JP2004019081A - 皮革様シート状物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境にかかる負担の少ない方法で、優れた破断強力、耐久性、柔軟性を兼ね備えた皮革様シート状物を提供する。
【解決手段】主として極細繊維とポリウレタン樹脂からなる皮革様シート状物を製造するにあたり、以下の4工程を含む皮革様シート状物の製造方法。
(1) アルカリ性水溶液による処理で極細繊維が発生する極細繊維発現型繊維を用いてシートを製造する工程。
(2) 極細繊維発現型繊維から構成されるシートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊維を発現させる工程。
(3) シートにポリウレタン樹脂を付与する工程。
(4) シートにエポキシ化合物を付与する工程。
【選択図】なし
【解決手段】主として極細繊維とポリウレタン樹脂からなる皮革様シート状物を製造するにあたり、以下の4工程を含む皮革様シート状物の製造方法。
(1) アルカリ性水溶液による処理で極細繊維が発生する極細繊維発現型繊維を用いてシートを製造する工程。
(2) 極細繊維発現型繊維から構成されるシートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊維を発現させる工程。
(3) シートにポリウレタン樹脂を付与する工程。
(4) シートにエポキシ化合物を付与する工程。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は皮革様シート状物の製造方法に関する。さらに詳しくは、優れた風合いと強度を併せ持つ、皮革様シート状物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来極細繊維を用い、良好な立毛を有し、優れた柔軟性と品位を持つ、天然皮革に劣らない人工皮革が知られている。従来の人工皮革の製法としては、例えば次の通りである。まず、極細繊維発生型の複合繊維の1成分に極細繊維形成用成分を用い他成分に有機溶媒で溶解可能な成分を用いた繊維で、フェルトを作成する。次いで、このフェルトに通常有機溶媒としてジメチルホルムアミドを用いたポリウレタン樹脂溶液を付与した後、複合繊維の1成分を有機溶剤で溶解除去し極細繊維化するか、または極細繊維化後ポリウレタン樹脂の溶液を付与する事により人工皮革が得られる。
【0003】
しかるに、上記の方法では、複合繊維の1成分を除去するための有機溶媒や、ポリウレタン樹脂の有機溶媒を必要とする。かかる溶媒は環境への影響等からできる限り使用を抑えることが望まれ、特に近年は地球環境保全の観点からかかる有機溶媒を使用しないですむ新たな製法が強く求められている。
【0004】
かかる要請に対し、極細繊維発生型の複合繊維の溶解除去成分としてアルカリ可溶型のポリマーを用い、この繊維でシートを形成後アルカリで1成分を処理する手段が検討されている。
【0005】
また、更に一歩進め、特開平9−273029号公報に開示されいているように、ポリウレタン樹脂を溶液タイプから、水系エマルジョンタイプのものを用い、全く有機溶媒を用いないプロセスの検討もなされている。しかるに、アルカリで溶解除去成分を溶解除去してフェルトとし、ポリウレタンを付与して皮革様シート状物とした場合、その風合いは柔軟であるものの、物性が非常に低いという問題があった。また、ポリウレタン樹脂の付与量を調整することで強度等の物性を維持しようとすると、今度は風合いが粗硬になるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境にかかる負担の少ない方法で、柔軟な風合いと高い強度等の物性を併せ持ち実用に十分耐えうる皮革様シート状物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の手段により達成される。
【0008】
主として極細繊維とポリウレタン樹脂からなる皮革様シート状物を製造するにあたり、以下の4工程を含む皮革様シート状物の製造方法。
(1) アルカリ性水溶液による処理で極細繊維が発生する極細繊維発現型繊維を用いてシートを製造する工程。
(2) 極細繊維発現型繊維から構成されるシートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊維を発現させる工程。
(3) シートにポリウレタン樹脂を付与する工程。
(4)シートにエポキシ化合物を付与する工程。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で言う極細繊維発現型繊維は、極細繊維を構成する1成分と他の成分とからなり、当該他の成分が極細繊維を構成する成分に比べ好ましくは20倍以上、より好ましくは40倍以上のアルカリ溶解性を有する。ここで言うアルカリ溶解性の比は、それぞれの成分を60℃、濃度10%のアルカリ性水溶液で10分間浸漬したときの、減量率の比を言う。そしてアルカリ溶解処理により残った成分が極細繊維を形成する。係る極細繊維発現型繊維の形態としては例えば、海部にアルカリ溶解性成分と島部に極細繊維を構成する成分を配置した海島型や、星雲型、多層型、多島中空型などを基本とし、これらを組み合わせたもの、あるいは変形発展させたものなどであり、1成分を除去することで好ましくは0.3dtex以下の極細繊維が得られるものなどから適宜選択可能である。
【0010】
極細繊維を形成する成分としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、共重合ポリエステル、ナイロン−6、ナイロンー6、6等のポリアミド、共重合ポリアミド等を好ましく用いることが出来る。
【0011】
また、アルカリ溶解性成分には、紡糸性がよくアルカリ水溶液に対する溶解性が高いもので有れば特に限定されず使用可能だが、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどと、5−ソディウムスルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール、ドデヂルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸等を5〜20モル%共重合した共重合ポリエステルが好ましい。これらのうち、5−ソディウムスルホイソフタル酸を5〜20モル%共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体を用いることが特に好ましい。またこれら共重合体は二元のみならず三元以上の多元共重合体であってもよい。
【0012】
(1)本発明では、この極細繊維発現型繊維を用いてシートを製造する。シートの形態としては、不織布、織物、編物等を採用することができるが、風合いの点で不織布が好ましい。不織布形成のための手段としては例えば、クロスラッパーで繊維を積層させシート化する方法や、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法など紡糸直結で直接シート化する方法など皮革様シート状物の用途等に応じ随意に選択出来る。
【0013】
シート化後は、ニードルパンチ、ウオータージェットパンチなど必要に応じ繊維絡合処理を行うと良い。
【0014】
本発明は、後述するアルカリによる処理に先立ち、後述するポリウレタン樹脂と繊維との結合コントロールを行う目的でシートをあらかじめ高鹸化度ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの熱水溶解性ポリマーを付与しておくのも推奨できる。
【0015】
(2)本発明は、かくして得たシートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊維を発現させる。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニウム塩水溶液等を採用することができる。
【0016】
本発明でいうアルカリ性水溶液による処理としては例えば、アルカリ性水溶液中にシートを浸した後、シート内のアルカリ水溶液を酢酸などで中和・洗浄し乾燥する。この際、アルカリ水溶液の濃度、温度など状況に応じ適宜調整する事で、より良好なアルカリ性水溶液による処理が可能となる。また、アルカリ水溶液による処理をシートの表層のみで行わせる事も本発明の1つの好ましい態様である。即ち、極細繊維発生を表層近傍にのみ止める事により、内部が太い繊維として残るため、表面タッチが良く腰の有る独特なシートが得られる。この態様を採用するに当たってはアルカリ水溶液がシート内部全体に行き渡らないようにするためポリビニルアルコールなどのような増粘剤を加え表面層にコートし表面層の一部のみを溶解するようにすると良い。増粘剤はその後の適当な工程で除去すると良い。
【0017】
(3)本発明はアルカリ性水溶液で処理したシートに、ポリウレタン樹脂を付与する。
本発明に使用するポリウレタン樹脂は、基本的にはいずれのものも使用可能だが、以下に示すような、ポリオール成分の一部にポリカーボネートを含むポリカーボネートジオールとジイソシアネートと鎖伸長剤の各成分を適宜組み合わせて反応させて得られるポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。ポリカーボネ−トジオールとして、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールとジメチルカーボネ−ト、ジフェニルカーボネ−ト、ホスゲンとの反応により得られる化合物が挙げられる。さらにこのポリカーボネートジオールと他のポリオール成分としてポリエステルジオール、ポリエーテルジオールなどを組み合わせた共重合体でもよい。ポリエステルジオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、特に限定されない。ポリエーテルジオールとして、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられ、特に限定はされない。
【0018】
本発明で使用するポリウレタン樹脂に好ましく採用されるジイソシアネート成分としては、例えば4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,3−ジメトキシ−4,4−フェニレンイソシアネートなどを挙げることができる。
【0019】
本発明で使用するポリウレタン樹脂に好ましく採用される鎖伸長剤としては例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’―ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられ。これらを単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0020】
ポリウレタン樹脂は溶液タイプのものでも良いが、有機溶媒の使用を最小限に押さえるという観点からするとエマルジョンタイプのものがより好ましい。エマルジョン系の中で強制乳化型、自己乳化型のいずれでも良いが、強制乳化型の場合、ノニオン性界面活性剤をポリウレタン樹脂樹脂100重量部に対し、1〜10重量部の割合で含有するのが好ましい。ノニオン性界面活性剤が1重量部以上とすることで、エマルジョンを長期に保存した場合にも、乳液からの分散質の相分離によるクリーム状の沈殿物や再分散不能な凝固物の発生もなく、保存安定性が向上する。またノニオン系界面活性剤を10重要部以下とすることで、ゲル化の感度が向上し、加熱によるゲル化に要する時間を短縮することができる。
【0021】
エマルジョンポリウレタン樹脂に使用するノニオン系界面活性剤としては、親水基として水中でイオン解離しない水酸基やポリエーテル単位などを有している界面活性剤であり、ポリエチレングリコール型ノニオン系界面活性剤が挙げられる。かかるポリエチレングリコール型ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどの高級アルコールエチレンオキサイド付加物;脂肪酸ポリエチレンオキサイドエステル、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0022】
本発明で使用するエマルジョンポリウレタン樹脂は、有機溶剤を含んでいても、有機溶剤を含まない完全水系であってもよいが、環境面および煩雑な回収工程を要さないという生産性の面からは有機溶剤を含まないものが好ましく使用される。また、感熱ゲル化性、保存安定性を損なわない範囲で、エマルジョンポリウレタン樹脂に他の樹脂を併用しても良い。併用可能な樹脂として、例えば、天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン等が挙げられる。これらの樹脂は一つを選んでエマルジョンポリウレタン樹脂と併用しても、複数を選んでエマルジョンポリウレタン樹脂と併用して使用してもよい。さらに必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等を添加しても良い。また、後述する樹脂の凝固の際にシート内部の樹脂の分布むらが生じるのを抑える上で、無機塩や増粘剤等を添加しても良い。
【0023】
ポリウレタン樹脂のシートへの付与量は、シート内の繊維100重量に対して5〜150重量部とするのが好ましく、より好ましくは10〜100重量部である。付与量を5重量部以上、より好ましくは10重量部以上とすることで、シート状物の充実感を得ることができ、皮革様の風合いが良くなる。一方付与量を150重量部以下、より好ましくは100重量部以下とすることで、シート状物が柔軟になり、皮革の風合いが良くなる。
【0024】
エマルジョンポリウレタン樹脂をシートに付与するに際しては、シートに希釈したエマルジョンポリウレタン樹脂液を含浸、凝固する。凝固する方法としては、乾熱凝固する方法、湿熱凝固してから加熱乾燥する方法、無機塩を溶解させた浴中または熱水浴中へ浸漬し凝固する方法、またこれらの凝固方法を組み合わせた方法等がある。また、耐水性、耐染色加工性を向上させるために、凝固後の熱処理としてシートを90℃〜200℃で1分から60分、好ましくは120℃〜150℃で2分から20分程度熱処理することが好ましい。
【0025】
(4)本発明は、ポリウレタン樹脂をシートに付与した後、エポキシ化合物を付与する。
本発明で使用するエポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族、脂環式もしくは芳香族グリシジルエーテル化合物、脂肪族、脂環式もしくは芳香族グリシジルエステル化合物、不飽和基を複数有する脂肪族化合物もしくは脂環式化合物を酢酸と過酢酸とでエポキシ化したエポキシ化合物、脂肪族、脂環式もしくは芳香族グリシジルアミン化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリ−1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エリスリットポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルアニリン、テトラグリシジル4,4′−ジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、高級油脂のポリエポキシ化合物等が挙げられる。これらエポキシ化合物は単独あるいは2種以上組み合わせて用いても良いし、公知の架橋剤、例えば、ブロックイソシアネート、ポリイソシアネートなどを混合させて使用しても良い。
【0026】
また、エポキシ基の反応性を高める上で、エポキシ化合物に公知の触媒を添加しても良い。
【0027】
エポキシ化合物の付与量は状況に応じ適宜加減すると良いが、一つの目安としてはシートの繊維重量100に対し0.01から50重量部となる。
【0028】
エポキシ化合物をシートへ付与した後、適宜熱処理をすると良い。熱処理の温度は、皮革様シート状物の風合い、物性等のバランスにより適宜設定すると良いが、70℃から180℃までが好ましい。70℃以上とすることで、耐染色加工性を向上させることができ、180℃以下とすることで、染色加工後の製品の発色性を向上させることができる。
【0029】
以上、概ね(1)〜(4)の順で説明をしたが、あらかじめポリウレタン樹脂にエポキシ化合物を添加し、(4)エポキシ化合物を付与する工程と(3)ポリウレタン樹脂を付与する工程とを一度に行っても良い。また、最終的に得られる皮革様シート状物の物性と風合いのバランスを考慮し、(2)アルカリ水溶液による処理、(3)ポリウレタン樹脂を付与する工程、(4)エポキシ化合物を付与する工程の順番を適宜入れ替えても良い。
【0030】
かくして得られたシートについて、用途に応じスライス機による半裁、バッフィングによる起毛、染色加工等を施し、目的の皮革様シート状物を得ることが出来る。
【0031】
【実施例】
本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例中に示した物性値については、以下の方法に従って測定した。
【0032】
(1) 破断強度
テンシロン強伸度測定機を用い、サンプル長さ15cm、幅2cm、引張速度15cm/minで測定し、単位幅あたりの破断強力として破断強度(N/cm)を求めた。
【0033】
(実施例1)
5−ソディウムスルホイソフタル酸を8モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として30部、ポリエチレンテレフタレートを島成分として70部からなる割合で海島型に複合し、1本のフィラメントが島成分を36島有し、平均繊度が3.8dtexである海島型複合繊維のステープルとした。
【0034】
(1)これを用いてカード、クロスラッパーを通してウェブを作成した後、ニードルパンチを施し、不織布を作成した。
【0035】
この繊維基体にケン化度95のポリビニルアルコール水溶液を島成分に対し、30重量部含浸、乾燥処理した後、180℃の熱処理を施した。
【0036】
(2)熱処理後の繊維基体に、40℃、10重量%水酸化ナトリウム水溶液に30分浸漬し海成分を除去した後、水洗、乾燥した。
【0037】
(3)次に極細繊維が発現した基体に、ポリウレタン樹脂固形分が島成分に対し48重量部含まれるよう、12重量%の水系エマルジョンポリウレタン樹脂液を含浸した直後にスチーム処理し、130℃の熱処理を5分間施した。
【0038】
次に基体内部のポリビニルアルコールを100℃の熱水で除去した後、(4)エポキシ化合物として、アデカレジンEP−4100(旭電化工業(株)製)を基体100重量部に対し4重量部含浸させ、100℃で加熱処理した。
【0039】
次にスライス機で半裁、バッフィングをし、分散染料を用い液流染色機を用い染色した。
【0040】
染色前生機の破断強度は、54.9N/cm、染色後品の破断強度は49.4N/cmであった。染色後品の風合い、反発性は実用に供しうるものであった。
【0041】
(比較例1)
(4)のエポキシ化合物の付与を省略した以外は、実施例1を繰り返した。
染色前生機の破断強度は58.8N/cmであるのに対し、染色後品の破断強度は、20.4N/cmと非常に低かった。染色後品の風合いは実用に供しうるレベルであったが、反発性は低かった。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、環境にかかる負担の少ない方法で、優れた破断強力、耐久性、柔軟性を兼ね備えた皮革様シート状物を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は皮革様シート状物の製造方法に関する。さらに詳しくは、優れた風合いと強度を併せ持つ、皮革様シート状物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来極細繊維を用い、良好な立毛を有し、優れた柔軟性と品位を持つ、天然皮革に劣らない人工皮革が知られている。従来の人工皮革の製法としては、例えば次の通りである。まず、極細繊維発生型の複合繊維の1成分に極細繊維形成用成分を用い他成分に有機溶媒で溶解可能な成分を用いた繊維で、フェルトを作成する。次いで、このフェルトに通常有機溶媒としてジメチルホルムアミドを用いたポリウレタン樹脂溶液を付与した後、複合繊維の1成分を有機溶剤で溶解除去し極細繊維化するか、または極細繊維化後ポリウレタン樹脂の溶液を付与する事により人工皮革が得られる。
【0003】
しかるに、上記の方法では、複合繊維の1成分を除去するための有機溶媒や、ポリウレタン樹脂の有機溶媒を必要とする。かかる溶媒は環境への影響等からできる限り使用を抑えることが望まれ、特に近年は地球環境保全の観点からかかる有機溶媒を使用しないですむ新たな製法が強く求められている。
【0004】
かかる要請に対し、極細繊維発生型の複合繊維の溶解除去成分としてアルカリ可溶型のポリマーを用い、この繊維でシートを形成後アルカリで1成分を処理する手段が検討されている。
【0005】
また、更に一歩進め、特開平9−273029号公報に開示されいているように、ポリウレタン樹脂を溶液タイプから、水系エマルジョンタイプのものを用い、全く有機溶媒を用いないプロセスの検討もなされている。しかるに、アルカリで溶解除去成分を溶解除去してフェルトとし、ポリウレタンを付与して皮革様シート状物とした場合、その風合いは柔軟であるものの、物性が非常に低いという問題があった。また、ポリウレタン樹脂の付与量を調整することで強度等の物性を維持しようとすると、今度は風合いが粗硬になるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境にかかる負担の少ない方法で、柔軟な風合いと高い強度等の物性を併せ持ち実用に十分耐えうる皮革様シート状物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の手段により達成される。
【0008】
主として極細繊維とポリウレタン樹脂からなる皮革様シート状物を製造するにあたり、以下の4工程を含む皮革様シート状物の製造方法。
(1) アルカリ性水溶液による処理で極細繊維が発生する極細繊維発現型繊維を用いてシートを製造する工程。
(2) 極細繊維発現型繊維から構成されるシートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊維を発現させる工程。
(3) シートにポリウレタン樹脂を付与する工程。
(4)シートにエポキシ化合物を付与する工程。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で言う極細繊維発現型繊維は、極細繊維を構成する1成分と他の成分とからなり、当該他の成分が極細繊維を構成する成分に比べ好ましくは20倍以上、より好ましくは40倍以上のアルカリ溶解性を有する。ここで言うアルカリ溶解性の比は、それぞれの成分を60℃、濃度10%のアルカリ性水溶液で10分間浸漬したときの、減量率の比を言う。そしてアルカリ溶解処理により残った成分が極細繊維を形成する。係る極細繊維発現型繊維の形態としては例えば、海部にアルカリ溶解性成分と島部に極細繊維を構成する成分を配置した海島型や、星雲型、多層型、多島中空型などを基本とし、これらを組み合わせたもの、あるいは変形発展させたものなどであり、1成分を除去することで好ましくは0.3dtex以下の極細繊維が得られるものなどから適宜選択可能である。
【0010】
極細繊維を形成する成分としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、共重合ポリエステル、ナイロン−6、ナイロンー6、6等のポリアミド、共重合ポリアミド等を好ましく用いることが出来る。
【0011】
また、アルカリ溶解性成分には、紡糸性がよくアルカリ水溶液に対する溶解性が高いもので有れば特に限定されず使用可能だが、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどと、5−ソディウムスルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール、ドデヂルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸等を5〜20モル%共重合した共重合ポリエステルが好ましい。これらのうち、5−ソディウムスルホイソフタル酸を5〜20モル%共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体を用いることが特に好ましい。またこれら共重合体は二元のみならず三元以上の多元共重合体であってもよい。
【0012】
(1)本発明では、この極細繊維発現型繊維を用いてシートを製造する。シートの形態としては、不織布、織物、編物等を採用することができるが、風合いの点で不織布が好ましい。不織布形成のための手段としては例えば、クロスラッパーで繊維を積層させシート化する方法や、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法など紡糸直結で直接シート化する方法など皮革様シート状物の用途等に応じ随意に選択出来る。
【0013】
シート化後は、ニードルパンチ、ウオータージェットパンチなど必要に応じ繊維絡合処理を行うと良い。
【0014】
本発明は、後述するアルカリによる処理に先立ち、後述するポリウレタン樹脂と繊維との結合コントロールを行う目的でシートをあらかじめ高鹸化度ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの熱水溶解性ポリマーを付与しておくのも推奨できる。
【0015】
(2)本発明は、かくして得たシートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊維を発現させる。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニウム塩水溶液等を採用することができる。
【0016】
本発明でいうアルカリ性水溶液による処理としては例えば、アルカリ性水溶液中にシートを浸した後、シート内のアルカリ水溶液を酢酸などで中和・洗浄し乾燥する。この際、アルカリ水溶液の濃度、温度など状況に応じ適宜調整する事で、より良好なアルカリ性水溶液による処理が可能となる。また、アルカリ水溶液による処理をシートの表層のみで行わせる事も本発明の1つの好ましい態様である。即ち、極細繊維発生を表層近傍にのみ止める事により、内部が太い繊維として残るため、表面タッチが良く腰の有る独特なシートが得られる。この態様を採用するに当たってはアルカリ水溶液がシート内部全体に行き渡らないようにするためポリビニルアルコールなどのような増粘剤を加え表面層にコートし表面層の一部のみを溶解するようにすると良い。増粘剤はその後の適当な工程で除去すると良い。
【0017】
(3)本発明はアルカリ性水溶液で処理したシートに、ポリウレタン樹脂を付与する。
本発明に使用するポリウレタン樹脂は、基本的にはいずれのものも使用可能だが、以下に示すような、ポリオール成分の一部にポリカーボネートを含むポリカーボネートジオールとジイソシアネートと鎖伸長剤の各成分を適宜組み合わせて反応させて得られるポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。ポリカーボネ−トジオールとして、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールとジメチルカーボネ−ト、ジフェニルカーボネ−ト、ホスゲンとの反応により得られる化合物が挙げられる。さらにこのポリカーボネートジオールと他のポリオール成分としてポリエステルジオール、ポリエーテルジオールなどを組み合わせた共重合体でもよい。ポリエステルジオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、特に限定されない。ポリエーテルジオールとして、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられ、特に限定はされない。
【0018】
本発明で使用するポリウレタン樹脂に好ましく採用されるジイソシアネート成分としては、例えば4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,3−ジメトキシ−4,4−フェニレンイソシアネートなどを挙げることができる。
【0019】
本発明で使用するポリウレタン樹脂に好ましく採用される鎖伸長剤としては例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’―ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられ。これらを単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0020】
ポリウレタン樹脂は溶液タイプのものでも良いが、有機溶媒の使用を最小限に押さえるという観点からするとエマルジョンタイプのものがより好ましい。エマルジョン系の中で強制乳化型、自己乳化型のいずれでも良いが、強制乳化型の場合、ノニオン性界面活性剤をポリウレタン樹脂樹脂100重量部に対し、1〜10重量部の割合で含有するのが好ましい。ノニオン性界面活性剤が1重量部以上とすることで、エマルジョンを長期に保存した場合にも、乳液からの分散質の相分離によるクリーム状の沈殿物や再分散不能な凝固物の発生もなく、保存安定性が向上する。またノニオン系界面活性剤を10重要部以下とすることで、ゲル化の感度が向上し、加熱によるゲル化に要する時間を短縮することができる。
【0021】
エマルジョンポリウレタン樹脂に使用するノニオン系界面活性剤としては、親水基として水中でイオン解離しない水酸基やポリエーテル単位などを有している界面活性剤であり、ポリエチレングリコール型ノニオン系界面活性剤が挙げられる。かかるポリエチレングリコール型ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどの高級アルコールエチレンオキサイド付加物;脂肪酸ポリエチレンオキサイドエステル、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0022】
本発明で使用するエマルジョンポリウレタン樹脂は、有機溶剤を含んでいても、有機溶剤を含まない完全水系であってもよいが、環境面および煩雑な回収工程を要さないという生産性の面からは有機溶剤を含まないものが好ましく使用される。また、感熱ゲル化性、保存安定性を損なわない範囲で、エマルジョンポリウレタン樹脂に他の樹脂を併用しても良い。併用可能な樹脂として、例えば、天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン等が挙げられる。これらの樹脂は一つを選んでエマルジョンポリウレタン樹脂と併用しても、複数を選んでエマルジョンポリウレタン樹脂と併用して使用してもよい。さらに必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等を添加しても良い。また、後述する樹脂の凝固の際にシート内部の樹脂の分布むらが生じるのを抑える上で、無機塩や増粘剤等を添加しても良い。
【0023】
ポリウレタン樹脂のシートへの付与量は、シート内の繊維100重量に対して5〜150重量部とするのが好ましく、より好ましくは10〜100重量部である。付与量を5重量部以上、より好ましくは10重量部以上とすることで、シート状物の充実感を得ることができ、皮革様の風合いが良くなる。一方付与量を150重量部以下、より好ましくは100重量部以下とすることで、シート状物が柔軟になり、皮革の風合いが良くなる。
【0024】
エマルジョンポリウレタン樹脂をシートに付与するに際しては、シートに希釈したエマルジョンポリウレタン樹脂液を含浸、凝固する。凝固する方法としては、乾熱凝固する方法、湿熱凝固してから加熱乾燥する方法、無機塩を溶解させた浴中または熱水浴中へ浸漬し凝固する方法、またこれらの凝固方法を組み合わせた方法等がある。また、耐水性、耐染色加工性を向上させるために、凝固後の熱処理としてシートを90℃〜200℃で1分から60分、好ましくは120℃〜150℃で2分から20分程度熱処理することが好ましい。
【0025】
(4)本発明は、ポリウレタン樹脂をシートに付与した後、エポキシ化合物を付与する。
本発明で使用するエポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族、脂環式もしくは芳香族グリシジルエーテル化合物、脂肪族、脂環式もしくは芳香族グリシジルエステル化合物、不飽和基を複数有する脂肪族化合物もしくは脂環式化合物を酢酸と過酢酸とでエポキシ化したエポキシ化合物、脂肪族、脂環式もしくは芳香族グリシジルアミン化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリ−1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エリスリットポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルアニリン、テトラグリシジル4,4′−ジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、高級油脂のポリエポキシ化合物等が挙げられる。これらエポキシ化合物は単独あるいは2種以上組み合わせて用いても良いし、公知の架橋剤、例えば、ブロックイソシアネート、ポリイソシアネートなどを混合させて使用しても良い。
【0026】
また、エポキシ基の反応性を高める上で、エポキシ化合物に公知の触媒を添加しても良い。
【0027】
エポキシ化合物の付与量は状況に応じ適宜加減すると良いが、一つの目安としてはシートの繊維重量100に対し0.01から50重量部となる。
【0028】
エポキシ化合物をシートへ付与した後、適宜熱処理をすると良い。熱処理の温度は、皮革様シート状物の風合い、物性等のバランスにより適宜設定すると良いが、70℃から180℃までが好ましい。70℃以上とすることで、耐染色加工性を向上させることができ、180℃以下とすることで、染色加工後の製品の発色性を向上させることができる。
【0029】
以上、概ね(1)〜(4)の順で説明をしたが、あらかじめポリウレタン樹脂にエポキシ化合物を添加し、(4)エポキシ化合物を付与する工程と(3)ポリウレタン樹脂を付与する工程とを一度に行っても良い。また、最終的に得られる皮革様シート状物の物性と風合いのバランスを考慮し、(2)アルカリ水溶液による処理、(3)ポリウレタン樹脂を付与する工程、(4)エポキシ化合物を付与する工程の順番を適宜入れ替えても良い。
【0030】
かくして得られたシートについて、用途に応じスライス機による半裁、バッフィングによる起毛、染色加工等を施し、目的の皮革様シート状物を得ることが出来る。
【0031】
【実施例】
本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例中に示した物性値については、以下の方法に従って測定した。
【0032】
(1) 破断強度
テンシロン強伸度測定機を用い、サンプル長さ15cm、幅2cm、引張速度15cm/minで測定し、単位幅あたりの破断強力として破断強度(N/cm)を求めた。
【0033】
(実施例1)
5−ソディウムスルホイソフタル酸を8モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として30部、ポリエチレンテレフタレートを島成分として70部からなる割合で海島型に複合し、1本のフィラメントが島成分を36島有し、平均繊度が3.8dtexである海島型複合繊維のステープルとした。
【0034】
(1)これを用いてカード、クロスラッパーを通してウェブを作成した後、ニードルパンチを施し、不織布を作成した。
【0035】
この繊維基体にケン化度95のポリビニルアルコール水溶液を島成分に対し、30重量部含浸、乾燥処理した後、180℃の熱処理を施した。
【0036】
(2)熱処理後の繊維基体に、40℃、10重量%水酸化ナトリウム水溶液に30分浸漬し海成分を除去した後、水洗、乾燥した。
【0037】
(3)次に極細繊維が発現した基体に、ポリウレタン樹脂固形分が島成分に対し48重量部含まれるよう、12重量%の水系エマルジョンポリウレタン樹脂液を含浸した直後にスチーム処理し、130℃の熱処理を5分間施した。
【0038】
次に基体内部のポリビニルアルコールを100℃の熱水で除去した後、(4)エポキシ化合物として、アデカレジンEP−4100(旭電化工業(株)製)を基体100重量部に対し4重量部含浸させ、100℃で加熱処理した。
【0039】
次にスライス機で半裁、バッフィングをし、分散染料を用い液流染色機を用い染色した。
【0040】
染色前生機の破断強度は、54.9N/cm、染色後品の破断強度は49.4N/cmであった。染色後品の風合い、反発性は実用に供しうるものであった。
【0041】
(比較例1)
(4)のエポキシ化合物の付与を省略した以外は、実施例1を繰り返した。
染色前生機の破断強度は58.8N/cmであるのに対し、染色後品の破断強度は、20.4N/cmと非常に低かった。染色後品の風合いは実用に供しうるレベルであったが、反発性は低かった。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、環境にかかる負担の少ない方法で、優れた破断強力、耐久性、柔軟性を兼ね備えた皮革様シート状物を提供できる。
Claims (1)
- 主として極細繊維とポリウレタン樹脂からなる皮革様シート状物を製造するにあたり、以下の4工程を含む皮革様シート状物の製造方法。
(1) アルカリ性水溶液による処理で極細繊維が発生する極細繊維発現型繊維を用いてシートを製造する工程。
(2) 極細繊維発現型繊維から構成されるシートをアルカリ性水溶液で処理し、極細繊維を発現させる工程。
(3) シートにポリウレタン樹脂を付与する工程。
(4) シートにエポキシ化合物を付与する工程。
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-
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