JP2003096394A - 水性塗料組成物、およびその塗膜を形成した部材 - Google Patents

水性塗料組成物、およびその塗膜を形成した部材

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JP2003096394A
JP2003096394A JP2001285089A JP2001285089A JP2003096394A JP 2003096394 A JP2003096394 A JP 2003096394A JP 2001285089 A JP2001285089 A JP 2001285089A JP 2001285089 A JP2001285089 A JP 2001285089A JP 2003096394 A JP2003096394 A JP 2003096394A
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coating film
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metal silicate
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Akira Shimai
曜 島井
Masahiro Yamamoto
政宏 山本
Kazuo Takahashi
一雄 高橋
Mitsuhide Shimobukikoshi
光秀 下吹越
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚を厚くしてもクラックの発生がなく、基
材から剥離しにくい塗膜を形成する水性塗料組成物を提
供する。 【解決手段】 光触媒粒子と、SiO/MeO比
(モル比、Me=アルカリ金属)が10〜160である
アルカリ金属珪酸塩と、耐候性樹脂のエマルジョンと、
沸点が100℃以上である常温で液体の有機化合物とを
含む構成とした。SiO/MeO比を所定の範囲に
すると粒子状のアルカリ金属珪酸塩の存在比が増加し、
その溶液を用いることで、膜厚を厚くしてもクラックが
発生しにくくなる。また、沸点が100℃以上である常
温で液体の有機化合物を用いることで、塗膜が剥離しに
くくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性塗料組成物お
よびこの水性塗料組成物からなる塗膜を形成した部材に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境汚染や安全な作業環境の確保
の観点から、塗料分野では有機溶剤から水系へと分散媒
の変更が求められている。また、光触媒のもつ酸化分解
力、超親水性を利用した光触媒塗料の開発が多く行わ
れ、前者の効果を生かして、排気ガスに含まれる有機物
質やNOx、SOxの分解機能を有する壁材や建材、後
者の効果を生かして、雨水や流水で汚れが落ちる機能
(自浄効果機能)を有する壁材、建材などに用いられて
いる。
【0003】塗料や塗装鋼板、プラスチックなどの樹脂
製品(表面に有機物を有する基材)の表面に水性光触媒
塗料を塗布する場合、バインダーとして無機系のものを
使用すると、単体ではぬれ性が悪く、界面活性剤を添加
してぬれ性を向上させても塗膜と基材との密着性がない
ので、その使用は不適である。一方、有機系のものを使
用すると、単体では光触媒から発生する活性酸素によっ
てバインダーが分解され、塗膜形状を維持しない。その
ため、光触媒活性と塗膜形状の維持を両立させるため
に、(a)単体のバインダーで無機・有機成分を含むも
のを使用したり、(b)無機系バインダー、有機系バイ
ンダーの併用などが考案されている。
【0004】本出願人は、先に(a)、(b)の両者を
組み合わせた方法として、光触媒、アルカリ金属珪酸
塩、界面活性剤、アクリルシリコーンもしくはアルキル
アルコキシシランから構成される水性塗料組成物(特開
2001−31907号公報)を提案した。この水性塗
料組成物は、塗膜の耐候性に有効な無機成分の比率が高
いにもかかわらず、常温硬化が可能であり、表面に有機
物を有する基材へのぬれ性があるため、建物外壁のよう
な現場塗装が対応可能であり、塗装仕様を広げることが
できた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の水
性光触媒塗料は、クラックの発生と耐剥離性について改
良の余地が残されていた。すなわち、塗膜の耐候性を高
めるため塗膜の膜厚を1μm以上にすると、アルカリ金
属珪酸塩の分子量が小さいため、硬化の際の収縮が大き
くクラックが発生しやすくなり、上記水性塗料組成物に
使用しているアクリルシリコーンの形態はエマルジョン
であるが、上記組成では塗膜乾燥時のエマルジョン粒子
どうしの融合が十分でないため、塗膜の膜厚を厚くする
と下地から剥離しやすくなった。本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、塗膜の膜厚を厚くしても、ク
ラックや剥離の生じない光触媒粒子を含有する水性塗料
組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、光触媒粒子と、SiO/MeO比
(モル比、Me=アルカリ金属)が10〜160である
アルカリ金属珪酸塩と、耐候性樹脂のエマルジョンとを
含むことを特徴とする水性塗料組成物を提供する。通
常、アルカリ金属珪酸塩は、水溶液中で分子状、粒子状
の2つの形態で存在するが、SiO/MeO比を所
定の範囲にすると粒子状のアルカリ金属珪酸塩の存在比
が増加し、その溶液を用いることで、膜厚を厚くしても
クラックが発生しにくくなる。また、沸点が100℃以
上である常温で液体の有機化合物を用いることで、塗膜
が剥離しにくくなる。
【0007】アルカリ金属珪酸塩からイオン交換法など
でアルカリ金属を一部除去すると、分子状のアルカリ金
属珪酸塩どうしが縮合し、粒子状まで成長する反応機構
と、分子状のアルカリ金属珪酸塩が粒子状のものと縮合
し、粒子状のアルカリ金属珪酸塩の粒子径を増加させる
反応機構により、粒子状のアルカリ金属珪酸塩の存在比
が増加する。塗膜のクラック発生は、分子状のアルカリ
金属珪酸塩が塗装乾燥時の硬化収縮が大きいために起こ
るので、粒子状のアルカリ金属珪酸塩を多く存在させる
ことによって硬化収縮を抑制できる。また、通常のコロ
イダルシリカとは異なり、上記溶液には分子状のアルカ
リ金属珪酸塩も同時に存在することから、バインダー機
能も維持する。
【0008】上記のように粒子状のアルカリ金属珪酸塩
の存在比を増加させる目安として、SiO/Me
比(モル比、Me=アルカリ金属)を10〜160とす
る。その理由は、SiO/MeO比が10未満で
は、アルカリ金属珪酸塩に含有するアルカリ金属イオン
の塩析効果により、塗膜が不均一になること、アクリル
シリコーンエマルジョンがアクリル成分とシリコーン成
分に分解され、水性塗料組成物の貯蔵安定性が低下する
こと、SiO/MeO比が160を超えると、アル
カリ金属珪酸塩溶液が固化することによる。
【0009】本発明の好ましい態様においては、前記耐
候性樹脂のエマルジョンは、アクリルシリコーンのエマ
ルジョンであり、かつ前記水性塗料組成物は、さらに沸
点が100℃以上である常温で液体の有機化合物を含む
ようにする。耐候性樹脂のエマルジョンがアクリルシリ
コーンのエマルジョンであることにより、アクリルシリ
コーンは無機部分以外に有機部分を含むので、有機部分
が表面に有機物を有する基材に強固に固定され、基材と
塗膜との密着性が向上する。また、併せて、沸点が10
0℃以上である常温で液体の有機化合物を含有させるこ
とで、塗膜形成時に常温でアクリルシリコーンをエマル
ジョン状態から不定形高分子の状態に変化させるので、
塗膜の結着性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の水性塗料組成物
の好ましい形態につき、説明する。本発明において、S
iO/MeO比(モル比、Me=アルカリ金属)が
10〜160であるアルカリ金属珪酸塩の存在の確認
は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(装置:島
津製作所製 ICPS−1000IV、元素濃度:発光強
度換算)により行う。
【0011】光触媒粒子としては、特に制限はないが、
酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニ
ウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデ
ン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化
カドミウム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸
化タンタル、酸化マンガン、酸化ロジウム、酸化ニッケ
ル及び酸化レニウムなどの金属酸化物の他、チタン酸ス
トロンチウムなどが挙げられる。これらの中でも、上記
金属酸化物が、実用的に容易に利用可能な点で好ましく、
金属酸化物の中でも酸化チタンが、その光触媒性、安全
性、入手の容易さ、コストの面で好ましい。なお、酸化チ
タンを光触媒として用いる場合は、結晶型がアナターゼ
型、またはブルッカイト型のものを用いることが、光触
媒活性がもっとも強く、しかも長期間発現するので好ま
しい。
【0012】アルカリ金属珪酸塩の好ましい具体例とし
ては、一般式MeО・nSiО(Me=アルカリ金
属)で表されるアルカリシリケート(例えば、水ガラ
ス、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、およ
びシリカ)が挙げられる。また、本発明において、アル
カリ金属珪酸塩含有溶液は、Fr、Cs、Rb、K、N
aおよびLiのうちの少なくとも1つを含む。
【0013】アルカリ金属珪酸塩のSiO/Me
比(モル比、Me=アルカリ金属)を所定範囲に合わせ
る方法は特に制限はないが、具体例としてはイオン交換
法が挙げられる。イオン交換樹脂は、アルカリ金属珪酸
塩からアルカリ金属を除去し、水素イオンを放出するも
のであればよく、例えば、強酸性陽イオン交換樹脂(水
素イオン型)或いは弱酸性陽イオン交換樹脂(水素イオ
ン型)が挙げられる。
【0014】耐候性樹脂のエマルジョンは、表面に有機
物を有する基材と強固に密着し、耐候性を有するもので
あれば特に制限はない。具体例として、アクリルエマル
ジョン、アクリルシリコーンエマルジョン(シリコーン
アクリルエマルジョン)、フッ素樹脂エマルジョンなど
が挙げられる。そのうち、アクリルシリコーンエマルジ
ョンはシリコーン成分が光触媒反応によるエマルジョン
の分解を抑制することから、その使用は好ましい。
【0015】沸点が100℃以上である常温で液体の有
機化合物は、大部分の水分が気化した後も塗膜中に残存
し、エマルジョン粒子どうしの融合を促進させる機能を
もつものであり、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール
モノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテ
ル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、な
どのエチレン系グリコールエーテル類、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ
ブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエ
ーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジ
プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ
メチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチル
エーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、プロピレングリコールジアセテート、プロピレング
リコールフェニルエーテル、などのプロピレン系グリコ
ールエーテル類、2,2,4−トリメチル−1,3−ペ
ンタンジオールモノイソブチレート、n−ペンシルプロ
ピオネ−ト、フタル酸ジブチルなどのエステル類などが
挙げられる。そのうち、エステル類の一種である2,
2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイ
ソブチレートは、エマルジョンへの浸透能力が高いこ
と、最低造膜温度(MFT)の低下効果が高いことか
ら、その使用は好ましい。逆にエチレン系グリコールエ
ーテル類は人体への毒性が強いので、その使用は好まし
くない。
【0016】上記水性塗料組成物の組成比は、塗膜形状
の維持と耐候性を両立させる範囲に設定する。すなわ
ち、光触媒粒子/バインダー(アルカリ金属珪酸塩+耐
候性を有するエマルジョン)の固形成分重量比を0.0
3〜2、アルカリ金属珪酸塩/耐候性を有するエマルジ
ョンの固形成分重量比を0.7〜1.3、沸点が100
℃以上である常温で液体の有機化合物/耐候性を有する
エマルジョンの重量比(エマルジョンは固形成分換算)
を2〜30とする。その理由は、光触媒粒子/バインダ
ーの固形成分重量比が0.03未満では、光触媒粒子の
比率が少ないために、塗膜の親水性が低下すること、2
を越えると、バインダー成分の比率が少ないために、水
性塗料組成物の表面に有機物を有する基材へのぬれ性や
塗膜の密着性が低下すること、アルカリ金属珪酸塩/耐
候性を有するエマルジョンの固形成分重量比が0.7未
満では、アルカリ金属珪酸塩の比率が少ないために、塗
膜の耐候性が低下すること、1.3を越えると、耐候性
を有するエマルジョンの比率が少ないために、水性塗料
組成物の表面に有機物を有する基材へのぬれ性が低下す
ること、沸点が100℃以上である常温で液体の有機化
合物/耐候性を有するエマルジョンの重量比が2未満で
は、沸点が100℃以上である常温で液体の有機化合物
が少ないために、塗膜の密着性が低下すること、30を
越えると、沸点が100℃以上である常温で液体の有機
化合物の一部が耐候性を有するエマルジョンに浸透しな
い状態で存在するために、水性塗料組成物が分離するこ
とによる。
【0017】また、上記の水性塗料組成物及び光触媒性
水性塗料組成物には着色料を添加することができる。着
色料としては無機顔料、有機顔料、染料などから少なくと
も1つを選ぶ。無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛
華、ベンガラ、酸化クロム、コバルトブルー、鉄黒など
の金属酸化物系、アルミナホワイト、黄色酸化鉄などの
金属水酸化物系、紺青などのフェロシアン化合物系、黄
鉛、ジンクロメート、モリブデンレッドなどのクロム酸
鉛系、硫化亜鉛、朱、カドミウムイエロー、カドミウム
レッドなどの硫化物、セレン化合物、バライト、沈降性
硫酸バリウムなどの硫酸塩系、重質炭酸カルシウム、沈
降性炭酸カルシウムなどの炭酸塩系、含水珪酸塩、クレ
イ、群青などの珪酸塩系、カーボンブラックなどの炭素
系、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛粉などの金属粉
系、雲母・酸化チタン系などのパール顔料系などが挙げ
られる。有機顔料としては、ナフトールグリーンBなど
のニトロソ系顔料、ナフトールSなどのニトロ顔料系、
リソールレッド、レーキレッドC、ファストエロー、ナ
フロールレッドなどのアゾ顔料系、アルカリブルーレッ
ド、ローダミンキレート、キナクリドンレッド、ジオキ
サジンバイオレッド、イソインドリノンエローなどの縮
合多環顔料系などが挙げられる。染料としては、分散染
料、塩基性染料、直接染料、酸性染料が挙げられる。
【0018】本発明の水性塗料組成物は、例えば、上記
のイオン交換等の手法でアルカリ金属珪酸塩のSiO
/MeO比(モル比、Me=アルカリ金属)を所定範
囲に合わせたアルカリ金属珪酸塩水溶液に、光触媒粒子
の分散したゾル、耐候性樹脂のエマルジョン、及び沸点
が100℃以上である常温で液体の有機化合物を混合す
ることにより得ることができる。
【0019】本発明の水性塗料組成物は、特に、表面に
有機物を有する基材の表面に塗布し硬化して使用され、
このような方法で上記基材に塗膜を形成することで、塗
膜表面が太陽光等の照射による光触媒の光励起により水
との接触角が20°以下とされる。それにより、表面に
有機物を有する基材の表面が、降雨や水洗によるセルフ
クリーニング機能や防曇機能が発揮可能となる。また、
塗膜の膜厚を1μm〜1mmにしてもクラックや剥離を
生じない。尚、上記の水性塗料組成物を表面に有機物を
有する基材に塗布する場合、塗膜の膜厚を1μm〜1m
mとすれば、長期間にわたって塗膜表面の水との接触角
は20°以下とすることができる。
【0020】ここで、表面に有機物を有する基材は、基
材表面に有機化合物を有するものであれば特に制限はな
く、有機化合物のみからなっていてもよいし、塗装鋼板
のように表面のみ有機化合物があるものでもよい。ここ
で有機化合物としては、油性塗料、硝化綿系塗料、天然
樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、アミノアルキド樹脂
系塗料、ビニル樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、エポ
キシ樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料、塩化ゴム系
塗料、カシュー樹脂系塗料、フェノール樹脂系塗料、プ
チラール樹脂系塗料、フッ素素樹脂系塗料、エマルショ
ン塗料、粉体塗料などの塗料類、酢酸セルロース、セロ
ファン、硝酸セルロース、アセチルセルロースなどのセ
ルロース系プラスチック類、フェノール樹脂、尿素樹
脂、メラニン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グアナミ
ン樹脂、ケトン樹脂などの熱硬化性樹脂類、超低密度ポ
リエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、アイオノマー、塩素化ポリエ
チレン、エチレン塩化ビニルコポリマー、エチレン酢酸
ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、
ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルベンテン、ポ
リスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリパラビニル
フェノール、ABS樹脂、ABS/PVCアロイ、AB
S/ポリエステルアロイ、SAN樹脂、AES樹脂、A
AS樹脂、メタクリル樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリルアミン、ポ
リビニルエーテル、ポリビニルアルコール、エチレンビ
ニルアルコール共重合体、石油樹脂、熱可塑性エラスト
マー、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアクリロニトリ
ル、ポリビニルブチラールなどの熱硬化性樹脂類、ナイ
ロン6、ナイロン66、ポリアセタール、ポリカーボネ
ート、PC/ABSアロイ、PC/ポリエステルアロ
イ、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性
汎用エンプラ類、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフ
ォン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリレート、
ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテル
エーテルケトン、超高分子量ポリエチレン、アイソタク
テックポリスチレン、液晶ポリマー、ナイロン620、
ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロ
ン46、ポリアミドMDX6、変性ナイロン、ポリイミ
ド、フッ素樹脂などの熱可塑性スーパーエンプラ類、ポ
リアミノビスマレインイミド、シリコーン樹脂、ポリト
リアジン、架橋ポリアミドイミド、耐熱エポキシ樹脂な
どの架橋性エンプラ類、天然ゴム、スチレンブタジエン
ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴ
ム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホ
ン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴ
ム、シリコーンゴム、多硫化ゴム、フッ素ゴム、ウレタ
ンゴム、アクリルゴムなどのゴム類、天然繊維、合成繊
維などの繊維類、木材、紙などが挙げられる。
【0021】本発明に係る水性塗料組成物を適用しうる
基材として、自己洗浄が期待できる用途としては、例え
ば、外壁や屋根のような建物外装、窓枠、自動車、鉄道
車両、航空機、船舶、自転車、オートバイのような乗物
の外装及び塗装、窓ガラス、看板、交通標識、防音壁、
ビニールハウス、碍子、乗物用カバー、テント材、反射
板、雨戸、網戸、太陽電池用カバー、太陽熱温水器等の
集熱器用カバー、街灯、舗道、屋外照明、人工滝、人工
噴水用石材、タイル、橋、温室、外壁材、壁間や碍子間
のシーラー、ガードレール、ベランダ、自動販売機、エ
アコン室外機、野外ベンチ、各種表示装置、シャッタ
ー、料金所、料金ボックス、屋根樋、車両用ランプ保護
カバー、防塵カバー及び塗装、機械装置や物品の塗装、
広告塔の外装及び塗装、構造部材、及びそれら物品に貼
着可能なフィルム、ワッペンなどである。
【0022】本発明に係る光触媒性水性塗料組成物を適
用しうる基材としては、防曇用途においては、例えば、
浴室用又は洗面所用鏡、車両用バックミラ−、歯科用歯
鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真
機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体製造用
レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガ
ラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上
車、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙
船のような乗り物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空
機、船舶、潜水艇、雪上車、スノ−モ−ビル、オ−トバ
イ、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラのよう
な乗り物の風防ガラス;防護用又はスポ−ツ用ゴ−グル
又はマスク(潜水用マスクを含む)のシ−ルド;ヘルメ
ットのシ−ルド;冷凍食品陳列ケ−スのガラス;計測機
器のカバ−ガラス、及びそれら物品に貼着可能なフィル
ム、ワッペンなどである。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施の形態を説明する。 (1)アルカリ金属珪酸塩のイオン交換 アルカリ金属珪酸塩として、珪酸リチウム(日本化学工
業製 珪酸リチウム75 SiO/LiO=7.3
(モル比)、pH=11)を用意し、イオン交換樹脂とし
て、強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ製 アンバーラ
イト120B(H))を用意した。
【0024】次いで、アルカリ金属珪酸塩水溶液(固形
成分濃度=6.0重量%(SiО2換算))を作製し、予
め前処理したイオン交換樹脂を混合し、SiO/Li
O比(モル比)が90、もしくは170になった時点
で上記溶液をろ過し、ろ液を回収する。続いて、上記溶
液を安定化させるために室温で1週間保存し、pH、電
気伝導率、Si、Liの元素濃度、アルカリ金属珪酸塩
(分子状)の平均分子量(MW)、アルカリ金属珪酸塩
(粒子状)の平均粒子径、アルカリ金属珪酸塩の分子状
/粒子状比(重量比)を測定した。元素濃度の値からS
iO/LiO比(モル比)を算出した。また、上記
溶液の溶液安定性について、保存中に液体が固化しなか
ったものを○、したものを×で判断した。
【0025】なお、溶液のpH測定には、東亜電波工業
製HM−14Pを使用し、電気伝導率の測定には、東亜
電波工業製CM−14Pを使用し、Si、Liの元素濃
度の測定には、島津製作所製ICPS−1000IVを使
用し、アルカリ金属珪酸塩(分子状)の平均分子量(M
W)の測定には、島津製作所製LC−6Aを使用し、ア
ルカリ金属珪酸塩(粒子状)の平均粒子径の測定には、
大塚電子製DLS−7000を使用し、アルカリ金属珪
酸塩の分子状/粒子状比(重量比)の測定には、島津製
作所製LC−6Aを使用した。上記溶液のイオン交換前
後のpH、電気伝導率、SiO/LiO比(モル
比)、溶液安定性を以下の(表1)、アルカリ金属珪酸
塩(分子状)の平均分子量(MW)、アルカリ金属珪酸
塩(粒子状)の平均粒子径、アルカリ金属珪酸塩の分子
状/粒子状比(重量比)を以下の(表2)に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】(2)水性塗料の調製 上記によってイオン交換したアルカリ金属珪酸塩に、ア
クリルシリコーンエマルジョン、沸点が100℃以上で
ある常温で液体の有機化合物及び光触媒を混合して水性
塗料組成物を調製した。アクリルシリコーンエマルジョ
ンとしては、信越化学工業製のX−41−7001(ア
クリル/シリコーン=50/50(重量比)、pH=5)を
用い、沸点が100℃以上である常温で液体の有機化合
物としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタ
ンジオールモノイソブチレート(チッソ製 CS-12
化学式=C1224、分子量=216.3、沸点=2
54℃、融点=-57℃)を用い、光触媒としては、アルカ
リ性チタニアゾル(自社製 アナターゼ型 粒径50〜80
nm、pH=11)と中性チタニアゾル(自社製 アナター
ゼ型 粒径50nm、TiО/SiО=100/15(重量
比)、pH=6.5)を用いた。
【0029】そして、アルカリ金属珪酸塩、アクリルシ
リコーンエマルジョン及び光触媒の溶液全体に対する固
形成分濃度を10重量%となるようにした。なお、各成
分の割合は、アルカリ金属珪酸塩=3.75重量%、ア
クリルシリコーンエマルジョン=3.75重量%、沸点
が100℃以上である常温で液体の有機化合物=0.8
3重量%、光触媒=2.50重量%であり、光触媒粒子
/バインダー(アルカリ金属珪酸塩+耐候性を有するエ
マルジョン)の固形成分重量比=0.33、アルカリ金
属珪酸塩/耐候性を有するエマルジョンの固形成分重量
比=1、沸点が100℃以上である常温で液体の有機化
合物/耐候性を有するエマルジョンの重量比(エマルジ
ョンは固形成分換算)=22.2となる。
【0030】以下の(表3)に示す、アルカリ金属珪酸
塩に対しイオン交換を行った水性塗料組成物(実施例
1、2)とイオン交換を行わなかった水性塗料組成物
(比較例1、2)を調製し、これらの水性塗料組成物を
基材に塗布し評価を行った。
【0031】
【表3】
【0032】(3)基材への塗布方法 150mm×65mmに裁断した石綿セメント珪酸カル
シウム板(JIS A5418に準拠したもの)にエポ
キシ樹脂系プライマー(エスケー化研製 SKサーフエ
ポ)をスプレー塗装し、室温で24時間乾燥させた。続
いて、アクリルウレタン塗料(イサム塗料製 ハイアー
ト1000)を、上記したプライマー塗装を行った石綿
セメント珪酸カルシウム板上にスプレー塗装し、室温で
24時間乾燥させた。さらに続いて、前記で調製した実
施例1、2及び比較例1、2の水性塗料組成物をプライ
マー塗装、アクリルウレタン塗装を行った石綿セメント
珪酸カルシウム板上に刷毛塗りし、コーティング物を得
た。コーティングは試験片を垂直に立てた状態で行っ
た。刷毛塗りした上記水性塗料組成物の重量は15g/
であった。最後に、上記コーティング物を室温で2
4時間乾燥させて試験片を得た。
【0033】(4)評価内容・結果 上記各水性塗料組成物のpH、上記各試験片の膜厚、ク
ラックの有無、密着性、光沢を評価し、その結果を(表
4)に示す。また、上記各試験片の親水性(初期接触角
と紫外線照射後)を評価し、その結果を(表5)に示
す。
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】評価方法は以下の通りである。 (4−1)pH 溶液のpHをpH計(東亜電波工業製 HM−14P)
で測定した。
【0037】(4−2)膜厚 走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S−4100)によ
り試験片を断面方向から観察し、膜厚を測定した。
【0038】(4−3)クラックの有無 光学顕微鏡(キーエンス製 VF−7500)を用いて
試験片表面を観察してクラックの有無を確認した。
【0039】(4−4)密着性 JISK5400に準じる方法で碁盤目試験を行った。
即ち、作製した試験片の塗膜の上からカッターで2mm
幅の碁盤目の切込みを入れる。大きさは1cm角にし、
碁盤目の数を25個とする。その後その碁盤目を完全に
覆うようにセロハンテープを貼り付ける。その後、すば
やく引き剥がして付着して残っている碁盤目の数を数え
る。
【0040】(4−5)光沢 作製した試験片の光沢度を光沢度計(日本電色工業製
VGS-1D)を用いて測定した。
【0041】(4−6)親水性(初期接触角) 試験片表面の水との接触角を、協和界面科学製CX−1
50を用いて測定した。
【0042】(4−7)親水性(紫外線照射後):作製
した試験片にBLBランプから発生した0.5mW/cm2
の紫外線を7日間照射し、その後水との接触角を、協和
界面科学製CX−150を用いて測定した。
【0043】図1〜図4は上記実施例1、2及び比較例
1、2の水性塗料組成物からなる塗膜を形成した試験片
の表面の顕微鏡写真である。実施例1、2の試験片の塗
膜にはクラックの発生は殆ど認められないが、比較例
1、2の塗膜には多数のクラックが認められる。
【0044】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
表面に有機物を有する基材の表面に形成する塗膜の厚み
を厚くしても、クラックが発生せず、しかも剥離強度に
優れた塗膜となる水性塗料組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に係る水性塗料組成物からなる塗膜
表面の顕微鏡写真。
【図2】 実施例2に係る水性塗料組成物からなる塗膜
表面の顕微鏡写真。
【図3】 比較例1に係る水性塗料組成物からなる塗膜
表面の顕微鏡写真。
【図4】 比較例2に係る水性塗料組成物からなる塗膜
表面の顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 133/00 C09D 133/00 183/10 183/10 (72)発明者 高橋 一雄 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 下吹越 光秀 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB92Z BB99Z CA03 CA13 CA32 CA34 CA37 CA39 DB31 DC01 DC05 DC08 DC10 DC11 DC15 DC18 DC24 DC30 DC38 EA06 EA13 EB02 EB22 EB42 EB43 EB56 EC02 EC07 EC37 EC52 EC54 4J038 CG141 CJ181 DL151 HA216 HA456 KA06 KA20 NA05 NA06 NA11 NA12 PB02 PB05 PB06 PB07 PB08 PB09 PC06 PC07 PC08 PC10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒粒子と、SiO/MeO比
    (モル比、Me=アルカリ金属)が10〜160である
    アルカリ金属珪酸塩と、耐候性樹脂のエマルジョンとを
    含むことを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 【請求項2】 前記耐候性樹脂のエマルジョンは、アク
    リルシリコーンのエマルジョンであり、かつ前記水性塗
    料組成物は、さらに沸点が100℃以上である常温で液
    体の有機化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載
    の水性塗料組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の水性塗料組成物
    の塗膜を、表面に有機物を有する基材の表面に形成した
    ことを特徴とする部材。
  4. 【請求項4】 前記塗膜の膜厚が1μm〜1mmである
    ことを特徴とする請求項3に記載の部材。
  5. 【請求項5】 前記塗膜の表面が、水との接触角に換算
    して20°以下であることを特徴とする請求項3又は4
    に記載の部材。
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