JP2003089838A - アルミダイカスト製吸放熱部品 - Google Patents
アルミダイカスト製吸放熱部品Info
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Abstract
ト製吸放熱部品を提供する。 【解決手段】ダイカストにより鋳造されたアルミニウム
合金からなり、放熱性が要求されるインバータケース1
において、アルミニウム合金はSiの含有量が9.6質
量%未満である。
Description
吸放熱部品に関する。このアルミダイカスト製吸放熱部
品は、電気自動車やハイブリッド車等のインバータケー
ス等に用いて好適である。
ッテリとともにインバータ及びDC/DCコンバータが
用いられており、バッテリで得られた電力がコンバータ
により降圧され、これが補機類に供給されたり、インバ
ータにより交流に変換されて走行用モータを駆動するよ
うになっている。この間、インバータやコンバータを構
成する内部の電子部品には大電流が流れるため、それら
は高温になりやすく、インバータの外郭を構成するイン
バータケースやコンバータの外郭を構成するコンバータ
ケースには、これら電子部品を冷却すべく、高い放熱性
が要求される。このため、それらインバータケース等
は、軽量性と、多くの放熱フィンを有する必要性とか
ら、アルミニウム合金をダイカストにより鋳造すること
により製造されていた。
熱性が要求される従来のアルミダイカスト製吸放熱部品
を構成するアルミニウム合金は、機械的性質や鋳造性の
観点から、自動車部品等のダイカスト材としてよく用い
られるADC12(JIS5302)であった。
〜12.0質量%、Cuが1.5〜3.5質量%、Mg
が0.3質量%以下、Znが1.0質量%以下、Feが
1.3質量%以下、Mnが0.5質量%以下、Niが
0.5質量%以下、Snが0.2質量%以下及びAlが
残部の組成を有している。
よる引張強さが320N/mm2、引張試験による耐力
が170N/mm2、引張試験による伸びが1%、せん
断強さが210N/mm2、疲れ強さが140N/m
m2、擬弾性係数が70.6kN/mm2、導電率が23
%IACS、熱伝導率が96W/(m・K)、20〜1
00°Cにおける熱膨張係数が20.5×10-6/K、
比重が2.70、凝固温度範囲が液相で580°C、固
相で515°Cである。
又は放熱性に優れたアルミダイカスト製吸放熱部品が求
められている。
特開平2−122548号公報に記載されているよう
に、半導体素子のヒートシンク等に用いられるSiを非
常に多く含有するアルミニウム合金をそのアルミダイカ
スト製吸放熱部品に採用することも考えられる。
は熱伝導率が低く、かつそれらの技術ではそれらのアル
ミニウム合金を鍛造することによりヒートシンク等を製
造していた実績があるにすぎないことから、多くの吸熱
又は放熱フィンを有する必要性のあるインバータケース
等のアルミダイカスト製吸放熱部品にそれらの技術をそ
のまま採用することはできない。
たものであって、より吸熱性又は放熱性に優れたアルミ
ダイカスト製吸放熱部品を提供することを解決すべき課
題としている。
決のために鋭意研究を行い、ADC12中のSiの含有
量を減少させていくことにより、より吸熱性又は放熱性
に優れたアルミダイカスト製吸放熱部品が得られること
を発見し、本発明を完成させるに至った。
放熱部品は、ダイカストにより鋳造されたアルミニウム
合金からなり、吸熱性又は放熱性が要求されるアルミダ
イカスト製吸放熱部品において、前記アルミニウム合金
はSiの含有量が9.6質量%未満であることを特徴と
する。
量が9.6質量%未満のアルミニウム合金の熱伝導率は
ADC12のそれより高くなる。
吸放熱部品はさらに優れた吸熱性又は放熱性を発揮する
ことができる。
量%のADC12の熱伝導率は、文献上96W/(m・
K)であったが、発明者らの試験結果によれば、130
W/(m・K)であった。このため、この明細書におい
ては、後述するように、発明者らの試験結果によって評
価を行なうこととする。
質量%未満であることがより好ましい。発明者らの試験
結果によれば、Siの含有量が5.5質量%未満のアル
ミニウム合金の熱伝導率は170W/(m・K)を超え
る。このため、こうして得られるアルミダイカスト製吸
放熱部品は確実に優れた吸熱性又は放熱性を発揮するこ
とができる。
質量%以上であることが好ましい。発明者らの試験結果
によれば、Siの含有量が少ないアルミニウム合金程、
熱伝導率は高くなり、99.99〜100質量%のアル
ミニウム(Al)の熱伝導率は247W/(m・K)で
ある。しかし、アルミニウム合金中のSiを減量させる
ことは、こうして熱伝導性の点では良好な結果をもたら
すものの、溶湯の湯回りを示す流動性(ダイカスト
性)、凝固時の引け性及びアルミダイカスト製吸放熱部
品の強度の点では好ましくない結果をもたらす。アルミ
ダイカスト製吸放熱部品は、上述のように、高い吸熱性
又は放熱性が要求されることから、多くの吸熱フィンや
放熱フィンを有する必要性が高いため、ダイカスト性や
引け性が重要な要素となるとともに、実用的な引張強さ
が重要な要素となる。Siの含有量が2.5質量%未満
のアルミニウム合金では、それらダイカスト性及び引け
性が十分でないとともに、実用的な引張強さ150N/
mm2が得られない。なお、アルミニウム合金中のSi
を減量させることは、アルミダイカスト製吸放熱部品の
耐焼付き性、耐食性及び切削性にさほどの影響を与えな
い。
Feを含むことが好ましい。発明者らの試験結果によれ
ば、Feの含有量が少ないアルミニウム合金程、Si以
上に熱伝導率は高くなる。しかし、アルミニウム合金中
のFeを減量させることは、こうして熱伝導性の点では
良好な結果をもたらすものの、耐焼付き性の点では好ま
しくない結果をもたらす。従って、アルミニウム合金を
低コストで量産するため、アルミニウム合金は0.05
質量%以上のFeが含まれていることが好ましい。な
お、アルミニウム合金中のFeを減量させることは、ダ
イカスト性、引け性、強度、耐食性及び切削性にさほど
の影響を与えない。
gを含むことが好ましい。発明者らの試験結果によれ
ば、アルミニウム合金中のMgを減量させれば、熱伝導
率、ダイカスト性及び引け性の点では良好な結果をもた
らす。しかし、アルミニウム合金中のMgを減量させる
ことは、強度及び耐食性の点では好ましくない結果をも
たらす。0.2質量%以下でMgを含まないアルミニウ
ム合金では、実用的な強度及び耐食性が得られない。こ
れはMgの固溶体強化作用が低下したためと考えられ
る。なお、アルミニウム合金中のMgを減量させること
は、耐焼付き性及び切削性にさほどの影響を与えない。
いことが好ましい。発明者らの試験結果によれば、Cu
の含有量が少ないアルミニウム合金程、Si以上に熱伝
導率は高くなるからである。また、アルミニウム合金中
のCuを減量させることは、ダイカスト性の点で良好な
結果をもたらすからである。なお、アルミニウム合金中
のCuを減量させることは、強度、耐食性及び切削性の
点では好ましくない結果をもたらすが、これらはアルミ
ダイカスト製吸放熱部品としてさほどの影響を生じな
い。また、アルミニウム合金中のCuを減量させること
は、引け性及び耐焼付き性にさほどの影響を与えない。
ならせたアルミニウム合金の特性について試験を行な
う。
測定することにより熱伝導率(W/(m・K))を推定
しているため、初めに、JIS金属データブックに記載
されている導電率及び熱伝導率と、実際に測定した導電
率及び熱伝導率とを図1に示す。図中、■がJISデー
タであり、◆が実測値である。
た場合、JISデータではy=3.510x+14.3
8の関係があり、実測値ではy=3.091x+51.
23の関係があることがわかる。このようにJISデー
タと実測値とで関係式に相違があるのは、JISデータ
ではSiの含有量にも幅があることと、測定機器にもバ
ラツキがあり得ることとによるものと思われる。このた
め、発明者らはADC12の熱伝導率を実測値の130
W/(m・K)と評価した。
で変化させ、Alが残部とした組成のSi−Al合金を
用意する。また、Siを2.5〜5.5質量%の範囲で
変化させ、Mgが0.2質量%、Alが残部とした組成
のSi−Mg−Al合金を用意する。
有量(質量%)と熱伝導率との関係を求めた。結果を図
2に示す。図中、◆がSi−Al合金であり、■がSi
−Mg−Al合金である。
アルミニウム合金の熱伝導率が大きくなることがわか
る。このため、Siの含有量が9.6質量%未満のアル
ミニウム合金であれば、熱伝導率がADC12のそれよ
り高くなることがわかる。
アルミニウム合金であれば、熱伝導率は優れた吸熱性又
は放熱性の期待できる170W/(m・K)を超えるこ
とがわかる。このため、アルミニウム合金はSiの含有
量が5.5質量%未満であることがより好ましいことが
わかる。
させれば、アルミニウム合金は熱伝導率の点で良好な結
果をもたらすことがわかる。また、アルミニウム合金中
のMgを減量させれば、ダイカスト性及び引け性の点で
も良好な結果をもたらした。
で変化させるとともに、Feを0.05〜0.95質量
%の範囲で変化させ、Alが残部とした組成のSi−F
e−Al合金を用意する。また、Siを1.8〜5.5
質量%の範囲で変化させ、Mgが0.2質量%、Alが
残部とした組成のSi−Mg−Al合金を用意する。
有量とFeの含有量とMgの添加の有無における熱伝導
率との関係を求めた。結果を図3に示す。図中、◆がS
i−Al合金であり、■がSi−Mg−Al合金であ
る。また、図中の数字が熱伝導率である。また、ハッチ
ングの範囲はダイカスト性及び凝固時の引け性が悪いこ
とを示す。
量が5.5質量%未満であれば、熱伝導率は優れた吸熱
性又は放熱性の期待できる170W/(m・K)を超え
ることがわかる。また、Feの含有量が少ないアルミニ
ウム合金程、Si以上に熱伝導率は高くなることがわか
る。さらに、アルミニウム合金中のSiを減量させるこ
とは、熱伝導性の点では良好な結果をもたらすものの、
ダイカスト性及び引け性の点では好ましくない結果をも
たらすこともわかる。そして、Siの含有量が2.5質
量%未満のアルミニウム合金では、ダイカスト性及び引
け性が十分でない。なお、アルミニウム合金中のFeを
減量させることは、ダイカスト性及び引け性にさほどの
影響を与えない。
ついて、Siの含有量とFeの含有量とHv硬度との関
係を求めた。結果を図4に示す。図中の数字がHv硬度
である。なお、ADC12のHv硬度は90である。ま
た、ハッチングの範囲はダイカスト性及び凝固時の引け
性が悪いことを示す。
量させることは、強度の点では好ましくない結果をもた
らすことがわかる。なお、アルミニウム合金中のSiを
減量させることは、耐焼付き性、耐食性及び切削性にさ
ほどの影響を与えない。また、アルミニウム合金中のF
eを減量させることは、耐焼付き性の点では好ましくな
い結果をもたらすことがわかる。0.05質量%以下で
Feを含まないアルミニウム合金では、耐焼付き性が極
端に低下してしまう。なお、アルミニウム合金中のFe
を減量させることは、強度、耐食性及び切削性にさほど
の影響を与えない。
とした組成のSi−Al合金(B−11)と、Siを
2.80質量%、Mgが0.2質量%、Alが残部とし
た組成のSi−Mg−Al合金(B−5)と、Siを
3.40質量%、Mgが0.2質量%、Alが残部とし
た組成のSi−Mg−Al合金(A−2)と、Siを
3.50質量%、Alが残部とした組成のSi−Al合
金(A−9、B−9)との各溶湯を用意する。これらの
溶湯で舟型又はダイカストにより幅4cm、厚さ3c
m、長さ27cmの試料を鋳造する。A−2及びA−9
のアルミニウム合金の溶湯では舟型を採用し、B−5、
B−9及びB−11のアルミニウム合金の溶湯ではダイ
カストを採用した。
含有量と引張強さ(MPa)との関係を求めた。結果を
図5に示す。図中、■がB−11のアルミニウム合金で
あり、▲がB−5のアルミニウム合金であり、◆がA−
2のアルミニウム合金であり、★がA−9のアルミニウ
ム合金であり、☆がB−9のアルミニウム合金である。
Aは舟型試験片を意味し、Bはダイカスト製品を意味す
る。
満のアルミニウム合金では、実用的な引張強さ150N
/mm2が得られないことがわかる。また、アルミニウ
ム合金中にMgを添加すれば、強度の点で好ましいこと
がわかる。0.2質量%でMgを含むアルミニウム合金
では、実用的な引張強さ150N/mm2が得られる。
合金程、Si以上に熱伝導率は高くなり、アルミニウム
合金中のCuを減量させることは、ダイカスト性の点で
良好な結果をもたらすことから、アルミニウム合金はC
uを実質的に含まないことが好ましい。
スト製吸放熱部品をハイブリッド車のインバータケース
に具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
は、Siを3.40質量%、Mgが0.2質量%、Al
が残部とした組成のSi−Mg−Al合金をダイカスト
により鋳造することにより製造した。
が174W/(m・K)であり、引張強さが150N/
mm2であった。また、このインバータケース1は、多
くの放熱フィン1aを有するにもかかわらず、優れたダ
イカスト性及び引け性を有していた。なお、このインバ
ータケース1の耐焼付き性、耐食性及び切削性に問題は
なかった。
ータケース1は、図7に示すように、下方のコンバータ
ケース2上に固定され、各放熱フィン1aがコンバータ
ケース2に当接される。各放熱フィン1a及びコンバー
タケース2により、冷却水路が形成される。そして、イ
ンバータケース1内にはシリコングリス3、銅製の放熱
板4及び樹脂製の絶縁体5を介して電子部品としてのパ
ワー素子(IGBT)6が固定される。こうして、この
インバータケース1はさらに優れた放熱性を発揮する。
グラフである。
を示すグラフである。
gの添加の有無における熱伝導率との関係を示すグラフ
である。
v硬度との関係を示すグラフである。
における引張強さとの関係を示すグラフである。
る。
品) 1a…放熱フィン
Claims (6)
- 【請求項1】ダイカストにより鋳造されたアルミニウム
合金からなり、吸熱性又は放熱性が要求されるアルミダ
イカスト製吸放熱部品において、 前記アルミニウム合金はSiの含有量が9.6質量%未
満であることを特徴とするアルミダイカスト製吸放熱部
品。 - 【請求項2】アルミニウム合金はSiの含有量が5.5
質量%未満であることを特徴とする請求項1記載のアル
ミダイカスト製吸放熱部品。 - 【請求項3】アルミニウム合金はSiの含有量が2.5
質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載
のアルミダイカスト製吸放熱部品。 - 【請求項4】アルミニウム合金は0.05質量%以上の
Feを含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の
アルミダイカスト製吸放熱部品。 - 【請求項5】アルミニウム合金は0.2質量%以下でM
gを含むことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載
のアルミダイカスト製吸放熱部品。 - 【請求項6】アルミニウム合金はCuを実質的に含まな
いことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の
アルミダイカスト製吸放熱部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001283142A JP2003089838A (ja) | 2001-09-18 | 2001-09-18 | アルミダイカスト製吸放熱部品 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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