JP2003091884A - 光情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光情報記録媒体及びその製造方法

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JP2003091884A
JP2003091884A JP2001286149A JP2001286149A JP2003091884A JP 2003091884 A JP2003091884 A JP 2003091884A JP 2001286149 A JP2001286149 A JP 2001286149A JP 2001286149 A JP2001286149 A JP 2001286149A JP 2003091884 A JP2003091884 A JP 2003091884A
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Masanori Kato
将紀 加藤
Yuki Nakamura
有希 中村
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録層材料の初期状態を最適化することで、
高速記録でのオーバーライト特性を向上させること。 【解決手段】 透明基板上にGa、Sb、Teを主成分
とする記録層を有し、光学的に情報を記録、再生および
または消去する光情報記録媒体において、媒体の初期化
における照射エネルギー密度Eに対して媒体の反射率R
が変動し、E<E<Eの範囲で反射率が離散的な値
をとり、E<Eで初期化されたことを特徴とする光情
報記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報記録媒体に
関し、詳しくは、CD−RW、DVD−RAM、DVD
−RW、DVD+RW、PD等の相変化型光ディスクに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術としては、特開平8−776
14号公報には、相変化型光情報記録媒体の初期化装置
として、テンデム光学系を用いて均一に高速に初期化を
行なう初期化装置に関し、光学系と媒体に照射するレー
ザービームの形状を規定していることが記載されている
が、照射エネルギーに関する記述はなく、この内容だけ
では信号品質の良好な媒体を得ることはできない。ま
た、マルチスピードでの記録、線速4.8m/s以上で
の記録特性改善に関する記述もない。特開平9−736
66号公報には、光情報記録媒体とその製造方法および
製造装置として、情報記録領域外に光学的に読み取り可
能なマークを記録し、メディアの識別情報を書き込むこ
とが記載されている。特開平9−2129218号公報
には、情報の記録媒体とおよびその初期化方法および初
期化装置として、初期化に際し、記録膜の少なくとも一
部が融解することを特徴とした光情報記録媒体と、その
初期化方法および初期化装置に関し、同時に初期化に使
用するビームの媒体上での形状を規定、長方形また楕円
形で長手方向を記録トラックに垂直に配置して初期化を
行なうことで、記録信号の改善を行なっていることが記
載され、媒体の層構成も規定していることが記載されて
いる。しかし、媒体に照射するエネルギー密度に関する
記述はなく、記録層が融解するだけで特性が改善できる
としているが、実際には照射するエネルギーに大きく依
存するので、改善はできない。また、マルチスピード記
録、記録線速度4.8m/s以上の記録特性に関する記
述もない。特開平10−241211号公報には、光記
録媒体の製造方法として、初期化の前に改質工程を行な
うことで、初期化品質の向上を実現していることが記載
されているが、実質、2回初期化を行なうことになり、
生産性の低下に繋がる。また、マルチスピード記録での
記録品質、記録線速4.8m/s以上の高速記録に関す
る記述はない。特開平10−289447号公報には、
情報記録媒体とその初期化方法及び初期化装置として、
初期化に使用するビームスポットの角度をトラックに対
して平行以外にし、ビームをデフォーカスすることで、
初期化による反射率のむらを低減した初期化方法および
媒体が記載され、初期化の重なりによるむらを低減し、
トラックはずれを防止するとしているが、媒体にかかる
エネルギー密度に関する記述はなく、また、マルチスピ
ード記録、記録線速4.8m/s以上で記録特性に関す
る記述もない。
【0003】我々は先に、光情報記録媒体とその初期化
方法および初期化装置に関して、高速CD−RW規格に
準じたものを中心に検討したものがあるが、本発明の記
録密度に適した範囲とは、最適な初期化時のエネルギー
密度が異なる。
【0004】CD−RW、PD、DVD−RAM、DV
D−RW、DVD+RWに代表される書き換え型光ディ
スクは、コンピュータ機器、家電機器の情報記録媒体と
して採用されてきている。上記のような書き換え型光情
報記録媒体の最大の特長は、消去プロセスを踏まないダ
イレクトオーバーライトが可能であることにある。しか
し、消去プロセスを含まないため、オーバーライト後の
信号特性は記録前の状態に大きく依存するため、1回目
のダイレクトオーバーライト後の特性向上が課題となっ
ている。また、記録方式が熱的なプロセスによるものの
ため、多数回の記録での膜の劣化進行し、信号が劣化す
るという課題がある。
【0005】また、情報量の増加に伴い記録媒体の記
録、再生速度も高速化する傾向にある。前記のオーバー
ライト後の特性は、高速記録の環境になるほど、厳しく
なる傾向がある。特に、高速記録での1回目のオーバー
ライトがもっとも厳しくなっている。これは、ディスク
の記録材料の初期状態とドライブによってオーバーライ
トまたは消去された状態とが異なるため、このような現
象が発生する。オーバーライト特性を改善するには、光
学的、熱的特性から、記録材料の組成を最適化すること
が必要であると同時に、ディスクの初期状態に大きく影
響する結晶化または初期化と呼ばれるプロセスの条件を
最適化する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、記録
層材料の初期状態を最適化することで、高速記録でのオ
ーバーライト特性を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明の
(1)「透明基板上にGa、Sb、Teを主成分とする
記録層を有し、光学的に情報を記録、再生およびまたは
消去する光情報記録媒体において、媒体の初期化におけ
る照射エネルギー密度Eに対して媒体の反射率Rが変動
し、E<E<Eの範囲で反射率が離散的な値をと
り、E<Eで初期化されたことを特徴とする光情報記
録媒体」、(2)「前記光情報記録媒体の反射率RのE
<Eでの傾きdR/dEが1.7×10−4[J/m
]以下であることを特徴とする前記第(1)項に記載
の光情報記録媒体」、(3)「前記E <E<Eでの
離散的な反射率R、Rの比が、1.2<R/R
<1.6であることを特徴とする前記第(1)項又は第
(2)項に記載の光情報記録媒体」、(4)「前記光情
報記録媒体の初期化の照射エネルギー密度EをE<0.
85×Eとしたことを特徴とする前記第(1)項乃至
第(3)項のいずれかに記載の光情報記録媒体」、
(5)「前記記録層のGa、Sb、Teの含有率が、原
子パーセントを用いてそれぞれα、β、γで表わされる
とき、
【0008】
【数2】2≦α≦9 70≦β≦85 15≦γ≦25 α+β+γ≧90% であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項
のいずれかに記載の光情報記録媒体」によって達成され
る。
【0009】また、上記課題は、本発明の(6)「透明
基板上にGa、Sb、Teを主成分とする記録層を有
し、光学的に情報を記録、再生およびまたは消去する光
情報記録媒体の初期化方法において、媒体の初期化にお
ける照射エネルギー密度Eに対して媒体の反射率Rが変
動し、E<E<Eの範囲で反射率が離散的な値をと
り、E<Eで初期化することを特徴とする光情報記録
媒体の初期化方法」、(7)「前記光情報記録媒体の初
期化の照射エネルギー密度EをE<0.85×E とし
たことを特徴とする前記第(6)項に記載の光情報記録
媒体の初期化方法」によって達成される。
【0010】以下に、本発明の光情報記録媒体について
詳述する。図1は、本発明の光情報記録媒体の層構成の
1例を示したものである。図1に示す構成のうち、少な
くとも基板と1層以上の記録層が必要である。ただし、
繰り返し記録可能な光情報媒体とするには、図1のよう
な構成をとるのが好ましい。
【0011】透明基板上に第1誘電体層(下部誘電体
層)、記録層、第2誘電体層(上部誘電体層)、反射層
があり、反射層の上には媒体を物理的な損傷から保護す
るオーバーコート層を積層することが一般的である。基
板の記録層とは反対側に、基板を保護するハードコート
層や、オーバーコート層上に物理的な損傷に対する強度
を上げるために、さらに樹脂層を積層しても良い。
【0012】透明基板は媒体を記録、再生する光の波長
領域で透明であることが必要である。透明基板材料とし
てはガラス、セラミックス、樹脂等が例示でき、透明性
および基板形成の容易さから、樹脂を用いるのが好まし
く、樹脂としてはポリカーボネート樹脂、アクリル樹
脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリ
ル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプ
ロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、AB
S樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、射出成形で
容易に基板を作成でき、光学特性、コストの点で優れる
ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。透
明基板上には案内溝(グルーブ)が形成されていてもよ
く、案内溝の基板上での配置は同心円状、らせん状、直
線状等が考えられるが、回転させて記録、再生が可能な
同心円状、らせん状が、高記録密度と高い再生安定性、
高速アクセス性から望ましい。
【0013】第1誘電体層、第2誘電体層は記録層の熱
的損傷を保護すると同時に、干渉層として作用し光学特
性を調整するために積層される。材料としては熱特性、
光学特性から最適な材料を選定するが、熱的、光学的特
性から誘電体を用いる。誘電体としては、SiO、S
iO、ZnO、SnO、TiO、In、Mg
O、ZrO等の酸化物、Si、AlN、Ti
N、ZrN等の窒化物、ZnS、In、TaS
硫化物、SiC、TaC、BC、WC、TiC、Zr
C等の炭化物、またはダイヤモンド状炭素があり、これ
らの誘電体単体、もしくは2種以上の混合物が用いられ
る。
【0014】各誘電体層は真空成膜を用いて成膜され、
成膜方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法、CVD法等が例として挙げられ、
生産性・低コスト性から、スパッタリング法を用いるの
が好ましい。また、スパッタリングに用いるガスとして
は、Ne、Arなどの不活性ガスやO、N、Sなどの反
応性のガスやその混合物を用いても良い。
【0015】第1誘電体層、第2誘電体層の材料・膜厚
は独立に任意に設定でき、媒体の反射率、吸収率などの
光学特性や媒体の記録感度や繰り返し記録(オーバーラ
イト)性能などの熱的特性から最適膜厚を独立に設定す
ることができる。膜厚としては、それぞれ10nm〜5
000nm程度である。
【0016】反射放熱層は情報を記録、再生する光を効
率良く反射させる機能と記録層にかかる熱を効率よく放
出する機能を有する。反射放熱層の材料としては、任意
のものを使用できるが、記録再生に用いられる光の波長
領域で高い反射率を有することが好ましい。一般的には
金属材料または合金材料を用い、Ag、Au、Alまた
はこれらの金属にTi、Si、Cr、Ta、Cu、P
d、C等を1種以上混合した合金があり、熱的特性、光
学的特性、および生産性を考慮すると、AlまたはAg
を主成分とする合金もしくはAgを用いるのが好まし
い。合金の組成および反射層の膜厚は任意に設定でき、
熱的特性および光学的特性から最適化するのが望まし
い。
【0017】記録層は、実際に情報が記録される薄膜層
である。情報は記録、再生に用いられる光の波長領域で
の光学特性の異なる領域の空間的配列によって記録され
る。本発明の記録媒体は、記録層が再生波長領域で光学
的に識別可能な少なくとも2つ以上の状態(相)を有
し、それぞれの状態が可逆的である相変化材料からな
る。相変化材料としては、非晶質(アモルファス)と結
晶を材料の熱履歴で制御できるものが、強度変調のみで
情報を記録可能なため好ましい。そのため、本発明の記
録媒体の記録層には相変化材料を用いる。
【0018】情報の記録は、結晶状態の記録層にアモル
ファス層が主成分となる記録領域をマークとして記録す
る方法と、アモルファス状態の記録層に結晶層を主成分
となる記録領域をマークとして記録する方法があるが、
前者の方が未記録状態で高い反射率を得ることができる
ため、好ましい。
【0019】光情報記録媒体に適している相変化材料と
しては、合金系の材料を用いるのが一般的であり、Ge
Te、GeTeSe、GeTeS、GeSeSb、Ge
AsSe、InTe、SeTe、SeAs、GeTe−
(Sn、Au、Pd)、GeTeSeSb、GeTeS
b、AgInSbTe、GeInSbTe、GeAgI
nSbTe、GeGaSbTe、AgGeSbTe等の
合金系が例示できる。
【0020】本発明の光情報記録媒体に用いる記録層材
料としてはGa、Sb、Teを主成分とすることが必要
である。Ga、Sb、Teの他に1種類以上の任意の元
素を添加することができ、添加元素としては、Ag、A
u、In、Ge、Sn、Se、S、N、O等が例示で
き、In、Ge、Agを添加することが好ましい。G
a、Sb、Teの濃度は任意に設定可能であるが、それ
ぞれの組成が原子パーセントでα、β、γと表わされる
とき、
【0021】
【数3】2≦α≦9 70≦β≦85 15≦γ≦25 α+β+γ≧90 とすることで、共晶となりやすいため、好ましい。
【0022】記録層の形成方法としては、誘電体層と同
様に真空成膜法を用いるのが一般的であり、真空成膜法
としては成膜方法としては真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法、CVD法等が例として挙
げられ、生産性・低コスト性から、スパッタリング法を
用いるのが好ましい。また、スパッタリングに用いるガ
スとしては、Ne、Arなどの不活性ガスやO、N、S
などの反応性のガスやその混合物を用いても良い。
【0023】記録層は真空成膜で形成後は通常アモルフ
ァス状態の領域が主成分となる。前述の通り、未記録状
態で高い反射率を得るためには、全面を結晶化する必要
がある。この結晶化のプロセスが初期化といわれる。初
期化の方法は記録層を結晶化するために、記録層に熱を
かけることが必要であり、通常高出力レーザーを媒体に
照射して行なう。高出力レーザーとしては、ガスレーザ
ー、半導体レーザー等があるが、制御の簡便さ、光学系
の制御の容易さ、コスト的優位性から、高出力の半導体
レーザーを用いるのが好ましい。半導体レーザーの出力
としては50mW〜300mW程度であることが好まし
い。レーザーの波長としては、任意の波長を使用できる
が、600nm〜900nmである。
【0024】初期化の方法としては、図2に示すよう
に、媒体上をレザー光源と集光レンズからなる初期化ヘ
ッドを走査することで行なう。走査の方法としては、初
期化ヘッドを固定し媒体移動または回転させて行なって
も、媒体を固定させ初期化ヘッドを移動して走査しても
よく、例としては図2に示す通り、ディスク状の媒体を
回転させると同時に初期化ヘッドをディスクの径方向に
移動させらせん状に走査する方法が考えられる。
【0025】集光レンズによって媒体の記録層近傍に収
束されたビームの形状は任意のものを使用できるが、図
3に示すように走査方向に短く、走査方向と垂直な方向
に長い形状を、つまりW<Wとすることが、全面を
走査する効率を向上することができるので、好ましい。
高出力の半導体レーザーを用いた場合、強度がピーク値
の1/eになる幅でWが0.5〜10μm、Wが5
0〜400μmである。
【0026】また、図2に示す初期化方法では、ディス
ク1回転あたりの初期化ヘッドの移動量Pはビーム形状
によって決定され、隙間なく初期化するためにはP<W
とする必要があり、ビームの強度分布を考慮すると、
P<0.8Wとすることが望ましい。
【0027】初期化の条件は、記録層近傍に照射される
エネルギーI、初期化ヘッドの走査速度V、照査するビ
ームの大きさW、Wがある。高いエネルギーを遅い
走査速度で照射すると媒体上にかかるエネルギーがもっ
とも高くなり、記録層材料が一時的に溶融状態となり、
冷却されるため、高い反射率の媒体となる。一方、低い
エネルギーで速い走査速度で照射すると媒体上にかかる
エネルギーが低くなり、共融点以下で結晶化が進行する
ため、低い反射率の媒体となる。
【0028】本発明の媒体における反射率Rの記録層近
傍にかかるエネルギー密度Eの関係は図4のようにな
る。ここで、エネルギー照射密度Eは次式で定義され
る。
【0029】
【数4】E=I/(W・V) Eはビームを1回走査したときの単位面積あたりのエネ
ルギー照射量に相当する。Eが増加すると反射率Rは増
加していく。本発明の光情報記録媒体は、Eに対してR
が図4に示すE<E<Eの領域で離散的な値をとる
ことを特徴とする。
【0030】ここでいう離散的な反射率とは、巨視的に
平均化された反射率ではなく、微視的領域の反射率であ
り、記録、再生に用いる光学系のビーム径程度の領域で
の反射率を意味する。例として、同心円状またはらせん
状に案内溝を形成した光情報記録媒体について解説す
る。図5に示すようにディスク状の光情報記録媒体の位
置を極座標系で示すときの角度成分をθとする。このと
き、任意の半径でのθに対する反射率の空間的な分布を
図6〜8に示す。図6はE<Eの領域、図7はE
E<Eの領域、図8はE>Eの領域に相当する。E
<E、E>Eの領域でRはEの増加に伴い上昇して
行くが、θに対する依存性はばらつき程度の範囲で収ま
る。ばらつきの範囲としてはΔR/R<0.2程度であ
る。ここでΔRは0<θ<2πの範囲での反射率Rの変
動幅である。
【0031】図6では、記録層は共融点以下で加熱され
るため反射率の低くなっており、図8では記録層が共融
点より高い温度に加熱されるため、高い反射率領域とな
っている。図7の領域は反射率が離散的な値をとる領域
である。θに対して反射率Rは微視的に変動し、R
の2種類の値をとる。つまり、反射率Rをとる領
域とRをとる領域に分かれる。Rの領域は記録層材
料が共融点以上に加熱されてから、冷却されているため
高反射率となり、Rの領域は記録層材料が共融点以下
に加熱されているため、低い反射率をとる。つまり、図
6と図8の状態の混合状態となっている。Eの増加に従
ってR、Rともに、増加と同時にその占有領域が変
動する。Eが増加するとRの領域は減少し、Rの領
域が増加する。これにより媒体の平均的反射率は連続的
に増加するが、微視的な反射率としては離散的な値をと
ることになる。このような現象は特にGa、Sb、Te
を含有する記録層材料を用いたときに顕著に発生する。
【0032】本発明の光情報記録媒体では、Ga、S
b、Teを主成分とする記録層を有し、その初期化の照
射エネルギー密度Eに対して反射率Rが離散的な値をと
る領域E<E<Eが存在すると同時に媒体の初期化
状態がE<Eの領域でなされたことを特徴とする。
【0033】初期化の状態をE<Eの領域とすること
で初期状態が実際の記録装置での消去されるプロセスに
近いことから、初期状態の結晶領域と初期記録で形成さ
れる結晶領域との熱履歴の変動を小さくすることがで
き、1回目のオーバーライト特性、特にジッタを改善す
ることができる。つまり、初期状態の結晶状態の反射率
と、初期記録、1回目のオーバーライトでの結晶化状態
の反射率との差が少なく、初期状態にマークを形成する
場合と、初期記録、オーバーライトでマークを形成する
場合でのマークサイズの熱履歴による変動を小さくでき
ることによる。E<Eの領域でもEの増加と共にRは
上昇するが、この照射エネルギーに、このときのRのE
依存性を微分係数dR/dEで表わすとき、dR/dE
が小さいほど、初期化条件による初期状態の依存性が小
さく安定した媒体を得ることができ、1.7×10−4
[J/m]以下であることが好ましい。
【0034】また、離散的な反射率をとる領域のエネル
ギー密度の下限値Eに対してE<0.85×Eとす
ることで、記録装置での最適パワーコントロール(OP
C)の際のパワーのふり幅が最適パワー±15%である
ことが一般的であるため、OPC動作の際に反射率変動
が大きい領域を含まないので、OPCの精度を上げるこ
とができる。ここで、OPCの方法はCD−RWの標準
規格であるオレンジブックパート3 volume2に記載の
γ法が例として挙げられる。
【0035】E<E<Eの領域での離散的な反射率
の比R/Rの比は、多数回のオーバーライト時の反
射率変動に影響する。多数回のオーバーライトを実施す
ると、記録層への熱履歴による拡散現象で記録層の共融
点が低下してくる傾向にある。この場合、低いエネルギ
ー密度でも反射率がRとなる場合がある。この場合、
多数回のオーバーライトによる反射率の変動として影響
する。オーバーライトでの反射率変動は20%程度に抑
えることが好ましい。反射率自体は、グルーブ上の実際
の記録・消去される領域とランド部の熱履歴のほとんど
ない領域の両方の影響をうけるため、R/R<1.
6が好ましい。ただし、初期状態を共融点以下での結晶
化状態とするには、R/R>1.2であることが望
ましいので、R、Rの比の範囲としては1.2<R
/R<1.6であることが望ましい。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。らせん状の連続グルーブを転写したCD−RW用の
ポリカーボネート製の基板に、第1誘電体層、記録層、
第2誘電体層、反射放熱層を順次スパッタリング法で成
膜し、その上に紫外線硬化樹脂からなるオーバーコート
層を形成し、CD−RWディスクを作成した。誘電体層
にはZnSとSiOの混合物を用い、記録層にはGa
SbTeGe合金を用いた媒体(A)とAgInSbT
e合金を用いた媒体(B)の2種を、反射放熱層にはA
lTi合金を用いた。各層の膜厚は第1誘電体層70n
m、記録層10nm、第2誘電体層20nm、反射放熱
層200nmとした。オーバーコート層は紫外線硬化樹
脂をスピンコート法で塗布し紫外線を照射し硬化させ
た。その厚さは10μmであった。このときの媒体
(A)の記録層組成はGa、Sb、Teの濃度が組成が
原子パーセントでα、β、γと表わされるとき、 2≦α≦9 70≦β≦85 15≦γ≦25 α+β+γ≧90 の範囲内であった。また、作成したディスクの記録層は
全面アモルファス状態であった。このディスクを高出力
半導体レーザーの初期化装置で初期化を行なった。照射
するビームは以下のとおりであった。 λ=830nm ビームサイズ:W=100μm、W=1μm 照射パワー:I=300〜600mW(媒体上) 操作線速を2m/s〜6m/s、照射パワーを300〜
600mWの範囲で調整し、照射エネルギー密度Eが、
500[J/m]〜1000[J/m]の範囲にな
るように調整した。このときの、Eと媒体(A)、
(B)の反射率Rの関係を図9、図10に示す。
【0037】媒体(A)では、700[J/m]<E
<820[J/m]の領域で反射率が離散的な値をと
っている。一方媒体(B)では、上記のような離散的な
反射率をとる領域はない。これらの媒体にオレンジブッ
クパート3 volume2記載の方法に準じた記録を行なっ
た。但し、記録線速は基準線速の16倍に相当する1
9.2m/sとし、基準クロックを69.14MHz
(16倍相当)に設定した。記録ストラテジはTmp=
7.23nsとし、Strategy Optimiz
ation Parameterをm=3、n=2とし
て記録した。また、Pw=26mW、ε=0.46とし
た。記録装置はパルステック工業製DDU1000を用
いた。記録装置の光ピックアップはλ=789、NA=
0.50であった。このとき、一回目のオーバーライト
後のジッタを(A)、(B)のそれぞれについて測定し
た。その結果を図11、図12に示す。
【0038】オレンジブックの規格値がジッタ<35n
sであることを考慮すると(A)、(B)ともに700
[J/m]の領域で特性が良好となっている。特に
(A)の方がジッタが低く良好なオーバーライト特性を
有するといえる。また、(A)については、離散的な反
射率をとる領域でジッタが悪化しているが、その領域よ
りも低いEの領域では充分に低いジッタとなっている。
一方、離散的な反射率にならない(B)では照射エネル
ギーの上昇と共にジッタが悪化していく。580[J/
]近傍でジッタは最小値をとるが、(A)よりは高
い値となっている。
【0039】
【発明の効果】以上、詳細且つ具体的な説明より明らか
なように、請求項1に記載の本発明の光情報記録媒体に
おいては、記録層にGa、Sb、Teを主成分とする材
料を使用すると共に、初期化の照射エネルギーを離散的
な反射率をとる領域外の反射率の低い領域内に設定して
いるので、結晶化が低い温度領域で進行するため記録感
度が高く、1回目のダイレクトオーバーライトでのジッ
タを良好にすることができる。また、請求項2および請
求項3に記載の本発明の光情報記録媒体においていは、
E<EでのdR/dEを1.7×10−4[J/
]以下としており、または離散的な反射率の比を最
適化しているので、照射エネルギーによる反射率の依存
性が最適化されているため、多数回のダイレクトオーバ
ーライトによる反射率変動の影響を低減することがで
き、繰り返し記録特性を良好にすることができる。ま
た、請求項4に記載の本発明の光情報記録媒体において
は、初期化状態が離散的な反射率をとる領域から充分に
離れた領域となっているため、初期化条件のマージンを
取ることができると同時に、OPCの精度を確保するこ
とができる。また、照射エネルギーが最適化されている
ため、ダイレクトオーバーライト後のジッタを良好にす
ることができる。また、請求項5に記載の本発明の光情
報記録媒体においては、記録層の原子組成を最適化して
いるため、請求項1に記載の光情報記録媒体を容易に作
ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報記録媒体の層構成の1例を示し
た図である。
【図2】初期化の方法を示す図である。
【図3】記録層近傍に収束されたビームの形状を示す図
である。
【図4】本発明の媒体における反射率Rの記録層近傍に
かかるエネルギー密度Eの関係を示す図である。
【図5】ディスク状の光情報記録媒体の位置を極座標系
で示すときの角度成分をθを示す図である。
【図6】任意の半径でのθに対する反射率の空間的な分
布を示す1例である。
【図7】任意の半径でのθに対する反射率の空間的な分
布を示す他の例である。
【図8】任意の半径でのθに対する反射率の空間的な分
布を示す他の例である。
【図9】照射エネルギー密度Eと、実施例で作成した媒
体(A)の反射率Rの関係を示す図である。
【図10】照射エネルギー密度Eと、実施例で作成した
媒体(B)の反射率Rの関係を示す図である。
【図11】照射エネルギー密度Eと、実施例で作成した
媒体(A)のオーバーライト後のジッタの関係を示す図
である。
【図12】照射エネルギー密度Eと、実施例で作成した
媒体(B)のオーバーライト後のジッタの関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H111 EA03 EA12 EA23 EA32 FA01 FA14 FA21 FA37 FB05 FB09 FB12 FB20 GA03 5D029 JA01 JB18 JC02 5D121 AA01 GG26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上にGa、Sb、Teを主成分
    とする記録層を有し、光学的に情報を記録、再生および
    または消去する光情報記録媒体において、媒体の初期化
    における照射エネルギー密度Eに対して媒体の反射率R
    が変動し、E <E<Eの範囲で反射率が離散的な値
    をとり、E<Eで初期化されたことを特徴とする光情
    報記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記光情報記録媒体の反射率RのE<E
    での傾きdR/dEが1.7×10−4[J/m
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の光情報記
    録媒体。
  3. 【請求項3】 前記E<E<Eでの離散的な反射率
    、Rの比が、1.2<R/R<1.6である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光情報記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 前記光情報記録媒体の初期化の照射エネ
    ルギー密度EをE<0.85×Eとしたことを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれかに記載の光情報記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 前記記録層のGa、Sb、Teの含有率
    が、原子パーセントを用いてそれぞれα、β、γで表わ
    されるとき、 【数1】2≦α≦9 70≦β≦85 15≦γ≦25 α+β+γ≧90% であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記
    載の光情報記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7371448B2 (en) * 2003-12-19 2008-05-13 National Tsing Hua University Phase-change recording media based on the Ga-Sb-Te system for ultra-high density optical recording

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