JP2003089981A - 皮革様シート状物の製造方法 - Google Patents

皮革様シート状物の製造方法

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JP2003089981A
JP2003089981A JP2001287131A JP2001287131A JP2003089981A JP 2003089981 A JP2003089981 A JP 2003089981A JP 2001287131 A JP2001287131 A JP 2001287131A JP 2001287131 A JP2001287131 A JP 2001287131A JP 2003089981 A JP2003089981 A JP 2003089981A
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polyurethane
fibers
ultrafine
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Yasuhiro Saso
康宏 佐相
Takashi Hashimoto
貴史 橋本
Koji Watanabe
幸二 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】極細繊維発生型繊維を用いたアルカリ脱海工程
を含む人工皮革の製法において見られる染色時に生じる
著しい物性低下を防ぎ、十分実用に耐えうる人工皮革を
提供できる製法を提供すること。 【解決手段】主として極細繊維とポリウレタン樹脂から
なる皮革様シート状物を製造するにあたり、以下の4工
程を含むことを特徴とする皮革様シート状物の製造方
法。 (1)アルカリ性水溶液による処理で極細繊維が発生す
る極細繊維発現型繊維を用いてシートを製造する工程。 (2)上記シートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊
維を発生させる工程。 (3)極細繊維を発生せしめた後のシートに、ブロック
イソシアネート化合物をシートに付与する工程。 (4)ポリウレタンを付与する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた強力、耐久
性、柔軟性を兼ね備えた皮革様シート状物の製造方法に
関する。さらに詳しくは、有機溶剤使用を極力抑えた、
皮革様シート状物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、極細繊維の持つ、良好な立毛形成
性、セット性、耐湿性、染色堅牢性(湿潤)等を活かし
た天然皮革に勝るとも劣らない優れた人工皮革が知られ
ている。
【0003】この製法として、まず、極細繊維発生型の
複合繊維の1成分に極細繊維形成用成分を用い、他成分
に有機溶媒で溶解可能な成分を用いた繊維でフェルトを
作成する。次いで、このフェルトに通常有機溶媒として
ジメチルホルムアミドを用いたポリウレタン溶液を付与
した後、複合繊維の1成分を有機溶剤で溶解除去し極細
繊維化するか、極細繊維化後ポリウレタンの溶液を付与
する事により目的とするものが得られる。
【0004】しかるに、かかる方法では、複合繊維の1
成分を除去するための有機溶媒や、ポリウレタンの有機
溶媒を必要とする。かかる溶媒は潜在/顕在的に人体に
及ぼす毒性、環境汚染の可能性を有しており、特に近年
は地球環境保全の観点からかかる有機溶媒を使用しない
ですむ新たな製法が強く求められている。このため、極
細繊維発生型の複合繊維の溶解除去成分としてアルカリ
可溶型のポリマーを用い、この繊維でフェルトを形成後
アルカリ水溶液で1成分を溶解除去する手段(以後、ア
ルカリ脱海手段と略称する)が検討されている。
【0005】また、更に一歩進め、ポリウレタンを溶液
タイプから、水系エマルションタイプのものを用い、全
く有機溶媒を用いないプロセスの検討もなされている。
しかるに、アルカリで1成分を溶解除去したフェルトを
用いた場合、これにポリウレタンを付与して得られる生
機段階では、ポリウレタンと繊維との適度な結合が形成
されていて、しっかりした生機が得られるものの、染色
するとこの結合が弱まり大幅に風合が柔軟化し、強度が
低下し、耐摩耗性、耐疲労性の劣ったものとなり、実用
には供し得ないものとなってしまっていた。
【0006】
【本発明が解決しようとしている課題】本発明は、極細
繊維発生型繊維を用いたアルカリ脱海工程を含む人工皮
革の製法において見られる上記染色時に生じる著しい物
性低下を防ぎ、十分実用に耐えうる人工皮革を提供でき
る製法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の手段によ
り達成される。
【0008】主として極細繊維とポリウレタン樹脂から
なる皮革様シート状物を製造するにあたり、以下の4工
程を含んだ方法を用いる: (1)アルカリ性水溶液による処理でポリエステル系極
細繊維発生型繊維を用いてシートを製造する工程。 (2)上記シートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊
維を発生させる工程。 (3)極細繊維を発生せしめた後のシートに、ブロック
イソシアネート化合物をシートに付与する工程。 (4)ポリウレタンを付与する工程。
【0009】かかる手段を適宜用いることにより、目的
とするものが可能となる。
【0010】また、より効果的にはポリウレタン樹脂
が、ブロックイソシアネート化合物と反応可能なカルボ
キシル基および/または水酸基を有するものを用いるの
がよい。更にポリウレタン樹脂として水分散型ポリウレ
タン樹脂と上記手段とを組み合わせ用いることで完全非
有機溶媒系プロセスが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。
【0012】本発明で言う極細繊維発生型繊維とは、1
成分が耐アルカリ溶解性を有し、他成分がそれよりもア
ルカリ溶解(分解)性が20倍以上、好ましくは40倍
以上なる成分で構成された複合繊維である。
【0013】本発明に係る極細繊維の形態しては、特公
昭48−22126号公報等に示されてしるような高分
子相互配列体繊維、特公昭51−21041号公報、特
公昭60−21904号公報に示された混合紡糸繊維、
特開平9−310230号公報等で示された分割型複合
繊維等、その他、星雲型、多層型、多島中空型などを基
本とし、これらを組み合わせたもの、あるいは変形発展
させたものなどであり、1成分を除去もしくは剥離する
ことで0.3dtex以下の極細繊維が得られるものな
どから適宜選択可能である。
【0014】かかる繊維を得るに当たってのポリマー成
分の組み合わせとしては、極細繊維形成用の耐アルカリ
成分には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポ
リエステル、共重合ポリエステル、ナイロン−6、ナイ
ロンー6、6等のポリアミド、共重合ポリアミド等を好
ましく用いることが出来る。また、アルカリ溶解性成分
には、紡糸性がよくアルカリ水溶液に対する溶解性が高
いもので有れば特に限定されず使用可能だが、具体的に
は、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレ
ンテレフタレートなどと、5−ソディウムスルホイソフ
タル酸、ポリエチレングリコール、ドデヂルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフ
タル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシル
カルボン酸等を5−20モル%共重合した共重合ポリエ
ステルが好ましい。
【0015】これらのうち、特に5−ソディウムスルホ
イソフタル酸を5〜20モル%共重合したポリエチレン
テレフタレート共重合体を用いることが好ましい。また
これら共重合体は二元のみならず三元以上の多元共重合
体であってもよい。かかるポリマーを組み合わせで定法
に従い極細繊維発生型複合繊維を得る。この繊維を用
い、シート化する。シート化するにあたりその形態とし
ては、不織布、織物、編物等、特に限定されることはな
いが、風合いの点で不織布が好ましい。不織布形成のた
めの手段は定法の手段が全て利用可能であり、また、ス
パンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法など
紡糸直結で直接シート化する方法など目的に応じ随意可
能である。シート化後ニードルパンチ、ウオータージェ
ットパンチなど必要に応じ繊維絡合処理をおこないフェ
ルトを形成する。
【0016】本発明は、かくして得たシート(フェル
ト)をアルカリで処理する。ここで言うアルカリとは、
水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アン
モニア塩等をさす。アルカリ脱海は、これらはの水溶液
の中にシートを浸すことにより行う。この際、アルカリ
水溶液の濃度、温度など状況に応じ適宜調整する事によ
り、より良好な脱海が可能となる。また、アルカリ脱海
をシートの表層のみで行わせる事も本発明の1つの好ま
しい態様である。即ち、極細繊維発生を表層近傍にのみ
止める事により、内部が太い繊維として残るため、表面
タッチが良く腰の有る独特なシートが得られる。これを
達成するに当たってはアルカリ液がシート内部全体に行
き渡らないようにするためポリビニルアルコールなどの
ような増粘剤を加え表面層にコートし表面層の一部のみ
を溶解するようにする。
【0017】本発明は、アルカリ脱海に先立ち、ポリウ
レタンと繊維との結合コントロールを行う目的でシート
をあらかじめ高鹸化度ポリビニルアルコール、カルボキ
シメチルセルロースなどの熱水溶解性ポリマーを付与し
ておくのも推奨できる。本発明はかくして得られたシー
トに、ブロックイソシアネート化合物を付与する。ここ
で言うブロックイソシアネート化合物とは、末端をブロ
ック剤でマスキングしたイソシアネート基を有する化合
物を指す。具体的イソシアネート基を有する物として
は、トリメチレンジイソシナネート、テトラメチレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペ
ンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジ
イソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、
2,3―ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレン
ジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−ト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジ
イソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソ
シアネート、例えば1,3−シクロペンタンジイソシア
ネート、1,4―シクロヘキサンジイソシナネート、
1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシ
アナートメチルー3、5,5−トリメチルシクロヘキシ
ルイソシアネート、4,4‘−メチレンビス(シクロヘ
キシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサ
ンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメ
チル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート、
例えばm−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレ
ンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、
2,2‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,
4’−ジフェニルジイソシアネート、2,4−または
2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合
物、4,4‘−トルイジンジイソシアネート、ジアニシ
ジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテル
ジイソシナネートなどの芳香族ジイソシアネート、1,
3―または1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メ
チルエチル)ベンゼンもしくはその混合物などの芳香脂
肪族ジイソシアネート、トリフェニルメタンー4,
4'、4''―トリイソシアネート、1,3,5―トリイ
ソシアナートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネー
トトルエン等の有機テトライソシアネート等のポリイソ
シアネート単量体、上記ポリイソシアネート単量体から
誘導されたダイマー、トリマー、ビューレット、アロフ
アネートなどの炭酸ガスと上記ポリイソシアネート単量
体から得られる2,4,6−オキサジアジントリオン環
を有するポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0018】これらは単独または二種類以上を組み合わ
せて用いることができる。本発明の目的から特に好まし
いのは、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート
およびそれらの混合物である。イソシアネートのブロッ
ク剤として、例えばメタノール、エタノール等のアルコ
ール系ブロック剤、フェノール、クレゾールなどのフェ
ノール系ブロック剤、ホルムアルドキシム、アセトアル
ドキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチル
ケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトキシ
ム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム
等のオキシム系ブロック剤、アセトアリニド、ε―カプ
ロラクラム、γ―ブチロラクタム等の酸アミド系ブロッ
ク剤、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル等の活性メ
チレン系ブロック剤、ブチルメルカプタン等のメルカプ
タン系ブロック剤、コハン酸イミド、マレイン酸イミド
等の尿素系ブロック剤、N-フェニルカルバミン酸フェニ
ル等のカルバミン酸系ブロック剤、ジフェニルアミン、
アニリン等のアミン系ブロック剤、エチレンイミン、ポ
リエチレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられ
る。
【0019】かかるイソシアネートは溶液もしくはエマ
ルションもしくはサスペンションの状態で付与するが、
水に分散させる場合に用いる界面活性剤として、例えば
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸
ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸
ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナ
トリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチ
レンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルア
リールエーテル等のノニオン系界面活性剤、あるいはラ
ウリルベタイン、ステアリンベタインの塩など、アルキ
ルベタイン型の塩、ラウリル−β―アラニン、ラウリル
ジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチ
ル)グリシンなどのアミノ酸型の両界面活性剤などがあ
る。これらは単独でまたは二種類以上組み合わせて用い
ることができる。これらの中では、ノニオン系界面活性
剤が好ましい。これらブロックイソシアネート化合物の
2種以上を併用することも可能である。
【0020】また、ブロックイソシアネートの解離を調
節する目的で触媒を添加してもかまわない。かかる触媒
はブロックイソシアネートの解離を促進したい場合は、
例えば亜鉛、錫、コバルト、鉄等のハロゲン化塩を用い
ることができるし、逆に解離を抑制して水分との反応を
抑えたい場合には酢酸等の有機酸を用いることができ
る。
【0021】また、本発明のブロックイソシアネート化
合物に用いるブロック剤の種類は、加工条件や加工方法
により適宜選択することができるが、解離温度が100
℃以下の場合は、ブロックイソシアネート水溶液または
水分散液をシートに含浸した後、乾燥する際に、水分が
まだ多く残っている状態でブロックが解離し、水と反応
してイソシアネート基がつぶれてしまい、十分な効果が
得られない場合がある。また、解離温度が200℃以上
の場合は、極細繊維の結晶化や劣化が生じ、皮革様シー
ト状物の発色性や物性、風合いを低下せしめる場合があ
る。従って、ブロックイソシアネートの解離温度は10
0℃以上200℃以下が好ましい。
【0022】これらブロックイソシアネート化合物の付
与量は一概に決め難く状況に応じ適宜加減する必要があ
るが、一つの目安としてはシートの繊維重量100に対
し2から30部となる。
【0023】付与後は適宜加熱し、繊維とブロックイソ
シアネート化合物との部分的反応を促進しておくか、次
にポリウレタンを付与した後に加熱し反応を行わせても
良い。加熱はイソシアネートのブロック剤が解離し、さ
らに、イソシアネート基が繊維および/またはポリウレ
タンのカルボキシル基/水酸基が反応しうる温度まで上
げる必要がある。
【0024】また加熱時間は温度との絡みもありブロッ
クイソシアネートの反応性、最終的には最終製品の物性
や風合いを見て決定する必要がある。
【0025】本発明は、かくしてブロックイソシアネー
ト化合物で処理されたシートにポリウレタンを付与す
る。本発明に使用するポリウレタン樹脂は、基本的には
いずれのものも使用可能だが、以下に示すような、ポリ
オール成分の一部にポリカーボネート系を含む、高分子
ポリオール、ジイソシアネート、鎖伸長剤の各成分を適
宜組み合わせて反応させて得られるポリウレタンを用い
ることが好ましい。ポリカーボネ−トジオールとして
は、例えば1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリ
コール等のグリコールとジメチルカーボネ−ト、ジフェ
ニルカーボネ−ト、ホスゲンとの反応により得られる化
合物が挙げられる。
【0026】他のポリオール成分として、ポリエステル
ジオール、ポリエーテルジオールなどであり、これらを
組み合わせた共重合体でもよい。ポリエステルジオール
として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、3−メチルー1、
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネ
オペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロ
ピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、
1,4−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキ
サンジメタノールA,ハイドロキシン等が挙げられ、特
に限定されない。ポリエーテルジオールとして、例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げ
られ、特に限定はされない。上記低分子量活性水素含有
物化合物としては、好ましくは分子量300以下に分子
内に少なくとも二個以上の活性水素を含有する化合物
で、例えばポリエステルポリオールの原料として用いた
グリコール成分、グリセリン、トリメチロールチタン、
トリメチロールプロパン等のポリヒドロキシ化合物があ
り、この他にさらにエチレンジアミン、ピペラジン、イ
ソホロンジアミン、ヒドラジン類等のポリアミンが挙げ
られる。
【0027】ジイソシアネート成分としては、4,4’
ジフェニルメタンジイソシアネート以外に2,4−トリ
レンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネ
ート、3,3−ジメトキシー4、4−フェニレンイソシ
アネートなどが挙げられ、特にこれらに限定されること
はない。上記イソシアネート基と反応し得る活性水素含
有化合物として、好ましくは平均分子量300〜100
00、より好ましくは500〜5000の高分子活性水
素含有化合物と、好ましくは平均分子量300以下の低
分子量活性水素含有化合物に分けられる。鎖伸長剤とし
ては特に制限はなく、通常のポリウレタン樹脂の製造に
従来から使用されているものでよく、イソシアネート基
と反応し得る水素原子を分子中に二個以上含有する分子
量400以下の低分子化合物を用いることが好ましい。
そのような鎖伸長剤として、例えば、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−へキサンジオールなどが挙げられる。これらを
単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよ
い。
【0028】本発明のポリウレタンは溶液タイプのもの
でも良いが、有機溶媒使用を最小限に押さえるという観
点からするとエマルションタイプのものがより好まし
い。エマルション系でも強制乳化型、自己乳化型いずれ
も良いが、強制乳化型の場合、下記に示すノニオン性界
面活性剤をポリウレタン樹脂100重量部に対し、1〜
10重量部の割合で含有するのが好ましい。ノニオン性
界面活性剤が1部より少ないと、エマルションを長期に
保存した場合に、相分離が発生し分散質が分離してクリ
ーム状の沈殿物が発生し、再分散不能な凝固物が発生す
るといった保存安定性に問題を生じる。ノニオン系界面
活性剤が10部より多いと、ゲル化の感度が不足し、加
熱してもゲル化に要する時間が多くなる。
【0029】このようなノニオン系界面活性剤として
は、親水基として水中でイオン解離しない水酸基やポリ
エーテル単位などを有している界面活性剤であり、一般
に用いられているポリエチレングリコール型ノニオン系
界面活性剤を挙げられる。ポリエチレングリコール型ノ
ニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウ
リルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポ
リオキシエチレンステアリルエーテルなどの高級アルコ
ールエチレンオキサイド付加物;脂肪酸ポリエチレンオ
キサイドエステル、多価アルコール脂肪酸エステルエチ
レンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0030】本発明のエマルションポリウレタンは、有
機溶剤を含んでいても、有機溶剤を含まない完全水系で
あってもよいが、環境面および回収工程による生産性低
下の面から有機溶剤を含まないものが好ましく使用され
る。さらに本発明に使用するエマルションポリウレタン
に他の樹脂が併用されても感熱ゲル化性、保存安定性を
損なうことがない限り、差し支えない。併用可能な樹脂
として、例えば、天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体、ポリブタジエン等が挙げられる。これら
の樹脂は単独で使用しても、複数を併用して使用しても
よい。さらに必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、
着色剤等を添加することもできる。
【0031】エマルションポリウレタンを前記繊維基体
に付与するに当たっては、基体に希釈したエマルション
を含浸、または付与し乾熱凝固する方法、基体にそれを
含浸後、湿熱凝固した後、加熱乾燥する方法、およびそ
の組み合わせ、無機塩を溶解させた浴中または熱水浴中
へ浸漬し凝固する方法があるが、特に限定することはな
い。また凝固する際、マイグレーション効果が大きいこ
とから、予めエマルションポリウレタンに無機塩を添加
する、あるいは増粘剤等を添加する方法もある。しかし
この処理だけでは、耐水性、かつ耐染色加工性が低いた
め、前記基体を90℃〜200℃の範囲で、1分から6
0分、好ましくは120℃〜150℃で2分から20分
程度熱処理するのが良い。溶液タイプのポリウレタンを
用いる場合はポリウレタン付与後湿式凝固した後乾燥す
る。
【0032】ポリウレタンの付与量は、繊維基材の重量
に対して5〜150重量%、好ましく、10〜100重
量%である。付与量が5重量%未満では得られるシート
状物の充実感が不足し、皮革様の風合いが悪くなる傾向
がある。一方付与量が150重量%を越えると得られる
シート状物は硬くなり、皮革様の風合いが悪くなる傾向
がある。
【0033】また、上記ポリウレタンの溶液または分散
液にブロックイソシアネート化合物を添加し、ブロック
イソシアネート化合物を付与する工程とポリウレタンを
付与する工程を一度に行ってもかまわない。
【0034】本発明において、かくして得られたシート
は必要に応じ熱処理し、場合に応じ公知のスライス機に
よる半裁、バッフィングによる起毛、染色加工等を施
し、目的の皮革様繊維シート状物を得ることができる。
【0035】
【実施例】本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明す
る。以下の実施例中に示した物性値については、以下の
方法に従って測定した。 (1) 破断強度 テンシロン強伸度測定機を用いサンプル長さ15cm、
幅は2cm、15cm/minの引っ張り速度で測定
し、破断強度(N/cm)を求めた。 実施例1 5−ソディウムスルホイソフタル酸を8モル%共重合し
たポリエチレンテレフタレートを海成分として30部、
島成分としてポリエチレンテレフタレートが70部から
なる割合で、(1)フィラメント中に島成分が36島、平
均繊度が3.8dtexの海島型繊維のステープルを用
いてカード、クロスラッパーを通してウェブを作成した
後、ニードルパンチを施し、不織布を作成した。この繊
維基体にケン化度95のポリビニルアルコール水溶液を
島成分に対し、30重量部含浸、乾燥処理した後、18
0℃の熱処理を施した。熱処理後の繊維基体に、40
℃、10重量%水酸化ナトリウム水溶液に30分浸漬し
海成分を除去した後、水洗、乾燥した。次に極細繊維化
された基体に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ートの両末端を重亜硫酸でブロックしたイソシアネート
に、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのノ
ニオン系界面活性剤を添加したブロックイソシアネート
液を基体100重量部に対し10重量部含浸、乾燥し
た。次に基体を水系ポリウレタン樹脂固形分が島成分に
対し48重量部含まれるよう、12重量%の水系エマル
ションポリウレタンを含浸した直後にスチーム処理し、
130℃の熱処理を5分間施した。次に基体内部のポリ
ビニルアルコールを100℃の熱水で除去後、スライス
機で半裁、バッフィングをし、分散染料を用い液流染色
機を用い染色した。
【0036】染色前生機の破断強度は、61.7N/c
m, 染色後品の破断強度は49N/cmであった。 比較例1 5−ソディウムスルホイソフタル酸を8モル%共重合し
たポリエチレンテレフタレートを海成分として30部、
島成分としてポリエチレンテレフタレートが70部から
なる割合で、(1)フィラメント中に島成分が36島含ま
れる形態であり、平均繊度が3.8dtexの海島型繊
維のステープルを用いてカード、クロスラッパーを通し
てウェブを作成した後、ニードルパンチを施し、不織布
を作成した。この繊維基体にポリビニルアルコール水溶
液を島成分に対し、30重量部含浸、乾燥処理した後、
180℃の熱処理を施した。熱処理後の繊維基体を、4
0℃、10重量%水酸化ナトリウム水溶液に30分浸漬
することで海成分を除去した後、水洗、乾燥した。次に
極細繊維化された基体に水系ポリウレタン樹脂固形分が
島成分に対し48重量部含まれるよう、12重量%の水
系ポリウレタン樹脂溶液を含浸した直後にスチーマー処
理し、130℃の熱処理を5分間施した。次に基体内部
のポリビニルアルコールを100℃の熱水で除去後、ス
ライス機で半裁、バッフィングをし、分散染料を用い液
流染色機を用い染色した。
【0037】染色前生機の破断強度は56.8N/c
m、染色後品の破断強度は、29.4N/cmと非常に
低かった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、優れた破断強力、耐久
性、柔軟性を兼ね備えた皮革様シート状物の製造方法を
提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA02 BA11 EA04 EA12 EA14 EA24 FA15 GA03 4L031 AA18 AB11 AB34 BA11 CA01 4L033 AA07 AB07 AC11 AC15 BA69 CA50

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として極細繊維とポリウレタン樹脂から
    なる皮革様シート状物を製造するにあたり、以下の4工
    程を含むことを特徴とする皮革様シート状物の製造方
    法。 (1)アルカリ性水溶液による処理で極細繊維が発生す
    る極細繊維発現型繊維を用いてシートを製造する工程。 (2)上記シートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊
    維を発生させる工程。 (3)極細繊維を発生せしめた後のシートに、ブロック
    イソシアネート化合物をシートに付与する工程。 (4)ポリウレタンを付与する工程。
  2. 【請求項2】ポリウレタンが、ブロックイソシアネート
    化合物と反応可能なカルボキシル基および/または水酸
    基を有することを特徴とする請求項1に記載の皮革様シ
    ート状物の製造方法。
  3. 【請求項3】ポリウレタンがエマルションポリウレタン
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮革
    様シート状物の製造方法
  4. 【請求項4】ブロックイソシアネート化合物の解離温度
    が100℃以上、200℃以下であることを特徴とする
    請求項1、2、3のいずれかに記載の皮革様シート状物
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174868A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Toray Ind Inc シート状物の製造方法およびシート状物
CN108252109A (zh) * 2018-03-02 2018-07-06 浙江华祥皮革有限公司 一种汽车坐垫皮革的制备方法

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JP2008174868A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Toray Ind Inc シート状物の製造方法およびシート状物
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