JP2003089585A - 多孔質セラミックスとその製造方法 - Google Patents

多孔質セラミックスとその製造方法

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JP2003089585A
JP2003089585A JP2001278086A JP2001278086A JP2003089585A JP 2003089585 A JP2003089585 A JP 2003089585A JP 2001278086 A JP2001278086 A JP 2001278086A JP 2001278086 A JP2001278086 A JP 2001278086A JP 2003089585 A JP2003089585 A JP 2003089585A
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Tomomasa Miyanaga
倫正 宮永
Noboru Uchimura
昇 内村
Osamu Komura
修 小村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性に適した方法により製造可能な、表面
平滑性多孔質セラミックスを得ることを主要な目的とす
る。 【解決手段】 本発明に係る多孔質セラミックスは表面
面粗度(Ra)が0.5μm未満で、気孔率が30%以
上のセラミックス1からなる。多孔質セラミックス内部
には含まれない元素の少なくとも1つを、表面領域1f
(表面から10μm以内)に含有し、かつセラミックス
内部と表面1fの組成比は異なる。このような表面平坦
性多孔質セラミックスは、その表面に金属、酸化物また
は窒化物薄膜、あるいはパターニングされた金属導体を
形成して、用いることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、一般に多孔質セ
ラミックスに関するものであり、より特定的には、各種
構造材料および電子材料に使用される多孔質セラミック
スに関する。この発明は、また、そのような多孔質セラ
ミックスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔質セラミックスは、軽量、断熱性、
易加工性、焼成時の高寸法精度(低収縮)、低誘電性な
どの優れた特性を有し、各種構造材料、フィルタ・真空
チャック用部材、および絶縁部材(基板)、低誘電損失
部材(基板)など電子材料への応用が期待できる。
【0003】しかし、多孔質セラミックスは表面に気孔
による凹凸が存在するため、表面精度が十分でなく、上
記用途に応用するためには、耐摩耗性や摩擦特性、また
は表面への機能性薄膜、導電パターンなどを形成する際
の膜の密着性、平坦性、膜密度(ピンホール)、寸法精
度および耐湿性等が劣るという問題があった。
【0004】そこで、多孔質表面を平滑化する方法とし
て、緻密体セラミックスと同様に、表面を研削・研磨加
工するか、または多孔質材表面にセラミックススラリー
を含浸させた後、焼結し、表面を緻密化する方法などが
報告されている(特開昭61−53146号公報、特開
平01−164783号公報、特開平01−21577
8号公報、特公平01−47435号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、緻密体と同様
の方法で加工するだけでは、気孔による凹凸が残留する
ため、サブミクロンオーダーの平滑な表面を得ることが
困難である。また、多孔質セラミックス表面にセラミッ
クス、ガラス粒子などを堆積させるだけでは、十分平坦
な表面を得ることは困難であり、堆積粒子の脱落など信
頼性が低いものとなってしまう。
【0006】さらに、多孔質材表面に緻密質セラミック
スシートを積層するか、または緻密質セラミックススラ
リーを含浸して焼成する場合においては、緻密質セラミ
ックス部分の収縮率が大きいため、セラミックスの緻密
領域と多孔質領域で応力が発生し、基材が変形(反り)
するか、目的とした緻密な層が形成されないか、または
容易に剥離したり、十分な平滑性が得られない問題があ
る。また、製造プロセスとしても工程が増え、生産性が
劣るなどの問題が生じる。
【0007】この発明は、上記のような問題点を解決す
るためになされたもので、生産性に優れた方法により製
造可能な、表面平滑性多孔質セラミックスを提供するこ
とを目的とする。
【0008】この発明の他の目的は、そのような多孔質
セラミックスの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る多孔質セ
ラミックは、表面面粗度(Ra)が0.5μm未満で、
気孔率が30%以上であるセラミックスからなる。
【0010】請求項2に記載の多孔質セラミックスは、
請求項1に記載の多孔質セラミックスにおいて、上記セ
ラミックスの表面領域の構成元素が、該セラミックスの
構成元素を含み、かつ該セラミックスの内部の組成比と
は異なることを特徴とする。
【0011】請求項3に記載の多孔質セラミックスは、
請求項1または2に記載の多孔質セラミックスにおい
て、上記セラミックスがアルミナ、シリカ、窒化ケイ
素、窒化アルミ、炭化ケイ素の少なくともいずれかを含
有することを特徴とする。
【0012】請求項4に記載の多孔質セラミックスは、
請求項1に記載の多孔質セラミックスにおいて、上記セ
ラミックスの主相が窒化ケイ素であって、該セラミック
スの表面領域にAlを含有することを特徴とする。
【0013】請求項5に記載の多孔質セラミックスは、
請求項1〜4に記載の多孔質セラミックスにおいて、金
属、酸化物または窒化物薄膜が表面上に形成されている
ことを特徴とする。
【0014】請求項6に記載の多孔質セラミックスは、
請求項1〜4に記載の多孔質セラミックスにおいて、パ
ターニングされた金属導体が表面上に形成されているこ
とを特徴とする。
【0015】請求項7に係る多孔質セラミックの製造方
法は、上記の多孔質セラミックスの製造方法に係る。気
孔率が30%以上の多孔質セラミックス表面を、砥粒と
セラミックスの固相反応を利用して加工することによ
り、多孔質セラミックスの表面を平坦化することを特徴
とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、その気孔率が30%以
上、好ましくは50%以上であり、表面の面粗度(R
a)が0.5μm未満、好ましくは0.2μm未満、よ
り好ましくは0.1μm未満である多孔質セラミックス
が、各種構造材料、電子材料に適した機能を発現するこ
とができることを見出したことに基づいてなされたもの
である。
【0017】本発明の多孔質セラミックス基材は、公知
の方法により製造することができ、アルミナ、シリカ、
窒化ケイ素、窒化アルミ、炭化ケイ素などを用いること
ができる。各種構造材料、電子材料への応用には、機械
的強度や熱伝導性の観点から窒化ケイ素、窒化アルミ、
炭化ケイ素などが選択され、さらにはこれらの少なくと
も1つを50vol%以上含有することが望ましい。ま
た、耐候性(耐湿性)が必要な電子部品用途では、多孔
質体が閉気孔からなることが望ましく、面粗度をさらに
低減することもできる。
【0018】生産に適した方法で、かつ反りや内部応力
などが発生せずに、高い寸法精度を保ちながら、十分な
表面平滑性を得るためには、以下に述べる加工方法を用
いることができる。
【0019】すなわち、多孔質基材であるセラミックス
と固相反応を生じる固体物質を砥粒または研磨材として
選択し、加工、研磨する(機械的エネルギを加える)こ
とによって多孔質表面を平滑化する。
【0020】たとえば、気孔率50%の窒化ケイ素多孔
質セラミックスを加工する際においては、γAl23
子とSiO2粒子を含む研磨砥粒を水に分散させて用い
ることにより、表面が平坦化した多孔質セラミックスを
得ることができる。
【0021】平滑な多孔質体表面を得るためには、砥
粒、研磨液、研磨速度(接触圧)の諸条件を適切に選
択、制御することが必要である。砥粒粒子の粒径は0.
1μm以下が望ましく、砥粒を分担した水溶液のpHを
7以上に調整する。
【0022】水溶液のpHを7以上にした理由は次のと
おりである。すなわち、本固相反応、または表面平滑化
は、Si−OH等の水酸基の生成の寄与が大きく、加工
効率(または表面平滑度)を上げることができる。pH
7未満でもできないことはないが、長時間の加工が必要
であったり、表面平滑性が得られにくい場合がある。
【0023】通常の場合、研磨砥粒は、多孔質セラミッ
クスの組成物、またはその酸化物と固相反応を生じるも
のの群から選択される。
【0024】メカニズムの詳細は必ずしも明確ではない
が、単なる機械的エネルギのみではなく、以下に示すよ
うな過程の酸化、溶解・再析出、固相拡散により表面の
平坦化が進行する。
【0025】
【化1】
【0026】図1を参照して、得られたSi34多孔質
セラミックス1の表面1fの面粗度(Ra)は、研磨条
件にもよるが、0.5μm未満、好ましくは0.2μm
未満、より好ましくは0.1μm未満である。セラミッ
クス1の表層部は、Alが、その濃度が厚み方向に傾斜
するように分散しており、Al,Si,O,Nの複合相
(固相反応によって生じたセラミックス組成と砥粒組成
からなる複合相)となっているが、セラミックス1の基
材内部から表面領域まで連続した構造となっている。図
1に示す実施例では、表面は閉気孔となっている。
【0027】表面の気孔を覆うように前述の固相拡散等
を生じさせることもできるし任意の気孔を表面に残留さ
せることもできる。表面の組成比が異なる領域は、表面
から10μm未満、さらには5μm未満が好ましい。そ
れ以上では、セラミックス多孔質体本来の特性を損なう
場合がある。
【0028】本発明の特徴として、気孔率が30%以
上、より好ましくは50%以上の多孔質セラミックスで
あって、表面の面粗度が0.5μm未満、好ましくは
0.2μm未満、より好ましくは0.1μm未満であ
る。
【0029】特には、気孔径が0.1μm以上、さらに
は1μm以上であっても、上記の平坦性が得られること
により、より広い範囲の用途への応用が可能になる。
【0030】また、多孔質セラミックス内部には含まれ
ない元素の少なくとも1つを、表面領域(表面から10
μm以内)に含有するか、または内部と表面領域の組成
比が異なる場合がある。かかる表面平坦性多孔質セラミ
ックスは、その表面に金属、酸化物または窒化物薄膜あ
るいはパターニングされた金属導体を形成して用いるこ
ともでき、この場合の表面粗度は表面膜と多孔質セラミ
ックスの界面粗度により示される。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例と比較例を説明する。
【0032】実施例1 表1に示すとおり多孔質体を作製し、表面加工を所定の
条件により実施した。
【0033】
【表1】
【0034】表1中、サンプル番号1−13のものは、
開気孔のサンプルであり、サンプル番号14−17は閉
気孔のサンプルである。
【0035】サンプル番号1−13の各多孔質セラミッ
クスの混合、造粒、成形、燒結は公知の方法で行なっ
た。各サンプルの気孔率は表1に示した。気孔径のサイ
ズは0.5〜5μmである。記載している砥粒を水に5
vol%の割合で分散させ、pHを表1記載の値に調整
して、表面加工を実施した。サンプル番号3−5と1
6、17の表面領域には表面から3μmの範囲に、Al
がSiに対して2:3〜8:2(Si:Al)の範囲の
比率で存在しており、3Al23・2SiO2(ムライ
ト)の生成も確認された。
【0036】比較例であるサンプル番号10−13では
組成の変動はほとんど確認されなかった。ダイヤモンド
砥粒を用いた場合は基材と固相反応が生じない(または
無視できるレベル)ので、従来の機械的作用のみによる
研磨の場合と同様で、多孔質基材では表面の凹凸が残
り、平滑が得られないのである。
【0037】セラミックスとしては、他に、アルミナ、
シリカ、窒化アルミ、炭化ケイ素を用いることもでき
る。その場合、使用する砥粒として、表2に示すよう
に、アルミナでは、Si34+SiO2を用い、シリカ
では、Al23+Si34+SiO2を用い、窒化アル
ミの場合はSi34+Al23+SiO2を用い、炭化
ケイ素の場合はAl23+Si34+SiO2の組み合
わせを用いるのが好ましい。
【0038】
【表2】
【0039】このような組み合わせにすれば、表2に示
すように表面面租度(Ra)を0.5μm未満とするこ
とができる。サンプル番号18と20では、表面から5
μmの範囲にSiが、サンプル番号19と21では表面
から5μmの範囲にAlが存在する領域が確認された。
【0040】実施例1のサンプル番号14〜17、およ
び後述する実施例2の多孔質セラミックスの製造方法は
次の通りである。
【0041】すなわち、平均粒径1μmのSi粉末と燒
結助剤として、平均粒径0.8μmの表1記載のEr2
3をSi粉末に対し10wt%準備した。各粉末はい
ずれも市販のものである。尚、Si粉末表面の酸素量
は、不活性ガス融解、赤外線検出法で測定し、SiO2
換算で0.7mol%であることを予め確認したものを
用意した。準備した各粉末をエチルアルコールを溶媒と
して、24時間ボールミル混合した。混合後、自然乾燥
し、乾式プレスを用いて、φ23×3mmのサイズに成
形した。この成形体を大気圧の窒素雰囲気中で周波数2
8GHzのマイクロ波加熱により、1300℃で3時間
保持した後、1600℃に昇温し、3時間保持した。こ
れにより、気孔率75%のものが得られた。
【0042】また、1300℃ 30時間+1900℃
3時間 (気孔率0%) 1300℃ 3時間+1800℃ 30時間 (気孔率
18%) 1300℃ 3時間+1650℃ 3時間 (気孔率3
1%) と熱処理条件を変更し、気孔率を調整した。
【0043】全気孔率は、燒結体の寸法と重量から見掛
けの密度を算出し、また理論密度を燒結助剤の添加量か
ら混合則により計算して求め、次の式から求めた。
【0044】1−見掛け密度/理論密度 ×100% 閉気孔比率は、水銀ポロシメーターにより、閉気孔容積
を測定し、次の式により算出した。 (全気孔容積−閉
気孔容積)/全気孔容積×100(%)実施例2 表面平滑性多孔性セラミックスの特徴の例として、表面
伝送路上の信号の伝送損失を測定した。
【0045】表1中の14−17の閉気孔のサンプルを
5mm×2mm×0.25tとなるように仕上げ加工し
た後、基板表面にマスク蒸着でAuをメタライズするこ
とにより、マイクロストリップラインを形成した。マイ
クロストリップラインの線幅は0.9mmとした。ま
た、5mm×2mm×0.1mmtのコバール板を切出
し、その表面にAuメッキを2μmの厚みで施したもの
をベース層として用い、基板の裏面にロウ付けして、マ
イクロストリップ基板を生成した。結果を、表3に示
す。
【0046】
【表3】
【0047】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0048】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明によれ
ば、平滑な表面を有する多孔質セラミックスが得られる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面平滑性多孔質セラミックスが得られる工
程の概念図である。
【符号の説明】
1 セラミックス、1f 表面。
フロントページの続き (72)発明者 小村 修 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 4G019 FA11 GA02 GA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面面粗度(Ra)が0.5μm未満
    で、気孔率が30%以上のセラミックスからなる多孔質
    セラミックス。
  2. 【請求項2】 前記セラミックスの表面領域の構成元素
    は、セラミックスの構成元素を含み、かつセラミックス
    の内部の組成比とは異なることを特徴とする、請求項1
    に記載の多孔質セラミックス。
  3. 【請求項3】 前記セラミックスがアルミナ、シリカ、
    窒化ケイ素、窒化アルミ、炭化ケイ素の少なくともいず
    れかを含有することを特徴とする、請求項1または2に
    記載の多孔質セラミックス。
  4. 【請求項4】 前記セラミックスの主相が窒化ケイ素で
    あり、該セラミックスの表面領域にAlを含有すること
    を特徴とする、請求項1に記載の多孔質セラミックス。
  5. 【請求項5】 金属、酸化物または窒化物の薄膜が表面
    上に形成された、請求項1から4のいずれか1項に記載
    の多孔質セラミックス。
  6. 【請求項6】 パターニングされた金属導体が表面上に
    形成されていることを特徴とする、請求項1から4のい
    ずれか1項に記載の多孔質セラミックス。
  7. 【請求項7】 気孔率が30%以上の多孔質セラミック
    ス表面を、砥粒とセラミックスの固相反応を利用して加
    工することにより、多孔質セラミックスの表面を平坦化
    する、多孔質セラミックスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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