JP2003086893A - 半導体レーザモジュール及びこれを用いたラマン増幅器 - Google Patents
半導体レーザモジュール及びこれを用いたラマン増幅器Info
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Abstract
を得ることが可能な半導体レーザモジュールを提供する
と共に、その半導体レーザモジュールを用いて安定した
高利得を得ることが可能なラマン増幅器を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 半導体レーザモジュール10の半導体レ
ーザ素子14は、光軸上に順に配置されている第1のレ
ンズ(平行化レンズ)16、半導体レーザ素子14から
出射されるレーザ光の一部を半導体レーザ素子14に帰
還させる光帰還部としての反射フィルタが付設されてい
る反射フィルタ付き光アイソレータ18、及び第2のレ
ンズ(集光レンズ)20を介して、フェルール26に挿
着されているPANDA光ファイバ24に光結合されて
いる。そして、反射フィルタ付き光アイソレータ18に
おいては、そのファラデー回転子38の半導体レーザ素
子14側の表面に、誘電体多層膜からなる反射フィルタ
46が形成されている。
Description
いて使用する半導体レーザモジュール及びこれを用いた
ラマン増幅器に関するものである。
は、希土類添加ファイバ増幅器が多く使用されている。
中でも、Er(エルビウム)を用いたEDFA(Erbium
DopedFiber Amplifier;エルビウム添加ファイバ増幅
器)が特に多用されている。しかし、このEDFAの実
用的な利得波長帯は、1530〜1610nm程度であ
る。また、EDFAは利得に波長依存性を有しており、
WDM(WavelengthDivision Multiplexing;波長分割
多重)通信システムに使用する場合には、信号光の波長
によって利得に差が生じるという問題がある。
ivision Multiplexing;高密度波長分割多重)通信シス
テムの進展に伴い、EDFAよりも更に広帯域の増幅が
可能なラマン(Raman)増幅器に対する期待が高まって
いる。ラマン増幅器は、光ファイバに強い励起光を入射
すると、誘導ラマン散乱によって励起光波長から約10
0nm長波長側に利得のピークが現れ、更にこの励起さ
れた状態の光ファイバに上記の利得が得られる波長帯の
信号光を入射すると、この信号光が増幅されるという現
象を利用したものである。
ルギー順位によって決定され、実用的には1530〜1
610nm程度であるのに対して、ラマン増幅器はその
利得波長帯が励起光の波長によって決定されるため、殆
ど制約がない。即ち、光ファイバに入射する励起光の波
長を変えれば、その励起光の波長から所定の波長だけ長
波長側に利得が生じるため、任意の波長において増幅利
得を得ることができる。但し、実際には信号光として1
300〜1650nm程度の波長帯が使用されると考え
られるため、励起光の波長帯は1200〜1550nm
程度になる。こうして、DWDM通信システムにおい
て、ラマン増幅器はEDFAよりも更に信号光のチャネ
ル数を増加させることが可能になる。
ァイバを構成するガラス分子が種々の振動姿態を有して
いるため、波長分布を持った利得分布、例えば20nm
程度の幅のある分布となる。この利得の波長依存性を広
い波長帯域に亘ってフラットにするためには、種々の波
長の励起光を多重化し、各励起レーザの波長や出力等を
適宜調整することが行われている。
信用光ファイバを増幅媒体として使用することが可能で
あるが、それを使用した場合のラマン利得は100mW
の励起光入力で3dB程度と小さい。このため、多重化
によって強い励起光を得ることが必要となる。一般に
は、多重化によってトータルで500mW〜1W程度の
励起光とする。
用される励起光源としては、FBG(Fiber Bragg Grat
ing;ファイバグレーティング)によって波長を安定化
すると共に高出力化した半導体レーザモジュールが使用
されている。このような従来のFBG付き半導体レーザ
モジュールの一例を、図7を用いて説明する。図7に示
されるように、従来のFBG付き半導体レーザモジュー
ル80は、半導体レーザ素子82、FBG84が形成さ
れた光ファイバ86を挿着しているフェルール88、こ
れら半導体レーザ素子82とフェルール88に挿着され
た光ファイバ86とを光結合する第1及び第2のレンズ
90,92等から構成される。そして、半導体レーザ素
子82から出射されたレーザ光を第1のレンズ90によ
って平行化し、その平行レーザ光を第2のレンズ92に
よって集光して、光ファイバ86に入射させるようにな
っている。
4が例えば約4%のピーク反射率をもち、FWHM(Fu
ll Width Half Maximum;半値全幅)が2nmの反射率
スペクトルを有しているとすると、半導体レーザ素子8
2とFBG84とから構成される外部共振器の損失は、
FBG84の中心波長1480nmにおいてのみ小さく
なるため、半導体レーザ素子82の駆動電流や環境温度
が変化した場合であっても、半導体レーザ素子82の発
振波長は上記の中心波長1480nmにおいて固定され
る。
BG付き半導体レーザモジュールを光増幅用の励起光源
として用いる場合には、次のような課題がある。先ず、
半導体レーザ素子の安定発振を阻害する要因となる反射
戻り光を防止する光アイソレータを配置することが困難
になるという問題が生じる。即ち、半導体レーザ素子8
2とFBG84との間には光アイソレータを配置できな
いため、その配置位置が制限され、例えばFBG84の
外側の光ファイバ86に配置しなければならない。
一端切断し、その間に光アイソレータを介在させて融着
接合しなければならないため、融着接合部が増加して、
それに伴う挿入損失が増大することになる。また、この
FBG84の外側の光ファイバ86に配置する光アイソ
レータは、偏光依存性のない、高価な光アイソレータを
使用する必要が生じるため、コストの上昇を招くことに
もなる。
との間隔が長くなるため、その共振の際に生じるRIN
(Relative Intensity Noise;相対強度雑音)が大きく
なる。特に、ラマン増幅器においては、その増幅の生じ
る過程が早く起こるため、励起光強度が揺らいでいる
と、ラマン利得も揺らぐことになる。従って、RINが
大きい場合には、ラマン利得の揺らぎがそのまま増幅さ
れた信号強度の揺らぎとして出力されてしまい、安定し
たラマン増幅を行うことができなくなるという問題もあ
る。
80を作製する際、光ファイバ86にFBG84を形成
しなければならないため、量産性に欠け、コストの上昇
を招くという問題もある。そこで本発明は、上記事情を
考慮してなされたものであり、RINの発生を抑制し
て、安定した高光出力を得ることが可能な半導体レーザ
モジュールを提供すると共に、その半導体レーザモジュ
ールを用いて安定した高利得を得ることが可能なラマン
増幅器を提供することを目的とする。
明に係る半導体レーザモジュール及びラマン増幅器によ
って達成される。即ち、請求項1に係る半導体レーザモ
ジュールは、半導体レーザ素子と、この半導体レーザ素
子から出射されたレーザ光を受光して伝送する光ファイ
バと、これら半導体レーザ素子と光ファイバとの間に設
置された光アイソレータと、この光アイソレータに付設
され、半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を半導
体レーザ素子に帰還させる光帰還部とを具備することを
特徴とする。
ジュールにおいて、光帰還部が、所定の反射率を有する
反射フィルタであることが好適である(請求項2)。そ
してこの反射フィルタが、光アイソレータを構成する光
学素子の表面に形成された誘電体多層膜からなることが
好適である(請求項3)。更にこの誘電体多層膜が、光
学素子の1つであるファラデー回転素子の半導体レーザ
素子側の表面に形成されていることが好適である(請求
項4)。
ジュールにおいて、半導体レーザ素子及び光帰還部から
構成される共振器の長さと光帰還部の波長選択特性とを
含む発振パラメータの組み合わせ設定によって、発振波
長スペクトルの半値幅内に2本以上の発振縦モードを含
むレーザ光を出力することが好適である(請求項5)。
また、上記請求項1に係る半導体レーザモジュールにお
いて、光ファイバが、偏光面保持光ファイバであること
が好適である(請求項6)。そして、この偏光面保持光
ファイバの偏光保持軸と第2のレンズを介して偏光面保
持光ファイバに入射されるレーザ光の偏光方向とのなす
角度が、45±12°以下であることが更に好適である
(請求項7)。
記請求項1〜7に係る半導体レーザモジュールを広帯域
ラマン増幅用の励起光源として用いることを特徴とす
る。なお、ラマン増幅用の励起光源として用いられる半
導体レーザモジュールには、次のような特性が要求され
る。 (a)励起光のノイズが小さいこと。RINが0〜2G
Hzの範囲において、場合によっては0〜22GHzの
範囲において、励起光のノイズは−130dB/Hz以
下であることが要求される。
偏光度)が小さいこと。コヒーレント長が短いこと、即
ち多モードであっても非偏光化(デポラライズ;depora
lize)することが容易であること又は偏光合成によって
偏光がないものとされることが必要である。ここで、多
モードであるとは、発振スペクトル幅(スペクトルのピ
ークから3dBダウンした波長の幅)内に縦モードが少
なくとも3本、好ましくは4〜5本入っている場合をい
う。
ジュールの光出力が50mW以上であること、好ましく
は100mW以上であること、更に好ましくは300m
W以上であること、最も好ましくは400mW以上であ
ることが要求される。
波長が変動すると利得波長帯域が変動するため、波長安
定化技術が必須である。発振波長の変動幅は、全ての駆
動条件(環境温度:0〜75℃、駆動電流:0〜1A)
において、例えば±1nm以内であることが必要であ
る。 (e)各励起レーザモジュールの発振スペクトル幅が狭
いこと。各励起レーザモジュールの発振スペクトル幅が
広すぎると、波長合成カプラの合波ロスが大きくなると
共に、スペクトル幅内に含まれる縦モード数が大きくな
って発振中に縦モードが働き、ノイズや利得変動の原因
となる。このため、発振スペクトル幅は2nm以下、又
は3nm以下であることが必要である。また、余り狭す
ぎると、電流−光出力特性においてキンクが現れ、レー
ザ駆動時における制御に支障が生じる。なお、上記
(b)に記載したように、発振スペクトル幅内に縦モー
ドが少なくとも3本、好ましくは4〜5本入っていれ
ば、コヒーレンシーが低減され、DOPが低減され易い
と考えられる。
波長合成等が採用されることから、励起レーザを多数使
用することが必要となる。このため、全体の消費電力が
大きくなる。従って、単体の励起レーザモジュールの消
費電力が低いことが好ましい。 (g)誘導ブリルアン散乱(Stimulated Brillouin Sca
ttering)が発生しないこと。狭い波長帯域に高光出力
が集中すると、誘導ブリルアン散乱が発生して、励起効
率が低下する。この点からも、発振スペクトル幅内に複
数の縦モードが存在する多モードであることが好適であ
る。
と。複数波長の光を合波する際、高光出力化の観点か
ら、波長幅2nm以内におけるPIBが90%以上とな
る比較的狭い線幅のレーザ光を出力することが求められ
る。本発明に係る半導体レーザモジュールにおいて、以
上のような要求特性を更に満たすことが望ましい。
の第1の実施形態に係る半導体レーザモジュールを、図
1〜図5を用いて詳細に説明する。ここで、図1は本実
施形態に係る半導体レーザモジュールを示す概略図、図
2は図1の半導体レーザモジュールにおける反射フィル
タ付き光アイソレータの詳細を示す概略断面図、図3は
図1の半導体レーザモジュールにおける偏光保持光ファ
イバを示す断面斜視図、図4は図1の半導体レーザモジ
ュールの発振波長スペクトル及び複数発振縦モードを示
すグラフ、図5は図1の半導体レーザモジュールの複数
発振縦モードと誘導ブリルアン散乱の閾値との関係を、
単一発振縦モードと誘導ブリルアン散乱の閾値との関係
と比較して示すグラフである。
半導体レーザモジュール10においては、例えばセラミ
ック等からなる筐体としてのパッケージ12内に、半導
体レーザ素子14、この半導体レーザ素子14から出射
されるレーザ光を平行化する第1のレンズ(平行化レン
ズ)16、半導体レーザ素子14から出射されるレーザ
光の一部を半導体レーザ素子14に帰還させる光帰還部
としての反射フィルタが付設されている反射フィルタ付
き光アイソレータ18、及びこの反射フィルタ付き光ア
イソレータ18を透過した平行レーザ光を集光する第2
のレンズ(集光レンズ)20が光軸上に順に配置されて
いる。
2に、基本モードを構成する直交二軸方向のEXモード
及びEYモードの位相差を大きくして所定の偏光面を保
持するようにしたPMF(Polarization Maintaining F
iber;偏光保持光ファイバ)としてのPANDA(Pola
rization Maintaining and Absorption Reducing)光フ
ァイバ24を挿着したフェルール26が差し込まれて固
定されている。こうして、半導体レーザ素子14が、第
1のレンズ16、反射フィルタ付き光アイソレータ1
8、及び第2のレンズ20を介して、フェルール26に
固定されたPANDA光ファイバ24に光結合され、第
2のレンズ20によって集光されたレーザ光が、PAN
DA光ファイバ24に入射し、伝送されるようになって
いる。また、半導体レーザ素子14の前方光出射面14
aには、反射率0〜10%の低反射膜が形成され、その
後方光出射面14bには、反射率50〜100%の高反
射膜が形成されている。
置としてのペルチェ素子28が設置されており、このペ
ルチェ素子28上にベース30及びヒートシンク32を
介して半導体レーザ素子14が搭載されている。また、
半導体レーザ素子14の近傍には、その温度を検出する
ためのサーミスタ34が配置されている。こうして、半
導体レーザ素子14を所望の温度に制御して、レーザ光
の波長安定性を確保するようになっている。また、半導
体レーザ素子14の後方には、その光出力をモニタする
モニタフォトダイオード35が設けられており、半導体
レーザ素子14からの光出力が一定となるように自動出
力制御されている。
タ付き光アイソレータ18においては、その光軸上に半
導体レーザ素子14側から順に、その偏光面と一致した
偏光成分のレーザ光のみを透過する偏光子36、ファラ
デー効果(磁気光学効果)によってレーザ光の偏光面を
回転させるファラデー回転子38、及び偏光子36の偏
光面に対してファラデー回転子38による回転角だけ傾
けた偏光面をもつ検光子40が配置され、これらの光学
素子が例えばステンレス材からなるリング状のホルダ4
2によって保持されている。また、このホルダ42に
は、ファラデー回転子38に所定の方向の磁界をかける
ための磁石44が取り付けられている。
ーザ素子14側の表面に、例えば誘電体多層膜からなる
反射フィルタ46が形成され、半導体レーザ素子14か
らの出射光に対する光帰還部となっている。この誘電体
多層膜は、例えば低屈折率物質であるSiO2と高屈折
率物質であるTa2O5を交互に積層してなるものであ
り、その設計によって反射波長を任意に設定することが
できる。
タ18は、半導体レーザ素子14から出射されるレーザ
光に対するアイソレータとして機能すると共に、そこに
付設されている光帰還部としての反射フィルタ46が半
導体レーザ素子14に光を帰還させ、半導体レーザ素子
14から出射されるレーザ光の波長を安定化させてい
る。
光ファイバ24は、応力による複屈折現象を利用した応
力付与型のPMFであって、コア48の外周を被覆する
クラッド50に、コア48を挟んで2つの断面円形状の
応力付与部52a、52bが設けられている。そして、
これら2つの応力付与部52a、52bから付与される
応力によってコア48に複屈折を発生させ、光ファイバ
の偏光保持特性が得られるようになっている。
交する断面において、応力付与部52a、コア48、応
力付与部52bの各中心を結ぶ線Xとこれに垂直に交わ
る線Yは共に偏光保持軸であり、通常、線X、Yのいず
れか一方にレーザ光の偏光方向を一致させ、レーザ光の
偏光方向を安定させることが行われる。例えば、本実施
形態に係る半導体レーザモジュール10をラマン増幅用
の励起光源として使用する場合には、偏光合成の観点か
ら、半導体レーザ素子14から出射され反射フィルタ付
き光アイソレータ18を透過してPANDA光ファイバ
24に入射するレーザ光の偏光方向と、PANDA光フ
ァイバ24の偏光保持軸とを一致させる。
着したフェルール26をパッケージ12の出射部22に
差し込んで固定し、第2のレンズ20とPANDA光フ
ァイバ24とを光結合する際に、PANDA光ファイバ
24から出力されるレーザ光をモニタしながらフェルー
ル26を光軸回りに回転させ、消光比が最大となる位置
において固定する。
ライザ(Deporalizer)として使用する場合には、PA
NDA光ファイバ24の偏光方向とPANDA光ファイ
バ24の偏光保持軸とを光軸回りに40゜ずらす。その
ためには、上述の場合と異なり、消光比が最小となるよ
うにフェルール26をパッケージ12に固定する。但
し、消光比が小さく0dB近傍においては、消光比の測
定精度が悪くなり、また角度変化に対する消光比の変化
率も小さくなることから、高精度の調整が困難になり、
角度調整に要するタクトタイムが長くなる場合がある。
このような場合には、PANDA光ファイバ24から出
力されるレーザ光の消光比が最大となる角度を決定し、
その角度から45±12°以下、好ましくは45±6°
以下だけフェルール26を光軸回りに回転させて固定す
る方法を採ってもよい。この角度は、半導体レーザ素子
14から出射されてPANDA光ファイバ24に入射す
るレーザ光の偏光方向とPANDA光ファイバ24の偏
光保持軸とのなす角度に対応する。
ては、消光比の測定精度が高く、角度変化に対する消光
比の変化率も大きいことから、高精度の調整が容易にな
り、角度調整に要するタクトタイムを短くすることが可
能になる。また、PANDA光ファイバ24に入射する
レーザ光の偏光方向とPANDA光ファイバ24の偏光
保持軸とのなす角度が45±6°以下という設定範囲に
おいては、DOPが15%以下になり、ラマン増幅器の
PDG(Polarization Dependent Gain)が0.05d
B以下になることを実現することが可能になる。
ュール10の発振スペクトルについて、図4及び図5を
用いて説明する。いま、この半導体レーザモジュール1
0をラマン増幅用の励起光源として使用する場合を想定
して、半導体レーザ素子14の発振波長を1300〜1
550nmとし、半導体レーザ素子14のキャビティ長
を800〜3200μmとする。この場合における選択
波長特性は、図4に示す発振波長スペクトル54として
表される。
ティ長を800μm以上としていることにより、反射フ
ィルタ46の反射帯域内に含まれる発振モード数が増え
て、発振波長スペクトル54の半値幅Δλh内に複数の
発振縦モード、例えば3つの発振縦モード56a,56
b,56cが存在するようになる。そして、このように
複数の発振縦モード56a,56b,56cが存在する
場合を単一の発振縦モードの場合と比較すると、図5
(a),(b)に示されるように、複数の発振縦モード
の場合におけるレーザ出力のピーク値が、単一の発振縦
モードの場合よりも抑制され、高いレーザ出力が得られ
る。
めには、励起光源として使用される半導体レーザモジュ
ール10の光出力パワーを増大することが好ましいが、
図5(b)に示されるように、レーザ出力のピーク値が
高くなり、誘導ブリルアン散乱の閾値Pthを超えると、
誘導ブリルアン散乱が発生して、ノイズが増加するとい
う不具合が生じる。これに対して、図5(a)に示され
るように、複数の発振縦モード56a,56b,56c
が存在して、レーザ出力のピーク値が抑制されると、誘
導ブリルアン散乱の閾値Pth内において、誘導ブリルア
ン散乱の発生によるノイズの増加を招くことなく高い励
起光出力パワーが得られ、その結果、高いラマン利得が
得られる。
ザモジュール10によれば、反射フィルタ付き光アイソ
レータ18に付設された光帰還部としての反射フィルタ
46と半導体レーザ素子14によって外部共振器を構成
して、反射フィルタ46の反射中心波長に発振波長を安
定化させ、例えば発振波長を1300〜1550nmと
し、反射フィルタ46の反射プロファイルの制御を行う
(端的には、半値幅を広くとる)と共に、キャビティ長
を800〜3200μmと長くしてファブリ−ペローモ
ード間隔を狭くすることにより、発振波長スペクトル5
4の半値幅Δλh内に複数の発振縦モード56a,56
b,56cを存在させてレーザ出力のピーク値を抑制
し、誘導ブリルアン散乱が発生しないようにしている。
このため、この半導体レーザモジュール10をラマン増
幅用の励起光源として使用すると、誘導ブリルアン散乱
に起因するノイズの増加を招くことなく高い励起光出力
パワーを得ることが可能になり、安定した高ラマン利得
を得ることができる。
ュール10によれば、半導体レーザ素子14とPAND
A光ファイバ24との間に、光帰還部としての反射フィ
ルタ46が付設された反射フィルタ付き光アイソレータ
18を配置し、この反射フィルタ46から半導体レーザ
素子14に所定波長の光を帰還させるので、上記図7に
示す従来の半導体レーザモジュールのようにFBGを用
いて光帰還を行う場合に比べて、半導体レーザ素子と光
帰還部との距離が短くなり、半導体レーザ素子と光帰還
部との共振周波数において生じる雑音特性の落ち込みが
高周波数側にシフトすると共に、光アイソレータにより
余分な光が半導体レーザ素子に戻ることが防止されるた
め、ラマン利得の揺らぎが小さくなり、安定したラマン
増幅を行うことができる。
う光帰還部としての反射フィルタ46が反射フィルタ付
き光アイソレータ18に付設されているため、偏光子3
6、ファラデー回転子38、及び検光子40等からなる
光アイソレータを第1及び第2レンズ16、20間に配
置することが可能になり、外部から半導体レーザ素子1
4への反射戻り光を有効に防止することが可能になる。
また、従来のFBGを用いる半導体レーザモジュールの
場合のような高価な無偏光光アイソレータを使用する必
要がなく、安価な偏光光アイソレータを使用することが
可能になるため、コストを低減することができる。ま
た、光ファイバを一端切断して光アイソレータとの融着
接合を行う必要もなくなるため、光アイソレータの配置
に伴う挿入損失を小さくすることができる。
は光アイソレータのファラデー回転子38表面に誘電体
多層膜を形成することによって作製されるため、従来の
ように光ファイバにFBGを形成する場合と比較する
と、その作製が遥かに容易になり、量産性を飛躍的に向
上することができる。なお、上記実施形態において、反
射フィルタ付き光アイソレータ18に付設されている光
帰還部としての反射フィルタ46は、具体的にはファラ
デー回転子38の半導体レーザ素子14側の表面に形成
されているが、その形成位置はここに限定されるもので
はない。例えば偏光子36の両表面のいずれかに形成し
てもよい。但し、ファラデー回転子38の検光子40側
の表面や検光子40の両表面に反射フィルタを形成する
と、光アイソレータの機能を阻害することになり、好ま
しくない。
してPANDA光ファイバ24を用いているが、この代
わりに、コアの両側に断面扇形状の応力付与部が設けら
れているボウタイ(Bow-Tie)光ファイバやその他の構
造のPMFを用いてもよい。更に、ここではラマン増幅
用の励起光源として使用する場合を想定してPMFを用
いているが、一般には通常のシングルモード光ファイバ
を用いてもよい。
実施形態に係るラマン増幅器を、図6を用いて詳細に説
明する。ここで、図6は本実施形態に係るラマン増幅器
を示す概略ブロック図である。本実施形態に係るラマン
増幅器は、上記第1の実施形態に係る半導体レーザモジ
ュールを励起光源として用いている点に特徴がある。即
ち、図6に示されるように、本実施形態に係るラマン増
幅器においては、その励起光源として上記第1の実施形
態に係る半導体レーザモジュール10と同一構成の半導
体レーザモジュール10a,10b,…,10dが用い
られている。そして、これらのうちの半導体レーザモジ
ュール10a,10bは、複数の発振縦モードを有する
同一波長のレーザ光を、PANDA光ファイバ24a,
24bを介して偏光合成カプラ58aに出力するように
なっている。同様に、半導体レーザモジュール10c,
10dも、複数の発振縦モードを有する同一波長のレー
ザ光を、PANDA光ファイバ24c,24dを介して
偏光合成カプラ58bに出力するようになっている。但
し、半導体レーザモジュール10a,10bの発振する
レーザ光の波長と半導体レーザモジュール10c,10
dの発振するレーザ光の波長とは互いに異なる。
8bは、WDMカプラ60,62を介して増幅用光ファ
イバ64に接続されている。そして、偏光合成カプラ5
8c,58bにおいて、半導体レーザモジュール10
a,10b;10e,10dからのレーザ光をそれぞれ
非偏光化し、偏光依存性を解消した後、WDMカプラ6
0において、これら互いに波長の異なるレーザ光を合成
して励起光とし、WDMカプラ62を介して増幅用光フ
ァイバ64に出力するようになっている。
ァイバ64には、増幅対象の信号光が信号光入力ファイ
バ66から光アイソレータ68を介して入力され、励起
光と合波されてラマン増幅されるようになっている。そ
して、この増幅用光ファイバ64においてラマン増幅さ
れた増幅信号光は、WDMカプラ62及び光アイソレー
タ70を介してモニタ光分配用カプラ72に入力され、
このモニタ光分配用カプラ72において、その増幅信号
光の一部を制御回路74に出力し、残りの増幅信号光を
出力レーザ光として信号光出力ファイバ76に出力す
る。そして、この制御回路74において、入力された一
部の増幅信号光を基にして、各半導体レーザモジュール
10a,10b,…,10dの発光状態、例えば光強度
を制御し、ラマン増幅の利得帯域が平坦な特性となるよ
うにフィードバック制御する。
ン増幅された増幅信号光は、WDMカプラ62及び光ア
イソレータ70を介してモニタ光分配用カプラ72に入
力されるようになっている。そして、このモニタ光分配
用カプラ72は、増幅信号光の一部を制御回路74に出
力し、残りの増幅信号光を出力レーザ光として信号光出
力ファイバ76に出力するようになっている。そして、
この制御回路74において、入力された一部の増幅信号
光を基にして、各半導体レーザモジュール10a,10
b,…,10dの発光状態、例えば光強度を制御し、ラ
マン増幅の利得帯域が平坦な特性となるようにフィード
バック制御している。
器によれば、上記第1の実施形態に係る半導体レーザモ
ジュール10と同一構成の半導体レーザモジュール10
a,10b,…,10dを励起光源として用いることに
より、安定した高利得のラマン増幅を実現することがで
きる。なお、上記実施形態においては、信号光に対して
後方から励起する後方励起方式を採用しているが、この
代わりに、信号光に対して前方から励起する前方励起方
式や双方方向から励起する双方方向励起方式を採用して
もよい。
係る半導体レーザモジュール及びラマン増幅器によれ
ば、以下の効果を奏することができる。即ち、請求項1
に係る半導体レーザモジュールによれば、光アイソレー
タに付設された光帰還部によって半導体レーザ素子に所
定波長の光を帰還させることにより、従来の半導体レー
ザモジュールのようにFBGを用いて光帰還を行う場合
に比べて、半導体レーザ素子と光帰還部との距離が短く
なり、半導体レーザ素子と光帰還部との共振周波数にお
いて生じる雑音特性の落ち込みが高周波数側にシフトす
ると共に、光アイソレータにより余分な光が半導体レー
ザ素子に戻ることが防止されるため、ラマン増幅用の励
起光源として使用する場合に、ラマン利得の揺らぎが小
さくなり、安定したラマン増幅を実現することができ
る。
と光ファイバとの間に配置したことにより、外部から半
導体レーザ素子への反射戻り光を有効に防止することが
可能になることに加え、安価な偏光光アイソレータを使
用することが可能になり、光ファイバを一端切断して光
アイソレータとの融着接合を行う必要がなくなるため、
コストを低減することができると共に、光アイソレータ
の配置に伴う挿入損失を小さくすることができる。
ジュールによれば、光帰還部が所定の反射率を有する反
射フィルタであり、更にこの反射フィルタが光アイソレ
ータを構成する光学素子の表面、例えばファラデー回転
素子の半導体レーザ素子側の表面に形成された誘電体多
層膜からなることにより、従来のように光ファイバにF
BGを形成する場合と比較すると、遥かにその作製が容
易になるため、量産性を飛躍的に向上することができ
る。
ールによれば、発振波長スペクトルの半値幅内に2本以
上の発振縦モードを含むレーザ光を出力させることによ
り、誘導ブリルアン散乱が発生しないようにしているた
め、ラマン増幅用の励起光源として使用する場合に、誘
導ブリルアン散乱に起因するノイズの増加を招くことな
く高い励起光出力パワーを得ることが可能になり、安定
した高ラマン利得を得ることができる。
記請求項1〜7に係る半導体レーザモジュールを広帯域
ラマン増幅用の励起光源として用いることにより、安定
した高利得のラマン増幅を実現することができる。
ジュールを示す概略図である。
ィルタ付き光アイソレータの詳細を示す概略断面図であ
る。
持光ファイバを示す断面斜視図である。
クトル及び複数発振縦モードを示すグラフである。
ードと誘導ブリルアン散乱の閾値との関係を、単一発振
縦モードと誘導ブリルアン散乱の閾値との関係と比較し
て示すグラフである。
示す概略ブロック図である。
ある。
ルを示すグラフである。
ジュール 12 パッケージ 14 半導体レーザ素子 14a 前方光出射面 14b 後方光出射面 16 第1のレンズ(平行化レンズ) 18 反射フィルタ付き光アイソレータ 20 第2のレンズ(集光レンズ) 22 円筒状の出射部 24,24a,24b,…,24d PANDA光フ
ァイバ 26 フェルール 28 ペルチェ素子 30 ベースヒートシンク 32 ヒートシンク 34 サーミスタ 35 モニタフォトダイオード 36 偏光子 38 ファラデー回転子 40 検光子 42 ホルダ 44 磁石 46 反射フィルタ 48 コア 50 クラッド 52a、52b 応力付与部 54 発振波長スペクトル 56a,56b,56c 発振縦モード 58c,58b 偏光合成カプラ 60,62 WDMカプラ 64 増幅用光ファイバ 66 信号光入力ファイバ 68,70 光アイソレータ 72 モニタ光分配用カプラ 74 制御回路 76 信号光出力ファイバ
Claims (8)
- 【請求項1】 半導体レーザ素子と、 前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を受光し
て伝送する光ファイバと、 前記半導体レーザ素子と前記光ファイバとの間に設置さ
れた光アイソレータと、 前記光アイソレータに付設され、前記半導体レーザ素子
から出射されたレーザ光を前記半導体レーザ素子に帰還
させる光帰還部とを具備することを特徴とする半導体レ
ーザモジュール。 - 【請求項2】 前記光帰還部が、所定の反射率を有する
反射フィルタである、請求項1記載の半導体レーザモジ
ュール。 - 【請求項3】 前記反射フィルタが、前記光アイソレー
タを構成する光学素子の表面に形成された誘電体多層膜
からなる、請求項2記載の半導体レーザモジュール。 - 【請求項4】 前記光学素子が、ファラデー回転素子で
あり、前記誘電体多層膜が、前記ファラデー回転素子の
前記半導体レーザ素子側の表面に形成されている、請求
項3記載の半導体レーザモジュール。 - 【請求項5】 前記半導体レーザ素子及び前記光帰還部
から構成される共振器の長さと前記光帰還部の波長選択
特性とを含む発振パラメータの組み合わせ設定によっ
て、発振波長スペクトルの半値幅内に2本以上の発振縦
モードを含むレーザ光を出力する、請求項1記載の半導
体レーザモジュール。 - 【請求項6】 前記光ファイバが、偏光面保持光ファイ
バである、請求項1記載の半導体レーザモジュール。 - 【請求項7】 前記第2のレンズを介して前記偏光面保
持光ファイバに入射されるレーザ光の偏光方向と前記偏
光面保持光ファイバの偏光保持軸とのなす角度が、45
±12°以下である、請求項6記載の半導体レーザモジ
ュール。 - 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の半導
体レーザモジュールを広帯域ラマン増幅用の励起光源と
して用いることを特徴とするラマン増幅器。
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JP2012242540A (ja) * | 2011-05-18 | 2012-12-10 | Sumitomo Electric Device Innovations Inc | 光半導体装置およびその製造方法 |
CN117293642A (zh) * | 2023-11-27 | 2023-12-26 | 广州芯泰通信技术有限公司 | 一种dci数据中心自动切换的插拔式光放大器模块 |
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JP2000077773A (ja) * | 1998-08-27 | 2000-03-14 | Nec Corp | 外部共振器付半導体レーザモジュール |
JP2000098433A (ja) * | 1998-07-23 | 2000-04-07 | Furukawa Electric Co Ltd:The | ラマン増幅器とそれを用いた光中継器 |
WO2000046893A1 (fr) * | 1999-02-03 | 2000-08-10 | The Furukawa Electric Co., Ltd. | Laser a semiconducteur et module de laser a semiconducteur utilisant ledit laser |
-
2001
- 2001-09-07 JP JP2001272118A patent/JP4809554B2/ja not_active Expired - Fee Related
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