JP2003096208A - セルロースエステルフィルム - Google Patents

セルロースエステルフィルム

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JP2003096208A
JP2003096208A JP2001286097A JP2001286097A JP2003096208A JP 2003096208 A JP2003096208 A JP 2003096208A JP 2001286097 A JP2001286097 A JP 2001286097A JP 2001286097 A JP2001286097 A JP 2001286097A JP 2003096208 A JP2003096208 A JP 2003096208A
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film
cellulose ester
ester film
fine particles
thickness
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Masahiro Shibuya
昌洋 渋谷
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルム厚が薄くても、しわや折れが生じる
ことのないセルロースエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 厚さ60μm以下のセルロースエステル
フィルムは、温度23℃湿度55%でのフィルム接触面
同士の摩擦係数をa、温度23℃湿度80%での同係数
をb、および温度23℃湿度85%での同係数をcとす
る時、1.0≦b/a≦1.5、かつ1.0≦c/a≦
5.0、好ましくは1.0≦b/a≦1.5、かつ1.
0≦c/a≦2.0なる関係が成立する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースエステ
ルをベースとし、さらにマット剤その他の微粒子や、可
塑剤等の添加剤を含むドープを、周回するエンドレスベ
ルト状またはドラム状の金属支持体上にダイから流延す
る溶液流延法製膜法により得られるセルロースエステル
フィルムに関し、より詳しくは、フィルムの巻取り性が
著しく向上したセルロースエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶画像表示装置は、低電圧かつ低消費
電力でIC回路への直結が可能であり、しかも薄型化が
可能であるから、ワードプロセッサーやパーソナルコン
ピュータ等の表示装置として広く使用されている。液晶
画像表示装置の基本的な構成は、液晶セルの両側に偏光
板を設けたものである。偏光板は、一定方向の偏波面の
光だけを通すので、液晶画像表示装置においては、電界
による液晶表示装置の配向の変化を可視化させる重要な
役割を担っており、偏光板の性能によって液晶画像表示
装置の性能が大きく左右される。
【0003】偏光板の保護フィルムはセルロースエステ
ルからなり、表面をアルカリ鹸化して一軸延伸されかつ
ヨウ素染色されたポリビニルアルコールフィルムからな
る偏光膜の片面または両面に、ポリビニルアルコールの
ような粘着剤を介して貼り合わされる。
【0004】一般に、セルロースエステルフィルムは、
つぎのような溶液流延製膜法により製造される。まず、
セルロースエステルをこれを溶解する良溶媒および溶解
しない貧溶媒の混合溶媒に溶解し、これに紫外線吸収剤
や可塑剤、さらにフィルムの滑り性改善用の微粒子を添
加してセルローストリアセテート溶液(以下「ドープ」
という)を調製し、鏡面処理された表面を有する周回ス
テンレス製エンドレス支持体上に該ドープをダイから流
延してドープ膜(このように、ドープを支持体に流延し
て形成した膜を、以下「ウェブ」という)を得、これを
支持体上で乾燥させた後これから剥離し、乾燥工程へ送
ってさらに温風で乾燥し、得られたセルロースエステル
フィルムを最終工程で巻取り機によってロール状に巻取
る。
【0005】近年、液晶画像表示装置は、その用途拡
大、軽量化(薄小化)が進む傾向にあり、偏光板に使用
せられるセルロースエステルフィルムもより薄手のフィ
ルムが必要とされてきている。従来の偏光板用保護フィ
ルムは、主に厚さ80μm程度のものであったが、徐々
に薄膜化が進行している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】厚さ60μm以下のよ
うにフィルム厚が薄くなるとフィルムの物理的強度が低
下し、そのためフィルム製造の最終段階で巻取り機でフ
ィルムを巻取ってロール状フィルムを作る際に、フィル
ムにしわができたり、フィルムが折れたりして、製品の
外観を損ねることが多々ある。
【0007】従来、このような問題は、巻取り時のフィ
ルム張力や、フィルム巻長さ、巻取りロールの接触圧力
等、生産条件の調整によって解決が図られていた。しか
し、このようなやり方では、特に薄膜品では効果が不充
分である。また、ロール状フィルムを放置すると、し
わ、折れの状態が更に悪化して、外観が著しく損なわれ
る場合がある。
【0008】本発明の課題は、上記の点に鑑み、フィル
ム厚が薄くても、しわや折れが生じることのないセルロ
ースエステルフィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく検討を重ねた結果、フィルムの巻取り性はフ
ィルム生産時の条件調整の他に、フィルム自体の物理特
性に大きく関係することを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、特にフィルム面同士の摩擦係数
が低いほど、巻取り性が改善されるのである。特に、摩
擦係数と環境湿度は密接に関係する。本発明は、特定の
湿度条件における摩擦係数が特定範囲内にある時に、巻
取り特性が著しく改善されることを要旨とするものであ
る。
【0011】すなわち、請求項1による、厚さ60μm
以下のセルロースエステルフィルムは、温度23℃湿度
55%でのフィルム接触面同士の摩擦係数をa、温度2
3℃湿度80%での同係数をb、および温度23℃湿度
85%での同係数をcとする時、 1.0≦b/a≦1.5、かつ1.0≦c/a≦5.0 なる関係が成立することを特徴とする。
【0012】請求項2による、厚さ60μm以下のセル
ロースエステルフィルムは、請求項1のセルロースエス
テルフィルムにおいて、 1.0≦b/a≦1.5、かつ1.0≦c/a≦2.0 なる関係が成立することを特徴とする。
【0013】特定の湿度条件における摩擦係数を特定範
囲内に設定するには、下記の1)と2)の2つの手段を
採ることができる。
【0014】1)特定粒子径の微粒子を特定の粒子間距
離で存在させる。
【0015】本発明では、微粒子をフィルム内部の含有
量や含有比率で規定するのでなく、微粒子の存在の度合
い、すなわち粒子間距離で規定する。粒子間距離を調整
するには、単に微粒子の含有量を調整するのではなく、
微粒子を分散させる際に用いる溶剤として極性溶媒を用
いたり、微粒子分散液をセルロースエステル主液へ混合
するまでの時間を短縮したりする(好ましくは微粒子分
散液をインラインで主液に添加する)方法が採られる。
微粒子分散液を好ましくはインラインで主液に添加され
る。
【0016】すなわち、請求項3による、厚さ60μm
以下のセルロースエステルフィルムは、平均粒子径10
0〜500nmの微粒子が粒子間距離0.5〜5μmの
範囲内で存在することを特徴とする。
【0017】請求項4による、厚さ60μm以下のセル
ロースエステルフィルムは、平均粒子径500〜100
0nmの微粒子が粒子間距離1〜5μmの範囲内で存在
することを特徴とする。
【0018】微粒子の代表例は、マット剤である。微粒
子は小粒径(好ましくは400nm以下、特に200〜
300nm)のものを多量用いても、または大粒径(好
ましくは600〜800nm)のものを少量用いてもよ
いが、小粒径のものは単分散性であるので特に好まし
い。
【0019】2)特定の可塑剤を用いる。特定の可塑剤
の使用により、吸湿性、透湿性が低下し、湿度変化時の
フィルム耐湿性が向上し、これが摩擦係数の低下、ひい
ては巻取り性の改善に密接に結びつく。
【0020】すなわち、請求項5による、厚さ60μm
以下のセルロースエステルフィルムは、一般式[I]
【化3】 (式中、A、BおよびCはフェニル基またはビフェニル
基を表し、A、BおよびCのうち少なくとも2つはビフ
ェニル基である。)で示される化合物を含有することを
特徴とする。
【0021】特に、トリスビフェニルフォスフェート
(TBP)はフィルムの疎水性を向上させ、その結果す
べり性を向上させる作用を示す。
【0022】請求項6による、厚さ60μm以下のセル
ロースエステルフィルムは、一般式[I]
【化4】 で示される化合物において、A、BおよびCがフェニル
基またはビフェニル基を表し、A、BおよびCのうち少
なくとも2つはビフェニル基である化合物と、A、Bお
よびCがフェニル基またはビフェニル基を表し、A、B
およびCのうち少なくとも2つはフェニル基である化合
物とを含有することを特徴とする。
【0023】本発明によれば、フィルム厚が薄くても
(60μm以下、例えば20〜60μm)、フィルムに
しわや折れが生じることがない。
【0024】
【発明の実施の形態】まず、本発明によるセルロースエ
ステル積層フィルムの製造方法に使用する原料につい
て、説明をする。
【0025】ドープのベースをなすセルロースエステル
は、リンターパルプ、ウッドパルプおよびケナフパルプ
の群から選ばれ、セルロースに無水酢酸、無水プロピオ
ン酸または無水酪酸を常法により反応して得られるもの
であってよい。なかでもセルロースの水酸基に対する全
アシル基の置換度が2.5〜3.0であるセルロースト
リアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、
セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセ
テートプロピオネートブチレートが好ましい。上記セル
ロースエステルのアセチル基の置換度は、少なくとも
1.5であることが好ましい。セルロースエステルのア
シル基の置換度の測定は、ASTMのD−817−91
に準じて実施することができる。セルロースエステルの
分子量は、数平均分子量として70,000〜300,
000、とくに80,000〜200,000が、フィ
ルムに成形した場合の機械的強度上好ましい。通常、セ
ルロースエステルは反応後の水洗等処理後においてフレ
ーク状であり、その形状で使用されるが、粒径を0.0
5〜2.0mmの粒状とすることにより溶媒への溶解を
早めることができる。
【0026】セルロースエステルフィルム中には、通
常、紫外線吸収剤が含まれる。紫外線吸収剤としては、
液晶の劣化防止の点から波長370nm以下の紫外線の
吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点から波長40
0nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ま
しい。波長370nmでの透過率は好ましくは10%以
下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以
下に抑えられる。上記紫外線吸収剤の具体例としては、
オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系
化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン
系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩
系化合物等が挙げられ、着色の少ないベンゾトリアゾー
ル系化合物が特に好ましい。市販のベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤の例は、チバ・スペシャルティ・ケミカ
ルズ(株)製のチヌビン109、チヌビン171、チヌ
ビン326、チヌビン327、チヌビン328等があ
る。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。紫外線吸収
剤のドープへの添加方法は、アルコール、メチレンクロ
ライド、酢酸メチル、ジオキソランなどの有機溶媒に紫
外線吸収剤を溶解してから添加しても、直接ドープ組成
中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解
しないものは、有機溶剤とセルロースエステルの混合物
中にディゾルバーやサンドミルでこれを分散し、この分
散液をドープに添加する。紫外線吸収剤の使用量は、セ
ルロースエステルに対し0.5〜20質量%であってよ
く、好ましくは0.6〜5.0質量%、より好ましくは
0.6〜2.0質量%である。
【0027】セルロースエステルフィルム中には、滑り
性ないしは耐ブロッキング性や耐傷性の改善のためにマ
ット剤その他の微粒子が含まれる。このような微粒子の
具体例としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシ
ウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和
ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネ
シウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子
微粒子が挙げられる。なかでも二酸化ケイ素はフィルム
のヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子の2次粒
子の平均粒径は好ましくは0.01〜1.0μmで、そ
の含有量はセルロースエステルに対して好ましくは0.
005〜0.3質量%である。二酸化ケイ素のような微
粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、
このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好
ましい。表面処理用の有機物としては、ハロシラン類、
アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げ
られる。微粒子の平均粒径は、大きい方がマット効果は
大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。
微粒子の一次粒子の平均粒径は好ましくは5〜50n
m、より好ましくは7〜14nmである。市販の二酸化
ケイ素の微粒子の例は、アエロジル(株)製のAERO
SIL 200、200V、300、R972、R97
2V、R974、R202、R812,OX50、TT
600等であり、とくにAEROSIL200V、R9
72、R972V、R974、R202、R812が好
ましい。マット剤は2種以上併用してもよい。
【0028】請求項3の発明においては、平均粒子径1
00〜500nmの微粒子が用いられ、同微粒子が粒子
間距離0.5〜5μmの範囲内で存在する。
【0029】請求項4の発明においては、平均粒子径5
00〜1000nmの微粒子が用いられ、同微粒子が粒
子間距離1〜5μmの範囲内で存在する。
【0030】セルロースエステルフィルム中には、フタ
ル酸エステル、リン酸エステルなどの可塑剤が含まれ
る。リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフ
ェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェー
ト、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチル
ホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エ
ステル系としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエ
チルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシル
フタレート等、グリコール酸エステル系としては、トリ
アセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコ
レート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフ
タリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリ
コレート等が挙げられる。フタル酸エステル系やグリコ
ール酸エステル系の可塑剤がとくに好ましい。2種類以
上の可塑剤を併用してもよい。
【0031】請求項5および6の発明では、一般式[I]
で示されるリン酸エステル系可塑剤を用いる。
【0032】請求項5の発明において、一般式[I] にお
けるA、BおよびCがフェニル基またはビフェニル基
で、A、BおよびCのうち少なくとも2つがビフェニル
基である化合物は、例えばビスビフェニルフェニルフォ
スフェート(BBPP)とトリスビフェニルフォスフェ
ート(TBP)である。特に、トリスビフェニルフォス
フェート(TBP)はフィルムの疎水性を向上させ、そ
の結果すべり性を向上させる作用を示す。
【0033】請求項6の発明において、一般式[I] にお
けるA、BおよびCがフェニル基またはビフェニル基を
表し、A、BおよびCのうち少なくとも2つはビフェニ
ル基である化合物と、A、BおよびCがフェニル基また
はビフェニル基を表し、A、BおよびCのうち少なくと
も2つはフェニル基である化合物と比は、好ましくは
8:2〜2:8である。
【0034】一般式[I] におけるA、BおよびCがフェ
ニル基またはビフェニル基を表し、A、BおよびCのう
ち少なくとも2つはフェニル基である化合物は、例え
ば、トリフェニルフォスフェート(TPP)ビフェニル
ジフェニルフォスフェート(BDP)である。
【0035】つぎに上記原料を含むドープの調製方法に
ついて述べる。セルロースエステルに対する良溶媒を主
とする有機溶媒に溶解釜中でフレーク状のセルロースエ
ステルを攪拌しながら溶解してドープを形成する。溶解
方法としては、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下の加
熱下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加熱加圧して行う
方法、特開平9−95544号、特開平9−95557
号および特開平9−95538号の各公報に開示されて
いるような冷却溶解法で行う方法、特開平11−213
79号公報開示されているような高圧で行う方法等があ
る。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次
工程に送る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は好
ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜30
質量%である。上述した添加剤のうち有機ポリマーをド
ープ中に含ませるには、予め有機溶媒に該ポリマーを溶
解してから添加してもよいし、ドープに直接添加しても
よい。この場合、ポリマーがドープ中で白濁したり、相
分離したりしないようにする。
【0036】ドープの調製に使用する有機溶媒として
は、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤の混合物が生
産効率の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好
ましい範囲は良溶剤70〜98質量%、貧溶剤2〜30
質量%である。良溶剤とは、使用するセルロースエステ
ルを単独で溶解するものをいい、貧溶剤とは、単独では
溶解しないものをいう。セルロースエステルに対する良
溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、
ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸
メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、
4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサ
ン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,
3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−
ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパ
ノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プ
ロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−メチ
ル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノン、塩化メチレン、ブロモプロパン等が挙げられ
る。なかでも酢酸メチル、アセトンまたは塩化メチレン
が好ましいが、最近の環境問題から非塩素系の有機溶媒
の方が好ましい。また、上記有機溶媒に、メタノール、
エタノール、ブタノール等の低級アルコールを併用する
と、セルロースエステルの有機溶媒への溶解性が向上し
たり、ドープ粘度が低減できるので好ましく、なかでも
沸点が低く、毒性の少ないエタノールがとくに好まし
い。貧溶剤としては、メタノール、エタノール、n−ブ
タノール、シクロヘキサン、アセトン、シクロヘキサノ
ン等が挙げられる。
【0037】つぎに、セルロースエステルフィルムの製
造工程のうち、ドープを周回金属製エンドレス支持体上
に流延する工程、エンドレス支持体上での乾燥工程及び
ウェブをエンドレス支持体から剥離する剥離工程及びウ
ェブを乾燥する工程について述べる。
【0038】流延工程とは、ドープを加圧型定量ギヤポ
ンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、エ
ンドレス支持体上に加圧ダイからドープを流延する工程
である。その他の流延する方法としては、流延されたウ
ェブの膜厚をブレードで調節するドクターブレード法及
び逆回転するロールで調節するリバースロールコーター
による方法等があるが、口金部分のスリット形状を調整
できて膜厚を均一にし易い点で加圧ダイが好ましい。加
圧ダイには、コートハンガーダイやTダイがあるが、い
ずれも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために
は、加圧ダイをエンドレス支持体上に2基以上設け、ド
ープ量を分割して重層してもよい。膜厚の調節には、所
望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、
ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力及びエ
ンドレス支持体の速度等をコントロールするのがよい。
【0039】エンドレス支持体上での乾燥工程では、ウ
ェブをエンドレス支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させ
る。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側およびエンドレス
支持体の裏側から温風を送る方法、エンドレス支持体の
裏側から加熱液体により加熱する方法、輻射熱によりウ
ェブ側からとエンドレス支持体の裏側から加熱する方
法、これらを組み合わせる方法等がある。
【0040】剥離工程では、エンドレス支持体上で有機
溶媒を蒸発させ、エンドレス支持体が一周する前に、剥
離を助ける剥離ロールでウェブを剥離する。この工程の
後、ウェブは乾燥工程に送られる。エンドレス支持体か
らウェブを剥離する剥離点でのウェブの残留溶媒量があ
まり大き過ぎると剥離し難かったり、逆にエンドレス支
持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェ
ブの一部が剥がれたりすることがあるので、残留溶媒量
10〜150質量%でウェブを剥離する。残留溶媒量が
多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離
時平面性を損なったり、剥離張力による縦すじが発生し
易いので、経済速度と品質との兼ね合いで残留溶媒量が
決められる。
【0041】乾燥後、得られたセルロースエステルフィ
ルムは最終工程で巻取り機によってロール状に巻取られ
る。
【0042】本発明の方法により得られたセルロースエ
ステル積層フィルムは、光学等方性に優れて汚れもない
ので、液晶表示装置の部材、例えば、偏光板用保護フィ
ルム、位相差板、反射板、光学補償フィルム、視野角向
上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルムおよび帯電
防止フィルムに使用せられる。なかでも偏光板用保護フ
ィルムに適している。
【0043】偏光板は、従来公知の方法により製造する
ことができる。一例を挙げると、セルロースエステルフ
ィルムを40℃の2.5mol/lの水酸化ナトリウム
水溶液で60秒間表面鹸化処理し、3分間水洗して乾燥
させて表面鹸化した偏光板用保護フィルムを得る。別に
120μmの厚さのポリビニルアルコールフィルムをヨ
ウ素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量
部に浸漬し、50℃で4倍に縦方向に延伸して偏光膜を
得る。この偏光膜の片面または両面に上記表面鹸化処理
したセルロースエステルフィルムを完全鹸化型のポリビ
ニルアルコール5質量%水溶液よりなる粘着剤により貼
り合わせて偏光板となす。
【0044】
【実施例】つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明する。
【0045】 実施例1 下記の成分; アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート (数平均分子量150,000) 100質量部 可塑剤 トリフェニルホスフェート 10質量部 溶媒 メチレンクロライド 521質量部 エタノール 45質量部 二酸化ケイ素微粒子 0.3質量部 を密閉容器に入れ、撹拌しながら溶解してドープを調製
した。このドープを、鏡面処理された表面を有する周回
ステンレス製エンドレス支持体上に、所定スリット幅に
設定されたダイから流延してドープ膜を得、これを支持
体上で乾燥させた後これから剥離し、乾燥工程へ送って
さらに温風で乾燥させた。得られたセルロースエステル
フィルムを最終工程で巻取り機によってロール状に巻取
った。こうして、厚さ40μmのセルロースエステルフ
ィルムのロールを得た。
【0046】上記二酸化ケイ素微粒子は、平均粒子径7
00nmのものであり、温度23℃湿度55%でのフィ
ルム接触面同士の摩擦係数をa、温度23℃湿度80%
での同係数をb、および温度23℃湿度85%での同係
数をcとする時、 b/a=1.38、かつc/a=4.75 なる関係が成立するものである。摩擦係数の測定は、J
IS K7125の方法に従って行った。
【0047】得られたフィルムにおいて、微粒子の粒子
間距離は4μmであった。粒子間距離の測定は、フィル
ム表面および断面を走査型電子顕微鏡で観察して行っ
た。すなわち、20μm四方の平面の観察箇所1か所当
たりの粒子間距離の平均を求めた。さらに観察箇所を5
か所とって粒子間距離の平均を求めた。こうして得られ
た値の平均を粒子間距離とした。
【0048】実施例2〜3、比較例1〜2 微粒子の摩擦係数の比b/aおよびc/a、微粒子の平
均粒子径および粒子間距離を表1に示すように変更した
以外、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのセ
ルロースエステルフィルムのロールを得た。
【0049】実施例4 可塑剤として、トリフェニルホスフェートの代わりに、
ビスビフェニルフェニルフォスフェート(BBPP)と
ビフェニルジフェニルフォスフェート(BDP)の6:
4(質量比)の混合物を10質量部用いた以外、実施例
1と同様の操作を行い、厚さ40μmのセルロースエス
テルフィルムのロールを得た。
【0050】実施例5〜6、比較例3〜4 可塑剤を表2に示すように変更した以外、実施例4と同
様の操作を行い、厚さ40μmのセルロースエステルフ
ィルムのロールを得た。
【0051】評価試験 実施例および比較例で得られたセルロースエステル積層
フィルムのロールを下記の項目について性能評価した。
評価結果を表1および表2に示す。
【0052】a)巻取り形状:セルロースエステル積層
フィルムのロールの外観を観察した。
【0053】b)ロール状フィルムの経時後の形状:セ
ルロースエステル積層フィルムのロールを144時間放
置した後、その外観を観察した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】表2において、 記号 名称 ビフェニル基数 フェニル基数 TPP トリフェニルフォスフェート 0 3 BDP ビフェニルジフェニルフォスフェート 1 2 BBPP ビスビフェニルフェニルフォスフェート 2 1 TBP トリスビフェニルフォスフェート 3 0 EPEG エチルフタリルエチルグリコレート
【0057】表1および表2中、◎は非常に良好、○は
良好、△は普通、×は不良、××甚だ不良をそれぞれ意
味する。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、フィルム厚が薄くて
も、しわや折れが生じることのないセルロースエステル
フィルムを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 // B29K 1:00 B29K 1:00 B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 2H091 FA08 GA16 LA12 4F071 AA09 AA80 AC15 AE04 AF26 AF28Y AH12 BB02 BC01 BC12 4F205 AA01J AB19A AE08 AG01 AH73 AR20 GA07 GB02 GC07 GF24 4J002 AB021 EW046 FD026 GP00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度23℃湿度55%でのフィルム接触
    面同士の摩擦係数をa、温度23℃湿度80%での同係
    数をb、および温度23℃湿度85%での同係数をcと
    する時、 1.0≦b/a≦1.5、かつ1.0≦c/a≦5.0 なる関係が成立することを特徴とする、厚さ60μm以
    下のセルロースエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1のセルロースエステルフィルム
    において、 1.0≦b/a≦1.5、かつ1.0≦c/a≦2.0 なる関係が成立することを特徴とする、厚さ60μm以
    下のセルロースエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 平均粒子径100〜500nmの微粒子
    が粒子間距離0.5〜5μmの範囲内で存在することを
    特徴とする、厚さ60μm以下のセルロースエステルフ
    ィルム。
  4. 【請求項4】 平均粒子径500〜1000nmの微粒
    子が粒子間距離1〜5μmの範囲内で存在することを特
    徴とする、厚さ60μm以下のセルロースエステルフィ
    ルム。
  5. 【請求項5】 一般式[I] 【化1】 (式中、A、BおよびCはフェニル基またはビフェニル
    基を表し、A、BおよびCのうち少なくとも2つはビフ
    ェニル基である。)で示される化合物を含有することを
    特徴とする、厚さ60μm以下のセルロースエステルフ
    ィルム。
  6. 【請求項6】 一般式[I] 【化2】 で示される化合物において、A、BおよびCがフェニル
    基またはビフェニル基を表し、A、BおよびCのうち少
    なくとも2つはビフェニル基である化合物と、A、Bお
    よびCがフェニル基またはビフェニル基を表し、A、B
    およびCのうち少なくとも2つはフェニル基である化合
    物とを含有することを特徴とする、厚さ60μm以下の
    セルロースエステルフィルム。。
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