JP2003089020A - 焼嵌め式工具ホルダ - Google Patents

焼嵌め式工具ホルダ

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JP2003089020A
JP2003089020A JP2001279005A JP2001279005A JP2003089020A JP 2003089020 A JP2003089020 A JP 2003089020A JP 2001279005 A JP2001279005 A JP 2001279005A JP 2001279005 A JP2001279005 A JP 2001279005A JP 2003089020 A JP2003089020 A JP 2003089020A
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Shigeki Yamada
茂樹 山田
Kenji Hayashi
賢二 林
Kazuaki Nishino
和彰 西野
Nobuhiko Matsumoto
伸彦 松本
Hideaki Ikehata
秀哲 池畑
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Aisan Industry Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Aisan Industry Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼嵌め式工具ホルダにおいて、剛性及び把持
力の向上により工具の振動を低減させ、加工精度や生産
性の向上を図ることを課題とする。 【解決手段】 チャック部3と、クランプ部4とが別体
の焼嵌め式工具ホルダ1である。チャック部3の材料は
ヤング率が200GPa〜250GPaの範囲内にあ
り、かつ熱膨張率が14から18×10-6/°Cの範囲
内にあり、高い剛性と把持力を有する。これに対してク
ランプ部4は高い剛性と把持力の必要がないので、クラ
ンプ部4の材料はヤング率が180GPa〜220GP
aの範囲内にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削、研削等に用
いられる工具を工作機械の主軸に装着するための焼嵌め
式工具ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】図2は従来の焼嵌め式工具ホルダ1を示
し(特開2000−126961号公報参照)、ここで
はチャック部3とクランプ部4とが別体に構成され、工
具2の軸部2Aは焼嵌め式によってチャック部3の挿入
孔3Bに保持されている。焼嵌め式は、工具2とチャッ
ク部3(チャック部3とクランプ部4とが一体のときは
工具ホルダ1)との材料の熱膨張率の差を利用した着脱
方式であり、チャック部3の熱膨張率を工具2の熱膨張
率よりも大きくする。チャック部3を加熱して膨張さ
せ、この挿入孔3Bに工具2の軸部2Aを嵌め合わせ、
室温に戻せば、チャック部3は収縮して挿入孔3Bと軸
部2Aとの間に保持力が発生し、組み合わせ体となる。
【0003】従来例の各部の熱膨張率は、工具2が約
4.4〜6.5×10-6/°C(超硬合金の場合)又は
10.6×10-6/°C(高速度工具鋼(通称,ハイ
ス)の場合)であり、チャック部3が13.5×10-6
/°C以上の値である。熱膨張率が13.5×10-6
°C以上の材料として特に好ましいのは、析出硬化又は
加工硬化によって強化されたオーステナイト組織を有す
る鉄系材料である。
【0004】図2の従来例において、熱膨張率の高い材
料は硬度が比較的小さく、高価で加工が困難なので、ク
ランプ部4は熱膨張率がチャック部3よりも小さい合金
鋼で製作され、工具ホルダ全体としての硬度不足、加工
の困難性、コストの上昇を避けている。クランプ部4の
内側端面(左端面)4Aにチャック部3の内側端面(右
端面)3Aが溶接又はロウ付け等によって接合されてい
る。クランプ部4の内側端面4Aとチャック部3の内側
端面3Aとの接合面5は軸線に対して垂直な面であり、
クランプ部4は工作機械の主軸に装着される。
【0005】従来例において熱膨張率が13.5×10
-6/°C以上の材料として、オーステナイト組織を有す
る鉄系材料を指定している。しかし、オーステナイト組
織の鉄系材料のヤング率は200GPa未満であって剛
性が乏しいので、工具2の軸部2Aの外方のチャック部
3は、厚みが少なく弱い部分となる。従来例ではチャッ
ク部3の熱膨張率を大きくしたので工具2の把持力が高
くなったが、ヤング率が小さくなって、工具2を保持す
る部分の剛性が低下するので、加工時の工具2の振動が
増大し、加工精度の悪化や生産性の低下を招く。そし
て、金型などの深彫加工に従来技術を適用しても、高速
高送り加工ができず、工具の振動を考慮しつつ、作業性
を低下させ、長い加工時間をかけて加工することとな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、焼嵌め式工
具ホルダにおいて、その材料の剛性及び把持力の向上に
よって工具の振動を低減させ、加工精度や生産性の向上
を図ることを第1課題とし、金型の深彫加工等に必要な
高速高送り加工に適したものとすることを第2課題と
し、焼嵌め式工具ホルダを安価に提供することを第3課
題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、切削や研削を
行う工具を保持する焼嵌め式工具ホルダにおいて、その
材料はヤング率が200GPa〜250GPaの範囲内
にあり、かつ熱膨張率が14から18×10-6/°C
(14×10-6/°C〜18×10-6/°C)の範囲内
にあることを第1構成とする。なお、前記材料(例えば
炭素鋼又は合金鋼の粉末材)を十分に混合して粉末材料
となし、この粉末材料を圧縮成形して成形体を成形し、
成形体を加熱、焼結して焼結体を形成し、必要ならば焼
結体を加熱し熱間加工を行って、焼嵌め式工具ホルダと
することができる。
【0008】本発明は、第1構成において、前記材料は
炭素含有量が0.1%以下の鉄又は鉄基合金中に、10
体積%〜30体積%の範囲内の硼化物を含有する高熱膨
張率の鉄基材料とすることを第2構成とする。ここで、
鉄とは不可避的な不純物を含む純鉄であり、鉄基合金は
炭素量が0.1%以下で、鉄以外にクロムCr,モリブ
デンMo,バナジウムV,マンガンMnなどの成分を含
む鉄基合金である。なお、硼化物として硼化チタンTi
2 が好適である。
【0009】本発明は、切削や研削を行う工具を保持す
るチャック部と、工作機械の主軸に締結されるクランプ
部とが別体の焼嵌め式工具ホルダにおいて、チャック部
の材料はヤング率が200GPa〜250GPaの範囲
内にあり、かつ熱膨張率が14から18×10-6/°C
の範囲内にあり、工作機械の主軸に取付けするためのク
ランプ部の材料はヤング率が180GPa〜220GP
aの範囲内にある炭素鋼もしくは合金鋼からなることを
第3構成とする。ここに炭素鋼又は合金鋼とは、構造用
炭素鋼SC材、クロムモリブデン鋼SCM材、クロム鋼
SCr材、ニッケルクロム鋼SNC材、ニッケルクロム
モリブデン鋼SNCM材、アルミニウムクロムモリブデ
ン鋼SACM材などをいう。そして、チャック部とクラ
ンプ部との接合部は、軸線に略平行な環状面とすること
(半径方向に材料が変わる)及び軸線と略垂直な面とす
ること(軸線方向に材料を変える)がある。なお、第3
構成において、チャック部の材料を炭素含有量が0.1
%以下の鉄又は鉄基合金中に、10体積%〜30体積%
の範囲の硼化物を含有するものとすることができる。
【0010】
【作用】本発明の第1構成の作用について説明する。焼
嵌め式工具ホルダの材料は、ヤング率が200GPa未
満では剛性の確保が困難であり、ヤング率が250GP
a以上では熱膨張率を14×10-6/°C以上に保つこ
とができない。また、工具ホルダの熱膨張率は、14×
10-6/°C未満では高速度工具鋼の工具の保持力の確
保が困難であり、18×10-6/°C以上では工具ホル
ダの材料強度が低下して工具保持部が使用中に変形する
ことがある。従って、第1構成の焼嵌め式工具ホルダの
材料は、ヤング率が200GPa〜250GPaの範囲
内にあり、かつ熱膨張率が14から18×10-6/°C
の範囲内にあることとした。このように、従来例に比べ
て、ヤング率及び熱膨張率の双方が高くなったので、高
い工具の保持力を有し、また剛性が高く、工具ホルダの
撓みを従来よりも低減でき、金型などの深彫加工におい
ても高速高送りが可能な工具ホルダが得られる。
【0011】本発明の第2構成の作用について説明す
る。工具ホルダの材料中に、ヤング率向上のために配合
する硬質粒子として、硼化物を採用する。硼化物を選定
した理由は、硼化物は鉄の固溶がほとんどなく、基地の
鉄合金との結合性がよく、炭化物や窒化物より安定して
基地に存在できるためである。硼化物としては、元素周
期律表第4族(チタンTi,ジルコニウムZr,ハフニ
ウムHf)が望ましい。特に硼化チタンTiB2 は、比
重が4.6と小さく、かつヤング率が550GPaと高
いため本発明に適している。硼化チタンTiB2 の配合
比率は、10体積%未満ではヤング率の向上が行われ
ず、30体積%を越えると、基地の鉄及び鉄合金の割合
が低くなるため熱膨張率の低下が生ずるので、10体積
%〜30体積%が適している。また、硼化物、特に硼化
チタンTiB2 を硬質粒子として配合する場合、基地に
炭素が含有していると、この炭素が硼化物の硼素と置換
して炭化物となり本発明から逸脱する。そこで、炭素が
硼化物の硼素と置換しないように、基地の鉄及び鉄合金
に含有する炭素量を0.1%以下とする。なお、第2構
成が、第1構成の作用を共有することは当然である。
【0012】本発明の第3構成の作用について説明す
る。工具の保持力の強化と工具ホルダの剛性の確保とい
う本発明の目的は、焼嵌め式工具ホルダのチャック部に
関するものであり、クランプ部にはそれが必要ではな
い。そこで、第3構成の焼嵌め式工具ホルダは、工具を
保持するチャック部と、工作機械の主軸への取付けを行
うクランプ部とを別体となし、保持力の強化(熱膨張率
の向上)と剛性の確保に役立つ材料の使用をチャック部
だけに限定した。本発明の第3構成においては、チャッ
ク部に本発明の第1構成・第2構成と同じ材料を使用
し、クランプ部にはヤング率が180GPa〜220G
Paの範囲内にある炭素鋼もしくは合金鋼を使用する。
なお、炭素鋼又は合金鋼としては、通常SCM材が使用
されているが、用途に応じてSC材、SCr材、SNC
材、SNCM材、SACM材などが選択される。クラン
プ部に接合されたチャック部には、必要に応じて表面処
理を施す。表面処理として浸炭焼き入れや窒化が適用で
きる。この場合、工具ホルダの傷付きを防ぐため、表面
硬度は600Hv以上で、硬化深さを0.1mm以上と
する。表面処理は、チャック部とクランプ部とが同一で
も異なっていてもよい。例えば、チャック部は窒化で、
クランプ部は高周波焼入れ又は浸炭焼入れという組み合
わせでもよい。
【0013】第3構成の製造方法について説明する。
(クラッド法)クランプ部用材料として、一般的には炭
素鋼又は合金鋼として使用されているSCM材を用意
し、用途に応じて選択されるSC材、SCr材、SNC
材、SNCM材、SACM材等をも用意する。クランプ
部用材料で作った容器に、焼結後に所定の組成となる硼
化物を含有する高熱膨張率の鉄基材料となるための原料
粉末を、真空封入し、熱間加工を施す。押出し材の中央
部には、所定の縦弾性率を有する複合材料が形成され、
その外周には、クランプ部用材料が配されたクラッド棒
ができる。この場合、複合材料の中央に軟鋼を配置して
三重のクラッド材として、工具ホルダのクーラント穴の
加工を容易にすることも可能である。このクラッド棒を
機械加工し、必要に応じて浸炭焼入れや窒化などの表面
処理を施す。
【0014】(焼結法:その1)クランプ部用材料とし
て、一般的には合金鋼として使用されているSCM材を
用意し、用途に応じて選択されるSC材、SCr材、S
NC材、SNCM材、SACM材等をも用意する。クラ
ンプ部用材料で作った環状部材を成形型に配し、その内
部に焼結後に所定の組成となる硼化物を含有する鉄基材
料となるための原料粉末を充填し、加圧成形する。その
鉄基材料を焼結する。この場合、焼結はHIP(高温静
水圧プレス)を使用しても良い。また、この時に、焼嵌
め式工具ホルダのクーラント穴の加工を容易にするため
に、鉄基材料の中央に軟鋼を配してもよい。そして、鉄
基材料に熱間加工(熱間鍛造など)を施し、密度を上げ
ることにより、所定のヤング率と熱膨張率を得る。その
後、この焼結体を機械加工し、必要に応じて浸炭焼入れ
や窒化などの表面処理を施す。
【0015】(焼結法:その2)クランプ部に相当する
部分を、合金鋼成分の粉末で、中央部は高熱膨張率の鉄
基材料の粉末で成形し、同時に焼結してもよい。そし
て、複合焼結体の鉄系材料に対して、熱間加工を施し、
密度を上げることにより、所定のヤング率と熱膨張率を
得る。この場合、鉄基材料の中央に軟鋼を配してもよ
い。その後、この焼結体を機械加工し、必要に応じて、
浸炭焼入れや窒化などの表面処理を施す。
【0016】(その他の方法)前記の3製造方法もしく
は溶解法により所定のヤング率を得るようにした硼化物
を含有する鉄基材料によるチャック部材を用意する。ま
た、クランプ部用材料として、一般的には合金鋼として
使用されているSCM材を用意し、用途に応じて選択さ
れるSC材、SCr材、SNC材、SNCM材、SAC
M材等をも用意し、このクランプ部用材料でクランプ部
材を作る。チャック部材をクランプ部材の内周もしくは
端面にて、ロウ付け、摩擦溶接、圧入、焼きばめ、接
着、放電接合などで接合する。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第3構成の実施の
形態を示す。図1の焼嵌め式工具ホルダ1は、切削や研
削を行う工具2を保持するチャック部3と、工作機械の
主軸に締結されるクランプ部4とが別体であり、チャッ
ク部3とクランプ部4とが、軸線に略平行な環状の接合
面5で接合されている。チャック部3の内端部(右端
部)の突出した環状の外周接合面と、クランプ部4の内
端部(左端部)の突出した環状の内周接合面とは同一面
積である。なお、工具2の軸部2Aは焼嵌め式によって
チャック部3の挿入孔3Bに保持されている。
【0018】
【発明の効果】請求項1及び2の焼嵌め式工具ホルダの
材料は、ヤング率が200GPa〜250GPaの範囲
内にあり、かつ熱膨張率が14から18×10-6/°C
の範囲内にある。こうしたヤング率と熱膨張率の範囲の
選択により、焼嵌め式工具ホルダの剛性及び把持力の向
上により、工具の振動や工具の破損が低減し、加工品の
加工精度が向上し、切削加工の加工効率が大幅に向上す
る。そして、この工具ホルダは、金型の深彫加工等に必
要な高速高送り加工に適したものである。請求項3の焼
嵌め式工具ホルダは、チャック部の材料はヤング率が2
00GPa〜250GPaの範囲内にあり、かつ熱膨張
率が14から18×10-6/°Cの範囲内にあり、クラ
ンプ部の材料はヤング率が180GPa〜220GPa
の範囲内にある。このように、高い剛性と把持力が必要
なチャック部が請求項1と同じ高ヤング率かつ高熱膨張
率の材料で製造され、高い剛性と把持力の必要がないク
ランプ部が安価な材料で製造されるので、必要な強度を
維持しつつ、焼嵌め式工具ホルダを安価に提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第3構成の焼嵌め式工具ホルダの実施
の形態を示す図である。
【図2】従来のチャック部とクランプとが別体の工具ホ
ルダを示す図である。
【符号の説明】
1 焼嵌め式工具ホルダ 2 工具 3 チャック部 4 クランプ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 茂樹 愛知県大府市共和町一丁目1番地の1 愛 三工業株式会社内 (72)発明者 林 賢二 愛知県大府市共和町一丁目1番地の1 愛 三工業株式会社内 (72)発明者 西野 和彰 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 松本 伸彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 池畑 秀哲 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3C016 FA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具を保持する焼嵌め式工具ホルダにお
    いて、その材料はヤング率が200GPa〜250GP
    aの範囲内にあり、かつ熱膨張率が14から18×10
    -6/°Cの範囲内にあることを特徴とする焼嵌め式工具
    ホルダ。
  2. 【請求項2】 前記材料は炭素含有量が0.1%以下の
    鉄又は鉄基合金中に、10体積%〜30体積%の範囲内
    の硼化物を含有する請求項1記載の焼嵌め式工具ホル
    ダ。
  3. 【請求項3】 工具を保持するチャック部と、工作機械
    の主軸に締結されるクランプ部とが別体の焼嵌め式工具
    ホルダにおいて、チャック部の材料はヤング率が200
    GPa〜250GPaの範囲内にあり、かつ熱膨張率が
    14から18×10-6/°Cの範囲内にあり、クランプ
    部の材料はヤング率が180GPa〜220GPaの範
    囲内にあることを特徴とする焼嵌め式工具ホルダ。
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Cited By (5)

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