られた粉体塗料は、そのままで
粉体塗料として使用することができるが、さらに、必要
に応じて、真空乾燥等の他の乾燥方法で二次乾燥させて
もよい。その際には、粉体塗料のゲル化を防止するた
め、二次乾燥は約70℃以下の温度で行うことが望まし
い。
【0076】本発明の製造方法によって得られる熱硬化
性粉体塗料の粒径は、体積平均粒径が5〜50μmであ
ることが好ましい。薄膜時の平滑性を考慮すればより好
ましくは10〜30μmである。上記の平均粒径は体積
平均メディアン径を意味し、例えば、島津製作所製のレ
ーザー回折式粒度測定装置(SALD―2000)で測
定することができる。
【0077】また、本発明の製造方法によって得られる
熱硬化性粉体塗料は、本質的に球状であり、その平均円
形度は0.9以上であることが好ましい。球状の粉体塗
料を用いることにより塗料流動性、再塗装性が向上す
る。この観点から、好ましくは円形度0.9以上の粒子
が頻度50%以上、より好ましくは頻度70%以上であ
ることが好適である。
【0078】ここでいう円形度及び平均円形度とは、粒
子表面の凹凸状態を表す粒子形状指数のひとつであり、
次式のように表される。
【0079】円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の
周長)/(粒子投影像の周長)
【0080】したがって、円形度は粒子像が真円であれ
ば1となり、粒子像が真円から逸脱し、細長い形状ある
いはデコボコしているほど小さい値となる。平均円形度
は各粒子の円形度を全て足し合わせた値を、全粒子数で
割算することにより求められる。上記粉体塗料の形状及
び平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−
1000、東亜医用電子(株)製)により測定すること
ができる。また、走査型電子顕微鏡によっても、粉体塗
料の形状を確認することができる。
【0081】また得られた粉体塗料は、さらに、必要に
応じて、粉砕工程あるいは造粒工程により、粒子径を調
整して使用してもよい。
【0082】そして、本発明の熱硬化性粉体塗料は、主
として、自動車上塗り用、自動車中塗り用、自動車部品
用、建材用、家電製品用、各種金属製品用の塗料など
に、広範に利用し適用することが出来る。
【0083】ここにおいて、本発明の粉体塗料を適用す
る際に用いられる、いわゆる被塗物基材として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、アルミニウム、
ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板、ブ
リキ板の如き、各種の金属素材または金属製品類;瓦
類;ガラス類;各種の無機質建材類などがあり、具体的
には、自動車車体または自動車(用)部品類;二輪車ま
たは二輪車(用)部品類;門扉またはフェンス類の如
き、各種の建材類;アルミサッシ類の如き、各種の建築
内外装用資材類;アルミホイールなどのような、種々の
鉄または非鉄金属類の諸素材類ないしは諸製品類などが
ある。
【0084】本発明の製造方法により得られる粉体塗料
は、常法により、上掲したような種々の被塗物基材類に
塗布され、次いで、常法に従って、焼き付け乾燥せしめ
るということによって、塗膜の、とりわけ、外観、なら
びに機械的物性などに優れた塗膜を与えることが出来る
ものである。
【0085】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例及び比較例に
より、一層具体的に説明するが、本発明はこれらの例示
例にのみ限定されるものではない。以下において、特に
断りのない限りは、「部」は、すべて「重量部」を意味
するものとする。
【0086】参考例1(エポキシ基含有液状アクリル樹
脂(B−1)の調製) 温度計、撹拌機、還流冷却器および窒素導入口を備えた
反応容器に、キシレンの100部を入れ、125℃にま
で昇温した。これに、単量体としての、グリシジルメタ
クリレートの50部、2−エチルヘキシルアクリレート
の40部、メチルメタクリレートの10部と、重合開始
剤としてのtertーブチルパーオキシ2ーエチルヘキ
サノエートの6部とからなる混合物を、5時間に亘って
滴下した。滴下終了後も、同温度に、さらに、10時間
のあいだ保持して、重合反応を続行し反応を完結せしめ
ることによって、エポキシ基含有アクリル樹脂(B−
1)の溶液(B’−1)を得た。溶液(B’−1)の溶
剤を加熱減圧下に取り除き、不揮発分99.9%で半固
形状のエポキシ基含有液状アクリル樹脂(B−1)を得
た。エポキシ当量は300であった。
【0087】実施例1(熱硬化粉体塗料(X−1)の調
製例) ファインディック M−8620(大日本インキ化学工
業製 カルボキシル基含有固形ポリエステル樹脂 酸価
26、ガラス転移点68℃)92部、エピクロン850
(大日本インキ化学工業製、常温液状のビスフェノール
Aジグリシジルエーテル樹脂)8部、キュアゾールC1
7Z(四国化成社製 イミダゾール)0.3部、ベンゾ
イン0.5部、モダフロー(モンサント社製レベリング
剤)1部をメチルエチルケトン200部、イソプロピル
アルコール50部中に加熱溶解した。
【0088】ついで、酸化チタン50部をサンドミルで
上記樹脂溶液中に混合分散させた後、この有機溶剤溶液
を溶剤回収装置を備えた防爆型の垂直下降並流式噴霧乾
燥装置で、噴霧方式として回転円盤式を用いて噴霧乾燥
した。円盤の回転速度を15,000rpmとし、熱源
ガスとしては窒素ガスを用い、原料溶液と熱源ガスを垂
直下降並流式で接触させた。ガスの温度は120℃に設
定した。60℃に予備加熱した粉体塗料原料溶液を供給
速度0.5kg/hrで噴霧乾燥装置中に噴霧し、装置
内で乾燥された粉体塗料の粒子をサイクロンで捕集する
ことによって、熱硬化性粉体塗料(X−1)を得た。粒
子の平均粒径は20μmで、平均円形度は0.98であ
った。
【0089】実施例2(熱硬化粉体塗料(X−2)の調
製例) ファインディック M−8420(大日本インキ化学工
業製 カルボキシル基含有固形ポリエステル樹脂 酸価
33、ガラス転移点62℃ )85部、参考例1で調製
したエポキシ基含有アクリル樹脂(B−1)15部、ベ
ンゾイン0.5部、モダフロー(モンサント社製レベリ
ング剤)1部 をメチルエチルケトン250 部、中に
加熱溶解した。ついで、酸化チタン50部をサンドミル
で上記樹脂溶液中に混合分散させた後、この有機溶剤溶
液を実施例1と同様にして噴霧乾燥した。装置内で乾燥
された粉体塗料の粒子をサイクロンで捕集することによ
って、熱硬化性粉体塗料(X−2)を得た。粒子の平均
粒径は18μmで、平均円形度は0.97であった。
【0090】比較例1(熱硬化粉体塗料(X−1)を溶
融混練法で調製した比較例) ファインディック M−8620(大日本インキ化学工
業製 グリシジル基含有固形アクリル樹脂 エポキシ当
量500 )85部、エポキシ基含有液状アクリル樹脂
(B−1) 15部、ベンゾイン0.5部、モダフロー
(モンサント社製レベリング剤)1部、酸化チタン50
部 をヘンシェルミキサーで1500回転で2分間混合
した後、ブス社コニダーPR46型1軸混練機を用いて
100℃で100回転で溶融混練し、冷却後、微粉砕
し、200メッシュ金網で分級して熱硬化性粉体塗料
(Y−1)を得た。粉体塗料の平均粒径は20μmで平
均円形度0.82であった。
【0091】比較例2(熱硬化粉体塗料(X−2)を溶
融混練法で調製した比較例) ファインディック M−8420、84部、エピクロン
850 16部、キュアゾールC17Z 0.3部、ベ
ンゾイン0.5部、モダフロー(モンサント社製レベリ
ング剤)1部、酸化チタン50部 をヘンシェルミキサ
ーで1500回転で2分間混合した後、ブス社コニダー
PR46型1軸混練機を用いて100℃で100回転で
溶融混練し、冷却後、微粉砕し、200メッシュ金網で
分級して熱硬化性粉体塗料(Y−1)を得た。粉体塗料
の平均粒径は18 μmで平均円形度0.79であっ
た。
【0092】
【表1】
【0093】実施例(X−1)〜(X−2)及び比較参
考用として熱硬化性粉体塗料(Y−1)〜(Y―2)
を、粉体塗装用静電スプレー塗装機で、燐酸亜鉛処理を
施した0.8mm厚の磨き鋼板上に塗装せしめ、次い
で、180℃で20分焼き付けを行なうことによって、
硬化塗膜の形成された各種の試験板を得た。それらの塗
膜の外観評価判定結果及び塗料の塗装作業性評価結果
を、まとめて、第2表に示す。
【0094】
【表2】
【0095】《塗料及び塗膜諸物性評価判定の要領》膜
厚 ;電磁膜厚計を用いて測定した。 平滑性 ;目視判定により、5段階の評価判定を行な
った。 評価「5」 ;非常にスムーズなる平滑な塗面の場合 評価「4」 ;小さいラウンドが有る場合 評価「3」 ;大きなラウンドが有る場合 評価「2」 ;大きなラウンドが有り、細かいチリ肌が
多く認められる場合 評価「1」 ;大きなラウンドが有り、細かいチリ肌が
著しく、塗膜外観を著しく損ねている場合
【0096】塗膜光沢 ;JIS−K5400の鏡面
光沢度により測定した。 耐衝撃性 ;Dupont衝撃試験機を用い、塗面に
1/2インチ径のポンチをセットし、500gの荷重を
落下させた時にワレの発生しない高さ(cm)を測定し
た。 塗装作業性 ;粉体塗料を流動層からインジェクター
を経由してホースにより2時間連続して塗装した後、イ
ンジェクター及びホース内での粉体塗料の堆積状態を目
視判定した。 評価 ◎ ;粉体塗料が全く堆積しなかった 評価 ○ ;粉体塗料がほとんど堆積しなかった 評価 × ;粉体塗料が堆積してインジェクターまた
はホースがほとんど閉塞した
【0097】
【発明の効果】以上に詳述して明らかなように、本発明
の製造方法によって得られた熱硬化性粉体塗料は、とり
わけ、平滑性に優れているし、加えて、塗料の塗装作業
性にも優れているという、本発明の目的とする諸効果の
発現が認められる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/08 C09D 201/08 Fターム(参考) 4J038 CE051 CG001 CG002 CG011 CG061 CG141 CH031 CH041 CH071 CH111 CH121 CH171 CJ131 DA132 DA162 DB001 DB022 DB061 DB062 DB092 DB262 DD001 DD051 DG292 DG302 GA03 GA06 GA07 GA08 GA09 GA11 KA03 KA06 MA02 MA13 MA14 PA02 PA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化反応性基を有するガラス転移点50
    ℃以上の主剤樹脂(A)、該主剤樹脂(A)の硬化反応
    性基と反応しうる常温液状及び/又は半固形状硬化剤
    (B)、有機溶剤(C)とを必須の構成成分として含ん
    でなる粉体塗料原料溶液を、主剤樹脂(A)と硬化剤
    (B)とが実質的に硬化反応を起こさない温度で、噴霧
    乾燥させることを特徴とする熱硬化性粉体塗料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 主剤樹脂(A)の硬化反応性基が、エポ
    キシ基、カルボキシル基及び水酸基からなる群から選ば
    れる少なくとも1種である、請求項1に記載の熱硬化性
    粉体塗料の製造方法。
  3. 【請求項3】 主剤樹脂(A)がカルボキシル基含有ポ
    リエステル樹脂であり、硬化剤(B)がエポキシ基含有
    樹脂である、請求項1又は2に記載の熱硬化性粉体塗料
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 硬化剤(B)がエポキシ基含有アクリル
    樹脂である、請求項3に記載の熱硬化性粉体塗料の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
    法によって得られる、平均粒径が5〜50μmで平均円
    形度が0.9〜1である熱硬化性粉体塗料。
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